特許訂正審判
2019-390013
構造に基づくプローブ切断による核酸標的の同定
- 審判番号
- 2019-390013
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-562139
- 登録番号
- 特許第6430972号(P6430972)
- 請求日
- 2019年01月31日
- 審決日
- 2019年03月18日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】渡辺 陽一
- 【請求人代理人】中島 勝
- 【請求人代理人】武居 良太郎
- 【請求人代理人】中村 和美
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 啓子
- 審判官 小暮 道明
- 審判官 澤田 浩平
- 分類
- P141 .841-Y (C12Q) / P141 .852-Y (C12Q) / P141 .854-Y (C12Q) / P141 .855-Y (C12Q) / P141 .856-Y (C12Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6430972号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6430972号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項16について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6430972号は、平成26年3月13日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 2013年3月15日 米国)として出願され、その請求項1~16に係る発明について平成30年11月9日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、平成31年1月31日に本件の訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件審判の請求の趣旨は、特許第6430972号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項16について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、下記訂正事項1のとおりである。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項16に、
「請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において使用するための、少なくとも2つの異なる部分である第1の部分及び第2の部分を含む、オリゴヌクレオチドプローブを含む組成物であって、
前記第1の部分は、前記第1の部分が標的核酸の領域と結合できるように、前記標的核酸配列の領域と少なくとも部分的に相補的な配列を含むヌクレオチド類似体を有する、又は有しない標準的ヌクレオチドを含み、そして前記第1の部分は、一本鎖特異的5’→3’エキソヌクレアーゼによる切断に対して前記第1の部分を耐性とする修飾を5’末端に含み、
前記第2の部分は前記第1の部分の3’末端に結合され、ヌクレオチド及び非ヌクレオチドのいずれか一方、又はヌクレオチド及び非ヌクレオチドの両方を含み、標的核酸配列に相補的ではない配列を含み、そして前記第2の部分は、一本鎖特異的5’→3’エキソヌクレアーゼによる切断に対して前記第2の部分を耐性とする修飾を含む、
前記組成物。」
とあるのを、
「請求項8~14のいずれか1項に記載の方法において使用するための、少なくとも2つの異なる部分である第1の部分及び第2の部分を含む、オリゴヌクレオチドプローブを含む組成物であって、
前記第1の部分は、前記第1の部分が標的核酸の領域と結合できるように、前記標的核酸配列の領域と少なくとも部分的に相補的な配列を含むヌクレオチド類似体を有する、又は有しない標準的ヌクレオチドを含み、そして前記第1の部分は、一本鎖特異的5’→3’エキソヌクレアーゼによる切断に対して前記第1の部分を耐性とする修飾を5’末端に含み、
前記第2の部分は前記第1の部分の3’末端に結合され、ヌクレオチド及び非ヌクレオチドのいずれか一方、又はヌクレオチド及び非ヌクレオチドの両方を含み、標的核酸配列に相補的ではない配列を含み、そして前記第2の部分は、一本鎖特異的5’→3’エキソヌクレアーゼによる切断に対して前記第2の部分を耐性とする修飾を含む、
前記組成物。」
に訂正する(以下「本件訂正」という。)。
第3 当審の判断
1 訂正の目的について
本件特許の明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1~16に係る発明は、概略、以下の(1)~(4)に分類することができる(以下、各分類を「分類(1)」~「分類(4)」と記す。また、下線は当審による(以下同様)。)。
(1)請求項1~7
「標的核酸を含む試料」を、「一対のオリゴヌクレオチドプライマー」及び「オリゴヌクレオチドプローブ」と接触させる工程を含む「試料中の標的核酸配列の存在又は非存在を検出する方法」であって、前記オリゴヌクレオチドプローブが、「第1の部分及び第2の部分を含」み、「前記第1の部分は、3’末端でブロックされて、核酸ポリメラーゼによる伸長を妨害し、3’→5’エキソヌクレアーゼによる切断を阻止し」、「第1の部分の5’末端に結合される前記第2の部分」は「エキソヌクレアーゼ耐性修飾を含む」、「オリゴヌクレオチドプローブ」である、方法。
(2)請求項8~14
「標的核酸を含む試料」を、「一対のオリゴヌクレオチドプライマー」及び「オリゴヌクレオチドプローブ」と接触させる工程を含む「試料中の標的核酸配列の存在又は非存在を検出する方法」であって、前記オリゴヌクレオチドプローブが、「第1の部分及び第2の部分を含」み、「前記第1の部分は、一本鎖特異的5’→3’エキソヌクレアーゼによる切断に対して前記第1の部分を耐性とする修飾を5’末端に含み」、「第1の部分の3’末端に結合される前記第2の部分」は「一本鎖特異的5’→3’エキソヌクレアーゼによる切断に対して前記第2の部分を耐性とする修飾を含む」、「オリゴヌクレオチドプローブ」である、方法。
(3)請求項15
