2020-005906
投影装置及び三次元計測装置
- 審判番号
- 2020-005906
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-227016外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年04月30日
- 審決日
- 2021年02月10日
- 公報発行日
- 2021年04月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .113-WY (G01B) / P18 .121-WY (G01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年12月4日にした特許出願であって、令和2年2月19日付けの拒絶理由通知に対し、同年3月13日に意見書が提出されたところ、同月30日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされた(原査定の謄本の送達日:同年4月7日)。
これに対して、同年4月30日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~9に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本願発明1」等という。)は、本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1~9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】所定の被計測物に係る三次元計測を行うにあたり、前記被計測物に対し所定のパターン光を投影する投影装置であって、所定の光を発する光源と、前記光源から入射する光をパターン光に変換して出射するパターン生成部と、続きを表示(全31行)前記パターン生成部から出射されるパターン光を前記被計測物に対し結像させる投影光学系とを備え、前記パターン生成部は、所定の透過率で光を透過する透光部と、少なくとも一部の光を遮る遮光部とが第1方向に交互に並ぶ格子パターンを有した複数の格子部材が、前記第1方向と直交する第2方向に相対向するように配置されると共に、前記第1方向に対する前記複数の格子部材の相対位置関係を変更可能な格子移動手段を備えることにより、前記被計測物に投影するパターン光の周期を変更可能に構成されていることを特徴とする投影装置。【請求項2】前記複数の格子部材に形成された格子パターンが同一であることを特徴とする請求項1に記載の投影装置。【請求項3】前記パターン生成部は、前記第2方向に相対向する2つの前記格子部材のうちの一方の格子部材における前記格子パターンの遮光部と、他方の格子部材における前記格子パターンの遮光部とが前記第1方向に連なるように、前記2つの格子部材を配置することにより、長周期のパターン光を生成可能に構成され、前記一方の格子部材における前記格子パターンの遮光部と、前記他方の格子部材における前記格子パターンの遮光部とが前記第1方向に離間するように、前記2つの格子部材を配置することにより、短周期のパターン光を生成可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の投影装置。【請求項4】前記パターン生成部は、前記一方の格子部材における前記格子パターンの遮光部の第1方向一端側の端部位置と、他方の格子部材における前記格子パターンの遮光部の第1方向他端側の端部位置とが第1方向同一位置となるように、前記2つの格子部材を配置することにより、前記長周期のパターン光を生成可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の投影装置。【請求項5】前記パターン生成部は、前記一方の格子部材における前記格子パターンの遮光部の第1方向一端部を含む所定範囲と、前記他方の格子部材における前記格子パターンの遮光部の第1方向他端部を含む所定範囲とが前記第1方向に重なるように、前記2つの格子部材を配置することにより、前記長周期のパターン光を生成可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の投影装置。【請求項6】前記複数の格子部材は、1つの固定された固定格子部材と、これに対し相対変位可能に設けられた少なくとも1つの可動格子部材とにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の投影装置。【請求項7】前記遮光部は、透過率の異なる複数の部位から構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の投影装置。【請求項8】前記パターン光として、縞状の光強度分布を有するパターン光を投影可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の投影装置。【請求項9】請求項1乃至8のいずれかに記載の投影装置と、前記パターン光の投影された前記被計測物の所定範囲を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段により撮像され取得された画像データを基に前記被計測物に係る三次元計測を実行可能な画像処理手段とを備えたことを特徴とする三次元計測装置。」
