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特許拒絶査定不服審判

2020-016756

取込まれた像のパススルー表示

審判番号
2020-016756
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-550729外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年12月04日
審決日
2022年01月31日
公報発行日
2022年07月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第158条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-550729号「取込まれた像のパススルー表示」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月10日国際公開、WO2016/179164、平成30年8月16日国内公表、特表2018-523142号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成28年5月3日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2015年5月4日 米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。

平成29年10月31日 :翻訳文の提出
同年12月13日 :手続補正書の提出
平成30年 8月31日付け:拒絶理由通知書

同年12月 5日 :意見書、手続補正書の提出

令和 元年 5月16日付け:拒絶理由通知書(最後)

同年 8月19日 :意見書、手続補正書の提出

同年12月27日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 2年 4月 2日 :意見書、手続補正書の提出

同年 7月27日付け:補正の却下の決定

同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同年8月4日 :原査定の謄本の送達)

同年12月 4日 :審判請求書の提出

同月14日付け:手続補正指令書
令和 3年 1月13日 :手続補正書(方式)

同年 9月 2日付け:拒絶理由通知書

同年12月 7日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明について

本願の請求項1~15に係る発明は、令和3年12月7日に提出された手続補正書により補正された請求項1~15に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。以下、請求項1に記載された事項により特定される発明を「本願発明」という。

「【請求項1】
ヘッドマウントデバイスの表示を制御するための方法であって、
前記ヘッドマウントデバイスに設けられた第1の撮像センサによって取込まれた第1の画像の各画素行を前記第1の撮像センサから連続的に出力するステップと、
前記ヘッドマウントデバイスに設けられた第2の撮像センサによって取込まれた第2の画像の各画素行を前記第2の撮像センサから連続的に出力するステップと、
前記第1の撮像センサからの連続的な出力が開始された後に、前記第1の画像の最後の画素行が前記第1の撮像センサによって出力される前に、前記第1の撮像センサから出力された各前記画素行の第1のサブセットに基づき、前記ヘッドマウントデバイスのディスプレイ装置の第1の領域に画像を表示するステップと、
前記第2の撮像センサからの連続的な出力が開始された後に、前記第2の画像の最後の画素行が前記第2の撮像センサによって出力される前に、前記第2の撮像センサから出力された各前記画素行の第2のサブセットに基づき、前記ディスプレイ装置の第2の領域に画像を表示するステップとを含み、
前記第1の領域は、前記ヘッドマウントデバイスのユーザの左目に対応し、
前記第2の領域は、前記ユーザの右目に対応する、方法。」

第3 審査段階における拒絶理由通知の概要について

1 平成30年8月31日付け拒絶理由通知

平成30年8月31日付けで通知した、請求項1に係る発明についての拒絶の理由3(進歩性欠如)の概要は、次のとおりである。

本願の請求項1に係る発明は、下記の引用文献1、2又は3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献1:特開2014-93705号公報(主たる引用例)
引用文献2:米国特許出願公開第2014/0240469号明細書

(主たる引用例)

引用文献3:特表2014-511606号公報(主たる引用例)

引用文献1では、遅延(段落0001等)しないようにすることや、行毎、行のサブセット(段落0024「Nライン目」、「N~(N+i)ライン目」、段落0027「1ライン分」、「線順次」等)での処理が示唆されており、第2の画素行が第1の撮像センサによって出力される前に、第1の画素行を表す画素行をディスプレイ装置において表示するように構成することは、当業者ならば容易になし得たものである。

また、引用文献2、3でも、行毎又は行のサブセットでの処理(例えば、引用文献2の段落0072,0081等、引用文献3の段落0041等)が示唆されており、第2の画素行が第1の撮像センサによって出力される前に、ディスプレイ装置において出力するように構成することは、当業者ならば容易になし得たものである。

2 令和元年5月16日付け拒絶理由通知

令和元年5月16日付けで通知した、請求項1に係る発明についての拒絶の理由(進歩性欠如)の概要は、次のとおりである。

本願の請求項1に係る発明は、下記の引用文献1、2又は3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献1:特開2014-93705号公報(主たる引用例)
引用文献2:米国特許出願公開第2014/0240469号明細書

(主たる引用例)

引用文献3:特表2014-511606号公報(主たる引用例)
引用文献4:国際公開第2013/125138号(周知例)
引用文献5:特開2009-25919号公報(周知例)
引用文献6:特開2002-354505号公報(周知例)
引用文献7:中国実用新案第204101815号明細書(周知例)
引用文献8:特表平6-509185号公報(周知例)

この種の装置においてヘッドマウントデバイスへの適用(例えば引用文献3の段落0001、0009「撮像装置を備えたヘルメット、ヘッドマウント」等を参照)は周知なものであって、当業者ならば容易になし得たものである。

