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特許異議申立

2020-700618

支持機構

審判番号
2020-700618
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-206289
登録番号
6649927
請求日
2020年08月18日
審決日
2021年09月06日
公報発行日
2022年06月24日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】愛知株式会社
  • 【権利者代理人】名古屋国際特許業務法人
  • 【異議申立人】太刀掛 祐一
審判長/審判官
  • 審判長 住田 秀弘
  • 審判官 西田 秀彦
  • 審判官 田中 洋行
分類
P1651.113-ZDA(A47B) / P1651.121-ZDA(A47B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第113条第2号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6649927号発明「支持機構」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6649927号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 特許第6649927号の請求項3に係る特許を取り消す。 特許第6649927号の請求項1及び2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6649927号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成25年4月26日に出願された特願2013-94560号の一部を平成29年10月25日に新たな特許出願としたものであって、令和2年1月21日にその特許権の設定登録がされ、令和2年2月19日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和2年 8月18日 :特許異議申立人 太刀掛祐一(以下、「申立 人」という。)による請求項1ないし3に係 る特許に対する特許異議の申立て 令和2年10月23日付け:取消理由通知書 令和2年12月28日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求 (以下、「本件訂正請求」という。) 令和3年 3月15日 :特許異議申立人による意見書の提出 令和3年 5月 7日付け:取消理由通知書(決定の予告) なお、令和3年5月7日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚と、を備え、」とあるのを、 「床面に沿って水平に延びており、少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚と、を備え、」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「当該支持機構は、前記キャスタ及び前記第2のキャスタによって、前後方向に直線的に移動可能に構成されている ことを特徴とする請求項1に記載の支持機構。」とあるのを、 「天板を支持する支持機構であって、 少なくとも上下方向に延びる上下脚と、 床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚と、を備え、 前記上下脚の下方にはキャスタが設けられており、 前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し、 上方から見たときに、前記第2部分における前記上下脚と接続する部分の中心位置は、前記存在領域の内側に位置しており、 前記キャスタの後方には、前記キャスタとは別のキャスタである第2のキャスタが設けられており、 前記第1部分は、その主たる部分の上端が、前記キャスタの上端及び前記第2のキャスタの上端のいずれよりも低い位置となるように配置され、 当該支持機構は、前記キャスタ及び前記第2のキャスタによって、前後方向に直線的に移動可能に構成されている ことを特徴とする支持機構。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記キャスタは、上下方向の回転軸を中心として旋回可能であり、 前記第2部分は、前記キャスタが旋回により移動し得る領域を前記存在領域として、該領域の外側を通過し、前記上下脚と前記第1部分の延び出した先端とを接続する ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の支持機構。」とあるのを、 「天板を支持する支持機構であって、 少なくとも上下方向に延びる上下脚と、 床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚と、を備え、 前記上下脚の下方にはキャスタが設けられており、 前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し、 前記キャスタの後方には、前記キャスタとは別のキャスタである第2のキャスタが設けられており、 前記第1部分は、その主たる部分の上端が、前記キャスタの上端及び前記第2のキャスタの上端のいずれよりも低い位置となるように配置され、 前記キャスタは、前記上下脚の下部に配置される上下方向の回転軸を中心として旋回可能であり、 前記第2部分は、前記キャスタが旋回により移動し得る領域を前記存在領域として、該領域の外側を通過し、前記上下脚と前記第1部分の延び出した先端とを接続する ことを特徴とする支持機構。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の「床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分」に関して、「水平に延びており」と延びる方向を具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1に係る訂正は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正後の請求項1に記載の「床面に沿って水平に延びており、少なくとも前後に延びる第1部分」については、明細書の段落【0029】に「脚部13Lの連結部25Lは、図3(A),(B)に示すように、後脚23Lから前脚21L側に向けて床面に沿って延びる第1部分61Lと、第1部分61Lの延び出した先端から屈曲して前方かつ上方かつ右方に延び出し、前脚21L(上柱27L)と第1部分61Lとを接続する第2部分63Lと、を有する。」と記載されているとともに、図2(A)、図2(B)、図2(C)及び図3(A)ないし(D)をみると、床面に沿って水平に、かつ前後に延びることが看取できる。 図3(A) 「 [図:0001385120000001.jpg] 」 よって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。 