2020-002998
所望の構造に近似する少なくとも一つの構造をリフローによって得るための方法
- 審判番号
- 2020-002998
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-564408外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年03月04日
- 審決日
- 2020年10月16日
- 公報発行日
- 2020年11月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .121-WY (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
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特願2016-564408号(以下「本件出願」という。)は、2015年(平成27年)1月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年(平成26年)1月20日)を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、本件出願の請求項1~22に係る発明は、本件出願の優先権主張の日(以下「本件優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である下記の引用文献に記載された発明に基づいて、本件優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
記
(当合議体注:引用文献1は請求項1~22についての主引用例であり、引用文献2は請求項1~22についての副引用例であり、引用文献3は請求項13についての副引用例であり、引用文献4は請求項14についての副引用例であり、引用文献5は請求項21についての副引用例である。)
第3 本件発明
本件出願の請求項1~22に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明22」という。)は、平成28年9月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本件発明1及び17は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】所望の構造(S1)に近似する構造を、前記所望の構造(S1)とは異なる初期構造(S2)をリフローすることによって得るための少なくとも一つのリフローパラメータを決定するための方法であって、前記初期構造(S2)が基板の上に配置された熱変形層に形成された少なくとも一つのパターンから成り、前記熱変形層が、各パターンを取り囲む残留層を形成し、各パターンが周囲媒体のみとの界面を有するように前記残留層から各パターンが延在し、前記方法が、少なくとも、リフローを受ける前記初期構造(S2)の幾何学的形状の時間発展を予測して、少なくともリフロー時間及びリフロー温度を含むリフローパラメータにそれぞれ関連した予測構造(S3)の複数の幾何学的形状を得るための予測ステップと、前記所望の構造(S1)に対する各予測構造(S3)の幾何学的形状の相関値を計算するための相関値計算ステップと、最高の相関値を与える予測構造(S3)を得るためのリフローパラメータを特定するためのリフローパラメータ特定ステップとを少なくとも一つのコンピュータに実行させ、特定されたリフローパラメータが前記初期構造(S2)のリフローステップに適用される、方法。」
「 【請求項17】所望の構造(S1)を近似する少なくとも一つの構造を、前記所望の構造(S1)とは異なる少なくとも一つの初期構造(S2)から得るための方法であって、前記初期構造(S2)が、基板の上に配置された熱変形層に形成された少なくとも一つのパターンから成り、前記熱変形層が、各パターンを取り囲む残留層を形成し、各パターンが周囲媒体のみとの界面を有するように前記残留層から各パターンが延在し、前記方法が、少なくとも、リフローを受ける前記初期構造(S2)の幾何学的形状の時間発展を予測して、少なくともリフロー時間及びリフロー温度を含むリフローパラメータにそれぞれ関連した複数の予測構造(S3)を得るための予測ステップと、前記所望の構造(S1)に対する各予測構造(S3)の幾何学的形状の相関値を計算するための相関値計算ステップと、最高の相関値を与える予測構造(S3)を得るためのリフローパラメータを特定して、特定されたリフローパラメータをリフロー装置に提供するためのリフローパラメータ特定ステップとを少なくとも一つのコンピュータに実行させ、前記方法が、更に、前記最高の相関値を与える予測構造(S3)を得るためのリフローパラメータを適用して、前記リフロー装置によって前記初期構造(S2)をリフローするリフローステップを備える、方法。」
また、本件発明2~16は、本件発明1に対してさらに他の発明特定事項を付加したものであり、本件発明18~22は、本件発明17に対してさらに他の発明特定事項を付加したものである。
第4 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
