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特許拒絶査定不服審判

2020-013026

ガスエネルギー測定方法および関連装置

審判番号
2020-013026
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-539084外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年09月17日
審決日
2022年01月18日
公報発行日
2022年02月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-539084「ガスエネルギー測定方法および関連装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月 3日国際公開、WO2017/131670、平成31年 4月 4日国内公表、特表2019-509471、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2016年(平成28年)1月27日を国際出願日とする出願であって、令和元年10月4日付けで拒絶理由が通知され、令和2年1月15日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年5月12日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)されたところ、同年9月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において令和3年6月30日付けで拒絶理由が通知され、同年11月16日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要

原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1-21に係る発明は、以下の引用文献Aに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

A.米国特許出願公開第2013/0138361号明細書

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-20に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特開2007-278244号公報

2.米国特許出願公開第2013/0138361号明細書(原査定の引用文献A)

第4 本願発明

本願請求項1-20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明20」という。)は、令和3年11月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-20に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ガス密度計を用いて水素リッチガス混合物のエネルギー含有量を決定する方法であって、
振動ガス密度計を提供する工程と、
少なくとも1つの外部入力と通信するように構成されているガス密度計を備えたメータ電子機器を提供する工程と、
続きを表示(全53行)
水素リッチガス混合物の密度を測定する工程と、
水素リッチガス混合物の比重を測定する工程と、そして、
測定された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて且つ前記ガス密度計の前記メータ電子機器を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程とを含み、
前記外部入力が、前記水素リッチガス混合物のパーセントH2値を含む、方法。
【請求項2】
前記水素リッチガス混合物のウォッベ指数値が計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発熱量(CV)が、
CV=A+(B・%H2)+(C・%CO)+(D・%CO2)+(E・%N2)+(F・SG)(式中、A~Fが一定値を含み、そしてSGが比重を含む)を含む式に従って計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Aが144.8~150.8であり、Bが-2.5~-2.6であり、Cが-12.15~-12.65であり、Dが-47.7~-49.65であり、Eが-24.68~-25.69であり、そして、Fが1528.7~1591.1である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Aが147.8458であり、Bが-2.55807であり、Cが-12.3963であり、Dが-48.685065であり、Eが-25.18546であり、そしてFが1559.94255である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記パーセントH2値が、熱伝導率計を用いて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記外部入力が前、記水素リッチガス混合物のパーセントCO値を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記パーセントCO値が、近赤外線計を用いて決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記外部入力が、前記水素リッチガス混合物のパーセントCO2値を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記パーセントCO2値が、近赤外線計を用いて決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記外部入力が、前記水素リッチガス混合物のパーセントN2値を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記パーセントN2値が、ガスクロマトグラフを用いて決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記発熱量を導出する工程が、約10秒未満の頻度で達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ガスエネルギーを測定するためのシステム(100)であって、
水素リッチガス混合物の比重を計算するように構成されている振動ガス密度計(101)と、
外部入力(116)に接続するように構成されている通信回線(114)と、
前記通信回線(114)と通信する前記振動ガス密度計(101)を動作させるためのメータ電子機器(112)とを含み、
前記外部入力が、前記水素リッチガス混合物のパーセントH2値を含み、
前記メータ電子機器(112)が、前記水素リッチガス混合物の密度を測定し、前記導出された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて前記水素リッチガス混合物の発熱量を導出するように構成されている、システム(100)。
【請求項15】
前記外部入力(116)が、近赤外線計と、熱伝導率計と、ガスクロマトグラフとのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のシステム(100)。
【請求項16】
前記メータ電子機器(112)が、前記水素リッチガス混合物のウォッベ指数値を計算するように構成されている、請求項14に記載のシステム(100)。
【請求項17】
前記発熱量(CV)が、
CV=A+(B・パーセントH2)+(C・パーセントCO)+(D・パーセントCO2)+(E・%N2)+(F・SG)(式中、A~Fは一定値を含み、そしてSGは比重を含む)を含む式に従って計算される、請求項14に記載のシステム(100)。
【請求項18】
Aが144.8~150.8であり、Bが-2.5~2.6であり、Cが-12.15~-12.65であり、Dが-47.7~-49.65であり、Eが-24.68~-25.69であり、Fが1528.7~1591.1である、請求項17に記載のシステム(100)。
【請求項19】
Aが147.8458であり、Bが2.55807であり、Cが-12.3963であり、Dが-48.685065であり、Eが-25.18546であり、Fが1559.94255である、請求項17に記載のシステム(100)。
【請求項20】
パーセントH2と、パーセントCOと、パーセントCO2と、パーセントN2とのうちの少なくとも1つが、前記外部入力(116)から前記メータ電子機器(112)に供給される、請求項17に記載のシステム(100)。」