そして、ヘッドマウントデバイスは、右目及び左目にそれぞれ対応した表示領域を有するものが一般的であるところ(例えば引用文献4の段落0002「頭部に装着して画像を視聴する表示装置、すなわちヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)が広く知られている。ヘッド・マウント・ディスプレイは、左右の眼毎に光学ユニットを持ち」等、引用文献5の図1及び図7、段落0002-0007等、引用文献6の図1及び図3、引用文献7の図1、図2等、引用文献8の図1、第3頁左上欄及び右上欄における左眼スクリーン及び右眼スクリーン等)、前記各表示領域にそれぞれ対応させた撮像センサを設けたものも一般的なものであることから(引用文献5の段落0003「ビデオシースルー型HMDを用いた一般的な複合現実感提示システム」、段落0007「撮像部703は、ステレオ画像を撮像すべく、右目用の撮像素子、左目用の撮像素子・・・により構成されている」等、引用文献6の図1の全方位撮像器1a、1b及び図3の撮像装置11a、11b等)、ヘッドマウントデバイスへの適用にあたり、右目及び左目にそれぞれ対応して取り込まれた画像に対して各画素行の表示制御を行うように構成することは、当業者ならば容易になし得たものである。

3 令和元年12月27日付け拒絶理由通知

令和元年12月27日付けで通知した、請求項1に係る発明についての拒絶の理由(進歩性欠如)の概要は、次のとおりである。

本願の請求項1に係る発明は、下記の引用文献2又は3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献2:米国特許出願公開第2014/0240469号明細書

(主たる引用例)

引用文献3:特表2014-511606号公報(主たる引用例)
引用文献1:特開2014-93705号公報(周知例)
引用文献4:国際公開第2013/125138号(周知例)
引用文献5:特開2009-25919号公報(周知例)
引用文献6:特開2002-354505号公報(周知例)
引用文献7:中国実用新案第204101815号明細書(周知例)
引用文献8:特表平6-509185号公報(周知例)
引用文献9:米国特許出願公開第2015/0029218号明細書

(周知例)

出願人は、「前記第1の画素行の位置に関連付けられた拡張現実オーバーレイ情報に基づいて、前記画素行バッファにおいて前記第1の画素行を修正して、前記第1の画素行を表わす前記画素行を生成する」事項について、容易想到ではない旨の主張をしている(なお、出願人は、請求項1-16、20について、引用文献1では容易想到ではない旨の主張をしているが、引用文献2または3に対しては具体的な主張はしていない。)。

前記主張について、以下に検討する。

画素行バッファを用いた処理は周知技術(例えば、引用文献4の主に段落0102-0106、0122、図19のバッファーまたはライン・メモリーでの画像補正、引用文献9の段落0063、図4C等。引用文献1の主に段落0025-0027におけるラインバッファーでの画像処理も参照。)であって、引用文献2(段落0072、0081、0086等)、引用文献3(段落0005での関連情報の重ね合わせなどの処理、段落0021の画像処理としての画素サブセットと追加画素サブセットとの融合、段落0041の行全体の画素または行のサブセットの画素を含む画素サブセットに対する画像処理、段落0051のラインバッファメモリ、段落0052のバッファ等を参照)でも示唆されているから、引用文献2または3に記載された発明において、画素行バッファで画素行の修正・生成を行うことは、当業者ならば容易になし得たものである。

そして、拡張現実オーバーレイ情報(引用文献2の段落0030-0031、0080、0086等)の表示も開示されており、また周知技術(引用文献4の段落0002「仮想現実感」、引用文献5の段落0002等、引用文献9の段落0001、0063等も参照)とも言えるから、画像処理として拡張現実オーバーレイ情報について修正を行うことも、当業者ならば容易になし得たものである。

第4 当審の判断

1 当審の判断の概要について

当審において、令和3年9月2日付けでサポート要件違反の拒絶の理由を通知したところ、令和3年12月7日にした手続補正により、請求項1に係る発明の構成の一部が削除された。当審において、引用文献3を主たる引用例とする進歩性欠如の拒絶の理由について改めて検討したところ、後述するとおり、本願発明は、引用文献3に記載された発明及び引用文献5、6に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであると判断した。

この拒絶の理由は、前記第3に示した審査段階の3つの拒絶理由通知1~3のうち、「2 令和元年5月16日付け拒絶理由通知」における、引用文献3を主たる引用例とした拒絶の理由と実質的に同じである。

そして、審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有するから(特許法158条)、この拒絶の理由に対して、請求人(出願人)には意見を述べる機会が既に与えられたといえる。

2 引用発明について

(1) 引用文献3の記載事項

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審査段階の拒絶の理由において主たる引用例として引用した引用文献3(特表2014-511606号公報)には、以下の記載がある。下線は、当審において付与したものである。

