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特許拒絶査定不服審判

2019-011657

音響階段装置

審判番号
2019-011657
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-088787
請求日
2019年09月04日
審決日
2020年10月20日
公報発行日
2021年02月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社エクスプロア
  • 【請求人代理人】友野 英三
審判長/審判官
  • 審判長 清水 正一
  • 審判官 間宮 嘉誉
  • 審判官 川崎 優
分類
P18 .121-WZ (G10H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014- 88787「音響階段装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月19日出願公開、特開2015-206960〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 経緯 本件出願は、平成26年4月23日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成29年12月27日付け:拒絶理由通知 平成30年 4月 2日  :意見書の提出及び手続補正 平成30年 9月26日付け:拒絶理由通知 平成30年12月25日  :意見書の提出及び手続補正 令和 元年 5月28日付け:拒絶査定 令和 元年 6月 4日  :拒絶査定の謄本の送達 令和 元年 9月 4日  :審判請求及び手続補正 令和 元年10月17日  :手続補正(審判請求書の補正) 令和 2年 3月11日  :前置報告 令和 2年 4月30日付け:当審の拒絶理由通知 令和 2年 7月13日  :意見書の提出及び手続補正 第2 本願発明について 1 本願発明 本願の請求項に係る発明は、令和2年7月13日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載した事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 なお、各構成の符号(A)~(E)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成A~構成Eと称する。 (本願発明) 「【請求項1】 (B)階段ステップの一端から狭ビームの光を階段ステップ面に略平行に発信する光発信器であって前記階段ステップの段に対応して該階段の一方の側壁に設けられる複数の光発信器と、 (C)前記階段の前記一方の側壁と対向する他方の側壁の前記複数の光発信器の各々からの前記狭ビームの光が到来する位置に前記階段ステップの段ごとに前記複数の光発信器に対応して張り付けられることで前記階段ステップの前記他端側の配線工事を伴うことなく設置され、入射光を該入射の方向と同じ方向に反射する複数の回帰反射板と、 (D)前記複数の回帰反射板によって回帰反射された複数の狭ビームの反射光を前記光発信器至近で受信できるよう前記階段ステップの段ごとに前記複数の回帰反射板に対応して前記階段の前記一方の側壁の前記光発信器の至近に配置され前記回帰反射板の面積よりも小さな面積を有する受光開口部をそれぞれ有している複数の受光器と、 (E)前記狭ビームの反射光が正当に受信されている状態において、該狭ビームの光が階段乗降者の足によって遮断されることにより途絶えると、該途絶えた光信号に係る階段ステップの段を非接触検出して、該検出した階段ステップの段に対応させて設定した音響をスピーカより発音する音響発生部と (A)を具備することを特徴とする音響階段装置。」 2 引用文献に記載された発明及び技術 (1)引用文献1について ア 引用文献1の記載事項 令和2年4月30日付けの当審の拒絶の理由に記載された引用文献1である特許第5442839号公報には、「音響階段装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は、強調のために当審で付したものである。 (ア)「【0001】 本発明は、階段乗降者の足の位置によって階段ステップごとに設定した音響を発生させる音響階段装置に関するものである。」 (イ)「【0026】 図1は本発明の一実施形態に係る音響階段装置の全体的な概要を示した概念的斜視図で、非接触センサとして光を用いた例を示している。階段ステップの踏み面ST1~ST7の一端には狭ビーム光送信器TX1~TX7を設置する。該ステップ踏み面ST1~ST7の他端の該狭ビーム光線の指向方向に光受信器RX1~RX7を設置する。