2020-012401
情報処理装置、通信システム、情報処理方法およびプログラム
- 審判番号
- 2020-012401
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-570490外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年09月04日
- 審決日
- 2021年11月22日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ソニーグループ株式会社
- 【請求人代理人】丸島 敏一
- 分類
- P18 .121-Z (H04N) / P18 .113-Z (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)10月21日(優先権主張 同年1月21日)を国際出願日とする出願であって、令和元年11月19日付け拒絶理由通知に対して令和2年1月20日に手続補正が提出されたが、同年6月23日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年9月4日に拒絶査定不服審判の請求が請求されるとともに手続補正がなされたものである。
第2 令和2年9月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和2年9月4日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正
本件補正は、特許請求の範囲について補正するものであり、本件補正により、請求項1は、本件補正前の請求項1及び請求項3(同年1月20日にされた手続補正により補正された請求項1及び請求項3)が下記(A)であったところ、本件補正により、下記(B)と補正された。なお、(B)における下線は補正箇所を示すものである。
(A)本件補正前の請求項1及び3
「【請求項1】ユーザと表示部との相対的な位置に関する情報と前記ユーザの向きを特定するための情報とを含むセンサ情報を電子機器から受信する通信部と、前記センサ情報に基づいて、ソース機器から送信された画像の前記表示部における表示態様を決定する制御を行う制御部とを具備する情報処理装置。」
「【請求項3】前記制御部は、前記電子機器との間でWi-Fi(Wireless Fidelity) CERTIFIED Miracastのプロトコルを用いて前記センサ情報のやりとりを行うように制御する請求項1または2に記載の情報処理装置。」
(B)本件補正後の請求項1
「【請求項1】ユーザと表示部との相対的な位置に関する情報と前記ユーザの顔の向きを特定するための情報とを含むセンサ情報を電子機器から受信する通信部と、前記センサ情報に基づいて、ソース機器から送信された画像の前記表示部における表示態様を決定する制御を行う制御部とを具備し、前記制御部は、前記顔の向きと前記相対的な位置とに基づいて前記表示部における前記画像の表示位置および表示サイズとの少なくとも一方を制御し、前記電子機器との間でWi-Fi(Wireless Fidelity) CERTIFIED Miracastのプロトコルを用いて前記センサ情報のやりとりを行うように制御する情報処理装置。」
2 本件補正による補正事項
本件補正のうち、本件補正後の請求項1に関する補正は、本件補正前の請求項3について、請求項1を引用する形式で記載されていた請求項を引用しない形式で記載した上で、以下の補正事項1~2の補正をしたものである。なお、下線は当審で付したものである。
・補正事項2:本件補正前の請求項1に記載された「制御部」に対して、「前記センサ情報に基づいて、ソース機器から送信された画像の前記表示部における表示態様を決定する」との動作をしていたものに、「前記顔の向きと前記相対的な位置とに基づいて前記表示部における前記画像の表示位置および表示サイズとの少なくとも一方を制御」する動作を追加して、限定を付加する補正。
3 本件補正の適否
上記2で述べた補正事項について、補正事項1に係る構成については、当初明細書の段落【0030】に、補正事項2に係る構成については、当初明細書の段落【0056】及び【0064】~【0065】に、それぞれ記載されているから、上記補正事項1~2は、当初明細書に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。
また、本件補正は、特別な技術的特徴を変更(シフト補正)しようとするものではなく、同条4項の規定に適合している。
