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特許拒絶査定不服審判

2020-017433

画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及び、プログラム

審判番号
2020-017433
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-566528外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年12月21日
審決日
2022年02月16日
公報発行日
2022年08月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06F) / P18 .113-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-566528「画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及び、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月17日国際公開、WO2017/138223、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続きの経緯

本願は、2016年(平成28年)11月29日(優先権主張 平成28年2月12日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和元年 8月30日付け:拒絶理由通知
令和元年10月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 3月 6日付け:拒絶理由通知
令和2年 4月14日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 9月17日付け:拒絶査定(原査定)
令和2年12月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和3年 9月14日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知
令和3年11月18日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和2年9月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1:

本願請求項1、2、4、7~9に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2:

本願請求項1、2、4、7~9に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特開2003-69767号公報

第3 本願発明

本願の請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明9」という。)は、令和3年11月18日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される発明であり、このうち、本願発明1は、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
手書きデータを表示画像に重畳した視覚情報を表示する画像表示装置に接続される画像処理装置であって、
前記画像処理装置に表示される第1画面と、前記画像処理装置のディスプレイの拡張として前記画像表示装置のディスプレイに表示させる第2画面とを、前記第1画面と前記第2画面とがつながった1つの画面のようにユーザが操作することができるように表示させる表示部と、
前記第1画面又は前記第2画面に表示され、前記第1画面及び前記第2画面の間を移動可能なツールバーの位置に基づき、前記第1画面又は前記第2画面のいずれかを選択し、
選択された前記第1画面又は前記第2画面をキャプチャして前記表示画像を生成する画像処理部を備える
画像処理装置。」

また、本願発明2~6は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明7~9は、いずれも本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であって、本願発明7は、本願発明1を「画像処理システム」の発明として特定したものであり、本願発明8は、本願発明1を「画像処理方法」の発明として特定したものであり、本願発明9は、本願発明1を「プログラム」の発明として特定したものである。

第4 引用文献、引用発明等

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審付与。以下同様。)

「【0002】
【従来の技術】従来、Windows98、Windows2000(何れもMicrosoft Corporationの登録商標)、MAC OS(アップルコンピュータ・インクの登録商標)等のOSレベルで、簡単にPC(PersonalComputer)をマルチモニタ環境にすることが可能となっている。すなわち、一つのPCに複数の表示装置(CRT(Cahode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、プロジェクタ等)を接続することにより、一つの画面を形成し、各種アプリケーションないしソフトウェアの表示領域を拡大することが可能となっている。マルチモニタ環境により、各アプリケーションで表示装置間の移動が可能となっており、表示装置間にまたがってウィンドウを操作可能となっている。」
「【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態では、2つの表示一体型座標入力装置と、制御装置(PC)とを有する表示システムを主として説明する。まず、表示システムの全体像を概説し、つづいて、表示一体型座標入力装置、制御装置の順に説明する。
【0024】(表示システム100の概略構成)図1は、本実施の形態の表示システムの外観構成図である。表示システム100は、表示一体型座標入力装置101と、表示一体型座標入力装置102と、制御装置103とを有する。ここでは、話者Pが表示一体型座標入力装置101を用いて講義をおこない、必要に応じて表示内容を表示一体型座標入力装置102に表示させる使用態様について説明する。なお、講義では、講義資料を所定の表示ソフト(たとえばプレゼンテーションソフト)で表示させ、電子黒板ソフトの手書入力機能により必要な書き込みを適宜おこなうものとする。但し、この2つのソフトウェアは別個独立のソフトウェアであるものとする。
【0025】(表示一体型座標入力装置101の内容)つぎに、表示一体型座標入力装置101の内容について説明する。なお、表示一体型座標入力装置102は、表示一体型座標入力装置101と同様の構成を有するのでその説明を省略する。以降においては、表示一体型座標入力装置を便宜上単に座標入力装置と称することとする。
【0026】図2は、座標入力装置101の構成一例を示した概略構成図である。座標入力装置101は、指や入力ペンなどにより座標(図では位置A)を入力する矩形の座標入力面201と、座標入力面201に沿って扇形に広がる照射光を発し、また、座標入力面201に沿って進行する反射光を受光する光学ユニット202(そのうち左側にある光学ユニットを202Lと、右側にある光学ユニットを202Rとする)と、座標入力面201の外縁に配置され光学ユニット202が発した照射光を、その入射方向に再帰的に反射する反射部203と、を有する。
【0027】座標入力装置101は、座標入力面201に入力された指や入力ペンの遮蔽方向および光学ユニット202間の距離に基づいて座標点を検知する。なお、座標入力面201は、各種ソフトウェアの実行結果を表示する表示面(もしくはその直近上面に掃かれている光面)でもあるが、ここでは座標を入力する面という観点から座標入力面201と表現するものとする。なお、以降では座標入力面201を適宜表示面201と表記する場合がある。また、座標入力装置101の表示面201をモニタ1、座標入力装置102の表示面201をモニタ2と適宜称することとする。」