第3 原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
理由1
本願発明1~6、8、9は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2
本願発明1~6、8、9は、下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
本願発明7は、下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
「【0020】以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る格子パターン投影形状測定装置の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る格子パターン投影形状測定装置10(以下、単に「測定装置10」と称することがある)は、測定ヘッド12,電源機器駆動部14,制御部16,およびモニタ18を備えてなり、測定ヘッド12において被測定体2の立体形状情報および模様(テクスチャ)情報を取り込み、これら立体形状情報および模様情報を、電源機器駆動部14を介して制御部16へ出力し、制御部16において立体形状情報と模様情報とを合成処理して被測定体2の3次元イメージを生成し、これをモニタ18に表示するようになっている。制御部16には、キーボード20およびマウス22が接続されており、これらを操作することにより、モニタ18における3次元イメージの表示角度の変更等その表示内容の切換え操作を行なうことができるようになっている。【0021】続きを表示(全15行)また、上記測定ヘッド12における立体形状情報の取り込みは、格子投影型モアレトポグラフィを利用して行なうようになっている。図1において、測定ヘッド12の前方に2点鎖線で示す格子面Pgが、格子投影型モアレトポグラフィにおける仮想基準格子面である。この測定ヘッド12の格子投影型モアレ装置としての基本構成および機能を、図2を用いて説明する。図2は、測定ヘッド12の格子投影型モアレ装置としての基本構成および機能を示す平面図である。【0022】図2に示すように測定ヘッド12は、投影光学系26および観測光学系28を備えてなる。投影光学系26は、投影用ランプ,熱線カットフィルタおよびコンデンサレンズからなる格子照明系(不図示)と、第1の基準格子としての投影格子40と、投影レンズ42とを備えてなり、一方、観測光学系28は、撮影レンズ44と、第2の基準格子としての観測用基準格子(撮影格子)46と、フィールドレンズ,折り返しミラーおよびCCDカメラからなるテレビ光学系(不図示)とを備えてなる。【0023】また、上記投影レンズ42および撮影レンズ44は、その各光軸Ax1およびAx2が互いに平行になるようにして取り付けられており、図示せぬ上記格子照明系は、光軸Ax1に対して左斜め後方から投影格子40を照射するように配置されており、その投影用ランプの像は、投影レンズ42の入射瞳位置に略結像されるようになっている。【0024】一方、上記観測用基準格子46は、図示せぬ上記テレビ光学系のフィールドレンズおよび折り返しミラーと共に光軸Ax2上に配置されており、上記CCDカメラは、光軸Ax2に対して折り返しミラーにより直角に折り返された光軸上に配置されている。【0025】投影格子40および観測用基準格子46は、いずれも互いに等しいピッチで上下方向(紙面に垂直な方向)に延びる格子線を有しており、光軸Ax1およびAx2と直交する同一平面内に設けられている。そして、投影格子40は、該投影格子40の像が仮想基準格子面Pgに結像されるように仮想基準格子面Pgと共役の位置関係で配置されており、一方、観測用基準格子46も、仮想基準格子面Pgの像が観測用基準格子46に結像されるように仮想基準格子面Pgと共役の位置関係で配置されている。【0026】そして測定ヘッド12は、投影光学系26により投影格子40の像を被測定体2上に投影するとともに、この投影により被測定体2上に形成された変形格子像を観測光学系28により観測用基準格子46上に結像させ、この結像により生じるモアレ縞を観測するように構成されている。」
