特許異議申立
2019-700885
固体ロケットモーター用の推進薬グレイン
- 審判番号
- 2019-700885
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-561045
- 登録番号
- 特許第6513227号(P6513227)
- 請求日
- 2019年11月08日
- 審決日
- 2020年09月29日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】チェアマン,ディフェンス リサーチ アンド ディヴェロップメント オーガナイゼーション (ディーアールディーオー)
- 【権利者代理人】佐伯 義文
- 【権利者代理人】阿部 達彦
- 【権利者代理人】黒田 晋平
- 【権利者代理人】源田 正宏
- 【異議申立人】村山 玉恵
- 審判長/審判官
- 審判長 金澤 俊郎
- 審判官 西中村 健一
- 審判官 谷治 和文
- 分類
- P1651.121-YAA(F02K) / P1651.537-YAA(F02K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6513227号発明「固体ロケットモーター用の推進薬グレイン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6513227号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし9〕について訂正することを認める。
特許第6513227号の請求項1ないし5、7及び9に係る特許を維持する。
特許第6513227号の請求項6及び8に係る特許についての特許の異議申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6513227号の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)7月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年2月12日(IN)インド共和国)を国際出願日として出願され、平成31年4月19日にその特許権の設定登録がされ、令和元年5月15日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和元年11月8日に特許異議申立人村山 玉恵(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和元年12月23日付け(発送日:令和2年1月6日)で取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和2年4月6日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行い、その訂正の請求に対して、異議申立人は、令和2年8月5日に意見書を提出した。
第2 訂正の適否について
本件訂正請求は、特許第6513227号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし9について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりである。
1.請求項1ないし9に係る訂正について
(1)訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に記載の「前端部(102)及び後端部(103)において中央に配置される孔を有する前記ケース」を、
「前端部(102)及び後端部(103)において、前端部(102)及び後端部(103)それぞれの中央に配置される孔を有する前記ケース」
と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~5、7及び9も同様に訂正する。)
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に記載の「軸(101a)」を、
「前進する方向のモーター軸(101a)」
と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~5、7及び9も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に記載の「前記軸方向貫通孔(105)の周りで円形パターンになっている複数の縦方向フィン状キャビティ(106e)」を、
「前記軸方向貫通孔(105)の周りで放射状に配された複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)」
と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~5、7及び9も同様に訂正する。)
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に記載の「前記複数の縦方向フィン状キャビティ(106e)は、前傾した前縁部(107)及び後縁部(112)を伴って径方向外側に延びる、」を、
「前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)は、前傾した前縁部(107)及び後縁部(112)を伴って径方向外側に延びており、前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)は、前記前縁部(107)が前記前進する方向のモーター軸(101a)となす鋭角の角度寸法(108b)が、前記後縁部(112)が前記前進する方向のモーター軸(101a)となす角度寸法(115)よりも大きいように配置される、」
と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~5、7及び9も同様に訂正する。)
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項3に記載の「前記複数の縦方向フィン状キャビティ(106e)は、その前縁部(107e)が、完全に(107e、107i)、部分的に(107f、107g)及び正接するように(107h)のうち少なくとも1つの形で前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなして構成される、」を、
「前記複数の軸方向フィン状キャビティの前縁部(107e)が、完全に(107e、107i)若しくは部分的に(107f、107g)前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなして構成されるか、または前記軸方向フィン状キャビティ(106h)の始点において、前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなして構成されるか、または前記軸方向フィン状キャビティ(106h)の始点において、前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなす接線を有する円弧(107h)を含むように構成される、」
と訂正する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項4に記載の「縦方向フィン状キャビティ(106e、106i)」を、
「軸方向フィン状キャビティ(106e、106i)」
と訂正する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項5に記載の「前記複数の縦方向フィン状キャビティ(106e)は、前記フィン(106e)の先端部に外接する最大仮想円の直径が、」を、