「【0001】
本発明は、リアルタイムで画像を取得および表示するための撮像装置および方法に関する。本発明はさらに、上述の撮像装置を備えたヘルメット、ヘッドマウント、ライフル照準器、または携帯用デバイスに関する。」
「【0035】
図2は、リアルタイムの画像取得および画像表示するための撮像装置100を示す図である。撮像装置100はイメージセンサ110を備え、イメージセンサ110は画像142を取得するための放射感応アレイ120を備える。撮像装置100はさらに、画像142を読み出すために放射感応アレイ120に接続される読み出し回路140と、処理画像162を取得するために画像142を処理する信号プロセッサ160とを備える。そのために、読み出し回路140は、信号プロセッサ160に接続された状態で示されている。撮像装置100はさらに、最後に処理画像162を表示するディスプレイ180を備える。
【0036】
図3は、放射感応アレイ120を備えるイメージセンサ110を示す図である。図示されるように、放射感応アレイ120は、センサ画素行122の配列から成る。当然、図3に明確に示されていないが、放射感応アレイ120は、アレイであることの結果として、さらにセンサ画素列の配列から成ることに留意されたい。さらに図3には、ディスプレイ画素行182の配列から成るディスプレイ画素アレイとしてディスプレイ180が示されている。当然、図3に明確に示されていないが、ディスプレイ180は、アレイであることの結果として、さらにディスプレイ画素列の配列から成ることに留意されたい。
続きを表示(全20行)
【0037】
撮像装置100の動作時に、読み出し回路140は、画素サブセット124を順次送信するためにセンサ画素行122を順次読み出す。この読み出しは、図4および図5のタイミング図に示されている。この場合、S1はイメージセンサ110から画像142を読み出す期間を示している。図4は、上述のダイレクトビューシステムと比較できるように、図1と同様の方法で期間を示している。図5では、横軸は時間を示し、縦軸は行数を示し、Rnは放射感応アレイ120の最上行を示しており、R0は最下行を示している。したがって、図5は、読み出し回路140が期間S1の初めに行Rnを読み出して、最後に行R0を読み出す様子を示している。その結果、読み出しS1の間に、全ての行RnからR0が順次読み出される。
【0038】
上述した放射感応アレイ120の読み出しS1は、ローリングシャッタ回路である読み出し回路140によって行われる。ローリングシャッタ回路140は、スナップショットシャッタを使用して放射感応アレイ120を読み出すように構成された回路とは異なる。ローリングシャッタ回路の基本的な動作原理は、(i)行の露光を初期化するために、そして(ii)前記露光後に行のコンテンツを読み出すために、放射感応アレイ120が各行ごとに、すなわち、ライン単位でアドレッシングされるというものである。これは、一般的に、放射感応アレイ120の個々の行にアドレッシングする2つのポインタを使用して行われる。一方のポインタは、現在アドレッシングされている行の露光を初期化するためにその行のリセットを行い、他方のポインタは、読み出される行をアドレッシングする。2つのポインタの位置の差が有効露光時間である。すなわち、「リセット」ポインタが1行のみの差で「読み出し」ポインタの後を追う場合、露光時間は最大となる。
【0039】
一方、スナップショットシャッタを使用する回路は、一般的には、放射感応アレイからフレームバッファメモリに画像全体を読み出す前に、放射感応アレイ全体を同時に露光する。画像全体を読み出すのに必要な時間の間、放射感応アレイは、それ以上露光しないように構成される。不利な点としては、前記回路による露光時間はローリングシャッタ回路の露光時間より短いということである。一般的に、露光時間が短いことで、信号対雑音比が悪い画像になってしまう、つまり、より雑音が多くなる。文献「EBAPS:NextGeneration,Low Power,Digital Night Vision」(Aebi氏他、Intevac社、OPTRO2005シンポジウム、フランス、パリ)には、カメラセンサの露光時間を最大にするためのローリングシャッタ回路の使用について記載されている。
【0040】
