商標取消審判
2020-300826
マンゴープラス、マンゴー
- 審判番号
- 2020-300826
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2018-028552
- 登録番号
- 6127615
- 請求日
- 2020年11月13日
- 審決日
- 2023年01月17日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コンソリデイテイッド アーテイスツ ビー ブイ
- 【請求人代理人】長谷 玲子
- 【被請求人】株式会社 マンゴプラス
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T131 .3 -Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法51条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第51条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6127615号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6127615号商標(以下「本件商標」という。)は、「MANGOPLUS」の文字を標準文字で表してなるものであり、平成30年3月9日に登録出願、第25類「ベルト,運動用特殊靴,運動用特殊衣服,靴下止め,バンド,ガーター,仮装用衣服,ズボンつり,履物,被服」を指定商品として、同31年3月8日に設定登録されたものである。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の商標登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、審判請求書にて、甲第1号証ないし甲第18号証を、令和3年7月14日付け審尋に対する同年10月7日付け回答書(以下「回答書」という。)にて、甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
なお、回答書にて提出された甲第1号証ないし甲第11号証は、すでに、審判請求書にて、甲第1号証ないし甲第18号証が提出されていることから、以下、回答書で提出された甲第1号証を甲第19号証に、甲第2号証を甲第20号証に、甲第3号証を甲第21号証に、甲第4号証を甲第22号証、甲第5号証を甲第23号証に、甲第6号証を甲第24号証、甲第7号証を甲第25号証、甲第8号証を甲第26号証、甲第9号証を甲第27号証、甲第10号証を甲第28号証に、甲第11号証を甲29号証にそれぞれ読み替える。
また、以下、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように省略して表示する。
1 請求の理由
(1)本件商標
本件商標は、上記第1に記載のとおりである。
(2)本件使用商標
被請求人は、欧文字の「MANGO」及び欧文字の「MANGO」と果物のマンゴーの図形を組合せた商標を使用している(甲3~甲5)。
(3)本件商標と本件使用商標について
本件商標は「MANGOPLUS」であるのに対し、本件使用商標は「MANGO」である。
「MANGO」及び「PLUS」はいずれも平易な英単語であるから、これに接する需要者は、本件商標が「MANGO」と「PLUS」の2語からなるものであると理解する。
ところで、婦人用被服の大きいサイズを「プラス」と表示することは、通常行われていることから(甲6~甲8)、本件商標に接する需要者は、本件商標「MANGOPLUS」を本件使用商標の大きいサイズと理解する可能性が高い。
したがって、被服について本件商標中「PLUS」部分は識別力が弱く、「MANGO」部分が比較的識別力が強い部分であるといえる。本件商標中、識別力の高い部分が本件使用商標と同一であることから、本件使用商標は本件商標に類似する商標である。
また、被請求人は、本件商標の指定商品である「被服」に本件使用商標を使用している。
したがって、被請求人は、指定商品について登録商標に類似する商標を使用している。
(4)引用商標について
登録第3322058号商標(以下、「引用商標」という。)は、「MANGO」の欧文字を横書きしてなり、平成7年1月9日に登録出願、第25類「被服(「和服」を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「げた,草履類」を除く。)」を指定商品として、同9年6月13日に設定登録、同19年6月19日及び同29年5月23日に更新登録がされているものである(甲9、甲10)。
(5)引用商標の周知性について
請求人は、1984年にスペインのバルセロナにおいて開業したアパレルメーカーであり、スペインをはじめ世界100か国に2,000店舗を展開する企業である。
請求人の2019年における連結売上高は、23億7,400万ユーロ(約2,967億5,000万円)であった。
請求人のブランド「MANGO」は、同じくスペインの有名ブランドである「ZARA」と並び称され、若い女性を需要者とするファストファッションのブランドとして世界的によく知られている。
我が国においては、主たる需要者層である20代から40代の女性向けのファッション誌に「MANGO」ブランドの商品を定期的に掲載し(甲11)、掲載された商品を自社のオンラインショップで販売するという販売形態を取っている(甲12)。当該商品が掲載された雑誌とその年間平均発行部数(2019年10月~2020年9月)の3か月あたりの部数は、「SEVENTEEN」が、131,818部、「STORY」が202,330部、「WITH」が100,571部、「JJ」が57,136部、「nonno」が139,000部、「Cancam」が74,083部、「BAILA」が109,545部、「And GIRL」が72,597部、「GISELe」が82,450部、「mamagirl」が133,067部、「Ray」が52,145部、「CLASSY」が147,055部及び「VERY」が215,691部である(甲13、甲21)。
