特許拒絶査定不服審判
2021-001219
局所的酸素測定センサ
- 審判番号
- 2021-001219
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-025513
- 請求日
- 2021年01月28日
- 審決日
- 2021年08月30日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】マシモ・コーポレイション
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 審判長/審判官
- 審判長 福島 浩司
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 審判官 樋口 宗彦
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 25513「局所的酸素測定センサ」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月30日出願公開、特開2019- 80986〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)10月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年10月7日 米国、同年10月7日 米国、同年10月7日 米国)を国際出願日とする特願2016-520617号の一部を平成31年2月15日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年3月13日 :手続補正書の提出
令和2年1月27日付け :拒絶理由通知書
令和2年3月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年6月11日付け :拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和2年8月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年9月17日付け :令和2年8月27日の手続補正についての補
正の却下の決定、拒絶査定
令和3年1月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和3年1月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年1月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
前面テープ層と、
患者の皮膚表面に接着によって取り付けることができる基部テープ層と、
前記患者の皮膚表面に光学的放射を伝達するように構成された少なくとも1つのエミッタと、
前記患者の組織による減衰の後に、前記光学的放射を検出するように構成された近距離場検出器と、
前記患者の組織による減衰の後に、前記光学的放射を検出するように構成された遠距離場検出器と、を含み、
前記前面テープ層及び前記基部テープ層が協働してセンサヘッド部を形成し、前記センサヘッド部が、
第1の端部、前記第1の端部とは反対の第2の端部、第1の側部及び前記第1の側部とは反対の第2の側部と、
前記第1の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第1の複数のチャンネルと、
前記第2の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第2の複数のチャンネルであって、前記第1及び第2の複数のチャンネルが、互いに対して独立して柔軟性を有する複数の切欠き部を形成する、第2の複数のチャンネルと、を含み、
前記センサヘッド部の前記第1の端部から延設し、電気信号を前記センサヘッド部からケーブルに伝送するように構成された柔軟な回路層を含む軸部を含み、
前記少なくとも1つのエミッタ、前記近距離場検出器及び前記遠距離場検出器が、前記前面テープ層と前記基部テープ層との間であって、前記センサヘッド部の前記第1及び前記第2の側部の前記第1及び前記第2の複数のチャンネルの間に位置する前記柔軟な回路層に電気的に結合された、
局所的酸素測定センサ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和2年3月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
前面テープ層と、
患者の皮膚表面に接着によって取り付けることができる基部テープ層と、
前記患者の皮膚表面に光学的放射を伝達するように構成された少なくとも1つのエミッタと、
前記患者の組織による減衰の後に、前記光学的放射を検出するように構成された近距離場検出器と、
前記患者の組織による減衰の後に、前記光学的放射を検出するように構成された遠距離場検出器と、を含み、
前記前面テープ層及び前記基部テープ層が協働してセンサヘッド部を形成し、前記センサヘッド部が、
第1の端部、前記第1の端部とは反対の第2の端部、第1の側部及び前記第1の側部とは反対の第2の側部と、
前記第1の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第1の複数のチャンネルと、
前記第2の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第2の複数のチャンネルであって、前記第1及び第2の複数のチャンネルが、互いに対して独立して柔軟性を有する複数の切欠き部を形成する、第2の複数のチャンネルと、を含み、
前記センサヘッド部の前記第1の端部から延設し、電気信号を前記センサヘッド部からケーブルに伝送するように構成された軸部を含む、
局所的酸素測定センサ。」
2 本件補正の目的
本件補正は、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「軸部」並びに「少なくとも1つのエミッタ」、「近距離場検出器」及び「遠距離場検出器」について、それぞれ上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献等
ア 引用文献1について
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1:米国特許出願公開第2009/0131770号明細書には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている(原文に続き日本語訳を記載する。下線は当審で付与したものである。以下、同様。)。
(引1ア)
「[0002] Physiological sensor systems are used to measure a variety of physiological characteristics such as blood metabolite and oxygen saturation in body tissues using multiple wavelengths of light. Physiological sensor systems generally include a monitoring system connected to a sensor pad that adheres to the portion of the body being tested. The sensor pad includes a plurality of optical components that generally protrude through the outer surface of the sensor pad. The thickness and configuration of the optical components on the pad often generate pressure points when external force or pressure is applied. These pressure points can be painful and damaging to sensitive skin, particularly in neonates when the sensor pad is secured to the body by a head band, cap or other means.
[0003] In addition, known sensor systems, although flexible, have a certain degree of stiffness that often causes the sensor to lift or peel from the patient and limits the adhesion of the sensor to small radius compound curvatures that are often encountered in neonatal patients.