また、訂正前の請求項2が引用する請求項1に記載された「第2部分」について、「上方から見たときに、前記第2部分における前記上下脚と接続する部分の中心位置は、前記存在領域の内側に位置しており」と、第2部分における上下脚と接続する部分の位置を具体的に特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2に係る訂正は、上記アのとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正後の請求項2に記載の「第2部分」における上下脚と接続する部分の位置の、「上方から見たときに、前記第2部分における前記上下脚と接続する部分の中心位置は、前記存在領域の内側に位置しており」については、図3(A)及び図3(B)をみると、第2部分63Lと上柱27Lとが屈曲して接続される部分について、図3(A)には、支持機構を側面から見たときの様子が示されており、その前後方向の中心がキャスタ31の存在領域65の上方に位置している点が看取でき、また図3(B)には、支持機構を正面から見たときの様子が示されており、その左右方向の中心がキャスタ31の存在領域の上方に位置している。このことから、上方から見たときに、第2部分における上下脚と接続する部分の中心位置が、存在領域の内側に位置する点が記載されているといえる。 図3(A)及び(B) 「 [図:0001385120000002.jpg] 」 よって、訂正事項2に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項3が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。 また、訂正前の請求項3の「キャスタ」が「旋回」の「中心」となる「上下方向の回転軸」について、その配置につき特定されていないものから、「前記上下脚の下部に配置される」と、具体的に特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、上記アのとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正後の請求項3に記載の「キャスタ」が「旋回」の「中心」となる「上下方向の回転軸」を、「前記上下脚の下部に配置される」とした点については、図1、図2(B)、図2(C)、図3(A)及び図3(B)をみると、キャスタ31の回転軸が上下脚27L、29Lの下部に配置されていることが示されている。 よって、訂正事項3に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 4 一群の請求項、及び別の訂正単位とする求めについて 訂正前の請求項1ないし3について、訂正前の請求項2及び3は請求項1を引用しており、請求項2及び3は、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正がされるものであるから、請求項1ないし3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。 なお、特許権者は、訂正後の請求項2、3については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 5 まとめ したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 上記第2のとおり本件訂正請求による訂正を認めるので、本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下、各々を「本件訂正発明1」等といい、本件訂正発明1ないし3をまとめて「本件訂正発明」という。)は、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 1 本件訂正発明1 「【請求項1】 天板を支持する支持機構であって、 少なくとも上下方向に延びる上下脚と、 床面に沿って水平に延びており、少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚と、を備え、 前記上下脚の下方にはキャスタが設けられており、 前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し、 前記キャスタの後方には、前記キャスタとは別のキャスタである第2のキャスタが設けられており、 前記第1部分は、その主たる部分の上端が、前記キャスタの上端及び前記第2のキャスタの上端のいずれよりも低い位置となるように配置される ことを特徴とする支持機構。」 2 本件訂正発明2 「【請求項2】 天板を支持する支持機構であって、 少なくとも上下方向に延びる上下脚と、 床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚と、を備え、 前記上下脚の下方にはキャスタが設けられており、 前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し、 上方から見たときに、前記第2部分における前記上下脚と接続する部分の中心位置は、前記存在領域の内側に位置しており、 前記キャスタの後方には、前記キャスタとは別のキャスタである第2のキャスタが設けられており、 前記第1部分は、その主たる部分の上端が、前記キャスタの上端及び前記第2のキャスタの上端のいずれよりも低い位置となるように配置され、 当該支持機構は、前記キャスタ及び前記第2のキャスタによって、前後方向に直線的に移動可能に構成されている ことを特徴とする支持機構。」 3 本件訂正発明3 「【請求項3】 天板を支持する支持機構であって、 少なくとも上下方向に延びる上下脚と、 床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚と、を備え、 前記上下脚の下方にはキャスタが設けられており、 前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し、 前記キャスタの後方には、前記キャスタとは別のキャスタである第2のキャスタが設けられており、 前記第1部分は、その主たる部分の上端が、前記キャスタの上端及び前記第2のキャスタの上端のいずれよりも低い位置となるように配置され、 前記キャスタは、前記上下脚の下部に配置される上下方向の回転軸を中心として旋回可能であり、 前記第2部分は、前記キャスタが旋回により移動し得る領域を前記存在領域として、該領域の外側を通過し、前記上下脚と前記第1部分の延び出した先端とを接続する ことを特徴とする支持機構。」 第4 取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び証拠について 1 取消理由(決定の予告)の概要 当審が令和3年5月7日付け取消理由通知書(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の趣旨は次のとおりである。 