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特許拒絶査定不服審判

2020-009873

集合住宅用インターホンシステム、集合住宅用インターホンシステムの制御方法、及びプログラム

審判番号
2020-009873
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-213657外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年07月14日
審決日
2021年05月31日
公報発行日
2021年07月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04M) / P18 .537-WY (H04M) / P18 .1 -WY (H04M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-213657「集合住宅用インターホンシステム、集合住宅用インターホンシステムの制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月10日出願公開、特開2018- 74446、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 23項目
【理 由】

結 論

原査定を取り消す。

本願の発明は、特許すべきものとする。

理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成28年10月31日の出願であって、令和2年1月10日付けで拒絶理由通知がされ、同年3月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年7月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、令和3年2月4日付けで拒絶理由通知がされ、同年4月12日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願請求項1-13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、令和3年4月12日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
集合住宅の共用スペースに設けられた少なくとも一つの撮像装置から、前記撮像装置で撮影された第1画像を取得する画像取得装置と、
前記集合住宅における前記共用スペースとは別の専有スペースに設けられており、表示部に画像を表示させる通話装置と、
前記集合住宅の前記共用スペースに設けられており、操作者からの操作を受け付けて前記通話装置を呼び出す受付装置と、
続きを表示(全67行)
前記画像取得装置、前記通話装置、及び前記受付装置の間の通信を制御する制御装置と、
前記第1画像内の人の存否を判定する人検知処理部と、
前記第1画像に基づいて、前記人検知処理部で判定された前記第1画像内の人の存否を示す情報を含み、かつ、前記第1画像内の個人を特定できない状態にした第2画像を生成する画像生成部と、
を備え、
前記制御装置は、前記通話装置からの要求に基づいて、前記受付装置からいずれの前記通話装置に対しても呼び出しが行われていない状態において前記表示部へ前記第2画像を表示させる機能を有する
集合住宅用インターホンシステム。
【請求項2】
前記通話装置及び前記表示部を複数備え、
前記複数の表示部は、前記複数の通話装置にそれぞれ対応し、
前記制御装置は、
前記複数の通話装置のうち所定の条件を満たす通話装置には、対応する表示部へ前記第1画像を表示させ、
前記複数の通話装置のうち前記所定の条件を満たさない通話装置には、対応する表示部へ前記第2画像を表示させる
請求項1記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項3】
前記受付装置は、前記複数の通話装置のうちの一つを特定する操作を受け付ける操作部を、更に備え、
前記所定の条件は、前記操作部への操作で特定されることを含む
請求項2記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項4】
前記共用スペースにおける前記受付装置と同じ空間に設けられた扉を解錠又は施錠する錠装置を、更に備え、
前記複数の通話装置の各々には、解錠操作を受け付ける操作部が設けられており、
前記複数の通話装置の各々は、対応する操作部への解錠操作を受けて、前記錠装置に前記扉を解錠させるよう構成され、
前記所定の条件は、前記解錠操作を受けることを含む
請求項3記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項5】
前記共用スペースにおける前記受付装置と同じ空間に設けられた扉を解錠又は施錠する錠装置を、更に備え、
前記錠装置は、前記複数の通話装置にそれぞれ対応付けられた複数の鍵装置を受け付ける鍵受付部を備え、
前記錠装置は、前記複数の鍵装置のうちの一つを前記鍵受付部で受け付けたときに前記扉を解錠するよう構成され、
前記所定の条件は、前記鍵受付部が受け付けた鍵装置と対応付けられていることを含む
請求項2~4の何れか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項6】
前記第1画像を基に、前記第1画像内に含まれている人のうちで、前記複数の通話装置に個別に対応付けられた顔情報に一致する人を検知する顔認証部を更に備え、
前記所定の条件は、前記顔認証部で前記第1画像内に含まれていると検知された人の顔情報に対応付けられていることを含む
請求項2~5の何れか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記所定の条件を満たすか満たさないかにかかわらず、前記複数の通話装置のうちの特定の通話装置には、対応する表示部へ前記第1画像を表示させる
請求項2~6の何れか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項8】
前記少なくとも一つの撮像装置は、特定撮像装置を含み、
前記制御装置は、前記特定撮像装置については、前記所定の条件を満たすか満たさないかにかかわらず、前記複数の通話装置に、対応する表示部へ前記第1画像を表示させる
請求項2~7の何れか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項9】
前記人検知処理部は、更に、前記第1画像内に存在する人の数を計数し、
前記画像生成部は、前記第2画像に、前記第1画像内に存在する人の数を示す人数情報を含める
請求項1~8の何れか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項10】
前記第1画像内に同じ人物が続けて存在している時間である滞在時間を計測する滞在時間計測部と、
前記滞在時間に応じて所定の結果を出力する出力部と、
を更に備える
請求項1~9の何れか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項11】
集合住宅の共用スペースに設けられた少なくとも一つの撮像装置で撮影された第1画像内の人の存否を判定する人検知処理部と、
前記第1画像に基づいて、前記人検知処理部で判定された前記第1画像内の人の存否を示す情報を含み、かつ、前記第1画像内の個人を特定できない状態にした第2画像を生成する画像生成部と、
通信を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記集合住宅における前記共用スペースとは別の専有スペースに設けられており、表示部に画像を表示させる通話装置からの要求に基づいて、いずれの前記通話装置に対しても呼び出しが行われていない状態において前記表示部へ前記第2画像を表示させる機能を有する
集合住宅用インターホンシステム。
【請求項12】
人検知処理部が、集合住宅の共用スペースに設けられた少なくとも一つの撮像装置で撮影された第1画像内の人の存否を判定する人検知処理ステップと、
画像生成部が、前記第1画像に基づいて、前記人検知処理ステップで判定された前記第1画像内の人の存否を示す情報を含み、かつ、前記第1画像内の個人を特定できない状態にした第2画像を生成する画像生成ステップと、
通信を制御する制御装置が、前記集合住宅における前記共用スペースとは別の専有スペースに設けられた通話装置であって表示部に画像を表示させる通話装置からの要求に基づいて、いずれの前記通話装置に対しても呼び出しが行われていない状態において前記表示部へ前記第2画像を表示させる表示ステップとを有する
集合住宅用インターホンシステムの制御方法。
【請求項13】
コンピュータシステムに請求項12に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。」