さらに、「ロコンド」及び「BUYMA」等のファッション通信販売サイトにおいて販売している(甲14、甲15)。
請求人の「MANGO」ブランドに係る商品が比較的発行部数の多い雑誌に定期的に掲載されていること、及び、被服等のファッション関連商品が専らインターネットを通じて購入されている昨今の取引の実情に照らせば、請求人が被服について使用する「MANGO」の文字からなる引用商標は、20代から40代の女性という需要者層の間に広く認識され、一定の著名性を獲得しているといえる。
(6)出所の混同について
被請求人は、その販売用カタログの表紙には「MANGOPLUS」を使用しながら、目次及び商品名には「MANGO」を使用している(甲3)。
このような使用は、被請求人と請求人との出所の混同を生じさせるものである。
さらに、インターネット通販サイトにおいてキーワードを「MANGO」と入力して女性用被服を検索すると、請求人の商品と被請求人の商品とが混在して表示される(甲10)。
請求人の商品と被請求人の商品とは、その価格帯と主たる需要者層が同じであるから、これに接する需要者が誤った商品を購入するおそれがあり、かかる出所の混同により一般公衆の利益が害されるような事態が想定される。
(7)故意について
被請求人は、令和元年7月18日から数回にわたり、請求人から「MANGO」商標が引用商標に係る請求人の商標権を侵害するとの通知を受けていながら、本件使用商標の使用を継続している(甲17、甲18)。
したがって、使用商標を使用した結果、請求人の業務に係る商品との誤認、混同を生じさせるおそれのあることを認識し、かつ、これを認容していたものである。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対して何ら答弁していない。
第4 当審の判断
1 商標法第51条第1項について
商標法第51条第1項は、「商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であつて商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。
同項の規定は、商標の不当な使用によって一般公衆の利益が害されるような事態を防止し、そのような場合に当該商標権者に制裁を課す趣旨のものであり、需要者一般を保護するという公益的性格を有するものである(最高裁昭和61年4月22日第三小法廷判決・昭和58年(行ツ)第31号)。
商標法第51条第1項の上記のような趣旨に照らせば、同項にいう「登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であつて商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるもの」に当たるためには、使用に係る商標の具体的表示態様が他人の業務に係る商品等との間で具体的に混同を生ずるおそれを有するものであることが必要であるというべきであり、そして、その混同を生ずるおそれの有無については、商標権者が使用する商標と引用する他人の商標との類似性の程度、当該他人の商標の周知著名性及び独創性の有無、程度、商標権者が使用する商品等と当該他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情等に照らし、当該商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである(知的財産高等裁判所平成24年12月26日判決・平成24年(行ケ)第10187号)。
以下、上記の観点を踏まえて検討する。
2 本件商標と本件使用商標との類否について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「MANGOPLUS」の文字を標準文字で表してなるものであり、これよりは、「マンゴプラス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)本件使用商標について
ア 請求人の代理人は、2019年7月11日に、沖縄県那覇市具志3-19-16在の「かりゆしウェア専門店マンゴプラス」より、商品「レディスかりゆしウェア・アロハシャツ」(以下「本件使用商品」という。)を購入した(甲5)。
イ 「かりゆしウェア専門店マンゴプラス」は、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)と住所を同一にすることから、当該店舗は、本件商標権者が運営する「かりゆしウェアの専門店」であると容易に認識できることから、本件使用商品は、本件商標権者の取り扱いに係る商品であると認められる。
ウ そして、本件使用商品の商品タグに「MANGO」の欧文字からなる商標(以下「本件使用商標1」という。別掲1)が記載され、ポケットの右側に付された織りネームには、「MANGO」の欧文字からなる商標(以下「本件使用商標2」という。別掲2)が記載され、襟首に付された織りネームには、筆記体風に書された「Mango」の欧文字とマンゴー様の図形が配置された商標(以下「本件使用商標3」という。別掲3)が記載されている(甲4)ことから、本件使用商標1ないし本件使用商標3(以下「本件使用商標」という場合がある。)は、「MANGO」の欧文字又は「Mango」の欧文字から、「マンゴ」の称呼を生じ、果実の「マンゴー」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と本件使用商標の類否について
ア 本件商標と本件使用商標1及び本件使用商標2の類否について