「【0047】(制御装置103の内容)つぎに、制御装置103について説明する。図10は、制御装置103のハードウェア構成の一例を示した説明図である。図示したように、制御装置103は、汎用のPC(Personal Computer)と同様の構成を採用することができる。制御装置103は、CPU1001と、ROM1002と、RAM1003と、ハードディスク1005と、グラフィックスカード1006および1008と、座標入力インターフェース(I/F)1007および1009と、タイマ1010と、キーボード1011と、マウス1012と、を有する。」

「【0055】(制御装置103:ハードディスク1005の内容)ハードディスク1005は、OS1051と、座標入力装置101(102)を電子黒板として機能させる電子黒板ソフト1052と、表示内容を一方の座標入力装置から他方の座標入力装置上の表示面に表示させるマルチモニタソフト1053と、講義講演内容を表示させるプレゼンテーションソフト、ワープロソフト、表計算ソフト等の各種の表示ソフト1054等を記憶している。
【0056】OS1051には、マルチモニタ環境を構築するマルチモニタ制御部1055が備わっている。図11は、マルチモニタ環境における仮想座標の座標設定例を示した説明図である。ここでは説明の便宜上、仮想的に結合された画面を結合画面と称することとし、結合画面の領域は(0,0)~(65535,65535)の仮想座標空間で管理されるものとする。また、複数の表示面201をそれぞれモニタ1、モニタ2、・・・と表示することとし、各表示面201は、1024×768画素の画面表示が可能であるとする。
【0057】図11(a)は、仮想座標空間の座標の採り方の様子を示している。なお、図11(a)は、表示面201が一つである場合の表示面と仮想座標位置との対応を示していると考えることもできる。図11(b)は、表示面がx軸方向(水平方向)に2つ並べられた場合の表示面と仮想座標との対応を示した図である。図示したように、仮想座標空間は、x軸方向に2分され、(0,0)~(32767,65535)と(32768,0)~(65535,65535)の2つの座標空間で管理される。」

「【0063】(表示システム100の機能的構成)つぎに、表示システム100の機能的構成について説明する。図14は、表示システム100の主要な機能的構成の一例を示した機能ブロック図である。表示システム100は、その機能的構成として、座標情報出力部1401と、表示部1402と、ソフトウェア処理部1403と、キャプチャ指示入力部1404と、消去補完部1405と、キャプチャ部1406と、出力先指示部1407と、キャプチャ内容出力部1408と、表示部1409と、消去先指示部1410と、キャプチャ内容消去補完部1411と、を有する。」