第3 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された特開平3-162091号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下、同様。)。

(1)「〔産業上の利用分野〕
本発明は、集合住宅の画像・音声伝送装置の改良に関するものである。
「従来の技術」
従来の集合住宅の画像・音声伝送装置は、第5図に示すように構成されていた。すなわち、共同玄関1にドアカメラ3とドアホン5を設け、このドアカメラ3からの画像信号を、専用ケーブル7を用い制御装置9を介して集合住宅11内の複数の住宅131、132、…、13nの専用モニタ151、152、…、15n、に伝送し、ドアホン5を、専用ペア線17を用い制御装置19を介して集合住宅11内の複数の住宅131、132、…、13nのインタホン211、212、…、21nと結合し、ドアホン5とインタホン211、212、…、21nとの間で音声信号の送受信を行なっていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、従来の第5図に示すような集合住宅の画像・音声伝送装置では、ドアカメラ3と住宅131、132、…、13nの専用モニタ151、152、…、15nとの間が専用ケーブル7で結合され、ドアホン5と住宅131、132、…、13nのインタホン211、212、…、21nとの間が専用ペア線17で結合されていたので、集合住宅11内に、テレビジョン受信機用の共同視聴用ケーブル(以下単に共視ケーブルと記述する)や電話機用の電話線の他に、専用ケーブル7や専用ペア線17を設けなければならないという問題点があった。また、専用ケーブル7を省略するために、ドアカメラ3からの画像信号を共視ケーブルを介してテレビジョン受信機に伝送しようとすると、集合住宅11内の全てのテレビジョン受信機にドアカメラ3の画像が受信されてしまうため、特定の住宅を訪れた客の姿が無関係な住宅のテレビジョン受信機で見られてしまうなどの問題点があった。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、特別に専用ケーブルや専用ペア線を設ける必要がなく、かつ特定の住宅を訪れた客の姿が無関係な住宅では見られることのない集合住宅の画像・音声伝送装置を提供することを目的とするものである。」(第2ページ右上欄第7行~第3ページ右下欄第4行)
(2)「〔実施例〕
第1図は本発明の第1発明の一実施例を示すもので、この図において、第5図と同一部分は同一符号とする。第1図において、10、12はそれぞれ集合住宅11内の複数の棟141、142、…に共通して設けられた共同玄関、管理室である。前記複数の棟141、142、…のうちの1つの棟141内には複数の住宅131、132、133、…が設けられ、その他の棟142、…内にも同様にそれぞれ複数の住宅が設けられている。前記共同玄関10には、ドアカメラ3と、ドアホン5と、選択信号出力部としてのテンキー31とが設けられている。前記テンキー31は、前記複数の住宅131、132、133…の中から特定の住宅を選択すると(例えばテンキー31の「0」「1」を押して住宅131を選択すると)、対応する選択信号を出力するように構成されている。前記ドアカメラ3の出力側は、画像信号をUHF帯の高周波信号に変調する高周波信号変調器(以下単にRF変調器と記述する)35を介して、UHF信号混合器(以下単にUHF混合器と記述する)37の一方の入力側に結合され、このUHF混合器37の他方の入力側にはUHFアンテナ39が結合されている。前記UHF混合器37の出力側は、共同視聴用ケーブル(以下単に共視ケーブルと記述する)411、412、…を経、接続端子431、432、…(432、…は図示省略する。以下同様)と451、452、…および47を介して前記複数の住宅131、132、…内に設けられた専用モニタ491、492、…とテレビジョン受信機(図面上はTVと記述する)511、512、…および前記管理室12内に設けられたテレビジョン受信機53に結合されている。前記ドアホン5およびテンキー31は、インタフェース回路55およびコントローラ57を経、音声信号伝送線(以下単に音声伝送線と記述する)としての電話線59を介して構内交換機61に結合されている。前記コントローラ57はオートドア58を制御するように構成されている。前記構内交換機61は、音声電送線としての電話線62を介して外部電話線接続端子64に結合されている。前記構内交換機61は、音声伝送線としての電話線63、65を経、接続端子67、69を介して前記管理室12内に設けられたドアホン応答用パネル71、セキュリティ応答用パネル73に結合されるとともに、電話線75を介してパソコン77に結合されている。前記構内交換機61は、さらに音声伝送線としての電話線791、792、…を経、接続端子811、812、…を介して前記複数の住宅131、132、…内に設けられたPBX831、832、…に結合されている。前記PBX831、にはPB(プッシュボタン)電話器851、テレコントローラ871、セキュリティ機器891、発信ユニット911、インタホン931、および制御信号デコードユニット951が結合されている。前記発信ユニット911にはパネル971およびワイヤレス電子錠991が結合されている。前記制御信号デコードユニット951は、前記テンキー31から伝送され、伝送線80を介入して入力する住宅131のみを選択する選択信号に基づいて、前記専用モニタ491に電源オン信号を出力するように構成されている。前記住宅132、…内に設けられた前記PBX832についても、前記PBX831についてと同様に、PB電話器852、…、テレコントローラ872、…、セキュリティ機器892、…、発信ユニット912、…インタホン932、…および制御信号デコードユニット952、…が結合され、前記発信ユニット912、…にはパネル972、…および電子錠992、…が結合されている(図示省略)。
つぎに前記実施例の作用について説明する。
訪問客が共同玄関10内に入りドアカメラ3で撮像されると、その画像信号は、RF変調器35でUHF帯の高周波信号に変調され、UHF混合器37でUHFアンテナ39からのTV信号と混合する。UHF混合器37から出力する混合信号は、共視ケーブル411を経、接続端子431、432、…と451、452、…および47を介して前記複数の住宅131、132、…内に設けられた専用モニタ491、492、…とテレビジョン受信機511、512、…および前記管理室12内に設けられたテレビジョン受信機53に入力する。ここで、訪問客が共同玄関10に設けられたテンキー31を操作することによって(例えばテンキー31の「0」「1」を押すことによって)、複数の住宅131、132、…の中から特定の住宅(例えば131)を選択すると、この選択信号がインタフェース回路55およびコントローラ57を経、電話線59を介して構内交換機61に入力し、ついで対応する電話線791および接続端子811を経、対応する住宅131のPBX831を介して対応する制御信号デコードユニット951に入力する。すると、制御信号デコードユニット951は、選択信号に基づいて専用モニタ491に電源オン信号を出力する。このため、専用モニタ491は、ドアカメラ3からの画像信号を受信表示するが、対応外の住宅132、133…の制御信号デコードユニットには選択信号が入力せず、専用モニタに電源オン信号を出力しないので、対応外の住宅132、133…の専用モニタは作動せず、ドアカメラ3からの画像信号を表示せず訪問客の顔はわからない。なお、テレビジョン受信機511、512、…がUHFアンテナ39からのTV信号の中の特定の信号を選局受信したときは、特定のTV画像が表示される。また、ドアホン5とインタホン931、932、…との間では、音声信号の送受信が行われる。」(第3ページ右下欄第15行~第5ページ左上欄第14行)