「前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)は、垂直断面視における前記軸方向フィン状キャビティ(106e)の先端部に外接する最大仮想円の直径が、」
と訂正する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項7の2か所に記載の「縦方向フィン状キャビティ(106e)」を、
「軸方向フィン状キャビティ(106e)」
と訂正する。
コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
サ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項9に記載の「前記複数の縦方向フィン状キャビティ(106e)の前記前傾した前縁部(107)は、前記前進する方向のモーター軸(101a)と1つ以上の鋭角の角度寸法をなすように構成される、請求項1に記載の推進薬グレイン。」を、
「前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)の前記前傾した前縁部(107)は、前記前進する方向のモーター軸(101a)と1つ以上の鋭角の角度寸法をなすように構成される、請求項1に記載のロケットモーター。」
と訂正する。
(2)訂正の単位(一群の請求項)について
訂正前の請求項1ないし9について、請求項2ないし9はいずれも請求項1の記載を直接引用するものであるから、訂正前の請求項1ないし9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であって、上記訂正事項1ないし11による訂正は、当該一群の請求項について請求されたものである。
(3)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「前端部(102)及び後端部(103)において中央に配置される孔を有する前記ケース」において、「中央」が何の「中央」であるのか不明瞭であったところ、「前端部(102)及び後端部(103)において、前端部(102)及び後端部(103)それぞれの中央に配置される孔を有する前記ケース」と記載を訂正することにより、請求項1に記載の「中央」の意味を明瞭にするものであるから、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0021】及び【0022】の記載事項並びに図5aの図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、訂正事項1による訂正は、新規事項の追加には該当せず、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
イ 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載の「軸(101a)」が何の軸であるのか不明瞭であったところ、「前進する方向のモーター軸(101a)」と記載を訂正することにより、請求項1に記載の「モーター軸(101a)」の意味を明瞭にするものであるから、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項2は、明細書の段落【0003】、【0025】及び【0026】の記載事項に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、訂正事項2による訂正は、新規事項の追加には該当せず、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
ウ 訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項1に記載の「前記軸方向貫通孔(105)の周りで円形パターンになっている複数の縦方向フィン状キャビティ(106e)」において、「円形パターン」がどのような形状のパターンを意味するのか不明瞭であったところ、「前記軸方向貫通孔(105)の周りで放射状に配された複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)」と記載を訂正することにより、請求項1に記載の「フィン状キャビティ(106e)」の意味を明瞭にするものであるから、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項3は、本件特許の段落【0023】及び【0027】の記載事項並びに図5a及び5bの図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、訂正事項3による訂正は、新規事項の追加には該当せず、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
エ 訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項1に記載の「前記複数の縦方向フィン状キャビティ(106e)」を「前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)」と訂正して「フィン状キャビティ(106e)」の記載を明瞭にするとともに、訂正前の請求項6の内容を訂正前の請求項1に加入して、特許請求の範囲を減縮するものであるから、訂正事項4による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項4は、本件特許の請求項6、段落【0025】の記載事項並びに図5a及び5bの図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、訂正事項4による訂正は、新規事項の追加には該当せず、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項4による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
オ 訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項3に記載の「前記複数の縦方向フィン状キャビティ(106e)は、その前縁部(107e)が、完全に(107e、107i)、部分的に(107f、107g)及び正接するように(107h)のうち少なくとも1つの形で前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなして構成される、」において「正接する」の技術的意味が不明瞭であったところ、「前記複数の軸方向フィン状キャビティの前縁部(107e)が、完全に(107e、107i)若しくは部分的に(107f、107g)前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなして構成されるか、または前記軸方向フィン状キャビティ(106h)の始点において、前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなして構成されるか、または前記軸方向フィン状キャビティ(106h)の始点において、前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなす接線を有する円弧(107h)を含むように構成される、」と記載を訂正して、「軸方向フィン状キャビティ(106e)」の「前縁部(107e)」の態様を明瞭にするものであるから、訂正事項5による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項5は、本件特許の段落【0028】ないし【0030】の記載事項及び図6ないし8の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、訂正事項5による訂正は、新規事項の追加には該当せず、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項5による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