ローリングシャッタ回路140のポインタは、イメージセンサ110自体のインターナルステートマシンによって増やされてもよい。すなわち、ローリングシャッタ回路140は、イメージセンサ110の一部としてもよい。外部ロジック、例えば、イメージセンサ110の外部に配置されるフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を使用して、ステートマシンをクロッキングして、露光時間を決定するための2つのポインタ間の間隔をプログラムすることができる。
【0041】
ローリングシャッタ回路140は、センサ画素行122を順次読み出すことによって、画素サブセット124を順次送信する。画素サブセット124は、行全体の画素または行のサブセットの画素を含む。画素サブセットはさらに、1行の画素サブセット、例えば、1画素または複数の隣接画素を含む。ローリングシャッタ回路140は、画素サブセット124を信号プロセッサ160に送信し、信号プロセッサ160は、画素サブセット124が利用可能である時に、画素サブセットを処理して処理画素サブセットを生成する。信号プロセッサ160は、順次送信された画素サブセットを処理することによって、画像142を効率的に処理し、処理画像162を生成する。この処理は、図4および図5のタイミング図に示されている。この場合、P1は画像142を処理する期間を示している。図5は、読み出し回路140が期間P1の初めに行Rnを処理して、最後に行R0を処理する様子を示している。その結果、読み出しP1の間に、全ての行RnからR0が順次処理される。
【0042】
読み出しS1と処理P1との間の時間遅延は、図4および図5に示されるように、特に、画素サブセット124のサイズに左右される。例えば、画素サブセット124がセンサ画素行122の画素を含む場合、処理P1は、読み出しS1に対して、少なくとも前記画素サブセット124を読み出して信号プロセッサ160に送信するのに必要な期間だけ遅延される。しかしながら、前記時間遅延は、画素サブセット124を順次送信することができるので、画像142全体の読み出しに対応する時間遅延より大幅に小さいことは理解できるであろう。
【0043】
ディスプレイ180は、処理画素サブセットが利用可能である時に、対応するディスプレイ画素サブセット184に処理画素サブセットを表示する。ディスプレイ180は、順次生成された処理画素サブセットを表示することによって、処理画像162を効率的に表示する。この表示は、図4および図5のタイミング図に示されている。この場合、D1は処理画像162を表示する期間を示している。図5は、ディスプレイ180が期間D1の初めに行Rnを表示し、最後に行R0を表示する様子を示している。表示D1と処理P1との間の時間遅延は、読み出しS1と処理P1との間の時間遅延と同様の考え方を適用できることがわかるであろう。したがって、図2に示されている撮像装置は、読み出しS1と表示D1との間の時間遅延に相当するレイテンシLを生じる。また、次の画像の読み出しS2は画像の読み出しS1が完了した後に開始されることがわかるであろう。同様に、処理P2は処理P1が完了した後に開始され、表示D2は表示D1が完了した後に開始される。
【0044】
図6は、撮像装置200の図である。撮像装置200は、イメージセンサ110および読み出し回路140に隣接して、追加イメージセンサ210および追加読み出し回路240を備える。追加イメージセンサ210は、追加画像242を取得するための追加放射感応アレイ220を備える。追加読み出し回路240は、追加画像242を読み出すために、追加放射感応アレイ220に接続される。」
「【0055】
当然、本発明は、種々のイメージセンサに対して使用することができるので、例えば、可視光イメージセンサまたは熱センサに限定されない。また、画像142と追加画像242との合成は、例えば、追加画像242の特定の要素を画像142の上に重ね合わせることによって画像142を追加画像242と融合させることを含んでもよい。しかしながら、合成はさらに、画像142と追加画像242のサイドバイサイド方式、ピクチャインピクチャ方式、または同じ空間配置を含む処理画像262の作成を含んでもよい。」
「【図2】
[図:0001385643000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001385643000002.jpg]
」
「【図4】
[図:0001385643000003.jpg]
」
「【図5】
[図:0001385643000004.jpg]
」
「【図6】
[図:0001385643000005.jpg]
」

