特許拒絶査定不服審判
2019-016407
可視光で照らされた内容と組み合わされた光波結合に基づく発光ディスプレイ
- 審判番号
- 2019-016407
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-541771外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年12月04日
- 審決日
- 2021年08月19日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .575-WZ (G09F) / P18 .537-WZ (G09F) / P18 .121-WZ (G09F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-541771号「可視光で照らされた内容と組み合わされた光波結合に基づく発光ディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年8月18日国際公開、WO2016/130419、平成30年4月26日国内公表、特表2018-511817号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成28年2月5日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張、2015年2月9日 米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
平成29年10月 6日 :翻訳文の提出
平成30年11月27日付け:拒絶理由通知書
平成31年 3月 1日 :意見書、手続補正書の提出
平成31年 3月26日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 元年 6月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 7月29日付け:補正の却下の決定
令和 元年 7月29日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 8月 6日 :原査定の謄本の送達)
令和 元年12月 4日 :審判請求書の提出
令和 元年12月12日付け:手続補正指令書
令和 2年 1月16日 :手続補正書の提出(請求の理由の補正)
令和 2年11月27日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 4月20日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明について
本願の請求項1~20に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本願発明1」などという。)は、令和3年4月20日に提出された手続補正書により補正された請求項1~20に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
導波路であって、前記導波路は、その上にプリントされているか、コーティングされているか又は載せられているかの少なくとも一つのフォトルミネッセンス画像であって、非励起時は少なくとも50%の透明度を有するフォトルミネッセンス染料から形成されるフォトルミネッセンス画像を備えている、導波路と;
前記導波路に付随する第一の光源であって、前記第一の光源は、前記導波路を通って450nm未満の波長の光を伝送して、前記フォトルミネッセンス画像からの可視光の発光が生じるように構成されている、第一の光源と;
第二の光源と;ディスプレイ要素を提供するエッジ又はバックライト透明層及び対象物体の少なくとも1つと;
前記導波路と、前記第二の光源と前記ディスプレイ要素を提供するエッジ又はバックライト透明層及び対象物体の少なくとも1つとの両方、との間に位置する、光フィルターと;
を備えたディスプレイであって、
前記第二の光源は、点灯されている場合は、前記ディスプレイの光フィルターを通して第二の画像が見えるように構成されており、
前記第二の画像が、前記エッジ又はバックライト透明層上に提供されているか又は前記対象物体によって提供されているかの少なくともいずれかであり、
前記フォトルミネッセンス画像は、1931CIE色度図上で示される(0.3,0.4)、(0.4,0.3)、及び(0.3,0.3)の最小マックスウェル三角形に相当するフルカラースペクトル画像を作成するように構成された3原色フォトルミネッセンス染料を含むフォトルミネッセンスインクで形成されており、前記3原色は組み合わせると白色を形成し、
前記光フィルターは、前記透明層及び対象物体が照明されていない場合に、前記透明層及び対象物体の視認性を低減させ、前記フォトルミネッセンス画像のための暗背景を提供する、
ディスプレイ。」
