特許拒絶査定不服審判
2019-013597
表示装置
- 審判番号
- 2019-013597
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-221581外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年10月10日
- 審決日
- 2020年08月17日
- 公報発行日
- 2020年10月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社半導体エネルギー研究所
- 分類
- P18 .121-WY (G09F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-221581号「表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年3月15日出願公開、特開2018-41101号、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成20年9月12日にした特許出願(特願2008-234603号)を優先権の主張の基礎として平成21年9月8日にした特許出願(特願2009-206653号)の一部を平成27年5月5日に新たな特許出願(特願2015-94498号)とし、その一部を平成29年2月2日に新たな特許出願(特願2017-17709号)とし、その一部を平成29年11月17日に新たな特許出願(特願2017-221581号)としたものであって、上記優先権の主張を伴うものである。
本願については、平成30年9月25日付けの拒絶理由通知に対し、同年11月29日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年2月20日付けの最後の拒絶理由通知に対し、令和元年6月27日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和元年7月5日付けで、令和元年6月27日にした補正が却下され、拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされた(原査定の謄本の送達日:同年7月16日)。
これに対して、令和元年10月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明4」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
なお、本願発明1の各構成については、当審が符号A~H(G-1等の枝番も含む)を用いて分説した。
「【請求項1】
A 画素部と、駆動回路部と、端子部と、FPCとを有する表示装置であって、
B 前記画素部は、第1のトランジスタを有し、
C 前記第1のトランジスタは、
チャネル形成領域を有する半導体層と、
絶縁層を介して、前記チャネル形成領域と重なる第1の導電層と、
前記半導体層と電気的に接続された第2の導電層と、を有し、
D 前記駆動回路部は、前記画素部を駆動する駆動回路を有し、
E 前記駆動回路は、第2のトランジスタを有し、
F 前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、同層に形成されたものであり、
G 前記端子部は、
G-1 前記第1の導電層と同層の第3の導電層と、
G-2 前記第2の導電層と同層の第4の導電層と、を有し、
G-3 前記第4の導電層は、前記絶縁層を介して前記第3の導電層と重なり、
G-4 前記第4の導電層は、前記FPCと電気的に接続し、
G-5 前記第4の導電層は、前記第2のトランジスタと電気的に接続し、
G-6 前記第1の導電層と前記第3の導電層は、基板に接し、
G-7 前記第3の導電層は、前記駆動回路部、及び前記画素部と電気的に導通せず、
G-8 前記第3の導電層の電位は、フローティングである
H 表示装置。
【請求項2】
画素部と、駆動回路部と、端子部と、FPCとを有する表示装置であって、
前記画素部は、第1のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタは、
チャネル形成領域を有する半導体層と、
絶縁層を介して、前記チャネル形成領域と重なる第1の導電層と、
前記半導体層と電気的に接続された第2の導電層と、を有し、
前記駆動回路部は、前記画素部を駆動する駆動回路を有し、
前記駆動回路は、第2のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、同層に形成されたものであり、
前記絶縁層は、前記第1の導電層の側面に接する領域を有し、
前記端子部は、
前記第1の導電層と同層の第3の導電層と、
前記第2の導電層と同層の第4の導電層と、を有し、
前記第4の導電層は、前記絶縁層を介して前記第3の導電層と重なり、
