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特許拒絶査定不服審判

2019-009720

画像表示装置

審判番号
2019-009720
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-135754外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年07月23日
審決日
2020年06月15日
公報発行日
2020年09月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-135754「画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月19日出願公開、特開2017- 16071〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 この審判事件に関する出願(以下、「本願」という。)は、平成27年7月7日の特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年11月 9日付け:拒絶理由通知書 平成31年 1月 9日  :意見書、手続補正書の提出 令和 1年 5月27日付け:拒絶査定 (以下、「原査定」という。原査定の謄本の送達日は令和1年6月4日) 令和 1年 7月23日  :審判請求書の提出 第2 本願に係る発明 本願の請求項1~5に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明5」という。)は、平成31年1月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち本願発明1は、次のとおりである。 「【請求項1】 表示パネルと、 前記表示パネルを背面から照明するバックライトと、 外部に対する出力対象となる通信データを作成する通信データ作成手段と、 前記バックライトの輝度をPWM制御によって調整するためのPWM信号であって、前記通信データ作成手段によって作成された通信データが重畳されたPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、 前記PWM信号生成手段によって生成されたPWM信号に基づいて前記バックライトを駆動するバックライト駆動手段と、 前記PWM信号に重畳された前記通信データによるデューティ変化分を調整して前記通信データが重畳される前の前記PWM信号と同じデューティに補正するデューティ補正手段と、 を備え、前記PWM信号生成手段は、前記PWM信号における点灯期間に対応して前記通信データを重畳し、 前記デューティ補正手段は、前記PWM信号において前記点灯期間に対応して重畳された前記通信データによるデューティ減少分だけ消灯期間が短くなるように補正を行うことを特徴とする画像表示装置。」 第3 原査定の拒絶の理由の概要 1 理由1 本願発明1は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2 理由2 本願発明1ないし本願発明5は、以下の引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 引用文献1:国際公開第2015/059852号 (国際公開日:平成27年4月30日) 引用文献2:特開2011-150135号公報 (公開日:平成23年8月4日) 引用文献3:特開2013-023081号公報 (公開日:平成25年2月4日) 第4 当合議体の判断 1 引用文献1に記載された発明 (1)引用文献1には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。 「[[0008] (本発明の基礎となった知見) 近年の表示装置、特に液晶ディスプレイ、及び、液晶を用いたプロジェクターなどの分野においては、画質改善のためにバックライトスキャンと呼ばれる技術が採用されている。ここで、バックライトスキャンとは、液晶の反応速度の遅さと、ホールド型による動画ボケを改善するバックライト制御方法であり、表示画面をいくつかの領域(バックライト領域)に分割し、その領域毎に定期的に順次点灯するようバックライトの発光を制御する。より具体的には、バックライトスキャンとは、バックライト消灯期間を設け、各バックライト領域において、周期的に行う消灯期間(ブランキング期間)のタイミングを異なるようにした制御方法である。一般的にブランキング期間のタイミングを液晶の走査タイミングに合うように制御されることが多い。」 「[[0017] スマートフォン200は、可視光通信信号を受信する電子機器の一例であり、表示装置100から送信された可視光通信信号を受信することができる。これより、スマートフォン200のユーザーは、表示装置100に表示されている映像に関連する情報などを受け取ることができる。」 「[[0021] 図2に示す表示装置100は、可視光通信信号を出力可能な表示装置であって、第1の入力部120と、第1の処理部130と、第1の制御部140と、表示パネル150と、第2の入力部160と、第2の処理部170と、第2の制御部180と、バックライト190と、を有する。」 