そして、本件補正後の請求項1に係る上記補正事項1~2に係る補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「通信部」及び「制御部」について、上記のとおり限定を付加するものであって、本件補正前の請求項3に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、同条5項2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
この場合、本件補正後の請求項1は、同条6項において準用する同法126条7項に規定する要件(独立特許要件)を満たすものでなければならない。
以下、本件補正後の請求項1の独立特許要件について検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明1」という。)は、上記1において(B)とした【請求項1】に記載したとおりのものである。
(2)引用文献
引用文献1及び3~4には、それぞれ以下の記載がある。
(2-1)特開2013-115644号公報(引用文献1、拒絶査定で通知した文献)
・【0001】「本発明は表示装置及び表示方法に関し、特に、複数のユーザが視聴する表示装置に用いて好適な技術に関する。」
・【0009】「(第1の実施形態)」
・【0011】「22はカメラであり、表示ディスプレイ1が設置された部屋の上部に設置されており、」
・【0012】「表示ディスプレイ1の周囲には2名のユーザがおり、50はユーザA、51はユーザBである。表示パネル31上には、視聴するユーザの最寄りの位置にコンテンツウインドウが表示されている。」
・【0018】「5は優先度判定部であり、各ウインドウの表示優先度を判定する。ウインドウに関連付けられたユーザの距離を判定基準に用い、距離が近いウインドウに高い優先度を割当てる。6は映像入力部であり、放送波やビデオ信号等、外部から映像コンテンツのデータを入力する。7は表示画面作成部であり、決定された優先度に従ってコンテンツウインドウのレイアウトを行なって、表示画面データを作成する。」
・【0022】「22はカメラであり、ディスプレイ周囲の光景を撮影する。23は画像認識部であり、撮影された画像の認識を行って、人物の位置を検出する。」「複数の人物を分離して抽出することができる。」
・【0039】「図13に示すように、低優先度のウインドウ(53)を縮小表示してもよい。」
・【0043】「(第2の実施形態)」
・【0044】「図14は、本実施形態の表示装置の詳細な構成例を示すブロック図である。図1と共通する要素には同一番号を付し、説明を省略する。図14では、ユーザ視聴検出部9が追加されている。ユーザ視聴検出部9は、各ユーザがウインドウを見ているか否かを検出し、検出結果をユーザ識別部3に通知する。」
・【0045】「ユーザ視聴検出部9は、ユーザ顔方向抽出部36で構成される。ユーザ顔方向抽出部36は、画像認識部23の認識結果からユーザの顔の方向を検出する。」
・【0053】「本実施形態では、ユーザが見ていない場合に優先度を下げる処理を行なった」
(2-2)特開2014-096074号公報(引用文献3、拒絶査定で通知した文献)
・【0021】「2つの情報処理装置(情報処理装置200及び300)を直接無線接続する際におけるシステム構成の一例を示す。」
・【0023】「通信システム100に用いられる近距離無線AV(Audio Visual)伝送通信として、例えば、Wi-Fi CERTIFIED Miracastを用いることができる。」
(2-3)特開2009-087026号公報(引用文献4、新たに引用する文献)
・【0001】「本発明はTV等の映像表示装置であって、特に、従来のボタンによる入力だけでなく、ユーザの位置・向き、視線、ハンドジェスチャー、ユーザの手・腕の動きなどのユーザセンシング情報に基づき制御される映像表示装置に関する。」
・【0051】「アプリケーション制御手段106は、このユーザ位置情報に基づいて、例えば当該ユーザに提示すべき情報の映像表示装置の画面上の表示位置を決定することで、」「ユーザが動いても常にユーザから見やすい位置に情報を提示し続けることが可能である。」「ユーザが映像表示装置に対して近づく、または遠ざかる場合は、アプリケーション制御手段106が情報の表示サイズを縮小または拡大し、ユーザにとって見やすい大きさで表示することができる。」
・【0065】「算出した顔の三次元向きと、顔における黒目の向きを合わせることで、実空間における視線方向の検出を行うことができる」
・【0066】「アプリケーション制御手段106は、上記の手順で視線検出手段103が検出した視線方向情報に基づいて、例えば当該ユーザに提示すべき情報の映像表示装置の画面上の表示位置を決定する。これにより、本映像表示装置は、ユーザの視線・顔向きが動いても常にユーザから見やすい位置に情報を提示し続けることができる。」