本件訂正発明3は、甲第1号証に記載された発明であるか、甲第1号証に記載された発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明3に係る特許は、特許法第29条第1項第3号、又は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件訂正発明3に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 [証拠] 甲第1号証:特開平4-49965号公報 甲第4号証:意匠登録第1055334号の類似意匠登録第1号公報 甲第5号証:特開昭52-54561号公報 2 取消理由(決定の予告)に採用した証拠について (1)甲第1号証 ア 甲第1号証に記載の事項(下線は当審で付した。以下同様。) 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 (ア)「産業上の利用分野 この発明は、身体障害者や歩行困難な老人が掴まって歩行したり、椅子掛け状態で看護人が運行させることのできる障害者用の移動車に関する。」(第1頁右欄第2-5行) (イ)「そして、この第1図から第6図で示した図例に基づき詳述する。1は下部側コ字フレームで、左右側フレーム1a,1bの前側部分が前連結フレーム1c,1dで連結されている。2は前側フレームで、基部側が前記下部側の左右側フレーム1a,1bの前端側にブラケット3とピン4とを介して前後に回動可能に枢着された縦フレーム2a,2bの上部に上部側コ字フレーム5を上下調節可能に取付けている。即ち、この上部側コ字状フレーム5は前記左右縦フレーム2a,2bを構成するパイプ枠の内部に挿通されて上下に摺動できてセットボルト6で上下調節セットできる摺動枠7,7に固着されている。そして、この上部側コ字状フレーム5の上側に前述の肘置き及び本や食事時の使用容器等を置く搭載台8を該フレーム5に合致した嵌合溝を底面に形成して嵌着固定している。9は補強板を示す。 10a,10bは転動前輪で、前記左右縦フレーム2a,2bに基部を固着して前側へ突出するアーム11,11に縦軸芯回りに回動できるキャスター枠12を介して取付けられている。 13a,13bは転動後輪で、前記下部側の左右側フレーム1a,1bの後端側に取付けられている。 14は連動ロッドで、前記下部側の左右側フレーム1a,1bを連結した補強用の連結フレーム1cに固着の左右側ブラケット15,15に回動自由なピン16,16に回動板17,17を取付け、この回動板17,17と前記左右の縦フレーム2a,2bとを連動している。そして、前記ピン16,16に前側へ突出する起立用ペタル枠18を取付け、このペタル枠18は平面視がコ字状になっていて左右側のピン16,16がこれによって一体に固着連結されている。 19はフレーム2a,2bの起立保持を行うストッパー装置で、前記連結フレーム1cに固着の左右側ブラケット20,20に回動自在なピン21,21を介し平面視コ字状ペタル22を取付け、この左右側アーム部に係止金具23,23を設け、前記回動板17,17に形成した係止溝24,24に該金具23,23が係脱できるように設けている。25はスプリングを示す。 26a,26bは支軸27a,27bを回動自在に軸受する筒体で、前記縦フレーム2a,2bに取付けられた摺動枠7,7に、その筒中心線の後方延長線(イ)、(ロ)が内側に向かって互いに交叉するように構成している。 そして、支軸27a,27bは、筒体26a,26bで支持された近くで屈折偏芯され、この支軸27a,27bの先端側に椅子体28a,28bを固着している。そして、この支軸27a,27bを外方上部へ回動させるときには第5図の状態になり、仮想線のように内方下部へ回動させるときには第4図の状態になるよう構成している。 29はブレーキ装置で、前記前側フレーム2を後方側へ回動させる機構に連動して転動後輪13の回転を止めるようにしており、具体的には、左右側フレーム1a,1bに固着のブラケット30にピン31で回動する板32を設け、これにブレーキロッド33をピンで連結し、このロッド33の前後途中をフレーム1a,1bで摺動自在に受け板で受けて、このロッド33の後端が後輪13の外周に突き当たる構成にしている。そして、前記板32と前記回動板17とをリンク(図示省略)で連結し、前側フレーム2を後方へ倒しているときには後輪13a,13bが転動しないように構成している。」(第2頁右下欄第6行-第3頁左下欄第13行) (ウ)「前記実施例は、前側フレーム2が前後に回動してベットA上面に接当した椅子体28を高く浮上させる実施例について説明したが、第10図~第14図で示した実施例では、前側フレーム35a35bを前例のように前後に回動させないで下部側コ字フレーム1の前側に一体的に立設させ、この固定のフレーム35a,35bの上部に挿通されて上下動可能な筒前側枠36a,36bを取付け、この両前側枠36a,36bを空洞横枠37で連結している。そして、前記前側フレーム35a,35b内にナット38を固着して、このナット38にボルト39を螺合している。また、前記横枠37内にはハンドル40で正、逆回転操作できる軸41を設け、この軸41にウオームギヤー42,42を固着し、前記ボルト39、39にこのウオームギヤー42,42と噛み合うウオームホイルギヤー43、43を設け、ハンドル40の回転操作で前側フレーム36a,36bを上下動するように構成している。 このようにすれば、該前側フレーム36a,36bに上部側コ字フレーム5を取付けておくだけで、椅子体28a,28bを適当に昇降でき、便利になる。」(第4頁左上欄第4行-右上欄第6行) (エ)図面 a 第1図 「 [図:0001385120000003.jpg] 」 上記第1図から、以下の点が看取できる。 (a)アーム11の先端側にキャスター枠12を取り付け、当該キャスター枠12を介して転動前輪10a、10bが取り付けられている点。 (b)左側フレーム1aの下方に、ブラケット30、ピン31、板32及びブレーキロッド33が取り付けられている点。 b 第10図 「 [図:0001385120000004.jpg] 」 上記第10図から、以下の点が看取できる。 (a)下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aが、前後に延びる直線状の部分と、斜め上方へ湾曲し、固定のフレーム35a、35bと連結する湾曲部分とを有している点。 (b)左側フレーム1aの後端側に転動後輪13aが取付けられている点。 (c)下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aのうちの前後に延びる直線状の部分は、その上端が転動前輪10a及び転動後輪13aの上端のいずれよりも低い位置となっている点。 (d)固定のフレーム35a、35bの下方側に、アーム11が取り付けられている点。 (e)アーム11の先端側に第1図に記載されたキャスター枠12と同形の枠体を取り付け、当該枠体を介して転動前輪10aが取り付けられている点。 (f)下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aの湾曲部分が、転動前輪10aが存在している領域の外側を通過している点。 (g)下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aのうちの前後に延びる直線部分の下側に部材が配置されている点。 c 第11図 「 [図:0001385120000005.jpg] 」 d 第12図 「 [図:0001385120000006.jpg] 」 (オ)上記(イ)並びに(エ)a(a)及びb(e)(f)からいえること ・アーム11の先端側にキャスター枠12を取り付け、当該キャスター枠12を介して転動前輪10aが取り付けられている点。 ・キャスター枠12が回動する縦軸芯に対して、キャスター枠12が後方側に位置した場合においても、下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aの湾曲部分が、転動前輪10aが存在している領域の外側を通過している点。 イ 甲第1号証に記載された発明 上記アからみて、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲1発明) 「下部側コ字フレーム1と、 下部側コ字フレーム1の前側に一体的に立設させた固定のフレーム35a,35bと、 この固定のフレーム35a,35bの上部に挿通されて上下動可能に取付けられた筒前側枠36a,36bと、 該筒前側枠36a,36bに取付けられた上部側コ字フレーム5と、 上部側コ字状フレーム5の上側に該フレーム5に合致した嵌合溝を底面に形成して嵌着固定された、肘置き及び本や食事時の使用容器等を置く搭載台8とを有しており、 前記下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aが前後に延びる直線部分と、斜め上方へ湾曲し、固定のフレーム35a,35bと連結する湾曲部分を有しており、 前記固定のフレーム35a,35bの下方側に、アーム11が取り付けられ、アーム11の先端側にキャスター枠12を取り付け、当該キャスター枠12を介して転動前輪10aが取り付けられ、 前記下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aの後端側に、転動後輪13aが取り付けられ、 前記キャスター枠12が回動する縦軸芯に対して、キャスター枠12が後方側に位置した場合においても、下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aの湾曲部分が、転動前輪10aが存在している領域の外側を通過しており、 下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aのうちの前後に延びる直線部分は、その上端が転動前輪10a及び転動後輪13aの上端のいずれよりも低い位置となっており、 下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aのうちの前後に延びる直線部分の下側に部材が配置されている、 障害者用の移動車。」 (2)甲第4号証 甲第4号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「意匠に係る物品」の項 「テーブル」 イ 図面 甲第4号証に記載された背面図及び右側面図は、以下のとおりである。 (ア)背面図 「 [図:0001385120000007.jpg] 」 (イ)右側面図 「 [図:0001385120000008.jpg] 」 上記図から、以下の点が看取できる。 a キャスターと支持部材との間の一部分(図の左側上方に湾曲するフレームと、同右側上方に湾曲するフレームとの間)において、水平のフレームが配置されている点。 b 上下脚と、キャスターの外側を通過して、上方に湾曲するフレームとが接続され、当該接続される部分の下方に、前記キャスターが存在している点。 c キャスター及びキャスターの上下方向の回転軸が、前記湾曲するフレームに沿うように設けられた部材を介して、上下脚の下部に配置されている点が看取できる。 ウ 上記イ(イ)bの上記接続する部分とキャスターの位置関係を踏まえれば、テーブルを上方から見たとき、上記湾曲するフレームにおける上下脚と接続する部分の中心位置は、キャスターが存在しうる領域の内側に位置しているものといえる。 (3)甲第5号証 甲第5号証には、以下の事項が記載されている。 ア「第4図及び第5図には別のトロリーを示し、前の実施態様とは違つた要領で折り畳むことができ、即ち前部トロリーは後部トロリーの中に納まる。 このトロリーテーブルではシヤシーは2本の垂直脚15、16があり、ヨーク22で連結されていて、又4個のキヤスター18がある水平の基部17と、テーブルトツプ20を支えている支え部材19とより構成されている。」(第4頁左上6-13行) イ Fig4 「 [図:0001385120000009.jpg] 」 上記図から、以下の点が看取できる。 (ア)垂直脚15の下方に設けられたキヤスターと腰掛21の下方に設けられたキヤスターとの間の一部分(垂直脚15側上方に湾曲するフレームと、腰掛21の脚の下端部との間)であってキヤスターより高い位置において、水平の基部17が配置されている点。 (イ)垂直脚15と、その下方のキヤスターの存在領域の外側を通過して、上方に湾曲するフレームとが接続され、当該接続される部分の下方に、前記キヤスターが存在している点。 (ウ)キヤスター及びキヤスターの上下方向の回転軸が、垂直脚15の下部に配置されている点。 ウ 上記イ(イ)の上記接続される部分とキヤスターの位置関係を踏まえれば、トロリーテーブルを上方から見たとき、上記垂直脚15側上方に湾曲するフレームにおける垂直脚15と接続される部分の中心位置は、キヤスターが存在しうる領域の内側に位置しているものといえる。 第5 取消理由(決定の予告)の判断 1 本件訂正発明3について (1)対比・判断 本件訂正発明3と甲1発明とを対比すると、 ア 甲1発明の「肘置き及び本や食事時の使用容器等を置く搭載台8」は、本件訂正発明3の「天板」に相当する。 イ 甲1発明の「固定フレーム35a、35b」と、「この固定のフレーム35a、35bの上部に挿通されて取付けられた上下動可能な筒前側枠36a、36b」とから成る構造体は、上下方向に延びていることは明らかであるから、本件訂正発明3の「少なくとも上下方向に延びる上下脚」に相当する。 ウ 甲1発明の「下部側コ字フレーム1の左側フレーム1a」のうちの「前後に延びる直線状の部分」は、床面に沿っていることは明らかであるから、本件訂正発明3の「前後脚」の「床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分」に相当する。 また、甲1発明の「下部側コ字フレーム1の左側フレーム1a」のうちの「斜め上方へ湾曲し、固定のフレーム35a、35bと連結する湾曲部分」は、本件訂正発明3の「前後脚」の「上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明3の「床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚」の構成を有しているといえる。 エ 甲1発明の「転動前輪10a」は、「固定のフレーム35a、35bの下方側に、アーム11が取り付けられ、アーム11の先端に取り付けられたキャスター枠12を介して」取り付けられていることから、「固定のフレーム35a、35a」の下方に設けられているといえる。 