2020-005695
通信装置、通信方法及び通信プログラム
- 審判番号
- 2020-005695
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-024035外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年04月27日
- 審決日
- 2021年07月20日
- 公報発行日
- 2021年09月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】日本電信電話株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 志賀国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (H04L) / P18 .536-WY (H04L) / P18 .537-WY (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 22項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年2月10日の出願であって、平成31年1月18日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年3月25日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年8月21日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、令和元年10月28日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年2月6日付けで令和元年10月28日に提出された手続補正書による手続補正が却下されるとともに拒絶査定がされ、これに対し、令和2年4月27日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、当審において、令和3年4月13日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由」という。)がされ、令和3年6月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和2年2月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献A、Bに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2003-298624号公報
B.特開2007-274256号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
理由1 (サポート要件)請求項1-8に係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由2 (明確性)請求項1-8に係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由3 (実施可能要件)請求項2-6に係る発明は、発明の詳細な説明の記載について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由4 (進歩性)請求項1、4-8に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2007-36926号公報
2.特開2008-72370号公報
3.特開平5-225135号公報
第4 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和3年6月15日に提出された手続補正書に係る手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-7は以下のとおりの発明である(下線部は補正箇所を示す。)。
「 【請求項1】外部のメモリに、自通信装置の機器で運用中に生成して運用に用いる情報であって、切替の情報と、ユーザの収容替の情報と、マルチキャスト配信の情報と、遅延情報と、認証情報と、フィルタ設定情報と、履歴情報と、課金情報と、契約情報と、マックテーブルと、帯域利用や帯域割当に関する不足カウンタと、応答が未了のマルチキャストの応答の情報とのうちの少なくともいずれかを含む運用情報を他の通信装置に継承するために記憶させる記憶制御部と、他の通信装置が前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置の機器を動作させる機器制御部と、を備え、続きを表示(全38行)前記記憶制御部は、前記運用情報を誤差が許容値に収まる時間間隔以下で間欠的に前記メモリに書き込んで記憶させ、前記機器の信号の流量は、保持部で保持され、前記誤差は、保持された前記機器の信号の流量と所定の流量との差であり、前記時間間隔は、前記誤差が前記許容値を超過しない短い間隔として算出される、通信装置。【請求項2】前記機器制御部は、前記他の通信装置が、特定の状態に遷移する前に前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置の機器を動作させる、請求項1に記載の通信装置。【請求項3】前記記憶制御部は、前記運用情報の反映に要する時間、時刻情報、受信応答又は切替指示に基づいて、前記自通信装置と前記メモリとを同期させて、前記運用情報を更新する、請求項1又は請求項2に記載の通信装置。【請求項4】前記他の通信装置の記憶制御部は、前記他の通信装置の状態が特定の状態に遷移する前における前記他の通信装置の機器の運用情報を前記メモリに記憶させ、前記機器制御部は、前記他の通信装置の状態が前記特定の状態に遷移する前に前記他の通信装置の記憶制御部が前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置の機器を動作させる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通信装置。【請求項5】前記特定の状態は、波長、芯線、コア、符号、周波数若しくはサブキャリアの利用状態、マルチキャストの加入離脱若しくは配信の状態、スリープ状態又は運用系の状態のいずれかである、請求項4に記載の通信装置。【請求項6】通信装置が実行する通信方法であって、外部のメモリに、自通信装置の機器で運用中に生成して運用に用いる情報であって、切替の情報と、ユーザの収容替の情報と、マルチキャスト配信の情報と、遅延情報と、認証情報と、フィルタ設定情報と、履歴情報と、課金情報と、契約情報と、マックテーブルと、帯域利用や帯域割当に関する不足カウンタと、応答が未了のマルチキャストの応答の情報とのうちの少なくともいずれかを含む運用情報を他の通信装置に継承するために記憶させるステップと、他の通信装置が前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置の機器を動作させるステップと、を含み、前記記憶させるステップでは、前記通信装置が、前記運用情報を誤差が許容値に収まる時間間隔以下で間欠的に前記メモリに書き込んで記憶させ、前記機器の信号の流量は、保持部で保持され、前記誤差は、保持された前記機器の信号の流量と所定の流量との差であり、前記時間間隔は、前記誤差が前記許容値を超過しない短い間隔として算出される、通信方法。