第5 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

(1)引用文献1に記載された事項

令和3年6月30日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引1a)「【0013】

一般に、水素化合物を改質して得られる水素リッチな改質ガスを炭化水素系燃料に添加すれば、超リーンバーン運転の実現や高負荷運転時のノック限界の拡大によって燃費の向上が期待できると言われている。しかし、ここでいう燃費は、あくまでも直接燃焼に供される燃料の熱量のみに着目した燃費の意味であり、内燃機関全体で消費される熱量に着目した総合的な燃費を意味するものではない。以下では、直接燃焼に供される燃料の熱量のみに着目した燃費を単純燃費と呼び、内燃機関全体で消費される熱量に着目した総合的な燃費を総合燃費と呼ぶ。」

(引1b)「【0021】

部分酸化反応を利用した改質方法の場合、改質効率Cは次の(3)式によって計算することができる。改質ガス総発量とは、改質ガスに含まれる可燃ガスの総発熱量の意味である。例えば、改質ガスがその成分として水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、メタン及び窒素を含む場合、可燃ガスである水素、一酸化炭素及びメタンの総発熱量が改質ガスの総発熱量として算出される。原料発熱量とは改質ガスの生成のために使用される炭化水素系燃料の発熱量である。なお、部分酸化反応は発熱反応であるため、反応を進行させるために必要な熱の供給は不要である。

改質効率C=改質ガス発熱量/原料発熱量 ・・・(3)」

(2)引用文献1に記載された発明

上記(引1a)及び(引1b)より、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

「水素化合物を改質して得られる水素リッチな改質ガスにおいて、
改質ガスがその成分として水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、メタン及び窒素を含む場合、
改質ガスに含まれる可燃ガスの総発熱量の意味である改質ガス総発量は、
可燃ガスである水素、一酸化炭素及びメタンの総発熱量が改質ガスの総発熱量として算出される
水素化合物を改質して得られる水素リッチな改質ガスの総発熱量の算出方法。」

2 引用文献2について

(1)引用文献2に記載された事項

令和3年6月30日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引2a)「[0027] Shown in FIG. 1, is a schematic view of a type 3098 in-line gas specific gravity (SG) meter as manufactured by Mobrey Limited of Slough, UK and branded by Micro Motion Inc, a division of Emerson Process Management, USA. This meter incorporates a type 7812 vibrating cylinder gas density transducer. The combined instrument can be calibrated to provide outputs of both gas molecular weight (M) and relative density (ρrel). Generally users of such instruments only calibrate the 3098 for one of these two properties. A characteristic of this invention is that the instrument is calibrated for, and used to measure, both properties.

[0028] The parameters that customers are most interested in when measuring methane-rich gases are:

[0029] a. gas density (ρg)

[0030] b. gas base density (ρbase)

[0031] c. temperature (T)

[0032] d. pressure (P)

[0033] e. molecular weight (M)

[0034] f. line compressibility (Zline)

[0035] g. base compressibility (Zbase)

[0036] h. % inerts (i.e. % nitrogen and % carbon dioxide)

[0037] i. Calorific value (CV)

[0038] j. Wobbe Index (WI)

[0039] k. relative density (ρrel)

[0040] In describing this invention, the following definitions will apply:

[0041] Gas Density: The mass of gas per unit volume at the actual pressure and temperature conditions being experienced (i.e. Line

[0042] Base Density: Also referred to as Standard Density or Normal Density, this is the density of a gas at standard conditions of temperature and/or pressure (e.g. 1 atm, 15.556° C.; or 1 Bar, 20° C.).