「【0066】(表示システムの機能的構成:ソフトウェア処理部1403)ソフトウェア処理部1403は、座標情報出力部1401から出力された座標に関する情報に基づいて算出された位置に対応した各種ソフトウェアの処理を実行する。ソフトウェアの種類は特に限定されないが、講義・講演をおこなう場合にはプレゼンテーションソフト、ワープロソフト、表計算ソフト、ドローソフト、ビュワー等を挙げることができる。なお、ソフトウェアという場合は、OS、各種ドライバも含む。後述する各機能部もソフトウェアとして処理されるものも含むが、ここではソフトウェア処理部1403は、キャプチャされる表示内容を表示させる際のソフトウェアないしソフトウェアの組を示すものとする。ソフトウェア処理部1403は、たとえば、CPU1001、ハードディスク1005に格納される各種ソフトウェア、RAM1003によりその機能を実現することができる。
【0067】(表示システム100の機能的構成:表示部1402,表示部1409)表示部1402は、ソフトウェア処理部1403による各種ソフトウェアの実行結果を表示する。表示部1409は、後述するように、キャプチャ内容出力部1408により出力された表示内容、すなわち、キャプチャ部1406によりキャプチャされた表示内容を表示する。表示部1402と表示部1409は、機能的には同一であるが、キャプチャ元と出力先を区別するためにここでは別々の機能部として説明する。なお、表示部1409は、出力先指示部1407により指示された表示部ということもできる。表示部1402(1409)は、表示面201によりその機能を実現することができる。
【0068】(表示システム100の機能的構成:キャプチャ指示入力部1404)キャプチャ指示入力部1404は、複数の表示面201のうちの何れか一の表示面201の表示内容のキャプチャ指示を入力する。すなわち、いずれのモニタの画面を取り込むのかを指定する。なお、複数の表示面201は、3つ以上であってもよいが、本実施の形態では表示面は2つである。キャプチャ指示の入力は様々な態様が考えられるが、ここでは、片方の表示面201にマルチモニタソフト1053により、「マルチページツールバー」が表示され、このツールバーからキャプチャ指示をおこなう場合について説明する。
【0069】図15は、マルチモニタソフト1053による表示面上のウィンドウ構成の一例を示した図である。図示したように、マルチモニタソフト1053は、表示面201上にマルチページツールバー1501を表示させる。マルチページツールバー1501上には、キャプチャボタン1502と、表示先指示ボタン1503と、消去先指示ボタン1504とが表示され、マルチモニタソフト1053は、これらのボタンに割り付けられている機能を制御装置103に実行させる。
続きを表示(全14行)
【0070】ここで、各機能について説明する。キャプチャボタン1502は、マルチページツールバー1501が表示されている表示面201(座標入力装置101の表示面すなわち図にいうモニタ1)の表示内容をキャプチャする。表示先指示ボタン1503は、取り込まれた表示内容(画面)の貼り付け先であるモニタ番号を指示する。消去先指示ボタン1504は、貼り付け画面を消去し、本来ある背景内容を再描画させるモニタ番号を指示する。
【0071】キャプチャ指示入力部1404は、キャプチャボタン1502が表示されている領域部分の座標の入力を、キャプチャ指示として、後述する消去補完部1405に出力する。キャプチャ指示入力部1404は、たとえば、光学ユニット202、表示面201、座標入力I/F1007、マルチモニタソフト1053、CPU1001等によりその機能を実現することができる。
【0072】なお、使用の態様によっては、キャプチャボタン1502を無くし、表示先指示ボタン1503にその機能を割り付けてもよい。これにより、一回の操作でモニタ1の表示内容をモニタ2に表示させることができる。また、キャプチャ指示入力部1404は、リモコンを用いて指示を入力してもよい。話者は、プレゼンテーションの際、必ずしも表示システム100の近辺にいるとは限らず、離れた場所に移動することもある。リモコン操作によりキャプチャ指示を入力することにより臨場感を損ねることなく講義・講演等をおこなうことができる。
【0073】(表示システム100の機能的構成:消去補完部1405)消去補完部1405は、キャプチャ指示入力部1404によるキャプチャ指示があった場合に、表示面上に表示された当該キャプチャ処理に関するソフトウェアの表示部分を消去し背景を補完する。図15に示した例では、モニタ1上にキャプチャ処理に関するソフトウェア(マルチモニタソフト1053)の表示部分であるマルチページツールバー1501が表示されているので、消去補完部1405は、このマルチページツールバー1501を消去し、背景に表示されるべき部分を補完する。
【0074】背景に表示される部分とは、ウィンドウを閉じた場合に描画される部分をいう。たとえば、ワープロソフトが起動されている場合には、文書画面等をいう。表示システム100は、消去補完部1405の消去補完によって、表示させたい情報部分を過不足無く表示させることが可能となる。消去補完部1405は、たとえば、マルチモニタソフト1053、OS1051、CPU1001、表示面201によりその機能を実現することができる。
【0075】(表示システム100の機能的構成:キャプチャ部1406)キャプチャ部1406は、消去補完部1405による補完後の表示面201の表示内容をキャプチャする。なお、この表示面201とは、マルチページツールバー1501が表示されていた表示面201(モニタ1)を示す。キャプチャもしくはキャプチャ処理とは、表示面201上の表示画面をそのまま画像として取り込む処理をいう。取り込まれた画像データは、後の貼り付け処理のためにRAM1003に格納しておく。