前記第4の導電層は、前記FPCと電気的に接続し、
前記第4の導電層は、前記第2のトランジスタと電気的に接続し、
前記第3の導電層は、前記駆動回路部、及び前記画素部と電気的に導通せず、
前記第3の導電層の電位は、フローティングである表示装置。
【請求項3】
画素部と、駆動回路部と、端子部と、FPCとを有する表示装置であって、
前記画素部は、第1のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタは、
チャネル形成領域を有する半導体層と、
絶縁層を介して、前記チャネル形成領域と重なる第1の導電層と、
前記半導体層と電気的に接続された第2の導電層と、を有し、
前記駆動回路部は、前記画素部を駆動する駆動回路を有し、
前記駆動回路は、第2のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、同層に形成されたものであり、
前記端子部は、
前記第1の導電層と同層の第3の導電層と、
前記第2の導電層と同層の第4の導電層と、を有し、
前記第4の導電層は、前記絶縁層を介して前記第3の導電層と重なり、
前記第4の導電層は、前記FPCと電気的に接続し、
前記第4の導電層は、前記第2のトランジスタと電気的に接続し、
前記第4の導電層は、前記絶縁層に接し、
前記第3の導電層は、前記駆動回路部、及び前記画素部と電気的に導通せず、
前記第3の導電層の電位は、フローティングである表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第2の導電層は、前記半導体層よりも低抵抗であり且つ前記半導体層と同じ材料を有する半導体領域を介して、前記半導体層と電気的に接続している表示装置。」
第3 原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
本件補正前の請求項1~4に係る発明は、下記の引用文献1~4に記載された発明に基いて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2008-203856号公報
引用文献2:特開2005-215343号公報
引用文献3:特開平5-203994号公報
引用文献4:国際公開第2007/139198号
なお、引用文献2~4は、周知技術を示す文献として引用されている。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
「【0019】
図1は、本発明の実施形態による表示基板の概略図である。
【0020】
図1を参照すると、表示基板200はベース基板(GS)を含む。前記ベース基板(GS)内には複数のアクティブ領域10が形成されている。
【0021】
前記アクティブ領域10は、薄膜トランジスタと、画素電極を含む単位画素の定義された画素領域(PA)と、前記画素領域(PA)に駆動信号を印加するための周辺領域(CA)とを含む。
【0022】
前記周辺領域(CA)は、画像を制御するための制御信号を発生させるプリント回路基板(PCB)と、前記プリント回路基板と前記画素領域とを電気的に接続させる可撓性プリント回路基板と、前記制御信号を駆動信号に変更させる駆動チップ(Integratedcircuit、IC)などが配置される領域であって、前記駆動チップと前記データラインとを電気的に接続させるためのICパッド及び前記可撓性プリント回路基板を装着させるためのFPCパッド(可撓性プリント回路用パッド)のような複数のパッド11が形成される。
【0023】
また、前記ベース基板(GS)上には前記表示基板200の製造工程時に発生する静電気をベース基板(GS)全面に分散させるために、前記それぞれのアクティブ領域10を囲むようにガードリング20が形成される。それぞれのアクティブ領域10を囲むそれぞれのガードリング20は、電気的に互いに接続される。
【0024】
一方、前記表示基板200の全体領域のうち、液晶表示装置のような表示装置に実質的に適用される領域は、前記アクティブ領域10であり、前記アクティブ領域10は、スクライビング工程によって切断され、表示装置のアレイ基板に用いられる。
【0025】
したがって、前記ガードリング20の形成された領域は、前記スクライビング工程の後に廃棄される領域であり、前記接続ライン15は、前記スクライビング工程時に切断される。
【0026】
前記スクライビング工程によって前記アクティブ領域10をアレイ基板に用いる複数の表示装置が形成され、それぞれの表示装置には前記接続ライン15の一部のみが残留するようになる。
【0027】
図2は、図1の領域Aを拡大して示した拡大図である。図3は、図2のI-I’及びII-II’に沿って見た断面図である。
【0028】
