意匠拒絶査定不服審判
2020-005571
蓄電デバイス用外装シート
- 審判番号
- 2020-005571
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2019-000777外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1669437
- 請求日
- 2020年04月24日
- 審決日
- 2020年08月19日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .113-WY (F4-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2019-777「蓄電デバイス用外装シート」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は,平成31年(2019年)1月17日の意匠登録出願であって,令和1年(2019年)10月31日付けの拒絶理由の通知に対し,同年11月29日に意見書が提出されたが,令和2年3月18日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年4月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「蓄電デバイス用外装シート」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。
引用意匠
特許庁特許情報課が2006年5月31日に受け入れた
2006年3月22日発行の大韓民国意匠商標公報(CD-ROM番号:2006-14)に記載された意匠登録第30-0409212号の
リチウムイオンポリマー電池の外装シートの意匠(リード端子を除く)
(特許庁意匠課公知資料番号第HH18511306号)
第4 当審の判断
1 本願意匠
本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「蓄電デバイス用外装シート」である。
(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,蓄電デバイス用外装シートの中央に位置する凸部であって,正面視における面積比で,全体の約8分の5である。
本願部分は,蓄電デバイスを収容するという用途と機能を有している。
(3)本願部分の形状
ア.凸部の正面視における形状は,縦長長方形である。
イ.凸部の縦横比は,約10対3である。
ウ.凸部の縦長さと突出した長さの比率は,約50対1である。
エ.凸部の上面,下面及び左右両側面は傾斜面であり,その傾斜角度は約75度である。
オ.凸部の前面側の角は,四辺とも大きな凸曲面である。
カ.凸部の麓側(凸部と縁部の接続部分)の角は,四辺とも大きな凹曲面である。
2 引用意匠
引用意匠は,上記「第3」の公知資料の記載内容によると,以下のとおりである。
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「リチウムイオンポリマー電池の外装シート」である。
(2)引用部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,リチウムイオンポリマー電池の外装の中央に位置する凸部であって,正面視における面積比で,全体の約7分の5である。
引用部分は,リチウムイオンポリマー電池を収容するという用途と機能を有している。
(3)引用部分の形状
ア.凸部の正面視における形状は,縦長長方形である。
イ.凸部の縦横比は,約10対3である。
ウ.凸部の縦長さと突出した長さの比率は,約22対1である。
エ.凸部の上面及び下面は傾斜面であり,その傾斜角度は約80度である。
オ.凸部の左右両側面は,垂直面である。
カ.凸部の,上面と下面につながる前面側の角は,ごく小さい凸曲面であり,左右両側面につながる前面側の角は,曲面ではない(角である。)。
キ.凸部の麓側(凸部と縁部の接続部分)の角は,四辺とも曲面ではない(角である。)。
3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「蓄電デバイス用外装シート」であり,引用意匠に係る物品は「リチウムイオンポリマー電池の外装シート」である。
(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の対比
本願部分は,蓄電デバイス用外装シートの中央に位置する凸部であって,正面視における面積比で,全体の約8分の5であるのに対して,引用部分は,リチウムイオンポリマー電池の外装シートの中央に位置する凸部であって,正面視における面積比で,全体の約7分の5である。
そして,本願部分は,蓄電デバイスを収容するという用途と機能を有しているのに対して,引用部分は,リチウムイオンポリマー電池を収容するという用途と機能を有している。
(3)両部分の形状の対比
両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)凸部の正面視における形状は,縦長長方形である点。
(イ)凸部の縦横比は,約10対3である点。
(ウ)凸部の上面及び下面は,傾斜面である。
イ.相違点について
(ア)凸部の縦長さと突出した長さの比率につき,本願部分は,約50対1であるのに対して,引用部分は,約22対1である点。
(イ)凸部の上面及び下面の傾斜角度につき,本願部分は,約75度であるのに対して,引用部分は,約80度である点。
(ウ)凸部の左右両側面につき,本願部分は,傾斜角度が約75度の傾斜面であるのに対して,引用部分は,垂直面である点。
(エ)凸部の,上面と下面につながる前面側の角につき,本願部分は,大きな凸曲面であるのに対して,引用部分は,ごく小さい凸曲面である点。
(オ)凸部の,左右両側面につながる前面側の角につき,本願部分は,大きな凸曲面であるのに対して,引用部分は,曲面ではない点。
(カ)凸部の麓側の角につき,本願部分は,四辺とも大きな凹曲面であるのに対して,引用部分は,四辺とも曲面ではない点。
4 判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠に係る物品は「蓄電デバイス用外装シート」であり,引用意匠に係る物品は「リチウムイオンポリマー電池の外装シート」であるが,いずれも充放電を繰り返すための装置の外装シートであるから,共通している。
(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の評価
本願部分も,引用部分も,蓄電デバイス用外装シート又はリチウムイオンポリマー電池の外装シートという共通する物品における中央に位置する凸部という位置及び範囲であるから,両部分の位置及び範囲は共通している。
また,両部分の大きさについては,本願部分は,全体の約8分の5であるのに対して,引用部分は,全体の約7分の5であるが,僅かな差異と認められ,両意匠の類否判断においては,共通しているといえる。
そして,両部分は,共通する物品における,充放電を繰り返すための装置を収容するところであるから,両部分の用途及び機能は共通していると認められる。
よって,両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能は共通していると認められる。
(3)両部分における形状の評価
ア.共通点について
共通点は,基本的構成態様といえる正面視における形状,凸部の縦横比,並びに凸部の上面及び下面の形状であるから,一定程度の共通感を生じさせるが,この点のみをもって,両意匠の特徴とはいえないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
イ.相違点について
相違点(ア)は,収容できるデバイスの厚さに関わる点であるから,需要者の関心のあるところと認められ,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(イ)については,その角度の差は微小であり,需要者が観察した場合,共に僅かな傾斜が付いているという共通する認識が生じると認められるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
相違点(ウ)については,需要者にとって,僅かでも傾斜が付いているという認識と,傾斜が付いていないという認識の差となるから,両意匠の類否判断に与える影響が一定程度認められる。
相違点(エ)については,相違点(オ)も合わさって,見えやすい前面側の角において,本願部分は,大きな凸曲面であるから丸みがあり,柔らかい印象であるのに対して,引用部分は,ごく小さい凸曲面であったり曲面でなかったりするから,角張った硬い印象であるから,両部分に別異の印象を与えるといえ,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(カ)については,本願部分は,大きな凹曲面であるから丸みがあり,柔らかい印象であるのに対して,引用部分は,曲面でなく,角張った硬い印象であるから,両部分に別異の印象を与えるといえ,両意匠の類否判断に与える影響が一定程度認められる。
(4)両意匠における類否判断
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能が共通している。
しかし,両部分の形状については,その共通点及び相違点の評価に基づくと,上記のとおり,共通点は,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点(ア),(ウ)ないし(カ)によって,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,相違点は,両意匠の類否判断を決するものといえる。
よって,両部分の形状は,類似するとは認められないものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。
5 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似するとはいえず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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