「【0033】図3(b)に示すように投影格子40は、不図示の投影用ランプ側に配置された要素格子41と被測定体2(図2参照)側に配置された要素格子43とが、互いの格子線(共に直線状)が平行な状態となるように重ね合わされてなる。2枚の要素格子41,43はそれぞれ、不透光格子線45,47を形成する不透光領域Bと透光格子線61,63を形成する透光領域Wとの間で投影光の透過率が略2値的に変化するバイナリ格子であり、格子線幅、格子ピッチP、および不透光領域Bすなわち不透光格子線45,47と透光領域Wすなわち透光格子線61,63との線幅の割合(1:1)がそれぞれ互いに略等しくなるように構成されている。【0034】また投影格子40は、2枚の要素格子41,43を格子線と直角な移動方向(図中矢線で示す)に互いに横ずらしできるようになっている。詳しくは、この横ずらしは図3(a)に示す1軸移動ステージ49によってなされる。すなわち、この1軸移動ステージ49は、支持フレーム48に取り付けられた一方の要素格子43を支持する上板51と、この上板51を上記移動方向に移動可能に支持するともに他方の要素格子41を固定的に支持する中板53と、調整ネジ54とからなり、オペレータがこの調整ネジ54を操作することによって、一方の要素格子43を支持した上板51を他方の要素格子41を支持した上記中板53に対して相対的に上記移動方向に移動させ、これにより上記横ずらしの調整を行なえるように構成されている。【0035】この横ずらし調整により投影格子40は、不透光領域Bと透光領域Wとの線幅の割合を、2枚の要素格子41,43の各不透光格子線45,47が完全に重なり合った状態(線幅比1:1)から各不透光格子線45,47の一部が重なり合った状態(例えば線幅比1.8:1,図3(c)参照)まで任意に変えることが可能になっている。なお、上記調整ネジ54に代えて電動のアクチュエータを設け、図1に示すキーボード20からの入力操作により電源機器駆動部14を介して制御部16から制御信号を出力し、この制御信号に基づき上記アクチュエータを駆動して上記横ずらしの調整を行なうようにしてもよい。」
「【0039】図4(a)に示すように、投影格子40を構成する2枚の要素格子41,43の各格子線45,47が互いに略重なり合うようにすると、同図(b)に示すように投影格子40の不透光領域Bと透光領域Wとの線幅比は1:1となる。投影格子40は投影光に対してバイナリ格子として機能するので、投影光の透過率分布は同図(c)に示すように、不透光領域Bと透光領域Wとの境界部分において略2値的(0,1)に変化する。」
「【0041】一方、図4(a´)に示すように、投影格子40を構成する2枚の要素格子41,43を横ずらしして、各々の格子線45,47が互いに一部分のみ重なり合うようにすると、同図(b´)に示すように投影格子40の不透光領域Bと透光領域Wとの線幅比が変化する(例えば1.3:1)。なお、横ずらししても投影格子40の格子ピッチPは変化せず、また投影格子40は投影光に対してバイナリ格子として機能するので、投影光の透過率分布は同図(c´)に示すような、不透光領域Bと透光領域Wとの境界部分において略2値的(0,1)に変化する形状とされる。」
「【0050】また、上記実施形態は本発明を格子投影型モアレ装置に適用した例を示しているが、本発明は上記特許文献1に記載されているような格子照射型モアレ装置や、上記特許文献3,4に記載されているような他の格子パターン投影形状測定装置に対しても同様に適用することが可能である。」
「【図1】」
「【図2】」
「【図3】」
「【図4】」
上記記載内容及び上記図示内容を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「投影光学系26と観測光学系28を備えた測定ヘッド12を有する格子パターン投影形状測定装置10において、(【0020】、【0022】、【図1】)投影光学系26は、投影用ランプ、熱線カットフィルタおよびコンデンサレンズからなる格子照明系と、第1の基準格子としての投影格子40と、投影レンズ42とを備えてなり、(【0022】、【図2】)格子照明系は、光軸Ax1に対して左斜め後方から投影格子40を照射するように配置され、その投影用ランプの像は、投影レンズ42の入射瞳位置に略結像されるようになっており、(【0023】、【図2】)投影格子40は、互いに等しいピッチで上下方向に延びる格子線を有しており、光軸Ax1と直交する同一平面内に設けられ、投影格子40の像が仮想基準格子面Pgに結像されるように仮想基準格子面Pgと共役の位置関係で配置されており、投影光学系26により投影格子40の像が被測定体2上に投影され、(【0025】~【0026】、【図2】)投影格子40は、投影用ランプ側に配置された要素格子41と被測定体2側に配置された要素格子43とが、互いの格子線(共に直線状)が平行な状態となるように重ね合わされてなり、2枚の要素格子41、43はそれぞれ、不透光格子線45、47を形成する不透光領域Bと透光格子線61、63を形成する透光領域Wとの間で投影光の透過率が略2値的に変化するバイナリ格子であり、格子線幅、格子ピッチP、および不透光領域Bすなわち不透光格子線45、47と透光領域Wすなわち透光格子線61、63との線幅の割合(1:1)がそれぞれ互いに略等しくなるように構成されており、(【0033】、【図3】)投影格子40は、2枚の要素格子41、43を格子線と直角な移動方向に互いに横ずらしできるようになっており、この横ずらしは1軸移動ステージ49によってなされ、この1軸移動ステージ49は、支持フレーム48に取り付けられた一方の要素