図1では光送信機と光受信器を階段乗降者の邪魔にならないよう階段側壁に組み込んだ例を示している。なお、前述した如く、ステップごとに光送信機と光受信器の位置を入れ替えて光の回り込み防止を考慮してもよい。」 (ウ)「【図1】 」 (エ)「【0031】 階段ステップ踏み面の一端に設置されたTX1~TX7の各光送信器は、電源が供給されると階段ステップ踏み面に平行に狭ビーム光線を送信し、ステップの他端に設置されたRX1~RX2の光受信器に受信される。光受信器は光受信がとだえたとき、音響起動信号を音響発生器に送出する。音響発生器13は、光受信器RX1~RX7からの音響起動信号を受け、RX1~RX7に予め設定した、たとえばド、レ、ミ、・・・、シのような音響をスピーカSから発音する。なお、各光受信器RX1~RXnに小型の音響発生器とスピーカを内蔵して音響を発生してもよい。 【0032】 図1においては、ステップST1,ST4,ST5,ST7では二人の階段乗降者P1、P2によって光線が遮断されておらず、階段乗降者P1の足がステップ踏み面ST2,ST3にかかり、階段乗降者P2の足がST6にかかり、両乗降者の足によって順次光線が遮断され各光線受信器RX2,RX3,RX6から音響駆動信号が音響発生器に送られ、たとえばST1~ST7の各ステップに設定した音響をド、レ、ミ、・・・、シとしておけば、乗降者の足が各ステップにかかった順に、レ、ミ、ラの音響がスピーカSより発音される。」 (オ)「【0040】 さらに、本発明は階段ステップの両端に小型装置を設置するだけで、階段ステップ自体に工事をしないため設置が大変容易で、通行を中断することなく設置工事を行うことも可能である。」 イ 図1について 上記ア(ウ)に摘記した図1の記載を参照すると、TX1~TX7は、階段ステップの段に対応して、該階段の一方の側壁に設けられている。 また、図1の記載を参照すると、TX1~TX7と対応して表示された、各矢印が到達する、又は各矢印の延長線上にある、TX1~TX7と対向する他方の側壁の位置に、階段ステップの段ごとにRX1~RX7が設けられている。 ウ 引用文献1に記載された発明 上記ア(ア)~(オ)に摘記した記載事項及び上記イで検討した事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 なお、各構成の符号(a)~(e)は説明のために当審において付したものであり、以下、構成a~eと称する。また、各構成の末尾に、対応する段落番号等を示す。 また、引用文献1には「送信器」と「送信機」の表記揺れが存在するため、以下では、「送信器」に統一して認定を行った。 (引用発明) (a)階段乗降者の足の位置によって階段ステップごとに設定した音響を発生させる音響階段装置であって、【0001】 (b)階段ステップの踏み面ST1~ST7の一端には狭ビーム光送信器TX1~TX7を設置し、【0026】 (c)該ステップ踏み面ST1~ST7の他端の該狭ビーム光線の指向方向に光受信器RX1~RX7を設置し、【0026】 (d1)光送信器と光受信器は階段乗降者の邪魔にならないよう階段側壁に組み込まれており、【0026】 (b1)階段ステップ踏み面の一端に設置されたTX1~TX7の各光送信器は、電源が供給されると階段ステップ踏み面に平行に狭ビーム光線を送信し、【0031】 (c1)ステップの他端に設置されたRX1~RX2の光受信器に受信され、【0031】 (c2)光受信器は光受信がとだえたとき、音響起動信号を音響発生器に送出し、【0031】 (e)音響発生器13は、光受信器RX1~RX7からの音響起動信号を受け、RX1~RX7に予め設定した、たとえばド、レ、ミ、・・・、シのような音響をスピーカSから発音し、【0031】 (d2)階段ステップの両端に小型装置を設置するだけで、階段ステップ自体に工事をしないため設置が大変容易で、通行を中断することなく設置工事を行うことも可能である、【0040】 (b2)TX1~TX7は、階段ステップの段に対応して、該階段の一方の側壁に設けられ、【上記イ】 (c3)TX1~TX7と対向する他方の側壁の位置に、階段ステップの段ごとにRX1~RX7が設けられている、【上記イ】 (a)音響階段装置。 (2)引用文献2及び3について ア 引用文献2について (ア)引用文献2の記載事項 令和2年4月30日付けの当審の拒絶の理由に記載された引用文献2である特開平6-160528号公報には、「偏光回帰型光電センサ」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は、強調のために当審で付したものである。 