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1 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶理由に引用文献1として引用され、本件優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特開2005-148427号公報(以下、同じく「引用文献1」という。)には、以下の記載事項がある。なお、当合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。また、半角の数字等は全角とした。
(1)「【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】この発明は、カメラなどに用いられる焦点板を製造するための焦点板原盤及びその製造方法に関する。続きを表示(全38行)【背景技術】【0002】カメラなどに用いられる焦点板は、マイクロレンズアレイが形成された焦点板原盤を母型として金型を作製するか、あるいは母型から更に形状転写して作製した凹型形状の金型を作製し、これらの金型を用いて樹脂成形により作製される。このようなマイクロレンズアレイが形成された焦点板においては、マイクロレンズ間の配列ピッチやマイクロレンズ高さを制御することで、必要なボケ強度や明るさを制御することができ、カメラの焦点板として利用されている。【0003】ここで、焦点板原盤上のマイクロレンズの製造方法としては、例えば特開平6-194502号公報に記載されているように、基板上に感光性材料を均一に形成し、レンズパターンを露光、現像及び熱変形して作製する所謂「熱変形法」が一般に用いられている。上記公報に記載されているマイクロレンズの製造方法を、図16を用いて説明する。まず、図16の(A)に示すように、平坦な基板102上に熱変形性の感光性材料101を均一な厚さの膜に形成し、続いて図16の(B)に示すように、石英フォトマスク103に描かれたマイクロレンズアレイパターン104を露光(光パターニング105)し、感光性材料101を感光させる。次に図16の(C)に示すように、現像処理して矩形状の感光性材料101aを形成した後、矩形状の感光性材料101aを熱変形温度以上に加熱し、図16の(D)に示すように、基板全面に一律に同一な形状の凸状のレンズ101bを得る。続いて、この凸状レンズ101bをアレイ状に配列されたマイクロレンズアレイの形成された基板面に対しドライエッチングを実施して、図16の(E)に示すように、基板10に形状を転写する。このようにして、マイクロレンズが形成された焦点板原盤106が完成する。・・・(省略)・・・【発明が解決しようとする課題】【0004】しかしながら、従来のマイクロレンズの製造方法には次のような課題がある。まず、熱処理による熱変形により、レンズ形状が一律に決まることである。つまり、一様に同じ形状のマイクロレンズしか形成できなかった。このようなマイクロレンズを備えた焦点板原盤から作製した焦点板では、配列が規則的であることから回折現象が伴い、焦点板に干渉色が現れ、輪帯状の特有な色ムラなどが発生してしまうことがあった。【0005】また、マイクロレンズのレンズ高さが低く曲率半径が大きい場合には、屈折の影響が少ないため、入射光線の直進する光量が多く明るい光学系となるが、合焦性能は低くなってしまう。一方、レンズ高さが高く曲率半径の小さい場合には、レンズ表面での屈折の影響が大きいため、合焦性能は高くなるが、レンズ中心部の入射光線の透過光量が少なくなり暗い光学系となってしまう。このように、合焦性能と光学系の明るさは相反の関係となり、同時に両方の特性を満足させることはできなかった。【0006】更に、光の利用効率からして、個々のマイクロレンズが互いに連結してアレイを構成し、マイクロレンズ全体に入射する光を全て集光するのが効率的であるが、前記熱変形法の場合、高温加熱のため感光性材料の流動性を制御することは難しく、マイクロレンズが所望の状態に連結したマイクロレンズアレイを作製するのは非常に困難な状況にあった。【0007】例えば、制御精度が低下しバラツキが大きくなると、マイクロレンズ間に間隙が発生してしまい、それが原因となり多重ボケ現象などによるボケ性能の低下、あるいはカゲリや粒状感などの特性不良が発生していた。また反対に接し過ぎると連結部で拡散不良となり、暗いばかりか素抜け感の伴う焦点板となっていた。【0008】本発明は、上記課題を解消するためになされたもので、特性を向上させると共に焦点板としての合焦性能と光学系の明るさの両立が可能で、製造が容易な焦点板原盤及びその製造方法を提供することを目的とする。【課題を解決するための手段】【0009】上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、平面基板全面に形成されたマイクロレンズアレイからなる焦点板原盤において、前記マイクロレンズアレイは、高さ、曲率半径及び曲面形状が個々に異なる複数種類のマイクロレンズを配列して構成されたものであることを特徴とするものである。【0010】このような構成とすることにより、合焦性能と明るさの両立が可能な焦点板原盤を実現することができる。・・・(省略)・・・【0015】請求項9に係る発明は、請求項1~8のいずれか1項に係る焦点板原盤の製造方法において、複数枚のフォトマスクを用いて連続的に多段露光してマイクロレンズを形成することを特徴とするものである。また、請求項10に係る発明は、請求項9に係る焦点板原盤の製造方法において、前記多段露光工程は、最初のフォトマスクのマイクロレンズ形成領域内に、徐々に小さくなる2番目の以降のフォトマスクのマイクロレンズ形成領域が重なるように行うことを特徴とするものである。