よって、甲1発明は、本件訂正発明3の「前記上下脚の下方にはキャスタが設けられ」る構成を有しているといえる。 オ 甲1発明は、「キャスター枠12が回動する縦軸芯に対して、キャスター枠12が後方側に位置した場合においても、下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aの湾曲部分が、転動前輪10aが存在している領域の外側を通過して」いることから、前記キャスター枠12が、前方側に位置した場合、下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aの湾曲部分が、転動前輪10aが存在している領域の外側を通過することは明らかである。また、甲1発明の「湾曲部分」は、「斜め上方へ湾曲し、固定のフレーム35a」と連結している。 したがって、甲1発明は、本件訂正発明3の「前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し」の構成を有しているといえる。 カ 甲1発明の「転動後輪13a」は、「転動前輪10a」の後方に位置し、「転動前輪10a」とは別のものであることは明らかである。 よって、甲1発明の「転動前輪10a」の後方に位置する、「転動前輪10a」とは別のものである「転動後輪13a」は、本件訂正発明3の「前記キャスタの後方には、前記キャスタとは別のキャスタである第2のキャスタ」に相当する。 キ 甲1発明の「下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aのうちの前後に延びる直線部分」は、本件訂正発明3の「第1部分」の「主たる部分」に相当する。 また、甲1発明の「前後に延びる直線状の部分」の「上端」は、「転動前輪10a及び転動後輪13aの上端のいずれよりも低い位置となって」いる。 したがって、甲1発明の「下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aのうちの前後に延びる直線部分」の「上端」が、「転動前輪10a及び転動後輪13aの上端のいずれよりも低い位置となって」いることは、本件訂正発明3の「前記第1部分は、その主たる部分の上端が、前記キャスタの上端及び前記第2のキャスタの上端のいずれよりも低い位置となるように配置される」ことに相当する。 ク 甲1発明の「上部側コ字フレーム5」、「下部側コ字フレーム1」、「前側フレーム35a、35b」、「筒前側枠36a、36b」、「転動前輪10a」及び「転動後輪13a」を有する構造体は、「肘置き及び本や食事時の使用容器等を置く搭載台8」を支持している機構である。 したがって、甲1発明の上記構造体は、本件訂正発明3の「天板」を「支持する支持機構」に相当する。 ケ 甲1発明の「転動前輪10aが取り付けられ」る「キャスター枠12」は、「縦軸芯」に対して回動するから、「転動前輪10a」が「縦軸芯」を中心に旋回可能であることは明らかである。 また、甲1発明は、「固定のフレーム35a,35bの下方側に、アーム11が取り付けられ」ていることから、「アーム11」が「固定のフレーム35a、35b」の下部にあることは明らかであり、また、「アーム11の先端側にキャスター枠12が取り付けられ」、さらに「キャスター枠12を介して転動前輪10aが取り付けられ」ている。以上の点を総合すれば、「転動前輪10a」の旋回の中心となる「縦軸芯」は「アーム11」を介しているとしても、「固定のフレーム35a、35b」の下部に配置されているといえる。 よって、甲1発明の「前記固定のフレーム35a,35bの下方側に、アーム11が取り付けられ、アーム11の先端側にキャスター枠12を取り付け、当該キャスター枠12を介して転動前輪10aが取り付けられ」ていて、「転動前輪10aが取り付けられるキャスター枠12」が、「縦軸芯」に対して回動していることは、本件訂正発明3の「前記キャスタは、前記上下脚の下部に配置される上下方向の回転軸を中心として旋回可能であ」ることに相当する。 コ 甲1発明は、上記オで説示したとおり、本件訂正発明3の「前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し」の構成を有している。 したがって、甲1発明が、本件訂正発明3の「前記第2部分は、前記キャスタが旋回により移動し得る領域を前記存在領域として、該領域の外側を通過し」の構成を有していることは明らかである。 また、甲1発明は、「下部側コ字フレーム1の左側フレーム1a」の「斜め上方へ湾曲し」た「湾曲部分」は、「固定のフレーム35a、35b」と、「前後に延びる直線状の部分」とに連結されるものである。 よって、甲1発明は、本件訂正発明3の「前記第2の部分」は、「前記上下脚と前記第1部分の延び出した先端とを接続する」構成を有している。 以上のとおりであるから、甲1発明は、本件訂正発明3の「前記第2部分は、前記キャスタが旋回により移動し得る領域を前記存在領域として、該領域の外側を通過し、前記上下脚と前記第1部分の延び出した先端とを接続する」という構成を有しているといえる。 サ そうすると、本件訂正発明3と甲1発明とは、 「天板を支持する支持機構であって、 少なくとも上下方向に延びる上下脚と、 床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚と、を備え、 前記上下脚の下方にはキャスタが設けられており、 前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し、 前記キャスタの後方には、前記キャスタとは別のキャスタである第2のキャスタが設けられており、 前記第1部分は、その主たる部分の上端が、前記キャスタの上端及び前記第2のキャスタの上端のいずれよりも低い位置となるように配置され、 前記キャスタは、前記上下脚の下部に配置される上下方向の回転軸を中心として旋回可能であり、 前記第2部分は、前記キャスタが旋回により移動し得る領域を前記存在領域として、該領域の外側を通過し、前記上下脚と前記第1部分の延び出した先端とを接続する 支持機構。」 で一致し、相違点は存在しない。 よって、本件訂正発明3は、甲第1号証に記載された発明である。 第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立人が、特許異議申立書で主張する申立て理由の概要 (1)本件の請求項1ないし3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件の請求項1ないし3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)本件の請求項1ないし3に係る発明は、甲1発明、及び甲第2号証ないし甲第5号証等に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、本件の請求項1ないし3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 申立人の証拠方法は以下のとおりである。 