(3)引用発明1及び引用文献に記載の技術
引用文献1に記載の発明(以下、「引用発明1」という。)は以下の(3-1)のとおりである。なお、引用文献1には第1の実施形態と第2の実施形態について記載されているが、段落【0044】にも記載されているとおり、第2の実施形態は、第1の実施形態に段落【0044】等に記載されている構成を追加するものであるから、引用発明1として引用文献1の第2実施形態を認定する。
また、引用文献3~4には以下の技術がそれぞれ記載されている。
(3-1)引用発明1
「カメラが、表示ディスプレイが設置された部屋の上部に設置されており、表示ディスプレイの周囲には複数のユーザがおり、表示パネル上には、視聴するユーザの最寄りの位置にコンテンツウインドウが表示されるものであり、ユーザの距離を判定基準に用いて各ウインドウの表示優先度を判定する優先度判定部、当該優先度に従ってコンテンツウインドウのレイアウトを行い、表示画面データを作成する表示画面作成部、カメラでディスプレイ周囲の光景を撮影し、撮影された画像の認識を行って人物の位置を検出する画像認識部、ユーザがウインドウを見ているか否かを検出するために、画像認識部の認識結果からユーザの顔の方向を検出するユーザ顔方向抽出部、を備え、低優先度のウインドウを縮小表示してもよいものであり、優先度判定部は、ユーザが見ていない場合に優先度を下げる処理を行う、複数のユーザが視聴する表示装置」
(3-2)引用文献3に記載の技術
「2つの情報処理装置を直接無線接続する際の近距離無線AV伝送通信として、Wi-Fi CERTIFIED Miracastを用いた通信システム」
(3-3)引用文献4に記載の技術
「ユーザの位置・向き、視線などのユーザセンシング制御される映像表示装置において、アプリケーション制御手段は、ユーザが映像表示装置に対して近づく、または遠ざかる場合は、情報の表示サイズを縮小または拡大し、アプリケーション制御手段は、視線方向情報に基づいて、当該ユーザに提示すべき情報の映像表示装置の画面上の表示位置を決定する映像表示装置」
(4)対比・判断
本件補正発明1と引用発明1とを対比する。
a.引用発明1の「表示装置」は、カメラから受信したディスプレイ周囲の光景を撮影し、画像認識部で撮影された画像の認識を行って人物の位置を検出するものであるからユーザと表示部との相対的な位置を検出しているものといえるものであり、ユーザの顔の方向を検出するユーザ顔方向抽出部を備えるものである。
そして、本願の段落【0029】には「センサ機器は、例えば…イメージセンサ機器…である。イメージセンサ機器は、例えば…撮像装置…により実現される。」と記載されているから、センサ機器には撮像装置を含むものであり、段落【0093】には「センサ機器303からシンク機器301に、センサ情報が送信される(313)。図6では、センサ情報として、2D画像および3D画像を送信する例を示す。」と記載されているから、本願補正発明の「センサ情報」には撮像装置で撮像された画像が含まれるものである。
よって、引用発明1のカメラからの映像は、本願補正発明1の「センサ情報」に相当するから、本件補正発明1の「ユーザと表示部との相対的な位置に関する情報と前記ユーザの顔の向きを特定するための情報とを含むセンサ情報を電子機器から受信する通信部」に相当する。
b.引用発明1の「表示画面作成部」は、カメラで撮影された画像から画像認識部によって検出された人物の位置を検出して視聴するユーザの最寄りの位置に表示されるようにレイアウトし、また、カメラで撮影された画像からユーザ顔方向抽出部によって検出されたユーザの顔の方向によってウインドウを縮小表示する事が出来るものであるから、本件補正発明1の「前記センサ情報に基づいて、ソース機器から送信された画像の前記表示部における表示態様を決定する制御を行う制御部」及び「前記制御部は、前記顔の向きと前記相対的な位置とに基づいて前記表示部における前記画像の表示位置および表示サイズの少なくとも一方を制御し」との構成に相当する。
そうすると、本件補正発明1と引用発明1とは、次の点で一致し、以下の点で一応相違している。
<一致点>
「ユーザと表示部との相対的な位置に関する情報と前記ユーザの顔の向きを特定するための情報とを含むセンサ情報を電子機器から受信する通信部と、前記センサ情報に基づいて、ソース機器から送信された画像の前記表示部における表示態様を決定する制御を行う制御部とを具備し、前記制御部は、前記顔の向きと前記相対的な位置とに基づいて前記表示部における前記画像の表示位置および表示サイズとの少なくとも一方を制御する情報処理装置。」
<相違点>