[0004] Accordingly, the embodiments described hereinafter were developed in light of these and other drawbacks associated with existing physiological sensor pads.」
「[0002]生理学的センサシステムは、複数の波長の光を用いて、血液の代謝物や体組織の酸素飽和度などの様々な生理学的特性を測定するために使用される。生理センサシステムは、一般に、検査される身体の部分に付着するセンサパッドに接続された監視システムを含む。センサパッドには、センサパッドの外面から突出する複数の光学部品が含まれている。パッド上の光学部品の厚さおよび構成は、外力または圧力が加えられたときに、しばしば圧力ポイントを生成する。これらの圧力点は、特に新生児の場合、センサパッドがヘッドバンドやキャップなどで体に固定されていると、敏感な皮膚に痛みやダメージを与える可能性がある。
[0003]さらに、既知のセンサシステムは、柔軟ではあるものの、ある程度の剛性を有しているため、センサが患者から浮き上がったり剥がれたりすることが多く、また、新生児の患者でよく遭遇する小半径の複合曲面へのセンサの接着が制限される。
[0004]従って、以下に説明する実施形態は、既存の生理学的センサパッドに関連するこれらおよび他の欠点を考慮して開発されたものである。」
(引1イ)
「[0012] A physiological sensor that adheres and conforms to small radius compound curvatures is provided. The sensor is a non-invasive, disposable sensor with a multi-layered structure that includes a sensor pad assembly having a flex circuit assembly disposed between at least a top layer and a bottom layer. The flex circuit assembly includes a plurality of optical components disposed along a mechanical neutral axis of the flex circuit assembly. To maximize flexibility, the optical components are considerably thicker than the flex circuit, protruding above and below the flex circuit when viewed from the side. The sensor pad assembly also includes a patient adhesive layer on the bottom, patient side surface of the sensor that is used to secure the sensor assembly to the patient. In one embodiment, the flex circuit and padding assemblies are substantially the same size and shape as the patient adhesive layer. In another embodiment, the sensor pad assembly layers are smaller in size and shape than the patient adhesive layer such that the patient adhesive layer extends beyond the edges of the sensor pad assembly layers.
[0013] FIG. 1 illustrates an exemplary physiological sensor 10 as applied to a patient for measuring a physiological characteristic such as blood metabolite. The sensor 10 operates by emitting light of a plurality of near infrared wavelengths 12 and measuring its transmitted and reflected intensities at a plurality of unequal distances from the emitter locations. This information is used to calculate blood metabolite and other physiological measurements. The sensor 10 of FIG. 1 is exemplary in that it includes one light source 14 and two detectors, one configured for shallow detection 16a and one configured for deep detection 16b. However, alternative embodiments may include a plurality of light sources 14 with any number of detectors 16a, 16b in any configuration. In addition, although there is a single light source shown, each light source may be capable of emitting multiple wavelengths of light.」
「[0012]小半径の複合曲面に付着して適合する生理学的センサを提供する。このセンサは、少なくとも最上層と最下層との間に配置されたフレックス回路アセンブリを有するセンサパッドアセンブリを含む多層構造を有する非侵襲性の使い捨てセンサである。フレックス回路アセンブリは、フレックス回路アセンブリの機械的中立軸に沿って配置された複数の光学部品を含む。柔軟性を最大化するために、光学部品は、フレックス回路よりもかなり厚く、側面から見たときにフレックス回路の上および下に突出している。また、センサパッドアセンブリは、センサの底面、患者側の表面に、センサアセンブリを患者に固定するために使用される患者用接着剤層を含む。一実施形態では、フレックス回路およびパディングアセンブリは、患者用接着剤層と実質的に同じサイズおよび形状である。別の実施形態では、センサパッドアセンブリ層は、患者接着剤層がセンサパッドアセンブリ層の縁を越えて延びるように、患者接着剤層よりもサイズおよび形状が小さい。
[0013]図1は、血液代謝物などの生理学的特性を測定するために患者に適用される例示的な生理学的センサ10を示す。センサ10は、複数の近赤外波長の光12を放出し、その透過および反射強度を、放出位置からの複数の不均等な距離で測定することによって動作する。この情報をもとに、血液中の代謝物などの生理測定値が算出される。図1のセンサ10は、1つの光源14と、浅い検出用16aに構成されたものと深い検出用16bに構成されたものとの2つの検出器を含むという点で例示的である。しかし、代替的な実施形態は、任意の構成の任意の数の検出器16a、16bを備えた複数の光源14を含んでもよい。さらに、単一の光源が示されているが、各光源は、複数の波長の光を放出することが可能であってもよい。」
(引1ウ)
「[0016] Similarly, FIG. 4B illustrates an exploded view of an exemplary in-line sensor 40 attached to a cable assembly 18 having a cable 20 and a connector 22. Like the t-shaped sensor 24 of FIG. 4A, the in-line sensor 40 has a multi-layered sensor pad assembly 42 with a flex circuit 44 disposed between a mid layer tape 46 and a bottom layer tape 48. The sensor pad assembly 42 further includes a top layer tape 50, an optional bottom layer adhesive 52 and a patient side adhesive 54. The patient side adhesive 54 may be opaque or generally translucent. In one embodiment, the patient adhesive layer includes a hydrocolloid adhesive, which is recommended by the National Association of Neonatal Nurses for skin application because it is less aggressive than the medical grade acrylic adhesive that is typically used on known physiological sensors. Hydrocolloid adhesive is generally used for wound care or as a buffer for other devices with more aggressive adhesives. The hydrocolloid adhesive allows the sensor pad to be easily applied to and removed from delicate patient skin. Alternatively, patient side adhesive 54 can be a silicone based adhesive such as MED 5585H.」
