審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2019-017186

冷却装置、冷却装置の製造方法及び電力回路

審判番号
2019-017186
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-501312
請求日
2019年12月19日
審決日
2020年09月11日
公報発行日
2021年03月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
  • 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
  • 【請求人代理人】前川 純一
  • 【請求人代理人】二宮 浩康
  • 【請求人代理人】上島 類
審判長/審判官
  • 審判長 酒井 朋広
  • 審判官 須原 宏光
  • 審判官 赤穂 嘉紀
分類
P18 .113-Z (H01L) / P18 .121-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L) / P18 .572-Z (H01L) / P18 .56 -Z (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-501312「冷却装置、冷却装置の製造方法及び電力回路」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月14日国際公開、WO2016/005065、平成29年 8月24日国内公表、特表2017-524248〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2015年4月2日(パリ条約による優先権主張 2014年7月10日、独国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 4月13日付け:拒絶理由通知 平成30年 9月20日  :意見書、手続補正書の提出 平成31年 1月25日付け:拒絶理由通知 平成31年 4月23日  :意見書、手続補正書の提出 令和 1年 8月20日付け:拒絶査定 令和 1年12月19日  :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和1年12月19日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和1年12月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正 本件補正は、本件補正前における特許請求の範囲の請求項1及び請求項9について、 「【請求項1】 アルミニウム冷却体(26)と、1つのニッケルシート片(90)とを有する冷却装置(10)であって、 前記ニッケルシート片(90)は、帯材又はストライプの切り離しによって形成されており、 前記ニッケルシート片(90)は、ろう層(36)によって前記アルミニウム冷却体(26)に直接接合されており、 当該冷却装置(10)は、固定のためかつ熱吸収のための固定面(92)を有しており、 当該固定面(92)は、前記アルミニウム冷却体(26)が在る側とは反対側の、前記ニッケルシート片(90)の面によって構成されている、ことを特徴とする、 冷却装置(10)。」 「【請求項9】 冷却装置(10)を備える電力回路であって、 前記冷却装置(10)は、アルミニウム冷却体(26)と、1つのニッケルシート片(90)とを有し、 前記ニッケルシート片(90)は、帯材又はストライプの切り離しによって形成されており、 前記ニッケルシート片(90)は、ろう層(36)によって前記アルミニウム冷却体(26)に直接接合されており、 当該冷却装置(10)は、固定のためかつ熱吸収のための固定面(92)を有しており、 当該固定面(92)は、前記アルミニウム冷却体(26)が在る側とは反対側の、前記ニッケルシート片(90)の面によって構成されており、 当該電力回路はさらに、銅導体層(62)を備えたプリント基板(60)を有しており、 前記銅導体層(62)は、ろう層(70)を介して前記ニッケルシート片(90)に接合されており、 前記電力回路はさらに、少なくとも1つの半導体素子(80)を有しており、当該半導体素子(80)は、前記ニッケルシート片(90)とは反対側を向いた、前記プリント基板(60)の面に取り付けられている、ことを特徴とする電力回路。」 とあったところを、請求項9を請求項8へ繰り上げて、 「【請求項1】 アルミニウム冷却体(26)と、1つのニッケルシート片(90)とを有する冷却装置(10)であって、 前記ニッケルシート片(90)は、帯材又はストライプの切り離しによって形成されており、 前記ニッケルシート片(90)は、ろう層(36)によって前記アルミニウム冷却体(26)に直接接合されており、 当該冷却装置(10)は、固定のためかつ熱吸収のための固定面(92)を有しており、 当該固定面(92)は、前記アルミニウム冷却体(26)が在る側とは反対側の、前記ニッケルシート片(90)の面によって構成されており、 前記ニッケルシート片は、メタルコアと、当該メタルコアを包囲するニッケル層を有しており、前記ニッケル層は、少なくとも70%のニッケル質量百分率のニッケルを有する、 ことを特徴とする、 冷却装置(10)。」 