甲第1号証:特開平4-49965号公報 甲第2号証:意匠登録第1366965号公報 甲第3号証:米国特許出願公開2007/0267902号公報 甲第4号証:意匠登録第1055334号の類似意匠登録第1号公報 甲第5号証:特開昭52-54561号公報 2 取消理由(決定の予告)に採用しなかった証拠について (1)甲第2号証 ア 甲第2号証の記載事項 (ア)【意匠に係る物品の説明】の項目 「この意匠にかかる体重計付きいすは、シート部分がロードセルを内蔵する計量台となっており、着座した状態で体重を測定し、手押し用ハンドル間に配置された背もたれの後方の表示器で測定体重を表示するようにしたキャスター付きのいすである。肘掛け並びに足を乗せるステップは回動可能となっており、乗り降り時に必要に応じて肘掛けを退避させあるいはステップを跳ね上げ可能としている。」 (イ)【正面図】 「 [図:0001385120000010.jpg] 」 上記正面図から、以下の点が看取できる。 a 前方のキャスターと後方のキャスターとの間の一部分(前方でかつ上方に延びる直線状のフレームと、後方でかつ上方に延びる直線状のフレームとの間)において、水平のフレームが配置されている点。 b 座面の下から前方かつ下方に延びる直線状のフレームと、前方のキャスターの存在領域の外側を通過して、前方かつ上方に延びる直線状のフレームとが接続され、当該接続する部分の下方に、前記前方のキャスターが存在している点。 c 前方のキャスターが、前記前方かつ下方に延びる直線状のフレームの下端から、当該フレーム延長線上に延びる部材の先端部と、前記前方かつ上方に延びる直線状のフレームの途中の部位とをつなぐ水平方向の部材に設けられている点。 (ウ)上記(イ)bの上記接続する部分と前方のキャスターの位置関係を踏まえれば、体重計付きいすを上方から見たとき、上記の前方のキャスターの外側を前方かつ上方に延びる直線状のフレームにおける、座面の下から前方かつ下方に延びる直線状のフレームと接続する部分の中心位置は、前方のキャスターが存在しうる領域の内側に位置しているものといえる。 (2)甲第3号証 ア 甲第3号証の記載事項 (ア)「 [図:0001385120000011.jpg] ・・・ [図:0001385120000012.jpg] 」 <仮訳>(仮訳は、申立人が甲第3号証に添付したものを採用した。) 「[0021]備品10は、横軸つながり部16によって互いとは別に1ペアの前腕部分14を一定間隔で配置する環状基部フレーム12を含んでいる。前腕14は、分岐しているように水平面中の互いに関する角で配列される。 ・・・ [0024]各アーム14の端に、ベースフレーム12は、図1に見られるように前腕14から上方へ伸びて、ペア脚部分28を含んでいる。足掛30は、備品10の縦軸に関して内部に導かれて、脚部分28上で提供される。キャスター・アーム32は、対応付けられた分岐するアーム14の方向を備えたアライメントで角脚部分28から外側に本質的に伸びる。キャスター34は、床結合使用されているように各キャスター・アーム32の端部に回転自在にマウントされる。当業者によって理解されるように、キャスター34はそれぞれハウジング部36(それは縦軸に関して循環することができる)、および水平軸に関する回転のためにマウントされたローラ部38を含んでいる。 [0025]テーブル・アセンブリ40は、ベースフレーム12(44で示された気管のサブフレーム上で支援された被削面42から成るテーブル・アセンブリ40)にマウントされる。図1から理解されるとともに、サブフレーム44は、ベースフレーム12の脚部分28に入れ子式にマウントされる。ロケ-ティングピン46は脚部分28にアパーチャ(図示せず)とのかみ合いにサブフレーム44上で提供される。従って、要求されるように、被削面42の高さはベースフレーム12に関連があって、上げるか下げることができる。」 (イ)FIG.1 「 [図:0001385120000013.jpg] 」 (ウ)FIG.3 「 [図:0001385120000014.jpg] 」 上記FIG.3から、キャスター38とホイール18との間において、水平のフレームが配置されている点が看取できる。 3 当審の判断 取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由のうち、本件訂正発明1及び2に係る特許についての特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項に関する申立理由について検討する。 (1)本件訂正発明1 ア 対比・判断 本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、 (ア)甲1発明の「肘置き及び本や食事時の使用容器等を置く搭載台8」は、本件訂正発明1の「天板」に相当する。 (イ)甲1発明の「固定フレーム35a、35b」と、「この固定のフレーム35a、35bの上部に挿通されて取付けられた上下動可能な筒前側枠36a、36b」とから成る構造体は、上下方向に延びていることは明らかであるから、本件訂正発明1の「少なくとも上下方向に延びる上下脚」に相当する。 (ウ)甲1発明の「下部側コ字フレーム1の左側フレーム1a」のうちの「前後に延びる直線状の部分」は、床面に沿っていることは明らかであるから、本件訂正発明1の「前後脚」の「床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分」に相当する。 また、甲1発明の「下部側コ字フレーム1の左側フレーム1a」のうちの「斜め上方へ湾曲し、固定のフレーム35a、35bと連結する湾曲部分」は、本件訂正発明1の「前後脚」の「上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明1の「床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚」の構成を備えているといえる。 (エ)甲1発明の「転動前輪10a」は、「固定のフレーム35a、35bの下方側に、アーム11が取り付けられ、アーム11の先端に取り付けられたキャスター枠を介して」取り付けられていることから、「固定のフレーム35a、35a」の下方に設けられているといえる。 よって、甲1発明は、本件訂正発明1の「前記上下脚の下方にはキャスタが設けられ」る構成を有しているといえる。 (オ)甲1発明は、「キャスター枠12が回動する縦軸芯に対して、キャスター枠12が後方側に位置した場合においても、下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aの湾曲部分が、転動前輪10aが存在している領域の外側を通過して」いることから、前記キャスター枠12が、前方側に位置した場合、下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aの湾曲部分が、転動前輪10aが存在している領域の外側を通過することは明らかである。また、甲1発明の「湾曲部分」は、「斜め上方へ湾曲し、固定のフレーム35a」と連結している。 したがって、引用発明1は、本件訂正発明1の「前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し」の構成を有しているといえる。 (カ)甲1発明の「転動後輪13a」は、「転動前輪10a」の後方に位置し、転動前輪10aとは別のものであることは明らかである。 よって、甲1発明の「転動前輪10a」の後方に位置する、「転動前輪10a」とは別のものである「転動後輪13a」は、本件訂正発明1の「前記キャスタの後方には、前記キャスタとは別のキャスタである第2のキャスタ」に相当する。 (キ)甲1発明の「下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aのうちの前後に延びる直線部分」は、本件訂正発明1の「第1部分」の「主たる部分」に相当する。 また、甲1発明の「前後に延びる直線状の部分」の「上端」は、「転動前輪10a及び転動後輪13aの上端のいずれよりも低い位置となっていて」いる。 したがって、甲1発明の「下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aのうちの前後に延びる直線部分」の「上端」が、「転動前輪10a及び転動後輪13aの上端のいずれよりも低い位置となっていて」いることは、本件訂正発明1の「前記第1部分は、その主たる部分の上端が、前記キャスタの上端及び前記第2のキャスタの上端のいずれよりも低い位置となるように配置される」ことに相当する。 (ク)甲1発明の「上部側コ字フレーム5」、「下部側コ字フレーム1」、「前側フレーム35a、35b」、「筒前側枠36a、36b」、「転動前輪10a」及び「転動後輪13a」を有する構造体は、「肘置き及び本や食事時の使用容器等を置く搭載台8」を支持している機構である。 したがって、甲1発明の構造体は、本件訂正発明1の「天板」を「支持する支持機構」に相当する。 そうすると、本件訂正発明1と甲1発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「天板を支持する支持機構であって、 少なくとも上下方向に延びる上下脚と、 床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚と、を備え、 前記上下脚の下方にはキャスタが設けられており、 前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し、 前記キャスタの後方には、前記キャスタとは別のキャスタである第2のキャスタが設けられており、 前記第1部分は、その主たる部分の上端が、前記キャスタの上端及び前記第2のキャスタの上端のいずれよりも低い位置となるように配置される 支持機構。」 <相違点1> 「床面に沿って」、「前後に延びる第1部分」について、本件訂正発明1では、「水平に延びて」いるのに対して、甲1発明では、「下部側コ字フレーム1」において「前後に延びる直線部分」を有しているものの、「水平に延びて」いるか不明な点。 上記相違点1について検討する。 甲第2号証ないし甲第5号証に記載されているように、キャスターを備えた椅子やテーブルの技術分野において、キャスターとキャスターとの間、あるいはキャスターと支持部材との間に、水平のフレームを配置することは、一応、周知技術である(上記2(1)ア(イ)a、2(2)ア(ウ)、第4の2(2)イ(イ)a、第4の2(3)イ(ア)参照)。 しかしながら、甲1発明は、下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aが、「前後に延びる直線部分」と、「固定のフレーム35a,35bと連結する湾曲部分を有し」、「左側フレーム1aの後端側に、転動後輪13aが取り付けら」れて構成されているとともに、「前後に延びる直線部分は、その上端が転動前輪10a及び転動後輪13aの上端のいずれよりも低い位置となって」いるものである。 一方、各証拠それぞれに記載された水平フレームについてみると、甲第2号証は、水平のフレームの前端部及び後端部それぞれに、前方かつ上方に延びるフレーム及び後方かつ上方に延びるフレームを有しているものであり、甲第3号証は、水平フレームの後方にホイール18が配置されているものであり、甲第4号証は、水平フレームの一方が支持部材となっているものであり、そして甲第5号証は、水平フレームが、前後のキャスターの上端のいずれよりも高い位置となっているものであるから、甲第2号証ないし甲第5号証に記載された、水平フレームが配置されている前提となる構成が、甲1発明とは相違している。そのため、甲1発明において、甲第2号証ないし甲第5号証に記載された「水平フレーム」の構成を採用する、すなわち、甲1発明の前後に延びる直線部分のみに着目し、これを、甲第2号証ないし甲第5号証に記載された「水平フレーム」に置換する動機付けは存在しない。 また、甲1発明の「前後に延びる直線部分」は、その下側に部材を配置しているから、当該直線部分を水平にしようとする場合に、下側に配置された部材が妨げとなって水平にすることができない。 以上のとおりであるから、上記相違点1は、実質的な相違点であり、また、甲1発明において、上記周知技術を適用することにより、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 イ 小括 以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 ウ 申立人の主張 申立人は、甲1発明の「前後に延びる直線状の部分」は、たしかに前方ほど上に向かうように床面に対して傾斜して延びているように描かれているが、その傾斜角を図面上で測ると5度程度であり、ほぼ水平に延びているといえ、実質上、「水平に延びており」を満たしている。また、同分野の甲第2号証~甲第5号証には、傾斜のない水平に延びる同様の「第1部分」を備えるものが開示されているので、甲第1号証に記載された発明であり、仮に相違点があるとしても、相違点に係る本件訂正発明1の構成とすることは、甲第2号証~甲第5号証の周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。(意見書第4頁第9-19行) しかしながら、上記アのとおり、本件訂正発明1の「水平に延びており」の点は実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明ではない。また、甲第2号証~甲第5号証に、傾斜のない水平に延びる同様の「第1部分」を備えるものが開示されているとしても、当該「第1部分」に対応する構成を、甲1発明に適用する動機付けがないことは、上記アで述べたとおりである。よって、甲1発明及び甲第2号証~甲第5号証の周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、申立人の主張を採用することはできない。 (2)本件訂正発明2 ア 対比・判断 本件訂正発明2と甲1発明とを対比すると、 本件訂正発明2が有する本件訂正発明1と共通する構成については、上記(1)アと同様である。 加えて、甲1発明の「移動車」前後方向に直線的に移動可能であることは明らかである。 したがって、甲1発明は、本件訂正発明2の「当該支持機構は、前記キャスタ及び前記第2のキャスタによって、前後方向に直線的に移動可能に構成されている」の構成も備えていることは明らかである。 