図1ないし図3を参照すると、前記画素領域(PA)にはゲートライン(GL)が第1方向に延長され、データライン(DL)が前記第1方向と交差する第2方向に延長される。また、前記画素領域(PA)には複数の単位画素(P)が定義される。前記ゲートライン(GL)は、ベース基板(GS)上に形成され、第1金属パターンから形成される。前記第1金属パターンの形成された前記ベース基板(GS)上にはゲート絶縁層110が形成される。前記ゲート絶縁層110は、例えば、窒化シリコン(SiNx)または酸化シリコン(SiOx)で形成することができる。
【0029】
前記データライン(DL)は、前記ゲート絶縁層110上に形成され、第2金属パターンに形成される。換言すれば、本実施形態においては、第1金属パターンと第2金属パターンとの間にゲート絶縁層110が第1絶縁層として形成されることとなる。前記単位画素(P)には、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)及び前記薄膜トランジスタ(TFT)と電気的に接続された画素電極(PE)が形成される。
【0030】
具体的に、各薄膜トランジスタ(TFT)は、ゲート電極(G)、チャンネル層(A)、ソース電極(S)、及びドレイン電極(D)を含む。前記ゲート電極(G)は、前記ゲートライン(GL)から突出して形成された第1金属パターンである。
【0031】
前記チャンネル層(A)は、前記ゲート電極(G)に重なるように前記ゲート絶縁層110上に形成され、一例として非晶質シリコンからなる半導体121層及びイオンドープされた非晶質シリコンからなるオーミックコンタクト層122の積層された構造に形成される。
【0032】
前記ソース電極(S)は、データライン(DL)から突出して形成された第2金属パターンである。ここで、前記ソース電極(S)は、前記チャンネル層(A)と一部が重なる。前記ドレイン電極(D)は、前記ソース電極(S)と同様に第2金属パターンから形成され、前記ソース電極(S)から所定間隔に離隔して前記チャンネル層(A)と一部が重なる。
【0033】~【0035】
(省略)
【0036】
前記周辺領域(CA)には、図1で前述したように駆動チップと前記データライン(DL)とを電気的に接続させるためのICパッド及び前記可撓性プリント回路基板を装着させるためのFPCパッドのような複数のパッド11が形成される。ここで、図2ないし図3では、前記複数のパッド11のうち、FPCパッドを例に挙げて図示及び説明し、前記FPCパッド12は別途の図面符号を付与する。」
「【0072】
図10は、図1の領域Aを本発明の他の実施形態によって示した拡大図である。図11は、図10のIII-III’及びIV-IV’に沿って見た断面図である。本発明の更に他の実施形態による液晶表示パネル用表示基板は、周辺領域(CA)に形成されたFPCパッド12と接続ライン15との接続関係を除くと、前述した本発明の実施形態と同一の構成を有するので、それの重複される説明は省略し、同一の構成要素に対しては同一の図面符号及び名称を付与する。
【0073】
図10及び図11を参照すると、前記PFCパッド12は、周辺領域(CA)に形成された回路線(CL)に接続されて形成される。前記FPCパッド12は、前記ゲートライン(GL)を形成する第1金属パターンや前記データライン(DL)を形成する第2金属パターンのうち、少なくとも一つで形成された金属パッド層13と、前記金属パッド層13に電気的に接続され、前記画素電極(PE)と同一層から形成された透明パッド層14を含む。
【0074】
図11では、前記金属パッド層13を前記第2金属パターンのみで示したが、前記金属パッド層13は、前記第2金属パターンのみから形成することができ、前記第1金属パターン上に第2金属パターンの積層された構造に形成することもできる。前記金属パッド層13が第1金属パターン上に第2金属パターンの積層された構造に形成される場合、ゲート絶縁層110内には前記金属パッド層13を構成する第1金属パターンと第2金属パターンとを電気的に接続するためのホールが形成される。換言すれば、第1金属パターンから形成される第1パッドと第2金属パターンから形成される第2金属パッドが、第1絶縁層ホールを通じて電気的に接続される。
【0075】
前記金属パッド層13と前記透明パッド層14との間には、前記パッシベーション層130及び有機絶縁層140が形成されており、前記パッシベーション層130及び前記有機絶縁層140内には、前記金属パッド層13を一部露出させる第3ホール(H3)が形成される。
【0076】
前記透明パッド層14は、第3ホール(H3)を通じて前記金属パッド層13と電気的に接続され、前記金属パッド層13より狭い面積に形成することが望ましい。
【0077】
前記接続ライン15は、前記FPCパッド12の金属パッド層13から所定間隔に離隔して形成され、ゲートライン(GL)と同様に第1金属パターンから形成される。ここで、前記ゲート絶縁層110上には、前記接続ライン15の両端部に対応して第1カバーパターン17及び第2カバーパターン18を形成することができる。前記第1カバーパターン17と前記第2カバーパターン18は第2金属パターンから形成され、前記ゲート絶縁層110内に形成されたホール(図示せず)を通じて前記接続ライン15と接続する。