「【請求項8】 冷却装置(10)を備える電力回路であって、 前記冷却装置(10)は、アルミニウム冷却体(26)と、1つのニッケルシート片(90)とを有し、 前記ニッケルシート片(90)は、帯材又はストライプの切り離しによって形成されており、 前記ニッケルシート片(90)は、ろう層(36)によって前記アルミニウム冷却体(26)に直接接合されており、 当該冷却装置(10)は、固定のためかつ熱吸収のための固定面(92)を有しており、 当該固定面(92)は、前記アルミニウム冷却体(26)が在る側とは反対側の、前記ニッケルシート片(90)の面によって構成されており、 当該電力回路はさらに、銅導体層(62)を備えたプリント基板(60)を有しており、 前記銅導体層(62)は、ろう層(70)を介して前記ニッケルシート片(90)に接合されており、 前記電力回路はさらに、少なくとも1つの半導体素子(80)を有しており、当該半導体素子(80)は、前記ニッケルシート片(90)とは反対側を向いた、前記プリント基板(60)の面に取り付けられており、 前記ニッケルシート片は、メタルコアと、当該メタルコアを包囲するニッケル層を有しており、前記ニッケル層は、少なくとも70%のニッケル質量百分率のニッケルを有する、 ことを特徴とする電力回路。」 とすることを含むものである(下線は補正箇所を示す。)。 本件補正における請求項1、8に係る発明について検討する。 請求項1、8について本件補正は、 本件補正前の請求項1、9に記載した発明を特定するために必要な事項である「ニッケルシート片」について、「メタルコアと、当該メタルコア、を包囲するニッケル層を有しており、前記ニッケル層は、少なくとも70%のニッケル質量百分率のニッケルを有する」と限定を付加するものである。 上記補正は、本件補正前の請求項1、9に記載された発明を特定するために必要な事項に限定を付加するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものである。 そこで、本件補正における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)について以下に検討する。 2 引用文献及びその記載事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である国際公開第2011/052517号(2011年5月5日公開、以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同様)。 「[0011] 本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、鉄鋼、銅、ニッケル、チタンなどの非アルミニウム金属のみならず、アルミニウムとの圧接性、拡散接合性及びろう付け性にも優れたアルミニウム接合合金を提供することを目的とする。また、前記接合合金で形成された接合合金層を有するクラッド材及びアルミニウム接合複合材を提供することを目的とする。」 「[0030] 先ず、本発明に係るアルミニウム接合合金について説明する。このアルミニウム接合合金は、本質的にMgを0.08mass%以上、0.90mass%以下(0.08-0.90mass%)含み、残部Ni及び不可避的不純物からなるNi-Mg合金である。合金ベースをNiとするのは、Niは良好な延性、加工性を備え、強度、耐食性も比較的高く、また圧接性、拡散接合性、ろう付け性、溶接性に優れるからである。一方、Mgは本発明合金において重要な元素であり、アルミニウムとの拡散接合やろう付けに際し、アルミニウム界面に存在する酸化アルミニウムを還元し、接合性を向上させる作用を有する。」 「[0032] 上記アルミニウム接合合金は、通常、以下の工程を経て製造される。まず、成分調整した原料は溶解されて鋳造される。鋳造された鋳塊は、熱間加工され、必要に応じて中間焼鈍が施された後、所望の形態、典型的には板材に冷間加工される。MgはNiにほとんど固溶しないが、急冷凝固などの格別な冷却方法を採らなくても、Mgは鋳塊のNi基地中に微細分散して析出する。」 「[0034] 図1は第1実施形態に係るクラッド材を示しており、鉄鋼,銅,ニッケル,チタンから選択されるいずれかの非アルミニウム金属で形成された非アルミニウム金属層2と、上記アルミニウム接合合金で形成された接合合金層1とを備え、前記非アルミニウム金属層2と接合合金層1とが圧接及び拡散接合により、接合されたものである。圧接及び拡散接合とは、圧接及びその後に拡散接合する場合のみならず、圧接と拡散接合を同時に行う場合を含む。圧接と拡散接合を併用することにより、強固な接合が得られる。」 「[0040] 図4は、上記導電性アルミニウム接合複合材として、パワーモジュール等の電子部品の冷却用部材を示す。この冷却用部材は、第1実施形態のクラッド材の接合合金層1に、アルミニウム材11として、フィンを備えたアルミニウム製冷却器11Aをろう付けしたものである。クラッド材の非アルミニウム金属層(銅層)2は、これに積層される伝熱絶縁基板(DBA基板)からの伝達される熱を冷却器11Aに速やかに伝達するヒートスプレッダーの役目を果たしている。」 「[0042] また、前記冷却用部材として前記導電性アルミニウム接合複合材を用いる場合、非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面にも本発明に係るアルミニウム接合合金で形成した接合合金層を設けることができる。一般的に、伝熱性絶縁基板(DBA基板)は、その両面にニッケルめっきが施されており、銅層に容易にはんだ付けされる。しかし、伝熱性絶縁基板にはニッケルめっきが施されず、アルミニウム層が露出するものがある。このような場合、銅層の他方の表面にも接合合金層を設けておくことにより、伝熱性絶縁基板のアルミニウム層と前記接合合金層とを強固にろう付けすることができる。」 「[0053] 上記各実施形態のクラッド材は、以下の方法により同時一体的に製造することができる。