【請求項7】通信装置のコンピュータに、外部のメモリに、自通信装置の機器で運用中に生成して運用に用いる情報であって、切替の情報と、ユーザの収容替の情報と、マルチキャスト配信の情報と、遅延情報と、認証情報と、フィルタ設定情報と、履歴情報と、課金情報と、契約情報と、マックテーブルと、帯域利用や帯域割当に関する不足カウンタと、応答が未了のマルチキャストの応答の情報とのうちの少なくともいずれかを含む運用情報を他の通信装置に継承するために記憶させる手順と、他の通信装置が前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置の機器を動作させる手順と、を実行させ、前記記憶させる手順では、前記コンピュータが、前記運用情報を誤差が許容値に収まる時間間隔以下で間欠的に前記メモリに書き込んで記憶させ、前記機器の信号の流量は、保持部で保持され、前記誤差は、保持された前記機器の信号の流量と所定の流量との差であり、前記時間間隔は、前記誤差が前記許容値を超過しない短い間隔として算出される、通信プログラム。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下、同様。)。
ア 「【技術分野】【0001】本発明は、光伝送システムの冗長構成を有する光終端システムに関する。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】【0004】放送や電話にも利用する場合、ネットワーク機器の故障による接続断は可能な限り避けなければならない。OLTの交換は、配下の全ユーザへのサービスの一時停止に繋がる。【0005】本発明は、冗長構成により耐障害性能を高めた光終端システムを提示することを目的とする。」
ウ 「【0011】図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。本実施例では、現用の3つのOLT10a,10b,10cと、予備の1つのOLT10dと、OLT10a,10b又は10cの故障時にOLT10dに切り替える制御装置12が、同一の架の異なるスロットに収容されている。OLT10a,10b,10c,10dは、特許請求の範囲にいう光終端ユニットに対応する。制御装置12は、障害の発生した何れかのOLT10a,10b,10cから予備のOLT10dに管理情報を転送するために一時的に、管理情報を記憶する記憶装置13を具備する。【0012】OLT10aの光入出力ポートは、光ファイバ14a及び光カップラ16aからなる第1のPON伝送路を介して複数のONU18a-1~18a-nに接続する。同様に、OLT10bの光入出力ポートは、光ファイバ14b及び光カップラ16bからなる第2のPON伝送路を介して複数のONU18b-1~18b-nに接続する。OLT10cの光入出力ポートは、光ファイバ14c及び光カップラ16cからなる第3のPON伝送路を介して複数のONU18c-1~18c-nに接続する。本実施例では、3つのPONシステムが1つのセンター局に収容されている。3つのPONシステムのそれぞれに収容されるユーザ数(ONU数)を等しくnとしたが、これが、PONシステム上の収容可能ユーザ値が等しいことを示すものであり、一般的には、現実のユーザ数は互いに異なる。」
エ 「【0018】OLT10aの構成を説明する。ネットワークインターフェース40は、上位ネットワークからの信号を多重分離装置42に供給する。多重分離装置42は、ネットワークインターフェース40からの信号の内、配下のONU18a-1~18a-n又は更にその配下の装置に宛てた信号を電気/光変換器44に供給し、OLT10a自身に宛てた信号をCPU46に供給する。CPU46はまた、配下のONU18a-1~18a-nに宛てた信号(例えば、ONU18a-1~18a-nを管理するための制御信号等)を多重分離装置42に供給し、多重分離装置42は、これらの信号もまた電気/光変換器44に供給する。多重分離装置42は、ネットワークインターフェース40からの信号のデータフレーム構造を、PONシステムのためのデータフレーム構造に変換する機能を具備する。【0019】電気/光変換器44は、多重分離装置42からの電気信号を光信号に変換する。電気/光変換器44から出力される光信号は、WDM光カップラ48を介して光ファイバ14aに出力され、光カップラ16aを介してONU18a-1~18a-nに入射する。続きを表示(全18行)【0020】また、各ONU18a-1~18a-nから出力される光信号は、光カップラ16a及び光ファイバ14aを介してWDM光カップラ48に入射する。WDM光カップラ48は、光ファイバ14aから入射する光信号を光/電気変換器50に供給する。光/電気変換器50はWDM光カップラ48からの光信号を電気信号に変換する。光/電気変換器48から出力される電気信号は、多重分離装置52に入力する。多重分離装置52は、光/電気変換器50からの信号の内、OLT10a自身に宛てた信号(例えば、ロジカルリンクの登録を要求する信号など)をCPU46に供給する。CPU46はまた、上位ネットワークの機器に宛てた信号を多重分離装置52に出力する。多重分離装置52は、光/電気変換器50からの信号の内、上位ネットワークに送出すべき信号と、CPU46からの信号を、上位ネットワークでのデータ伝送に摘記したデータフレーム構造でネットワークインターフェース40に供給する。ネットワークインターフェース40は、多重分離装置52からの信号を、スイッチ30aを介して上位ネットワークに送出する。【0021】CPU46は、起動時に、配下のONU18a-1~18a-nと情報をやり取り行い、種々の管理情報(具体的には、ONUの種別(メーカ及びファームウエア等)といった情報)と設定情報(例えば、各ONU18a-1~18a-nの各サービスに割り当てるロジカルリンクの情報等)をRAM54に格納する。本明細書では、管理情報と設定情報をまとめて、管理情報と称する。CPU46はまた、新たに電源がオンになったONUに対して、RAM54の管理情報を更新する。CPU46はまた、OLT10aの動作状況をモニタしており、異常発生時にその旨を制御装置12に通知する機能を具備する。【0022】OLT10b,10c,10dもまた、OLT10aと同じ構成及び機能を具備する。【0023】制御装置12は、OLT10a,10b,10cからの警告、又は光パワーモニタ26からの通知に従い、障害の発生した何れかのOLT10a~10cを予備のOLT10dに切り替える。オペレータからの切り替え指示により、何れかのOLT10a,10b,10cを予備のOLT10dに切り替えることもある。光パワーモニタ26は、各OLT10a~10dから出力される下り信号光のパワーをモニタしているので、光パワーの一定以上の低下や、既定値以上の光パワーといった障害の発生を検知でき、障害の発生したOLTを制御装置12に通知する。【0024】図2は、制御装置12のOLT切り替えのフローチャートを示す。例えば、OLT10aで障害が発生したとする。制御装置12は、OLT10aからの警告、又は、光パワーモニタ26からの通知に従い、OLT10aの障害発生を検出すると(S1)、OLT10aにRAM54に保存されている管理情報の転送を要求する(S2)。制御装置12は、OLT10aからの管理情報を記憶装置13に格納する。【0025】OLT10aからの全管理情報の受信に成功すると(S3)、制御装置12は、光スイッチ20及び電気スイッチ30を、OLT10aから予備のOLT10dに切り替える(S4)。制御装置12は、記憶装置13に格納したOLT10aからの管理情報を予備のOLT10dに転送し(S5)、引き継ぎをOLT10dに指示する(S6)。予備のOLT10dのCPU46は、制御装置12からの管理情報をRAM54に格納し、この管理情報を使って、ONU18a-1~18a-nの管理と、ONU18a-1~18a-nと上位ネットワーク間の通信の仲介を引き継ぐ。【0026】制御装置12は、OLT10dの正常動作を確認して、OLT10aに停止を指示する(S7)。これは、OLT10aが、正常に動作しない場合、例えば、光信号を出し続ける障害に備えての処置である。停止の指示は、電源オフの指示を含む。」