また、請求項11に係る発明は、請求項10に係る焦点板原盤の製造方法において、前記2番目以降のフォトマスクのマイクロレンズ形成領域は、最初のフォトマスクのマイクロレンズ形成領域と中心が一致していることを特徴とするものである。また、請求項12に係る発明は、請求項11に係る焦点板原盤の製造方法において、前記2番目以降のフォトマスクのマイクロレンズ形成領域は、最初のフォトマスクのマイクロレンズ形成領域と中心が一致していないことを特徴とするものである。【0016】以上のように、複数枚のフォトマスクを用いて多段露光を行うことにより、合焦性能と明るさの両特性を両立させる焦点板原盤を簡単に製造できると共に、様々な形状のマイクロレンズを簡単に製造することができる。【0017】請求項13に係る発明は、請求項9~12のいずれか1項に係る焦点板原盤の製造方法において、前記各露光工程は、マイクロレンズの非形成領域にフォトレジストが残るようなアンダー領域の露光工程であることを特徴とするものである。【0018】以上のように、露光工程においてアンダー露光とすることにより、所望の高さを有するマイクロレンズが得られると共に、個々のマイクロレンズの連結状態を最適とすることもできる。【発明の効果】【0019】本発明によれば、合焦性能と光学系の明るさの両立が可能な焦点板を形成することが可能な焦点板原盤及び該焦点板原盤を容易に製造できる製造方法を実現することができる。」
(2)「【発明を実施するための最良の形態】【0020】次に、発明を実施するための最良の形態について説明する。【実施例】続きを表示(全36行)【0021】まず、本発明の実施例1について説明する。図1は、本実施例に係る焦点板原盤の製造方法を説明するための製造工程図である。まず、図1の(A)に示すように、シリコン(Si)基板1上に熱変形性の感光性材料のフォトレジストをスピン法により均一に塗布してフォトレジスト膜2を形成する。ここでは、フォトレジストとして、ポジタイプのフォトレジストを用いる。次に、レジスト中に残っている溶媒や水分を追い出し、レジスト膜2を緻密にするためプリベークを行う。【0022】次に、2枚のフォトマスクを用いて多段露光を行う。多段露光用の重ね合わせマークは、あらかじめSi基板1に形成されているものとする。まず、図1の(B)に示すように、第1のレンズパターン4を有する第1のフォトマスク3を用いて露光5を行い、マイクロレンズのピッチや配列を決める第1のレンズパターン4をフォトレジスト膜2にパターニングする。続いて、第2のレンズパターン7を有する第2のフォトマスク6を用いて露光5を行い、マイクロレンズの高さ、曲率半径並びに形状を決める第2のレンズパターン7をフォトレジスト膜2にパターニングする。【0023】ここで、第1のフォトマスク3による第1のレンズパターン4は、図2に示すように、正六角形が稠密に配列された蜂の巣型(ハニカム)形状であり、第2のフォトマスク6による第2のレンズパターン7は円形である。図2において、11は第1のレンズパターン4,12は第2のレンズパターン7の平面形状を示す。また、第2のフォトマスク6による第2のレンズパターン7(12)は、第1のレンズパターン4(11)であるハニカムパターン領域内の一部を2回目の露光時に遮光できるようなパターンである。そして、第2のレンズパターン7(12)の大きさを変えることにより、マイクロレンズの高さ及び曲率半径を制御することができる。また、第2のレンズパターン7(12)の位置を変えることにより、マイクロレンズのピーク位置が変わり、マイクロレンズの形状を制御することができる。したがって、第2のレンズパターン7(12)の大きさ及び位置を自由に制御することにより、様々なマイクロレンズを形成することが可能となる。【0024】ここでマイクロレンズの形状並びに大きさなどの制御方法について、詳細に説明する。マイクロレンズのピッチや配列は、第1のレンズパターン4によって決定され、マイクロレンズの高さ並びに曲率半径は第2のレンズパターン7によって決定される。第2のレンズパターン7(12)つまり遮光部を、図3の(A)に示すように小さくすると、図3の(B)に示すように、マイクロレンズ13の高さhは低くなり、曲率半径rは大きくなる。このときは、図5に示すように、狭角度に拡散した狭角拡散光が発生する。この場合には、屈折の影響が少ないため直進する光の量が多く明るい光学系となるが、合焦性能は低くなる。【0025】また、第2のレンズパターン7(12)を図4の(A)に示すように大きくすると、図4の(B)に示すように、マイクロレンズ13の高さhは高くなり、曲率半径rは小さくなる。このときは、図6に示すように、広角度に拡散した広角拡散光が発生する。この場合には、マイクロレンズ表面での屈折の影響が大きいため、合焦性能(拡散性)は高いが、マイクロレンズ中心部の透過光量が少なくなり暗い光学系となる。なお、上記図3及び図4に示すマイクロレンズの場合には、第2のレンズパターン7(12)の中心位置は第1のレンズパターン4(11)の中心位置と同じであるため、対称な断面形状を有するマイクロレンズとなる。【0026】一方、マイクロレンズ13のピーク位置13aは、図7の(A)~(D)に示すように、第2のレンズパターン7(12)の中心位置を第1のレンズパターン4(11)の中心位置からずらすことにより、中心位置よりずらすことが可能となり、この場合には非対称な断面形状を有するマイクロレンズとなる。