第3 当審が通知した拒絶の理由
当審が令和2年11月27日付けで通知した拒絶の理由のうち、理由1の概要は、次のとおりである。
理由1(進歩性)
本願の平成31年3月1日付けの手続補正により補正された請求項1~30に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献 1:特開2003-162242号公報
引用文献 2:特開2014-32265号公報
引用文献 6:登録実用新案第3113452号公報
引用文献 8:特開平10-91076号公報
引用文献 9:特表2014-509528号公報
引用文献10:特開2004-317976号公報
第4 当審の判断
当審は、以下に詳述するとおり、引用文献1を主引用例とした理由により、本願発明1は当業者が容易に発明をすることができたものであると判断した。
1 引用文献等
(1)引用文献1に記載された発明
引用文献1(特開2003-162242号公報)には、次の記載がある。
下線は当審が付与した。
「【0011】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]以下、図1を参照して、この発明を腕時計に適用した第1実施形態について説明する。図1はこの発明の腕時計を示した要部の拡大断面図である。この腕時計は、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上部中央には、窓部に相当する時計ガラス2が装着されており、この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール3が押え部材4を介して収納されている。なお、腕時計ケース1の下面には、図示されていないが、裏蓋が防水リングを介して取り付けられている。
【0012】時計モジュール3は、アナログ機能とデジタル機能のうち、少なくともアナログ機能を備えている。すなわち、この時計モジュール3は、ハウジング5に設けられたアナログムーブメント(図示せず)の指針軸6が後述する導光板7およびエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子8と称す。)の貫通孔9を通して導光板7の上方に突出し、この突出した指針軸6の上端部に時針、分針、秒針などの指針10が取り付けられ、これら指針10が導光板7の上方を運針するように構成されている。
【0013】この場合、導光板7は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの透明な合成樹脂からなり、側面から導入した光を上面から出射するように構成されている。この導光板7の上面には、発光部材である発光層11が設けられている。この発光層11は、波長が350~400nm(ナノメートル:ナノは10億分の1メートル)または254~360nmの紫外線に反応して有色発光し、紫外線が照射されない通常状態のときに透明な状態を呈する蛍光体などであり、印刷などにより所定形状に形成され、これにより有色発光したときに文字や図形、模様などの絵柄を色彩をもって表現するように構成されている。この場合、発光層11の発光色は、赤、青、緑(または黄色)の3色を基本として、その色バリエーションが10~13種類ある。なお、導光板7の上面における外周部には、時字14が設けられている。
【0014】押え部材4は、図1に示すように、時計モジュール3の上部外周に位置した状態で、時計モジュール3と腕時計ケース1との間に設けられ、これにより時計モジュール3を腕時計ケース1内に押えるように構成されている。この押え部材4の所定個所、例えば12時側や6時側のいずれか一方、またはその両方に対応する個所には、ブラックライトと呼ばれる紫外線発光素子12が導光板7の側面に対応して設けられている。この紫外線発光素子12は、波長が365nm付近または254~365nmの紫外線領域の光を発光する紫外線灯または紫外線発光ダイオード(LED)などの発光素子で構成され、発生した紫外線領域の光が導光板7の側面から内部に導入され、この導入された光が導光板7の上面から出射されることにより、発光層11に紫外線領域の光を照射するように構成されている。
【0015】また、EL素子8は、下部側の電極基板(カソード電極基板)上にEL層を介して透明な電極基板(アノード電極基板)を設け、この状態で上下の電極基板間に電圧を印加してEL層を発光させることにより、少なくとも可視光線領域の光を上面全体からほぼ均一に面発光する平面型発光素子である。このEL素子8の上面には、光透過性を有する装飾層13が印刷などにより設けられている。この装飾層13は、EL素子8で発光した光が照射されるほか、外部光が時計ガラス2および導光板7を透過して照射され、これにより文字や図形、模様などの絵柄を色彩をもって表現するように構成されている。