(当審注:【0020】における「光/電気変換器48」という記載は、「光/電気変換器50」の誤記と認められる。)
オ 「【0031】更には、複数の現用OLT10a~10cに対して1台の予備OLT10dを設ける場合、各現用OLTが保有する管理情報を、継続的に又は管理情報の変更時に制御装置12にバックアップしておき、障害発生時に、制御装置12から予備OLT10dに転送してもよい。こうすることにより、現用OLTが、管理情報を制御装置12又は予備OLT10dに転送する間も無く機能停止するような場合にも、管理情報を利用できる。」
カ 「【図1】」
上記ア~カの記載より、特に下線部に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「現用の3つのOLT10a,10b,10cと、予備の1つのOLT10dと、OLT10a,10b又は10cの故障時にOLT10dに切り替える制御装置12が、同一の架の異なるスロットに収容されており、制御装置12は、障害の発生した何れかのOLT10a,10b,10cから予備のOLT10dに管理情報を転送するために一時的に、管理情報を記憶する記憶装置13を具備し、OLT10aの光入出力ポートは、光ファイバ14a及び光カップラ16aからなる第1のPON伝送路を介して複数のONU18a-1~18a-nに接続し、OLT10aのCPU46は、配下のONU18a-1~18a-nに宛てた信号(例えば、ONU18a-1~18a-nを管理するための制御信号等)を多重分離装置42に供給し、多重分離装置42は、これらの信号を電気/光変換器44に供給し、電気/光変換器44は、多重分離装置42からの電気信号を光信号に変換し、電気/光変換器44から出力される光信号は、WDM光カップラ48を介して光ファイバ14aに出力され、光カップラ16aを介してONU18a-1~18a-nに入射し、続きを表示(全14行)各ONU18a-1~18a-nから出力される光信号は、光カップラ16a及び光ファイバ14aを介してWDM光カップラ48に入射し、WDM光カップラ48は、光ファイバ14aから入射する光信号を光/電気変換器50に供給し、光/電気変換器50はWDM光カップラ48からの光信号を電気信号に変換し、光/電気変換器50から出力される電気信号は、多重分離装置52に入力し、多重分離装置52は、光/電気変換器50からの信号の内、OLT10a自身に宛てた信号(例えば、ロジカルリンクの登録を要求する信号など)をCPU46に供給し、CPU46は、起動時に、配下のONU18a-1~18a-nと情報をやり取り行い、種々の管理情報(具体的には、ONUの種別(メーカ及びファームウエア等)といった情報)と設定情報(例えば、各ONU18a-1~18a-nの各サービスに割り当てるロジカルリンクの情報等)をRAM54に格納し、管理情報と設定情報をまとめて、管理情報と称し、CPU46はまた、新たに電源がオンになったONUに対して、RAM54の管理情報を更新するものであり、OLT10b,10c,10dもまた、OLT10aと同じ構成及び機能を具備しており、制御装置12は、OLT10a,10b,10cからの警告、又は光パワーモニタ26からの通知に従い、障害の発生した何れかのOLT10a~10cを予備のOLT10dに切り替え、オペレータからの切り替え指示により、何れかのOLT10a,10b,10cを予備のOLT10dに切り替えることもあり、制御装置12は、OLT10aからの警告、又は、光パワーモニタ26からの通知に従い、OLT10aの障害発生を検出すると、OLT10aにRAM54に保存されている管理情報の転送を要求し、制御装置12は、OLT10aからの管理情報を記憶装置13に格納し、OLT10aからの全管理情報の受信に成功すると、制御装置12は、光スイッチ20及び電気スイッチ30を、OLT10aから予備のOLT10dに切り替え、制御装置12は、記憶装置13に格納したOLT10aからの管理情報を予備のOLT10dに転送し、引き継ぎをOLT10dに指示し、予備のOLT10dのCPU46は、制御装置12からの管理情報をRAM54に格納し、この管理情報を使って、ONU18a-1~18a-nの管理と、ONU18a-1~18a-nと上位ネットワーク間の通信の仲介を引き継ぎ、制御装置12は、OLT10dの正常動作を確認して、OLT10aに停止を指示し、複数の現用OLT10a~10cに対して1台の予備OLT10dを設ける場合、各現用OLTが保有する管理情報を、継続的に又は管理情報の変更時に制御装置12にバックアップしておき、障害発生時に、制御装置12から予備OLT10dに転送してもよい、光終端システム。」
2 引用文献2について
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】【0001】本発明は、光伝送システムの光終端システム、光終端ユニット及び切替え方法に関し、より具体的には、PON(Passive Optical Network)システムのOLT(Optical Line Terminal)機能を有する冗長構成の光終端システム、予備機として使用される光終端ユニット、及び、現用機から予備機への切替え方法に関する。」
「【0006】本発明は、冗長構成により耐障害性能を高め、短時間に予備システムに切り替え可能な光終端システム、予備機として使用される光終端ユニット、及び、現用機から予備機への切替え方法を提示することを目的とする。」
「【0012】図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。本実施例では、現用の3つのOLT10a,10b,10cと、予備の1つのOLT10dと、OLT10a,10b又は10cの故障時にOLT10dに切り替える制御装置12が、同一の架の異なるスロットに収容されている。OLT10a,10b,10c,10dは、特許請求の範囲にいう光終端ユニットに対応する。OLT10a,10b,10c,10dは、同じ構成と機能からなる。説明上、現用OLT10aで現用機の機能を説明し、予備OLT10dで予備機の機能を説明する。【0013】OLT10aの光入出力ポートは、光ファイバ14a及び光カップラ16aからなる第1のPON伝送路を介して複数のONU18a-1~18a-nに接続する。・・・(後略)」