【0076】なお、本実施の形態では、キャプチャ部1406は、全画面キャプチャを示すが、使用の態様によっては、表示ソフト1054や電子黒板ソフト1052と連動させて、その中身部分(表示ソフト1054の操作ツールバー等を含まない部分)のみを表示させる部分キャプチャをおこなわせてもよい。また、部分キャプチャに際しては、領域指定をおこなう態様であってもよい。キャプチャ部1406は、たとえば、マルチモニタソフト1053、OS1051、CPU1001、RAMによりその機能を実現することができる。
【0077】(表示システム100の機能的構成:出力先指示部1407)出力先指示部1407は、キャプチャ部1406によりキャプチャされた表示内容の出力先を何れの表示面とするかの指示を入力する。すなわち、出力先指示部1407は、キャプチャした表示面でない何れか一の表示面201の指示を入力する。図15に示した例では、モニタ2をいう。この指示の入力の方法は様々な態様が考えられるが、ここでは、マルチページツールバーから指示をおこなう場合について説明する。
【0078】図15に示したように、指示は表示先指示ボタン1503が表示されている領域部分の座標を入力することによりおこなう。出力先指示部1407は、たとえば、光学ユニット202、表示面201、座標入力I/F1007、マルチモニタソフト1053、CPU1001等によりその機能を実現することができる。なお、使用の態様によっては、前述したようにリモコンを用いて指示を入力してもよい。
【0079】(表示システム100の機能的構成:キャプチャ内容出力部1408)キャプチャ内容出力部1408は、キャプチャ部1406によりキャプチャされた表示内容を出力先指示部1407により指示された表示面に出力する。図11(b)に示した例では、キャプチャ内容出力部1408は、モニタ1の表示内容である、結合画面上の(0,0)~(32767,65535)部分のキャプチャ内容を、モニタ2に対応した(0,32768)~(65535,65535)へ出力する。キャプチャ内容出力部1408は、たとえば、マルチモニタソフト1053と、マルチモニタ制御部1055と、CPU1001と、グラフィックスカード1006によりその機能を実現することができる。」
「【0083】(表示システム100の処理流れ)つぎに、画面推移とともに、表示システム100の処理流れを説明する。この処理流れの例も図15と同様、モニタ1をキャプチャし、その画面をモニタ2に貼り付け、また消去する例を説明する。図16は、表示システム100の処理流れの一例を示した説明図であり、モニタ1をキャプチャし、その画面をモニタ2に貼り付ける処理の流れを示した図である。
【0084】図17は、キャプチャ前の表示システム100の画面構成の一例を示した図である。図示したように、モニタ1は、話者が中心となって講義をおこなう座標入力装置であり、表示ソフト1054の一つであるプレゼンテーションソフトと、マルチモニタソフト1053のマルチページツールバー1501が表示されている。また、モニタ2には、表示ソフト1054の一つであるビューワによる関数形が示されている。
【0085】図18は、キャプチャ直前の画面構成の例を示した図である。図示したように、図18では、図17の画面構成に加えて、更に、電子黒板ソフト1052の手書きツールバーが表示され、プレゼンテーションソフトにより表示された内容に手書きの文字を入力した直後の様子が示されている。手書きツールバーには図示したように、画面中に手書きの線図の描画を可能とするペンボタン1801と、手書きの線図の消去を可能とする消しゴムボタン1802が表示されている。このほか、手書きツールバー1052には、終了ボタン、やり直し、やり戻し、印刷ボタン等も設けられている。なお、図示は省略するが、電子黒板ソフト1052には、図形描画機能も設けられており、整形された幾何学図形(線図)を入力することも可能となっている。
【0086】なお、符合1803は、ペンボタン1801が選択されたことによる手書きペンポインタを示している。図18では「5収差を常に考慮」という手書きの線図(文字)が入力された後、話者が強調して囲んだ丸を書き終えた様子が示されている。
【0087】この状態で話者がキャプチャ指示を入力すると(ステップS1601:図19参照)、表示システム100は、モニタ1から、マルチページツールバー1501を消去し(ステップS1602)、その背景を補完する(ステップS1603:図20参照)。この消去補完処理によって、本来必要でないマルチページツールバー1501を消去し、モニタ1の表示内容を過不足ない情報とすることが可能となる。
【0088】表示システム100は、つづいてモニタ1の表示内容をキャプチャする(ステップS1604)。このキャプチャ内容は、RAM1003に一時的に格納される。キャプチャ後、表示システム100は、マルチページツールバー1501を再びモニタ1に表示させる(ステップS1605)。表示内容の状態は、図18と同様である。
【0089】話者により、表示先(この例ではモニタ2)の指示が入力されると(ステップS1606:図21参照)、表示システム100は、RAM1003に格納しておいた画面を指定された表示先(この例ではモニタ2)に貼り付ける(ステップS1607)。貼り付け後の画面の状態は図22の様になる。なお、すぐに貼り付けない場合は、表示内容の進め方により、モニタ1の表示内容は変更されることとなる。また、貼付の際には、全画面表示とするが、この際表示面の大きさ、解像度に合わせた必要な拡大縮小は適宜おこなわれるものとする。」
「【図1】
[図:0001386661000001.jpg]
」
「【図11】
[図:0001386661000002.jpg]
」
「【図14】
[図:0001386661000003.jpg]
」
「【図18】
[図:0001386661000004.jpg]
」

したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明>

「表示システム100は、表示一体型座標入力装置101と、表示一体型座標入力装置102と、制御装置103とを有し、話者が表示一体型座標入力装置101を用いて講義をおこない、必要に応じて表示内容を表示一体型座標入力装置102に表示させる使用態様であって、
講義では、講義資料を所定の表示ソフト(たとえばプレゼンテーションソフト)で表示させ、電子黒板ソフトの手書入力機能により必要な書き込みを適宜おこなうものとし、
表示一体型座標入力装置102は、表示一体型座標入力装置101と同様の構成を有し、以降、表示一体型座標入力装置を便宜上単に座標入力装置と称し、
座標入力装置101は、指や入力ペンなどにより座標を入力する矩形の座標入力面201を有し、以降では座標入力面201を適宜表示面201と表記し、また、座標入力装置101の表示面201をモニタ1、座標入力装置102の表示面201をモニタ2と適宜称することとし、
続きを表示(全24行)
制御装置103は、CPU1001と、ハードディスク1005と、を有し、
ハードディスク1005は、OS1051と、座標入力装置101(102)を電子黒板として機能させる電子黒板ソフト1052と、表示内容を一方の座標入力装置から他方の座標入力装置上の表示面に表示させるマルチモニタソフト1053と、講義講演内容を表示させるプレゼンテーションソフト、ワープロソフト、表計算ソフト等の各種の表示ソフト1054等を記憶し、
OS1051には、マルチモニタ環境を構築するマルチモニタ制御部1055が備わっており、マルチモニタ環境における仮想座標の座標設定例として、ここでは、仮想的に結合された画面を結合画面と称することとし、結合画面の領域は(0,0)~(65535,65535)の仮想座標空間で管理されるものとし、また、複数の表示面201をそれぞれモニタ1、モニタ2と表示することとし、表示面がx軸方向(水平方向)に2つ並べられた場合の表示面と仮想座標との対応として、仮想座標空間は、x軸方向に2分され、(0,0)~(32767,65535)と(32768,0)~(65535,65535)の2つの座標空間で管理され、
表示システム100は、その機能的構成として、表示部1402と、ソフトウェア処理部1403と、キャプチャ指示入力部1404と、消去補完部1405と、キャプチャ部1406と、出力先指示部1407と、キャプチャ内容出力部1408と、表示部1409と、を有し、
ソフトウェア処理部1403は、キャプチャされる表示内容を表示させる際のソフトウェアを示し、たとえば、CPU1001、ハードディスク1005に格納される各種ソフトウェアによりその機能を実現し、
表示部1402は、ソフトウェア処理部1403による各種ソフトウェアの実行結果を表示し、表示部1409は、キャプチャ内容出力部1408により出力された表示内容、すなわち、キャプチャ部1406によりキャプチャされた表示内容を表示し、
表示部1402と表示部1409は、機能的には同一であるが、キャプチャ元と出力先を区別するためにここでは別々の機能部とし、
キャプチャ指示入力部1404は、複数の表示面201のうちの何れか一の表示面201の表示内容のキャプチャ指示を入力し、すなわち、いずれのモニタの画面を取り込むのかを指定し、ここでは、片方の表示面201にマルチモニタソフト1053により、「マルチページツールバー」が表示され、このツールバーからキャプチャ指示をおこない、
マルチモニタソフト1053は、表示面201上にマルチページツールバー1501を表示させ、マルチページツールバー1501上には、キャプチャボタン1502と、表示先指示ボタン1503と、が表示され、マルチモニタソフト1053は、これらのボタンに割り付けられている機能を制御装置103に実行させ、
キャプチャボタン1502は、マルチページツールバー1501が表示されている表示面201(座標入力装置101の表示面すなわちモニタ1)の表示内容をキャプチャし、表示先指示ボタン1503は、取り込まれた表示内容(画面)の貼り付け先であるモニタ番号を指示し、
キャプチャ指示入力部1404は、キャプチャボタン1502が表示されている領域部分の座標の入力を、キャプチャ指示として、消去補完部1405に出力し、消去補完部1405は、キャプチャ指示入力部1404によるキャプチャ指示があった場合に、表示面上に表示された当該キャプチャ処理に関するソフトウェアの表示部分を消去し背景を補完し、モニタ1上にキャプチャ処理に関するソフトウェア(マルチモニタソフト1053)の表示部分であるマルチページツールバー1501が表示されているので、消去補完部1405は、このマルチページツールバー1501を消去し、背景に表示されるべき部分を補完し、
キャプチャ部1406は、消去補完部1405による補完後の表示面201の表示内容をキャプチャし、この表示面201とは、マルチページツールバー1501が表示されていた表示面201(モニタ1)を示し、キャプチャもしくはキャプチャ処理とは、表示面201上の表示画面をそのまま画像として取り込む処理をいい、
出力先指示部1407は、キャプチャ部1406によりキャプチャされた表示内容の出力先を何れの表示面とするかの指示を入力し、すなわち、出力先指示部1407は、キャプチャした表示面でないモニタ2の表示面201の指示を入力し、指示は表示先指示ボタン1503が表示されている領域部分の座標を入力することによりおこない、
キャプチャ内容出力部1408は、キャプチャ部1406によりキャプチャされた表示内容を出力先指示部1407により指示された表示面に出力し、キャプチャ内容出力部1408は、モニタ1の表示内容である、結合画面上の(0,0)~(32767,65535)部分のキャプチャ内容を、モニタ2に対応した(0,32768)~(65535,65535)へ出力し、
表示システム100の処理流れとしては、
モニタ1は、話者が中心となって講義をおこなう座標入力装置であり、表示ソフト1054の一つであるプレゼンテーションソフトと、マルチモニタソフト1053のマルチページツールバー1501が表示され、また、モニタ2には、表示ソフト1054の一つであるビューワによる関数形が示され、
キャプチャ前の表示システム100の画面構成には、更に、電子黒板ソフト1052の手書きツールバーが表示され、手書きツールバーには画面中に手書きの線図の描画を可能とするペンボタン1801と、手書きの線図の消去を可能とする消しゴムボタン1802が表示され、
この状態で話者がキャプチャ指示を入力すると、表示システム100は、モニタ1から、マルチページツールバー1501を消去し、その背景を補完し、この消去補完処理によって、本来必要でないマルチページツールバー1501を消去し、モニタ1の表示内容を過不足ない情報とし、
表示システム100は、つづいてモニタ1の表示内容をキャプチャし、キャプチャ後、表示システム100は、マルチページツールバー1501を再びモニタ1に表示させ、話者により、表示先(モニタ2)に貼り付ける、
表示システム100の表示一体型座標入力装置101及び制御装置103。」