このとき、第2のレンズパターン7(12)のずらしにおいて、そのずらし量だけでなく、ずらす方向をランダムに決めれば、各マイクロレンズのピーク位置間の距離も一定値から崩れてランダムな距離となり、様々な非対称性を有したマイクロレンズが得られる。【0027】したがって、第2のレンズパターン7(12)の大きさ並びに中心位置を適宜組み合わせることにより、様々な形状を有するマイクロレンズを自由に形成できる。なお、図3の(A),図4の(A),図7の(A),(C)は第1及び第2のレンズパターン4,7の平面形状11,12を、図3の(B),図4の(B),図7の(B),(D)は形成されたマイクロレンズ13の形状を示す。【0028】なお、上記図1の(B),(C)で示した第1のフォトマスク3及び第2のフォトマスク6を用いた露光段階においては、アンダー露光となるように行うことが重要である。すなわち、露光時に未反応レジスト膜が残存するようにアンダー露光を行うことが必要であり、現像後の残存レジスト膜厚は5~20%残存することが望ましい。【0029】このアンダー露光の態様を、図8の(A)に基づいて更に詳細に説明する。ここで、アンダー露光にして現像後、レジスト膜21のマイクロレンズ非形成領域に残存レジスト21aを残すことにより、所望のレンズ高さが得られる。これは、マイクロレンズの間隙部の深さは、間隙部となるアンダー露光量域に対する露光量により残存レジスト21aの膜厚を変えることにより変えることができるからである。つまり、間隙深さが浅い場合には高さの低いマイクロレンズが形成されるため、アンダー露光量域において露光量を適宜選ぶことにより、所望の高さを有するマイクロレンズ22が得られる。更に後述するように、低温で時間をかけて加熱処理を行うことができるため、個々のマイクロレンズの連結状態を最適とすることもできる。【0030】次に、再び図1に示した製造工程に戻って説明する。上記図1の(B),(C)に示した第1及び第2のフォトマスク3,6を用いた露光工程の次に、図1の(D)に示すように現像及びリンス処理を行い、多段形状のレジスト膜2aを形成する。通常は、現像及びリンス処理後にレジスト膜2a中に残った現像液やリンス液を取り除き、レジスト膜2aの密着性を上げるためにポストベークを行うが、ここでは、次に述べる加熱処理工程において、レジスト膜の流動性を落とさないためにポストベークは行わない。【0031】次に、N2ガス雰囲気のオーブンで加熱処理を行う。この加熱処理の熱処理温度は、レジストの軟化点温度以上の高温にて実施すると共に、加熱時間は予めレンズ形状から最適化して決めておく。この加熱処理により、多段形状のレジスト膜2aが変形してマイクロレンズ2bが形成される。【0032】このとき、個々のマイクロレンズは、図8の(B)に示すよう連結状態となる。そして、マイクロレンズは最適形状となり、連結部における特性不良は解消される。ここでマイクロレンズの連結状態について、図9を参照しながら詳細に説明する。図9の(A)は連結されたマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイの模式的な平面図を示し、図9の(B)及び(C)は、図9の(A)のそれぞれY-Y線に沿った縦断面、及びX-X線に沿った横断面でのマイクロレンズの所望の連結状態を表す断面形状を示す。図9の(C)に示す横断面では、隣接するマイクロレンズ同士の2つの接平面25,26のなす角度αは20度以上の鋭角を有する連結状態となっている。一方、図9の(B)に示す縦断面では、円弧状の連結部28が形成されるが、この連結部28の高さh2は連結するマイクロレンズ27の高さh1の高々20%が望ましい。【0033】このように、マイクロレンズの連結状態は最適形状となり、連結部における種々の特性不良は解消される。上記のようにして加熱処理によりレンズ形状が形成されたら、冷却して固化する。以上の工程により、図1の(E)に示すようなマイクロレンズパターンのマイクロレンズアレイが形成される。ここで、個々のマイクロレンズの形状は、高さも曲率半径もレンズピーク位置も違うような不揃いなものとなっているが、このマイクロレンズパターンのマイクロレンズアレイが多段露光法により得られるレジストからなる焦点板原盤である。【0034】実際のプラスチック製の焦点板を得るには、この後、このレジストからなる焦点板原盤に真空蒸着法などによりクロム膜と金膜からなる導電膜を成膜する。具体的には、抵抗加熱法などによりクロム膜を形成した後、金膜を形成する。続いて、ニッケル・塩化ニッケルからなるメッキ浴に浸漬して、凹型のニッケル層電鋳を形成する。これをスタンパーとして、ポリカーボネート,ポリメチルメタクリレート,環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン,CR-35又はTPXなどの樹脂を射出成形し、凸型状のプラスチック性の焦点板を作製し、最終的にはカメラの撮像光学系に組み込まれることになる。【0035】以上のようにして作製されたマイクロレンズ形状を有する焦点板原盤によれば、合焦性能と明るさという相反する特性を両立させた焦点板を簡単に製造できると共に、個々のマイクロレンズの大きさ、形状などを容易に制御できる。【0036】なお、本実施例では、マイクロレンズ形成時の多段露光として2枚のフォトマスクを用いた場合について説明したが、これに限定されることなく、3枚以上のフォトマスクを用いて多段露光を行ってもよい。この場合には、本実施例で説明した2枚のフォトマスクに加えて、更なるフォトマスクを追加して露光を行えばよい。このとき、3枚目以降のフォトマスクのレンズパターンは、1つ前のレンズパターン内に入るようなレンズパターンとする。このように、3枚以上のフォトマスクを用いて多段露光を行うことにより、高さや大きさ、あるいは形状を更に様々に変化させた所望のマイクロレンズを形成することができる。」