(3)「 第2図は本発明の第2発明の一実施例の要部を示すもので、全体としては第1図の住宅131、132、…内の一部を第2図に示すもので置き換えることによって構成される。すなわち、住宅131については、テレビジョン受信機511に専用モニタ491を兼用させて第1図の専用モニタ491を省略し、制御信号デコードユニット951の代わりに、訪問客がテンキー31を操作することによって共同玄関10から伝送され、伝送線80を介して入力する選択信号をデコードして対応する住宅131内のテレビジョン受信機511へ電源オンのリモコン信号を出力する制御信号デコードユニット1951と、前述の選択信号に基づいて対応する住宅131内のテレビジョン受信機511へドアカメラ3受信のための選局リモコン信号を出力する選局信号発生ユニット1111とを設けてなるものである。」(第5ページ左上欄第15行~第5ページ右上欄第10行)

(4)「 第3図および第4図は本発明の第3発明の一実施例の要部を示すもので、全体としては第1図の共同玄関10内の一部と住宅131、132、133、…内の一部を第3図および第4図に示すもので置き換えることによって構成される。すなわち、共同玄関10内については第1図のRF変調器35を、第3図に示すように、画像信号を暗号化するスクランブラ101を具備したRF変調器135で置き換え、住宅131内については、第4図に示すように、第2発明の実施例を示す第2図と同様に置き換えたうえに、対応するテレビジョン受信機511の前段に伝送される暗号化画像信号を復号化するデスクランブルユニット1051を挿入する。このデスクランブルユニット1051は、暗号化画像信号を復号化するデスクランブラ1071と、このデスクランブラ1071をテレビジョン受信機511の前段に挿入するか否かを伝送線80を介して入力する選択信号の有無で切り換える切換スイッチ1091とを主体にして構成されている。その他の住宅132、133、…についても、住宅131と同様に置き換えることによって構成されている。そして、共同玄関10内のドアカメラ3で撮像された訪問客などに関する画像信号は、スクランブラ101を具備したRF変調器135によって暗号化されるとともに変調され、ついで第1図の場合と同様に共視ケーブル411を経、接続端子451、452、…を介して住宅131、132、…内に導かれ、さらにデスクランブルユニット1051、1052、…を介してのテレビジョン受信機511、512、…に入力する。ここで、訪問客が共同玄関10のテンキー31を操作することによって特定の住宅(例えば131)を選択すると、この選択信号が対応する制御信号デコードユニット1951、選局信号発生ユニット1111およびデスクランブルユニット1051に入力する。このため、制御信号デコードユニット1951と選局信号発生ユニット1111は、第2図の場合と同様にして、電源オンのリモコン信号と選局リモコン信号をテレビジョン受信機511に出力し、デスクランブルユニット1051は、切換スイッチ1091を切り換えてデスクランブラ1071をテレビジョン受信機511の前段に挿入し暗号化画像信号を復号化する。このため、テレビジョン受信器機511は、ドアカメラ3からの画像信号を正常な画像として受信表示するが、対応外の住宅132、133…の制御信号デコードユニット1952、1953、…、選局信号発生ユニット1112、1113、…およびデスクランブルユニット1052、1053、…には対応する選択信号が入力しない。このため、テレビジョン受信機512、513、…には電源オンのリモコン信号およびドアカメラ3受信のための選局リモコン信号が出力しない。また、デスクランブルユニット1052、1053、…は、切換スイッチ1092、1093、…を切り換えないので、デスクランブラ1072、1073、…をテレビジョン受信機512、513、…の前段に挿入しない。したがって、対応外の住宅132、133、…内で独自に電源をオンし、かつドアカメラ3の受信を選局したとしても、デスクランブラ1072、1073、…がテレビジョン受信機512、513、…の前段に挿入されていないので、テレビジョン受信機512、513、…はドアカメラ3からの画像信号を暗号化した暗号化画像信号を表示し、訪問客の顔はわからない。」(第5ページ左下欄第19行~第6ページ左上欄第19行)