【0016】このような腕時計によれば、紫外線がほとんど当らない屋内などの明るい所では、透明な導光板7に設けられた発光層11が透明な状態を呈するので、時計ガラス2を透過して腕時計ケース1内に入射した外部光が、発光層11の影響を受けずに、この発光層11および導光板7を透過してEL素子8の上面に設けられた装飾層13に照射され、これにより装飾層13を腕時計ケース1の外部から時計ガラス2を通して見ることができると共に、この装飾層13の上方に位置する指針10および時字14によって、通常の腕時計と同様に時刻を知ることができる。
【0017】また、紫外線がほとんど当らない屋内などの暗い所で、紫外線発光素子12を発光させると、その紫外線領域の光が導光板7の側面からその内部に入射し、この入射した紫外線領域の光が導光板7で導かれて導光板7の上面から出射され、この出射された紫外線領域の光が導光板7の上面に設けられた発光層11に照射される。これにより、発光層11が紫外線に反応して有色発光するので、この発光層11によって文字や図形、模様などの絵柄を色彩をもって表現することができる。このため、暗い所でも、有色発光した発光層11を腕時計ケース1の外部から時計ガラス2を通して見ることができると共に、この発光層11の有色発光により時刻を知ることができる。
【0018】また、この状態で紫外線発光素子12を発光させずに、EL素子8のみを発光させると、その可視光線領域の光がEL素子8の上面に設けられた装飾層13に照射され、これにより装飾層13が可視光線領域の光で照明されるので、この照明された装飾層13によって文字や図形、模様などの絵柄を色彩をもって表現することができる。このため、暗い所でも、照明された装飾層13を腕時計ケース1の外部から時計ガラス2を通して見ることができると共に、EL素子8の発光により時刻を知ることができる。さらに、紫外線発光素子12とEL素子8との両方を同時に発光させると、発光層11が紫外線発光素子12からの紫外線に反応して有色発光し、これにより文字や図形、模様などの絵柄を色彩をもって表現すると共に、装飾層13がEL素子8からの光によって照明され、これにより文字や図形、模様などの絵柄を色彩をもって表現するので、発光層11と装飾層13の両方の絵柄や色彩を組み合わせて表現することができる。
【0019】このように、この腕時計によれば、紫外線発光素子12とEL素子8とを選択的に発光させて、発光層11と装飾層13とのいずれか一方に光を照射することにより、そのいずれか一方の絵柄や色彩を選択的に表現することができると共に、紫外線発光素子12とEL素子8とを同時に発光させて、発光層11と装飾層13との両方にそれぞれ光を照射することにより、その両方の絵柄や色彩を同時に表現することができる。このため、所望するときに発光層11および装飾層13によって絵柄や色彩を自由に表現することができ、これにより色彩性および装飾性に優れたものを得ることができる。」
「
[図:0001381207000001.jpg]
」
上記記載事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明1]
「腕時計ケース1を備えた腕時計であって、
前記腕時計ケース1の上部中央には、窓部に相当する時計ガラス2が装着され、前記腕時計ケース1の内部には、時計モジュール3が押え部材4を介して収納されており、(【0011】、【図1】)
前記時計モジュール3は、ハウジング5に設けられたアナログムーブメントの指針軸6が導光板7およびEL素子8の貫通孔9を通して導光板7の上方に突出し、この突出した指針軸6の上端部に時針、分針、秒針などの指針10が取り付けられ、これら指針10が導光板7の上方を運針するように構成されており、
(【0012】)
前記導光板7は、透明な合成樹脂からなり、側面から導入した光を上面から出射するように構成されており、前記導光板7の上面には、発光部材である発光層11が設けられ、
前記発光層11は、波長が350~400nmまたは254~360nmの紫外線に反応して有色発光し、紫外線が照射されない通常状態のときに透明な状態を呈する蛍光体などであり、印刷などにより所定形状に形成され、これにより有色発光したときに文字や図形、模様などの絵柄を色彩をもって表現するように構成されており、(【0013】)
前記押え部材4の所定個所には、紫外線発光素子12が導光板7の側面に対応して設けられており、
前記紫外線発光素子12は、波長が365nm付近または254~365nmの紫外線領域の光を発光する紫外線灯または紫外線発光ダイオード(LED)などの発光素子で構成され、
発生した紫外線領域の光が導光板7の側面から内部に導入され、この導入された光が導光板7の上面から出射されることにより、発光層11に紫外線領域の光を照射するように構成されており、(【0014】)
前記EL素子8は、少なくとも可視光線領域の光を上面全体からほぼ均一に面発光する平面型発光素子であり、