【0078】
また、前記パッシベーション層130及び有機絶縁層140内には、前記第1カバーパターン17を露出させる第1ホール(H1)及び第2カバーパターン18を露出させる第2ホール(H2)が形成される。前記第1ホール(H1)及び第2ホール(H2)それぞれは、一つのホールとして形成することができ、図10に示したように複数のホールとして形成することもできる。
【0079】
前記透明パッド層14は、前記第2ホール(H2)を通じて前記第2カバーパターン18と接続する。前記ガードリング20は、前記第1ホール(H1)を通じて前記第1カバーパターン17と接続する。
【0080】
これによって、前記FPCパッド12、前記接続ライン15、及び前記ガードリング20は電気的に接続される。したがって、表示基板200の製造工程中に静電気が発生する場合、表示基板200の表面に放電された静電気は、前記透明パッド層14、接続ライン15、ガードリング20を通じてベース基板(GS)の全面に分散することができる。」
「【0110】
図19は、本発明の実施形態による表示装置の概略図である。
【0111】
図1及び図19参照すると、本発明の実施形態による表示装置600は、一例として、第1基板300、第2基板400、及び前記第1基板300と第2基板400との間に介在された液晶層(図示せず)を含む液晶表示装置600である。ここで、前記液晶表示装置600は、図1で前述した表示基板200のアクティブ領域10を前記第1基板300に用いる。
【0112】
具体的に、前記第1基板300は、図1の表示基板200のうち、アクティブ領域10に沿って切断して形成した基板であって、薄膜トランジスタ及び信号ラインの形成されたアレイ基板である。換言すれば、表示基板200は第1基板用母基板となる。」
「【0116】
図20は、図19の領域Bを拡大して示した拡大図である。
【0117】
図1、図2、及び図20を参照すると、前記アクティブ領域10に沿って前記表示基板200を切断するスクライビング工程によって前記表示基板200上に形成された接続ライン15が切断され、前記表示装置600の第1基板300上には接続ライン15の一部である接続ライン残留部30のみが残留する。
【0118】
即ち、前記接続ライン残留部30は、FPCパッド12のようなパッド11にそれぞれ接続され、前記第1基板300の縁部方向に延長し、前記第1基板300の縁部で切断された形状に残る。
【0119】
前記接続ライン残留部30は、本発明の第1実施形態ないし第2実施形態による表示基板で前述した接続ライン15と同一の層に形成され、同様の工程によって形成されるので、これに対する詳細な説明は省略する。」
「【図1】
」
「【図2】
」
「【図3】
」
「【図11】
」
「【図19】
」
「【図20】
」
上記記載内容及び上記図示内容を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「第1基板300、第2基板400、及び前記第1基板300と前記第2基板400との間に介在された液晶層を含む液晶表示装置600であって、
(【0111】、【図19】)
前記第1基板300は、ベース基板(GS)内に形成された複数のアクティブ領域10に沿って第1基板用母基板である表示基板200を切断して形成したアレイ基板であり、
(【0020】、【0112】、【図1】)
前記アクティブ領域10は、単位画素の定義された画素領域(PA)と、前記画素領域(PA)に駆動信号を印加するための周辺領域(CA)とを含み、(【0021】、【図1】)
前記画素領域(PA)には、複数の単位画素(P)が定義され、前記単位画素(P)には、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)及び前記薄膜トランジスタ(TFT)と電気的に接続された画素電極(PE)が形成され、(【0028】~【0029】、【図2】)
各薄膜トランジスタ(TFT)は、ゲート電極(G)、チャンネル層(A)、ソース電極(S)、及びドレイン電極(D)を含み、
前記ゲート電極(G)は、ベース基板(GS)上に形成されたゲートライン(GL)から突出して形成された第1金属パターンであり、
(【0028】、【0030】、【図2】)
前記チャンネル層(A)は、前記ゲート電極(G)に重なるようにゲート絶縁層110上に形成され、
前記ソース電極(S)は、データライン(DL)から突出して形成された第2金属パターンであり、前記チャンネル層(A)と一部が重なり、
前記ドレイン電極(D)は、前記ソース電極(S)と同様に第2金属パターンから形成され、前記ソース電極(S)から所定間隔に離隔して前記チャンネル層(A)と一部が重なり、