そうすると、本件訂正発明2と甲1発明との一致点および相違点は以下のとおりである。 <一致点> 「天板を支持する支持機構であって、 少なくとも上下方向に延びる上下脚と、 床面に沿って少なくとも前後に延びる第1部分と、前記上下脚及び前記第1部分とを連結する第2部分と、を含む前後脚と、を備え、 前記上下脚の下方にはキャスタが設けられており、 前記第2部分は、前記第1部分の前端から斜め上方に延び出して前記上下脚に接続され、前記キャスタが存在し得る存在領域の外側を通過し、 前記キャスタの後方には、前記キャスタとは別のキャスタである第2のキャスタが設けられており、 前記第1部分は、その主たる部分の上端が、前記キャスタの上端及び前記第2のキャスタの上端のいずれよりも低い位置となるように配置され、 当該支持機構は、前記キャスタ及び前記第2のキャスタによって、前後方向に直線的に移動可能に構成されている 支持機構。」 <相違点2> 本件訂正発明2は、「上方から見たときに、前記第2部分における前記上下脚と接続する部分の中心位置は、前記存在領域の内側に位置して」いるのに対して、甲1発明は、そのような構成を有していない点。 上記相違点2は、具体的な構成上の相違であり、上記相違点2に係る本件訂正発明2の構成は、令和2年12月28日に提出された特許権者の意見書(第7頁第4ないし8行)にも記載されているとおり、コンパクト化を実現できるという効果を奏することから、実質的な相違点であることは明らかである。 したがって、本件訂正発明2は、甲第1号証に記載された発明ではない。 上記相違点2について検討する。 甲第3号証には、上記相違点2に係る本件訂正発明2の構成は記載も示唆もされていない。 一方、甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証(上記2(1)ア(ウ)、第4の2(2)ウ、第4の2(3)ウ参照)には、上記相違点2に係る本件訂正発明2の構成が記載されていることからみて、当該構成は、一応、周知技術である。 しかしながら、甲1発明は、キャスター(転動前輪10)が、「前記固定のフレーム35a,35bの下方側に、アーム11が取り付けられ、アーム11の先端側にキャスター枠12を取り付け、当該キャスター枠12を介して」「取り付けられ」ているものである。 一方、各証拠それぞれに記載されたキャスターについてみると、甲第2号証には、キャスターが、前方かつ下方に延びる直線状のフレームの下端から、当該フレーム延長線上に延びる部材の先端部と、前方かつ上方に延びる直線状のフレームの途中の部位とをつなぐ水平方向の部材に設けられることが記載され(上記2(1)ア(イ)c参照)、甲第4号証には、キャスターが、右側上方に湾曲するフレームに沿うように設けられた部材を介して、上下脚の下部に配置されることが記載され(第4の2(2)イ(イ)c参照)、そして甲第5号証には、キャスターが、垂直脚15の下部に配置されることが記載され(第4の2(3)イ(ウ)参照)ているが、甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証に記載された、キャスターが配置されている前提となる構成はいずれも、甲1発明とは相違している。そのため、甲1発明において、甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証に記載されたキャスターの配置についての構成を適用する動機付けは存在しない。 以上のとおりであるから、甲1発明において、上記周知技術を適用することにより、上記相違点2に係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 イ 小括 以上のとおりであるから、本件訂正発明2は、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 ウ 申立人の主張 申立人は、甲1発明は、たしかに上方から見たときに、下部側コ字フレーム1の左側フレーム1aのうちの「斜め上方へ湾曲し、固定のフレーム35a,35bとの連結する湾曲部分」(第2部分)における、固定のフレーム35a、35b(上下脚)と接続する部分の中心位置は、転動前輪10aが存在している領域(存在領域の内側)から外れた位置となっているが、中心位置が外れているとしても、湾曲部分自体は上記存在領域の内側に入っており、たまたま図面上、中心位置が少しずれているにすぎないのであって大した違いはなく、また、同分野の甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証には、上記「中心位置」が「存在領域」の内側に位置するものが開示されているから、本件訂正発明2も、甲第1号証に記載された発明であり、仮に相違点があるとしても、相違点に係る本件訂正発明2の構成とすることは、甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証の周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。(意見書第6頁第12行-第7頁第16行) しかしながら、上記アのとおり、相違点2は実質的な相違点であるから、本件訂正発明2は、甲第1号証に記載された発明ではない。また、甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証に、上記「中心位置」が「存在領域」の内側に位置するものが、周知技術であるとしても、当該構成を、甲1発明に適用する動機付けがないことは、上記アで述べたとおりである。よって、甲1発明並びに甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証に記載の周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、申立人の主張を採用することはできない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件訂正発明1及び2は、甲第1号証に記載されたものではなく、また、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 むすび 以上のとおり、本件訂正発明3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である。そうすると、本件訂正発明3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件訂正発明3に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件訂正発明1及び2に係る特許は、異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、特許を取り消すことができない。さらに、他に本件訂正発明1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2020-700618

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