特許異議申立
2019-700068
インホイールモータ駆動装置のケーシング構造
- 審判番号
- 2019-700068
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-215965
- 登録番号
- 特許第6374758号(P6374758)
- 請求日
- 2019年01月31日
- 審決日
- 2019年04月23日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】NTN株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人アイミー国際特許事務所
- 【異議申立人】トヨタ自動車 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 氏原 康宏
- 審判官 島田 信一
- 審判官 一ノ瀬 覚
- 分類
- P1652.113-Y (B60K) / P1652.121-Y (B60K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6374758号発明「インホイールモータ駆動装置のケーシング構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6374758号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
特許第6374758号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成26年10月23日の出願であって、平成30年7月27日に特許権の設定登録がされ、同年8月15日に特許掲載公報が発行されその後、その請求項1~5に係る特許に対し、平成31年1月28日に、特許異議申立人トヨタ自動車株式会社(以下「申立人」という。)より特許異議の申立てがされたものである。
第2.本件発明
特許第6374758号の請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1~5」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
モータ部および前記モータ部に駆動される車輪ハブ軸受部を備えるインホイールモータ駆動装置において、
前記インホイールモータ駆動装置の外郭をなすケーシングが、複数のボルト座部を有する第1ケーシングと、複数の雌ねじ孔を有する第2ケーシングと、前記複数のボルト座部にそれぞれ形成された貫通孔に通されつつ前記雌ねじ孔のそれぞれに螺合することにより前記第1ケーシングを前記第2ケーシングに接続固定する複数のボルトとを含み、
前記貫通孔の一端開口が形成されて前記ボルトの頭部から押し付け力を受けるボルト座面が前記第1ケーシングの表面から突出して形成され、
前記第1ケーシングの表面には、一つの前記ボルト座部から他の前記ボルト座部まで延びるリブが形成されることを特徴とする、インホイールモータ駆動装置のケーシング構造。
【請求項2】
前記第1ケーシングの表面から突出する前記リブの突出縁が、前記リブと接続する一方の前記ボルト座部の前記ボルト座面から他方の前記ボルト座部の前記ボルト座面まで直線状に延びる、請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置のケーシング構造。
【請求項3】
前記ボルト座部および前記雌ねじ孔は、円筒形状に形成された前記ケーシングの周方向に間隔を空けて配置される、請求項1または2に記載のインホイールモータ駆動装置のケーシング構造。
【請求項4】
前記雌ねじ孔および前記ボルト座部の前記貫通孔は、円筒形状に形成された前記ケーシングの軸方向と平行に延び、
前記リブは前記第1ケーシングの表面から前記軸方向に突出する、請求項3に記載のインホイールモータ駆動装置のケーシング構造。
【請求項5】
前記第2ケーシングは円筒形状であり、前記第1ケーシングは円板形状であり、前記リブは周方向に配置される前記複数のボルト座部を順次結ぶように周方向に連続して配置される、請求項3または4に記載のインホイールモータ駆動装置のケーシング構造。」
第3.申立理由の概要
申立人は、証拠として、次の甲第1号証を提出し、以下の申立理由1、2により、本件発明1~5に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
甲第1号証:特開2009-226973号公報
1.申立理由1(特許法第29条第1項第3号)
本件発明1、3~5は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。したがって、本件発明1、3~5に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
2.申立理由2(特許法第29条第2項)
本件発明2は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本件発明2に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
第4.甲第1号証の記載事項等
1.甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、モータを車輪に内蔵したインホイールモータシステムに関し、特に、冷却装置を備えたインホイールモータシステムに関する。」
「【0017】