a 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、監視空間に偏光を投光するとともに監視空間からの偏光を受光し、受光した偏光の振動方向に基づいて光路上の物体の存否を検出する偏光回帰型光電センサに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、この種の偏光回帰型光電センサとして、図5に示すように、ケース1に形成した挿着孔1a,1bに投光素子4および受光素子5(図6参照)を取付け、投光素子4および受光素子5の前方(図5の上方)において、各挿着孔1a,1bをそれぞれ塞ぐように偏光フィルタ2a,2bをケース1に取り付けた構成の偏光回帰型光電センサが提供されている。各挿着孔1a,1bの前端部の内周面には段差部1dが形成され、この段差部1dにはレンズ6a,6bが装着される。また、偏光フィルタ2a,2bは矩形状であって、ケース1の前端部に固着される前面カバー7とレンズ6a,6bの前面との間で挟装される。前面カバー7はケース1の前面に突設された溶着用突起1cを用いて超音波溶着などの方法によってケース1に固着される。図6に示すように、投光素子4は、投光回路13により駆動され、受光素子5の出力は受光回路14に入力されて、受光光量に基づいて物体の存否が検出されるようになっている。 【0003】この種の偏光回帰型光電センサは、図7に示すように、回帰ミラー8とともに用いられるものであって、回帰ミラー8は、入射光の振動方向を90度回転させた後に入射方向と同じ方向に出射するように構成されている。この種の回帰ミラー8としては、図8のような四面体であるコーナキューブ11を反射面に多数個配列したものなどが知られている。コーナキューブ11では、1つの面から入射した光線はコーナキューブ11の他の3面により順に反射された後に元の1面から出射され、この間に入射光の振動方向が90度回転するようになっている。 【0004】したがって、投光素子4の前方の偏光フィルタ2aと受光素子5の前方の偏光フィルタ2bとを互いに振動方向が直交する偏光を通過させるように配置しておけば、投光素子4から回帰ミラー8に照射された光線の反射光を受光素子5に入射させることができるのである。一方、偏光フィルタ2a,2bと回帰ミラー8との間の光路上にガラスのように正反射を生じる物体12(一般に鏡面物体と呼称されている)が存在するときに、物体12の表面では入射光と出射光との振動方向に変化が生じないから、投光素子4から物体12に照射された光の反射光は偏光フィルタ2bにより阻止されて受光素子5には到達しないことになる。このように、光路上での物体12の存否によって受光素子5での受光光量に変化が生じるから、受光素子5の出力に基づいて物体12の存否を検出することができるのである。」 b 「【図5】 【図6】 【図7】 」 (イ)引用文献2に記載された技術 上記(ア)a~bに摘記した記載事項から、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2技術」という。)が記載されているものと認められる。 (引用文献2技術) 監視空間に偏光を投光するとともに監視空間からの偏光を受光し、受光した偏光の振動方向に基づいて光路上の物体の存否を検出する偏光回帰型光電センサであって、 ケース1に形成した挿着孔1a,1bに投光素子4および受光素子5(図6参照)を取付けた構成の偏光回帰型光電センサであって、 投光素子4は、投光回路13により駆動され、受光素子5の出力は受光回路14に入力されて、受光光量に基づいて物体の存否が検出されるようになっており、 偏光回帰型光電センサは、回帰ミラー8とともに用いられるものであって、回帰ミラー8は、入射光の振動方向を90度回転させた後に入射方向と同じ方向に出射するように構成されており、 投光素子4から回帰ミラー8に照射された光線の反射光を受光素子5に入射させることができ、 光路上での物体12の存否によって受光素子5での受光光量に変化が生じるから、受光素子5の出力に基づいて物体12の存否を検出することができる、 偏光回帰型光電センサ。 イ 引用文献3について (ア)引用文献3の記載事項 令和2年4月30日付けの当審の拒絶の理由に記載された引用文献3である実願昭59-48790号(実開昭60-160440号)のマイクロフィルムには、「反射型光電スイツチ」(考案の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は、強調のために当審で付したものである。 a 「  考案の分野 本考案は投光部と受光部が一体に形成された反射型光電スイッチに関し、特に入射光を回帰反射板によってそのまま受光部に反射させる回帰反射型光電スイッチに関するものである。 従来技術とその問題点 従来の回帰反射型光電スイッチは第1図に示すように投光部1と受光部2との光軸が平行に配置され、光電スイッチの投受光部1,2と所定距離を隔てて入射光と平行に反射光を帰す回帰反射板であるリフレックスリフレクタ3が設けられている。