(3)図1
(4)図8
2 引用発明
引用文献1の上記1の記載に基づけば、引用文献1には、焦点板原盤の製造方法として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「シリコン基板上に熱変形性の感光性材料のフォトレジストをスピン法により均一に塗布してフォトレジスト膜を形成し、次に、レジスト中に残っている溶媒や水分を追い出し、レジスト膜を緻密にするためプリベークを行い、次に、第1のレンズパターンを有する第1のフォトマスクを用いて露光を行い、マイクロレンズのピッチや配列を決める第1のレンズパターンをフォトレジスト膜にパターニングし、続いて、第2のレンズパターン7を有する第2のフォトマスクを用いて露光を行い、マイクロレンズの高さ、曲率半径並びに形状を決める第2のレンズパターンをフォトレジスト膜にパターニングし、第1のフォトマスク及び第2のフォトマスクを用いた露光段階においては、露光時に未反応レジスト膜が残存するようにアンダー露光を行い、現像後の残存レジスト膜厚は5~20%残存するものであり、次に、現像及びリンス処理を行い、多段形状のレジスト膜を形成し、次に、N2ガス雰囲気のオーブンで加熱処理を行い、この加熱処理の熱処理温度は、レジストの軟化点温度以上の高温にて実施すると共に、加熱時間は予めレンズ形状から最適化して決めておき、この加熱処理により、多段形状のレジスト膜が変形してマイクロレンズが形成される、焦点板原盤の製造方法。」
3 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶理由に引用文献2として引用され、本件優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特開2003-173948号公報(以下、同じく「引用文献2」という。)には、以下の記載事項がある。なお、当合議体が引用文献2に記載された事項の認定等に用いた箇所に下線を付した。
(1)「【発明の詳細な説明】【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、リソグラフィ工程やエッチング工程などの半導体デバイスを製造する工程を監視する方法及びそのシステムに係り、各工程で処理された基板上に形成されたパターンを撮像して得られた画像から各工程における処理の状態を監視するのに適した半導体デバイスを製造する工程を監視する方法及びそのシステムに関する。・・・(省略)・・・【0023】【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するために、以下に示す半導体デバイスの製造工程監視システムを測長SEM(CD-SEM)上に構築するようにしたものである。【0024】即ち、本発明では、上記目的を達成するために、半導体デバイスの製造工程を監視する方法において、所定の処理工程を経て表面にパターンが形成された基板に電子線を走査しながら照射して基板の表面に形成されたパターンの電子線像を得、このパターンの電子線像からパターンの特徴量を算出し、この算出したパターンの特徴量の情報と予め記憶しておいた所定の処理工程における処理条件パラメータと所定の処理工程を経ることにより基板上に形成されるパターンの特徴量との関係の情報とを用いて所定の処理工程の状態を監視するようにした。」
(2)「【0033】【発明の実施の形態】以下に、本発明による半導体デバイスの製造工程監視システムの実施例として、リソグラフィ工程に適用した場合と、エッチング工程に適用した場合とについて、図面を参照しながら具体的に説明する。・・・(省略)・・・【0127】〔第11の実施の形態〕エッチングプロセスの主な加工処理条件には,エッチング処理時間,プラズマ放電の電力,試料に印加するバイアス電力,プロセスガスの流量(比)やその圧力,ウェーハ温度などがあり,これらを適切な値に設定しなければ,所望の形状のパターンを形成することはできない。これらのパラメータは互いに影響しあうため,最適な条件を設定することは非常に難しく,現状では熟練者の経験と勘に頼っているところが大きい。続きを表示(全20行)【0128】これに対し,本発明では,第(1-1)の実施例のように,形状を表す特徴量を関数で示すことで,条件出しに要する時間を短縮する。図47に本発明の条件出し手順を示す。図47(a)は現状の条件出し手順であり,パターンの良否判定のために,加工と断面観察を繰り返す。ホト工程におけるFEMのように,1枚のウェハ上に異なる加工条件のパターンを形成することはできず,エッチング条件1つに対して1枚のウェハが必要となるため,この繰り返しループが多くなると,条件出しのコストも増加する。このため,ホト工程に比べ,リファレンスデータベースの作成はもとより,最適条件の決定にも多くの時間とコストを必要とする。この,繰り返しの回数は熟練者の技術によって異なるが,エッチング条件と形状の関係を定量的に評価できれば,この繰り返し作業を低減することができ,条件出しは容易となる。