本発明の実施形態に係るインホイールモータシステムでは、冷媒を蓄積するタンク部(図2の20a)を有するナックル(図2の20)と、車輪が取付固定されるとともに、前記ナックル(図2の20)に回転可能に支持されたハブ(図2の10)と、前記ナックル(図2の20)に取付固定されるハウジング(図2の60~64)と、前記ハウジング(図2の60~64)に内蔵されるとともに、前記ハブ(図2の10)を回転させるモータ(図2の30)と、前記ハウジング(図2の60~64)に内蔵されるとともに、前記モータ(図2の30)の回転動力によって冷媒を圧送するポンプ(図2の50)と、前記タンク部(図2の20a)内の冷媒を前記ポンプ(図2の50)に送るための第1の配管(図2の23)と、前記ポンプ(図2の50)から圧送された冷媒を、前記ハウジング(図2の60~64)内の前記モータ(図2の30)の各構成部品に送る第1の流路(図2の45c、45a、35a)と、前記ハウジング(図2の60~64)内の冷媒を前記タンク部(図2の50)に送るための第2の配管(図2の24)と、を備える。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1に係るインホイールモータシステムについて図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1に係るインホイールモータシステムをサスペンション装置に取り付けた状態の構成を模式的に示した斜視図(インホイールモータシステムのみ断面図)である。図2は、本発明の実施例1に係るインホイールモータシステムの構成を模式的に示した断面図である。図3は、本発明の実施例1に係るインホイールモータシステムの構成を模式的に示した斜視図(タンク用蓋体を省略)である。図4は、本発明の実施例1に係るインホイールモータシステムの構成を模式的に示した正面図(車体側から見た正面図)である。図5は、本発明の実施例1に係るインホイールモータシステムにおけるナックルの構成を模式的に示した正面図(車体側から見た正面図;タンク用蓋体を省略)である。図6は、本発明の実施例1に係るインホイールモータシステムにおけるナックルの構成を模式的に示した図5のX-X´間の断面図(タンク用蓋体を省略)である。
【0019】
図1を参照すると、インホイールモータシステムは、モータ20を車輪(図示せず)に内蔵したシステムである。インホイールモータシステムでは、車輪(図示せず)やブレーキ装置(図示せず)が固定されるハブ10がベアリング11を介してナックル20に回転可能に支持されており、モータ30、減速機40、及びポンプ50を内蔵するハウジング60、61、62、63、64の組立体がナックル20に固定され、モータ30からの回転動力が減速機40を介して出力される出力軸45とハブ10とが連結されている。インホイールモータシステムは、ショックを吸収するサスペンション装置70に上下揺動可能に連結されており、詳しくは、ナックル20の上端部がアッパーアーム72に上下揺動可能に連結されており、ナックル20の下端部がロアアーム73に上下揺動可能に連結されており、ナックル20がロアアーム73を介してショックアブソーバ71によって図の下側(路面側)に付勢されている。」
「【0029】
ハウジング60、61、62、63、64は、モータ30、減速機40、及びポンプ50を内蔵するためのケース部材であり、ナックル20の車体側(矢印B側)の部分に取付固定されている(図1~図4参照)。ハウジング60は、主にモータ30のタイヤ側(矢印A側)の部分を塞ぐ部材であり、ボルト66aによってナックル20に取付固定されており、ボルト66bによってハウジング61に取付固定されている。ハウジング60は、ベアリング37aを介して出力軸45を回転可能に支持し、ベアリング37bを介して出力軸35を回転可能に支持する。ハウジング61は、主にモータ30の外周を覆う部材であり、ボルト66bによってハウジング60が取付固定されており、ボルト66cによってハウジング62が取付固定されている。ハウジング61は、内周にてモータ30のステータ31を固定する。ハウジング61は、ハウジング60、61、62、63、64の組立体内のオイル(冷媒)を、配管24を通じてオイルタンク部20aに向けて流出させるための流出口61aを有する。ハウジング62は、主に減速機40の外周を覆う部材であり、ボルト66cによってハウジング61に取付固定されており、ボルト66dによってハウジング63に取付固定されている。ハウジング62は、ベアリング37dを介してキャリア44を回転可能に支持し、内周にてリングギヤ43と相対回転不能にスプライン係合している。ハウジング63は、主に減速機40の車体側(矢印B側)の部分を塞ぐ部材であり、ボルト66dによってハウジング62に取付固定されており、ボルト66eによってハウジング64に取付固定されている。ハウジング63は、ベアリング37eを介してキャリア44を回転可能に支持する。ハウジング63は、配管23からのオイル(冷媒)を、ハウジング60、61、62、63、64の組立体内に向けて流入させるための流入口63aを有する。ハウジング64は、主にポンプ50を覆う部材であり、ボルト66eによってハウジング63に取付固定されている。」
また、甲第1号証には、以下の【図2】及び【図3】が示されている。
2.甲第1号証の認定事項
甲第1号証には、インホイールモータシステムのハウジング構造が記載されているところ、上記1.の記載事項から次の事項が認定できる。