「【0020】OLT10aの構成を説明する。ネットワークインターフェース40aは、上位ネットワークからの信号を多重分離装置42aに供給する。多重分離装置42aは、ネットワークインターフェース40aからの信号の内、配下のONU18a-1~18a-n又は更にその配下の装置に宛てた信号を電気/光変換器44aに供給し、OLT10a自身に宛てた信号をCPU46aに供給する。CPU46aはまた、配下のONU18a-1~18a-nに宛てた信号(例えば、ONU18a-1~18a-nを管理するための制御信号等)を多重分離装置42aに供給し、多重分離装置42aは、これらの信号もまた電気/光変換器44aに供給する。多重分離装置42aは、ネットワークインターフェース40aからの信号のデータフレーム構造を、PONシステムのためのデータフレーム構造に変換する機能を具備する。【0021】電気/光変換器44aは、多重分離装置42aからの電気信号を光信号に変換する。電気/光変換器44aから出力される光信号は、WDM光カップラ48aを介して光ファイバ14aに出力され、光カップラ16aを介してONU18a-1~18a-nに入射する。」
「【0024】CPU46aは、起動時に、配下のONU18a-1~18a-nと情報をやり取りし、種々の管理情報をRAM54aに格納する。管理情報には、例えば、ONUの種別(メーカ及びファームウエア等)といった固定的な管理情報の他に、OLT10a又ONU18a-1~18a-nの始動時に設定され、以後、基本的に変化しない静的管理情報と、ユーザの利用状況に応じて動的に変動する動的管理情報がある。静的管理情報には、例えば、PON伝送制御用途のロジカルリンク情報やSLA(Service Level Agreement)情報などがある。動的管理情報は、例えば、マルチキャスト伝送用のマルチキャストアドレス情報(IGMPテーブル情報)、MACアドレス情報(ロジカルリンクとMACアドレスとのマッピング情報であるMACテーブル情報)、又はこれらの両方からなる。【0025】また、これらの管理情報は、現用から予備への切り替えの迅速化のために、予備機が優先的に保持しておくべき管理情報と、事後的に取得すればよい管理情報に区分できる。優先管理情報は、例えば、IP電話の管理情報、及びIPマルチキャスト放送の管理情報などの、優先すべきトラフィックの管理情報である。これに対して、ウエブ及びFTP等のインターネットトラフィックは、優先すべきトラフィックにはあたらず、従って、その管理情報も、優先管理情報に劣後する管理情報ということになる。本実施例では、前者の優先管理情報が、制御装置12を介して、更新の都度又は間欠的に予備OLT10dのRAM54dにバックアップされる。」
「【0028】制御装置12は、現用のOLT10a,10b,10cの動作を監視し、OLT10a,10b,10cの管理情報、特に優先管理情報を、その更新の都度又は定期的に予備OLT10dに転送する。予備OLT10dは、制御装置12から転送された各現用OLT10a,10b,10cの管理情報をRAM54d内に、データ55a,55b,55cとして別々に記憶する。即ち、データ55aは、現用OLT10aの優先管理情報であり、データ55bは、現用OLT10bの優先管理情報であり、データ55cは、現用OLT10cの優先管理情報である。」
「【0032】制御装置12は、現用OLT10a,10b,10cの優先管理情報の更新を監視しており(S1)、更新があると、その優先管理情報を取得して、予備OLT10dに転送する(S3)。又は、各OLT10a,10b,10cは、優先管理情報を更新すると、更新後の優先管理情報を制御装置12に転送し、制御装置12は、受信した優先管理情報を予備OLT10dに転送する。」
「【0036】このように、一定時間毎、又は、更新があったときにはその都度、優先管理情報を予備OLT10dに送信する間に、現用OLT10a,10b,10cの何れかで障害が発生した場合(S5)、制御装置12は、障害が発生したOLTを指名して予備OLT10dに管理の代行を指示し、光スイッチ20及び電気スイッチ30を、障害発生OLTから予備OLT10dに切り替える(S6)。」
「【0038】予備OLT10dは、制御装置12からの管理情報の更新の通知又は代行指示を待機している(S11)。管理情報の更新の通知(S3)を受けると(S11)、OLT10dのCPU46dは、制御装置12から送付される優先管理情報を、RAM54dの対応データ領域55a,55b又は55cに格納する。例えば、現用OLT10aの優先管理情報はデータ領域55aに格納され、現用OLT10bの優先管理情報はデータ領域55bに格納され、現用OLT10cの優先管理情報はデータ領域55cに格納される。【0039】また、代行指示(S6)を受けると(S11)、予備OLT10dは、通知された障害発生OLTの優先管理情報を使って、障害発生OLTの配下のONUの管理を開始する。例えば、障害発生OLTがOLT10aである場合、予備OLT10dは、データ領域55aの優先管理情報を使って、ONU18a-1~18a-nの上り及び下りの信号伝送の管理を開始する。」
「【0046】RAM54dが現用OLT10a,10b,10cの全管理情報を保持できるほどに十分大きな容量を具備する場合、制御装置12は、現用OLT10a,10b,10cの全管理情報を予備OLT10dのRAMに格納しても良い。これにより、現用機から予備機への管理の移行に要する時間を更に短縮できることは明らかである。」
以上より、特に下線部に着目すると、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる。
「現用の3つのOLT10a,10b,10cと、予備の1つのOLT10dと、OLT10a,10b又は10cの故障時にOLT10dに切り替える制御装置12が、同一の架の異なるスロットに収容されており、OLT10aの光入出力ポートは、光ファイバ14a及び光カップラ16aからなる第1のPON伝送路を介して複数のONU18a-1~18a-nに接続し、OLT10aのCPU46aは、起動時に、配下のONU18a-1~18a-nと情報をやり取りし、種々の管理情報をRAM54aに格納し、管理情報には、例えば、ONUの種別(メーカ及びファームウエア等)といった固定的な管理情報の他に、OLT10a又ONU18a-1~18a-nの始動時に設定され、以後、基本的に変化しない静的管理情報と、ユーザの利用状況に応じて動的に変動する動的管理情報があり、静的管理情報には、例えば、PON伝送制御用途のロジカルリンク情報やSLA(Service Level Agreement)情報などがあり、動的管理情報は、例えば、マルチキャスト伝送用のマルチキャストアドレス情報(IGMPテーブル情報)、MACアドレス情報(ロジカルリンクとMACアドレスとのマッピング情報であるMACテーブル情報)、又はこれらの両方からなり、制御装置12は、現用のOLT10a,10b,10cの動作を監視し、OLT10a,10b,10cの管理情報、特に優先管理情報を、その更新の都度又は定期的に予備OLT10dに転送し、予備OLT10dは、制御装置12から転送された各現用OLT10a,10b,10cの管理情報をRAM54d内に、データ55a,55b,55cとして別々に記憶し、各OLT10a,10b,10cは、優先管理情報を更新すると、更新後の優先管理情報を制御装置12に転送し、制御装置12は、受信した優先管理情報を予備OLT10dに転送し、現用OLT10a,10b,10cの何れかで障害が発生した場合、制御装置12は、障害が発生したOLTを指名して予備OLT10dに管理の代行を指示し、予備OLT10dは、管理情報の更新の通知を受けると、OLT10dのCPU46dは、制御装置12から送付される優先管理情報を、RAM54dの対応データ領域55a,55b又は55cに格納し、代行指示を受けると、予備OLT10dは、データ領域55aの優先管理情報を使って、ONU18a-1~18a-nの上り及び下りの信号伝送の管理を開始し、制御装置12は、現用OLT10a,10b,10cの全管理情報を予備OLT10dのRAMに格納しても良い、光終端システム。」