(5)第1図は、次のとおりである。

(6)第3図は、次のとおりである。

(7)第4図は、次のとおりである。

上記(3)、(4)によれば、「第3発明の一実施例」は、「住宅131については、テレビジョン受信機511に専用モニタ491を兼用させて第1図の専用モニタ491を省略し」、「制御信号デコードユニット951」(第1図)の代わりに、「制御信号デコードユニット1951」(第4図)と「選局信号発生ユニット1111」(第4図)とを設け、さらに、「共同玄関10内については第1図のRF変調器35を、第3図に示すように、画像信号を暗号化するスクランブラ101を具備したRF変調器135で置き換え」、「住宅131内については、第4図に示すように」、「対応するテレビジョン受信機511の前段に伝送される暗号化画像信号を復号化するデスクランブルユニット1051を挿入」したものである。

したがって、引用文献1には、集合住宅の画像・音声伝送装置に関する第3発明の一実施例として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「複数の棟141、142、…に共通して共同玄関10が設けられ、前記複数の棟141、142、…のうちの1つの棟141内には複数の住宅131、132、133、…が設けられた集合住宅の画像・音声伝送装置であって、
前記共同玄関10には、ドアカメラ3と、ドアホン5と、選択信号出力部としてのテンキー31とが設けられ、
前記ドアホン5およびテンキー31は、インタフェース回路55およびコントローラ57を経、音声信号伝送線としての電話線59を介して構内交換機61に結合され、
前記構内交換機61は、電話線791、792、…を経、接続端子811、812、…を介して前記複数の住宅131、132、…内に設けられたPBX831、832、…に結合され、
続きを表示(全12行)
前記PBX831には、インタホン931、選択信号をデコードして対応する住宅131内のテレビジョン受信機511へ電源オンのリモコン信号を出力する制御信号デコードユニット1951、及び前述の選択信号に基づいて対応する住宅131内のテレビジョン受信機511へドアカメラ3受信のための選局リモコン信号を出力する選局信号発生ユニット1111が結合され、
訪問客が共同玄関10内に入りドアカメラ3で撮像されると、その画像信号は、スクランブラ101を具備したRF変調器135によって暗号化されるとともに変調され、UHF混合器37でUHFアンテナ39からのTV信号と混合され、UHF混合器37から出力する混合信号は、共視ケーブル411を経、接続端子451、452、…を介して住宅131、132、…内に導かれ、さらにデスクランブルユニット1051、1052、…を介してテレビジョン受信機511、512、…に入力され、
このデスクランブルユニット1051は、暗号化画像信号を復号化するデスクランブラ1071と、このデスクランブラ1071をテレビジョン受信機511の前段に挿入するか否かを伝送線80を介して入力する選択信号の有無で切り換える切換スイッチ1091とを主体にして構成され、
訪問客が共同玄関10のテンキー31を操作することによって特定の住宅(例えば131)を選択すると、この選択信号が対応する制御信号デコードユニット1951、選局信号発生ユニット1111およびデスクランブルユニット1051に入力され、
制御信号デコードユニット1951と選局信号発生ユニット1111は、電源オンのリモコン信号と選局リモコン信号をテレビジョン受信機511に出力し、デスクランブルユニット1051は、切換スイッチ1091を切り換えてデスクランブラ1071をテレビジョン受信機511の前段に挿入し暗号化画像信号を復号化するため、テレビジョン受信器機511は、ドアカメラ3からの画像信号を正常な画像として受信表示し、
ドアホン5とインタホン931、932、…との間では、音声信号の送受信が行われ、
対応外の住宅132、133…の制御信号デコードユニット1952、1953、…、選局信号発生ユニット1112、1113、…およびデスクランブルユニット1052、1053、…には対応する選択信号は入力せず、対応外の住宅132、133、…内で独自に電源をオンし、かつドアカメラ3の受信を選局したとしても、デスクランブラ1072、1073、…がテレビジョン受信機512、513、…の前段に挿入されていないので、テレビジョン受信機512、513、…はドアカメラ3からの画像信号を暗号化した暗号化画像信号を表示し、訪問客の顔はわからない、
集合住宅の画像・音声伝送装置。」