そして被検出物体が光行路にない待機状態では、投光部1から照射された光はリフレックスリフレクタ3によって反射されその反射光を受光部2で受光しており、図中破線で示すように物体4がその光行路を遮断して受光部に反射光が与えられなくなればそれに基づいて物体を検出するようにしている。 しかるにこのような回帰反射型光電スイッチにあっては、物体の表面反射が少なければ投光部からの光が遮られるため物体を検出することが可能である。」(第2ページ第4行~第3ページ第5行) b 「第1図 」 (イ)引用文献3に記載された技術 上記(ア)a~bに摘記した記載事項から、引用文献3には、次の技術(以下、「引用文献3技術」という。)が記載されているものと認められる。 (引用文献3技術) 投光部と受光部が一体に形成された反射型光電スイッチであって、 特に入射光を回帰反射板によってそのまま受光部に反射させる回帰反射型光電スイッチであり、 回帰反射型光電スイッチは投光部1と受光部2との光軸が平行に配置され、光電スイッチの投受光部1,2と所定距離を隔てて入射光と平行に反射光を帰す回帰反射板であるリフレックスリフレクタ3が設けられており、 被検出物体が光行路にない待機状態では、投光部1から照射された光はリフレックスリフレクタ3によって反射されその反射光を受光部2で受光しており、 物体4がその光行路を遮断して受光部に反射光が与えられなくなればそれに基づいて物体を検出するようにされ、 物体の表面反射が少なければ投光部からの光が遮られるため物体を検出することが可能である、 反射型光電スイッチ。 (3)参考文献について 本件出願の特許出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった参考文献に、以下のものがある。 なお、参考文献2はホームページ内に複数のタブを含むものであるから、「種類・価格」のタブをURL1に、「寸法図」のタブをURL2に示した。 参考文献1 株式会社オートニクス、“近接センサ, 光電センサ,度調節器,カウンタ,タイマ,マルチパネルメータ,ステッピングモータ,ステッピングモータドライバ,表示灯 - Autonics”、[online]、平成25年3月13日、[令和2年9月29日検索]、インターネット<URL:http://web.archive.org/web/20130313113431/http://autonics.jp/products/products_detail.php?catecode=01/02/02&db_uid=18> 参考文献2 パナソニック株式会社、“小型ビームセンサ[アンプ内蔵] CX-400 Ver.2種類・価格 | 制御機器 | 電子デバイス・産業用機器 | Panasonic”、“小型ビームセンサ[アンプ内蔵] CX-400 Ver.2寸法図 | 制御機器 | 電子デバイス・産業用機器 | Panasonic”、[online]、平成23年4月7日、[令和2年9月29日検索]、インターネット、<URL1:http://web.archive.org/web/20130407001858/http://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/sensor/photoelectric/cx-400/price/index.jsp>、<URL2: http://web.archive.org/web/20130407000842/http://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/sensor/photoelectric/cx-400/size_figure/index.jsp> ア 参考文献1について (ア)参考文献1の記載事項 参考文献1には、「小型高機能、長距離検出型 光電センサ」に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は、強調のために当審で付したものである。 a 「バックグラウンドサプレス方式(B.G.S) 採用により背景物体の影響を最小化 小型高機能の光電センサBJシリーズに、コネクタ型(長距離検出タイプ)に引き続き、BGS反射形を追加することで使用者の選択幅がより広くなりました。バックグラウンドサプレス(Background Suppress)機能を採用し、背景物体の影響を減らしたBGS反射形は、検出体の色や材質による誤差範囲を最小化することで、より安定的で向上した検出性能を発揮します。 BJシリーズは、高性能レンズの採用で長距離検出を実現し、優れた耐ノイズ特性及びインバータ外乱光の影響を最小化し、世界レベルの検出性能を発揮します。さらに相互干渉防止機能により密着取り付けが可能、コンパクトサイズにより狭いスペースでの設置が容易です。また長距離検出タイプ、BGS反射形、微小スポットタイプ、透明体検出タイプなどのモデル構成で多様な使用者環境に適用することができます。」 