(2) 引用発明の認定

ア 引用文献3の段落【0037】、【0041】、【0043】の記載、及び【図5】の図示内容から、「画像142を読み出す期間S1の初めに放射感応アレイ120の最上行Rnが読み出された後であって、最後に最下行R0が読み出される前に、ディスプレイ180は、処理画像162を表示する期間D1の初めに最上行Rnを表示し始めていること」が読み取れる。

イ 上記アにおいて認定した事項及び上記(1)において摘記した記載事項を総合すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]

「撮像装置を備えたヘッドマウントにおいて、リアルタイムで画像を取得および表示するため方法であって、(【0001】)
リアルタイムの画像取得および画像表示するための撮像装置100は、イメージセンサ110を備え、イメージセンサ110は、画像142を取得するための放射感応アレイ120を備え、
撮像装置100はさらに、画像142を読み出すために放射感応アレイ120に接続される読み出し回路140と、処理画像162を取得するために画像142を処理する信号プロセッサ160とを備え、
読み出し回路140は、信号プロセッサ160に接続され、
続きを表示(全19行)
撮像装置100はさらに、処理画像162を表示するディスプレイ180を備えており、(【0035】)
放射感応アレイ120は、センサ画素行122の配列から成り、
ディスプレイ180は、ディスプレイ画素行182の配列から成るディスプレイ画素アレイから成り、(【0036】)
撮像装置100の動作時に、読み出し回路140は、画素サブセット124を順次送信するためにセンサ画素行122を順次読み出し、
イメージセンサ110から画像142を読み出す期間S1の初めに放射感応アレイ120の最上行Rnを読み出して最後に最下行R0を読み出し、読み出す期間S1の間に全ての行RnからR0が順次読み出され、(【0037】)
放射感応アレイ120の読み出しS1は、ローリングシャッタ回路である読み出し回路140によって行われ、(【0038】)
ローリングシャッタ回路140は、センサ画素行122を順次読み出すことによって、画素サブセット124を順次送信するものであり、
画素サブセット124は、行全体の画素または行のサブセットの画素を含み、
ローリングシャッタ回路140は、画素サブセット124を信号プロセッサ160に送信し、
信号プロセッサ160は、画素サブセット124が利用可能である時に、画素サブセットを処理して処理画素サブセットを生成するものであって、順次送信された画素サブセットを処理することによって、画像142を効率的に処理し、処理画像162を生成し、
読み出し回路140が画像142を処理する期間P1の初めに行Rnを処理して最後に行R0を処理し、その結果、期間P1の間に、全ての行RnからR0が順次処理され、(【0041】)
ディスプレイ180は、処理画素サブセットが利用可能である時に、対応するディスプレイ画素サブセット184に順次生成された処理画素サブセットを表示し、処理画像162を表示する期間D1の初めに行Rnを表示し、最後に行R0を表示し、
撮像装置は、読み出しS1と表示D1との間の時間遅延に相当するレイテンシLを生じ、(【0043】)
画像142を読み出す期間S1の初めに放射感応アレイ120の最上行Rnが読み出された後であって、最後に最下行R0が読み出される前に、ディスプレイ180は、処理画像162を表示する期間D1の初めに最上行Rnを表示し始めている、(上記ア)
方法。」

3 周知技術について

(1) 引用文献5の記載事項

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審査段階の拒絶の理由において周知例として引用した引用文献5(特開2009-25919号公報)には、以下の記載がある。下線は、当審において付与したものである。

「【0003】
図7は、ビデオシースルー型HMDを用いた一般的な複合現実感提示システムの機能構成を示すブロック図である。
【0004】
701は、ビデオシースルー型のHMDである。HMD701は、撮像部703、表示部704、3次元位置姿勢センサ705、I/F(インターフェース)706を有する。
続きを表示(全12行)
【0005】
702は、HMD701から受け取った3次元位置姿勢情報に基づいて仮想空間画像(CG)を生成し、HMD701から受け取った撮像画像との合成処理を行う画像処理装置である。画像処理装置702は、一般にはPC(パーソナルコンピュータ)やワークステーション等の高性能な演算処理機能やグラフィック表示機能を有する装置により構成されている。画像処理装置702は、I/F707、位置姿勢情報生成部708、CG描画合成部710、コンテンツDB(データベース)709を有する。
【0006】
先ず、HMD701を構成する各部の動作について説明する。
【0007】
撮像部703は、HMD701を頭部に装着するユーザの視線位置と略一致する外界の画像を撮像する。撮像部703は、ステレオ画像を撮像すべく、右目用の撮像素子、左目用の撮像素子、光学系、そして後段の画像処理のためのDSP(Digital Signal Processing)により構成されている。
【0008】
表示部704は、画像処理装置702から送出される右目用のMR画像、左目用のMR画像を表示するためのものである。従って、表示部704は、右目用の表示デバイス、左目用の表示デバイス、光学系により構成されている。それぞれの表示デバイスとしては、小型の液晶ディスプレイやMEMS(MicroElectro-Mechanical Systems)による網膜スキャンタイプのデバイスが用いられる。」
「【図7】
[図:0001385643000006.jpg]
」

(2) 引用文献6の記載事項

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審査段階の拒絶の理由において周知例として引用した引用文献6(特開2002-354505号公報)には、以下の記載がある。下線は、当審において付与したものである。

