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特許拒絶査定不服審判

2019-017237

半導体装置

審判番号
2019-017237
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-161349外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年12月20日
審決日
2020年12月23日
公報発行日
2021年02月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2018-161349「半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月10日出願公開、特開2019-  4172、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成23年11月3日(優先権主張:平成22年11月5日)に出願した特願2011-241761号の一部を平成27年11月5日に新たな特許出願とした特願2015-217423号の一部を平成29年2月6日に新たな特許出願とした特願2017-19273号の一部を平成30年8月30日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年9月27日 :手続補正書の提出 令和元年6月21日付け:拒絶理由通知書 令和元年8月20日  :意見書,補正書の提出 令和元年9月26日付け:拒絶査定 令和元年12月20日 :審判請求書,手続補正書の提出 令和2年8月5日付け :拒絶理由通知書(当審) 令和2年10月8日  :意見書,手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和元年9月26日付け拒絶査定)の概要は,本願の請求項1,2,5,6に係る発明は,本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2~3,5に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 引用文献1.特開2010-232651号公報 引用文献2.特開2008-128725号公報 引用文献3.国際公開第2009/072365号 引用文献4.特開2006-148040号公報 引用文献5.特開2010-021170号公報 (なお,引用文献4は,令和元年8月20日付け手続補正により引用文献でなくなったが,参考のため記載したものである。) 第3 当審拒絶理由通知の概要 当審拒絶理由通知(令和2年8月5日付け拒絶理由通知)の概要は,本願の請求項1~5に係る発明は,本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用例1に記載された発明及び引用例2~7に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 引用例1.特開2010-232651号公報(原査定の引用文献1) 引用例2.特開2008-128725号公報(原査定の引用文献2) 引用例3.国際公開第2009/072365号(原査定の引用文献3) 引用例4.特開2005-38994号公報 引用例5.米国特許出願公開第2007/0281457号明細書 引用例6.特開2010-21170号公報(原査定の引用文献5) 引用例7.特開2010-80947号公報 第4 本願発明 本願の請求項1~4に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」~「本願発明14」という。)は,令和2年10月8日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される発明であり,そのうちの本願発明1は次のとおりである。 「【請求項1】 酸化物半導体層と, 前記酸化物半導体層と重なるソース電極層またはドレイン電極層と, 前記酸化物半導体層上のゲート絶縁層と, 前記ゲート絶縁層上のゲート電極層と,を有し, 前記ゲート電極層は積層構造を有し, 前記積層構造のうち,前記ゲート絶縁層と接する側の層は,金属酸化物を有し, 前記積層構造のうち,前記ゲート絶縁層と接しない側の層に,金属からなる層を有し, 前記積層構造は,前記ゲート絶縁層を介して前記酸化物半導体層と重なり, 前記金属酸化物は,5電子ボルト以上の仕事関数を有し, 前記積層構造において,前記金属酸化物に接して窒化金属膜を有し, 前記窒化金属膜は,窒化チタン,窒化タンタル,窒化タングステン,窒化モリブデンまたは窒化クロムのいずれかであり, 前記ソース電極層または前記ドレイン電極層は,バッファ層を介して前記酸化物半導体層と接し, 前記バッファ層は,前記ソース電極層または前記ドレイン電極層の側面よりも前記酸化物半導体層のチャネル領域の側に突出し, 前記バッファ層の光透過率は,前記酸化物半導体層の光透過率よりも低い半導体装置。」 本願発明2~4は,本願発明1を減縮した発明である。 第5 引用例の記載と引用発明 1.引用例1について (1)引用例1の記載事項 当審拒絶理由通知で引用された引用例1には,次の記載がある。(下線は当審による。以下同じ。) 「【0104】 (実施の形態1) 本実施の形態では,半導体装置及びその作製工程について,図1乃至図15を用いて説明する。 【0105】 図1に,本実施の形態の半導体装置を示す。図1(A)は平面図であり,図1(B)は図1(A)におけるA-Bで切断した断面図である。 