b 「外形寸法図 」 c 「接続図 」 (イ)参考文献1の記載事項について 上記(ア)aにあるとおり、参考文献1には光電センサが記載されている。 また、上記(ア)cの「Poloarized retroreflective」(仮訳:偏向回帰反射)の図によれば、参考文献1に記載の光電センサは、「Sensing target」(仮訳:被検出物体)が、光電センサから投光されて回帰反射板で反射される光を遮ることで減少する光量から被検出物体を検出するものでことは明らかである。 さらに、上記(ア)bの外形寸法を参照すると、「受光部光軸」及び「投光部光軸」を含む開口は、縦幅が(32-2.7-4.3)=25mmを超えず(最上段左から4つ目の図のネジの軸間の距離から)、横幅は10.6mmである(最上段左から3つ目の図から)。 対して、回帰反射板は、縦横の寸法が60.5mm×40.5mmであり、ネジ止めのために除かれる2つの部分の縦横の寸法は、いずれも(60.5-52)=8.5mm×(40.5-34)=6.5mmである。 してみれば、光電センサの開口部の面積は最大で265mm2であり、回帰反射板の面積は2339.75mm2であるから、光電センサの開口部の面積は回帰反射板の面積よりも小さいといえる。 (ウ)参考文献1に記載された技術 上記(イ)における検討結果から、参考文献1には次の技術(以下、「参考文献1技術」という。)が記載されているものと認められる。 (参考文献1技術) 投光部及び受光部を有する光電センサの受光部を含む開口の面積を回帰反射板の面積よりも小さいものとする技術。 イ 参考文献2について (ア)参考文献2の「種類・価格」タブの記載事項 参考文献2の「種類・価格」タブには、「小型ビームセンサ」に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は、強調のために当審で付したものである。 a 「スタンダードタイプ 」 b 「(注2): ミラー反射型の検出距離は、反射ミラーRF-230に対する値です。また、検出距離は検出物体検出可能範囲を示します。 下表の検出距離Aは、検出物体の形状などにより変わる場合があります。必ず実際の検出物体で動作確認を行なってください。」 c 「 」 (イ)参考文献2の「寸法図」タブの記載事項 参考文献2の「寸法図」タブには、「小型ビームセンサ」に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 a 「CX-49□ CX-48□ CX-42□ センサ 」 b 「RF-230 反射ミラー(ベーシックタイプを除くミラー反射型に付属) 」 (ウ)参考文献2の記載事項について 上記(ア)a~cによれば、参考文献2には、センサ及び反射ミラーからなる物体検出のための小型ビームセンサが記載されている。 また、上記(ア)aから、ミラー反射型の製品の型式名は、CX-491、CX-493、CX-481及びCX-483である。 上記(イ)aは、CX-49□、CX-48□及びCX-42□の寸法図であって、各型番の「□」には任意の数字等が入るものと解されるから、上記(ア)aのミラー反射型のセンサである、CX-491、CX-493、CX-481及びCX-483の寸法は、いずれも上記(イ)aによって示されるものと認められる。 また、上記(イ)bは、上記(ア)bにおいてミラー反射型のセンサと共に用いられる反射ミラーRF-230の寸法図である。 そして、上記(イ)aの記載から、センサの受光部を含む開口の縦幅は25.4mmを超えず(右下図のネジの軸間の距離から)、横幅は11.2mmを超えない(左下図のセンサ全幅から)ものである。 また、上記(イ)bの記載から、反射ミラーの縦横の寸法は、49.3mm×50.3mmである。 してみれば、センサの開口部の面積は最大で284.48mm2であり、反射ミラーの面積は2479.79mm2であるから、センサの開口部の面積は反射ミラーの面積よりも小さいといえる。 (エ)参考文献2に記載された技術 上記(ウ)における検討結果から、参考文献2には、次の技術(以下、「参考文献2技術」という。)が記載されているものと認められる。 (参考文献2技術) 投光部及び受光部を有する、物体検出のための小型ビームセンサの受光部を含む開口の面積を反射ミラーの面積よりも小さいものとする技術。 3 対比 本願発明の構成A~Eを引用発明の構成a~d2と対比する。 (1)構成Bについて 引用発明の、構成b~b2の、複数の狭ビーム光送信器は、本願発明の構成Bの「階段ステップの一端から狭ビームの光を階段ステップ面に略平行に発信する光発信器であって前記階段ステップの段に対応して該階段の一方の側壁に設けられる複数の光発信器」に相当する。 (2)構成Cについて 引用発明は、構成c~c2にあるとおり、狭ビーム光発信器と対向する位置に光受信器を具備する。 