前記EL素子8の上面には、光透過性を有する装飾層13が印刷などにより設けられており、この装飾層13は、EL素子8で発光した光が照射されるほか、外部光が時計ガラス2および導光板7を透過して照射され、これにより文字や図形、模様などの絵柄を色彩をもって表現するように構成されており、
(【0015】)
紫外線発光素子12とEL素子8とを選択的に発光させて、発光層11と装飾層13とのいずれか一方に光を照射することにより、そのいずれか一方の絵柄や色彩を選択的に表現することができる腕時計。(【0019】)」
(2)周知技術1
引用文献8(特開平10-91076号公報)には、次の記載がある。
下線は当審が付した。
「【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)図1は本実施形態の車載用複合表示装置の組み付け状態を示す図であり、図2はこれを上から見た概略断面図、図3は左側面から見た概略断面図を示す。ここで、表示装置1は、スピードメータ、タコメータ、燃料計、水温計、積算距離計等が組み合わされた、いわゆる車載用コンビネーションメータである。このコンビネーションメータにおいて、文字盤3の裏面には、水温計、タコメータ、スピードメータ、燃料計の各計器に対応して設けられた照明灯5(51~54)が設けられ、文字盤3の前面には、水温計、タコメータ、スピードメータ、燃料計の各指針4(41~44)が設けられている。各指針41~44は、駆動部6(61~64)により、それぞれの表示を行うためのセンサ(図示しない)からの信号に基づいて駆動される。
【0023】また、スピードメータ、タコメータ、燃料計、水温計、積算距離計等は、文字盤3および指針41、42、43、44により、それぞれの表示を行う自発光の表示部を構成しており、照明灯51、52、53、54を点灯、消灯させることで文字盤3および指針41、42、43、44を点灯、消灯させ、それぞれの表示部を表示状態、非表示状態に切り替えるように構成されている。
【0024】すなわち、図2に示すように、照明灯51、52、53、54(照明灯52、53はリング形状の蛍光灯、照明灯51、54は電球)のそれぞれに導光部材10が設けられており、照明灯51、52、53、54から出射された光の一部が導光部材10を介して透光性樹脂から成る指針41、42、43、44に導かれ、指針41、42、43、44の全体が発光する。また、照明灯51、52、53、54から出射された光の他部は、透光性樹脂より成る文字盤3の目盛部分、数字部分を透過する。なお、文字盤3のうち、これら目盛部分、数字部分の無い領域においては、光は不透過となる。
【0025】~【0028】
(省略)
【0029】そして、本実施形態では、表示装置1と透明EL表示器2の間、具体的には透明EL表示器2の背面板27に密着して減光フィルタ(例えば、スモークガラス)7が取り付けられている。この減光フィルタ7としては、スモークガラス等の着色透明ガラスの他に、例えば多数の網目状黒色線が内部に入った、あるいは表面に形成された透明樹脂板、黒色等の着色地に着色部分の無い透明部分が多数形成された樹脂板で構成しても勿論よい。
【0030】
(省略)
【0031】本実施形態では、図7に示すように、透明EL表示器2が表示するとタコメータ表示部の照明灯52が消灯するよう、スイッチ、リレー等(図示していない)を介してそれらが連動するようになっている。従って、タコメータ表示を見えないようにして、上記したメッセージを効果的に運転者に伝えることができる。図5(b)は、通常走行時の表示状態を表したもので、透明EL表示器2には何も表示されず、その裏側にあるタコメータや水温計等の表示装置1が透けて見えている。
【0032】図6(a)は、走行中に、自動もしくは運転者のスイッチ操作によりナビゲーションシステムからの表示信号を受けて、道路案内をする場合の表示状態を表したもので、透明EL表示器2には、走行中を考慮して、シンプルで比較的大きめの道路案内表示が行われる。この際にも、図5(a)と同様に、表示装置1のタコメータ表示部の照明灯52を消し、タコメータ表示を見えなくすることで、道路案内表示を明瞭にしている。
【0033】図6(b)は、車両が一時停止した状態において、比較的細かい道路案内情報を表示した例であり、車速センサ(図示しない)からの信号により車両が停車したとき、VICS等からの道路情報等に基づき透明EL表示器2に詳細な道路案内を表示させる。ここで、表示装置1の前面に減光フィルタ7を設けない場合には、たとえ、透明EL表示器2の表示に連動して表示装置1の照明を消しても、透明EL表示器2から背面側(表示装置1側)に出射されるEL発光がメータ指針4や文字盤3を照らすため、その反射による不快な写り込みが出る。この写り込みは、メータ指針4に蛍光管が設けられたものや、文字盤3に蛍光塗料等が塗られたものにおいて特に顕著になる。