(【0031】~【0032】、【図3】)
前記周辺領域(CA)には、画像を制御するための制御信号を発生させるプリント回路基板(PCB)と、前記プリント回路基板と前記画素領域とを電気的に接続させる可撓性プリント回路基板と、前記制御信号を駆動信号に変更させる駆動チップ(Integratedcircuit、IC)などが配置される領域であって、前記駆動チップと前記データラインとを電気的に接続させるためのICパッド及び前記可撓性プリント回路基板を装着させるためのFPCパッド12(可撓性プリント回路用パッド)のような複数のパッド11が形成され、
(【0022】、【0036】、【図1】、【図2】)
前記FPCパッド12は、前記データライン(DL)を形成する第2金属パターンのみから形成された金属パッド層13と、第3ホール(H3)を通じて前記金属パッド層13に電気的に接続され、前記画素電極(PE)と同一層から形成された透明パッド層14を含み、
(【0073】~【0074】、【0076】、【図11】)
前記ゲートライン(GL)と同様に第1金属パターンからなる接続ライン15が、前記FPCパッド12の金属パッド層13から所定間隔に離隔して形成され、
前記ゲート絶縁層110上には、前記接続ライン15の両端部に対応して、第2金属パターンからなる第1カバーパターン17及び第2カバーパターン18が形成され、
前記第1カバーパターン17及び前記第2カバーパターン18は、前記ゲート絶縁層110内に形成されたホールを通じて前記接続ライン15と接続され、(【0077】、【図11】)
前記透明パッド層14は、第2ホール(H2)を通じて前記第2カバーパターン18と接続され、(【0079】、【図11】)
前記表示基板200の製造工程時に発生する静電気をベース基板(GS)全面に分散させるために、前記ベース基板(GS)上のそれぞれのアクティブ領域10を囲むように形成されたガードリング20が、第1ホール(H1)を通じて前記第1カバーパターン17と接続され、
これによって、前記FPCパッド12、前記接続ライン15、及び前記ガードリング20は電気的に接続され、
(【0023】、【0079】~【0080】、【図11】)
前記アクティブ領域10に沿って前記表示基板200を切断するスクライビング工程によって前記表示基板200上に形成された接続ライン15が切断され、前記ガードリング20の形成された領域は、前記スクライビング工程の後に廃棄されて、前記表示装置600の第1基板300上には接続ライン15の一部である接続ライン残留部30のみが残留し、
(【0025】~【0026】、【0117】、【図20】)
前記接続ライン残留部30は、前記接続ライン15と同一の層に形成され、FPCパッド12に接続され、前記第1基板300の縁部方向に延長し、前記第1基板300の縁部で切断された形状に残る、
(【0118】~【0119】)
液晶表示装置600。」
2 引用文献2
引用文献2の【0048】~【0068】、【図4】には、次の技術事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
[引用文献2記載事項]
「液晶表示装置において、(【0048】)
画素電極21がソースバスライン18と重なるように配置され、
(【0057】)
ソースバスライン18の、画素電極21に対向している面とは反対の面の側(下側)で、ソースバスライン18の一つ下層の絶縁体である層間絶縁膜17を挟んだ位置に、ゲートバスライン15と同層にシールド電極31が形成され、(【0063】、【0065】)
シールド電極31は、フローティング配置されており、(【0066】)
シールド電極31は、画像表示のためにデータ信号をソースバスライン18に印加すると発生する画素電極21とソースバスライン18との間の電界を遮蔽して、画素電極21とソースバスライン18とが重なった部分に形成される寄生容量を低減すること。(【0057】)」
「【図4】
」
3 引用文献3
引用文献3の【0025】、【0034】、【図1】、【図2】には、次の技術事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
[引用文献3記載事項]
「TFTアレイ基板115と、それに対向する対向電極を有する対向基板と、この対向基板とTFTアレイ基板115との間に挟持された液晶層とからその主要部が構成され液晶表示装置において、
前記TFTアレイ基板115には、ガラス絶縁基板101上に列設された走査線103と、これに交差して列設された信号線105と、これら走査線103および信号線105に接続されたTFT107と、これに接続された画素電極109と、ゲート絶縁層111を介して画素電極109の周縁部の四辺全てに重なるとともに信号線105の一部に重なるシールド電極113が形成されており、(【0034】)
前記のシールド電極113は、電気的にフローティング状態であること。(【0025】)」