「【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
(第1実施の形態)図1は、第1実施の形態による立体視システムの構成を示す図である。図1において、1a,1bは、人間の左右の目の間隔(7cm程度)だけ離隔させて設置した2個の全方位撮影器であり、各全方位撮影器1a,1bは、略全方位つまり周方向略360度の視野範囲を一度に撮影して、全方位撮影器1aは右目用の画像データを取得し、全方位撮影器1bは左目用の画像データを取得する。
【0018】図2は、この全方位撮影器1a,1bの構成例を示す斜視図である。図2において、31はガラス材からなる凸面鏡であり、支持体32に取付け支持されている。凸面鏡31の頂部と対向する位置には、レンズ,CCD等を有するカメラ33が配置されており、カメラ33は透明な筒体34を介して凸面鏡31に連結されている。筒体34は、一端側が凸面鏡31の外周の支持体32に固定されると共に、他端側が光透過用の窓孔35を有する連結部材36を介してカメラ33に接続されている。また、凸面鏡31の頂部には、先端側が凸面鏡31の軸線延長上をカメラ33方向に延出する棒状体37が設けられている。
【0019】このような構成により、カメラ33の光軸を中心とした360度の全方位からの光が筒体34を介して凸面鏡31に当たり、カメラ33のレンズに集光されて周方向略全域の画像を撮影することができる。筒体34の内面反射光が凸面鏡31にてカメラ33のレンズに集光されて、撮影画像の精度が低下する可能性があるが、図2の構成例ではこれを防止するために、つまり、不要な反射光がカメラ33側に導かれないように、棒状体37を設けている。筒体34の内面で反射して凸面鏡31に達するような光は、その内面で反射する前に必ず凸面鏡31の軸線延長上を横切ることになるため、その位置に棒状体37を設けておくことにより、内面反射されて凸面鏡31に達するような光を全てこの棒状体37で遮ることができる。よって、取得画像データの精度の向上を図れる。
【0020】図1において、2はユーザが頭部に装着するHMDであり、HMD2は、右目用のディスプレイ2a及び抽出部3aと、左目用のディスプレイ2b及び抽出部3bとを有する。右目用の全方位撮影器1aと右目用の抽出部3aとはデータ回線4aにて接続されており、抽出部3aは、HMD2の向きに応じて、全方位撮影器1aから入力された周方向略全域の画像データから所望の画角範囲の画像データを抽出して右目用のディスプレイ2aへ出力し、ディスプレイ2aがその抽出された画像データに応じた右目用の画像を表示する。同様に、左目用の全方位撮影器1bと左目用の抽出部3bとはデータ回線4bにて接続されており、抽出部3bは、HMD2の向きに応じて、全方位撮影器1bから入力された周方向略全域の画像データから所望の画角範囲の画像データを抽出して左目用のディスプレイ2bへ出力し、ディスプレイ2bがその抽出された画像データに応じた左目用の画像を表示する。また、全方位撮影器1a,1bにはデータ回線4a,4bを介して格納部5が接続されており、格納部5は全方位撮影器1a,1bにて取得された画像データを格納する。
【0021】このような構成により、2個の全方位撮影器1a,1bにて取得された夫々の周方向略全域の画像データから、HMD2の向きに応じて、抽出部3a,3bにて所望の画角の画像データが夫々抽出されて対応するディスプレイ2a,2bへ出力され、各ディスプレイ2a,2bに画像が夫々表示される。全方位撮影器1a,1bは両目の間隔だけ離隔して設けられているため、視差がある右目用の画像,左目用の画像がディスプレイ2a,2b夫々に表示されるので、HMD2を装着したユーザに立体視画像を呈示することが可能となる。
【0022】この第1実施の形態では、周方向略全域(略360度)の取得画像データから表示用の画像データを抽出するようにしているので、任意の画角範囲の画像データを抽出することが可能となり、通常のカメラを用いた従来例よりも広い画角の画像データを得ることができ、広画角の立体視画像をユーザに呈示することを実現できる。
【0023】(第2実施の形態)図3は、第2実施の形態による立体視システムの構成を示す図である。図3において、11a,11bは、人間の左右の目の間隔(7cm程度)だけ離隔させて設置した2個の撮影装置であり、各撮影装置11a,11bは、180度程度の画角の視野範囲を撮影して、撮影装置11aは右目用の画像データを取得し、撮影装置11bは左目用の画像データを取得する。なお、他の構成部材は図1に示した第1実施の形態と同様であり、同様の構成部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。」
「【図1】
[図:0001385643000007.jpg]
」
「【図3】
[図:0001385643000008.jpg]
」

(3) 周知技術の認定

上記(1)及び(2)において摘記した記載事項から、次の技術事項は当業者にとって周知なものであったと認められる(以下「周知技術」という。)

[周知技術]。

「ヘッドマウントディスプレイにおいて、ユーザの左目及び右目に対応するように2つの撮像センサを設け、各撮像センサから出力される画像を、ユーザの左目及び右目に対応した表示部の別々の領域にそれぞれ表示すること。」

4 対比・判断について

(1) 対比

本願発明と引用発明を対比する。

ア 引用発明の「リアルタイムの画像取得および画像表示するための撮像装置100」を備えた「ヘッドマウント」は、本願発明の「ヘッドマウントデバイス」に相当する。

イ 引用発明の「ヘッドマウント」の「撮像装置100」に備えられた「イメージセンサ110」は、本願発明の「前記ヘッドマウントデバイスに設けられた」「撮像センサ」に相当する。

ウ 引用発明の「ヘッドマウント」の「撮像装置100」に備えられた「ディスプレイ180」は、本願発明の「前記ヘッドマウントデバイスのディスプレイ装置」に相当する。

エ 引用発明の「ヘッドマウント」の「撮像装置100」に備えられた「信号プロセッサ160」は、「画素サブセット124が利用可能である時に、画素サブセットを処理して処理画素サブセットを生成するもの」であり、「ディスプレイ180」は、「処理画素サブセットが利用可能である時に、対応するディスプレイ画素サブセット184に順次生成された処理画素サブセットを表示」するものであるから、引用発明の「ヘッドマウント」の「撮像装置100」では、「ディスプレイ180」における表示の制御が行われているといえる。