「[0016]同様に、図4Bは、ケーブル20およびコネクタ22を有するケーブルアセンブリ18に取り付けられた例示的なインラインセンサ40の分解図を示している。図4AのT字型センサ24と同様に、インラインセンサ40は、中間層テープ46と底層テープ48との間に配置されたフレックス回路44を有する多層センサパッドアセンブリ42を有する。センサパッドアセンブリ42は、さらに、最上層テープ50、任意の最下層接着剤52、および患者側接着剤54を含む。患者側接着剤54は、不透明または概して半透明であってよい。一実施形態では、患者側接着剤層は、ハイドロコロイド接着剤を含み、このハイドロコロイド接着剤は、既知の生理学的センサに一般的に使用される医療グレードのアクリル接着剤よりも攻撃性が低いため、皮膚適用のために全米新生児看護師協会によって推奨されている。ハイドロコロイド粘着剤は、一般的に傷の治療や、より強力な粘着剤を使用する他の機器の緩衝材として使用されます。ハイドロコロイド接着剤は、センサパッドをデリケートな患者の皮膚に容易に適用したり、皮膚から取り外したりすることを可能にする。あるいは、患者側接着剤54は、MED 5585Hのようなシリコーンベースの接着剤であってもよい。」
(引1エ)
「[0017] Being either t-shaped or in-line generally refers to the orientation of the cable 20 with respect to the flex circuit 28, 44. For example, the t-shape sensor 24 is configured such that the cable intersects perpendicularly with the flex circuit 28, while with the in-line sensor 26, the cable extends linearly with flex circuit 44.
[0018] In one exemplary approach, the patient adhesive layer 38, 54 is substantially the same size and shape as the bottom layer tape 32, 48. However, in another exemplary approach, as shown in at least FIGS. 2-3 and 4A, the perimeter dimensions of the top layer tape 34, 50, mid layer tape 30, 46 and bottom layer tape 36, 52 are smaller than that of the patient side adhesive 38, 54 creating an adhesive edge around the perimeter of the sensor pad assembly. Because the patient side adhesive 38, 54 is generally soft, stretchy and flexible, the outer edges of the sensor pad assembly are highly conformable to the small radius compound curvatures that are often encountered in neonatal patients. In this way, the edges of the sensor are less likely to lift and peel away from the patient's skin.」
[0017]T字型またはインラインのいずれかであることは、一般に、フレックス回路28、44に対するケーブル20の向きを指す。例えば、T字型センサ24は、ケーブルがフレックス回路28と垂直に交差するように構成されており、一方、インラインセンサ26では、ケーブルがフレックス回路44と直線的に延びている。
[0018]一例示的なアプローチでは、患者接着剤層38、54は、底層テープ32、48と実質的に同じサイズおよび形状である。しかし、別の例示的なアプローチでは、少なくとも図2-3および4Aに示すように、最上層テープ34、50、中間層テープ30、46および底層テープ36、52の周囲の寸法は、センサパッドアセンブリの周囲に接着エッジを作成する患者側接着剤38、54の寸法よりも小さい。患者側接着剤38、54は一般的に柔らかく、伸縮性があり、柔軟性があるため、センサパッドアセンブリの外縁部は、新生児患者にしばしば遭遇する小半径の複合曲面に非常に適合している。このようにして、センサのエッジは、患者の皮膚から浮き上がったり剥がれたりする可能性が低い。」
(引1オ)
「[0020] FIGS. 5 and 6 illustrate top perspective views of exemplary the flex circuit assemblies 28, 44 for a t-shape sensor 24 and an in-line sensor 26, respectively. Each flex circuit assembly includes a plurality of optical components 16a, 16b mounted to the flex circuit 58 such that the horizontal plane of the flex circuit is axially aligned with the mechanical center of each of the optical components. In this way, the pad layer materials (i.e., the top and bottom layer tapes) when assembled on both the patient side and the opposite side of the flex circuit 58 equal the thickness of the optical components 16a, 16b, which minimizes potential pressure points generally caused by the optical component thickness. The assembled sensor is configured to conform to a shape approximating the smallest compound curvature of a human head. The assembled sensor adheres to the patient surface indefinitely with no external force or pressure, minimizes potential pressure points, is easily applied to and removed from delicate patient skin and can be calibrated accurately and repeatibly. The sensor has the capability of conforming to the relatively small radius compound curvature of neonates for cerebral and somatic applications and can also be used to enhance pediatric and adult applications. The sensor pad assembly has uniform patient side and top side surfaces that minimize potential pressure points. In other words, the sensor pad assembly 26, 42 has an overall uniform thickness with no protrusions on either side of the sensor pad.