【0106】 図1(A)に示す半導体装置は,1の方向に配置された複数の配線(例えば,ゲート配線及び容量配線)と,2の方向に配置された複数の配線(例えば,ソース配線)と,それらの配線の交差部付近の複数のトランジスタと,を有する画素部を含んでいる。なお,1の方向に配置された配線と2の方向に配置された配線とは直交していることが望ましい。なお,本明細書において,画素部とは,複数のゲート配線及び複数のソース配線に囲まれた領域のことを指す。 【0107】 図1に示すトランジスタ150は,絶縁面を有する基板100上に,半導体層103aと,半導体層103a上に設けられたソース電極又はドレイン電極として機能する導電層106a,106bと,ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層106a,106b上に設けられたゲート絶縁膜110と,ゲート絶縁膜110上に設けられ,かつ,導電層106a,106bの間に設けられたゲート電極として機能する導電層113aとで構成されている。よって,トランジスタ150は,いわゆるトップゲート型のトランジスタである。ただし,チャネル(半導体層103a)の下側に,ゲート電極が配置されてもよい。半導体層103aは,酸化物を有することが好ましい。ただし,これに限定されず,半導体層が酸化物を有していなくてもよい。例えば,半導体層103aとして,シリコン,ガリウムヒ素,化合物半導体,有機半導体,カーボンナノチューブなどを用いて形成することが可能である。」 「【0110】 通常,素子と素子,例えば,トランジスタとトランジスタとを接続する配線は,ゲート電極,ソース電極又はドレイン電極を構成する導電層をそのまま引き延ばし,同じ島(アイランド)で形成される場合が多い。したがって,トランジスタのゲートと,別のトランジスタのゲートと,を接続する配線(ゲート配線と呼ぶ)は,トランジスタのゲート電極と同じ層構造や同じ材料で形成されていることが多く,トランジスタのソースと別のトランジスタのソースとを接続する配線(ソース配線と呼ぶ)は,トランジスタのソース電極と同じ層構造や同じ材料で形成されていることが多い。したがって,ゲート電極並びにソース電極もしくはドレイン電極として,透光性を有する材料を用いて形成した場合,ゲート配線およびソース配線はゲート電極並びにソース電極もしくはドレイン電極と同様,透光性を有する材料を用いて形成されることとなる。 【0111】 透光性を有する材料,例えば,インジウムスズ酸化物,インジウム亜鉛酸化物,インジウムスズ亜鉛酸化物などは,遮光性及び反射性を有する材料,例えば,アルミニウム,モリブデン,チタン,タングステン,ネオジム,銅,銀,クロムなどと比較して,導電率が低い傾向がある。したがって,透光性を有する材料を用いて配線を形成すると,配線抵抗が高くなってしまう。例えば,大型の表示装置を製造する場合,配線が長くなるため,配線抵抗が非常に高くなる。配線抵抗が高くなると,その配線を伝搬していく信号の波形なまりが生じ,配線抵抗による電圧降下によって,供給される電圧が小さくなる。そのため,正確な電圧や電流を供給することが困難となってしまい,正常な表示や動作を行うことが困難となるおそれがある。 【0112】 そこで,トランジスタ150のゲート電極と電気的に接続されるゲート配線は,透光性を有する導電層113aと,遮光性を有する導電層116aとで積層する。そして,トランジスタ150のソース電極又はドレイン電極と電気的に接続されるソース配線は,透光性を有する導電層106aと,遮光性を有する導電層109aとで積層する。つまり,トランジスタ150のゲート電極は,透光性を有する導電層113aの一部で形成されている。そして,トランジスタ150のソース電極又はドレイン電極は,透光性を有する導電層106aの一部で形成されている。」 「【0115】 ゲート配線又はソース配線を,透光性を有する導電層と遮光性を有する導電層とで積層することにより,配線抵抗を低減させることができる。また,配線抵抗を低減させることによって,信号の波形なまりを低減し,配線抵抗による電圧降下を低減させることができる。また,配線抵抗による電圧降下を低減させることにより,正確な電圧や電流を供給することができる。これにより,大型の表示装置を製造することが可能となる。また,ゲート配線又はソース配線は,遮光性を有する導電層を用いて構成されているため,画素間を遮光することができる。つまり,行方向に配置されたゲート配線と,列方向に配置されたソース配線とによって,ブラックマトリクスを用いることなく画素間の隙間を遮光することができる。ただし,ブラックマトリクスを用いることは可能である。」 「【0141】 次に,酸化物半導体膜101上にレジストマスク102を形成し,当該レジストマスク102を用いて酸化物半導体膜101を選択的にエッチングして,島状の半導体層103aを形成する(図2(C),(D)参照)。レジストマスクの形成にスピンコート法を用いる場合,レジスト膜の均一性の向上のため,大量のレジスト材料や,大量の現像液が使用され,余分な材料の消費量が多い。特に基板が大型化すると,スピンコート法を用いる成膜方法では,大型の基板を回転させる機構が大規模となる点,材料液のロス及び廃液量が多い点で,大量生産上不利である。また,矩形の基板をスピンコートさせると回転軸を中心とする円形のムラが塗布膜に生じやすい。そこで,インクジェット法などの液滴吐出法やスクリーン印刷法などを用いて選択的にレジスト材料膜を形成し,露光を行ってレジストマスクを形成することが好ましい。選択的にレジスト材料膜を形成することによって,レジスト材料の使用量の削減が図れるため大幅なコストダウンが実現でき,1000mm×1200mm,1100mm×1250mm,1150mm×1300mmのような大面積基板にも対応できる。ただし,これに限定されない。」 