3 引用文献3について
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、端末無中断オンラインシステムに関し、さらに詳しくは、ホスト障害あるいはフロントエンドプロセッサ障害が発生しても端末とのセションを中断させない端末無中断オンラインシステムに関する。」
「【0010】図1に示すように、本発明による端末無中断オンラインシステム(1000)は、ホストコンピュータ(1),高速LAN(3),FEP(4),回線(5)および多数の端末(6)で構成される。ホストコンピュータ(1)は、実行ホスト(1-0)と,予備ホスト(1-1)で構成される。実行ホスト(1-0)と予備ホスト(1-1)とが共有するディスク装置(2)は、高信頼化のために二重化構成とする。【0011】図2は、ホストコンピュータ(1)の構成図である。実行ホスト(1-0)と予備ホスト(1-1)は、それぞれプロセッサIP(10-0,10-1),メモリMS(11-0,11-1),システム制御装置SC(12-0,12-1),ホストI/OプロセッサHIOP(13-0,13-1),チャネルCH(14-0,14-1),ホストのLANコントローラHLANC(15-0,15-1)およびホストのディスクコントローラHDKC(16-0,16-1)で構成する。【0012】実行ホスト(1-0)と予備ホスト(1-1)は、チャネル間結合装置CTCA(17)で接続する。タイマ(18-0,18-1)は、それぞれホストI/OプロセッサHIOP(13-0,13-1)に設ける。予備ホスト(1-1)が実行ホスト(1-0)の処理を引き継ぐために、ホストのチェックポイントデータとI/Oの履歴を示すホストのジャーナルは、ディスク装置(2-0,2-1)に格納する。」
「【0021】図4は、システム(1000)の処理概要を示す図である。実行ホスト(1-0)は、電文処理実行中に、電文の管理情報,タスクの情報およびI/Oの情報を示すホストのチェックポイントデータとI/Oの履歴を示すホストのジャーナルをディスク装置(2)に格納する(処理100)。【0022】実行ホスト(1-0)で障害が発生すると、予備ホスト(1-1)は、ディスク装置(2)を参照して、ホストのチェックポイントデータとホストのジャーナルを読み出し(処理102)、ファイルの内容と電文の通信状態をチェックポイント時に戻し、チェックポイント時の電文処理から引き継ぐ。FEP(4)は、上記実行ホスト(1-0)から予備ホスト(1-1)への切替中に端末(6)からホスト(1)への電文を受信すると、それら電文をLANアダプタ(36-0,36-1)に保持しておく(処理103)。」
「【0085】図43は、予備ホスト(1-1)が行うファイルのリカバリ処理と通信状態のリカバリ処理の概念を示す図である。実行ホスト(1-0)は、メモリMS(11-0)のタスクとI/Oの管理情報および電文管理テーブルを、チェックポイントデータ(25)として、一定周期毎に、ディスク装置(2-0,2-1)に書き込む(処理1020)。予備ホスト(1-1)は、電文管理テーブルの履歴(87)を参照し、電文管理テーブルの電文の状態を障害発生時と一致させる(処理1021)。そして、チェックポイントデータ(25)をディスク装置(2-0,2-1)から読み出し、メモリMS(11-1)に書き込む(処理1022)。最後に、ジャーナル(26)を参照し、ファイルで未更新のものがあれば更新し、障害発生時と一致させる(処理1023)。これにより、ファイルの状態,通信状態が障害発生時点に復旧する。」
以上より、特に下線部に着目すると、引用文献3には、次の技術事項が記載されていると認められる。
「端末無中断オンラインシステムにおいて、実行ホスト(1-0)と予備ホスト(1-1)とが共有するディスク装置(2)は、高信頼化のために二重化構成とし、予備ホスト(1-1)が実行ホスト(1-0)の処理を引き継ぐために、ホストのチェックポイントデータとI/Oの履歴を示すホストのジャーナルは、ディスク装置(2-0,2-1)に格納し、実行ホスト(1-0)で障害が発生すると、予備ホスト(1-1)は、ディスク装置(2)を参照して、ホストのチェックポイントデータとホストのジャーナルを読み出し、ファイルの内容と電文の通信状態をチェックポイント時に戻し、チェックポイント時の電文処理から引き継ぐこと。」
4 引用文献Aについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0027】図2は本発明の具体例のサービス制御アプリケーションシステムを示す。すなわち、100の対向装置Xおよび120の対向装置Yはネットワーク101に接続され、このネットワーク101には102のサーバA(現用)および112のサーバB(予備)が接続される。102のサーバA(現用)および112のサーバB(予備)は共有データベース119に接続される。102のサーバA(現用)は通信ポート103、信号送受信機能部104、信号受信機能生成機能部105、現用・予備状態監視機能部106、アプリケーション特定機能部107、111のアプリケーションA、および121のアプリケーションBより構成される。112のサーバB(予備)は通信ポート113、信号送受信機能部114、信号受信機能生成機能部115、現用・予備状態監視機能部116、アプリケーション特定機能部117、118のアプリケーションA、および122のアプリケーションBより構成される。共有データベース119はアプリケーションの状態データ108、送受信機能の通信相手のデータ109、および送受信機能自身のデータ110より構成される。」
「【0033】111のアプリケーションAは信号YYを送出した後の状態を、アプリケーションの状態として共有データベース119のデータ更新を行なう。[サーバA障害時の動作]次に図1のサーバ及び共有データベースの詳細動作を図2のブロックおよび図4のシーケンスチャートを用いて異常時および保守停止時などの切り替え方法を説明する。【0034】図4は本発明の具体例のサービス制御アプリケーションシステムのサーバA障害時の動作を示す。すなわち、102の現用サーバAの現用・予備状態監視機能部106から、112の予備サーバBの現用・予備状態監視機能部116に対してアライブ通知300を一定時間間隔で送出する。【0035】アライブ通知300が途絶え、112の予備サーバBの現用・予備状態監視機能部116内のアライブ通知のタイムアウトが発生したら、102の現用サーバに異常が生じて処理が不可能になったと判断し、信号受信機能生成機能部115に現用化要求301を通知する。【0036】112の予備サーバBの信号受信機能生成機能部115は共有データベース119に保存されている、信号送受信機能部114の生成に必要な、送受信機能の通信相手のデータ109および、送受信機能自身のデータ110を共有データベース119に要求して取得する。【0037】送受信機能の通信相手のデータ109および、送受信機能自身のデータ110に基づき信号受信機能部114を生成する。【0038】生成された信号送受信機能部114が、102のサーバAの信号送受信機能部104へのアクセス方法と異なる場合、対向装置にアクセス方法が代わったことを通知する。【0039】これらの動作をすることにより、切り替え前と同様に処理を継続することが可能となる。」