[0021] In one embodiment, the flex circuit 58, optical components 16a, 16b and cable assembly 18 are procured as a subassembly and the optics and cable are electrically connected to the flex circuit 58. Once the subassembly is tested and calibrated, the pad layers and the patient side adhesive are laminated on each side of the flex circuit 58 to form the pad assembly 26, 42 according to the exploded view in FIGS. 4A and 4B. In one embodiment, the pad layer lamination is achieved using specific adhesives that are procured already laminated to each layer. The pad layers are made using laminating machines and die cutting or laser cutting tools.」
「[0020]図5および図6は、それぞれ、T字型センサ24およびインラインセンサ26のための例示的なフレックス回路アセンブリ28、44の上面透視図を示す。各フレックス回路アセンブリは、フレックス回路の水平面が各光学部品の機械的中心と軸方向に整列するように、フレックス回路58に取り付けられた複数の光学部品16a、16bを含む。このようにして、フレックス回路58の患者側および反対側の両方に組み立てられたときのパッド層材料(すなわち、上層および下層テープ)は、光学部品16a、16bの厚さに等しく、これにより、一般に光学部品の厚さに起因する潜在的な圧力点を最小限に抑えることができる。組み立てられたセンサは、人間の頭部の最小複合曲率に近似した形状に適合するように構成されている。組み立てられたセンサは、外力や圧力がなくても患者の表面にいつまでも付着し、潜在的な圧迫点を最小限に抑え、デリケートな患者の皮膚に簡単に適用したり取り除いたりすることができ、正確に繰り返して較正することができる。このセンサは、新生児の比較的小さな複合曲率半径に適合し、脳や体の用途に使用できるほか、小児や成人の用途にも使用することができる。センサパッドアセンブリは、患者側と上側の表面が均一であるため、潜在的な圧力ポイントを最小限に抑えることができる。言い換えれば、センサパッドアセンブリ26、42は、センサパッドのいずれの側にも突出部がない全体的に均一な厚さを有する。
[0021]一実施形態では、フレックス回路58、光学部品16a、16bおよびケーブルアセンブリ18は、サブアセンブリとして調達され、光学部品およびケーブルは、フレックス回路58に電気的に接続される。サブアセンブリが試験および較正されると、パッド層および患者側接着剤がフレックス回路58の各側に積層され、図4Aおよび4Bの分解図に従ってパッドアセンブリ26、42が形成される。一実施形態では、パッド層の積層は、各層に既に積層された状態で調達される特定の接着剤を用いて実現される。パッド層は、ラミネートマシンとダイカットまたはレーザーカットツールを用いて作られる。」
(引1カ)FIG.1
[図:0001381481000001.jpg]
(引1キ)FIG.4B
[図:0001381481000002.jpg]
(引1ク)FIG.6
[図:0001381481000003.jpg]
(イ)引用文献1に記載された発明
a (引1イ)の[0013]記載の「血液代謝物などの生理学的特性を測定するために患者に適用される・・・生理学的センサ10」は、(引1ア)の「[0002]生理学的センサシステムは、・・・血液の代謝物や体組織の酸素飽和度などの様々な生理学的特性を測定するために使用される」との記載を踏まえると、測定される生理学的特性として「体組織の酸素飽和度」を含むものといえる。
b (引1イ)の[0013]記載の「近赤外波長の光12を放出し、その透過および反射強度を、放出位置からの複数の不均等な距離で測定する」とは、(引1カ)FIG.1における光学部品間の関係を見ると、患者の皮膚表面から組織内に、「光源14」から「近赤外波長の光12を放出し、その透過および反射強度を」、「光源14」に近い距離の「浅い検出用に構成された検出器16a」と、「光源14」に遠い距離の「深い検出用に構成された検出器16b」とで「測定する」ことであるといえる。
c インラインセンサ40の多層センサパッドアセンブリ42において、フレックス回路44とその他の層(患者側接着層54、最下層接着層52、底層テープ48、中間層テープ46、最上層テープ50)との位置関係を明確にするために、(引1キ)FIG.4Bに補助線等を加えたものを以下に示す。
[図:0001381481000004.jpg]
上図と(引1ク)FIG.6と併せながら、(引1ウ)の[0016]の「同様に、図4Bは、・・・インラインセンサ40の分解図を示している。・・・インラインセンサ40は、中間層テープ46と底層テープ48との間に配置されたフレックス回路44を有する多層センサパッドアセンブリ42を有する。センサパッドアセンブリ42は、さらに、最上層テープ50、任意の最下層接着剤52、および患者側接着剤54を含む。・・・患者側接着剤層は、ハイドロコロイド接着剤を含み、・・・このハイドロコロイド接着剤は、・・・皮膚適用のために全米新生児看護師協会によって推奨されている。」との記載を読むと、次の事項が把握できる。
「患者側接着剤54」は「患者側接着剤層」であるところ、「インラインセンサ40」の「多層センサパッドアセンブリ42」は、「患者側接着層54」、「最下層接着層52」、「底層テープ48」、「フレックス回路44」、「中間層テープ46」、「最上層テープ50」の順に積層された積層体である。