「請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において使用するための、・・・第1の部分及び第2の部分を含む、オリゴヌクレオチドプローブを含む組成物であって」、「前記第1の部分は、3’末端でブロックされて、核酸ポリメラーゼによる伸長を妨害し、3’→5’エキソヌクレアーゼによる切断を阻止し」、「前記第2の部分は前記第1の部分の5’末端に結合され」、「第2の部分は、・・・エキソヌクレアーゼ耐性修飾を含む」組成物。
(4)請求項16
「請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において使用するための、・・・第1の部分及び第2の部分を含む、オリゴヌクレオチドプローブを含む組成物であって」、「前記第1の部分は、一本鎖特異的5’→3’エキソヌクレアーゼによる切断に対して前記第1の部分を耐性とする修飾を5’末端に含み」、「前記第2の部分は前記第1の部分の3’末端に結合され」、「前記第2の部分は、一本鎖特異的5’→3’エキソヌクレアーゼによる切断に対して前記第2の部分を耐性とする修飾を含む」組成物。
以上のとおりであるから、上記分類(1)~分類(4)の発明は、引用する請求項からみて、形式的には、以下のア及びイの群に分けることができる。
ア 分類(1)に係る方法、分類(3)に係る組成物、分類(4)に係る組成物
イ 分類(2)に係る方法
そこで、上記アの群についてみてみると、分類(3)に係る組成物に含まれる「オリゴヌクレオチドプローブ」は、第1の部分の3’末端でブロックされている点、及び第2の部分が第1の部分の5’末端に結合している点で、分類(1)に係る方法で使用される「オリゴヌクレオチドプローブ」の構造と同一の構造を有しており、分類(1)に係る方法で使用される「オリゴヌクレオチドプローブ」に対応するものであることが明らかである。
しかし、分類(4)に係る組成物に含まれる「オリゴヌクレオチドプローブ」は、第1の部分の5’末端に修飾を含み、また、第2の部分が第1の部分の3’末端に結合していることから、分類(1)に係る方法の発明で使用される「オリゴヌクレオチドプローブ」とは、第1の部分の修飾部位が3’末端ではなく5’末端である点、及び第2の部分の結合部分が第1の部分の5’末端ではなく3’末端である点で、構造が逆になっており、分類(1)に係る方法で使用される「オリゴヌクレオチドプローブ」に対応するものではないことが明らかである。
一方、分類(4)に係る組成物に含まれる「オリゴヌクレオチドプローブ」は、上記イの群の分類(2)に係る方法で使用される「オリゴヌクレオチドプローブ」の構造と同一の構造を有しており、分類(2)に係る方法で使用される「オリゴヌクレオチドプローブ」に対応するものであることが明らかである。
そうすると、本件明細書の特許請求の範囲の記載は、引用する請求項からみて、一見すると、上記ア及びイの群に分けられているようにみえるものの、本件明細書の特許請求の範囲の記載からみて、本来、以下のア’及び イ’の群に分けられるべきものであることが明らかである。
ア’ 分類(1)に係る方法、分類(3)に係る組成物
イ’ 分類(2)に係る方法、分類(4)に係る組成物
したがって、分類(4)に係る組成物の発明を記載する請求項16が、本来、「請求項8~14のいずれか1項に記載の方法において使用するための」と、分類(2)に係る方法の発明を引用する形式で記載されるべきものであることも明らかである。
そして、上記のように解することは、本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0004】に分類(1)に係る方法が記載され、それとは別の態様として、段落【0006】に分類(2)に係る方法が記載されており、同様に、段落【0008】に分類(3)に係る組成物が記載され、それとは別の態様として、段落【0010】に分類(4)に係る組成物が記載されている点とも整合し、また、本件明細書に、上記のように解することを妨げる記載や、矛盾する記載は存在しない。
以上からみて、本件明細書の特許請求の範囲の請求項16に「請求項1~7のいずれか1項に記載の方法」とあるのを「請求項8~14のいずれか1項に記載の方法」に訂正する訂正事項1は、本来その意であることが本件明細書の記載から明らかな内容に正すものといえるから、特許法126条1項ただし書き2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。
2 願書に最初に添付した外国語書面の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記1で検討したとおり、本件明細書の記載から、本件明細書の特許請求の範囲の請求項16の「請求項1~7のいずれか1項に記載の方法」との記載が、「請求項8~14のいずれか1項に記載の方法」であることは当業者に明らかであるから、訂正事項1は、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面)」に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法126条5項に適合する。
3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記1で検討したとおり、本件特許の訂正前の特許請求の範囲の請求項16における「請求項1~7のいずれか1項に記載の方法」との記載が、本件明細書の記載との関係で、誤りであることが明らかであり、かつ、本件明細書の記載全体から、正しい記載である「請求項8~14のいずれか1項に記載の方法」との記載が自明な事項として定まるといえるから、訂正事項1は、その誤りを正しい記載にする訂正であるといえ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法126条6項に適合する。
4 独立して特許を受けることができるものであること
訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないので、特許法126条7項に適合する。
第4 むすび
以上からみて、本件審判請求における請求項16に係る訂正は、特許法126条1項ただし書2号に規定する事項を目的とし、かつ、同条5項~7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおりに審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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