2.引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-110571号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0033】
図1において、映像変更装置1は、移動オブジェクト検出手段11と、異形態移動オブジェクト作成手段12と、移動オブジェクトデータ埋込み手段13と、変更映像フレーム作成手段14と、撮影手段15と、変更映像保存手段16、変更映像表示手段17と、撮影手段18とを備えている。
【0034】
移動オブジェクト検出手段11は、原映像フレーム上の移動オブジェクトMOを検出することができる。撮影手段15により撮影した映像は、移動オブジェクト領域と、移動オブジェクトを除く領域(以下、「移動オブジェクト除去領域」と言う)に分類できる。移動オブジェクト除去領域は、通常は移動オブジェクトの背景であるが、移動オブジェクトの前に静止物があるような場合には前景のこともある(以下、移動オブジェクトが除去された画像を「移動オブジェクト除去画像」という)。
続きを表示(全33行)
移動オブジェクト検出手段11は、入力画像(撮影手段18から取得した画像)と移動オブジェクト除去画像との差分をとり移動物体領域を抽出する。
【0035】
具体的には、差分がゼロでない画素を連結領域ごとにまとめて仮移動オブジェクトとし、その画素数が所定の閾値以上であるか否かを判断する。差分がゼロでない画素を検出するために、背景画像をガウス分布で近似し、入力画素との差(輝度,彩度,RGB値など、種々の手法がある)が標準偏差のk倍を超えたら移動物体に関わるピクセルの候補とし、その後、領域処理やトラキングを経て実際に移動物体かどうかを判別するようにできる。本発明はこのような判別方法には限定されない。また、画素のデータ構造を、マスクピクセルMijにより表しているがこれに限定されない。
【0036】
ここでは、仮移動オブジェクトがk個であるとし、閾値をThとする。
いま、i番目の仮移動オブジェクトの画素数をNpixel(i=1,2,・・・,k)とし、次式(1)を満たす仮移動オブジェクトを移動オブジェクトとする。
Npixel(i)≧Th(i=1,2,・・・,k)   (1)
m×nの画像内の移動オブジェクトに含まれる画素をマスクピクセルMij(i=1,2,・・・,m:j=1,2,・・・,n)として式(2)で表す。また、移動オブジェクトに含まれない画素は式(3)で表す。マスクピクセルMijは二値化したデータで表される。
【0037】
Mij=1:座標(i,j)にはMasking処理が必要   (2)
Mij=0:座標(i,j)にはasking処理は不要   (3)
異形態移動オブジェクト作成手段12は、移動オブジェクト抽出手段11により検出した移動オブジェクトMOから、
(A)輪郭OLが移動オブジェクトMOの輪郭と同じまたは概略同じであり、
(a)輪郭OL内の全部が透明である異形態移動オブジェクトMOD、または、
(b)輪郭OL内の模様TXの全部が移動オブジェクトMOの模様と異なる異形態移動オブジェクトMOD、あるいは、
【0038】
(B)輪郭OLが移動オブジェクトMOの輪郭と異なり、
(a)輪郭OL内の全部が透明である異形態移動オブジェクトMOD、または、
(b)輪郭OL内の模様TXの全部が前記移動オブジェクトMOの模様と異なる異形態移動オブジェクトMOD、
の何れかを作成する。
【0039】
(A)(a)では通常輪郭OLの線幅はゼロより大きい値とされ、(A)(b)では輪郭OLの線幅はゼロであってもよいしゼロより大きい値としてもよい。なお、(A)(b)では後述するスクランブル処理を行うことができる。
(B)(a)では、たとえば、移動オブジェクトが人物であるときに異形態移動オブジェクトを輪郭つきの透明な円とでき、また移動オブジェクトが車両であるときに異形態移動オブジェクトを透明なナンバプレートとできる。(B)(b)では、たとえば、移動オブジェクトが人物であるときに異形態移動オブジェクトを輪郭つきの所定色の円とでき、また移動オブジェクトが車両であるときに異形態移動オブジェクトを所定色のナンバプレートとできる。なお、(B)(b)では後述するスクランブル処理を行うことができる。
【0040】
(A)(a),(B)(a)は、透明化処理(Transparency処理)であり、移動オブジェクト領域を背景画像に置き換えることにより移動オブジェクトを透明化する処理である。移動オブジェクトを完全に透明化してしまうと移動オブジェクトの存在すら分からなくなるため、移動オブジェクトの形状が識別できるように輪郭が表示される。
【0041】
(A)(b),(B)(b)では、前述したようにスクランブル処理(Scramble処理)を行うことができる。スクランブル処理では、移動オブジェクト領域の画素を入れ換えることにより、被写体の把握を不可能にする。スクランブル処理では、移動オブジェクト領域の画素を入れ換えるだけなので人の顔のみ、車両のナンバプレートのみを隠蔽でき、顔やナンバプレートの全体の色調がある程度わかる。
【0042】
異形態移動オブジェクトが透明化処理されていても、スクランブル処理されていても、閲覧無権限者は、後述するように変更映像表示手段17により、変更映像(またはフレーム)を表示して、異形態移動オブジェクトを把握することができる。透明化処理の場合には、人や車両が移動していることは分かっても、人物や車両の特定が全くできない。スクランブル処理の場合には、人や車両が移動していることが分かり、人の性別の特定、車両の色や型の特定がある程度可能となる。」