すなわち、クラッド材の各層の元になる、薄板状、シート状あるいはフィルム状の金属材を重ね合わせ、この重合材を冷間圧延により圧下して圧接した後、その圧接材に拡散焼鈍を施して、隣接する層同士を拡散接合する。また、前記圧接材を圧下による圧接を行いながら拡散焼鈍を行い、圧接と同時に拡散接合することができる。拡散焼鈍温度はクラッド材のいずれの層も溶融しない温度範囲内に設定される。前記冷間圧延に際して、必要により中間焼鈍を施してもよい。さらに、拡散焼鈍後に板厚調整のために冷間圧延を施してもよい。」 上記記載及び図面から、引用文献1には次の技術的事項が記載されている。 ・引用文献1に記載された技術は、クラッド材の接合合金層1に、アルミニウム製冷却器11Aをろう付けした冷却用部材に関するものである([0040])。 ・クラッド材は、非アルミニウム金属層(銅層)2と、アルミニウム接合合金で形成された接合合金層1とを備えている([0034]、[0040])。 ・非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面にもアルミニウム接合合金で形成した接合合金層を設けることができ、接合合金層を設けておくことにより、伝熱性絶縁基板のアルミニウム層と接合合金層とを強固にろう付けすることができる([0042])。 ・クラッド材の非アルミニウム金属層(銅層)2は、これに積層される伝熱絶縁基板からの伝達される熱を冷却器11Aに速やかに伝達する([0040])。 ・アルミニウム接合合金は、Mgを0.08mass%以上、0.90mass%以下含み、残部NiからなるNi-Mg合金の板材である([0030]、[0032])。 ・クラッド材は、薄板状の金属材を重ね合わせ接合したのもである([0053])。 したがって、上記記載より引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「非アルミニウム金属層(銅層)2とアルミニウム接合合金で形成された接合合金層1とを備えたクラッド材と、接合合金層1にアルミニウム製冷却器11Aをろう付けした冷却用部材であって、 非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面にもアルミニウム接合合金で形成した接合合金層を設け、該接合合金層は、伝熱性絶縁基板のアルミニウム層を強固にろう付けするためのものであり、 アルミニウム接合合金は、Mgを0.08mass%以上、0.90mass%以下含み、残部NiからなるNi-Mg合金の板材であり、 クラッド材は、薄板状の金属材を重ね合わせ接合したものであり、 非アルミニウム金属層(銅層)2は、これに積層される伝熱性絶縁基板からの熱を冷却器11Aに伝達する、 冷却用部材。」 3 対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「アルミニウム製冷却器11A」、「冷却用部材」は、それぞれ、本願補正発明の「アルミニウム冷却体(26)」、「冷却装置(10)」に相当する。 引用発明は「非アルミニウム金属層(銅層)2とアルミニウム接合合金で形成された接合合金層1とを備えたクラッド材」が、さらに「非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面にもアルミニウム接合合金で形成した接合合金層を設け」ているので、「アルミニウム接合合金で形成された接合合金層」が「クラッド材」の「非アルミニウム金属層(銅層)2」の両面に設けられている。 そして、引用発明の「アルミニウム接合合金」は、Mgを0.08mass%以上、0.90mass%以下含み、残部NiからなるNi-Mg合金の板材であるので、「アルミニウム接合合金で形成された接合合金層」はニッケル層といえる。そうすると、引用発明の「クラッド材」は、ニッケル層が「非アルミニウム金属層(銅層)2」の両面に設けられている。 ここで、本願補正発明の「ニッケルシート片」は「メタルコアと、当該メタルコアを包囲するニッケル層を有し」ており、「ニッケル層」が「メタルコア」の両面に設けられているものであることを考慮すると、引用発明の「クラッド材」は、本願補正発明の「ニッケルシート片(90)」に相当する。 したがって、引用発明の「クラッド材」の「接合合金層1」に「アルミニウム製冷却器11Aをろう付けした冷却用部材」は、本願補正発明の「アルミニウム冷却体(26)と、1つのニッケルシート片(90)とを有する冷却装置(10)」に相当する。 (2)引用発明の「クラッド材」は、「薄板状の金属材を重ね合わせ接合したものであ」るから、その形状は帯状といえる。そして、アルミニウム製冷却器11Aをろう付けする際に切断していることは明らかである。 よって、引用発明の「クラッド材」は、本願補正発明の「ニッケルシート片(90)」に相当するものであるから(上記(1))、本願補正発明の「帯材の切り離しによって形成されて」いる「ニッケルシート片(90)」に相当する。 (3)上記(1)のとおり、引用発明の「クラッド材」は、本願補正発明の「ニッケルシート片(90)」に相当するものであるから、引用発明の「クラッド材」の「接合合金層1」に「アルミニウム製冷却器11Aをろう付け」することは、本願補正発明の「前記ニッケルシート片(90)は、ろう層(36)によって前記アルミニウム冷却体(26)に直接接合されて」いることに相当する。 (4)引用発明は「非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面にもアルミニウム接合合金で形成した接合合金層を設け、該接合合金層は、伝熱性絶縁基板のアルミニウム層を強固にろう付けするためのものであ」るので、「非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面」に形成した「接合合金層」の表面は、「伝熱性絶縁基板」をろう付けするための面であり、本願補正発明の「固定のため」の「固定面(92)」に相当する。 