カ 訂正事項6及び9について
訂正事項6は、訂正前の請求項4に記載の「縦方向フィン状キャビティ(106e、106i)」を「軸方向フィン状キャビティ(106e、106i)」と訂正し、訂正事項9は、訂正前の請求項7の2か所に記載の「縦方向フィン状キャビティ(106e)」を「軸方向フィン状キャビティ(106e)」と訂正することにより、いずれも、「フィン状キャビティ」の延在状態を明瞭にするものであるから、訂正事項6及び9による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項6及び9は、本件特許の図5a及び5bの図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、訂正事項6及び9による訂正は、新規事項の追加には該当せず、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項6及び9による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
キ 訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項5に記載の「前記複数の縦方向フィン状キャビティ(106e)は、前記フィン(106e)の先端部に外接する最大仮想円の直径が、」において「フィン(106e)の先端部に外接する最大仮想円」の技術的意味が不明瞭であったところ、「前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)は、垂直断面視における前記軸方向フィン状キャビティ(106e)の先端部に外接する最大仮想円の直径が、」と訂正することにより、「フィン状キャビティ」の「先端部に外接する最大仮想円」の用語の意味を明瞭にするものであるから、訂正事項7による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項7は、本件特許の段落【0025】及び【0032】の記載事項並びに図5b及び10の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、訂正事項7による訂正は、新規事項の追加には該当せず、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項7による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
ク 訂正事項8及び10について
訂正事項8は、訂正前の請求項6を削除するものであり、訂正事項10は、訂正前の請求項8を削除するものであるから、訂正事項8及び10による訂正はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項8及び10による訂正は、新規事項の追加には該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項8及び10による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
ケ 訂正事項11について
訂正事項11は、訂正前の請求項9に記載の「前記複数の縦方向フィン状キャビティ(106e)の前記前傾した前縁部(107)は、前記前進する方向のモーター軸(101a)と1つ以上の鋭角の角度寸法をなすように構成される、請求項1に記載の推進薬グレイン。」を「前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)の前記前傾した前縁部(107)は、前記前進する方向のモーター軸(101a)と1つ以上の鋭角の角度寸法をなすように構成される、請求項1に記載のロケットモーター。」と訂正することで、訂正前の請求項9の「推進薬グレイン。」という記載について訂正前の請求項9が引用する請求項1の「ロケットモーター。」に対して明白な誤記が存在していたものを「ロケットモーター。」という記載に正すとともに、「フィン状キャビティ」の延在状態を明瞭にするものであるから、訂正事項11による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項11は、本件特許の段落【0019】ないし【0021】の記載事項並びに図5a、5bの図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、訂正事項11による訂正は、新規事項の追加には該当せず、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項11による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
2 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし9〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
1.本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下、「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明9」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ロケットモーター(100)であって、
内側が絶縁処理されている、ドーム状端部を有する円筒のケース(101)であって、前端部(102)及び後端部(103)において、前端部(102)及び後端部(103)それぞれの中央に配置される孔を有する前記ケースと、
前記ケース(101)内に充填される固体推進薬グレイン(104)と、
を含み、
前記固体推進薬グレイン(104)は、
該ロケットモーター(100)の前進する方向のモーター軸(101a)に沿って前端部(102)から後端部(103)まで延びる軸方向貫通孔(105)と、
前記軸方向貫通孔(105)の周りで放射状に配された複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)と、
を含み、
前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)は、前傾した前縁部(107)及び後縁部(112)を伴って径方向外側に延びており、
前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)は、前記前縁部(107)が前記前進する方向のモーター軸(101a)となす鋭角の角度寸法(108b)が、前記後縁部(112)が前記前進する方向のモーター軸(101a)となす角度寸法(115)よりも大きいように配置される、ロケットモーター。
【請求項2】
前記固体推進薬グレイン(104)は、前記ロケットモーター(100)の前記後端部(103)において、カウンターボア(109)を更に含む、請求項1に記載のロケットモーター。
【請求項3】
前記複数の軸方向フィン状キャビティの前縁部(107e)が、完全に(107e、107i)若しくは部分的に(107f、107g)前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなして構成されるか、または前記軸方向フィン状キャビティ(106h)の始点において、前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなす接線を有する円弧(107h)を含むように構成される、請求項1に記載のロケットモーター。