「【図1】
」
「【図2】
」
4 引用文献4
引用文献4の段落[0021]~[0024]、[図1]、[図2]には、次の技術事項(以下、「引用文献4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
[引用文献4記載事項]
「半透過型液晶表示装置において、([0021])
透明絶縁基板であるガラス基板1上に信号線4及び走査線25が交差して形成され、信号線4及び走査線25に囲まれた領域には画素電極が形成されており、
前記画素電極は光を透過させる透明電極6及び光を反射させる反射電極8からなり、反射電極8は透明電極6の周囲を囲む枠部を備えており、枠部の一部は信号線4に沿って平行に形成されており、
信号線4及び走査線25の交点付近には薄膜トランジスタ26が形成され、画素電極は薄膜トランジスタ26に接続されており、([0022])
ガラス基板1上には遮光膜2が形成され、この遮光膜2を覆うようにガラス基板1上にはゲート絶縁膜3が形成されており、
ゲート絶縁膜3上には信号線4が形成され、信号線4の幅は遮光膜2の幅よりも小さく、平面視すれば、信号線4は遮光膜2に重合し、遮光膜2は信号線4に沿って延設されており、
前記遮光膜2は電気的にフローティングされた金属膜であること。
([0023])」
「[図1]
」
「[図2]
」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
なお、対比の見出しは、本願発明1の構成の符号A、B等に対応させた記号(a)、(b)等を用いている。
(a)引用発明の「第1基板用母基板である表示基板200を切断して形成したアレイ基板」である「第1基板300」の「アクティブ領域10」に含まれる「画素領域(PA)」において「定義され」た「単位画素」は、本願発明1の「画素部」に相当する。
また、引用発明の「アクティブ領域10」に含まれる「前記画素領域(PA)に駆動信号を印加するための周辺領域(CA)」には、「画像を制御するための制御信号を発生させるプリント回路基板(PCB)と、前記プリント回路基板と前記画素領域とを電気的に接続させる可撓性プリント回路基板と、前記制御信号を駆動信号に変更させる駆動チップ(Integratedcircuit、IC)などが配置」されるから、かかる配置後の「駆動チップ」は、本願発明1の「駆動回路部」に相当し、かかる配置後の「可撓性プリント回路基板」は、本願発明1の「FPC」に相当する。
さらに、引用発明の「周辺領域(CA)」には、「前記駆動チップと前記データラインとを電気的に接続させるためのICパッド及び前記可撓性プリント回路基板を装着させるためのFPCパッド12(可撓性プリント回路用パッド)のような複数のパッド11が形成され」ており、この「FPCパッド12」が、本願発明1の「端子部」に相当する。
そうすると、引用発明の「第1基板300」「を含む液晶表示装置600」は、本願発明1の構成Aの「画素部と、駆動回路部と、端子部と、FPCとを有する表示装置」に相当する。
(b)引用発明の「スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)」は、本願発明1の「第1のトランジスタ」に相当する。
よって、引用発明の「画素領域(PA)」に「定義され」た「複数の単位画素(P)」に「スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)」が「形成され」ていることは、本願発明1の構成Bの「前記画素部は、第1のトランジスタを有」することに相当する。
(c)引用発明の「薄膜トランジスタ(TFT)」に含まれる「チャンネル層(A)」は、本願発明1の「第1のトランジスタ」の「チャネル形成領域を有する半導体層」に相当する。
また、引用発明の「チャンネル層(A)」は、「ゲート電極(G)に重なるようにゲート絶縁層110上に形成され」るから、この「ゲート絶縁層110」及び「ゲート電極(G)」は、それぞれ本願発明1の「絶縁層」及び「前記チャネル形成領域と重なる第1の導電層」に相当する。
さらに、引用発明の「チャンネル層(A)と一部が重な」る「ソース電極(S)」及び「ドレイン電極(D)」は、本願発明1の「前記半導体層と電気的に接続された第2の導電層」に相当する。
よって、引用発明の「薄膜トランジスタ(TFT)」は、本願発明1の構成Cに相当する構成を備えている。
(d)引用発明の「アクティブ領域10」に含まれる「前記画素領域(PA)に駆動信号を印加するための周辺領域(CA)」に配置された「駆動チップ(Integratedcircuit、IC)」は、「画素領域(PA)」に「定義され」た「複数の単位画素(P)」にある「スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)」を駆動する回路を有していると認められる。