よって、引用発明の「撮像装置を備えたヘッドマウントにおいて、リアルタイムで画像を取得および表示するため方法」は、本願発明の「ヘッドマウントデバイスの表示を制御するための方法」に相当する。

オ 引用発明の「撮像装置100の動作時に、読み出し回路140は、画素サブセット124を順次送信するためにセンサ画素行122を順次読み出」すことは、本願発明の「前記ヘッドマウントデバイスに設けられた撮像センサによって取込まれた画像の各画素行を前記撮像センサから連続的に出力する」ことに相当する。

カ 引用発明の「画像142を読み出す期間S1の初めに放射感応アレイ120の最上行Rnが読み出された後であって、最後に最下行R0が読み出される前に、ディスプレイ180は、処理画像162を表示する期間D1の初めに最上行Rnを表示し始め」ることは、本願発明の「撮像センサからの連続的な出力が開始された後に、画像の最後の画素行が前記撮像センサによって出力される前に、前記撮像センサから出力された各前記画素行のサブセットに基づき、前記ヘッドマウントデバイスのディスプレイ装置に画像を表示する」ことに相当する。

キ 上記ア~カの対比内容をまとめると、本願発明と引用発明は、次の一致点で一致し、次の相違点において相違する。

[一致点]

「ヘッドマウントデバイスの表示を制御するための方法であって、
前記ヘッドマウントデバイスに設けられた撮像センサによって取込まれた画像の各画素行を前記撮像センサから連続的に出力するステップと、
前記撮像センサからの連続的な出力が開始された後に、画像の最後の画素行が前記撮像センサによって出力される前に、前記撮像センサから出力された各前記画素行のサブセットに基づき、前記ヘッドマウントデバイスのディスプレイ装置に画像を表示するステップを含む、方法。」

[相違点]

本願発明では、「撮像センサ」が「第1の撮像センサ」及び「第2の撮像センサ」の2つであり、

「前記ヘッドマウントデバイスに設けられた撮像センサによって取込まれた画像の各画素行を前記撮像センサから連続的に出力するステップ」

及び

「前記撮像センサからの連続的な出力が開始された後に、画像の最後の画素行が前記撮像センサによって出力される前に、前記撮像センサから出力された各前記画素行のサブセットに基づき、前記ヘッドマウントデバイスのディスプレイ装置に画像を表示するステップ」

が、「第1の撮像センサ」及び「第2の撮像センサ」のそれぞれについてのステップとして構成され、

「第1の撮像センサ」からの「第1の画像」が表示される「第1の領域」が、「前記ヘッドマウントデバイスのユーザの左目に対応し」、

「第2の撮像センサ」からの「第2の画像」が表示される「第2の領域」が、「前記ユーザの右目に対応する」のに対して、

引用発明では、ユーザの左目及び右目に対応するような2つのイメージセンサを備えて各画像をディスプレイ180の別々の領域に表示するものか不明である点。

(2) 相違点の検討

ア ヘッドマウントディスプレイにおいて、ユーザの左目及び右目に対応するように2つの撮像センサを設け、各撮像センサから出力される画像を、ユーザの左目及び右目に対応した表示部の別々の領域にそれぞれ表示することは周知の技術である(前記3(3)を参照)。

イ ここで、引用文献3の【0044】及び【0055】には、「イメージセンサ110」に隣接して「追加イメージセンサ210」を設け、各センサから出力される画像をサイドバイサイド方式で合成すること(並べて表示すること)が記載されているから、引用文献3においても、2つの撮像センサを設けることが示唆されているといえる。

ウ そうすると、引用発明に上記周知の技術を適用して、引用発明のイメージセンサをユーザの左目及び右目に対応させた2つのものとして構成し、イメージセンサからの画像出力や、画像の表示制御を各イメージセンサ単位で行い、ユーザの左目及び右目に対応した別々の領域において画像が表示されるように構成することにより、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。

エ そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測可能な範囲内のものにすぎず、格別顕著なものであるということはできない。

オ したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものである。

(3) 請求人の主張について

ア 請求人の主張の内容

折りたたみ中(クリックで表示)

(ア) 請求人は、令和3年12月7日に提出した意見書において、同日付けで補正された請求項1に係る発明が、引用文献1~9に記載された発明に基づいて容易に発明できたものではない旨の主張を特段していない。