【請求項4】
前記軸方向貫通孔(105)の周りに配置される前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e、106i)は、径方向深さ寸法が一様ではない、請求項1に記載のロケットモーター。
【請求項5】
前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)は、垂直断面視における前記軸方向フィン状キャビティ(106e)の先端部に外接する最大仮想円の直径が、ケース(101)の前記後端部側の孔(103)の直径よりも大きく、かつ前記ケース(101)の内径よりも小さいように、前記軸方向貫通孔(105)の周りに配置される、請求項1に記載のロケットモーター。
【請求項6】(削除)
【請求項7】
前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)は、該軸方向フィン状キャビティ(106e)の先端弦(111)から根元にかけて厚さを増大させて構成される、請求項1に記載のロケットモーター。
【請求項8】(削除)
【請求項9】
前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)の前記前傾した前縁部(107)は、前記前進する方向のモーター軸(101a)と1つ以上の鋭角の角度寸法をなすように構成される、請求項1に記載のロケットモーター。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし9に係る特許に対して、当審が令和元年12月23日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
なお、以下、訂正前の請求項1ないし9に係る発明を「本件発明1」ないし「本件発明9」といい、訂正前の請求項1ないし9に係る特許を「本件発明1に係る特許」ないし「本件発明9に係る特許」という。
(1)取消理由1
本件発明1ないし9は明確でない。
よって、本件発明1ないし9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
(2)取消理由2
本件発明1ないし9は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項、又は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1ないし9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
甲第1号証:米国法定発明登録第H1082号
甲第2号証:ロシア国実用新案第17715号
甲第3号証:M. Fisher and P.T. Johnsen 「A System Approach to IM for Solid Rocket Motors」 IMEMTS, 11 March 2003
2.甲各号証に記載された発明及び事項
(1)甲第1号証
取消理由において引用した甲第1号証(米国法定発明登録第H1082号)には、図面(特に、図1ないし4Bを参照。)とともに以下の事項が記載されている。仮訳及び下線部は当審による(以下同様。)。また、行数は各ページ左側のスケールによる。
ア (仮訳)「メインステージの固体推進剤ロケットモーターデザイン
発明の分野
本発明は、固体推進薬ロケットモーターに関し、より詳細には弾道ミサイル第1段ロケットモーターに使用するための固体推進薬グレインデザインに関する。
背景技術
弾道ミサイルの射程距離の拡大と可搬重量能力の要求に牽引されて、固体ロケットモーターの性能を向上させる新しい方法が常に模索されている。性能を改善する方法は、ミサイルの飛行要件(すなわち弾道要件)に推力を調整するための技術、および燃料効率を高めるための技術を含む。本発明のロケットモータグレイン設計は、いくつかのそのような技術の一実施形態である。
発明が解決しようとする課題
本発明の目的は、動力付き初段飛行の過程で弾道ミサイルの推力吸収能力に最適に適合するようにロケットモーターの推力出力を調整する固体推進薬グレインデザインを提供することである。
本発明の目的は、動力を与えられた第1段階の飛行中にすべての固体推進薬燃料を効率的に利用することができる固体推進薬グレインデザインを提供することである。
本発明の目的は、グレインフラクチャーの危険性を最小にする固体推進薬ロケットモーター設計を提供することである。
本発明の特徴は、長手方向中心孔を有し、グレインの後部に配置された複数の主フィンスロットと同数の副フィンスロットとを有するグレインを利用することである。スロットは半径方向外側に延びており、放射対称のパターンに形成されている。
本発明の特徴は、粒子の前面近くの領域において粒子中心を通る長手方向の孔の直径を局所的に増大させることである(この孔の局所的拡大は銀エリミネータと呼ばれる)。
本発明の利点は、推進剤50の燃焼表面積(Sb)が、フィンスロットの2組(長径および短径)の長手方向寸法および外側先端径を変えることによって時間に関して調整できることである。
本発明の利点は、バーンアウト時の推力(第1から第2段目の分離)を高い推力レベルから突然終了させることができ、従って最後の残りの燃料を有効推進に利用し、それによって性能(例えば範囲)を増大させることである。
本発明の利点は、高い加速度によるグレインの垂れ下がりが先端の柔軟なフラップによって吸収され、それによってペレット化前のグレインの破断の危険性が減少することである。
発明の概要
したがって、本発明は弾道ミサイル第1段固体推進薬ロケットモーター設計に関し、主にケース(チャンバを含む)、内部絶縁体、保護前端フラップ、推進薬グレイン、イグナイタ、からなる。」(明細書第1欄第1行ないし第2欄第2行)
イ (仮訳)「好ましい実施形態の説明
図1は、本発明の第1(すなわち主)段ミサイルロケットモータ11の全体斜視図である。
実際の使用では、第1段の前部スカート23を第2段(図示せず)に接続する段間シリンダ(図示せず、他の装置の中では第1段点火器発射機構を含む)がある。図1(または前端部および後端部における側面図である図2及び図3)に示されるロケットモーター11は、ケース12(さらに、ドーム状端部を有する円筒状のチャンバ13、フロントスカート23、リアスカート25を含む)、絶縁体14、固体推進薬グレイン15、推進薬用中央孔17、イグナイタ19、ノズル21を備えている。
図2には、推進薬グレイン15を含むロケットモーター11の前端部が示されている。前述の構成要素に加えて、圧力均等化フラップ37および応力除去フラップバルブ39が示されている。フラップ37は、絶縁体14の間に位置するゴム状材料のシートである。推進剤グレイン15は、推進剤グレイン15の前部が絶縁体14の隣接する前部に付着するのを防止するように機能する。フラップ37の一部であるフラップバルブ39の機能は、フラップ37の終端で絶縁体14と推進剤15との間に応力緩和をもたらすことである。」(明細書第3欄第23ないし49行)
ウ (仮訳)「前方に適合されたリング43は、局所的に厚くされたチャンバ前壁45と絶縁体領域47との間に設けられている。」(明細書第4欄第7ないし9行)
エ (仮訳)「図3及び図4A-4Eには、ロケットモーター11の後部端及び推進薬グレイン15が示されている。推進薬グレイン15は、複数のメジャーフィンスロット57と、間に同数介在するマイナーフィンスロット59とを備えている。これらのフィンスロットは、図示したように孔17から径方向外側に向かって対称パターンを有して延在している。好ましい実施形態では、5つのメジャーフィンスロットと5つのマイナーフィンスロットとが図示されている。推進剤グレイン15には、ノズルキャビティ61および応力除去溝63も設けられている。ノズル進入部およびスロート部65は、ノズルキャビティ61内に配置され、ノズルの移動およびガス流のための隙間空間67を残す。