「【0145】 次に,島状の半導体層103a上に,導電膜104を形成する(図2(E),(F)参照)。 【0146】 導電膜104は,インジウム錫酸化物(ITO),酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物(ITSO),有機インジウム,有機スズ,酸化亜鉛(ZnO),窒化チタン等を用いることができる。また,酸化亜鉛を含むインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO),ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛,酸化スズ(SnO2),酸化タングステンを含むインジウム酸化物,酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物,酸化チタンを含むインジウム酸化物,酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。導電膜104は,上述の材料をスパッタリング法により,単層構造又は2層以上の積層構造で形成することができる。ただし,積層構造とする場合には,複数の膜の全ての光透過率が十分に高いことが望ましい。」 「【0160】 導電膜111は,導電膜104を形成した材料と概ね同じ材料で形成されることが望ましい。ただし,これに限定されない。概ね同じ材料とは,主成分の元素が同じ材料のことであり,不純物レベルでは,含まれる元素の種類や濃度などが異なっている場合がある。このように,概ね同じ材料を用いることにより,スパッタや蒸着などで導電膜111を形成する場合,導電膜104と材料を共有できるというメリットがある。導電膜111と導電膜104の材料を共有することにより,同じ製造装置を用いることができ,製造工程をスムーズに流すことができ,スループットを向上させることが可能となり,低コスト化を実現することが可能となる。 【0161】 次に,導電膜111上にレジストマスク112a,112bを形成し,当該レジストマスク112a,112bを用いて導電膜111を選択的にエッチングして,導電層113a,113bを形成する(図4(A),(B)参照)。なお,上記エッチングの後にはレジストマスク112a,112bは除去する。 【0162】 次に,導電層113a,113b,ゲート絶縁膜110上に導電膜114を形成する(図4(C),(D)参照)。 【0163】 導電膜114は,アルミニウム(Al),タングステン(W),チタン(Ti),タンタル(Ta),モリブデン(Mo),ニッケル(Ni),白金(Pt),銅(Cu),金(Au),銀(Ag),マンガン(Mn),ネオジム(Nd),クロム(Cr),アンチモン(Sb),ニオブ(Nb),セリウム(Ce)などの金属材料,またはこれらの金属材料を主成分とする合金材料,またはこれらの金属材料を成分とする窒化物を用いて,単層又は積層で形成することができる。アルミニウムなどの低抵抗導電性材料で形成することが望ましい。 【0164】 また,導電膜114は,導電膜107を形成した材料とは異なる材料で形成することが望ましい。または,導電膜114は,導電膜107とは異なる積層構造で形成されることが望ましい。なぜなら,半導体装置の作製工程において,加えられる温度が導電膜114と導電膜107とでは異なる場合が多いからである。通常,導電膜107の方が,高温な状態になることが多い。したがって,導電膜107の方が融点の高い材料または積層構造を用いることが望ましい。または,導電膜107の方が,ヒロックがおきにくい材料または積層構造を用いることが望ましい。または,導電膜114は,映像信号が供給される信号線を構成する場合があるため,導電膜107よりも配線抵抗が小さい材料又は積層構造を用いることが望ましい。なお,遮光性を有する導電層よりも透光性を有する導電層の方が,膜厚が薄いことが望ましい。 【0165】 導電層106a,106b(又は導電膜104)の上に導電膜107を形成する場合と同様に,導電層113a,113b(又は導電膜111)の上に導電膜114を形成する場合,両者の膜が反応を起こしてしまう場合がある。したがって,導電層113a,113b上に導電膜114を形成する場合においても,導電層113a,113bと導電膜114との間に,高融点材料を用いることが望ましい。例えば,高融点材料の例としては,モリブデン,チタン,タングステン,タンタル,クロムなどがあげられる。そして,高融点材料を用いた膜の上に,導電率が高い材料を用いて,導電膜114を多層膜で形成することは,好適である。導電率が高い材料としては,アルミニウム,銅,銀などがあげられる。 【0166】 次に,導電膜114上にレジストマスク115を形成し,当該レジストマスク115を用いて導電膜114をエッチングして,導電層116aを形成する(図4(E),(F)参照)。上記エッチングの後にはレジストマスク115は除去する。その結果,導電膜114は,レジストマスク115が形成されている部分を残して除去され,導電層113aが露出する。これにより,導電層116aと導電層113aとは,それぞれの層が有する表面積が異なる。つまり,導電層113aが有する表面積は,導電層116aが有する表面積よりも大きい。または,導電層116aと113aとは,導電層113aと導電層116aとが重なった領域と,導電層116aと導電層113aとが重なっていない領域とを有する。 【0167】 導電層113aと導電層116aとが重なる領域では,導電層113aと導電層116aはゲート配線として機能し,導電層113aと導電層116aとが重ならない領域では,導電層113aはゲート電極として機能する。