そして、「多層センサパッドアセンブリ42」は、患者の皮膚表面に固定するために使用され前記積層体の重なり部分である多層センサパッド部分と、ケーブル20に接続される軸部とからなる。多層センサパッド部分は、ケーブル20の軸線を長手方向とする曲線的な角部を有する細長い矩形部材であり、細長い矩形部材の長手方向の両辺それぞれの中央付近に、内側に向けてスリットが1つずつ形成されており、軸部は、多層センサパッド部分を構成しない「フレックス回路44」の一部領域である。
また、「光源14」、「浅い検出用に構成された検出器16a」、「深い検出用に構成された検出器16b」は、多層センサパッド部分の各スリットの間に配置されている。
上記a~cを含む上記(ア)の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 新生児の比較的小さな複合曲率半径に適合し、小児や成人の用途にも使用することができる、体組織の酸素飽和度を含む生理学的特性を測定するために患者に適用される生理学的センサ10であって、
生理学的センサ10は、
光源14と、浅い検出用に構成された検出器16aと深い検出用に構成された検出器16bを含み、
患者の皮膚表面から組織内に、光源14から近赤外波長の光12を放出し、その透過および反射強度を、光源14に近い距離の浅い検出用に構成された検出器16aと、光源14に遠い距離の深い検出用に構成された検出器16bとで測定することによって動作し、この情報をもとに生理測定値が算出されるものであり、
生理学的センサ10は、
ケーブル20およびコネクタ22を有するケーブルアセンブリ18に取り付けられたインラインセンサ40であり、
インラインセンサ40は、患者側接着層54、最下層接着層52、底層テープ48、フレックス回路44、中間層テープ46、最上層テープ50の順に積層された積層体からなる多層センサパッドアセンブリ42を有し、
多層センサパッドアセンブリ42は、患者の皮膚表面に固定するために使用され前記積層体の重なり部分である多層センサパッド部分と、ケーブル20に接続される軸部とからなり、
多層センサパッド部分は、ケーブル20の軸線を長手方向とする曲線的な角部を有する細長い矩形部材であり、細長い矩形部材の長手方向の両辺それぞれの中央付近に、内側に向けてスリットが1つずつ形成されており、
軸部は、多層センサパッド部分を構成しないフレックス回路44の一部領域であり、
光源14、浅い検出用に構成された検出器16a、深い検出用に構成された検出器16bおよびケーブル20は、多層センサパッド部分の各スリットの間に配置され、フレックス回路44に電気的に接続される、生理学的センサ10。」
イ 引用文献2について
(ア)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2:特表2011-519591号公報には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。
(引2ア)
「【0009】
脳センサのアセンブリが、以下の説明の一部において例示の目的のために使用される。しかしながら、本発明の他の実施形態も同様に、例えばヒトおよび他の生体患者での他の位置における使用のための他のタイプの組織オキシメトリセンサなどの、他のタイプの生理的センサに対して適用される可能性があることを理解されたい。図1Aは、本発明に従うセンサアセンブリを使用することができる状況を図表示し、患者の血液酸素飽和度を監視もしくは検査する稼働システムの一部として示される。本開示の目的のために、図1Aは、オキシメトリモニタ14によって監視されるべきヒト患者12におけるセンサアセンブリ10を有するシステム8Aを示す。センサアセンブリ10は、患者12の前頭部に適用され、脳内の内部組織容量もしくは局所領域に光学的にアクセスする。脳内の内部組織容量もしくは局所領域は、センサ10が位置する地点に直接隣接するが、頭皮、頭蓋骨、および隣接硬膜の内側、すなわち脳組織自体の内部にはない。センサ10は柔軟性を有し、患者12の前頭部表面に適合する。」
(引2イ)
「【0025】
図10は、センサアセンブリ10の別の実施形態を示す。レリーフフィーチャ70は、センサ本体の外周の周囲に設けられ、前額部などのより小さい、もしくは“球状”な形状の表面に対してより高い適合性を可能にする。レリーフフィーチャ70は、周辺光に対する耐性を改善するために、光検出器40から離れて配置することができる。レリーフフィーチャ70は、スリット、スロット、切り抜きなどを含んでもよい。」
(引2ウ)図1
[図:0001381481000005.jpg]
(引2エ)図10
[図:0001381481000006.jpg]
(イ)引用文献2に記載された技術事項
上記(ア)の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「 オキシメトリモニタ14によって監視されるべきヒト患者12におけるセンサアセンブリ10であって、
センサアセンブリ10は、柔軟性を有し、患者12の前頭部表面に適合し、
レリーフフィーチャ70が、センサ本体の外周の周囲に複数設けられ、前額部などのより小さい表面に対してより高い適合性を可能にし、
レリーフフィーチャ70は、スリット、スロット、切り抜きなどを含む、センサアセンブリ10。」
ウ 引用文献3について
(ア)引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献3:特表2009-509663号公報には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。
(引3ア)
「【0035】