局所的に厚くなったチャンバ後壁71と絶縁体14の湾曲領域73との間には、後部アダプタリング69が設けられている。図6に示すように、後部アダプタリング69は、後部スナップリング79と定位置に静止シェル77を保持するための後部スナップリング溝75を有する。ノズル入口およびスロート部65は、フレックスシール81によって固定シェル77に取り付けられている。フレックスシールによって、ノズル21を回転させることができ、それによって推力方向転換がもたらされる。図2に最もよく示されるように、図7は、図6の線7-7内の領域の拡大図である。図6に示すように、絶縁体14を後部アダプタリング69に固定する機構は、後部アダプタリング69に形成されたリップ83によって湾曲した絶縁体領域73の端部を所定位置に固定する機構である。
図2および図3は、その長さ全体にわたって中心孔17を含む推進剤グレイン15の重要な縦断面を示す領域A-Eを示す。セクションAは、前述の点火器キャビティの前方部分である。セクションBには、イグナイタとの一部が含まれている。公称中心穴部分Cは、スライバエリミネータとして指定された中央孔17の独特の形状の拡大部87を含む。穴がそれほど拡大されていない場合、拡大部87(銀除去器)の体積は、(特定のモーター動作特性により)未燃焼のままであり、したがって第1段階の分離後に無駄になるであろう推進剤の銀85の体積(図2の点線参照)に等しい。セクションDは、前述のフィンスロットの部分を含む公称中心孔の続きである。セクションEは、ノズル21のためのスペースおよび推力ベクトル制御のためのその回転を提供するための、中央ボアの後部、すなわちノズルキャビティ61の拡大図である。それはまた、推進剤グレイン15に形成されて推進剤15と絶縁体14との間の応力緩和溝63を含み、絶縁体湾曲領域73の最内周部でのペル応力を結合する。」(明細書第4欄第17ないし64行)
オ 図2及び3の図示内容からみて、チャンバ13は前進する方向の中心軸CLを有し、チャンバ前壁45及びチャンバ後壁71において、チャンバ前壁45及びチャンバ後壁71それぞれの中心軸CL周りの孔を有することが分かる。
カ 図1ないし3の図示内容からみて、推進薬中央孔17はロケットモーター11の前進する方向の中心軸CLに沿ってチャンバ前壁45からチャンバ後壁71まで延びることが分かる。
キ 図3、4A及び4Bの図示内容からみて、複数のメジャーフィンスロット57及びマイナーフィンスロット59は、前縁部及び前傾した後縁部を伴って径方向外側に向かって延在することが分かる。
上記アないしキ並びに図1ないし4Bの図示内容からみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
[甲1発明]
「ロケットモーター11であって、
内側に絶縁体14を備え、ドーム状端部を有する円筒状のチャンバ13であって、チャンバ前壁45及びチャンバ後壁71において、チャンバ前壁45及びチャンバ後壁71それぞれの中心軸CL周りの孔を有する前記チャンバ13と、
前記チャンバ13内に含まれる推進薬グレイン15と、
を含み、
前記推進薬グレイン15は、
該ロケットモーター11の前進する方向の中心軸CLに沿ってチャンバ前壁45からチャンバ後壁71まで延びる推進薬中央孔17と、
前記推進薬中央孔17の周りで放射状に配された複数のメジャーフィンスロット57及びマイナーフィンスロット59と、
を含み、
前記複数のメジャーフィンスロット57及びマイナーフィンスロット59は、前縁部及び前傾した後縁部を伴って径方向外側に向かって延在する、ロケットモーター11。」
(2)甲第2号証
取消理由において引用した甲第2号証(ロシア国実用新案第17715号)には、図面(特に、図2及び4を参照。)とともに次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されている。
ア (仮訳)「ロケットエンジンの固体燃料のチャージ
本発明はロケット技術の分野、すなわちチャネル-スロット装薬の設計に関する。スロットホール電荷の様々な設計が文献、例えば著者DI AbugovaおよびVM Bobylevによる本に広く記載されている。固体ロケットエンジンの理論と計算-モスクワ:Mashinostroenie、1987、p.84~85、B.V.Orlava、G.Masinga 固体燃料ロケットエンジン設計の熱力学的および弾道学的基礎-M:1968、p.296。
装填物の設計は、装填物の幾何学的パラメータの適切な選択によって保証される。ロケットエンジンの実質的に任意の必要な圧力-時間(スラスト-時間)図を得ることを可能にする。スリット部分の長さ、スリットの高さ、中央チャネルの長さなど。著者の著書IX Fakhrutdinova、AV Kotelnikovに記載されているチャージの後方(プレノズル)部分のスロットの位置を有するチャージチャネル-スロット形態の既知の設計-固体燃料ロケットエンジンの設計および設計-M:Mashinostroene、1987、p.52。」(明細書第1ページ第1ないし19行)
イ (仮訳)「エンジンの要求される弾道特性および広い範囲でそれらを変化させる可能性(エンジンのパラメトリック信頼性)を提供するという点で明らかな利点と共に、試作品に従う設計また、スロット付き切欠きの基部領域に製品に加わる変形および応力が集中するという重大な欠点があり、これはチャージおよびエンジンの機械的信頼性を低下させる。後者は、チャージチャネルの大きな直径および広いスリットノッチを作ることを必要とし、それはエンジンの燃料充填率の減少をもたらし、すなわち、結果として、エンジンの重量に対する推力の比率を減少させる。本実用新案の任務は、カナルギャップグレインのスリットカットの基部の区域における変形(応力)の集中を減少させることである。軸方向円筒形チャネルと装填物の一部に作られた長手方向スロットとを有する既知のTTRD装填物では、スロットカットの頂部における各スロットの長さは、装填物の長さよりも長いという事実により問題は解決される。スロットの高さの半分を超える量でベースを調整し、スロット数が8以下になるようにする。底部よりも多くの切り欠きがある(図2)。これにより、キャビティを応力が集中する領域の上方にすることができる。除荷効果が十分に発揮されるためには、変形(応力)の集中レベルがスロットの底部のゾーンの下半分に局在するので、キャビティの深さは少なくともスロットの高さの半分でなければならない。この場合、スロット数が8未満であれば除荷が特に効果的である。これは実際にはほとんどの場合実装されている。」(明細書第2ページ第1行ないし第3ページ第8行)
ウ (仮訳)「提案された技術的解決策(図4)の設計は集中領域を持たず、3.1の最大変形レベルはスリット部分の深さにおいて達成される。さらに、新しい設計ソリューション(図4)により、燃料室の容積充填率が3.5%向上した。
結果として、提案された技術的解決策は、チャンネル-スロットチャージの機械的信頼性のレベルを著しく高め、確立されたチャージ技術の変更を必要とせず、チャンネル-スロットチャージの特性を保持して必要な圧力-時間を提供する。」(第4頁第13行ないし第5頁第3行)
エ (仮訳)「軸方向円筒形流路と充填部分に作られた長手方向スリットとを有するロケットエンジンの燃料グレインであって、スリット溝の頂部における各スリットの長さ(Lm) が、ベース部分におけるスリットの長さよりもスリットの高さ(hm) の半分 (L')よりも大きく、且つ、スリットの数は8以下にすることを特徴とする。」(請求項1)
上記アないしエの記載事項及び図示内容を総合すると、甲第2号証には、次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されている。