第5 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と上記引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア

(ア) 引用発明の「表示システム100」は、「表示一体型座標入力装置101と、表示一体型座標入力装置102と、制御装置103とを有し、話者が表示一体型座標入力装置101を用いて講義をおこない、必要に応じて表示内容を表示一体型座標入力装置102に表示させる使用態様であって、講義では、講義資料を所定の表示ソフト(たとえばプレゼンテーションソフト)で表示させ、電子黒板ソフトの手書入力機能により必要な書き込みを適宜おこなうもの」であるから、「電子黒板ソフトの手書入力機能」による「必要な書き込み」は、本願発明1の「手書きデータ」に相当し、引用発明の「所定の表示ソフト(たとえばプレゼンテーションソフト)で表示させ」た「講義資料」は、本願発明1の「表示画像」に相当する。そして、引用発明の「表示システム100」を用いた「講義」において表示させる「表示内容」は、「講義資料」を表示させ、「電子黒板ソフトの手書入力機能により必要な書き込みを適宜おこなう」ものであることから、本願発明1の「手書きデータを表示画像に重畳した視覚情報」に相当する。

(イ) 引用発明の「表示一体型座標入力装置102」は、上記(ア)で示した「表示内容」を、「必要に応じて」ではあるものの、「表示させる」ものであるから、本願発明1の「画像表示装置」に相当する。また、引用発明の「表示システム100」は、「表示一体型座標入力装置101と、表示一体型座標入力装置102と、制御装置103とを有し、話者が表示一体型座標入力装置101を用いて講義をおこない、必要に応じて表示内容を表示一体型座標入力装置102に表示させる使用態様」であることから、「表示一体型座標入力装置101」及び「制御装置103」は、「表示一体型座標入力装置102」に接続されているといえる。

したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「表示一体型座標入力装置101及び制御装置103」からなる装置は、本願発明1の「手書きデータを表示画像に重畳した視覚情報を表示する画像表示装置に接続される画像処理装置」に相当するといえる。

イ

(ア) 引用発明の「表示システム100」においては、「表示一体型座標入力装置101」は、便宜上単に「座標入力装置101」と称され、「座標入力装置101の表示面201をモニタ1」と適宜称することから、引用発明の「表示一体型座標入力装置101」の「表示面201」である「モニタ1」の「表示内容」は、上記ア(イ)を踏まえると、本願発明1の「前記画像処理装置に表示される第1画面」に相当し、引用発明の当該「モニタ1」は、本願発明1の「前記画像処理装置のディスプレイ」に相当する。

また、引用発明の「表示システム100」においては、「表示一体型座標入力装置102」は、便宜上単に「座標入力装置102」と称され、「座標入力装置102の表示面201をモニタ2」と適宜称することから、引用発明の「表示一体型座標入力装置102」の「表示面201」である「モニタ2」は、上記イを踏まえると、本願発明1の「前記画像表示装置のディスプレイ」に相当し、引用発明の前記「モニタ2」の「表示内容」は、本願発明1の「前記画像表示装置のディスプレイに表示させる第2画面」に相当する。

(イ) 引用発明の「制御装置103」は、「座標入力装置101(102)を電子黒板として機能させ」、当該「制御装置103」が有する「ハードディスク1005」に記憶される「OS1051」により、「マルチモニタ環境を構築」し、「マルチモニタ環境における仮想座標の座標設定例として、ここでは、仮想的に結合された画面を結合画面と称することとし、結合画面の領域は(0,0)~(65535,65535)の仮想座標空間で管理されるものとし、また、複数の表示面201をそれぞれモニタ1、モニタ2と表示することとし、表示面がx軸方向(水平方向)に2つ並べられた場合の表示面と仮想座標との対応として、仮想座標空間は、x軸方向に2分され、(0,0)~(32767,65535)と(32768,0)~(65535,65535)の2つの座標空間で管理され」ることから、引用発明の「モニタ2」は、「モニタ1」に「仮想的に結合された」「結合画面」、すなわち「拡張」した画面といい得るものであり、「モニタ1」と「モニタ2」とは、「つながった1つの画面のように」表示されるといい得るものである。