【0129】図47(b)は本発明の条件出し手順を示している。まずはじめに,ステップ2200~2205で条件パラメタと形状を表す特徴量の関係を表す関数を大まかに求める。【0130】一例として,ダマシン加工により酸化膜に溝状に配線を形成する場合において,エッチング時間,ガス圧力を主要なパラメータとして調整する例について説明する。ここでは,エッチング条件の評価基準として,例えば,トップ部およびボトム部に相当する配線幅を含む特徴量として,図19の寸法1および寸法2のうち,トップおよび求む幅と相関の高い寸法を選択して用いる。例えばb=10%の寸法1をボトム幅,寸法2をトップ幅とする。図48は,求めるべきこれら特徴量と加工条件の関係を表している。【0131】通常は,加工材料や加工形状に応じた標準的な加工条件があり,それを対象製品・工程に対して最適化する。また,それぞれのパラメータの定性的な性質(例:エッチング時間を長くすれば,エッチング量が増える)はある程度わかっていることが多い。そこで,はじめに最適化前の標準条件での加工(図47ステップ2200)を行い,特徴量であるトップ部幅およびボトム部幅を評価する(図47ステップ2201,図48に黒色の印で示す点)。【0132】この結果をもとに,他の条件は標準条件のままで,それぞれの単独のパラメータのみを適切な値変化させた第2の加工(ステップ2202)を実施し,各々の特徴量を評価する(ステップ2203,図48に白色の印で示す点)。このとき,各パラメータの定性的な性質がわかっている場合には,各特徴量の目標値に近づく方向に値を設定する。例えば,図48(a)で,現在の寸法よりも目標寸法を小さくしたいのであれば,エッチング時間を長く設定して評価する。【0133】この評価により,各パラメータの変化量と特徴量の変化量の関係をおおまかに捉えることができる。この関係(図48に点線で示す直線)を初期関数として,目標形状の特徴量を仮に決定する(ステップ2205)。【0134】ここで,標準条件および,第2の条件による加工結果はAFMや断面観察を利用して加工形状の良否をきちんと確認(ステップ2204)しておくことが望ましい。但し,予め他の手段でこれらの特徴量が校正されている場合には,ステップ2204は必ずしも必要ない。このように,あらかじめこれらの形状をきちんと評価しておけば,後はこの結果を利用して,SEM画像の特徴量のみから加工形状の良否判定が可能となる。【0135】このようにして得られた初期関数を利用することにより,選択したパラメータで,所望の形状を実現するためには,どの程度の値に設定すればよいか予測できるので,これを利用してさらに条件の絞り込みを行う。ステップ2206では,この初期関数を用いて,次の加工条件を設定する。図48の例では,エッチング時間を変更すれば,トップ幅,ボトム幅共に同様に変化する(図48(a))が,ガスの圧力を変えてもボトム幅しか変化しない(図48(b))という特性の違いが明らかになっている。これらの特性と,標準条件での特徴量と目標値との違いを考慮して,変更する主なパラメータを決定する。【0136】例えば,図48において,灰色の線で示すように目標寸法が決められているのであれば,特性の推定直線と交わる領域から,図48(b)にハッチングで示した範囲あたりを目安に,ガス圧力のパラメータを変更してみて,所望の形状を実現できる値を選択すればよいことになる。これは,第1の実施例のパラメータの変動量算出時に行った,特徴量群の目標値からのずれが最小になる条件を選択するのと同じ作業である。このとき,同様な形状変更が可能なパラメータが複数ある場合は,スループットやパラメータの変更のしやすさ,安定性などを考慮して選択すればよい。【0137】このようなパラメータの選択は,目標値からのずれと,各パラメータの変更の容易さなどを考慮した適当な評価関数を設定すれば,自動で計算することもできる。この際,複数のパラメータを選択する場合には,相乗効果を想定した変更量の調節を行う。なお,ここでは標準パラメータに対して,第2の加工条件として,各プロセス条件パラメータの変更を1回ずつ行い,簡単な直線近似で傾向を確認したが,条件の変更を複数回行ってさらに多くのデータを用いてもよい。この場合は取得データに応じて,直線近似以外に適した方法を用いればよい。【0138】その後,加工(ステップ2207),評価(ステップ2208),判定(ステップ2209)を行い,その結果を元に特徴量と加工パラメタの関数および目標形状の特徴量を修正(ステップ2210)し,次の加工条件の決定(ステップ2206)を行う作業を目標形状が得られるまで繰り返す。目標形状の特徴量が得られるエッチング条件が決定したら,加工したウェハの断面観察を行い,問題がなければ条件出しを終了する。【0139】このように,本発明では,定量的な評価結果に基づいて条件変更を行うため,エッチング条件を確実に収束させることができる。また,条件変更の繰り返しループ2206から2210の間に,最も時間を要する断面観察が入っていないため,従来手法に比べ高速な条件出しを実現することができる。【0140】もちろん,いくつかの加工条件について,従来と同様に断面観察を実施し,測定値の校正を行えば,さらに条件出しの信頼性を向上することができる。このように,特徴量を利用することで,毎回断面観察を行うのではなく,要所要所での確認のみで,定量的に効率よく条件設定を行うことができる。【0141】図48では,形状評価の特徴量として,トップ部およびボトム部の幅を用いたが,壁面の傾斜角や,ラウンディングやフッティングの指標など,加工するパターンにとって重要な形状の特徴をあらわす特徴量を用いればよい。