図9は、光学的な遮蔽を提供し、適所でセンサを保持し、同時に患者の体に押しつけられたセンサを保持するために下方へ所望の大きさの圧力をかけるオキシメトリーセンサ(図示せず)用のホルダ90の別の実施例を示す。この実施例のホルダ90は図1~3に関して上記説明されたホルダ10と同様であり、対応する参照番号は類似の構造を参照する。多くの場合、図1~3のホルダ10の上記説明はホルダ90に適用される。しかしながら、ホルダ90において、第1フランジ92と第2フランジは、基部部分30の中央領域の同じ側上の外に延びており、反対側上にフランジはない。好ましくは、フランジ92、94は、センサのケーブルが通過することができる出口門96として同じ側の中心領域からの外に延びている。フランジ92、94間の距離は、好ましくは、図3の実施例のフランジ間の距離よりは長く、センサホルダを持ち上げずに皮膚の表面からセンサの末端が離れて持ち上げられることを可能にする。例えば、フランジ92、94は、約1/4インチ離して離間され得る。随意的に、複数の半径方向スリット98がホルダ90中に、好ましくは、フランジ92、94を有さないホルダ90の一部上に、切られ得る。半径方向のスリット98は、ホルダ90の外側のエッジ91から内側にホルダの中央に向かって切られるが、好ましくは内部空洞38に達するように内側にそれほど遠くまで延びない。図示した実施例では、半径方向スリット98はセンサホルダ90を通してずっと切り込まれている。代替の実施例(図示せず)では、半径方向スリットはホルダを通過してずっと進まない。例えば、スリットは、ホルダの頂部からまたはホルダの底部から少なくともホルダの中間まで、または同じ位置でホルダの頂部あるいは底部のそれぞれから約1/4インチホルダ中に切り込む。これらのスリットは、発泡材料の機械的強度を弱めるのに役立つ。スリット98の適切な間隔は約0.2インチ離れている。半径方向スリット98は追加の柔軟性をホルダ90に提供し、ホルダ90が曲げられた表面により良く接着するのを可能にする。」
(引3イ)図9
[図:0001381481000007.jpg]
(イ)引用文献3に記載された技術事項
上記(ア)の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「光学的な遮蔽を提供し、適所でセンサを保持し、同時に患者の体に押しつけられたセンサを保持するために下方へ所望の大きさの圧力をかけるオキシメトリーセンサ用のホルダ90であって、
複数の半径方向スリット98がホルダ90中に、ホルダ90の外側のエッジ91から内側にホルダの中央に向かって切られ、
半径方向スリット98は追加の柔軟性をホルダ90に提供し、ホルダ90が曲げられた表面により良く接着するのを可能にする、オキシメトリーセンサ用のホルダ90。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「順に積層された」「中間層テープ46、最上層テープ50」は、本件補正発明の「前面テープ層」に相当する。
イ 引用発明の「順に積層された」「患者側接着層54、最下層接着層52、底層テープ48」が、本件補正発明の「基部テープ層」に相当するところ、引用発明の「患者の皮膚表面に固定するために使用され」、「順に積層された」「患者側接着層54、最下層接着層52、底層テープ48」は、本件補正発明の「患者の皮膚表面に接着によって取り付けることができる基部テープ層」に相当する。
ウ 引用発明の「光源14」が、本件補正発明の「少なくとも1つのエミッタ」に相当するところ、引用発明の「患者の皮膚表面から組織内に」、「近赤外波長の光12を放出」する「光源14」は、本件補正発明の「前記患者の皮膚表面に光学的放射を伝達するように構成された少なくとも1つのエミッタ」に相当する。
エ 引用発明の「光源14に近い距離の浅い検出用に構成された検出器16a」は、本件補正発明の「近距離場検出器」に相当するところ、引用発明の「患者の皮膚表面から組織内に、光源14から近赤外波長の光12を放出し、その透過および反射強度を」「測定する」、「光源14に近い距離の浅い検出用に構成された検出器16a」は、本件補正発明の「前記患者の組織による減衰の後に、前記光学的放射を検出するように構成された近距離場検出器」に相当する。
オ 引用発明の「光源14に遠い距離の深い検出用に構成された検出器16b」は、本件補正発明の「遠距離場検出器」に相当するところ、引用発明の「患者の皮膚表面から組織内に、光源14から近赤外波長の光12を放出し、その透過および反射強度を」「測定する」、「光源14に遠い距離の深い検出用に構成された検出器16b」は、本件補正発明の「前記患者の組織による減衰の後に、前記光学的放射を検出するように構成された遠距離場検出器」に相当する。
カ 引用発明の「多層センサパッド部分」は、本件補正発明の「センサヘッド部」に相当するところ、引用発明の「順に積層された」「中間層テープ46、最上層テープ50」(上記ア参照)と、「患者の皮膚表面に固定するために使用され」、「順に積層された」「患者側接着層54、最下層接着層52、底層テープ48」(上記イ参照)とが「積層され」た「多層センサパッド部分」は、本件補正発明の「前記前面テープ層及び前記基部テープ層が協働して」「形成」された「センサヘッド部」に相当する。
キ 引用発明の「多層センサパッド部分」は「細長い矩形部材」であるから、引用発明の「細長い矩形部材の長手方向の両辺」が、本件補正発明の「第1の側部及び前記第1の側部とは反対の第2の側部」に相当し、引用発明の「細長い矩形部材の長手方向の両辺」と直交する方向の両辺が、本件補正発明の「第1の端部、前記第1の端部とは反対の第2の端部」に相当する。
よって、引用発明の「多層センサパッド部分」が「細長い矩形部材」であることは、本件補正発明の「前記センサヘッド部が、
第1の端部、前記第1の端部とは反対の第2の端部、第1の側部及び前記第1の側部とは反対の第2の側部と」、「を含」むことに相当する。
ク 引用発明の「スリット」が、本件補正発明の「チャンネル」に相当するところ、引用発明の「細長い部材の長手方向の両辺それぞれの中央付近に、内側に向けて」「1つずつ形成され」た「スリット」が、本件補正発明の「前記第1の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第1の」「チャンネル」と、「前記第2の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第2の」「チャンネル」とに相当する。