よって、引用発明の「駆動チップ(Integratedcircuit、IC)」は、本願発明1の構成Dの「前記画素部を駆動する駆動回路」を有する「前記駆動回路部」に相当する。
(g-1)引用発明の「接続ライン残留部30」は、「スクライビング工程によって」「切断され」た「接続ライン15の一部」が「残留」したものであり、「接続ライン15」は、「ゲートライン(GL)と同様に第1金属パターンからな」り、「前記ゲート電極(G)は、ベース基板(GS)上に形成されたゲートライン(GL)から突出して形成された第1金属パターン」であるから、引用発明の「ゲート電極(G)」と「接続ライン残留部30」は同層で形成されているといえる。
よって、引用発明の「接続ライン残留部30」は、本願発明1の構成G-1の「前記第1の導電層と同層の第3の導電層」に相当する。
(g-6)引用発明の「ゲート電極(G)」と「接続ライン残留部30」は、「ベース基板(GS)上」に同層で形成されているといえるから、このことは、本願発明1の構成G-6の「前記第1の導電層と前記第3の導電層は、基板に接」することに相当する。
(g-2)引用発明の「ゲート絶縁層110上」に、「接続ライン15の両端部に対応して」形成された「第2金属パターンからなる第1カバーパターン17及び第2カバーパターン18」のうち、「第2カバーパターン18」は、「ソース電極(S)」及び「ドレイン電極(D)」と同様に「第2金属パターン」から形成されているから、本願発明1の構成G-2の「前記第2の導電層と同層の第4の導電層」に相当する。
(g-3)引用発明の「前記第2カバーパターン18は、前記ゲート絶縁層110内に形成されたホールを通じて前記接続ライン15と接続され」るから、「第2カバーパターン18」と「接続ライン残留部30」は、「ゲート絶縁層110」を介して重なっているといえる。このことは、本願発明1の構成G-3の「前記第4の導電層は、前記絶縁層を介して前記第3の導電層と重な」ることに相当する。
(g-4)引用発明の「FPCパッド12」の「透明パッド層14」は、「第2ホール(H2)を通じて前記第2カバーパターン18と接続され」ているから、引用発明において「FPCパッド12」に「可撓性プリント回路基板」(FPC)が「装着」されることは、本願発明1の構成G-4の「前記第4の導電層は、前記FPCと電気的に接続」されることに相当する。
(g)引用発明の「接続ライン残留部30」は「第2カバーパターン18」を介して「FPCパッド12に接続され」るから、「接続ライン残留部30」(本願発明1の「第3の導電層」に相当)及び「第2カバーパターン18」(本願発明1の「第4の導電層」に相当)は、「FPCパッド12」(本願発明1の「端子部」に相当)に属しているといえる。
そして、このことは、本願発明1の構成Gの「端子部」が「第3の導電層」と「第4の導電層」とを有することに相当する。
(h)上記(a)において検討した内容を踏まえると、引用発明の「液晶表示装置600」は、本願発明1の構成Hの「表示装置」に相当する。
以上より、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1及び2で相違する。
[一致点]
「画素部と、駆動回路部と、端子部と、FPCとを有する表示装置であって、
前記画素部は、第1のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタは、
チャネル形成領域を有する半導体層と、
絶縁層を介して、前記チャネル形成領域と重なる第1の導電層と、
前記半導体層と電気的に接続された第2の導電層と、を有し、
前記駆動回路部は、前記画素部を駆動する駆動回路を有し、
前記端子部は、
前記第1の導電層と同層の第3の導電層と、
前記第2の導電層と同層の第4の導電層と、を有し、
前記第4の導電層は、前記絶縁層を介して前記第3の導電層と重なり、
前記第4の導電層は、前記FPCと電気的に接続し、
前記第1の導電層と前記第3の導電層は、基板に接する、
表示装置。」
[相違点1]
本願発明1では、「前記駆動回路は、第2のトランジスタを有し」(構成E)、「前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、同層に形成されたものであり」(構成F)、「前記第4の導電層は、前記第2のトランジスタと電気的に接続」(構成G-5)されたものであるのに対して、引用発明の「駆動チップ」の回路には、「第2カバーパターン18」と電気的に接続されたトランジスタが含まれていると認められるとしても、当該トランジスタは、「画素領域(PA)」に「定義され」た「複数の単位画素(P)」にある「スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)」と同層に形成されたものではない点。
[相違点2]