ラウンディングやフッティングの指標を特徴量とする場合は,指標値のみで絶対的な形状を推定することはできないが,例えば,標準条件とパラメータ変更後の加工結果の断面観察により角部の曲率を測定し,指標値と曲率の関係を求めておけば,所望の形状における指標値を推定することができる。【0142】なお,本実施例では,標準条件がわかっている場合の例を示したが,全く新たな材料や構造などに対応する際に,どのパラメータがどのような性質を示すか明らかでない場合には,実験計画法やタグチメソッドなどを用いた条件出し手法が効果的である。このような場合にも,本システムにより得られる特徴量を出来栄えの評価値として用いてやることで効率よく最適な条件を決めることができる。【0143】また,このような,エッチング条件出し時に同時にリファレンスデータベースを作成しておけば,前記第9の実施例のプロセス制御に利用することができる。本実施例では,繰り返し作業は最終条件に近い条件でのみ行われるが,実際にプロセスの監視や制御を行う際に用いるデータベースは,目標形状に近い形状変動が算出できれば十分であり,本実施例の条件出し時に保存するデータで十分である。」
第5 対比・判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
ア 所望の構造(S1)に近似する構造、初期構造(S2)
引用発明は、「N2ガス雰囲気のオーブンで加熱処理を行い、この加熱処理の熱処理温度は、レジストの軟化点温度以上の高温にて実施すると共に、加熱時間は予めレンズ形状から最適化して決めておき、この加熱処理により、多段形状のレジスト膜が変形してマイクロレンズが形成され」るものである。
上記工程からみて、引用発明の「マイクロレンズ」は、本件発明1の「所望の構造(S1)に近似する構造」に相当する。
また、上記「加熱処理により、多段形状のレジスト膜が変形してマイクロレンズが形成され」という構成からみて、引用発明の「多段形状のレジスト膜」は、本件発明1の「初期構造(S2)」に相当するとともに、本件発明1の「初期構造(S2)」の「所望の構造(S1)とは異なる」との要件を満たす。
イ リフロー
上記アの工程からみて、引用発明の「加熱処理」は、本件発明1の「リフローすること」に相当する。
また、引用発明の「焦点板原盤の製造方法」と本件発明1の「方法」とは、「所望の構造(S1)に近似する構造を、前記所望の構造(S1)とは異なる初期構造(S2)をリフローすることによって得るための」「方法」の点で共通する。
ウ 基板、残留層
引用発明は、「シリコン基板上に熱変形性の感光性材料のフォトレジストをスピン法により均一に塗布してフォトレジスト膜を形成し、次に」、「プリベークを行い、次に、第1のレンズパターンを有する第1のフォトマスクを用いて露光を行い、マイクロレンズのピッチや配列を決める第1のレンズパターンをフォトレジスト膜にパターニングし、続いて、第2のレンズパターン7を有する第2のフォトマスクを用いて露光を行い、マイクロレンズの高さ、曲率半径並びに形状を決める第2のレンズパターンをフォトレジスト膜にパターニングし、第1のフォトマスク及び第2のフォトマスクを用いた露光段階においては、露光時に未反応レジスト膜が残存するようにアンダー露光を行い、現像後の残存レジスト膜厚は5~20%残存するものであり、次に、現像及びリンス処理を行い、多段形状のレジスト膜を形成し、次に、N2ガス雰囲気のオーブンで加熱処理を行い」、「この加熱処理により、多段形状のレジスト膜が変形してマイクロレンズが形成される」ものである。
上記構成からみて、引用発明の「シリコン基板」及び「残存レジスト膜」は、それぞれ本件発明1の「基板」及び「残留層」に相当する。また、引用発明の「多段形状のレジスト膜」は、本件発明の「初期構造(S2)」における、「基板の上に配置された熱変形層に形成された少なくとも一つのパターンから成り」及び「前記熱変形層が、各パターンを取り囲む残留層を形成し」という要件を満たす。
(2)一致点及び相違点
以上より、本件発明1と引用発明とは、
「 所望の構造(S1)に近似する構造を、前記所望の構造(S1)とは異なる初期構造(S2)をリフローすることによって得るための方法であって、前記初期構造(S2)が基板の上に配置された熱変形層に形成された少なくとも一つのパターンから成り、前記熱変形層が、各パターンを取り囲む残留層を形成する、方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
「方法」が、本件発明1は、「少なくとも一つのリフローパラメータを決定するための」方法であって、「前記方法が、少なくとも」、「リフローを受ける前記初期構造(S2)の幾何学的形状の時間発展を予測して、少なくともリフロー時間及びリフロー温度を含むリフローパラメータにそれぞれ関連した予測構造(S3)の複数の幾何学的形状を得るための予測ステップと」、「前記所望の構造(S1)に対する各予測構造(S3)の幾何学的形状の相関値を計算するための相関値計算ステップと」、「最高の相関値を与える予測構造(S3)を得るためのリフローパラメータを特定するためのリフローパラメータ特定ステップとを少なくとも一つのコンピュータに実行させ、特定されたリフローパラメータが前記初期構造(S2)のリフローステップに適用される」のに対して、引用発明は、「焦点板原盤の製造」方法である点。
(相違点2)
