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意匠拒絶査定不服審判

2020-005570

蓄電デバイス用外装シート

審判番号
2020-005570
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2019-000776外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
1669436
請求日
2020年04月24日
審決日
2020年08月21日
公報発行日
2023年10月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .113-WY (F4-3)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

意願2019-776「蓄電デバイス用外装シート」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は,平成31年(2019年)1月17日の意匠登録出願であって,令和1年(2019年)10月31日付けの拒絶理由の通知に対し,同年11月29日に意見書が提出されたが,令和2年3月18日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年4月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「蓄電デバイス用外装シート」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠

特許庁特許情報課が2006年5月31日に受け入れた

2006年3月22日発行の大韓民国意匠商標公報(CD-ROM番号:2006-14)に記載された意匠登録第30-0409212号の

リチウムイオンポリマー電池の外装シートの意匠(リード端子を除く)

(特許庁意匠課公知資料番号第HH18511306号)

第4 当審の判断

1 本願意匠

(1)意匠に係る物品

本願意匠の意匠に係る物品は「蓄電デバイス用外装シート」である。

(2)本願意匠の形状

ア.縦長長方形のシートの,略中央に僅かに突出した縦長長方形の凸部を設け,凸部の周りを縁部としたものである。

イ.全体の縦横の比率は,約2.5対1である。

ウ.全体の縦長さと,凸部の縦長さの比率は,約1.1対1である。

エ.凸部の縦横比は,約10対3である。

オ.凸部の縦長さと突出した長さの比率は,約50対1である。

カ.凸部の上面,下面及び左右両側面は傾斜面であり,その傾斜角度は約75度である。

キ.凸部の前面側の角は,四辺とも大きな凸曲面である。

ク.凸部の麓側(凸部と縁部の接続部分)の角は,四辺とも大きな凹曲面である。

2 引用意匠

(1)意匠に係る物品

引用意匠の意匠に係る物品は「リチウムイオンポリマー電池の外装シート」である。

(2)引用意匠の形状

引用意匠は,リチウムイオンポリマー電池の外装シートの,リード端子を除いた状態の意匠であるから,リード端子を除いた状態で,以下認定する。

ア.縦長長方形のシートの,略中央に僅かに突出した縦長長方形の凸部を設けたものである(凸部の周りを「縁部」という。)。

イ.全体の縦横の比率は,約2.7対1である。

ウ.全体の縦長さと,凸部の縦長さの比率は,約1.1対1である。

エ.凸部の縦横比は,約10対3である。

オ.凸部の縦長さと突出した長さの比率は,約22対1である。

カ.凸部の上面及び下面は傾斜面であり,その傾斜角度は約80度である。

キ.凸部の左右両側面は,垂直面である。

ク.凸部の,上面と下面につながる前面側の角は,ごく小さい凸曲面であり,左右両側面につながる前面側の角は,曲面ではない(角である。)。

ケ.凸部の麓側(凸部と縁部の接続部分)の角は,四辺とも曲面ではない(角である。)。

3 両意匠の対比

(1)意匠に係る物品の対比

本願意匠に係る物品は「蓄電デバイス用外装シート」であり,引用意匠に係る物品は「リチウムイオンポリマー電池の外装シート」である。

(2)両意匠の形状の対比

両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。

ア.共通点について

(ア)縦長長方形のシートの,略中央に僅かに突出した縦長長方形の凸部を設けた点。

(イ)全体の縦長さと,凸部の縦長さの比率は,約1.1対1である点。

(ウ)凸部の縦横比は,約10対3である点。

(エ)凸部の上面及び下面は,傾斜面である点。

(オ)凸部の,上面と下面につながる前面側の角は,凸曲面である点。

イ.相違点について

(ア)全体の縦横の比率につき,本願意匠は,約2.5対1であるのに対して,引用意匠は,約2.7対1である点。

(イ)凸部の縦長さと突出した長さの比率につき,本願意匠は,約50対1であるのに対して,引用意匠は,約22対1である点。

(ウ)凸部の上面及び下面の傾斜角度につき,本願意匠は,約75度であるのに対して,引用意匠は,約80度である点。

(エ)凸部の左右両側面につき,本願部分は,傾斜角度が約75度の傾斜面であるのに対して,引用部分は,垂直面である点。

(オ)凸部の前面側の角につき,本願意匠は,四辺とも大きな凸曲面であるのに対して,引用意匠は,上面と下面につながる前面側の角は,ごく小さい凸曲面であり,左右両側面につながる前面側の角は,曲面ではない点。

(カ)凸部の麓側の角につき,本願意匠は,四辺とも大きな凹曲面であるのに対して,引用意匠は,四辺とも曲面ではない点。

4 判断

(1)意匠に係る物品の類否判断

本願意匠に係る物品は「蓄電デバイス用外装シート」であり,引用意匠に係る物品は「リチウムイオンポリマー電池の外装シート」であるが,いずれも充放電を繰り返すための装置の外装シートであるから,共通している。

(2)両意匠における形状の評価

ア.共通点について

共通点(ア)ないし(ウ)により,基本的構成態様ともいえる,全体の大まかな形状,並びに全体の縦長さに対して要部といえる凸部の縦長さ,凸部の縦横比に一定程度の共通感を生じさせているが,これらの大まかな形状の共通点は,本願出願前より存在が認められ,両意匠のみの特徴とはいえないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

共通点(エ)については,ごく一部分の共通点であって,全体観察における両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

共通点(オ)については,概略で共通するものではあるが,具体的には,相違点(オ)の相違が認められるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

イ.相違点について

相違点(ア)は,その相違は本の僅かなものであり,余り別異の印象を与えるものではないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

相違点(イ)については,収容するデバイスの厚さに関わる部分であるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(ウ)については,その相違は本の僅かなものであり,需要者が一見して分かるほどの相違ではないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

相違点(エ)については,相違点(ウ)も合わせて,本願意匠は,凸部の四周を同じ造形処理をして統一感を生み出しているのに対して,引用意匠は,上面及び下面と,左右両側面の造形を変えて,方向性を与えており,小さな部分の小さな相違であっても,全体観察においては,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(オ)については,本願意匠は,凸部の四周を同じ造形処理をして統一感を生み出しているのに対して,引用意匠は,上面及び下面と,左右両側面の造形を変えて,方向性を与えており,小さな部分の相違であっても,全体観察においては,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(カ)については,凸部の麓という余り目立つ部分ではない箇所の相違であるから,全体観察においては,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

(3)両意匠における形状の類否判断

以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響は,小さいものであり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点(イ),(エ)及び(オ)によって,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,相違点は,両意匠の類否判断を決するものといえる。

そうすると,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似するとは認められない。

(4)両意匠における類否判断

よって,両意匠は,意匠に係る物品が共通しているが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。

5 結び

したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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2020-005570

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