本願発明1では、「前記第3の導電層は、前記駆動回路部、及び前記画素部と電気的に導通せず」(構成G-7)、「前記第3の導電層の電位は、フローティングである」(構成G-8)のに対して、引用発明の「接続ライン残留部30」は「FPCパッド12に接続され」ており、「駆動チップ」に電気的に導通していないとはいえず、その電位はフローティングであるともいえない点。
(2)判断
事案に鑑み、まず上記相違点2について、検討する。
ア 本願発明1において、「前記第3の導電層は、前記駆動回路部、及び前記画素部と電気的に導通せず」(構成G-7)、「前記第3の導電層の電位は、フローティングである」(構成G-8)としているのは、本願の明細書の段落【0080】に「また、図7(B1)において、端子部では、ゲート配線と同じ材料で形成される電極156が、ソース配線と電気的に接続される第2の端子150の下方にゲート絶縁層102を介して重なる。電極156は第2の端子150とは電気的に接続しておらず、電極156を第2の端子150と異なる電位、例えばフローティング、GND、0Vなどに設定すれば、ノイズ対策のための容量または静電気対策のための容量を形成することができる。また、第2の端子150は、保護絶縁膜154を介して透明導電膜155と電気的に接続している。」との記載があることから、ゲート配線と同じ材料で形成される電極156(「第3の導電層」)と、ソース配線と電気的に接続される第2の端子150(「第4の導電層」)とを、ゲート絶縁層102(152)を介して重ね、電極156を第2の端子150と異なる電位にして、ノイズ対策のための容量または静電気対策のための容量を端子部において形成するためである。
イ 他方、引用発明では、「表示基板200の製造工程時に発生する静電気をベース基板(GS)全面に分散させるために、前記ベース基板(GS)上のそれぞれのアクティブ領域10を囲むように」「ガードリング20」が形成されているものの、「前記アクティブ領域10に沿って前記表示基板200を切断するスクライビング工程によって前記表示基板200上に形成された接続ライン15が切断され」ると、「前記ガードリング20の形成された領域は、前記スクライビング工程の後に廃棄されて、前記表示装置600の第1基板300上には接続ライン15の一部である接続ライン残留部30のみが残留」するから、「液晶表示装置600」として完成した後の「第1基板300」には、静電気対策として「ガードリング20」はもはや存在しないことになる。
そうすると、引用発明では、「接続ライン残留部30」を含む「FPCパッド12」周辺において、静電気対策を講じようとする契機を見いだすことはできない。
ウ この点に関し、表示装置の誤動作を防ぐために、信号線の耐ノイズ性を高めることは一般的な課題であり、また、信号線の近傍にフローティング電位のシールド電極を設けることは、上記引用文献2~4に記載されているように周知の技術である。
エ しかしながら、上記周知の技術は、いずれも画素部周辺においてフローティング電位のシールド電極を設けるものであって、画素部から離れた端子部周辺において設けられるものではないから、表示装置の誤動作を防ぐために、信号線の耐ノイズ性を高めることが一般的な課題であるとしても、かかるノイズ対策を画素部周辺ではなく、端子部周辺において実施しようとする契機を欠く引用発明に上記周知の技術を適用すること自体がそもそも困難であり、よって、上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることは当業者といえども困難であるというべきである。
オ そうすると、引用発明に上記引用文献2~4記載事項を如何に適用しても、上記相違点2に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者にとって容易に想到し得たものであるとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2~4について
本願発明2~4も、上記相違点2に係る本願発明1の構成と同じものを含むから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 小括
上記1及び2において検討したとおりであるから、本願発明1~4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
第6 原査定について
原査定は、本件補正前の請求項1~4に係る発明が、引用文献1~4に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとしている。
しかしながら、上記第5の3において述べたとおり、本願発明1~4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえないから、原査定の拒絶の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-013597