「初期構造(S2)」が、本件発明1は、「各パターンが周囲媒体のみとの界面を有するように前記残留層から各パターンが延在し」たものであるのに対して、引用発明は、一応、これが明らかではない点。
(3)判断
上記相違点1について検討する。
引用発明は、そもそも、「少なくとも一つのリフローパラメータを決定するための方法」ではない。したがって、引用発明の構成を置き換える等しても、本件発明1の「方法」に到ることはないといえる。
ただし、引用発明は、「加熱時間は予めレンズ形状から最適化して決めておき」という構成を具備する。そうしてみると、引用発明の「焦点板原盤の製造方法」は、それに先立つ設計段階の方法として、加熱時間を、予めレンズ形状から最適化して決める方法を内在するものと理解される(以下「設計段階の方法」という。)。
しかしながら、引用文献1の記載を参照しても、設計段階の方法がいかなるものなのか、不明である(設計段階の方法は、経験則によるものかもしれないし、試行錯誤によるものかもしれない。)。
ところで、引用文献2には、「リソグラフィ工程やエッチング工程などの半導体デバイスを製造する工程を監視する方法」(【0001】)の技術分野において、「ダマシン加工により酸化膜に溝状に配線を形成する場合において,エッチング時間,ガス圧力を主要なパラメータとして調整する例」(【0130】)として、「初期関数を用いて、次の加工条件を設定する」ことや、「標準条件での特徴量と目標値との違いを考慮して、変更する主なパラメータを決定する」ことが記載されている(【0135】)。
しかしながら、引用文献2に記載された技術は、引用発明の設計段階の方法において、相違点1に係る本件発明1の構成を採用することを動機づけるものではない。また、引用文献2に記載された技術と相違点1に係る本件発明1の構成は、構成としてみても異なるから、たとえ引用発明の設計段階の方法において引用文献2に記載された技術を採用しても、相違点1に係る本件発明1の構成を具備したものに到らない。加えて、当業者にとって、上記相違点1に係る本件発明1の構成が周知技術であったということもできない。
そうしてみると、当業者であっても、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用して上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、容易になし得たということはできない。
なお、引用文献3~5にも、上記相違点1に係る本件発明1の構成について記載されていない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。
2 本件発明2~16について
本件発明2~16は、本件発明1の構成を全て具備するものであるから、本件発明2~16も、本件発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて容易に発明できたということができない。
3 本件発明17について
本件発明17と引用発明は、次の点で相違する。
(相違点3)
「方法」が、本件発明17は、「少なくとも」、「リフローを受ける前記初期構造(S2)の幾何学的形状の時間発展を予測して、少なくともリフロー時間及びリフロー温度を含むリフローパラメータにそれぞれ関連した複数の予測構造(S3)を得るための予測ステップと」、「前記所望の構造(S1)に対する各予測構造(S3)の幾何学的形状の相関値を計算するための相関値計算ステップと」、「最高の相関値を与える予測構造(S3)を得るためのリフローパラメータを特定して、特定されたリフローパラメータをリフロー装置に提供するためのリフローパラメータ特定ステップとを少なくとも一つのコンピュータに実行させ」、「前記最高の相関値を与える予測構造(S3)を得るためのリフローパラメータを適用して、前記リフロー装置によって前記初期構造(S2)をリフローするリフローステップを備える」のに対して、引用発明は、「焦点板原盤の製造」方法である点。
そうしてみると、前記2(3)で述べたのと同様に、当業者であっても、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用して上記相違点3に係る本件発明17の構成とすることは、容易になし得たということはできない。
なお、引用文献3~5にも、上記相違点3に係る本件発明17の構成について記載されていない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本件発明17は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。
4 本件発明18~22について
本件発明18~22は、本件発明17の構成を全て具備するものであるから、本件発明18~22も、本件発明17と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて容易に発明できたということができない。
5 小括
以上より、本件補正後の請求項1~22に係る発明は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて容易に発明できたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当しない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-002998