そして、引用発明の「光受信器」は、「前記階段の前記一方の側壁と対向する他方の側壁の前記複数の光発信器の各々からの前記狭ビームの光が到来する位置に前記階段ステップの段ごとに前記複数の光発信器に対応して」設けられる点で、本願発明の「回帰反射板」とその設置位置について共通する。 しかしながら、構成Cに関して、本願発明と引用発明とは、本願発明が「前記階段の前記一方の側壁と対向する他方の側壁の前記複数の光発信器の各々からの前記狭ビームの光が到来する位置に前記階段ステップの段ごとに前記複数の光発信器に対応して張り付けられることで前記階段ステップの前記他端側の配線工事を伴うことなく設置され、入射光を該入射の方向と同じ方向に反射する複数の回帰反射板」を有するのに対し、引用発明は「張り付けられることで前記階段ステップの前記他端側の配線工事を伴うことなく設置され、入射光を該入射の方向と同じ方向に反射する複数の回帰反射板」を有しない点で相違する。 (3)構成Dについて 引用発明は、構成c~c2にあるとおり、狭ビーム光発信器と対向する位置に光受信器を具備することから、「前記階段ステップの段ごとに配置された複数の受光器」を有するといえる。 他方で、引用発明の受光器は、「前記複数の回帰反射板によって回帰反射された複数の狭ビームの反射光を前記光発信器至近で受信できるよう前記複数の回帰反射板に対応して前記階段の前記一方の側壁の前記光発信器の至近に配置」されたものではない。 さらに、引用発明の受光器は、「前記回帰反射板の面積よりも小さな面積を有する受光開口部をそれぞれ有している」ものではない。 したがって、構成Dに関して、本願発明と引用発明とは、「前記階段ステップの段ごとに配置された複数の受光器」を有する点で共通する。 しかしながら、本願発明と引用発明とは、「受光器」に関して、本願発明は「前記複数の回帰反射板によって回帰反射された複数の狭ビームの反射光を前記光発信器至近で受信できるよう前記複数の回帰反射板に対応して前記階段の前記一方の側壁の前記光発信器の至近に配置」されたものであるのに対し、引用発明は、狭ビーム光発信器からの光を直接受光する位置に配置されたものである点で相違する。 さらに、本願発明と引用発明とは、「受光器」に関して、本願発明は「前記回帰反射板の面積よりも小さな面積を有する受光開口部をそれぞれ有」するものであるのに対し、引用発明は、そもそも回帰反射板を備えない点で相違する。 (4)構成Eについて 引用発明の構成eの音響発生器は、構成c1~c2及びeにあるとおり、本願発明の構成Eの「前記狭ビームの反射光が正当に受信されている状態において、該狭ビームの光が階段乗降者の足によって遮断されることにより途絶えると、該途絶えた光信号に係る階段ステップの段を非接触検出して、該検出した階段ステップの段に対応させて設定した音響をスピーカより発音する音響発生部」に相当する。 (5)構成Aについて 引用発明は、構成aにあるとおり、「音響階段装置」である。 したがって、構成Aに関して、本願発明と引用発明とは、「音響階段装置」である点で共通する。 (6)まとめ 以上をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 なお、構成の一部が共通する構成については、一致点の構成の名称に「’」を付した。 [一致点] (B)階段ステップの一端から狭ビームの光を階段ステップ面に略平行に発信する光発信器であって前記階段ステップの段に対応して該階段の一方の側壁に設けられる複数の光発信器と、 (D’)前記階段ステップの段ごとに配置されている複数の受光器と、 (E)前記狭ビームの反射光が正当に受信されている状態において、該狭ビームの光が階段乗降者の足によって遮断されることにより途絶えると、該途絶えた光信号に係る階段ステップの段を非接触検出して、該検出した階段ステップの段に対応させて設定した音響をスピーカより発音する音響発生部と (A)を具備することを特徴とする音響階段装置。 [相違点1] 本願発明が「前記階段の前記一方の側壁と対向する他方の側壁の前記複数の光発信器の各々からの前記狭ビームの光が到来する位置に前記階段ステップの段ごとに前記複数の光発信器に対応して張り付けられることで前記階段ステップの前記他端側の配線工事を伴うことなく設置され、入射光を該入射の方向と同じ方向に反射する複数の回帰反射板」を有するのに対し、引用発明はそのような構成を有しない点。 [相違点2] 「受光器」に関して、本願発明は「前記複数の回帰反射板によって回帰反射された複数の狭ビームの反射光を前記光発信器至近で受信できるよう前記複数の回帰反射板に対応して前記階段の前記一方の側壁の前記光発信器の至近に配置」されたものであるのに対し、引用発明は、狭ビーム光発信器からの光を直接受光する位置に配置されたものである点。 [相違点3] 「受光器」に関して、本願発明は「前記回帰反射板の面積よりも小さな面積を有する受光開口部をそれぞれ有」するものであるのに対し、引用発明は、そもそも回帰反射板を備えない点。 