3.引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2016/114392号(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0028]  防犯用画像データは、個人情報を含む画像データ(例えば顔が認識できる画像)であることが好ましい。なぜなら、防犯システムでは、万引きなどを行った人物を特定する必要があるからである。しかし、個人情報が含まれた画像データをそのままネットワークNWを介して店舗100のエッジ端末装置1からデータセンタ200のサーバ端末装置2へ送信すると、例えば、ネットワーク伝送中にパケットをキャプチャすることによって、その個人情報が漏えいする可能性がある。その為、エッジ端末装置1では、第一出力部12が、送信する画像データに所定の手法でスクランブル処理(暗号化)を行う。通信部14は、スクランブル処理後の画像データを、サーバ端末装置2へ送信する。これにより、ネットワーク伝送中の個人情報の漏えいを防ぐことができる。サーバ端末装置2は、受信した画像データに対して、スクランブル処理前の元の画像に戻すデスクランブル処理を行う。第一出力部12がスクランブル処理した画像データを復号する復号鍵は、サーバ端末装置2だけが所有している。その為、サーバ端末装置2だけが、取得した画像データを復号化して、個人情報が含まれた元の画像データに復元することができる。一方、第三者は、第一出力部12が、送信した画像データを入手したとしても、個人情報が含まれた元の画像データに復元することができない。このため、個人情報の漏えいを防ぐことができる。サーバ端末装置2は、復号した画像データを利用して、警備員による監視を可能にしてもよい。サーバ端末装置2は、過去に何らかの問題行動を起こしていわゆるブラックリストに登録された人物の画像データと照合して、復号した防犯用画像データにブラックリストに登録された人物が写っているかチェックしてもよい。」

「[0035]  ステップS13にて、暗号鍵が予め記憶部16に記録されている場合を例に説明を行ったが、第一実施形態はこのような構成に限定されない。一例として、サーバ端末装置2が暗号鍵生成部25(図3参照)を備えている場合について説明する。この場合、暗号鍵生成部25が所定時間ごとに暗号鍵(ワンタイムパスワード)を生成する。通信部21がその暗号鍵を送信する。通信部14がその暗号鍵をネットワークNWを介して取得する。第一出力部12がその暗号鍵でスクランブル処理を行う。
出力判定部15は、画像認識により、画像データに人が含まれているかどうかを判定し、画像データに人が含まれている場合のみ、第一出力部12がスクランブル処理を行うようにしても良い。第一出力部12は、画像認識により、人の顔を認識し、人の顔の画像に対してのみスクランブル処理を行うようにしても良い。」

4.周知技術

上記2及び3によれば、「画像をスクランブルする方法として、画像に人が含まれているかを判定し、人や顔に対してのみスクランブルする」技術は、本願出願前において周知である。

第4 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「ドアカメラ3」は、「集合住宅」の「複数の棟141、142…に共通して」設けられた「共同玄関10」に設けられるから、本願発明1の「集合住宅の共用スペースに設けられた少なくとも一つの撮像装置」に相当し、「訪問客が共同玄関10内に入」ると、「ドアカメラ3で撮像」した「画像信号」が取得されるから、当該「画像信号」は、本願発明1の「第1画像」に対応する画像の信号といえ、引用発明においても、「集合住宅の共用スペースに設けられた少なくとも一つの撮像装置から、前記撮像装置で撮影された第1画像を取得する画像取得装置」を有するといえる。

イ 引用発明の「複数の住宅131、132、…内に設けられたPBX831、832、…」には、「ドアホン5」との間で「音声信号の送受信」を行う「インタホン931」、「選択信号をデコードして対応する住宅131内のテレビジョン受信機511へ電源オンのリモコン信号を出力する制御信号デコードユニット1951、及び前述の選択信号に基づいて対応する住宅131内のテレビジョン受信機511へドアカメラ3受信のための選局リモコン信号を出力する選局信号発生ユニット1111が結合され」る。そして、「制御信号デコードユニット1951」は、「選択信号をデコードして対応する住宅131内のテレビジョン受信機511へ電源オンのリモコン信号を出力」し、「選局信号発生ユニット1111」は、「前述の選択信号に基づいて対応する住宅131内のテレビジョン受信機511へドアカメラ3受信のための選局リモコン信号を出力」するから、引用発明の「テレビジョン受信機511」は、本願発明1の「表示部」に相当し、引用発明の「インタホン931」、「制御信号デコードユニット1951」及び「選局信号発生ユニット1111」を合わせたものが本願発明1の「前記集合住宅における前記共用スペースとは別の専有スペースに設けられており、表示部に画像を表示させる通話装置」に相当する。

ウ 引用発明の「共同玄関10」に設けられ「訪問客」が「操作することによって特定の住宅(例えば131)を選択する」「選択信号出力部としてのテンキー31」、「ドアホン5」、「インタフェース回路55およびコントローラ57」を合わせたものは、本願発明1の「前記集合住宅の前記共用スペースに設けられており、操作者からの操作を受け付けて前記通話装置を呼び出す受付装置」に相当する。

エ 引用発明の「スクランブラ101」は、「ドアカメラ3からの画像信号を暗号化した暗号化画像信号」にスクランブルするから、本願発明1の「画像生成部」と引用発明の「スクランブラ101」とは、「前記第1画像に基づいて、前記第1画像内の個人を特定できない状態にした画像を生成する画像生成部」といえる点で共通する。

オ 引用発明は、「訪問客が共同玄関10のテンキー31を操作することによって特定の住宅(例えば131)を選択」した場合においても、「対応外の住宅132、133…の制御信号デコードユニット1952、1953、…、選局信号発生ユニット1112、1113、…およびデスクランブルユニット1052、1053、…には対応する選択信号は入力せず、対応外の住宅132、133、…内で独自に電源をオンし、かつドアカメラ3の受信を選局したとしても、デスクランブラ1072、1073、…がテレビジョン受信機512、513、…の前段に挿入されていないので、テレビジョン受信機512、513、…はドアカメラ3からの画像信号を暗号化した暗号化画像信号を表示し、訪問客の顔はわからない」のであるから、本願発明1と引用発明とは、「前記受付装置からいずれの前記通話装置に対しても呼び出しが行われていない状態において前記表示部へ前記第1画像内の個人を特定できない状態にした画像を表示させる機能」を有するといえる点で共通する。