よって、引用発明の「多層センサパッド部分」が、「細長い矩形部材の長手方向の両辺それぞれの中央付近に、内側に向けてスリットが1つずつ形成されて」いることと、
本件補正発明の「前記センサヘッド部が」、
「 前記第1の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第1の複数のチャンネルと、
前記第2の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第2の複数のチャンネルであって、前記第1及び第2の複数のチャンネルが、互いに対して独立して柔軟性を有する複数の切欠き部を形成する、第2の複数のチャンネルと、を含」むこととは、
「前記センサヘッド部が」、
「 前記第1の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第1のチャンネルと、
前記第2の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第2のチャンネルと、を含」むという点で共通する。
ケ 引用発明の「フレックス回路44」は、「多層センサパッドアセンブリ42」の一層であるから、本件補正発明の「柔軟な回路層」に相当するところ、引用発明の「多層センサパッド部分を構成しないフレックス回路44の一部領域であ」る「軸部」が、本件補正発明の「柔軟な回路層を含む軸部」に相当する。
そして、引用発明の「多層センサパッド部分を構成しないフレックス回路44の一部領域であ」る「軸部」は、「フレックス回路44」の全体領域から「多層センサパッド部分」を除いた領域であって、「多層センサパッド部分」である「細長い矩形部材」のケーブル20側の短辺(本件補正発明の「第1の端部」に相当する。)から延設したものと見ることができるから、本件補正発明の「前記センサヘッド部の前記第1の端部から延設し」ている「柔軟な回路層を含む軸部」に相当する。
引用発明の「多層センサパッド部分」に「配置され」た「光源14、浅い検出用に構成された検出器16a、深い検出用に構成された検出器16b」と、「ケーブル20」とが「電気的に接続される」、「多層センサパッド部分を構成しないフレックス回路44の一部領域であ」る「軸部」は、本件補正発明の「電気信号を前記センサヘッド部からケーブルに伝送するように構成された柔軟な回路層を含む軸部」に相当する。
よって、引用発明の生理学的センサ10が、「多層センサパッド部分」に「配置された」「光源14、浅い検出用に構成された検出器16a、深い検出用に構成された検出器16b」と、「ケーブル20」とが「電気的に接続される」、「多層センサパッド部分でないフレックス回路44の一部領域であ」る「軸部」を備えることは、本件補正発明の局所的酸素測定センサが、「前記センサヘッド部の前記第1の端部から延設し、電気信号を前記センサヘッド部からケーブルに伝送するように構成された柔軟な回路層を含む軸部を含」むことに相当する。
コ 引用発明の「光源14、浅い検出用に構成された検出器16a、深い検出用に構成された検出器16b」が、「順に積層された」「患者側接着層54、最下層接着層52、底層テープ48」と、「順に積層された」「中間層テープ46、最上層テープ50」との間にあって、「多層センサパッド部分の各スリットの間に配置され」ることは、本件補正発明の「前記少なくとも1つのエミッタ、前記近距離場検出器及び前記遠距離場検出器が、前記前面テープ層と前記基部テープ層との間であって、前記センサヘッド部の前記第1及び前記第2の側部の前記第1及び前記第2の」「チャンネルの間に位置する」ことに相当する。
また、引用発明の「光源14、浅い検出用に構成された検出器16a、深い検出用に構成された検出器16b」が、「フレックス回路44に電気的に接続される」ことは、本件補正発明の「前記少なくとも1つのエミッタ、前記近距離場検出器及び前記遠距離場検出器が」、「前記柔軟な回路層に電気的に結合された」ことに相当する。
よって、「光源14、浅い検出用に構成された検出器16a、深い検出用に構成された検出器16b」が、「順に積層され」た「患者側接着層54、最下層接着層52、底層テープ48」と、「順に積層された」「中間層テープ46、最上層テープ50」との間にあって、「多層センサパッド部分の各スリットの間に配置され」る「フレックス回路44に電気的に接続される」ことと、本件補正発明の「前記少なくとも1つのエミッタ、前記近距離場検出器及び前記遠距離場検出器が、前記前面テープ層と前記基部テープ層との間であって、前記センサヘッド部の前記第1及び前記第2の側部の前記第1及び前記第2の複数のチャンネルの間に位置する前記柔軟な回路層に電気的に結合された」こととは、「前記少なくとも1つのエミッタ、前記近距離場検出器及び前記遠距離場検出器が、前記前面テープ層と前記基部テープ層との間であって、前記センサヘッド部の前記第1及び前記第2の側部の前記第1及び前記第2のチャンネルの間に位置する前記柔軟な回路層に電気的に結合された」ことの点で共通する。
サ 引用発明の「体組織の酸素飽和度を含む生理学的特性を測定するために患者に適用される生理学的センサ10」は、患者の局所領域に光学的にアクセスするものであるから、本件補正発明の「局所的酸素測定センサ」に相当するといえる。
以上のことから、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致し、次の各点で相違する。
(一致点)
「前面テープ層と、
患者の皮膚表面に接着によって取り付けることができる基部テープ層と、
前記患者の皮膚表面に光学的放射を伝達するように構成された少なくとも1つのエミッタと、
前記患者の組織による減衰の後に、前記光学的放射を検出するように構成された近距離場検出器と、
前記患者の組織による減衰の後に、前記光学的放射を検出するように構成された遠距離場検出器と、を含み、
前記前面テープ層及び前記基部テープ層が協働してセンサヘッド部を形成し、前記センサヘッド部が、
第1の端部、前記第1の端部とは反対の第2の端部、第1の側部及び前記第1の側部とは反対の第2の側部と、