[0043] Relative Density: Ratio of density of a gas to the density of air, where the densities of both gases are taken at identical conditions of pressure and temperature.

[0044] Specific Gravity: The ratio of molecular weight of a gas to the molecular weight of dry air (Molecular weight of dry air=28.96469 g/mol)

[0045] As stated above, the CV of a methane-rich gas can be calculated by the expression:

CV=0.02035+(0.00197-[0.000329×%CO2+0.000217×%N2])/SG (1)

[0046] Using the type 3098 meter we can measure SG and in addition, using readily available instrumentation such as a near infrared monitor, we can accurately establish %CO2. One aspect of the present invention is that we have established an accurate method of calculating %N2 using data also collected during operation of the 3098 meter. This addresses the cost and time delay in directly measuring N2 content using, for example, a gas chromatograph.

[0047] We have established that there is a relationship between N2 content and base density (ρbase), base compressibility (Zbase), Molecular weight (M) and CO2 content according to the expression:

%N2=A+B×ρbase+C×Zbase+D×M+E×%CO2 (2)

where A, B, C, D & E are constants.」(当審訳:「[0027]図1は、英国スラウのモブレイリミテッドによって製造され、米国エマソンプロセスマネジメントの一部門であるマイクロモーション社によってブランド化されたタイプ3098インラインガス比重(SG)メーターの概略図である。このメーターには、タイプ7812の振動シリンダーガス密度トランスデューサーが組み込まれている。この組み合わされた機器は、ガス分子量(M)と相対密度(ρrel)の両者の出力の提供により校正される。一般に、このような機器のユーザーは、これら2つのプロパティのいずれかだけで3098を校正する。本発明の特徴は、機器が両方の特性で較正され、測定に使用されることである。

[0028]メタンリッチガスを測定する際に顧客が最も監視を持っているパラメータは:

[0029]a.ガス密度(ρg)

[0030]b.ガスベース密度(ρbase)

[0031]c.温度(T)

[0032]d.圧力(P)

[0033]e.分子量(M)

[0034]f.ライン圧縮率(Zline)

[0035]g.ベース圧縮率(Zbase)

[0036]h.不活性物質の%(即ち、窒素の%及び2酸化炭素の%)

[0037]i.発熱量(CV)

[0038]j.ウォッベ指数(WI)

[0039]k.相対密度(ρrel)

[0040]本発明を説明するにあたり、以下の定義が適用される:

[0041]ガス密度:実際に発生している圧力および温度条件での単位体積あたりのガスの質量(つまり、ライン

[0042]ベース密度:標準密度または正規密度とも呼ばれ、温度および/または圧力の標準条件(1気圧、15.556℃、または1バール、20℃など)でのガスの密度である。

[0043]相対密度:両方のガスの密度が、圧力及び温度におい同じ条件である場合の空気の密度に対するガスの密度比率である。

[0044]比重:ガスの分子量と乾燥空気の分子量の比(乾燥空気の分子量=28.96469g/mol)

[0045]上記のように、メタンに富むガスのCVは、次の式で計算できる:

CV=0.02035+(0.00197-[0.000329×%CO2+0.000217×%N2])/SG (1)

[0046]タイプ3098メーターを使用すると、SGを測定できる。さらに、近赤外線モニターなどのすぐに利用できる機器を使用して、%CO2を正確に設定できる。本発明の一態様は、3098メーターの動作中にも収集されたデータを使用して、%N2を計算する正確な方法を確立したことである。これは、例えばガスクロマトグラフを使用してN2含有量を直接測定する際のコストと時間の遅延に対処する。

[0047]N2含有量とベース密度(ρbase)、ベース圧縮率(Zbase)、分子量(M)、およびCO2含有量の間には、次の式に従う関係があることを確認した:

%N2=A+B×ρbase+C×Zbase+D×M+E×%CO2(2)