【0034】これに対し、本実施形態のように表示装置1と透明EL表示器2の間に減光フィルタ7を設けることによって、透明EL表示器2から表示装置1側に出射されるEL発光を減衰させ、その反射による写り込みをなくし、視認性の高い表示を行うことができる。また、減光フィルタ7を設けることによって、各メータを非表示状態としたときのメータの組付け状態を見えなくすることができる。」
「
[図:0001381207000002.jpg]
」
「
[図:0001381207000003.jpg]
」
「
[図:0001381207000004.jpg]
」
上記摘記事項より、引用文献8には、車載用複合表示装置において、スピードメータ、タコメータ、燃料計、水温計、積算距離計等が組み合わされた表示装置1と、透明EL表示器2の間に減光フィルタ(例えば、スモークガラス等の着色透明ガラス)7が取り付けられており、通常走行時の表示状態では、透明EL表示器2には何も表示されず、その裏側にあるタコメータや水温計等の表示装置1の表示内容が照明灯により透けて見えており、道路案内をする場合には、透明EL表示器2に道路案内表示が行われ、表示装置1のタコメータ表示部の照明灯52を消し、タコメータ表示を見えなくすることで、道路案内表示を明瞭にすることが開示されている。
そうすると、次の技術事項は、当業者にとって周知の技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。)。
[周知技術1]
「2つの表示ユニットの間に減光フィルタ(例えば、スモークガラス等の着色透明ガラス)を設けることにより、視認側の透明表示ユニットを表示するときは、その裏側にある表示ユニットからの表示を見えなくし、視認側の透明表示ユニットが非表示のときは、その裏側にある表示ユニットからの表示内容が照明灯により透けて見えるようにして、表示を明瞭にすること。」
(3)周知技術7
当審がこの審決において新たに引用する特開2015-18610号公報(2015年1月29日出願公開)には、次の記載がある。
「【0069】
(第3実施形態)次に、図7を参照して、この発明を腕時計に適用した第3実施形態について説明する。この場合にも、図1および図2に示された第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
この腕時計は、図7に示すように、照明装置30が第1実施形態と異なる構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
【0070】
すなわち、この照明装置30は、図7に示すように、導光板8の上面側に設けられ、紫外線領域の光のみを反射して遮光する透明な紫外線遮光シート31を備えている。また、この照明装置30は、導光板8の下面に設けられた透明な第1蛍光層32と、導光板8の上面に設けられた透明な第2蛍光層33と、紫外線遮光シート31の下面に設けられた透明な第3蛍光層34と、を備えている。
【0071】
この場合、第1蛍光層32は、図7に示すように、第2の光源10が位置する導光板8の下面におけるほぼ右半分の領域、つまり導光板8における光拡散パターン12の密度が密である側に位置するほぼ半分の領域に設けられている。第2蛍光層33は、導光板8の上面に第1蛍光層32と対応するほぼ右半分の領域に設けられている。第3蛍光層34は、紫外線遮光シート31の下面に第1蛍光層32と対応するほぼ右半分の領域に設けられている。
【0072】
これら第1~第3の各透明な蛍光層32~34は、第1実施形態と同様、それぞれ紫外線領域の光が照射されることで電子が励起した際に、可視光線領域内におけるそれぞれ異なる複数の波長の光を発光する多色印刷層である。すなわち、これら第1~第3の各透明な蛍光層32~34は、紫外線領域の光が照射されることで電子が励起した際に、異なる色の可視光線、例えば、赤、青、黄などの異なる波長の光を発光する複数の蛍光インクでそれぞれ多色印刷されている。これにより、第1~第3の各透明な蛍光層32~34は、それぞれ絵柄や文字などを個別にカラー表示するように構成されている。
【0073】
次に、このような腕時計の表示装置3の作用について説明する。
この表示装置3で情報を表示する際に、照明装置30の第1の光源9を点灯させて可視光線領域の光を発光させた場合には、第1実施形態と同様、可視光線領域の光が導光板8の上面からほぼ均一な輝度で放出されて、液晶表示パネル5の下面にほぼ均一な輝度で照射される。このため、液晶表示パネル5の情報が鮮明なコントラストで良好に表示される。
【0074】
一方、照明装置30の第2の光源10を点灯させて紫外線領域の光を発光させた際には、発光した紫外線領域の光が、図2に示すように、導光板8の第2の入射部8bから導光板8内に取り込まれる。この取り込まれた紫外線領域の光は、光拡散パターン12の密度が密側から粗側に向けて拡散されながら進行するが、光拡散パターン12の密度が粗である端部側までは到達しない。
【0075】