以上より、特に下線部に着目すると、引用文献Aには、次の技術事項が記載されていると認められる。
「サービス制御アプリケーションシステムにおいて、ネットワーク101には102のサーバA(現用)および112のサーバB(予備)が接続され、102のサーバA(現用)および112のサーバB(予備)は共有データベース119に接続され、112のサーバB(予備)は通信ポート113、信号送受信機能部114、信号受信機能生成機能部115、現用・予備状態監視機能部116、アプリケーション特定機能部117、118のアプリケーションA、および122のアプリケーションBより構成され、共有データベース119はアプリケーションの状態データ108、送受信機能の通信相手のデータ109、および送受信機能自身のデータ110より構成され、現用サーバAから112の予備サーバBの現用・予備状態監視機能部116に対して一定時間間隔で送出されるアライブ通知300が途絶え、112の予備サーバBの現用・予備状態監視機能部116内のアライブ通知のタイムアウトが発生したら、102の現用サーバに異常が生じて処理が不可能になったと判断し、信号受信機能生成機能部115に現用化要求301を通知し、112の予備サーバBの信号受信機能生成機能部115は共有データベース119に保存されている、信号送受信機能部114の生成に必要な、送受信機能の通信相手のデータ109および、送受信機能自身のデータ110を共有データベース119に要求して取得し、送受信機能の通信相手のデータ109および、送受信機能自身のデータ110に基づき信号受信機能部114を生成し、切り替え前と同様に処理を継続することが可能となること。」
5 引用文献Bについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0026】図2は、信号中継局102の構成を示すブロック図である。信号中継局102は、信号経路に対して並列接続されると共に、ネットワークI/F108によって相互接続された複数の通信制御装置(アクティブ系通信制御装置106、スタンバイ系通信制御装置107)を備えている。アクティブ系通信制御装置106とスタンバイ系通信制御装置107は同一構成となっている。【0027】アクティブ系通信制御装置106は、送受信する信号の処理を行う第1信号処理アプリケーション部201、第1SCTPプロトコル機能部202、第1記憶手段を構成する第1メモリエリア203、第1SCTPシステム情報レプリケーション機能部205を有している。メモリエリア203には、第1SCTPシステム情報エリア204が含まれている。スタンバイ系通信制御装置107は、送受信する信号の処理を行う第2信号処理アプリケーション部211、第2SCTPプロトコル機能部212、第2記憶手段を構成する第2メモリエリア213、第2SCTPシステム情報レプリケーション機能部215を有している。メモリエリア213には、第2SCTPシステム情報エリア214が含まれている。」
「【0036】携帯電話網でIPサービスを提供する要素装置である信号処理サーバは、装置二重化を行うことにより障害が発生したときにサービスが停止してしまわないようにシステム構成している。これらの信号処理サーバは、装置間でSCTPシステム情報のレプリケーション通信を行うために専用ネットワークI/Fで接続されており、高速に通信できるものとする。信号処理サーバの構成機能として、前述したように、SCTPプロトコル機能部、SCTPシステム情報レプリケーション機能部、信号処理アプリケーション部があり、それぞれ自装置がアクティブ系かスタンバイ系かを意識して処理を行う。【0037】通常運用時は、二重化された通信制御装置106、107のうち、アクティブ系の通信制御装置106のみ信号処理を行い、スタンバイ系通信制御装置107はアクティブ系通信制御装置106の障害発生時に備えてSCTPシステム情報エリア214に格納されたSCTPシステム情報を更新しつつ待機している。アクティブ系通信制御装置106のSCTPシステム情報レプリケーション機能部205は、SCTPプロトコル機能部202が処理を行う上で使用するアソシエーション情報やシステム情報が書き込まれるSCTPシステム情報エリア204の内容変更を常時監視しており、該当メモリエリア204に変更がある度に、ネットワークI/F108を介して、その変更をスタンバイ系通信制御装置107に送信する。【0038】大量の信号量が流れるケースなど、SCTP通信の負荷が高い場合は、SCTPシステム情報レプリケーション機能部205の動作は非常に高負荷となるため、レプリケーション処理を実行するための占有プロセッサを割り当ててもよい。または、変更の度にその変更を書き込むのではなく、10ミリ秒などの周期を設け一括同期処理を行うことで負荷を軽減させることも可能である。」
以上より、特に下線部に着目すると、引用文献Bには、次の技術事項が記載されていると認められる。
「信号経路に対して並列接続されると共に、ネットワークI/F108によって相互接続された複数の通信制御装置(アクティブ系通信制御装置106、スタンバイ系通信制御装置107)を備えた信号中継局102において、アクティブ系通信制御装置106は、送受信する信号の処理を行う第1信号処理アプリケーション部201、第1SCTPプロトコル機能部202、第1記憶手段を構成する第1メモリエリア203、第1SCTPシステム情報レプリケーション機能部205を有しており、メモリエリア203には、第1SCTPシステム情報エリア204が含まれており、通常運用時は、二重化された通信制御装置106、107のうち、アクティブ系の通信制御装置106のみ信号処理を行い、アクティブ系通信制御装置106のSCTPシステム情報レプリケーション機能部205は、SCTPプロトコル機能部202が処理を行う上で使用するアソシエーション情報やシステム情報が書き込まれるSCTPシステム情報エリア204の内容変更を常時監視しており、該当メモリエリア204に変更がある度に、ネットワークI/F108を介して、その変更をスタンバイ系通信制御装置107に送信し、変更の度にその変更を書き込むのではなく、10ミリ秒などの周期を設け一括同期処理を行うことで負荷を軽減させることも可能であること。」
第6 当審拒絶理由の理由4について
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明は、「OLT10aの光入出力ポートは、光ファイバ14a及び光カップラ16aからなる第1のPON伝送路を介して複数のONU18a-1~18a-nに接続し」及び「OLT10b,10c,10dもまた、OLT10aと同じ構成及び機能を具備しており」との構成を備えるものである。そうすると、引用発明の「OLT10d」は、「OLT10a」と同様に、ONUに接続してONUと通信する機能を備える装置であるといえるから、本願発明1の「通信装置」に相当する。