4 判断 (1)相違点1及び2について 上記2(2)ア(イ)にて認定した引用文献2技術及び上記2(2)イ(イ)にて認定した引用文献3技術にもあるとおり、物体検出の技術分野においては、次の周知技術(以下、「周知技術1」という。)が認められる。 (周知技術1) 投光部及び受光部を有する光電センサ並びに回帰反射板からなる、物体を検出するための技術であって、 投光部と受光部の光軸を平行に配置し、 各構成は、被検出物体が光行路にない状態では投光部から照射された光が回帰反射板で反射されて受光部で受光するように配置され、 受光部における受光光量に基づいて物体を検出する技術。 引用発明において、階段乗降者の足の存否を検出する際、階段ステップの踏み面の一端に設置された送信器と他端に設置された受信器を用いた物体検出センサに換えて周知技術1を採用することは、物体検出という共通の作用、機能を有する構成の置換であるから、当業者が容易に想到し得たことである。 その際、反射ミラーや反射板のような平板状の構成を、張付けという方法によって設置することは、当業者が必要に応じて適宜なし得ることである。 また、反射ミラー(反射板)を設置する際に何ら配線工事が必要ではないことは自明であるから、反射ミラー(反射板)の設置が「前記階段ステップの前記他端側の配線工事を伴うことなく」実施されることは、引用発明に周知技術1を適用すれば当然に奏せされる効果であって格別のものではない。 したがって、引用発明において、 「(C)前記階段の前記一方の側壁と対向する他方の側壁の前記複数の光発信器の各々からの前記狭ビームの光が到来する位置に前記階段ステップの段ごとに前記複数の光発信器に対応して張り付けられることで前記階段ステップの前記他端側の配線工事を伴うことなく設置され、入射光を該入射の方向と同じ方向に反射する複数の回帰反射板」 及び 「前記複数の回帰反射板によって回帰反射された複数の狭ビームの反射光を前記光発信器至近で受信できるよう前記複数の回帰反射板に対応して前記階段の前記一方の側壁の前記光発信器の至近に配置」された「受光器」 を備えるものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (2)相違点3について 上記2(3)ア(ウ)にて認定した参考文献1技術及び上記2(3)イ(エ)にて認定した参考文献2技術は、いずれも投光部及び受光部を有するセンサ並びに回帰反射板(反射ミラー)からなる物体検出のための技術である。 また、いずれのセンサの受光部を含む開口も、その面積は回帰反射板(反射ミラー)よりも小さい。 したがって、物体検出の技術分野においては、次の周知技術(以下、「周知技術2」という。)が認められる。 (周知技術2) 投光部及び受光部を有するセンサ並びに回帰反射板からなる物体検出器において、受光部を含む開口の面積を回帰反射板の面積よりも小さなものとする技術。 そして、周知技術2のとおり、投光部及び受光部を有するセンサ並びに回帰反射板からなる物体検出器において、受光部を含む開口の面積を回帰反射板の面積よりも小さなものとすることは通常のことにすぎない。 したがって、引用発明に周知技術1を採用するに当たって、「回帰反射板の面積よりも小さな面積を有する受光開口部」を有する「受光器」を採用することに格別の困難性は見いだせない。 よって、引用発明において、 「前記回帰反射板の面積よりも小さな面積を有する受光開口部をそれぞれ有」する「受光器」 を備えるものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (3)本願発明の効果について 本願発明の構成は、上記(1)及び(2)において検討したとおり、当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到し得た構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものがあるとは認められない。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2及び3に記載された周知技術並びに参考文献1及び2に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第3 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2及び3に記載された周知技術並びに参考文献1及び2に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について言及するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-011657

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