商標取消審判
2020-300660
カイトリオー
- 審判番号
- 2020-300660
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2004-062878
- 登録番号
- 4839785
- 請求日
- 2020年09月24日
- 審決日
- 2021年09月30日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】相川 和信
- 【被請求人】村崎 公俊
- 【被請求人代理人】木下 洋平
- 【被請求人代理人】亀卦川 巧
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 茂木 祐輔
- 分類
- T132 .1 -Y (Y36)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4839785号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4839785号商標(以下「本件商標」という。)は,「買取王」の文字を標準文字で表してなり,平成16年7月7日登録出願,第36類「中古自動車の評価」を含む,別掲のとおりの役務を指定役務として,同17年2月18日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録は,令和2年10月8日であり,商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは,平成29年10月8日から令和2年10月7日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は,本件商標は,その指定役務中,第36類「中古自動車の評価」(以下「請求に係る指定役務」という。)について登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は,請求に係る指定役務について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用をした事実が存しないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人提出の審判事件答弁書に対して,何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
1 被請求人は,有限会社ムラサキ自動車の取締役を務めている(乙1)から,被請求人が有限会社ムラサキ自動車に通常使用権を許諾していたことは当然である。
2 有限会社ムラサキ自動車(以下「ムラサキ自動車」という。)は,古物商許可を取得している法人である(乙2)から,ムラサキ自動車が請求に係る指定役務を行い得る事業者であったことは明らかである。
3 乙第3号証は,アフィリエイトプログラム(成果報酬型広告)による商品紹介サイト「プロが教える車の高価買取り」であり,当該サイトの「熊本のオススメ車買取業者一覧と評判・ロコミ・熊本で車を高く売る方法」ページには,熊本県熊本市南区御幸西3丁目10において,ムラサキ自動車が「くるま買取王くまなん店」を運営していることが示されている(乙4)。また,当該ページは,平成30(2018)年3月20日に作成されたことが示されているから(乙4),要証期間内に,日本国内において,ムラサキ自動車により,請求に係る指定役務に関する広告を内容とする情報に,本件商標に係る標章が付され,電磁的方法により提供されていた。
4 平成30(2018)年10月5日時点の情報が掲載されている「タウンページくまもと市南西版」には,「自動車販売(中古車買取)」の欄に,(熊本県熊本市)南区御幸西3丁目10に所在する「買取王くまなん店」の広告が掲載されている(乙5)。よって,要証期間内に,日本国内において,ムラサキ自動車により,請求に係る指定役務に関する広告に,本件商標に係る標章が付され,頒布されていたことは客観的に明らかである。
5 ムラサキ自動車の「買取王くまなん店」(熊本県熊本市南区御幸西3丁目10に所在)の「車両買取契約書」には,ゴシック体の「買取王」が付され,令和2(2020)年3月30日に,請求に係る指定役務が行われていることが示されている(乙6)。よって,要証期間内に,日本国内において,ムラサキ自動車により,中古自動車の評価に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に,本件商標に係る標章が付され,かつ,これが用いられて役務が提供されていたことは客観的に明らかである。
第4 当審の判断
1 認定事実
被請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)ムラサキ自動車は,その取締役が本件商標権者であって,その住所は,本件商標権者の住所と同一であり(乙1),また,ムラサキ自動車は古物商許可を取得していることが認められる(乙2)。
(2)乙第4号証は,「プロが教える車の高価買取り」のウェブサイトの写しであり,「熊本のオススメ車買取業者一覧と評判・口コミ・熊本で車を高く売る方法」の見出しの下,「熊本県は他県と比べると中古車ディーラーの数がはるかに多く,その数は50店舗程あります。」などの記載と共に,複数の事業者が紹介されている。なお,乙第3号証によれば,同ウェブサイトは,その運営者が商品及びサービス(役務)の提供元と業務提携を結び,成果報酬型で提供元の広告を掲載する「アフィリエイトプログラム(成果報酬型広告)」によるインターネット広告である。
ア ウェブサイトの上部には,時計を表したアイコンと共に日付を表す「2018.3.20」の記載及び2本の半円状矢印が弧を描くように表されたアイコンと共に日付を表す「2020.02.14」の記載があり,後者のアイコンは「更新」を表す際にしばしば使用されるものであることを踏まえると,前者のアイコン及び日付は記事の作成日又は公開日を,後者のアイコン及び日付は記事の最終更新日を表したものであるといえるから,当該広告は2018年3月20日から2020年2月14日に掲載されていたものと推認できる。
イ ウェブサイト中の「くるま買取王くまなん店」の見出しの下には,同店のウェブサイトの一部とみられる画像が表示されており,その画像には,大きく赤色で表された「くるま買取王」(以下「使用商標1」という。)の文字とその右上に小さく黄色で表された「くまなん店」の文字があり,これらの文字の右側には,「中古車査定はコチラから」の文字,及びその下に電話番号「096-334-3334」が表示されていて,事業者としてムラサキ自動車及びその住所も表示されている。