[甲2記載事項]
「ロケットモーターにおいて、燃料は、軸方向に延びる孔から径方向外側に向かって延在する複数のスリットを含み、前記複数のスリットは、前傾した前縁部を伴って径方向外側に向かって延在すること。」
(3)甲第3号証
取消理由において引用した甲第3号証(M. Fisher andP.T. Johnsen「A System Approach to IM for Solid Rocket Motors」IMEMTS, 11 March 2003)の「21’’ Pulse Booster」及び「Propellant Grain Designs」と題するページには、図面とともに次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されている。
ア (仮訳)「21’’パルスブースター
パルス2
・HTPE/AI/AP/AN 推進薬」
・BKNO3イグナイタ
・所定位置に残存するフォームフィン
パルス1
・HTPE/AI/AP/AN 推進薬」
・BKNO3イグナイタ
・高度に構成されたグレインデザイン」(21’’ Pulse Boosterのページ)
イ (仮訳)「推進薬グレインデザイン
パルス1
高Ab
ターゲットrb=0.7ips@1000psia
中立弾道性
パルス2
6フィンデザイン
鋳造後に残存するフォームフィン」(Propellant Grain Designsのページ)
上記ア及びイの記載事項及び図示内容を総合すると、甲第3号証には、次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されている。
[甲3記載事項]
「ロケットモーターにおいて、燃料は、複数のスリットを含み、前記複数のスリットは、前傾した前縁部を伴って径方向外側に向かって延在すること。」
3.当審の判断
(1)特許法第36条第6項第2号について
ア 取消理由1における請求項1の「中央」について
上記取消理由1における訂正前の請求項1の「前端部及び後端部において中央に配置される孔を有する前記ケース」との記載は、訂正事項1による訂正で「前端部(102)及び後端部(103)において、前端部(102)及び後端部(103)それぞれの中央に配置される孔を有する前記ケース」と訂正された。
特許権者は、令和2年4月6日提出の意見書において、訂正事項1による訂正で「孔がケースの前端部(102)及び後端部(103)それぞれの中央に配置されているものであることが明確になった」(4ページ5行ないし6行)と主張している。
そして、特許権者の上記主張は、本件特許の段落【0021】ないし【0022】の記載事項及び図5aの図示内容により裏付けられているものである。
したがって、上記取消理由1における請求項1の「中央」が「ケースの前端部(102)及び後端部(103)それぞれの中央」であることが明瞭になったといえる。
イ 取消理由1における請求項1の「円形パターン」及び「縦方向」について
上記取消理由1における訂正前の請求項1の「円形パターンになっている複数の縦方向フィン状キャビティ」との記載は、訂正事項3による訂正で「放射状に配された複数の軸方向フィン状キャビティ」と訂正された。
特許権者は、令和2年4月6日提出の意見書において、訂正事項3による訂正で「前記軸方向貫通孔(105)の周りで放射状に配された複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)」と訂正したこと、及び、「当該訂正により、「複数のフィン状キャビティ」の配置状態及び延在状態が明確になった」(4ページ21行ないし22行)ことを主張している。
そして、特許権者の上記主張は、本件特許の段落【0023】及び【0027】の記載事項並びに図5a及び5bの図示内容により裏付けられているものである。
したがって、上記取消理由1における請求項1の「円形パターンになっている複数の縦方向フィン状キャビティ」との記載は、訂正事項3による訂正で「放射状に配された複数の軸方向フィン状キャビティ」と訂正されて、明瞭になったといえる。
ウ 取消理由1における請求項3の「正接する」について
上記取消理由1における訂正前の請求項3の「完全に、部分的に及び正接するようにのうち少なくとも1つの形で前記前進する方向のモーター軸と鋭角をなして構成される」との記載に関し、訂正事項5による訂正で「前記複数の軸方向キャビティの前縁部(107e)が、完全に(107e、107i)若しくは部分的に(107f、107g)前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなして構成されるか、または前記軸方向フィン状キャビティ(106h)の始点において、前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなす接線を有する円弧(107h)を含むように構成される」と訂正された。
特許権者は、令和2年4月6日提出の意見書において、「本件発明3は、図6ないし8に示された実施形態に対応している。当該訂正により、フィン状キャビティの前縁部が、完全に(107e、107i)前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなして構成される(図7に対応)、若しくはフィン状キャビティの前縁部が、部分的に(107f、107g)前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなして構成される(図6に対応)、またはフィン状キャビティの前縁部が、前記軸方向フィン状キャビティ(106h)の始点において、前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなす接線を有する円弧(107h)を含むように構成される(図8に対応)、のいずれかの形態であることが明確になった」(5ページ5行ないし13行)と主張している。
そして、特許権者の上記主張は、本件特許の段落【0028】ないし【0030】の記載事項及び図6ないし8の図示内容により裏付けられるものである。
したがって、上記取消理由1における請求項3の「正接する」との記載は、訂正事項5による訂正で「前記軸方向フィン状キャビティ(106h)の始点において、前記前進する方向のモーター軸(101a)と鋭角をなす接線を有する円弧(107h)を含むように構成される」と訂正され、明瞭な記載になったといえる。
エ 取消理由1における請求項5の「フィンの先端部に外接する最大の仮想円の直径」について
上記取消理由1における訂正前の請求項5の「フィンの先端部に外接する最大の仮想円の直径」との記載に関し、訂正事項7による訂正で「垂直断面視における前記軸方向フィン状キャビティ(106e)の先端部に外接する最大仮想円の直径」と訂正された。
特許権者は、令和2年4月6日提出の意見書において、「本件発明5は、モーター軸101aに対して直交した垂直断面視における、フィン状キャビティの先端弦の径方向最外側位置を特定したものである。したがって、当該訂正により、フィン状キャビティの先端弦の径方向最外側位置が明確になった」(5ページ25行ないし28行)と主張している。
そして、特許権者の上記主張は、本件特許の段落【0025】及び【0032】の記載事項並びに図5b及び10の図示内容により裏付けられるものである。
したがって、上記取消理由1における請求項5の「フィンの先端部に外接する最大仮想円」との記載は、訂正事項7による訂正で「垂直断面視における前記軸方向フィン状キャビティ(106e)の先端部に外接する最大仮想円」と訂正され、明瞭な記載になったといえる。
オ 取消理由1における請求項8の「フィンの径方向側部に内接する最大円の直径」について
取消理由1の対象となった請求項8は、訂正事項10による訂正で削除されたため、請求項8に対する上記取消理由1は解消した。
