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意匠拒絶査定不服審判

2020-005895

包装用袋

審判番号
2020-005895
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2019-006481外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年04月30日
審決日
2020年09月07日
公報発行日
2020年11月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .113-WY (F4-4)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

意願2019-6481「包装用袋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 9項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は,平成31年(2019年)3月27日の意匠登録出願であって,令和1年(2019年)10月11日付けの拒絶理由の通知に対し,同年11月13日に意見書が提出されたが,令和2年2月21日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年4月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用袋」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線であらわした部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠

特許庁発行の意匠公報記載

意匠登録第1579063号

(意匠に係る物品,包装用袋)の意匠の実線で表された部分の未シール部及びその周囲のシール部

第4 当審の判断

以下では,シール部が包装用袋の内側に突出した部分を「突出部」という。

また,包装用袋のことを単に「袋」ということもある。

1 本願意匠

本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品

本願意匠の意匠に係る物品は「包装用袋」である。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能

本願意匠に係る物品のうち,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,正面視において,略正方形の包装用袋における,左辺の上から約3分の1に位置する,突出部の上端及び下端が内接する横長長方形の部分であって,その大きさは,面積比で全体の約28分の1である。

本願部分の用途と機能は,電子レンジによる加熱に伴って包装用袋内の圧力が高まった際に,包装用袋内の蒸気を未シール部から逃がすというものである。

(3)本願部分の形状

ア.本願部分におけるシール部の右側の辺は,三角形状に突出しており,右下がりになった長い上側の辺(以下「右側斜辺」という。)と左下がりになった短い下側の辺(以下「右側底辺」という。)とで左右反対向きの略くの字状になっており,右側斜辺と右側底辺が交差する角(以下「右側底角」という。)はごく小さい角丸となっている。

イ.シール部の左側の辺は,袋の左辺において,シール部の上端からシール部の上端の横幅の約2分の1の長さ分下がった所までを鉛直線とし,その下端からは右下がりになった長い上側の辺(以下「左側斜辺」という。)とし,水平な短い下側の辺(以下「左側底辺」という。)を介して,袋の左辺上にある左側底辺の左端から本の少しを鉛直線とし,シール部の下端に達する。

左側斜辺と左側底辺が交差する角(以下「左側底角」という。)はごく小さい角丸となっている。

ウ.左側斜辺は,右側斜辺より傾斜角度が寝ている。

エ.これらのことから,シール部の幅は,底辺部(右側底辺と左側底辺に挟まれている部分。以下同じ。)においては左側に向けて広がっており,斜辺部(右側斜辺と左側斜辺に挟まれている部分。以下同じ。)においてはシール部上側に向けて顕著に広がっており,シール部の斜辺部と上端部を併せた形状は,(逆さまにした)ネクタイの前垂れ(大剣)のような形状となっている。

2 引用意匠

引用意匠は,上記「第3」の意匠公報の記載の内容によると,以下のとおりである。

なお,引用意匠の認定に際しては,本願意匠と同じ向きとして認定する。

(1)意匠に係る物品

引用意匠の意匠に係る物品は「包装用袋」である。

(2)引用部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能

引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,正面視において,略正方形の包装用袋における,左辺の上から約3分の1に位置する,突出部の上端及び下端が内接する横長長方形の部分であって,その大きさは,面積比で全体の約20分の1である。

引用部分の用途と機能は,本物品に封入したレトルト食品等を電子レンジ等で加熱調理をした際に,蒸気や膨張した空気を外部に逃がすというものである。

(3)引用部分の形状

ア.引用部分におけるシール部の右側の辺は,三角形状に突出しており,右下がりになった長い上側の辺(以下「右側斜辺」という。)と水平な短い下側の辺(以下「右側底辺」という。)が交差する角(以下「右側底角」という。)は大きな角丸となっている。

イ.シール部の左側の辺は,袋の左辺において,シール部の上端からシール部の上端の横幅の約1.5倍の長さ分下がった所までを鉛直線とし,その下端から袋の左辺から水平な上底が僅かにあり,そこから折れ曲がって右下がりの長い斜辺(以下「左側斜辺」という。)となり,水平な短い下側の辺(以下「左側底辺」という。)と,袋左辺とで略直角台形状(一方の底角が直角の台形のこと。以下同じ。)と成っており,袋の左辺上にある左側底辺の左端から本の少しを鉛直線とし,シール部の下端に達する。

左側斜辺と左側底辺が交差する角(以下「左側底角」という。)は小さい角丸となっている。

ウ.左側斜辺は,右側斜辺より傾斜角度が僅かに寝ており,左側底辺は,右側底辺と平行(共に水平)である。

エ.これらのことから,シール部の幅は,底辺部(右側底辺と左側底辺に挟まれている部分。以下同じ。)においては一定で,斜辺部(右側斜辺と左側斜辺に挟まれている部分。以下同じ。)においてはシール部上側に向けて僅かに広がっており,シール部の上端部分で縦長長方形が想起される形状となっている。

3 両意匠の対比

(1)意匠に係る物品の対比

本願意匠に係る物品も,引用意匠に係る物品も,共に「包装用袋」である。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の対比