本件補正発明1は、「前記電子機器との間でWi-Fi(Wireless Fidelity)CERTIFIED Miracastのプロトコルを用いて前記センサ情報のやりとりを行うように制御する」のに対して、引用発明1にはそのような構成について記載がない点。
上記相違点について検討する。
2つの情報処理装置を直接無線接続する近距離無線AV伝送通信として「Wi-Fi(Wireless Fidelity) CERTIFIED Miracastのプロトコル」を用いることは、引用文献3に記載されており、近距離で画像を通信する際の方式として周知の技術と認められる。引用発明1において部屋の上部に設置されたカメラで撮影された画像を表示装置へ送信する際の方式として上記周知の技術を適用することで、相違点に係る構成とする事は、当業者が容易に為し得たものである。
したがって、本件補正発明1は、引用発明1及び引用文献3に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をする事ができたものである。
(5)審判請求書における審判請求人の意見について
上記(4)における対比においてb.で一致点とした構成について、審判請求人は、審判請求書の請求の理由3(3)(b)において本願発明と引用文献1及び3に記載の発明を比較して「ユーザの顔の向きに基づいて表示部における画像の表示位置を制御する点で相違する」と述べている。
しかし、上記(4)で述べたのとおり、引用発明1の制御部は、(ア)「ユーザと表示部との相対的な位置」から「表示位置」を決定し、(イ)「ユーザの顔の向き」から「表示サイズ」を決定する制御を行うものである。
なお、引用発明1は、(ウ)「ユーザと表示部との相対的な位置」から「表示サイズ」を決定する制御、または、(エ)「ユーザの顔の向き」から「表示位置」を決定する制御を行うものではないから、この点を相違点と主張する事も一応可能である。
しかし、この場合においても、引用文献4には、「アプリケーション制御手段」において、「ユーザが映像表示装置に対して近づく、または遠ざかる」場合は「情報の表示サイズを縮小または拡大」する制御を行う事(上記(ウ)に相当する。)、「視線方向情報」に基づいて「当該ユーザに提示すべき情報の映像表示装置の画面上の表示位置を決定する」との制御を行う事(上記(エ)に相当する。)が記載されているから、「ユーザと表示部との相対的な位置」から「表示位置」または「表示サイズ」を決定する制御(上記(ア)及び(ウ)に対応する。)、及び、「ユーザの顔の向き」から「表示位置」または「表示サイズ」を決定する制御(上記(イ)及び(エ)に対応する。)を行う構成とする事は、それぞれ、当業者が適宜為し得る設計事項と認められる。
(6)独立特許要件のまとめ
以上のとおり、本件補正発明1は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をする事ができたものであるであるから、特許法29条2項に該当し、独立して特許を受けることができないものである。
4 補正却下のまとめ
上記3(6)で述べたとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するものであるから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年9月4日にされた手続補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、同年1月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたものであるから、上記第2の1において(A)とした記載のうち、【請求項1】に記載したとおりのものである。
2 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された特開2013-115644号公報(引用文献1)に記載された事項は、上記第2の3(2)~(3)に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、本件補正発明1から上記第2の2で述べた限定(本件補正前の請求項3による限定、及び、補正事項1~2による限定)を省いたものであるから、上記第2の3(4)に記載した相違点は、本件補正によって本件補正発明1に追加された記載により生じた相違点である。
したがって、本願発明には引用発明1との相違点がないから、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、新規性がないものである。
4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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