格子43を支持する上板51と、この上板51を上記移動方向に移動可能に支持するともに他方の要素格子41を固定的に支持する中板53と、調整ネジ54とからなり、オペレータがこの調整ネジ54を操作することによって、一方の要素格子43を支持した上板51を他方の要素格子41を支持した上記中板53に対して相対的に上記移動方向に移動させ、これにより上記横ずらしの調整を行なえるように構成されており、(【0034】、【図3】)この横ずらし調整により投影格子40は、不透光領域Bと透光領域Wとの線幅の割合を、2枚の要素格子41、43の各不透光格子線45、47が完全に重なり合った状態(線幅比1:1)から各不透光格子線45、47の一部が重なり合った状態(例えば線幅比1.8:1)まで任意に変えることが可能になっており、横ずらししても投影格子40の格子ピッチPは変化しない、(【0035】、【0041】)格子パターン投影形状測定装置10。」
2 引用文献2
引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
[引用文献2記載事項]
「光源20からの照射光Lがスリット格子状透過板30を通過して計測対象物1に投影パターン光Lpとして投影され、計測対象物1の三次元形状を計測する三次元計測装置において、(【0037】、【図1】)スリット格子状透過板30が、X1方向の不透過部31と透過部32とが、同じ幅でY1方向に交互に配置されたスリット格子状透過板30a、(【0047】、【図9】(a))透過部32bの幅が不透過部31bの幅より狭い幅狭スリット格子状透過板30b、(【0047】、【図9】(b))Y1方向に濃淡が徐々に変化するグラデーション不透過部31cとグラデーション透過部32cとがY1方向に交互に配置され、グラデーション透過部32cの幅がグラデーション不透過31cの幅よりも狭いグラデーションスリット格子状透過板30c(【0047】、【図9】(c))のうちのいずれかであること。」
「【図1】」
「【図9】」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「投影用ランプ」は、本願発明1の「所定の光を発する光源」に相当する。
引用発明では、「投影格子40は、互いに等しいピッチで上下方向に延びる格子線を有しており」、「投影光学系26により投影格子40の像が被測定体2上に投影され」るから、引用発明の「投影格子40」は、本願発明1の「前記光源から入射する光をパターン光に変換して出射するパターン生成部」に相当し、引用発明の「被測定体2」は、本願発明1の「被計測物」に相当し、引用発明の「投影光学系26」は、本願発明1の「前記パターン生成部から出射されるパターン光を前記被計測物に対し結像させる投影光学系」に相当する。
イ 上記アの検討内容を踏まえると、引用発明の「格子パターン投影形状測定装置10」の「投影格子40の像」を「被測定体2上に投影」する「投影光学系26」を「備えた」「測定ヘッド12」は、本願発明1の「所定の被計測物に係る三次元計測を行うにあたり、前記被計測物に対し所定のパターン光を投影する投影装置」に相当する。
ウ 引用発明の「投影格子40」は、「投影用ランプ側に配置された要素格子41と被測定体2側に配置された要素格子43とが、互いの格子線(共に直線状)が平行な状態となるように重ね合わされてなり」、「2枚の要素格子41、43」は、「それぞれ、不透光格子線45、47を形成する不透光領域Bと透光格子線61、63を形成する透光領域Wとの間で投影光の透過率が略2値的に変化するバイナリ格子」であるから、引用発明の「透光格子線61、63を形成する透光領域W」及び「不透光格子線45、47を形成する不透光領域B」は、それぞれ本願発明1の「所定の透過率で光を透過する透光部」及び「少なくとも一部の光を遮る遮光部」に相当し、引用発明の「2枚の要素格子41、43」は、本願発明1の「複数の格子部材」に相当する。
また、引用発明の「互いの格子線(共に直線状)が平行」に並ぶ方向は、本願発明1の「所定の透過率で光を透過する透光部と、少なくとも一部の光を遮る遮光部とが」「交互に並ぶ」「第1方向」に相当し、引用発明の「要素格子41」と「要素格子43」が「互いの格子線(共に直線状)が平行な状態となるように重ね合わされ」ることは、本願発明1の「複数の格子部材が、前記第1方向と直交する第2方向に相対向するように配置される」ことに相当する。
エ 引用発明では、「投影格子40は、2枚の要素格子41、43を格子線と直角な移動方向に互いに横ずらしできるようになっており、この横ずらしは1軸移動ステージ49によってなされ、この1軸移動ステージ49は、支持フレーム48に取り付けられた一方の要素格子43を支持する上板51と、この上板51を上記移動方向に移動可能に支持するともに他方の要素格子41を固定的に支持する中板53と、調整ネジ54とからなり、オペレータがこの調整ネジ54を操作することによって、一方の要素格子43を支持した上板51を他方の要素格子41を支持した上記中板53に対して相対的に上記移動方向に移動させ、これにより上記横ずらしの調整を行なえるように構成されて」いるところ、この「格子線と直角な移動方向」は、本願発明1の「第1方向」に相当するから、引用発明の「2枚の要素格子41、43を格子線と直角な移動方向に互いに横ずらしできるように」する「1軸移動ステージ49」は、本願発明1の「前記第1方向に対する前記複数の格子部材の相対位置関係を変更可能な格子移動手段」に相当する。