前記第1の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第1のチャンネルと、
前記第2の側部に沿って位置し、前記センサヘッド部の内側に向かって延設する第2のチャンネルと、を含み、
前記センサヘッド部の前記第1の端部から延設し、電気信号を前記センサヘッド部からケーブルに伝送するように構成された柔軟な回路層を含む軸部を含み、
前記少なくとも1つのエミッタ、前記近距離場検出器及び前記遠距離場検出器が、前記前面テープ層と前記基部テープ層との間であって、前記センサヘッド部の前記第1及び前記第2の側部の前記第1及び前記第2のチャンネルの間に位置する前記柔軟な回路層に電気的に結合された、
局所的酸素測定センサ。」
(相違点1)
第1及び第2のチャンネルが、本件補正発明では、それぞれ「複数」のチャンネルであって、「前記第1及び第2の複数のチャンネルが、互いに対して独立して柔軟性を有する複数の切欠き部を形成する」のに対し、引用発明では、それぞれ「1つずつ」の「スリット」である点。
(相違点2)
少なくとも1つのエミッタ、近距離場検出器及び遠距離場検出器が、本件補正発明では、センサヘッド部の第1及び第2の側部の第1及び第2の「複数」のチャンネルの間に位置する柔軟な回路層に電気的に結合されたものであるのに対し、引用発明では、「多層センサパッド部分の各スリットの間に配置され、フレックス回路44に電気的に接続される」ものである点。
(4)判断
上記相違点1及び2について併せて検討する。
ア 引用文献2及び3の技術事項によれば、患者に取り付けるための、柔軟性を有するオキシメトリーセンサパッドにおいて、曲面を有する患者表面に適合させるために、オキシメトリーセンサパッドの外側の周囲から内側に向かってスリットを複数設けることは、本願の優先日前から周知技術であったといえる。そして、当該周知技術において、柔軟性を有するオキシメトリーセンサパッドに設けられたスリットとスリットの間の領域は、隣のスリットとスリットの領域に対して独立して柔軟性を有することは明らかである。
イ 一方、引用発明は、「新生児の比較的小さな複合曲率半径に適合し、小児や成人の用途にも使用することができる、体組織の酸素飽和度を含む生理学的特性を測定するために患者に適用される生理学的センサ10」であるから、引用発明において、複合曲面に対する接着性のさらなる向上は、内在する課題であるといえる。
ウ してみると、引用発明において、上記周知技術事項を適用し、「細長い矩形部材の長手方向の両辺それぞれ」に「スリット」を、「1つずつ」形成することに代えて、複数ずつ形成することで、「スリット」と「スリット」の間の領域(本件補正発明の「切欠き部」に相当する。)が、隣の「スリット」と「スリット」の間の領域に対して独立して柔軟性を有することになり、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、引用発明に上記周知技術事項を適用した結果、引用発明は、上記相違点2に係る本件補正発明の「少なくとも1つのエミッタ、近距離場検出器及び遠距離場検出器が、センサヘッド部の第1及び第2の側部の第1及び第2の『複数』のチャンネルの間に位置する柔軟な回路層に電気的に結合された」構成となる。
エ そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用文献1~3の記載から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(5)請求人の主張
請求人は、審判請求書において、「(3)第2回拒絶理由通知書(当審注:令和2年6月11日付け拒絶理由通知書)における拒絶理由2(特許法第29条第2項)について
本願請求項1・・・に記載の発明は、「少なくとも1つのエミッタ、近距離場検出器及び遠距離場検出器が、前面テープ層と基部テープ層との間であって、センサヘッド部の第1及び第2の側部の第1及び第2の複数のチャンネルの間に位置する柔軟な回路層に電気的に結合された」という特徴またはこれに対応する特徴を有します。当該特徴は、第2回拒絶理由通知における引用文献1から5のいずれにも記載されていないものと思料いたします。」と主張するが、本願請求項1に記載の発明における当該特徴については、上記(3)及び(4)で検討したとおり引用文献1~3から当業者が容易に想到し得ることから、請求人の上記主張は採用できない。
(6)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2、3に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和3年1月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし34に係る発明は、令和2年3月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし34に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2、3に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:米国特許出願公開第2009/0131770号明細書
引用文献2:特表2011-519591号公報
引用文献3:特表2009-509663号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし3及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「軸部」並びに「少なくとも1つのエミッタ」、「近距離場検出器」及び「遠距離場検出器」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2、3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2、3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-001219