このように導光板8内に取り込まれた紫外線領域の光のうち、一部の光は導光板8の下面から放出され、この放出された光が導光板8の下面に設けられた透明な第1蛍光層32に照射され、この照射された紫外線領域の光に第1蛍光層32が反応して可視光線領域の光を発光し、絵柄や文字などをカラー表示する。
【0076】
この第1蛍光層32で発光した絵柄や文字などのカラー表示の可視光線領域の光は、その一部が導光板8内に取り込まれ、他の一部が反射板11で反射されて再び導光板8に取り込まれる。このように導光板8に取り込まれた可視光線領域の光は、導光板8の上面から放出されて、紫外線遮光シート31を透過して液晶表示パネル5の下面に照射される。
【0077】
また、導光板8内に取り込まれた紫外線領域の光のうち、他の一部の光は導光板8の上面から放出され、この放出された一部の光が導光板8の上面に設けられた第2蛍光層33に照射され、この第2蛍光層33で吸収しきれずに漏れた一部の光が第2蛍光層33を通り抜ける。このとき、第2蛍光層33に照射された紫外線領域の光は、第2蛍光層33によって可視光線領域の光に変換されて絵柄や文字などをカラー表示し、このカラー表示した可視光線領域の光が紫外線遮光シート31を透過して上方に放出される。
【0078】
また、第2蛍光層33を通り抜けた紫外線領域の光は、紫外線遮光シート31の下面に設けられた第3蛍光層34によって可視光線領域の光に変換されて絵柄や文字などをカラー表示し、このカラー表示した可視光線領域の光が紫外線遮光シート31を透過して上方に放出される。これにより、第1~第3の各蛍光層32~34によって紫外線領域の光がそれぞれ変換されて絵柄や文字などをカラー表示した可視光線領域の光は、すべて紫外線遮光シート31を透過して液晶表示パネル5の下面に照射される。」
「【図7】
[図:0001381207000005.jpg]
」
上記記載事項から、次の技術事項は、当業者にとって周知の技術であったと認められる(以下「周知技術7」という。)。
[周知技術7]
「導光板の上面や下面に設けられ、導光板内に取り込まれた紫外線領域の光が照射されると赤、青、黄などの異なる波長の光を発光する複数の蛍光インクでそれぞれ多色印刷され、絵柄や文字などをカラー表示する透明な蛍光層。」
(4)周知技術8
当審がこの審決において新たに引用する国際公開2007/139033号には次の記載がある。
「[0025](白色・蛍光染料)
本発明の用途は、特に限定されるものではないが、光源としての用途を考えると、発光色は白色が好ましい。
発光色を白色とする方法としては、3原色または補色関係に発光する複数の発光材料を混合する方法が好ましい。(青-緑-赤の組み合わせや、青緑-オレンジの組み合わせなど)また、特開平7-166161号公報、特開平9-245511号公報、特開2002-62530号公報に記載の青色や青緑色発光の蛍光体と蛍光顔料や蛍光染料を用いて発光の一部を緑色や赤色に波長変換(発光)させて白色化する方法も好ましい。好ましい、蛍光染料としては、ローダミン系の蛍光染料が用いられる。さらに、CIE色度座標(x,y)は、x値が0.30~0.4の範囲で、かつy値が0.30~0.40の範囲が好ましい。」
上記記載事項から、次の技術事項は、当業者にとって周知の技術であったと認められる(以下「周知技術8」という。)。
[周知技術8]
「青、緑、赤色の3原色の発光材料を組み合わせることにより白色発光させる場合に、発光材料中に蛍光染料が含まれるように構成し、CIE色度座標(x,y)のx値が0.30~0.4の範囲、y値が0.30~0.40の範囲になるようにすること。」
2 本願発明1と引用発明1の対比・判断について
(1)対比
本願発明1と引用発明1を対比する。
ア 引用発明1の「導光板7」は、「透明な合成樹脂からなり、側面から導入した光を上面から出射するように構成されて」いるから、本願発明1の「導波路」に相当する。
イ 引用発明1の「前記導光板7の上面」に「設けられ」た「発光部材である発光層11」は、「波長が350~400nmまたは254~360nmの紫外線に反応して有色発光し、紫外線が照射されない通常状態のときに透明な状態を呈する蛍光体などであり、印刷などにより所定形状に形成され、これにより有色発光したときに文字や図形、模様などの絵柄を色彩をもって表現するように構成されて」いるから、この「発光層11」により「表現」される「絵柄」は、本願発明1の「導波路」の「上にプリントされている」「少なくとも一つのフォトルミネッセンス画像」に相当する。
ウ 上記ア及びイの検討内容を踏まえると、引用発明1の「発光層11」が「上面」に設けられた「導光板7」は、本願発明1の「導波路であって、前記導波路は、その上にプリントされている」「少なくとも一つのフォトルミネッセンス画像」「を備えている、導波路」に相当する。