(イ) 請求人は、請求項1に係る発明について、審判請求書において次の主張をしている。

「第3 本願が特許されるべき理由について
1 請求項1
(1) 相違点1
(a)本願請求項1に係る発明は、「連続的に出力」に係る構成、すなわち、「前記ヘッドマウントデバイスに設けられた第1の撮像センサによって取込まれた第1の画像の画素行の第1のセットの各画素行を前記第1の撮像センサから連続的に出力する」構成と、「前記ヘッドマウントデバイスに設けられた第2の撮像センサによって取込まれた第2の画像の画素行の第2のセットの各画素行を前記第2の撮像センサから連続的に出力する」構成とを備えます(下線は、請求人において付記、以下同様)。
続きを表示(全11行)
(b)これに対して、いずれの引用文献にも、これらの構成に相当する技術的特徴は開示も示唆もありません。当該示唆すらないことは、拒絶理由通知書および拒絶査定において、「連続的に出力」することに関する言及がなされていないことからも明らかであると思料致します。
(c)よって、請求項1に係る発明は、当業者といえども、各引用文献に基づいて、個別的にも又は組み合わせによっても、さらには周知慣用技術を付加しても、容易になし得ない発明であると思料致します。
(2) 相違点2
(a)本願請求項1に係る発明は、「前記第1の撮像センサからの連続的な出力が開始された後に、前記第1の画像の第1の画素行を表わす画素行を、前記第1の画像の第2の画素行が前記第1の撮像センサによって出力される前に、前記ヘッドマウントデバイスのディスプレイ装置の第1の領域において表示する」構成と、「前記第2の撮像センサからの連続的な出力が開始された後に、前記第2の画像の第3の画素行を表わす画素行を、前記第2の画像の第4の画素行が前記第2の撮像センサによって出力される前に、前記ディスプレイ装置の第2の領域において表示する」構成とを備えます。
(b)係る構成を有する本願発明によれば、「画像を処理して表示し始める前に、画素データの行(以下、「画素行」)をすべてバッファリングするのではなく、少なくとも1つの実施形態において、ディスプレイシステムは、画像の最後の画素行が撮像センサによって出力される前に、撮像センサによって出力された画像の画素行の処理および表示を開始」します(段落0009)。そして、『この態様では、バッファが画像のうち最初の画素行で満たされている最初の短い期間の後、各々の画素行が撮像センサによって出力されてバッファにバッファリングされると、別の画素行がバッファからアクセスされ、ディスプレイ装置の画素の対応する行に表示される。このため、このプロセスはこの明細書中においては「パススルー表示(pass-through display)」と称され、パススルー表示をもたらすように撮像センサに連結されたディスプレイ装置の構成は、撮像センサからの「ライン」(すなわち画素行)の出力とディスプレイ装置において表示された対応するラインまたは行との間のこの1対1の同期を反映させるための「ラインロック型(line-locked)」ディスプレイと称される。このパススルー表示プロセスでは、画像処理およびその後の表示処理を始める前に画像全体をバッファリングする必要が無くなり、このため、画像取込みと表現的画像の表示との間の遅延が、従来のディスプレイシステムと比べて著しく減じられている。これにより、この明細書中に記載されるパススルー表示システムおよび技術は、従来のディスプレイシステムと比べて、ユーザ経験を向上させる。』ことが可能となります。
(c)これに対して引用文献1には、当該構成に相当する技術的特徴は、開示も示唆もありません。当該示唆すらないことは、上述の通り、拒絶理由通知書および拒絶査定において「連続的な出力」に関するご認定がなされていないことからも明らかであると思料致します。
(d)よって、この点からも、請求項1に係る発明は、各引用文献に基づいて、当業者が容易になし得ない発明であると思料致します。」

イ 請求人の主張についての検討

折りたたみ中(クリックで表示)

上記主張(イ)について検討する。

(ア) 前記(1)オにおいて説示したとおり、引用発明では、「撮像装置100の動作時に、読み出し回路140は、画素サブセット124を順次送信するためにセンサ画素行122を順次読み出」すことを行っており、このことは、本願発明の撮像センサによって取込まれた画像の各画素行を前記撮像センサから「連続的に出力」することに相当している。

したがって、「連続的に出力」することについて、いずれの引用文献にも、これらの構成に相当する技術的特徴が開示も示唆もないとする主張を採用することはできない。

(イ) また、本願発明の「前記第1、2の撮像センサからの連続的な出力が開始された後に、前記第1、2の画像の最後の画素行が前記第1、2の撮像センサによって出力される前に、前記第1、2の撮像センサから出力された各前記画素行の第1、2のサブセットに基づき、前記ヘッドマウントデバイスのディスプレイ装置の第1、2の領域に画像を表示する」構成が当業者が容易になし得た点については、前記(2)において検討したとおりである。

(ウ) したがって、請求人の主張によっても、前記(1)及び(2)において示した当審の判断が左右されることはない。

第5 むすび

以上検討のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-016756

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