カ 引用発明は、「ドアホン5とインタホン931、932、…との間で」「音声信号の送受信が行われ」る「集合住宅の画像・音声伝送装置」であるから、「集合住宅用インターホンシステム」といえる。

したがって、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。

一致点

「集合住宅の共用スペースに設けられた少なくとも一つの撮像装置から、前記撮像装置で撮影された第1画像を取得する画像取得装置と、
前記集合住宅における前記共用スペースとは別の専有スペースに設けられており、表示部に画像を表示させる通話装置と、
前記集合住宅の前記共用スペースに設けられており、操作者からの操作を受け付けて前記通話装置を呼び出す受付装置と、
前記第1画像に基づいて、前記第1画像内の個人を特定できない状態にした画像を生成する画像生成部と、
を備え、
前記通話装置からの要求に基づいて、前記受付装置からいずれの前記通話装置に対しても呼び出しが行われていない状態において前記表示部へ前記第1画像内の個人を特定できない状態にした画像を表示させる機能を有する
集合住宅用インターホンシステム。」

相違点1

本願発明1は、「前記画像取得装置、前記通話装置、及び前記受付装置の間の通信を制御する制御装置」を備え、「前記制御装置」は、「前記通話装置からの要求に基づいて」、表示部に「前記第1画像内の人の存否を示す情報を含み、かつ、前記第1画像内の個人を特定できない状態にした第2画像」を表示させるのに対し、引用発明では、「制御装置」を備えず、「ドアホン5とインタホン931、932、…との間」の「音声信号」を、「インタフェース回路55およびコントローラ57」、「電話線59」、「構内交換機61」、「住宅131、132、…内に設けられたPBX831、832、…」を介して「送受信」し、「ドアカメラ3で撮像」した「画像信号」を、「スクランブラ101を具備したRF変調器135」、「UHF混合器37」を介して送信し、「対応外の住宅132、133、…内で独自に電源をオンし、かつドアカメラ3の受信を選局したとしても」、「テレビジョン受信機512、513、…はドアカメラ3からの画像信号を暗号化した暗号化画像信号を表示」する点。

相違点2

本願発明1では、「前記第1画像内の人の存否を判定する人検知処理部」を備え、「画像生成部」は、「前記人検知処理部で判定された前記第1画像内の人の存否を示す情報を含み、かつ、前記第1画像内の個人を特定できない状態にした第2画像」を生成するのに対し、引用発明では、「スクランブラ101」が「ドアカメラ3からの画像信号を暗号化した暗号化画像信号」を生成する点。

(2)相違点についての判断

相違点1について検討する。

引用発明は、従来の集合住宅の画像・音声伝送装置が、「ドアカメラ3と住宅131、132、…、13nの専用モニタ151、152、…、15nとの間が専用ケーブル7で結合され、ドアホン5と住宅131、132、…、13nのインタホン211、212、…、21nとの間が専用ペア線17で結合されていたので、集合住宅11内に、テレビジョン受信機用の共同視聴用ケーブル(以下単に共視ケーブルと記述する)や電話機用の電話線の他に、専用ケーブル7や専用ペア線17を設けなければならないという問題点があった」(上記「第3」「1.(1)」参照。)ことに鑑み、「ドアカメラ3で撮像」した「画像信号」を、「スクランブラ101を具備したRF変調器135」、「UHF混合器37」、「デスクランブルユニット1051、1052、…」を介して「テレビジョン受信機511、512、…に入力」したものであるから、引用発明の「画像・音声伝送装置」の前提構成を、本願発明1のような「前記画像取得装置、前記通話装置、及び前記受付装置の間の通信を制御する制御装置」を備えた「集合住宅用インターホンシステム」とする動機付けがあるとはいえない。

さらに、『「前記通話装置からの要求に基づいて」、「前記第1画像内の人の存否を示す情報を含み、かつ、前記第1画像内の個人を特定できない状態にした第2画像」を表示させる』ことについて、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2-10には記載も示唆もないから、仮に「画像をスクランブルする方法として、画像に人が含まれているかを判定し、人や顔に対してのみスクランブルする」技術自体が周知であったとしても、引用発明の「対応外の住宅132、133、…」の「テレビジョン受信機512、513、…」に、『「前記通話装置からの要求に基づいて」、「前記第1画像内の人の存否を示す情報を含み、かつ、前記第1画像内の個人を特定できない状態にした第2画像」を表示させる』ことが、当業者が容易になし得るとはいえない。

したがって、相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-3について

本願発明2-3も、本願発明1をさらに限定する発明であって、上記1.で検討した相違点1に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明4-5について

本願発明4-5も、本願発明1をさらに限定する発明であって、上記1.で検討した相違点1に係る構成を備えるものである。そして、原査定で引用された引用文献4にも、上記1.で検討した相違点1に係る構成は記載されていない。

したがって、本願発明4-5は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献4に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4.本願発明6について

本願発明6も、本願発明1をさらに限定する発明であって、上記1.で検討した相違点1に係る構成を備えるものである。そして、原査定で引用された引用文献10にも、上記1.で検討した相違点1に係る構成は記載されていない。