ア.段落【0017】及び段落【0019】の記載内容(下線部を参照。)から、車輪が取付固定されるとともに、ナックル20にベアリング11を介して回転可能に支持されたハブ10と、前記ナックル20に取付固定されるハウジング60~64と、前記ハウジング60~64に内蔵されるとともに、前記ハブ10を回転させるモータ30と、を備えるインホイールモータシステムであること。
イ.段落【0029】の記載内容(下線部を参照。)から、ハウジング60~64は、モータ30、減速機40、及びポンプ50を内蔵するためのケース部材であり、ハウジング62は、ボルト66dによってハウジング63に取付固定されており、ハウジング64は、ボルト66eによって前記ハウジング63に取付固定されているところ、【図2】及び【図3】をも参酌すると、インホイールモータシステムのハウジング構造は、ハウジング60~64を含むものであって、9個のボルト座部を有するハウジング63と、9個の雌ねじ孔を有するハウジング62と、前記9個のボルト座部にそれぞれ形成された貫通孔に通されつつ前記雌ねじ孔のそれぞれに螺合することにより前記ハウジング63を前記ハウジング62に接続固定する9個のボルト66dとを含むこと。
ウ.甲第1号証の【図2】及び【図3】における、ハウジング62がボルト66dによってハウジング63に取付固定されている部分を要部として、【図2】及び【図3】を左右に並べたものを参考図として以下に示す。なお、参考図は【図2】及び【図3】に基づいて当審が作成したものであり、「ハウジング表面」、「円環状の斜面」、「ボルト66dの座面」、「円環状の平坦部」及び「凹部」との名称を付けるとともに、【図2】及び【図3】における同じ部位を引出線で結んで示したものである。
上記参考図は、実施例1をそれぞれ示した【図2】及び【図3】を並べて配置したものである。かかる参考図から、ハウジング63の車体側表面には、ハウジング64の当接面より径方向外側に延びる円形状のハウジング表面と、前記ハウジング表面の径方向外側にタイヤ側に傾く円環状の斜面を介して周方向に並べられた9個のボルト66dの座面と、各座面間に周方向に延びる円環状の平坦部と、該円環状の平坦部の径方向外側に各ボルト66dの座面間に設けられた凹部が形成されていること。
3.甲第1号証に記載された発明
上記1.の記載事項及び上記2.の認定事項によれば、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「車輪が取付固定されるとともに、ナックル20にベアリング11を介して回転可能に支持されたハブ10と、前記ナックル20に取付固定されるハウジング60~64と、前記ハウジング60~64に内蔵されるとともに、前記ハブ10を回転させるモータ30と、を備えるインホイールモータシステムにおいて、
前記インホイールモータシステムのハウジング構造は、前記ハウジング60~64を含むものであって、9個のボルト座部を有するハウジング63と、9個の雌ねじ孔を有するハウジング62と、前記9個のボルト座部にそれぞれ形成された貫通孔に通されつつ前記雌ねじ孔のそれぞれに螺合することにより前記ハウジング63を前記ハウジング62に接続固定する9個のボルト66dとを含み、
前記ハウジング63の車体側表面には、前記ハウジング64の当接面より径方向外側に延びる円形状のハウジング表面と、前記ハウジング表面の径方向外側にタイヤ側に傾く円環状の斜面を介して周方向に並べられた9個の前記ボルト66dの座面と、各座面間に周方向に延びる円環状の平坦部と、該円環状の平坦部の径方向外側に各ボルト66dの座面間に設けられた凹部が形成されている、インホイールモータシステムのハウジング構造。」
第5.当審の判断
1.申立理由1について
1-1.本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア.甲第1号証の【図2】から、「ハウジング61」は「モータ30」を囲むハウジングといえるから、後者の「ハウジング61」及び「モータ30」を併せたものは、前者の「モータ部」に相当し、後者の「ハブ10」は「モータ30」に駆動されることは明らかであるから、後者の「車輪が取付固定されるとともに、ナックル20にベアリング11を介して回転可能に支持されたハブ10」の構成は、前者の「前記モータ部に駆動される車輪ハブ軸受部」の構成に相当し、後者の「インホイールモータシステム」は前者の「インホイールモータ駆動装置」に相当する。
そうすると、後者の「車輪が取付固定されるとともに、ナックル20にベアリング11を介して回転可能に支持されたハブ10と、前記ナックル20に取付固定されるハウジング60~64と、前記ハウジング60~64に内蔵されるとともに、前記ハブ10を回転させるモータ30と、を備えるインホイールモータシステム」は、前者の「モータ部および前記モータ部に駆動される車輪ハブ軸受部を備えるインホイールモータ駆動装置」に相当する。
イ.後者の「前記インホイールモータシステムのハウジング構造」は「ハウジング60~64を含むものであ」るから、前者の「前記インホイールモータ駆動装置の外郭をなすケーシング」に相当する。後者の「9個のボルト座部」は、前者の「複数のボルト座部」に相当し、後者の「9個のボルト座部を有するハウジング63」は、前者の「複数のボルト座部を有する第1ケーシング」に相当する。また、後者の「前記9個のボルト座部にそれぞれ形成された貫通孔に通されつつ前記雌ねじ孔のそれぞれに螺合することにより前記ハウジング63を前記ハウジング62に接続固定する9個のボルト66d」は、前者の「前記複数のボルト座部にそれぞれ形成された貫通孔に通されつつ前記雌ねじ孔のそれぞれに螺合することにより前記第1ケーシングを前記第2ケーシングに接続固定する複数のボルト」に相当する。