イ 引用発明の「記憶装置13」は、「OLT10d」の外部にある「制御装置12」に具備されているものであるから、本願発明1の「外部のメモリ」に相当する。
ウ 引用発明の「OLT10a」の「CPU46」は、「起動時に、配下のONU18a-1~18a-nと情報をやり取り行い、種々の管理情報(具体的には、ONUの種別(メーカ及びファームウエア等)といった情報)と設定情報(例えば、各ONU18a-1~18a-nの各サービスに割り当てるロジカルリンクの情報等)をRAM54に格納し」、「管理情報と設定情報をまとめて、管理情報と称し」、「CPU46はまた、新たに電源がオンになったONUに対して、RAM54の管理情報を更新する」ものである。ここで、「RAM54の管理情報」は、「OLT10a」の「CPU」によって「更新」される情報であって、サービスに用いられる「ロジカルリンクの情報」等を含むものであるから、「OLT10a」の「運用中に生成して運用に用いる情報」である「運用情報」といえるものである。そうすると、引用発明の「OLT10a」は、「OLT10a」の「CPU」で「更新」される「管理情報」、すなわち「自通信装置」の「機器」で「運用中に生成」される「運用情報」を、「RAM」に格納するものであるといえる。
また、引用発明の「制御装置12」は、「OLT10aの障害発生を検出すると、OLT10aにRAM54に保存されている管理情報の転送を要求し、制御装置12は、OLT10aからの管理情報を記憶装置13に格納し」、「記憶装置13に格納したOLT10aからの管理情報を予備のOLT10dに転送し、引き継ぎをOLT10dに指示」するものであるから、「OLT10a」は、「運用情報」を、「OLT10d」に「引き継ぎ」、すなわち「他の通信装置」に「継承」するために、「運用情報」を「転送」して「記憶装置13に格納」させるための手段を有しているといえる。
そして、引用発明の「OLT10b,10c,10d」は「OLT10aと同じ構成及び機能を具備して」いるものであるから、引用発明の「OLT10d」は、「OLT10a」と同様に、「自通信装置」の「機器」で「運用中に生成」される「運用情報」を「RAM」に格納し、「運用情報」を「他の通信装置」に「継承」するために、「運用情報」を「転送」して「記憶装置13に格納」させるための手段を有しているといえ、当該手段と、本願発明1の「外部のメモリに、自通信装置の機器で運用中に生成して運用に用いる情報であって、切替の情報と、ユーザの収容替の情報と、マルチキャスト配信の情報と、遅延情報と、認証情報と、フィルタ設定情報と、履歴情報と、課金情報と、契約情報と、マックテーブルと、帯域利用や帯域割当に関する不足カウンタと、応答が未了のマルチキャストの応答の情報とのうちの少なくともいずれかを含む運用情報を他の通信装置に継承するために記憶させる記憶制御部」とは、「外部のメモリに、自通信装置の機器で運用中に生成して運用に用いる情報である運用情報を他の通信装置に継承するために記憶させる記憶制御部」である点で共通している。
エ 引用発明は、「制御装置12は、記憶装置13に格納したOLT10aからの管理情報を予備のOLT10dに転送し」、「引き継ぎをOLT10dに指示し」、「予備のOLT10dのCPU46は、制御装置12からの管理情報をRAM54に格納し、この管理情報を使って、ONU18a-1~18a-nの管理と、ONU18a-1~18a-nと上位ネットワーク間の通信の仲介を引き継ぎ」という構成を備えるものであるから、引用発明の「OLT10d」は、「OLT10a」、すなわち「他の通信装置」が「記憶装置13に格納」させた「運用情報」に基づいて「ONU18a-1~18a-nの管理と、ONU18a-1~18a-nと上位ネットワーク間の通信の仲介を引き継」ぐように「OLT10d」の「CPU」、すなわち「自通信装置の機器」を動作させるための手段を有しているといえ、当該手段は、本願発明1の「他の通信装置が前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置の機器を動作させる機器制御部」に相当する。
(2)一致点・相違点
以上から、本願発明1と引用発明とは、以下の点において一致、及び相違する。
[一致点]
「外部のメモリに、自通信装置の機器で運用中に生成して運用に用いる情報である運用情報を他の通信装置に継承するために記憶させる記憶制御部と、他の通信装置が前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置の機器を動作させる機器制御部と、を備える通信装置。」
[相違点]
<相違点1>
本願発明1では、「運用情報」が「切替の情報と、ユーザの収容替の情報と、マルチキャスト配信の情報と、遅延情報と、認証情報と、フィルタ設定情報と、履歴情報と、課金情報と、契約情報と、マックテーブルと、帯域利用や帯域割当に関する不足カウンタと、応答が未了のマルチキャストの応答の情報とのうちの少なくともいずれかを含む」のに対し、引用発明では、そのような構成が特定されていない点。
<相違点2>
本願発明1は「前記運用情報を誤差が許容値に収まる時間間隔以下で間欠的に前記メモリに書き込んで記憶させ、前記機器の信号の流量は、保持部で保持され、前記誤差は、保持された前記機器の信号の流量と所定の流量との差であり、前記時間間隔は、前記誤差が前記許容値を超過しない短い間隔として算出される」のに対し、引用発明では、そのような構成が特定されていない点。
(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
上記相違点2に係る本願発明1の「前記運用情報を誤差が許容値に収まる時間間隔以下で間欠的に前記メモリに書き込んで記憶させ、前記機器の信号の流量は、保持部で保持され、前記誤差は、保持された前記機器の信号の流量と所定の流量との差であり、前記時間間隔は、前記誤差が前記許容値を超過しない短い間隔として算出される」という構成は、引用文献1-3には記載されておらず、本願出願日において周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-5について
本願発明2-5も、上記相違点2に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3 本願発明6、7について
本願発明6は、本願発明1に対応する通信方法の発明であり、また、本願発明7は、本願発明1に対応する通信プログラムの発明であり、本願発明6、7は、上記相違点2に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 当審拒絶理由の理由1-3について
1 理由1(特許法第36条第6項第1号)について