そして、引用発明の「表示システム100は、その機能的構成として、表示部1402と、ソフトウェア処理部1403と、キャプチャ指示入力部1404と、消去補完部1405と、キャプチャ部1406と、出力先指示部1407と、キャプチャ内容出力部1408と、表示部1409と、を有し」、当該構成により、「表示システム100の処理流れ」としては、「モニタ1の表示内容をキャプチャし、」「話者により、表示先(モニタ2)に貼り付ける」もの、すなわち、「ユーザが操作することができる」ものといい得ることから、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「モニタ1、モニタ2」を「結合画面」として表示し、「モニタ1の表示内容をキャプチャし、」「話者により、表示先(モニタ2)に貼り付け」て表示する機能を有する「表示システム100」の構成のうちの「表示部1402」は、本願発明1の「前記画像処理装置に表示される第1画面と、前記画像処理装置のディスプレイの拡張として前記画像表示装置のディスプレイに表示させる第2画面とを、前記第1画面と前記第2画面とがつながった1つの画面のようにユーザが操作することができるように表示させる表示部」に相当するといえる。

ウ

(ア) 引用発明の「マルチページツールバー」は、本願発明1の「ツールバー」に相当する。そして、引用発明の「キャプチャ指示入力部1404は、複数の表示面201のうちの何れか一の表示面201の表示内容のキャプチャ指示を入力し、すなわち、いずれのモニタの画面を取り込むのかを指定し、ここでは、片方の表示面201にマルチモニタソフト1053により、「マルチページツールバー」が表示され、このツールバーからキャプチャ指示をおこない」、「マルチページツールバー1501上には、キャプチャボタン1502と、表示先指示ボタン1503と、が表示され」、「キャプチャボタン1502は、マルチページツールバー1501が表示されている表示面201(座標入力装置101の表示面すなわちモニタ1)の表示内容をキャプチャ」することから、

引用発明における「キャプチャ指示入力部1404」による「マルチページツールバー1501が表示されている表示面201(座標入力装置101の表示面すなわちモニタ1)の表示内容をキャプチャ」することで、「複数の表示面201のうちの何れか一の表示面201の表示内容のキャプチャ指示を入力し、すなわち、いずれのモニタの画面を取り込むのかを指定」する構成は、本願発明1の「画像処理部」による「前記第1画面又は前記第2画面に表示され、前記第1画面及び前記第2画面の間を移動可能なツールバーの位置に基づき、前記第1画面又は前記第2画面のいずれかを選択」する構成とは、「前記第1画面又は前記第2画面に表示されるツールバーの位置に基づき、前記第1画面又は前記第2画面のいずれかを選択」する構成である点で共通している。

(イ) 引用発明の「表示先指示ボタン1503は、取り込まれた表示内容(画面)の貼り付け先であるモニタ番号を指示し」、「出力先指示部1407は、キャプチャ部1406によりキャプチャされた表示内容の出力先を何れの表示面とするかの指示を入力し、すなわち、出力先指示部1407は、キャプチャした表示面でないモニタ2の表示面201の指示を入力し」、「キャプチャ内容出力部1408は、キャプチャ部1406によりキャプチャされた表示内容を出力先指示部1407により指示された表示面に出力し、キャプチャ内容出力部1408は、モニタ1の表示内容である、結合画面上の(0,0)~(32767,65535)部分のキャプチャ内容を、モニタ2に対応した(0,32768)~(65535,65535)へ出力」することから、

上記(ア)を踏まえると、引用発明において、「キャプチャ指示入力部1404」により「表示面201(座標入力装置101の表示面すなわちモニタ1)の表示内容をキャプチャ」して、「キャプチャ内容出力部1408」による「モニタ1の表示内容である、結合画面上の(0,0)~(32767,65535)部分のキャプチャ内容を、モニタ2に対応した(0,32768)~(65535,65535)へ出力」する構成は、本願発明1の「画像処理部」による「選択された前記第1画面又は前記第2画面をキャプチャして前記表示画像を生成する」構成に相当する。

(ウ) 上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「キャプチャ指示入力部1404」及び「キャプチャ内容出力部1408」は、本願発明1の「画像処理部」に相当する。

(2)一致点・相違点

以上のことから、本願発明1と引用発明とは、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>

「手書きデータを表示画像に重畳した視覚情報を表示する画像表示装置に接続される画像処理装置であって、
前記画像処理装置に表示される第1画面と、前記画像処理装置のディスプレイの拡張として前記画像表示装置のディスプレイに表示させる第2画面とを、前記第1画面と前記第2画面とがつながった1つの画面のようにユーザが操作することができるように表示させる表示部と、
前記第1画面又は前記第2画面に表示されるツールバーの位置に基づき、前記第1画面又は前記第2画面のいずれかを選択し、選択された前記第1画面又は前記第2画面をキャプチャして前記表示画像を生成する画像処理部を備える
画像処理装置。」