ここで、A、B、C、D、およびEは定数である。」

(2)引用文献2に記載された技術事項

ア 上記(引2a)における「タイプ3098インラインガス比重(SG)メーター」及び「3098メーター」は、同じものを示していることから、「比重(SG)メーター」として整理した。

イ アを踏まえると、上記(引2a)より、引用文献2には、以下の技術事項(以下「技術事項2」という。)が記載されている。

「比重(SG)メーターは、
振動シリンダーガス密度トランスデューサーが組み込まれ、
この組み合わされた機器は、ガス分子量(M)と相対密度(ρrel)の両者の出力の提供により校正され、
メタンに富むガスの発熱量(CV)は、次の式で計算でき、
比重(SG)メーターを使用すると、SGを測定でき、
さらに、近赤外線モニターなどのすぐに利用できる機器を使用して、%CO2を正確に設定でき、
比重(SG)メーターの動作中にも収集されたデータを使用して、%N2を計算する正確な方法を確立する
方法。
CV=0.02035+(0.00197-[0.000329×%CO2+0.000217×%N2])/SG」

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明1とを、対比する。

ア 引用発明1の「水素化合物を改質して得られる水素リッチな改質ガス」は、本願発明1の「水素リッチガス混合物」に相当する。そして、引用発明1の「水素化合物を改質して得られる水素リッチな改質ガスの総発熱量の算出方法」と、本願発明1の「ガス密度計を用いて水素リッチガス混合物のエネルギー含有量を決定する方法」とは、「水素リッチガス混合物のエネルギー含有量を決定する方法」である点で共通する。

イ 引用発明1の「可燃ガスである水素、一酸化炭素及びメタンの総発熱量が改質ガスの総発熱量として算出」する工程と、本願発明1の「測定された比重と複数の一定値とを用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程と」は、「複数の値を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程」である点で共通する。

ウ 引用発明1の「改質ガスの総発熱量」を「算出」するための、「可燃ガスである水素」の発熱量を求めるためには、「水素化合物を改質して得られる水素リッチな改質ガス」中の「水素」の濃度が必要であることから、引用発明1の「改質ガスの総発熱量」を「算出」するための、「可燃ガスである水素」の発熱量を求める点と、本願発明1の「前記外部入力が、前記水素リッチガス混合物のパーセントH2値を含む」点とは、「前記水素リッチガス混合物のパーセントH2値を含む」点で共通する。

エ 以上ア~ウより、本願発明1と引用発明1とは、以下の一致点及び相違点を有する。

(一致点)「水素リッチガス混合物のエネルギー含有量を決定する方法であって、

水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程を含み、

該工程が、前記水素リッチガス混合物のパーセントH2値を含む、方法。」

(相違点)本願発明1は、「ガス密度計を用い」「振動ガス密度計を提供する工程と、少なくとも1つの外部入力と通信するように構成されているガス密度計を備えたメータ電子機器を提供する工程と、水素リッチガス混合物の密度を測定する工程と、水素リッチガス混合物の比重を測定する工程と、そして、測定された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて且つ前記ガス密度計の前記メータ電子機器を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程」を含んでいるのに対し、引用発明1は、「可燃ガスである水素、一酸化炭素及びメタンの総発熱量が改質ガスの総発熱量として算出」されるものである点。

(2)判断

上記相違点について検討する。

技術事項2は、「メタンに富むガスの発熱量(CV)」を、「CV=0.02035+(0.00197-[0.000329×%CO2+0.000217×%N2])/SG」により求めており、「SG」は、「測定された比重」であるから、技術事項2の、「CV=0.02035+(0.00197-[0.000329×%CO2+0.000217×%N2])/SG」により「メタンに富むガスの発熱量(CV)」を求める工程は、測定された比重と「%CO2」及び「%N2」と複数の一定値とを用いて「メタンに富むガスの発熱量(CV)」を求める工程が記載されている。

そして、引用発明1は、「可燃ガスである水素、一酸化炭素及びメタンの総発熱量が改質ガスの総発熱量として算出される」ものであって、不燃性ガスの濃度である「%CO2」及び「%N2」から発熱量を算出するものではない。