(1)当審では、本件補正前の請求項1-8に係る発明の「外部のメモリに、自通信装置又は前記自通信装置に対向する通信装置の機器で運用中に生成し運用に用いる情報であって、切替の情報と、ユーザの収容替の情報と、マルチキャスト配信の情報と、対向する装置のステート情報と、遅延情報と、認証情報と、フィルタ設定情報と、履歴情報と、課金情報と、契約情報と、マックテーブルと、帯域利用や帯域割当に関する不足カウンタと、応答が未了のマルチキャストの応答の情報とのうちの少なくともいずれかを含む運用情報を他の通信装置に継承するために記憶させる」という点が発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正後の請求項1、6、7において「外部のメモリに、自通信装置の機器で運用中に生成して運用に用いる情報であって、切替の情報と、ユーザの収容替の情報と、マルチキャスト配信の情報と、遅延情報と、認証情報と、フィルタ設定情報と、履歴情報と、課金情報と、契約情報と、マックテーブルと、帯域利用や帯域割当に関する不足カウンタと、応答が未了のマルチキャストの応答の情報とのうちの少なくともいずれかを含む運用情報を他の通信装置に継承するために記憶させる」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
(2)当審では、本件補正前の請求項1-8に係る発明の「前記運用情報又は他の通信装置が前記メモリに記憶させた運用情報に基づいて、前記自通信装置又は前記自通信装置に対向する通信装置の機器を動作させる」という点が発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正後の請求項1、6、7において「他の通信装置が前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置の機器を動作させる」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
(3)当審では、本件補正前の請求項3-6に係る発明の「前記機器制御部は、前記自通信装置が切替対象であるか否かを判定し、前記自通信装置が切替対象である場合、前記メモリに記憶された前記運用情報に基づいて、前記自通信装置又は前記自通信装置に対向する通信装置の機器を動作させる」という点が発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正後の請求項2において「前記機器制御部は、前記他の通信装置が、特定の状態に遷移する前に前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置の機器を動作させる」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
(4)当審では、本件補正前の請求項5、6に係る発明の「前記機器制御部は、前記自通信装置又は前記自通信装置に対向する通信装置の状態が前記特定の状態に遷移する前に前記記憶制御部が前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置又は前記自通信装置に対向する通信装置の機器を動作させる」という点が発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正後の請求項4において「前記機器制御部は、前記他の通信装置の状態が前記特定の状態に遷移する前に前記他の通信装置の記憶制御部が前記メモリに記憶させた前記運用情報に基づいて、前記自通信装置の機器を動作させる」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
2 理由2(特許法第36条第6項第2号)について
(1)当審では、本件補正前の請求項1-8に係る発明の「対向」という用語の意味が不明確であり、「前記自通信装置に対向する通信装置」及び「対向する装置」とは、それぞれ、どこに位置するどのような装置であるのか不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正後の請求項1-7において「前記自通信装置に対向する通信装置」及び「対向する装置」という事項が削除されたことにより、この拒絶の理由は解消した。
(2)当審では、本件補正前の請求項5において、「前記記憶制御部」がメモリに記憶させる運用情報は、「前記自通信装置の状態が特定の状態に遷移する前」における運用情報であるのか、それとも「前記自通信装置に対向する通信装置の状態が前記特定の状態に遷移する前」における運用情報であるのかが不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正後の請求項4において、「前記他の通信装置の記憶制御部は、前記他の通信装置の状態が特定の状態に遷移する前における前記他の通信装置の機器の運用情報を前記メモリに記憶させ」及び「前記機器制御部は、前記他の通信装置の状態が前記特定の状態に遷移する前に前記他の通信装置の記憶制御部が前記メモリに記憶させた前記運用情報」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
(3)当審では、本件補正前の請求項6において、「特定の状態」とは、「前記自通信装置」の状態であるのか、それとも「前記自通信装置に対向する通信装置」の状態であるのかが不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正後の請求項5において、「前記自通信装置若しくは前記自通信装置に対向する通信装置の状態」との記載が削除されたことにより、この拒絶の理由は解消した。
3 理由2(特許法第36条第6項第2号)及び理由3(特許法第36条第4項第1号)について
当審では、本件補正前の請求項2において、「誤差」とは具体的に何と何の差であるのかが特定されていないから、「誤差」が何を意味しているのかが不明確であるとの拒絶の理由を通知するとともに、本件補正前の請求項2に記載された「前記記憶制御部は、前記運用情報を誤差が許容値に収まる間隔以下で間欠的に前記メモリに書き込んで記憶させる」について、「誤差」とは具体的に何と何の差を意味するのか、「誤差」をどのように定義するのか、及び、「誤差」が「許容される誤差」に収まるような時間間隔をどのようにして算出するのかという点については明細書に記載されておらず、これらの点は、本願出願日の技術常識を参酌しても自明とはいえないとの拒絶の理由を通知している。これに対し、本件補正後の請求項1において、「前記記憶制御部は、前記運用情報を誤差が許容値に収まる時間間隔以下で間欠的に前記メモリに書き込んで記憶させ、前記機器の信号の流量は、保持部で保持され、前記誤差は、保持された前記機器の信号の流量と所定の流量との差であり、前記時間間隔は、前記誤差が前記許容値を超過しない短い間隔として算出される」と補正された結果、これらの拒絶の理由は解消した。
第8 原査定について
本件補正により、本願発明1-7は、「前記運用情報を誤差が許容値に収まる時間間隔以下で間欠的に前記メモリに書き込んで記憶させ、前記機器の信号の流量は、保持部で保持され、前記誤差は、保持された前記機器の信号の流量と所定の流量との差であり、前記時間間隔は、前記誤差が前記許容値を超過しない短い間隔として算出される」という構成を有するものとなっており、当該構成は、原査定における引用文献A、Bには記載されておらず、本願の出願日前における周知技術でもないので、本願発明1-7は、当業者であっても、原査定において引用された引用文献A、Bに基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-005695