<相違点>

第1画面又は第2画面に表示される「ツールバー」は、本願発明1では、「前記第1画面及び前記第2画面の間を移動可能」であるのに対し、引用発明には、そのような特定がされていない点。

(3)相違点についての検討

上記相違点について検討する。

上記相違点に係る本願発明1の「前記第1画面及び前記第2画面の間を移動可能」なツールバーの構成は、引用文献1に開示されていない。

引用発明の「表示システム100」は、「話者が表示一体型座標入力装置101を用いて講義をおこない、必要に応じて表示内容を表示一体型座標入力装置102に表示させる使用態様」であるため、「マルチページツールバー1501」が表示されている「モニタ1」の表示内容をキャプチャし、当該表示内容を「モニタ2」に貼り付ける使用態様のみが特定されている。

ここで、引用発明の「表示システム100」では、「表示一体型座標入力装置102は、表示一体型座標入力装置101と同様の構成を有し」ていることから、「表示一体型座標入力装置101」と「表示一体型座標入力装置102」の使用態様の立場を入れ替え、「表示一体型座標入力装置102」を用いて講義を行い、必要に応じて表示内容を「表示一体型座標入力装置101」に表示させる使用態様も、一応想定し得る。

しかしながら、いずれの使用態様においても、上述したような2つの「表示一体型座標入力装置101」及び「表示一体型座標入力装置102」のうち、片方のモニタは講義で用い、もう片方のモニタには、必要に応じて、講義で用いた表示内容をキャプチャしたものを貼り付ける使用態様において、さらに、講義において、貼り付けられる側である後者のモニタの表示内容を、講義で用いる前者のモニタに貼り付けるような使用態様までも、引用発明に基づいて想定し得るとはいえないことから、

引用発明の、その位置に基づいてキャプチャを指示する「マルチページツールバー1501」は、講義に用いる側のモニタに表示されていれば十分であって、モニタ1とモニタ2の間で移動可能にする必要はないものといえる。

したがって、引用発明において、「マルチページツールバー1501」をモニタ1とモニタ2の間で移動可能にすることには、その動機付けがないといえる。

引用文献1には、段落【0002】を参照すると、従来の技術として、「すなわち、一つのPCに複数の表示装置(・・・中略・・・)を接続することにより、一つの画面を形成し、各種アプリケーションないしソフトウェアの表示領域を拡大することが可能となっている。マルチモニタ環境により、各アプリケーションで表示装置間の移動が可能となっており、表示装置間にまたがってウィンドウを操作可能となっている。」との記載があるものの、当該段落【0002】に開示された、表示領域を拡大することが可能なマルチモニタ環境において、表示装置間の移動が可能であって、表示装置間にまたがってウィンドウを操作可能なアプリケーションの技術を、引用発明の「マルチページツールバー1501」に適用することは、上述した理由により動機付けがないといえる。

したがって、本願発明1は、引用発明ではなく、また、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2~9について

本願発明2~6は、上記相違点に係る本願発明1の上記構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明ではなく、また、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

また、本願発明7は、本願発明1を「画像処理システム」の発明として特定したものであり、本願発明8は、本願発明1を「画像処理方法」の発明として特定したものであり、本願発明9は、本願発明1を「プログラム」の発明として特定したものであるから、本願発明7、8及び9のいずれも、上記相違点に係る本願発明1の上記構成と同一の構成を備えるものであるため、本願発明1と同様の理由により、引用発明ではなく、また、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断

令和3年11月18日になされた手続補正により補正された請求項1~9は、「前記第1画面及び前記第2画面の間を移動可能なツールバー」という構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1~9は、上記引用文献1に記載された発明ではなく、また、上記引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。したがって、原査定を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について

当審では、請求項1~9において、「第1画面」、「第2画面」、及びこれらを「つなげた1つの画面」の各画面と、「画像表示装置」及び「画像処理装置」のそれぞれが備えるディスプレイにおける表示内容との関係が不明確であり、「第1画面」と「第2画面」とを「つなげ」るとは、どのような処理か不明確であり、また、「選択」することと「表示画像を生成する」こととの関係が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年11月18日になされた手続補正において、請求項1の「表示部」について、「前記画像処理装置に表示される第1画面と、前記画像処理装置のディスプレイの拡張として前記画像表示装置のディスプレイに表示させる第2画面とを、前記第1画面と前記第2画面とがつながった1つの画面のようにユーザが操作することができるように表示させる表示部」と補正され、また、請求項1の「画像処理部」について、「選択された画面をキャプチャして前記表示画像を生成する画像処理部」と補正され、さらに、請求項7~9においても同様の補正がなされた結果、この拒絶理由は解消した。

第8 むすび

以上のとおり、本願発明1~9は、引用発明ではなく、また、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-017433

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