また、本願発明1は、「測定された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて且つ前記ガス密度計の前記メータ電子機器を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する」ものであって、「前記外部入力」は、「前記水素リッチガス混合物のパーセントH2値を含む」ものである。

技術事項2の「%CO2」及び「%N2」は、不燃性ガスの濃度であって、可燃性ガスの濃度ではなく、これら不燃性ガスの濃度と比重から可燃性ガスの濃度を類推して総発熱量を求めるものであるから、「可燃ガスである水素、一酸化炭素及びメタンの総発熱量が改質ガスの総発熱量として算出される」引用発明1に、不燃性ガスの濃度である「%CO2」及び「%N2」から発熱量を算出する技術事項2を適用する動機付けはないといえる。仮に、適用する動機付けがあったとしても、適用されて完成される構成は、測定された比重と「%CO2」及び「%N2」と複数の一定値とを用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程となり、上記相違点に係る構成である「測定された比重」と「前記水素リッチガス混合物のパーセントH2値を含む」「前記外部入力と複数の一定値とを用いて且つ前記ガス密度計の前記メータ電子機器を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する」ものとはならない。

そうすると、上記相違点は、技術事項2を参酌したとしても、当業者が容易に想到できたものであるとはいえないから、本願発明1は、当業者といえども、引用発明1及び技術事項2に基づいて、容易に発明することができたものであるとはいえない。

2 本願発明2~13について

本願発明2~13は、本願発明1を直接又は間接的に引用する発明であって、何れも上記相違点に係る「ガス密度計を用い」「振動ガス密度計を提供する工程と、少なくとも1つの外部入力と通信するように構成されているガス密度計を備えたメータ電子機器を提供する工程と、水素リッチガス混合物の密度を測定する工程と、水素リッチガス混合物の比重を測定する工程と、そして、測定された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて且つ前記ガス密度計の前記メータ電子機器を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程」を含む構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び技術事項2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明14は本願発明1に対応するシステム関する発明であって上記相違点に係る構成と同様な「前記導出された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて前記水素リッチガス混合物の発熱量を導出する」構成を備えるものであって、該構成は、上記1(2)で検討したとおり、技術事項2を参酌したとしても、当業者が容易に想到できたものであるとはいえないから、当業者であっても、引用発明1及び技術事項2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明15~20は、本願発明14を直接又は間接的に引用する発明であって、「前記導出された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて前記水素リッチガス混合物の発熱量を導出する」構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明14と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び技術事項2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断

令和3年11月16日付けの補正により、補正後の請求項1~13は、「ガス密度計を用い」「振動ガス密度計を提供する工程と、少なくとも1つの外部入力と通信するように構成されているガス密度計を備えたメータ電子機器を提供する工程と、水素リッチガス混合物の密度を測定する工程と、水素リッチガス混合物の比重を測定する工程と、そして、測定された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて且つ前記ガス密度計の前記メータ電子機器を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程」を含むという技術的事項を有し、また、請求項14~20は「前記導出された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて前記水素リッチガス混合物の発熱量を導出する」構成という技術的事項を有するものとなった。当該「ガス密度計を用い」「振動ガス密度計を提供する工程と、少なくとも1つの外部入力と通信するように構成されているガス密度計を備えたメータ電子機器を提供する工程と、水素リッチガス混合物の密度を測定する工程と、水素リッチガス混合物の比重を測定する工程と、そして、測定された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて且つ前記ガス密度計の前記メータ電子機器を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する工程」又は「前記導出された比重と前記外部入力と複数の一定値とを用いて前記水素リッチガス混合物の発熱量を導出する」構成のうち、「前記水素リッチガス混合物のパーセントH2値を含む」「前記外部入力」「を用いて水素リッチガス混合物の発熱量を導出する」構成は、原査定における引用文献A(当審拒絶理由における引用文献2)には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-20は、当業者であっても、原査定における引用文献Aに基づいて容易に発明できたものではない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由及び当審の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-013026

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