よって、本件訂正発明1ないし9は明確であるから、特許法第36条第6項第2号の取消理由は解消した。
(2)特許法第29条第2項について
ア 本件訂正発明1について
本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「ロケットモーター11」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件訂正発明1の「ロケットモーター」に相当し、以下同様に、「チャンバ前壁45」は「前端部」に、「チャンバ後壁71」は「後端部」に、「前進する方向の中心軸CL」は「前進する方向のモーター軸」に、「推進薬中央孔17」は「軸方向貫通孔」に、それぞれ相当する。
甲1発明の「チャンバ13」は本件訂正発明1の「ケース」に相当し、甲1発明において「チャンバ13」が「内側に絶縁体14を備え」ることは本件訂正発明1において「ケース」の「内側が絶縁処理されている」ことに相当する。また、甲1発明において「チャンバ13」が「チャンバ前壁45及びチャンバ後壁71において、チャンバ前壁45及びチャンバ後壁71それぞれの中心軸CL周りの孔を有する」ことは本件訂正発明1において「ケース」が「前端部及び後端部において、前端部及び後端部それぞれの中央に配置される孔を有する」ことに相当する。
甲1発明の「推進薬グレイン15」は本件訂正発明1の「固体推進薬グレイン」に相当し、甲1発明の「チャンバ13内に含まれる推進薬グレイン15」は本件訂正発明1の「ケース内に充填される固体推進薬グレイン」に相当する。
甲1発明の「メジャーフィンスロット57及びマイナーフィンスロット59」は本件訂正発明1の「軸方向フィン状キャビティ」に相当し、甲1発明における「推進薬中央孔17から径方向外側に向かって対称パターンを有して延在する複数のメジャーフィンスロット57及びマイナーフィンスロット59」は本件訂正発明1における「軸方向貫通孔の周りで放射状に配された複数の軸方向フィン状キャビティ」に相当する。
甲1発明の「複数のメジャーフィンスロット57及びマイナーフィンスロット59は、前縁部及び前傾した後縁部を伴って径方向外側に向かって延在する、」と本件訂正発明1の「複数の軸方向フィン状キャビティは、前傾した前縁部及び後縁部を伴って径方向外側に延びており、」とは、「複数の軸方向フィン状キャビティは、前縁部及び前傾した後縁部を伴って径方向外側に延びて」いる、という限りで一致する。
そうすると、本件訂正発明1と甲1発明との一致点、相違点は、以下のとおりである。
〔一致点〕
「ロケットモーターであって、
内側が絶縁処理されている、ドーム状端部を有する円筒のケースであって、前端部及び後端部において、前端部及び後端部それぞれの中央に配置される孔を有する前記ケースと、
前記ケース内に充填される固体推進薬グレインと、
を含み、
前記固体推進薬グレインは、
該ロケットモーターの前進する方向のモーター軸に沿って前端部から後端部まで延びる軸方向貫通孔と、
前記軸方向貫通孔の周りで放射状に配された複数の軸方向フィン状キャビティと、
を含み、
前記複数の軸方向フィン状キャビティは、前縁部及び前傾した後縁部を伴って径方向外側に延びている、ロケットモーター。」
〔相違点〕
複数の軸方向フィン状キャビティについて、本件訂正発明1は「前傾した前縁部及び後縁部」を伴って径方向外側に延びており、かつ、「前記前縁部が前記前進する方向のモーター軸となす鋭角の角度寸法が、前記後縁部が前記前進する方向のモーター軸となす角度寸法よりも大きいように配置される」のに対して、甲1発明においては、かかる構成を備えていない点。
上記相違点について検討する。
上記甲2記載事項は、「ロケットモーターにおいて、燃料は、軸方向に延びる孔から径方向外側に向かって延在する複数のスリットを含み、前記複数のスリットは、前傾した前縁部を伴って径方向外側に向かって延在すること。」というものであり、上記甲3記載事項は、「ロケットモーターにおいて、燃料は、複数のスリットを含み、前記複数のスリットは、前傾した前縁部を伴って径方向外側に向かって延在すること。」というものである。
本件訂正発明1と甲2記載事項及び甲3記載事項とを対比すると、甲2記載事項の「ロケットモーター」及び甲3記載事項の「ロケットモーター」はともに、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件訂正発明1の「ロケットモーター」に相当し、以下同様に、甲2記載事項の「燃料」及び甲3記載事項の「燃料」は本件訂正発明1の「固体推進薬グレイン」に、甲2記載事項の「複数のスリット」及び甲3記載事項の「複数のスリット」は本件訂正発明1の「複数の軸方向フィン状キャビティ」に、それぞれ相当する。
したがって、甲2記載事項及び甲3記載事項は、ともに、本件訂正発明1の用語で整理すると、「ロケットモーターにおいて、固体推進薬グレインは、複数の軸方向フィン状キャビティを含み、前記複数の軸方向フィン状キャビティは、前傾した前縁部を伴って径方向外側に向かって延在すること。」といえる。
しかしながら、甲2記載事項及び甲3記載事項がいずれも「前記複数の軸方向フィン状キャビティは、前傾した前縁部を伴って径方向外側に向かって延在すること。」を備えていたとしても、本件訂正発明1は、複数の軸方向フィン状キャビティについて、「前傾した前縁部及び後縁部」を伴って径方向外側に延びており、かつ、「前記前縁部が前記前進する方向のモーター軸となす鋭角の角度寸法が、前記後縁部が前記前進する方向のモーター軸となす角度寸法よりも大きいように配置される」ことを備えるものであり、上記相違点に係る本件訂正発明1の発明特定事項は、いずれの文献にも記載されていない。
また、令和元年12月23日付け取消理由通知書の3.(9)で示したように、本願の優先日前において、「ロケットモーターにおける固体推進薬の内部孔を形成する中子や心棒に、引き抜き性を考慮して勾配を付すこと」は、例えば甲第8号証(特開2013-40588号公報)の段落【0008】及び甲第9号証(G. Sutton and O. Biblarz「Rocket Propulsion Elements」Seven Edition 2001)の第514ページ1ないし10行に記載されるように周知技術(以下、「周知技術」という。)であったとしても、複数の軸方向フィン状キャビティについて、「前傾した前縁部及び後縁部」を伴って径方向外側に延びており、かつ、「前記前縁部が前記前進する方向のモーター軸となす鋭角の角度寸法が、前記後縁部が前記前進する方向のモーター軸となす角度寸法よりも大きいように配置される」ことまでは当業者にとって周知技術であったというべき証拠は無く、また、当業者が適宜決定し得た設計的な事項であるともいえない。
そして、本件訂正発明1は、当該発明特定事項を備えることにより、本件特許明細書の段落【0034】及び【0035】に記載されるように、異なる性能要求に応えるための、燃焼表面積後退プロファイルの調整の柔軟性をもたらすとともに、小型ロケットモーターを実施可能にするような高い推進薬の体積充填密度が可能になるという、顕著な作用効果を得られるものである。
したがって、本件訂正発明1は、甲1発明、甲2記載事項及び周知技術に基いて、又は、甲1発明、甲3記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
以上のとおりであるから、本件訂正後の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113条第2号に該当するものではない。
イ 本件訂正発明2ないし5、7及び9について
本件訂正発明2ないし5、7及び9は、本件訂正発明1の発明特定事項の全てを発明特定事項とし、さらに技術的な限定を加える事項を発明特定事項とする発明であるから、上記アで検討した理由と同様の理由により、甲1発明、甲2記載事項及び周知技術に基いて、又は、甲1発明、甲3記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)異議申立人の意見について