引用発明の「非アルミニウム金属層(銅層)2」は、「これに積層される伝熱絶縁基板からの熱を冷却器11Aに伝達する」ので、上記「接合合金層」の表面は、「伝熱性絶縁基板」からの熱を吸収しており、本願補正発明の「熱吸収のための固定面(92)」に相当する。 したがって、引用発明の「冷却用部材」が「非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面にもアルミニウム接合合金で形成した接合合金層を設け、該接合合金層は、伝熱性絶縁基板のアルミニウム層を強固にろう付けするためのものであ」ることは、本願補正発明の「当該冷却装置(10)は、固定のためかつ熱吸収のための固定面(92)を有して」いることに相当する。 (5)引用発明は「非アルミニウム金属層(銅層)2と、アルミニウム接合合金で形成された接合合金層1とを備えたクラッド材の接合合金層1に、アルミニウム製冷却器11Aをろう付けし」たのであるから、「非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面」に形成した「接合合金層」の表面は、「アルミニウム製冷却器11A」が在る側とは反対側の、「クラッド材」の面である。 そして、引用発明の「クラッド材」は、本願補正発明の「ニッケルシート片(90)」に相当し(上記(1))、引用発明の「非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面」に形成した「接合合金層」の表面は、本願補正発明の「固定面(92)」に相当する(上記(4))。 したがって、引用発明の「非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面にもアルミニウム接合合金で形成した接合合金層」の表面は、本願補正発明の「前記アルミニウム冷却体(26)が在る側とは反対側の、前記ニッケルシート片(90)の面によって構成されて」いる「当該固定面(92)」に相当する。 (6)引用発明の「アルミニウム接合合金」は、Mgを0.08mass%以上、0.90mass%以下含み、残部NiからなるNi-Mg合金の板材であるので、「クラッド材」の「アルミニウム接合合金で形成された接合合金層1」と非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面の「アルミニウム接合合金で形成した接合合金層」は、本願補正発明の「少なくとも70%のニッケル質量百分率のニッケルを有する」「ニッケル層」に相当する構成に含まれる。 そうすると、引用発明の「クラッド材」の「非アルミニウム金属層(銅層)2」は、本願補正発明の「メタルコア」に相当するといえる。 また、引用発明は「非アルミニウム金属層(銅層)2と、アルミニウム接合合金で形成された接合合金層1とを備えたクラッド材」が、さらに「非アルミニウム金属層(銅層)2の他方の表面にもアルミニウム接合合金で形成した接合合金層を設け」ているので、「アルミニウム接合合金で形成された接合合金層」が「非アルミニウム金属層(銅層)2」の両面に設けられている。 したがって、引用発明と、本願補正発明とは、「前記ニッケルシート片は、メタルコアと、当該メタルコアの両面に設けられたニッケル層を有しており、前記ニッケル層は、少なくとも70%のニッケル質量百分率のニッケルを有する」ことで共通する。 但し、本願補正発明は、ニッケル層がメタルコアを「包囲」するのに対し、引用発明は、ニッケル層が非アルミニウム金属層(銅層)2の両面に設けられているが、「包囲」することの特定はない。 すると本願補正発明と引用発明とは、次の(一致点)及び(相違点)を有する。 (一致点) 「アルミニウム冷却体と、1つのニッケルシート片とを有する冷却装置であって、 前記ニッケルシート片は、帯材の切り離しによって形成されており、 前記ニッケルシート片は、ろう層によって前記アルミニウム冷却体に直接接合されており、 当該冷却装置は、固定のためかつ熱吸収のための固定面を有しており、 当該固定面は、前記アルミニウム冷却体が在る側とは反対側の、前記ニッケルシート片の面によって構成されており、 前記ニッケルシート片は、メタルコアと、当該メタルコアの両面に設けられたニッケル層を有しており、前記ニッケル層は、少なくとも70%のニッケル質量百分率のニッケルを有する、 冷却装置。」 (相違点) 本願補正発明は、ニッケル層がメタルコアを「包囲」するのに対し、引用発明は、ニッケル層が非アルミニウム金属層(銅層)2の両面に設けられているが、「包囲」することの特定はない点。 4 判断 上記相違点について検討する。 引用発明の課題は、「アルミニウム製冷却器11A」及び「伝熱性絶縁基板のアルミニウム層」をろう付けする「非アルミニウム金属層(銅層)2」の両面に、アルミニウムとのろう付け性に優れたアルミニウム接合合金を提供することであり(引用文献1の段落[0011]を参照)、「非アルミニウム金属層(銅層)2」の両面に、所定量のMgを含むニッケル層を配置し、「アルミニウム製冷却器11A」及び「伝熱性絶縁基板のアルミニウム層」をろう付けすれば足りるから、ニッケル層を非アルミニウム金属層(銅層)2の両面に設けることと、ニッケル層で非アルミニウム金属層(銅層)2を包囲することは、上記課題に鑑みると同等な手段であり、効果において格別の差異はない。 そうすると、両者の差異は、課題を解決するために具体化された手段における微差であり、実質的な相違ではない。 