本件商標と本件使用商標1及び本件使用商標2は、「MANGO」の文字が共通するものの、9文字と5文字という文字数が相違し、「PLUS」の文字の有無があることから、外観が明らかに相違するため、これらは、外観において相紛れるおそれはない。
また、本件商標より生じる「マンゴプラス」の称呼と本件使用商標1及び本件使用商標2より生じる「マンゴ」の称呼は、音数が明らかに相違するため、両商標は、称呼において相紛れるおそれはない。。
さらに、本件商標は、特定の観念が生じないものであり、本件使用商標1及び本件使用商標2は、果実の「マンゴー」の観念を生じるため、観念において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と本件使用商標1及び本件使用商標2は、外観、称呼及び観念において、相紛れるおそれのないものであるから、これらは、類似しないものである。
イ 本件商標と本件使用商標3の類否について
本件商標と本件使用商標3は、「MANGO(Mango)」のつづりが共通するものの、9文字と5文字という文字数が相違し、「PLUS」の文字の有無やマンゴー様図形の有無があることから、外観が明らかに相違するため、これらは、外観において相紛れるおそれはない。
また、本件商標より生じる「マンゴプラス」の称呼と本件使用商標3より生じる「マンゴ」の称呼は、音数が明らかに相違するため、両商標は、称呼において相紛れるおそれはない。。
さらに、本件商標は、特定の観念が生じないものであり、本件使用商標3は、果実の「マンゴー」の観念を生じるため、観念において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と本件使用商標3は、外観、称呼及び観念において、相紛れるおそれのないものであるから、両商標は、類似しないものである。
ウ 請求人の主張について
(ア)請求人は、1984年にスペインのバルセロナにおいて開業したアパレルメーカーで、世界100か国に2,000店舗を展開し、2019年における連結売上高は、23億7,400万ユーロ(約2,967億5,000万円)であり、請求人のブランド「MANGO」は、スペインの有名ブランド「ZARA」と並び称され、若い女性を需要者とするファストファッションのブランドとして世界的によく知られ、主たる需要者層である20代から40代の女性向けのファッション誌に「MANGO」ブランドの商品を定期的に掲載し、被服等のファッション関連商品が専らインターネットを通じて購入されている昨今の取引の実情に照らせば、引用商標「MANGO」及び請求人のブランド「MANGO」は、20代から40代の女性の需要者層の間に広く認識され、一定の著名性を獲得している旨主張する。
しかしながら、請求人が主張するとおり、請求人のブランド「MANGO」が、若い女性を需要者とするファストファッションのブランドであって、主な需要者層である若い女性向けのファッション誌に「MANGO」ブランドの商品を定期的に掲載していることは確認できるとしても、請求人が主張する2019年における連結売上高の23億7,400万ユーロ(約2,967億5,000万円)については、裏付けとなる証拠が提出されておらず、また、ファッション雑誌以外の我が国における宣伝広告の範囲及び回数等は確認できず、さらに、請求人のブランド「MANGO」を付した商品の我が国における売上高や市場占有率等が確認できないことからすると、引用商標「MANGO」及び請求人のブランド「MANGO」は、我が国の需要者の間で、請求人の業務に係る商品を表すものとして広く認識されていたものと認めることができない。
そうすると、本件商標「MANGOPLUS」は、「MANGO」の文字の著名性により、本件商標の構成中の「MANGO」の文字のみを抽出し、本件使用商標と類否の判断を行うことは許されないものである。
(イ)請求人は、婦人用被服の大きいサイズを「プラス」と表示することは、通常行われていることから(甲6~甲8)、本件商標に接する需要者は、本件商標「MANGOPLUS」を本件使用商標が付された商品のうちの大きいサイズと理解する可能性が高いため、被服について本件商標の構成中の「PLUS」は識別力が弱く、「MANGO」が比較的識別力が強い部分である旨主張する。
しかしながら、請求人が提出した甲第6号証ないし甲第8号証を確認するも、婦人用被服の大きめのサイズの商品を紹介する際に「プラスサイズ」と表現しているにすぎず、その他、本件商標の指定商品との関係において、「PLUS」の欧文字が、大きめのサイズの商品を表示するものとして一般に使用されているとはいえないことから、被服について本件商標の構成中の「PLUS」は識別力が弱いとの請求人の主張は採用することはできない。
そうすると、本件商標「MANGOPLUS」は、その構成中の「PLUS」の文字が識別標識としての機能を有さないと判断するべき事情はないため、本件商標の構成中の「MANGO」の文字のみを抽出し、本件使用商標と類否の判断を行うことは許されないものである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と本件使用商標は、外観、称呼及び観念において、相紛れるおそれのないものであるから、両商標は、類似しないものであるため、本件使用商標は「指定商品についての登録商標に類似する商標」に該当しない。
3 結び
以上のとおり、本件使用商標は、「商標権者が指定商品についての登録商標に類似する商標の使用」をしたものと認めることはできない。
したがって、本件使用商標の使用は、商標法第51条第1項の要件を具備するものということができないから、本件商標の登録は、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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