ゲート電極として機能する導電層113aを,透光性を有する材料で形成することにより,ゲート電極が形成された部分においても光を透過させることができるため,画素の開口率を向上させることができる。また,ゲート配線として機能する導電層116aを,導電層113aよりも導電率が高い材料で形成することにより,配線抵抗を低減し,消費電力を低減することができる。また,ソース配線は,遮光性を有する導電層116aを用いて構成されているため,画素間を遮光することができる。つまり,行方向に配置されたゲート配線と,列方向に配置されたソース配線とによって,ブラックマトリクスを用いることなく画素間の隙間を遮光することができる。」 引用例1の図1として,以下の図面が示されている。 引用例1の図4として,以下の図面が示されている。 (2)摘記の整理 以上の摘記を整理すると,引用例1には以下の事項が記載されているものと理解できる。 ア 複数のゲート配線と複数のトランジスタを含む半導体装置。(段落[0106]) イ 上記半導体装置のトランジスタ150が,半導体層103aと,半導体層103a上に設けられたソース電極又はドレイン電極として機能する導電層106a,106bと,ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層106a,106b上に設けられたゲート絶縁膜110と,ゲート絶縁膜110上に設けられ,かつ,導電層106a,106bの間に設けられたゲート電極として機能する導電層113aとで構成されていること。(段落[0107]) ウ 半導体層103aは,酸化物半導体膜101を選択的にエッチングして形成した島状の半導体層であること。(段落[0141]) ・導電層113aは,ゲート絶縁膜110に接していること。(図1(B)) ・導電層113aをインジウム錫酸化物(ITO)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)で形成すること。(段落[0146],[0160]) ・導電膜113aと導電層116aが反応するのを防止するために,両者の間に高融点材料を用い,その上にアルミニウム,銅,銀などの導電率が高い材料を用いて導電層116aを形成すること。(段落[0165],[0166]) ・導電層113aが,ゲート絶縁膜110を介して半導体層103aと重なる部分を有すること。(図1(B),図4(E),(F)) ・導電層113aと導電層116aとが重なる領域では,導電層113aと導電層116aはゲート配線として機能し,導電層113aと導電層116aとが重ならない領域では,導電層113aはゲート電極として機能すること。(段落[0167]) (3)引用発明1 以上の記載から,引用例1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「酸化物半導体膜からなる半導体層103aと, 半導体層103a上に設けられたソース電極又はドレイン電極として機能する導電層106a,106bと, ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層106a,106b上に設けられたゲート絶縁膜110と, 前記ゲート絶縁膜110上に接して設けられた導電層113aと,前記導電層113a上に高融点材料を介して形成された導電層116aと, 前記導電層113aは,前記ゲート絶縁膜110を介して前記半導体層103aと重なる部分を有し, 前記導電層113aと前記導電層116aとが重なる領域では,前記導電層113aと前記導電層116aはゲート配線として機能し,前記導電層113aと前記導電層116aとが重ならない領域では,前記導電層113aはゲート電極として機能し, 前記導電層113aは,インジウム錫酸化物(ITO)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)で形成され, 前記高融点材料は,前記導電層113aと前記導電層116aとが反応するのを防止する材料であり, 前記導電層116aは,アルミニウム,銅,銀等の導電率の高い材料で形成されている, 半導体装置。」 2.引用例2~3について (1)引用例2の記載事項 当審拒絶理由通知で引用された引用例2には,次の記載がある。 「【0039】 また,上記実施形態の放射線画像検出器においては,電圧印加手段25により電荷対発生電極5に電圧を印加することによって電荷対発生電極と電荷対非発生電極との間に電位勾配を形成するようにしたが,これに限らず,たとえば,電荷対発生電極5と電荷対非発生電極6とを互いに異なる材料から形成することによって電位勾配を形成するようにしてもよい。具体的には,電荷対発生電極をIZOで形成し,電荷非発生電極の透明線状電極6aをITOで形成するようにすればよい。IZOの仕事関数は5.2eVであり,ITOの仕事関数は5.1eVであるので,0.1Vの電位勾配が電荷対発生電極と電荷対非発生電極との間に形成される。なお,これに限らず,電位勾配を形成するようなその他の材料を選択するようにしてもよい。」 (2)引用例3の記載事項 当審拒絶理由通知で引用された引用例3には,次の記載がある。 「[0009]  例えば,特許文献2が開示する透明導電膜は,ITO又はIZOであり,これらの屈折率は,InGaNが発する460nmの波長において,それぞれ,1.92及び2.07であり,InGaNが有する屈折率約2.5より小さく,光取出し効率が小さかった。また,GaN(In)が発する波長380nmにおいては,ITO,IZOのバンドギャップがそれぞれ,3.2eV及び2.9eVであるため,380nmの光を吸収してしまい,光取出し効率が非常に小さなものであった。また,ITO,IZOの仕事関数は,それぞれ約5.0eV及び5.2eVであり,pGaNのHOMOレベルの準位と大きく離れており,正孔を注入するための障壁が大きく,駆動電圧も大きいままであった。」 (3)引用例2~3の示す技術常識 上記引用例2及び引用例3の記載によれば,インジウム錫酸化物(ITO)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)の仕事関数が5電子ボルト以上であることは,当業者の技術常識であると理解できる。 3.引用例4~5について (1)引用例4の記載事項 当審拒絶理由通知で引用された引用例4には,次の記載がある。 「【0007】 また,ULSIに代表される半導体の分野における配線や電極等の金属材料としては,集積度の向上による微細化の進展や,動作スピードの向上等により,従来から用いられているアルミニウム(Al)よりも,配線抵抗が低く,且つエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション等の耐性が高い,銅(Cu)を用いた配線に関する検討が進められている。」 「【0035】 銅拡散防止下地層としては,前述のTiNのみならず銅の拡散防止能のあるTaN,TaSiN,TiSiN,WSiN,Ti,Ta等であってもよく,また,前述の材料の積層であってもよい。銅拡散防止層カバー層は,銅の表面に無電解めっき法により選択時に形成できる金属で形成することが好ましい。このような銅拡散防止層カバー層としては,例えばコバルト(Co)-タングステン(W)-ホウ素(B)合金,コバルト(Co)-ホウ素(B)合金,コバルト(Co)-リン(P)合金,ニッケル(Ni)-タングステン(W)-リン(P)合金等がある。ここで,コバルト系合金やニッケル系合金は,高融点金属であるとともに,不純物の活性化に用いられるエキシマーレーザー光の波長領域では,不純物が注入されたシリコン領域によりも低反射率であり,加えて銅の配線側面も含めた表面を覆っているために光吸収効果も高く,ゲート電極端部に発生しがちな接合欠陥を抑制する効果も有している。」 (2)引用例5の記載事項 当審拒絶理由通知で引用された引用例5には,次の記載がある。(和訳は当審による。) “[0004] Copper and copper alloys have excellent electrical conductivity, thermal conductivity and physical properties at room temperature are useful in the fabrication of devices with dissimilar elements. [0005] In addition to excellent electrical conductivity, copper also has excellent structural stability to prevent charged ions from migrating so an element such as a semiconductor element including a copper wire has long endurance and high stability. Thus, copper replaces aluminum (Al) and is deposited on a semiconductor element such as a silicon substrate (i.e. a silicon wafer) to form a copper film that is electrically conductive. Consequently, copper is useful in the semiconductor industry. However, the copper film still has some shortcomings inherent in methods used to form the copper film and in the chemical properties of copper.” (和訳)“[0004]銅及び銅合金は室温で優れた電気伝導性,熱伝導性及び物理的特性を有し,異なる要素を有するデバイスの製造に有用である。 [0005]優れた導電性に加えて,銅はまた,荷電されたイオンのマイグレーションを防止し,銅配線を含む半導体要素のような要素が耐久性と高い安定性を持つような,優れた構造安定性を有している。そのため,銅はアルミニウムを置き換え,シリコン基板(シリコンウエハ)等の半導体素子上に堆積される導電性の銅膜を形成する。このように,銅は半導体産業において有用である。しかしながら,銅膜は,銅膜を形成するために使用される方法及び銅の化学的性質に固有の,いくつかの欠点を有している。 ” “[0024] With reference to FIG. 1, the copper layer in accordance with the present invention is deposited on a substrate (40) that may be silicon such as a silicon wafer and comprises a copper seed layer (22), a thin copper film (21), and an interface (23). [0025] The copper seed layer (22) has properties such as a fine microstructure, high thermal stability and excellent low electrical resistivity and contains copper and insoluble substances. The