本願部分及び引用部分は,正面視において,略正方形の包装用袋における,左辺の上から約3分の1に位置する,突出部の上端及び下端が内接する横長長方形の部分である。

そして,本願部分の大きさは,面積比で全体の約28分の1であるのに対して,引用部分の大きさは,面積比で全体の約20分の1である。

本願部分の用途と機能は,電子レンジによる加熱に伴って包装用袋内の圧力が高まった際に,包装用袋内の蒸気を未シール部から逃がすというものであるのに対して,引用部分の用途と機能は,本物品に封入したレトルト食品等を電子レンジ等で加熱調理をした際に,蒸気や膨張した空気を外部に逃がすというものである。

(3)両部分の形状の対比

両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。

ア.共通点について

(ア)シール部の右側の辺は,三角形状に突出しており,右下がりになった長い右側斜辺と短い右側底辺とから成っており,右側底角は角丸となっている。

(イ)シール部の左側の辺は,袋の左辺において,シール部の上端から少し下がった所までを鉛直線とし,その下端から右下がりになった長い左側斜辺と水平な短い左側底辺があり,左側底辺の左端から本の少しを鉛直線とし,シール部の下端に達する。

左側底角は小さい角丸となっている。

(ウ)左側斜辺は,右側斜辺より傾斜角度が寝ている。

(エ)これらのことから,シール部の幅は,斜辺部においてはシール部上側に向けて広がっている。

イ.相違点について

(ア)右側底辺につき,本願部分は,左下がりになっているのに対して,引用部分は,水平である。

(イ)右側底角につき,本願部分は,ごく小さい角丸となっているのに対して,引用部分は,大きな角丸となっている。

(ウ)左側の辺につき,本願部分は,上底がないのに対して,引用部分は,上側の鉛直線の下端から水平な上底が僅かにある。

(エ)上側の鉛直線の長さにつき,本願部分は,シール部の上端の横幅の約2分の1の長さであるのに対して,引用部分は,シール部の上端の横幅の約1.5倍の長さである。

(オ)左側底角につき,本願部分は,ごく小さい角丸となっているのに対して,引用部分は,小さい角丸となっている。

(カ)底辺部の幅につき,本願部分は,左側に向けて広がっているのに対して,引用部分は,一定である。

(キ)左側斜辺の傾斜角度につき,本願部分は,右側斜辺より大きく寝ているのに対して,引用部分は,僅かに寝ている。

(ク)斜辺部の幅につき,相違点(キ)により,本願部分は,シール部上側に向けて顕著に広がっているのに対して,引用部分は,シール部上側に向けて僅かに広がっている。

(ケ)斜辺部から上端部分にかけてのシール部の形状につき,本願部分は,相違点(エ)及び同(ク)によって,逆さまにしたネクタイの前垂れ(大剣)のような形状となっているのに対して,引用部分は,相違点(エ)によって,シール部の上端部分が縦長長方形を想起される形状となっている。

4 判断

(1)意匠に係る物品の類否判断

両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「包装用袋」であるから,一致している。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の評価

本願部分も,引用部分も,正面視において,略正方形の包装用袋における,左辺の上から約3分の1に位置する,突出部の上端及び下端が内接する横長長方形の部分であるから,両部分の位置及び範囲は一致している。

本願部分の大きさは,面積比で全体の約28分の1であるのに対して,引用部分の大きさは,面積比で全体の約20分の1であって,両意匠の類否判断においては,別異な印象を与えるほどの差とはいえず,共通しているといえる。

本願部分の用途及び機能と引用部分の用途及び機能は,共に加熱した際に袋内部の蒸気等を外部に逃がすものであるから,両部分の用途及び機能は一致しているといえる。

(3)両部分における形状の評価

ア.共通点について

共通点(ア)については,大まかに捉えた形状であり,具体的には,相違点(ア)及び同(イ)の相違を内包しているから,両部分の形状の類否判断に与える影響は小さい。

共通点(イ)については,大まかに捉えた形状であり,具体的には,相違点(ウ)ないし(オ)の相違を内包しているから,両部分の形状の類否判断に与える影響は小さい。

共通点(ウ)については,大まかに捉えた形状であり,具体的には,相違点(キ)の相違を内包しているから,両部分の形状の類否判断に与える影響は小さい。

共通点(エ)については,大まかに捉えた形状であり,具体的には,相違点(ク)の相違を内包しているから,両部分の形状の類否判断に与える影響は小さい。

イ.相違点について

相違点(ア)は,相違点(カ)と合わさって,両部分におけるシール部の底辺部について別異の印象を与えるものであるから,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(イ)は,相違点(オ)と合わさって,本願部分は,シール部に角張った印象を,引用部分は,シール部に丸みのある印象を生じさせ,両部分において別異の印象を与えるものであるから,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(ウ)については,本願部分は,三角形と認識するのに対して,引用部分は,直角台形と認識するものであるから,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(エ)及び同(ク)によって,相違点(ケ)が生じるところ,この相違は,シール部の面積が大きい目に付く箇所における相違であり,両部分において別異の印象を与えるものであるから,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。

(4)両意匠における類否判断

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の位置及び範囲が一致し,大きさが共通し,用途及び機能が一致している。

しかし,両部分の形状については,その共通点及び相違点の評価に基づくと,上記のとおり,共通点は,類否判断に及ぼす影響は小さいものであるのに対して,相違点は,相違点(ア)ないし(ケ)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものであり,両部分の形状は,類似するとは認められないものである。

よって,本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。

5 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似するとはいえず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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2020-005895

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