(3)乙第5号証は,「タウンページくまもと市南西版」の一部抜粋された写しであり,表紙に「2019.1 職業別」及び「(掲載情報は2018.10.5現在)」の記載があるから,2019年1月頃に発行されたものであって,その掲載情報は2018年10月頃のものである。そして,同タウンページの177ページには,「自動車販売(中古車買取)」の表題の下,「買取王くまなん店」の文字(以下「使用商標2」という。),その下に「他店より高く/買い取る自信あり」,「南区御幸西3-10」,「(096)334-3334」の記載があり,これはムラサキ自動車の住所及び電話番号と一致する。
(4)乙第6号証は,「車輛買取契約書」の写しであり,同契約書の左上部には,赤色で表された「買取王」(以下「使用商標3」という。以下,使用商標1ないし使用商標3をまとめて,単に「使用商標」という。)の文字が記載されていると共に,「買主」の欄にも,同様の「買取王」の文字及びその右下に小さく表された「くまなん店」の文字,「熊本市南区御幸西3丁目10」,「TEL 096‐334-3334」の記載があり,これはムラサキ自動車の住所及び電話番号と一致する。
そして,「売主」の欄には,熊本市南区在住の個人の氏名が記載されている。また,「車輛・装備明細」欄には,車検満了日や走行距離等に関する情報が記載されていることから,「車輛買取契約」の対象が中古自動車であること,「査定No.」と表記された欄があることから,買主側が売主に対して,中古自動車の査定を行っているということができる。さらに,「受付日」及び「契約日」の欄には,「R2年3月30日」の記載がある。
2 判断
上記1で認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用商標
ア 本件商標は,上記第1のとおり,「買取王」の文字を標準文字で表してなるものである。
イ 使用商標1は,「くるま買取王」の文字よりなるところ,「くるま」の文字は指定役務との関係において識別力がないか極めて弱いものであるから,「買取王」の文字部分が,要部として認識されるものである。
ウ 使用商標2は「買取王くまなん店」の文字よりなるところ,その構成中,「くまなん店」の文字は店舗が存在する地域を表したものとみるのが自然であるから,「買取王」の文字部分が,要部として認識されるものである。
エ 使用商標3は,「買取王」の文字からなるものであり,本件商標とは書体が異なるものの構成文字を同じにするものである。
オ 上記アないしエよりすれば,使用商標1及び使用商標2の要部並びに使用商標3は,「買取王」の文字であり,本件商標と色彩や書体は異なるものの構成文字を同じにするものである。
そうすると,本件商標と使用商標とは,書体に変更を加えたにすぎないものであるから,社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用者
使用商標の使用者は,ムラサキ自動車である。
そして,ムラサキ自動車の取締役は本件商標権者であるから,両者は密接な関係を有しているといえること,本件商標権者がムラサキ自動車に通常使用権を許諾していたと述べていたことから,本件商標権者はムラサキ自動車に対して黙示の使用許諾を与えていたものと推認できる。
そうすると,ムラサキ自動車は本件商標の通常使用権者と認められる。
(3)使用行為及び使用時期
ア 通常使用権者は,2018(平成30)年3月20日から2020(令和2)年2月14日の間に,「プロが教える車の高価買取り」のウェブサイト(乙4)に,使用商標1を表示した広告記事を掲載したところ,同ウェブサイトは,熊本県における中古自動車の買取業者を紹介するインターネット広告であり,同ウェブサイトの利用によって中古自動車の査定や買取金額の比較ができることが表示されているほか,上記広告記事中に,「中古車査定はコチラから」と積極的に明示していることからすれば,ムラサキ自動車は,古物商許可証を取得している(乙2)ことをも併せて考慮すると,中古自動車の評価,すなわち請求に係る指定役務を行っていたものと認めることができる。
そうすると,ムラサキ自動車は,請求に係る指定役務を内容とするインターネット広告に使用商標1を付して提供したと認められるから,「役務に関する広告に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)を行ったと認められ,その行為は要証期間内である。
イ 通常使用権者は,2019(平成31)年1月頃に発行された「タウンページくまもと市南西版」(乙5)の「自動車販売(中古車買取)」の職種において使用商標2を表示し,中古自動車を取り扱う際には,中古自動車の査定(評価)を行うことが明らかである上に,ムラサキ自動車のウェブサイト(乙4)には「中古車査定はコチラから」と積極的に明示していることからすれば,ムラサキ自動車は,中古自動車の評価,すなわち請求に係る指定役務を行っていたものと認めることができる。
そうすると,ムラサキ自動車は,請求に係る指定役務を内容とするタウンページ(広告)に使用商標2を付して掲載し,同タウンページはその後頒布されたと推認できるから,「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)を行ったと認められ,その行為は要証期間内である。
ウ 通常使用権者は,令和2年3月30日付けの「車輛買取契約書」(乙6)に使用商標3を表示して作成したところ,同契約書には,上記1(4)のとおり,中古自動車の査定を行っているとみられる記載があり,またムラサキ自動車のウェブサイト(乙4)には「中古車査定はコチラから」と積極的に明示していることからすれば,ムラサキ自動車は,中古自動車の評価,すなわち請求に係る指定役務を行っていたものと認めることができる。
そうすると,ムラサキ自動車は,請求に係る指定役務を内容とする契約書に使用標章3を付して作成し,同契約書は売主に頒布されたと推認できるから,ムラサキ自動車は,「役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)を行ったと認められ,その行為は要証期間内である。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば,本件商標の通常使用権者は,要証期間に,日本国内において,本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を,請求に係る指定役務に係る広告若しくは取引書類に付して頒布し,又は広告に付して電磁的方法により提供していた(商標法第2条第3項第8号)と認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標の通常使用権者が,請求に係る指定役務について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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