insoluble substances supersaturated with copper to form Cu(X), are selected from the group consisting of high-temperature metals (W, Mo, Nb, Ta, V, Cr), high-temperature metal nitrides (WNX, MoNX, NbNX, TaNX, VNX, CrNX or the like) and a mixture thereof and are in a range of 0.5 to 3.5 atom % The high temperature metal nitrides are less than 2.0 atom %. Tungsten of the insoluble substances may react with oxygen to form copper tungsten oxides. [0026] The thin copper film (21) is deposited on a top of the copper seed layer (22), so the copper seed layer (22) with the thin copper film (21) further has high thermal stability, a low electrical resistivity and high conductivity and is suitable for use in many industries such as the semiconductor industry and in any copper manufacturing process without a conventional barrier.” (和訳)“[0024] 図1を参照すると,本発明による銅層は,シリコンウェーハなどのシリコン基板(40)上に堆積され,銅シード層(22),薄い銅膜(21)及びインターフェイス(23)を備えている。 [0025] 銅シード層(22)は,優れた微細構造,高い熱安定性及び卓越した低電気抵抗率といった性質を有し,銅との不溶性物質を含有する。Cu(X)を形成する銅で過飽和される不溶性物質は,高温金属(W, Mo, Nb, Ta, V, Cr),高温金属窒化物(WNX,MoNX,NbNX,TaNX VNX,CrNX等)およびそれらの混合物からなる群から選択され,0.5~3.5原子%の範囲である。高温度金属窒化物は2.0原子%未満である。不溶性物質のタングステンは酸素と反応して,銅-タングステン酸化物を形成してもよい。 [0026] 銅薄膜(21)は,銅シード層(22)上に付着されるので,銅薄膜(21)と銅シード層(22)は,さらに,高い熱安定性,低い電気抵抗及び高い導電性を有し,半導体産業などの多くの産業で使用するための従来のバリアのない銅製造プロセスに適している。“ (3)引用例4~5の示す周知技術 上記引用例4及び引用例5の記載によれば,銅がアルミニウムよりも導電率が高く優れた配線材料であること,及び,銅を配線材料として適用する際,銅とその下の層との反応を防止するために銅の拡散防止能の有る材料を下地層とする技術は,当業者の周知技術であったといえる。 4.引用例6~7について (1)引用例6の記載事項 当審拒絶理由通知で引用された引用例6には,次の記載がある。 「【0024】 本実施の形態1における半導体装置では,図1に示すように,基板SUB上にゲート電極GTが形成されている。そして,このゲート電極GTを覆う基板SUBの上面にゲート絶縁膜GIが形成されている。また,ゲート絶縁膜GI上に少なくとも平面的にゲート電極GTを跨るようにしてソース電極STおよびドレイン電極DTが形成されている。すなわち,ソース電極STおよびドレイン電極DTは,一定距離離間した領域である離間領域を隔てて配置されている。 【0025】 ソース電極STの上にはソース側のコンタクト層(第1導電層)CTSが金属酸化物よりなる半導体層によって形成されており,ドレイン電極DTの上にはドレイン側のコンタクト層(第2導電層)CTDが金属酸化物よりなる半導体層によって形成されている。そして,少なくともゲート電極GTおよび両コンタクト層CTS,CTDを跨るようにしてチャネル層CHNが形成されている。このように本実施の形態1の特徴は,チャネル層CHNとソース電極STあるいはドレイン電極DTと直接接続するのではなく,チャネル層CHNとソース電極STの間にコンタクト層CTSを形成し,チャネル層CHNとドレイン領域DTとの間にコンタクト層CTDを形成している点にある。これにより,チャネル層CHNを薄く形成しても,チャネル層とソース電極あるいはドレイン電極との境界に充分な接合界面層を形成することができる。つまり,ソース電極STは充分な厚さのコンタクト層CTSを介してチャネル層CHNと接続されるので,チャネル層CHNが充分に薄くなっても,コンタクト層CTSとソース電極STとの境界で充分な厚さの接合界面層を形成することができるのである。同様に,ドレイン電極DTは充分な厚さのコンタクト層CTDを介してチャネル層CHNと接続されるので,チャネル層CHNが充分に薄くなっても,コンタクト層CTDとドレイン電極DTとの境界で充分な厚さの接合界面層を形成することができる。したがって,ソース電極STとチャネル層CHNとの間のコンタクト抵抗や,ドレイン電極DTとチャネル層CHNとの間のコンタクト抵抗を小さくすることができる。このため,TFTのオン抵抗を低減することができ,オン電流の向上を図ることができる。」 