エ 引用発明1の「前記押え部材4の所定個所」に「導光板7の側面に対応して設けられ」る「紫外線発光素子12」は、「波長が365nm付近または254~365nmの紫外線領域の光を発光する紫外線灯または紫外線発光ダイオード(LED)などの発光素子で構成され、発生した紫外線領域の光が導光板7の側面から内部に導入され、この導入された光が導光板7の上面から出射されることにより、発光層11に紫外線領域の光を照射するように構成されて」いるから、上記ウの検討内容を踏まえると、本願発明1の「前記導波路に付随する第一の光源であって、前記第一の光源は、前記導波路を通って450nm未満の波長の光を伝送して、前記フォトルミネッセンス画像からの可視光の発光が生じるように構成されている、第一の光源」に相当する。
オ 引用発明1の「少なくとも可視光線領域の光を上面全体からほぼ均一に面発光する平面型発光素子」である「EL素子8」は、本願発明1の「第二の光源」に相当する。
カ 引用発明1の「EL素子8の上面」に「設けられ」た「光透過性を有する装飾層13」は、本願発明1の「ディスプレイ要素を提供するエッジ又はバックライト透明層」に相当する。
キ 引用発明1の「装飾層13」は、「EL素子8で発光した光が照射される」と、「文字や図形、模様などの絵柄を色彩をもって表現するように構成されて」いるから、このような「色彩をもって表現」された「文字や図形、模様などの絵柄」は、本願発明1の「前記エッジ又はバックライト透明層上に提供されている」「第二の画像」に相当し、引用発明1において、「EL素子8で発光した光が照射される」と、「文字や図形、模様などの絵柄」が「色彩をもって表現」されることは、本願発明1の「前記第二の光源は、点灯されている場合」は、「第二の画像が見えるように構成されて」いることに相当する。
ク 引用発明1の「腕時計」は、「紫外線発光素子12とEL素子8とを選択的に発光させて、発光層11と装飾層13とのいずれか一方に光を照射することにより、そのいずれか一方の絵柄や色彩を選択的に表現することができる」ものであるから、本願発明1の「ディスプレイ」に相当する。
上記対比内容をまとめると、本願発明1と引用発明1は、以下の一致点において一致し、以下の相違点1及び2において相違する。
[一致点]
「導波路であって、前記導波路は、その上にプリントされているか、コーティングされているか又は載せられているかの少なくとも一つのフォトルミネッセンス画像を備えている、導波路と;
前記導波路に付随する第一の光源であって、前記第一の光源は、前記導波路を通って450nm未満の波長の光を伝送して、前記フォトルミネッセンス画像からの可視光の発光が生じるように構成されている、第一の光源と;
第二の光源と;
ディスプレイ要素を提供するエッジ又はバックライト透明層と;
を備えたディスプレイであって、
前記第二の光源は、点灯されている場合は、第二の画像が見えるように構成されており、
前記第二の画像が、前記エッジ又はバックライト透明層上に提供されている、
ディスプレイ。」
[相違点1]
「フォトルミネッセンス画像」について、本願発明1では、「非励起時は少なくとも50%の透明度を有するフォトルミネッセンス染料から形成される」ものであり、「1931CIE色度図上で示される(0.3,0.4)、(0.4,0.3)、及び(0.3,0.3)の最小マックスウェル三角形に相当するフルカラースペクトル画像を作成するように構成された3原色フォトルミネッセンス染料を含むフォトルミネッセンスインクで形成されており、前記3原色は組み合わせると白色を形成」するものであるのに対して、引用発明1では、そのような特定がされていない点。
[相違点2]
本願発明1では、「前記導波路と、前記第二の光源と前記ディスプレイ要素を提供するエッジ又はバックライト透明層及び対象物体の少なくとも1つとの両方、との間に位置する、光フィルター」を備えており、「前記第二の光源」が「点灯されている場合」は、「前記ディスプレイの光フィルターを通して第二の画像が見えるように構成されて」おり、「前記光フィルターは、前記透明層及び対象物体が照明されていない場合に、前記透明層及び対象物体の視認性を低減させ、前記フォトルミネッセンス画像のための暗背景を提供する」ものであるのに対して、引用発明1では、そのような光フィルターを備えていない点。
(2)判断
ア 相違点1について
本願発明1の「フォトルミネッセンス画像」が「非励起時は少なくとも50%の透明度を有するフォトルミネッセンス染料から形成される」ことは、蛍光染料からなる透明な蛍光層が蛍光発光してフォトルミネッセンス画像を形成することを意味するところ、導光板の上面や下面に設けられ、導光板内に取り込まれた紫外線領域の光が照射されると赤、青、黄などの異なる波長の光を発光する複数の蛍光インクでそれぞれ多色印刷され、絵柄や文字などをカラー表示する透明な蛍光層は、周知のものである(周知技術7を参照)。