そうすると、後者の「前記インホイールモータシステムのハウジング構造は、9個のボルト座部を有するハウジング63と、9個の雌ねじ孔を有するハウジング62と、前記9個のボルト座部にそれぞれ形成された貫通孔に通されつつ前記雌ねじ孔のそれぞれに螺合することにより前記ハウジング63を前記ハウジング62に接続固定する9個のボルト66dとを含み」との構成は、前者の「前記インホイールモータ駆動装置の外郭をなすケーシングが、複数のボルト座部を有する第1ケーシングと、複数の雌ねじ孔を有する第2ケーシングと、前記複数のボルト座部にそれぞれ形成された貫通孔に通されつつ前記雌ねじ孔のそれぞれに螺合することにより前記第1ケーシングを前記第2ケーシングに接続固定する複数のボルトとを含み」との構成に相当する。
以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、
「モータ部および前記モータ部に駆動される車輪ハブ軸受部を備えるインホイールモータ駆動装置において、
前記インホイールモータ駆動装置の外郭をなすケーシングが、複数のボルト座部を有する第1ケーシングと、複数の雌ねじ孔を有する第2ケーシングと、前記複数のボルト座部にそれぞれ形成された貫通孔に通されつつ前記雌ねじ孔のそれぞれに螺合することにより前記第1ケーシングを前記第2ケーシングに接続固定する複数のボルトとを含む、インホイールモータ駆動装置のケーシング構造。」の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点>
本件発明1は、「前記貫通孔の一端開口が形成されて前記ボルトの頭部から押し付け力を受けるボルト座面が前記第1ケーシングの表面から突出して形成され、前記第1ケーシングの表面には、一つの前記ボルト座部から他の前記ボルト座部まで延びるリブが形成される」のに対し、
甲1発明は、「前記ハウジング63の車体側表面には、前記ハウジング64の当接面より径方向外側に延びる円形状のハウジング表面と、前記ハウジング表面の径方向外側にタイヤ側に傾く円環状の斜面を介して周方向に並べられた9個の前記ボルト66dの座面と、各座面間に周方向に延びる円環状の平坦部と、該円環状の平坦部の径方向外側に各ボルト66dの座面間に設けられた凹部が形成されている」点。
(2)判断
本件発明1の「ボルト座面」に相当する甲1発明の「ボルト66dの座面」は、「前記ハウジング表面の径方向外側には、タイヤ側に傾く円環状の斜面を介して周方向に並べられた」ものであるから、本件発明1の「第1ケーシングの表面」に相当する「ハウジング表面」よりも出力軸45の軸線方向においてタイヤ側に配置されているものであり、「ハウジング表面」から突出して、つまり出力軸45の軸線方向において車体側に突出して形成されているものではない。また、甲1発明の「各座面間に周方向に延びる円環状の平坦部」は、一つのボルト66dの座部から他のボルト66d座部まで延びる平坦部であり、ハウジング表面に形成されるリブといえるものではないから、本件発明1の「第1ケーシングの表面に形成されるリブ」に相当するものではない。
ここで、申立人は、上記相違点に関し、甲第1号証の図1ないし図4から、「貫通孔の一端開口が形成されてボルト66の頭部から押し付け力を受けるボルト座面がハウジング63の表面から突出して形成」、「ハウジング63の表面には、一つの前記ボルト座部から他の前記ボルト座部まで延びるリブが形成」する点が看取できる旨主張し(特許異議申立書7頁1~18行)、上記主張では、【図3】で示されている「ボルト66dの座面」及び「円環状の平坦部」を、本件発明1の「前記第1ケーシングの表面から突出して形成され」た「ボルト座面」及び「リブ」に相当すると述べているようだが、同じ実施例1である【図2】に示された断面図をも参酌すると、「ボルト66dの座面」及び「円環状の平坦部」は、甲1発明で認定したとおりであり、本件発明1の「前記第1ケーシングの表面から突出して形成され」た「ボルト座面」及び「リブ」とは構成が異なるものである。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
以上のとおり、本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は、上記相違点で相違することが明らかであるから、本件発明1は、甲1発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当しない。
1-2.本件発明3~5について
本件発明3~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに減縮したものである。
そして、上記「1-1.(2)」で述べたとおり、本件発明1は、甲1発明であるとはいえないことから、本件発明3~5も、本件発明1と同様に甲1発明でないことは明らかである。
2.申立理由2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに減縮したものである。
そして、上記「1.1-1.(1)」で述べたとおり、本件発明2と甲1発明とは、少なくと上記相違点で相違している。
ここで、上記相違点について検討すると、上記「1.1-1.(2)」で述べたとおり、上記相違点に係る本件発明2の構成は甲第1号証には記載されていないし、設計的事項の範疇といえるだけの証拠も提出されていない。
したがって、上記相違点に係る本件発明2の構成は容易想到とはいえないものであるから、本件発明2は甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2019-700068