「【0028】 また,チャネル層CHNを成膜する際の被覆性を良好にするため,ソース電極ST,ドレイン電極DT,および両コンタクト層CTS,CTDはテーパ状に形成されている。つまり,ソース電極STの離間領域側の端部およびドレイン電極DTの離間領域側の端部は,先端部に行くにつれて高さが低くなるテーパ形状をしている。同様に,コンタクト層CTSの離間領域側の端部およびコンタクト層CTDの離間領域側の端部は,先端部にいくにつれて高さが低くなるテーパ形状をしている。このように構成することにより,コンタクト層CTS,CTD上に形成されるチャネル層CHNの被覆性を向上することができる。」 「【0069】 なお,図16ではボトムゲート/トップコンタクト型の酸化物TFTを例に挙げて説明したが,図22に示すようなトップゲート/トップコンタクト型の酸化物TFTとしても同様の効果を得ることができる。ここでいうトップゲートとは,チャネル層CHNの上層にゲート電極GTが形成されている構造を意味し,トップコンタクトとは,チャネル層CHNの上層にコンタクト層CTS,CTDが形成されている構造を意味する。」 引用例6の図22として,以下の図面が示されている。 (2)引用例7の記載事項 当審拒絶理由通知で引用された引用例7には次の記載がある。 「【0071】 本実施の形態のボトムゲート構造の薄膜トランジスタ170a,170b,170cを図5及び図6に示す。図5(A1)は平面図であり,図5(A2)は図5(A1)における線A1-A2の断面図である。図5(B1)は平面図であり,図5(B2)は図5(B1)における線B1-B2の断面図である。図6(A1)は平面図であり,図6(A2)は図6(A1)における線C1-C2の断面図である。 【0072】 図5において,基板100上に,ゲート電極層101,ゲート絶縁層102,半導体層103,ソース領域又はドレイン領域104a,104b,ソース電極層又はドレイン電極層105a,105bを薄膜トランジスタ170aが設けられている。 【0073】 ゲート絶縁層102表面に酸素ラジカル処理を行う。よってゲート絶縁層102と半導体層103との界面に酸素濃度のピークを有し,かつゲート絶縁層102の酸素濃度は濃度勾配を有し,その酸素濃度はゲート絶縁層102と半導体層103との界面に近づくにつれて増加する。 【0074】 また,半導体層103としてIn,Ga,及びZnを含む酸素過剰酸化物半導体膜を用い,ソース電極層又はドレイン電極層105a,105bとIGZO半導体層である半導体層103との間に,酸素欠乏酸化物半導体層からなるソース領域又はドレイン領域104a,104bを意図的に設けることによってオーミック性のコンタクトを形成する。また,半導体層103,ソース領域又はドレイン領域104a,104bとして,In,Ga,及びZnのいずれか一をタングステン,モリブデン,チタン,ニッケル,アルミニウムと置換してもよい。 【0075】 ソース領域又はドレイン領域104a,104bとしては,In,Ga,及びZnを含む結晶粒を有する酸素欠乏酸化物半導体膜を用いる。」 「【0080】 また,図5(A1)(A2)(B1)(B2)の薄膜トランジスタ170a,170bは,半導体層103上において,ソース電極層又はドレイン電極層105a,105bの端部とソース領域又はドレイン領域104a,104bの端部が一致せず,ソース領域又はドレイン領域104a,104bが一部露出している例である。」 引用例7の図5として,以下の図面が示されている。 (3)引用例6~7の示す周知技術 以上によれば,ソース電極層及びドレイン電極層とチャネル層となる半導体層との間に,ソース電極層及びドレイン電極層の側面よりもチャネル領域側に突出したバッファ層を設ける構成は,当業者に周知の構成であったといえる。 第6 対比・判断 1.本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点 本願発明1と引用発明1を比較する。 ア 本願発明1と引用発明1は,ともに「半導体装置」の発明である点で一致する。 イ 引用発明1における「酸化物半導体膜からなる半導体層103a」,「導電層106a,106b」及び「ゲート絶縁膜110」が,本願発明1における「酸化物半導体層」,「ソース電極又はドレイン電極」及び「ゲート絶縁膜」に相当する。 ウ 引用発明1の「導電層113a」及び「導電層116a」の積層体は,「導電層113a」が「前記ゲート絶縁膜110を介して半導体層103aと重なる部分を有し」,「前記導電層113aと前記導電層116aとが重ならない領域では,前記導電層113aはゲート電極として機能」するものである。そうすると,引用発明1における,「導電層113a」及び「導電層116a」の積層体は,本願発明1における「ゲート電極層」に相当し,両者はともに「積層構造」を有する点で一致する。 エ 引用発明1の「導電層113a」は,「ゲート絶縁膜110」に接して設けられた層であり,インジウム錫酸化物(ITO)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)で形成された層であるから,本願発明1の「前記積層構造のうち,前記ゲート絶縁層と接する側の層」に相当し,両者はともに「金属酸化物」である点で一致する。 オ 引用発明1の「導電層116a」は,「導電層113a」上に,高融点材料を介して「アルミニウム,銅,銀等の導電率の高い材料で形成されて」いる層であるから,本願発明1における「前記積層構造のうち,前記ゲート絶縁層と接しない側の層」に相当し,両者はともに「金属からなる層」である点で一致する。 カ 引用発明1の「導電層113a」は「ゲート絶縁膜110を介して半導体層103aと重なる部分を有し」ている。