また、本願発明1の「フォトルミネッセンス画像」が「1931CIE色度図上で示される(0.3,0.4)、(0.4,0.3)、及び(0.3,0.3)の最小マックスウェル三角形に相当するフルカラースペクトル画像を作成するように構成された3原色フォトルミネッセンス染料を含むフォトルミネッセンスインクで形成されており、前記3原色は組み合わせると白色を形成」することは、3原色の蛍光染料を含むインクで形成された蛍光層が発光すると、色度座標上の白色点(0.33、0.33)付近の白色発光が得られることを意味しているところ、青、緑、赤色の3原色の発光材料を組み合わせることにより白色発光させる場合に、発光材料中に蛍光染料が含まれるように構成し、CIE色度座標(x,y)のx値が0.30~0.4の範囲、y値が0.30~0.40の範囲になるようにすることは、周知の技術である(周知技術8を参照)。
したがって、これらの周知の技術を引用発明1の「発光層11」に適用して、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
2つの表示ユニットの間に減光フィルタ(例えば、スモークガラス等の着色透明ガラス)を設けることにより、視認側の透明表示ユニットが表示するときは、その裏側にある表示ユニットからの表示を見えなくし、視認側の透明表示ユニットが非表示のときは、その裏側にある表示ユニットからの表示内容が照明灯により透けて見えるようにして、表示を明瞭にすることは、周知の技術である(周知技術1を参照)。
そして、このような周知技術1を引用発明1の「導光板7」と「装飾層13」の間に適用して、その間に「減光フィルタ」を備えるようにすることにより、「EL素子8」が発光している場合は、この「減光フィルタ」を通して「装飾層13」の「色彩をもって表現」された「文字や図形、模様などの絵柄」が見えるように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、このように配置された「減光フィルタ」は、その後方にある対象物(「装飾層13」)が照明されていない場合には、当該後方対象物が前方(視認側)から見えないようにする機能を有していることは明らかであり、「減光フィルタ」は「スモークガラス等の着色透明ガラス」であるから、減光フィルタの前方に配置された明るい画像(「発光層11」からの発光画像)にとって暗い背景(暗背景)を提供することは明らかである。
したがって、周知技術1を引用発明1に適用して、上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明1の奏する効果は、引用発明1及び周知技術1、7、8の奏する効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ したがって、本願発明1は、引用発明1及び周知技術1、7、8に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 請求人の意見書における主張について
令和3年4月20日に提出した意見書において、請求人は次の主張をしている。下線は当審が付与した。
「(4)本発明の進歩性について
原色のフォトルミネッセンス色を組み合わせて使用することには、上記したように長所と短所があります。しかしながら、本発明のように、第一の画像を提供するフォトルミネッセンス画像と、第2の画像を提供する要素(透明層上の画像又は前記対象物体)とを、その間に光フィルターを配置して組み合わせることにより、不十分な画像コントラスト及び不完全な輪郭という、一定の透明度を有するフォトルミネッセンスインクを用いた場合に生じる欠点を取り除くことができます。
さらに、上述したように、第一の画像を提供するフォトルミネッセンス画像と、第二の画像を提供する要素(透明層上の画像又は前記対象物体)と、その間に配置した光フィルターとの組み合わせによれば、低コスト、低エネルギー消費、蛍光体劣化の低減、大型で均一に照明されたディスプレイを作成できること等の種々のメリットを実現することができます。また、本発明の構成によれば、光フィルターの上方において複数個の導波路で照射された画像を用いることもできますが、このような単一の光フィルターの使用は、引用文献2において「スモーク印刷」の繰り返し層が必要となる構成とは対照的です。
本願発明のように、黒を含まない原色のカラールミネッセンスインクを用いて導波路上に透明度の高い画像を提供するとともに、これを導波路と第二の画像を提供する要素との間に配置した光フィルターを組み合わせることは新規なものであり、かつ引用発明からは推察し得ない利点を提供するものです。
したがって、本願発明は、引用発明に対して進歩性を有するものと思料します。」
しかしながら、前記2(2)において説示したとおり、請求人の主張する本願発明1の効果は、引用発明1及び周知技術1、7、8の奏する効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。
第5 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明1は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-016407