異議申立人は、令和2年8月5日の意見書において、取消理由2(進歩性)に関して概略次の内容を主張している。
「(ニ)(中略)
特許権者の反論の要点は、「前進する方向のモーター軸に対する前縁部の傾斜角度を後縁部の傾斜角度よりも大きくする構成は、「小型ロケットモーターの推進薬の高い体積充填密度を可能にする」という課題を解決するための構成であり、単に型の引き抜き性を良好にすることのみを考慮した構成でない。」という点にあると把握されます。しかしながら、本件特許明細書には、「前進する方向のモーター軸に対する前縁部の傾斜角度を後縁部の傾斜角度よりも大きくすること」が、どのようにして「推進薬の高い体積充填密度を可能にすること」に繋がるのかについて、何ら説明されておりません。特許権者自身も、このことについて何ら具体的に説明しておりません。
(ホ)
本件特許明細書には、「前進する方向のモーター軸に対する前縁部の傾斜角度を後縁部の傾斜角度よりも大きくすること」について、段落[0025]において、その構成だけを簡単に記載しているだけであり、その構成により奏される作用効果については何ら記載されておりません。本件明細書の段落[0019]に、『本開示は、ロケットモーターにおける推進薬グレイン形状に関する。1つの実施形態において、ケースボンディングされる(case-bonded)同軸一体型の固体ロケット推進薬グレインは、軸方向の円錐キャビティ及び/又は円筒キャビティの周りで円形パターンになっている、複数の前傾した深溝の縦方向フィン状キャビティを有する。これにより、推進プロファイル調整のかなりの柔軟性及び高い体積充填密度がもたらされる。』(下線付加)と記載されていることに鑑みれば、本件発明における「推進薬の高い体積充填密度を可能にする」との作用効果は、「軸方向の円錐キャビティ及び/又は円筒キャビティの周りで円形パターンになっている、複数の前傾した深溝の縦方向フィン状キャビティを有する」という構成によって奏されるものと把握されます。本件明細書には、「前進する方向のモーター軸に対する前縁部の傾斜角度を後縁部の傾斜角度よりも大きくすること」で上述した作用効果を超えて、推進プロファイル調整のかなりの柔軟性及びよりいっそうの高い体積充填密度を可能にすることについて、何ら開示も示唆もされておりません。
(ヘ)
仮に、本件特許の図5aにおいて、「前縁部(107)が前進する方向のモーター軸(101a)となす鋭角の角度寸法(108b)が、後縁部(112)が前進する方向のモーター軸(101a)となす角度寸法(115)よりも小さいように配置(108b<115)」(下線付加)されている場合には、型抜きが出来ないので、通常の方法では推進薬を製作することが出来ません。したがって、「前縁部(107)が前進する方向のモーター軸(101a)となす鋭角の角度寸法(108b)が、後縁部(112)が前進する方向のモーター軸(101a)となす角度寸法(115)よりも大きいように配置(108b>115)」(下線付加)することは、型の引き抜き性の向上など考えずとも、当業者であれば当然に採用する形状であることは自明と考えます。
(ト)
以上より、訂正後の本件発明1における特徴事項(『前記複数の軸方向フィン状キャビティ(106e)は、前記前縁部(107)が前記前進する方向のモーター軸(101a)となす鋭角の角度寸法(108b)が、前記後縁部(112)が前記前進する方向のモーター軸(101a)となす角度寸法(115)よりも大きいように配置される』)は、甲第8号証、甲第9号証に開示されている周知技術より当業者が容易に想到し得たものに過ぎません。したがって、訂正後の本件発明1は、甲1発明、甲2記載事項及び周知技術、又は、甲1発明、甲3記載事項及び周知技術から当業者が容易に想到し得た発明であり、取り消されるべきものです。」(異議申立人の意見書3ページ18行ないし5ページ10行)
しかしながら、上記アで述べたように、本願の優先日前において、「ロケットモーターにおける固体推進薬の内部孔を形成する中子や心棒に、引き抜き性を考慮して勾配を付すこと」が周知技術(甲第8号証の段落【0008】及び甲第9号証の第514ページ1ないし10行参照。)であったとしても、甲第8号証及び甲第9号証の開示内容からは、複数の軸方向フィン状キャビティについて、「前傾した前縁部及び後縁部」を伴って径方向外側に延びており、かつ、「前記前縁部が前記前進する方向のモーター軸となす鋭角の角度寸法が、前記後縁部が前記前進する方向のモーター軸となす角度寸法よりも大きいように配置される」ことまで当業者にとって周知技術であるとはいえないし、ほかに周知技術であったというべき証拠も無く、また、当業者が適宜決定し得た設計的な事項であるともいえない。そして、本件訂正発明1は、甲1発明、甲2記載事項及び周知技術に基いて、又は、甲1発明、甲3記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由について
異議申立人は、特許異議申立書において、本件発明1ないし9は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし3、8ないし9号証に記載された事項に加え、特許異議申立書に添付された、甲第4号証(木村逸郎,「ロケット工学」(養賢堂発行), 488ページないし489ページ)、甲第5号証(Alain Davenas,「SOLID ROCKET PROPULSION TECHNOLOGY」(PERGAMON PRESS発行), 40ページ)、甲第6号証(GORAN MARJANOVIC外2名,「PROGRAM “SVOD” FOR SOLID PROPELLANT GRAIN DESIGN」5th INTERNATIONAL SCIENTIFIC CONFERENCE ON DEFENSIVE TECHNOLOGIES OTEH 2012にて頒布,1ないし2ページ)、甲第7号証(Eric Allcorn外4名,「Development of an experimental Apparatus for Ablative Nanocomposites Testing」AIAA/ASME/SAE/ASEE Joint Propulsion Conference & Exhibitにて頒布, 2ページ)の各々に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張する。
しかしながら、上記甲第4号証ないし甲第7号証には、上記「第4 3(2)ア」で示した相違点に係る事項について記載も示唆もされていない。
したがって、上記主張を採用することはできない。
第6 むすび
上記第4及び第5のとおりであるから、令和元年12月23日付け取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正後の請求項1ないし5、7及び9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項1ないし5、7及び9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件特許の請求項6及び8は、本件訂正請求が認められることにより削除されたため、本件特許の請求項6及び8に係る特許に対して異議申立人がした特許異議の申立てについては、その対象となる請求項が存在しない。よって、本件特許の請求項6及び8についての特許異議の申立ては、不適法であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。
したがって、結論のとおり決定する。
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2019-700885