そうすると,本願発明1における「積層構造」と引用発明1における「導電層113a」と「導電層116a」の積層体は,ともに「前記ゲート絶縁層を介して前記酸化物半導体層と重なり」を有する点で一致する。 キ 本願発明1の「金属酸化物」と引用発明1の「導電層113a」は,「仕事関数を有し」ている点で共通する。 ク 引用発明1の「導電層113a」と「導電層116a」の積層体において,「導電層116a」は「前記導電層113a上に高融点材料を介して形成された」ものであるから,引用発明1の「導電層113a」は「高融点金属」に接しているといえる。そうすると,本願発明の「積層構造」と引用発明1の「導電層113a」と「導電層116a」の積層体は,ともに「前記金属酸化物」(導電層113a)に接して「膜」を有する点で共通する。 ケ 本願発明1の「ソース電極層及びドレイン電極層」と引用発明1の「導電層106a,106b」は,ともに「前記酸化物半導体層」(酸化物半導体膜からなる半導体層103a)と電気的に接続されている点で共通する。 上記ア~ケによれば,本願発明1と引用発明1の一致点,相違点は以下のとおりである。 <一致点> 「酸化物半導体層と, 前記酸化物半導体層と重なるソース電極層またはドレイン電極層と, 前記酸化物半導体層上のゲート絶縁層と, 前記ゲート絶縁層上のゲート電極層と,を有し, 前記ゲート電極層は積層構造を有し, 前記積層構造のうち,前記ゲート絶縁層と接する側の層は,金属酸化物を有し, 前記積層構造のうち,前記ゲート絶縁層と接しない側の層に,金属からなる層を有し, 前記積層構造は,前記ゲート絶縁層を介して前記酸化物半導体層と重なり, 前記金属酸化物は,仕事関数を有し, 前記積層構造において,前記金属酸化物に接して膜を有し, 前記ソース電極層または前記ドレイン電極層は,前記酸化物半導体層と電気的に接続されている, 半導体装置。」である点。 <相違点1> 本願発明1は「前記金属酸化物は,5電子ボルト以上の仕事関数を有し」ているのに対し,引用発明1は「インジウム錫酸化物(ITO)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)」の仕事関数が特定されていない点。 <相違点2> 本願発明1は「前記積層構造において,前記金属酸化物に接して窒化金属膜を有し」「前記窒化金属膜は,窒化チタン,窒化タンタル,窒化タングステン,窒化モリブデンまたは窒化クロムのいずれかである」のに対し,引用例1では,「導電層113a」に接しているのが「高融点材料」である点。 <相違点3> 本願発明1では,「前記ソース電極層または前記ドレイン電極層は,バッファ層を介して前記酸化物半導体層と接し」「前記バッファ層は,前記ソース電極層または前記ドレイン電極層の側面よりも前記酸化物半導体層のチャネル領域の側に突出し」「前記バッファ層の光透過率は,前記酸化物半導体層の光透過率よりも低い」のに対し,引用発明1では,「導電層106a,106b」が「バッファ層」を介さずに「酸化物半導体膜からなる半導体層103a」と接している点。 2.相違点に対する判断 事案に鑑み,まず相違点3について検討する。 ソース電極層及びドレイン電極層とチャネル層となる半導体層との間に,ソース電極層及びドレイン電極層の側面よりもチャネル領域側に突出したバッファ層を設ける構成は,引用例6及び引用例7(上記第5の4.(3))に示されるとおり,当業者に周知の構成であるから,引用発明1において当該周知の構成を採用することは,当業者が格別の困難無くなし得たことであるといえる。 しかしながら,上記周知のバッファ層において「前記バッファ層の光透過率は,前記酸化物半導体層の光透過率よりも低い」ものとすることは,上記引用例6及び引用例7には記載も示唆もされておらず,上記引用例2~5にも記載されていない事項である。 したがって,相違点1及び2について検討するまでもなく,本願発明1は引用発明1及び引用例2~7に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3.本願発明2~4について 本願発明2~4も,「前記ソース電極層または前記ドレイン電極層は,バッファ層を介して前記酸化物半導体層と接し」「前記バッファ層は,前記ソース電極層または前記ドレイン電極層の側面よりも前記酸化物半導体層のチャネル領域の側に突出し」「前記バッファ層の光透過率は,前記酸化物半導体層の光透過率よりも低い」という事項を有するものであるから,本願発明1と同様の理由により,引用発明1及び引用例2~7に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 当審拒絶理由通知後の補正により,本願発明1~4は「前記ソース電極層または前記ドレイン電極層は,バッファ層を介して前記酸化物半導体層と接し」「前記バッファ層は,前記ソース電極層または前記ドレイン電極層の側面よりも前記酸化物半導体層のチャネル領域の側に突出し」「前記バッファ層の光透過率は,前記酸化物半導体層の光透過率よりも低い」という事項を有するものとなっており,拒絶査定において引用された引用文献1(すなわち引用例1)に記載された発明ではなく,また,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1~5に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由を維持することはできない。 第8 結言 以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する

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2019-017237

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