よって、上記相違点は実質的な相違ではなく、本願補正発明は引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 また、構成上の差異を認めたとして、次に検討する。 引用発明は「クラッド材」を、「薄板状の金属材」とを重ね合わせて冷間圧延及び拡散焼鈍を施して接合し作成するものである。この場合、薄板状の金属材としてどの程度の幅のものを採用するかは、当業者が適宜なし得た事項である。 よって、本願補正発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 5 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成31年4月23日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 [理由] 1 本件補正」の本件補正前の「請求項1」として記載したとおりのものである。 2 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記「第2 [理由] 2 引用文献及びその記載事項」に記載したとおりである。 3 対比、判断 本願発明は、本願補正発明から、上記「第2 [理由] 1 本件補正」で検討した「ニッケルシート片」について、「メタルコアと、当該メタルコアを包囲するニッケル層を有しており、前記ニッケル層は、少なくとも70%のニッケル質量百分率のニッケルを有する」とする限定を削除するものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 [理由] 4 判断」に示したとおり、引用文献1に記載された発明であるから、本願発明も、同様の理由により、引用文献1に記載された発明である。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2019-017186

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決10件(コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング)
  • 2023-018203拒絶査定不服審判 / 2025-01-10 / 請求不成立電子アセンブリ及びその製造方法
    同じ当事者: コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
  • 2022-019304拒絶査定不服審判 / 2023-11-30 / 請求不成立センサ、特に、レーダセンサを、車両に固定するためのホルダ、並びに、ホルダとセンサ…
    同じ当事者: コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
  • 2021-013416拒絶査定不服審判 / 2023-07-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)ヘッドアップディスプレイ
    同じ当事者: コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
  • 2021-001156拒絶査定不服審判 / 2022-01-06 / 原査定取消(特許/登録すべき)制御可能なマスキングディスプレイを有する透明なディスプレイ
    同じ当事者: コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
  • 2020-006517拒絶査定不服審判 / 2021-05-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)電気セラミック構成素子、とりわけ多層圧電アクチュエータ
    同じ当事者: コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,525件(113・H01L、121・H01L、56・H01L ほか)
  • 2020-013105拒絶査定不服審判 / 2021-03-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)熱電発電モジュール
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、572・H01L、575・H01L
  • 2020-006407拒絶査定不服審判 / 2021-01-22 / 請求不成立半導体発光デバイスの表面処理
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、572・H01L、575・H01L
  • 2019-005600拒絶査定不服審判 / 2019-12-13 / 請求不成立レーザ加工装置及びレーザ加工方法
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、572・H01L、575・H01L
  • 2017-012148拒絶査定不服審判 / 2019-03-12 / 請求不成立光電変換素子、撮像装置及び光センサ
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、572・H01L、575・H01L
  • 2024-013328拒絶査定不服審判 / 2026-03-30 / 請求不成立光起電力モジュールの製造方法及び光起電力モジュール
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、575・H01L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存