以上ア~エの検討内容をまとめると、本願発明1と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
[一致点]
「所定の被計測物に係る三次元計測を行うにあたり、前記被計測物に対し所定のパターン光を投影する投影装置であって、所定の光を発する光源と、前記光源から入射する光をパターン光に変換して出射するパターン生成部と、前記パターン生成部から出射されるパターン光を前記被計測物に対し結像させる投影光学系とを備え、前記パターン生成部は、所定の透過率で光を透過する透光部と、少なくとも一部の光を遮る遮光部とが第1方向に交互に並ぶ格子パターンを有した複数の格子部材が、前記第1方向と直交する第2方向に相対向するように配置されると共に、前記第1方向に対する前記複数の格子部材の相対位置関係を変更可能な格子移動手段を備えることを特徴とする投影装置。」
[相違点]
「前記第1方向に対する前記複数の格子部材の相対位置関係を変更可能な格子移動手段」により、本願発明1では、「前記被計測物に投影するパターン光の周期を変更可能に構成されている」のに対して、引用発明では、「不透光領域Bと透光領域Wとの線幅の割合を、2枚の要素格子41、43の各不透光格子線45、47が完全に重なり合った状態(線幅比1:1)から各不透光格子線45、47の一部が重なり合った状態(例えば線幅比1.8:1)まで任意に変えることが可能」である点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
ア 本願発明1の「前記被計測物に投影するパターン光の周期」とは、本願明細書の段落【0076】の「上記構成の下、格子ユニット20は、生成する縞パターンWを、周期(縞ピッチ)の異なる2種類の縞パターンWに切換えることができる。」という記載、及び、段落【0134】の「この際、本実施形態では、プリント基板1上の検査範囲の凹凸度合いに応じて、投影装置14から投影する縞パターンWの周期(ピッチ)を変更する構成となっている。具体的には、長周期の第1縞パターンW1と、短周期の第2縞パターンW2の2種類の縞パターンWを切換えて投影する。」という記載からみて、被計測物に投影する縞パターンのピッチを意味するといえる。
そうすると、上記相違点に係る本願発明1の構成である「前記被計測物に投影するパターン光の周期を変更可能」にすることは、被計測物に投影する縞パターンのピッチを変更可能にすることを意味する。
イ これに対して、引用発明では、「この横ずらし調整により投影格子40は、不透光領域Bと透光領域Wとの線幅の割合を、2枚の要素格子41、43の各不透光格子線45、47が完全に重なり合った状態(線幅比1:1)から各不透光格子線45、47の一部が重なり合った状態(例えば線幅比1.8:1)まで任意に変えることが可能になって」いるものの、「横ずらししても投影格子40の格子ピッチPは変化しない」のであるから、線幅比を1:1から1.8:1まで如何に変化させたとしても、隣接する「不透光領域B」どうしの間隔は【図3】(c)に示されているように格子ピッチPのまま変化しない。
また、格子ピッチを変化させながら線幅比を変化させることは、引用文献1に記載も示唆もされていない。
ウ そうすると、引用発明では、そもそも格子ピッチを変化させようとする契機を見いだすことはできないのであるから、このような引用発明に基づいて上記相違点に係る本願発明1の構成とすることは、当業者に発想の飛躍を要するものというべきである。また、このような契機を欠く引用発明に上記引用文献2記載事項を如何に適用しても、上記相違点に係る本願発明1の構成を備えるようにすることはできない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2~9について
本願発明2~9も、上記相違点に係る本願発明1の構成と同じものを含むから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 小括
上記1及び2において検討したとおりであるから、本願発明1~9は、引用文献1に記載された発明ではなく、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもなく、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1~6、8、9は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。そして、本願発明7は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-005906