したがって、本願発明6は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献10に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

5.本願発明7について

本願発明7も、本願発明1をさらに限定する発明であって、上記1.で検討した相違点1に係る構成を備えるものである。そして、原査定で引用された引用文献6にも、上記1.で検討した相違点1に係る構成は記載されていない。

したがって、本願発明7は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献6に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

6.本願発明8について

本願発明8も、本願発明1をさらに限定する発明であって、上記1.で検討した相違点1に係る構成を備えるものである。そして、原査定で引用された引用文献7にも、上記1.で検討した相違点1に係る構成は記載されていない。

したがって、本願発明8は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献7に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

7.本願発明9について

本願発明9も、本願発明1をさらに限定する発明であって、上記1.で検討した相違点1に係る構成を備えるものである。そして、原査定で引用された引用文献8にも、上記1.で検討した相違点1に係る構成は記載されていない。

したがって、本願発明9は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献8に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

8.本願発明10について

本願発明10も、本願発明1をさらに限定する発明であって、上記1.で検討した相違点1に係る構成を備えるものである。そして、原査定で引用された引用文献9にも、上記1.で検討した相違点1に係る構成は記載されていない。

したがって、本願発明10は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献9に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

9.本願発明11について

本願発明11は、「集合住宅用インターホンシステム」の「通信を制御する制御装置」が「前記集合住宅における前記共用スペースとは別の専有スペースに設けられており、表示部に画像を表示させる通話装置からの要求に基づいて、いずれの前記通話装置に対しても呼び出しが行われていない状態において前記表示部へ前記第2画像を表示させる機能」を有するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

10.本願発明12-13について

本願発明12-13は、「通信を制御する制御装置が、前記集合住宅における前記共用スペースとは別の専有スペースに設けられた通話装置であって表示部に画像を表示させる通話装置からの要求に基づいて、いずれの前記通話装置に対しても呼び出しが行われていない状態において前記表示部へ前記第2画像を表示させる表示ステップ」を有する「集合住宅用インターホンシステムの制御方法」の発明及びコンピュータシステムに当該制御方法を実行させるための「プログラム」の発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断

原査定の理由は、請求項1-3、11-13に係る発明は、上記引用文献1に記載された発明及び引用文献2-3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、請求項4-5に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、請求項6に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献10に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、請求項7に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献6に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、請求項8に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献7に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、請求項9に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献8に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、請求項10に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献9に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである(なお、原査定の請求項1、11及び12に係る発明が、それぞれ本願発明1、11及び12に対応する。)。

しかしながら、本願発明1-13は、それぞれ「集合住宅用インターホンシステム」の「通信を制御する制御装置」が「表示部に画像を表示させる通話装置」からの「要求に基づいて」、「いずれの前記通話装置に対しても呼び出しが行われていない状態において前記表示部へ前記第2画像を表示させる」機能又は表示ステップを有するものとなっているから、上記第4のとおり、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献4-10に記載されたいずれの技術事項に基づいても、当業者が容易に発明できたものではない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について

1.特許法第36条第6項第2号(理由1)について

当審では、請求項1の「前記通話装置からの要求に基づいて、前記受付装置からいずれの前記通話装置に対しても呼び出しが行われていない状態において前記表示部へ前記第2画像を表示させる機能」の動作主体が特定されていないから、請求項1-10に係る発明が不明確であり、請求項12-13に係る発明についても、同様に「表示させる機能」又は「表示ステップ」の動作主体が特定されていないから、不明確である旨の拒絶の理由(拒絶理由通知書の(1)、(3)及び(4))を通知しているが、令和3年4月12日の手続補正により、「制御装置」が動作主体であることが特定された結果、この拒絶の理由は解消した。

また、請求項3の「前記複数の通話装置のうちの一つを特定する操作を受け付ける操作部を、更に備え、」との特定事項について、当該「操作部」が、「集合住宅インターホンシステム」のどこに備えられるのかが不明確であり、請求項3を引用する請求項4では、「前記操作部は、前記複数の通話装置の各々に設けられ」ることを特定しているが、請求項3の「前記複数の通話装置のうちの一つを特定する操作を受け付ける操作部」と整合しないから、請求項4に係る発明が不明確である旨の拒絶の理由(拒絶理由通知書の(2))を通知しているが、令和3年4月12日の手続補正により、「受付装置」が「前記複数の通話装置のうちの一つを特定する操作を受け付ける操作部」を備えることが特定され(請求項3)、「前記複数の通話装置の各々」に設けられる「解錠操作を受け付ける操作部」(請求項4)との違いが明確になった結果、この拒絶の理由は解消した。

2.特許法第29条第1項柱書(理由2)について

当審では、請求項12に係る発明については、各ステップの動作主体が特定されていないために、「ヒト」がコンピュータを道具として操作する動作を特定したものと解されるので、自然法則を利用した発明に該当しないとの拒絶の理由(拒絶理由通知書の(4))を通知しているが、令和3年4月12日の手続補正により、各ステップの動作主体が特定された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび

以上のとおり、請求項1-3、11-13に係る発明は、上記引用文献1に記載された発明及び引用文献2-3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

請求項4-5に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

請求項6に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献10に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

請求項7に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献6に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

請求項8に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献7に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

請求項9に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献8に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

請求項10に係る発明は、引用発明、引用文献2-3に記載された周知技術及び引用文献9に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-009873

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