「[0030] 第2の処理部170は、第2の入力部160より入力された可視光通信信号を符号化して符号化信号の生成、映像信号および/または可視光通信信号に基づくデューティの計算などを行う。また、第2の処理部170は、第1の処理部130から入力されるB.L制御信号に符号化信号を重畳する。 [0031] 本実施の形態では、符号化信号は、ある割合でON期間と、OFF期間が混在している信号であるとして説明する。また、符号化信号は、原則I-4PPM方式による符号化されているとして説明する。なお、符号化信号は、マンチェスター方式などにより符号化されるとしてもよい。また、変調された信号は、変調率100%のON/OFFとして記載しているが、それに限らない。変調率は100%でない、High/Lowの変調を用いた際には、以下の記載におけるON/OFFは、High/Lowなどのように読み替えて実施してもよい。可視光通信信号のデューティも、ON期間を信号送信期間全体で規格化した値として取り扱うだけでなく、(Highレベル×High期間+Lowレベル×Low期間)/(信号送信期間×Highレベル)と呼応して読み替えて実施してもよい。 [0032] より具体的には、第2の処理部170は、信号処理部の一例であり、可視光通信信号を映像信号に基づいて生成されたバックライト制御信号に重畳する処理を行う。ただし、第2の処理部170は、可視光通信信号をバックライト制御信号に重畳する際に、バックライト制御信号のうちバックライトの消灯を示す信号に対しては、可視光通信信号を重畳しない。なお、符号化された可視光通信信号(符号化信号)も可視光通信信号と記載する場合もある。 [0033] 第2の制御部180は、バックライト制御部の一例であり、バックライト190の発光面を複数の領域に分割し、第2の処理部170により出力されたバックライト制御信号(B.L制御信号)に従って、複数の領域それぞれにおいて発光の制御を行い、かつ、複数の領域それぞれにおいて異なるタイミングで消灯の制御を行う期間を設ける制御を行う。本実施の形態では、第2の制御部180は、第2の処理部170から送信されるバックライト制御信号(B.L制御信号)に基づいて、バックライト190の輝度やタイミングを制御する。 [0034] バックライト190は、表示パネル150に対して背面側から光を照射する。より具体的には、バックライト190は、表示パネル150の表示面110を背面から照明する発光面を有する。これにより、視聴者は、表示パネル150に表示されている映像を視認することができる。」 「[0048] 図3Bに示す例では、第2の処理部170は、B.L制御信号Cが入力される領域Cを基準領域に設定し、図3Aに示すB.L制御信号Cの立ち上がりタイミングP1に符号化信号の先頭(立ち上がりタイミング)P2がくるように、符号化信号の重畳タイミングを調整した上で、符号化信号をB.L制御信号A~Hに同位相で重畳する。そして、第2の処理部170は、B.L制御信号A~Hに符号化信号を重畳させる際、B.L制御信号のON期間には符号信号を重畳するが、OFF期間には重畳しない。」 「[0062] バックライト190が消灯される時間の合計(総消灯期間)は、B.L制御信号のOFF期間であるブランキング期間と符号化信号のOFF期間とを足し合わせた期間となる。 [0063] そのため、基準領域においてブランキング期間終了直後に符号化信号を重畳し、かつ、このブランキング期間から次のブランキング期間までに符号化信号が完全に含まれるとしても、B.L制御信号に重畳された符号化信号のOFF期間分だけ、バックライト190は消灯されている期間が増える。つまり、基準領域では、符号化信号が重畳された場合には、符号化信号が重畳される前より暗くなる。」 「[0065] これを改善するために、バックライト190を点灯または消灯する調整期間を設ける二つの方法が考えられる。すなわち、第1の方法は、基準領域の総消灯期間が最も長くなるため、他の領域の総消灯期間を基準領域の総消灯期間に合わせる方法がある。第2の方法は、元々の映像信号に基づいて決められた総消灯期間に全ての領域の総消灯期間を合わせこむ方法がある。」 「[0100] [符号化信号期間とブランキング期間とが重ならない場合の調整方法(ケース3)] 図6Cには、調整期間が0より小さく、(調整期間+符号化信号期間+ブランキング期間)が1フレームの長さ以下の場合の一例が示されている。ここで、0より小さい調整期間とは、バックライト190を点灯する調整期間を意味する。 [0101] 図6Cの(d)の上段に示すように、調整期間をブランキング期間B1の終了時刻P2を起点として、調整期間の絶対値に相当する時間分をさかのぼった期間(時刻P6~時刻P2の期間)に配置する。 [0102] 第2の処理部170は、図6Cの(d)の上段に示す調整期間を設けることにより、図6Cの(d)の下段に示すように、符号化信号が重畳されたB.L制御信号を調整する。 [0103] このようにして、第2の制御部180は、調整後のB.L制御信号に従って、ブランキング期間B1中の時刻P6から時刻P2までの期間にバックライト190を点灯する。」 「[0278] (実施の形態6) 実施の形態1~5では、複数の領域それぞれにおいて異なるタイミングで消灯の制御を行う期間を設ける制御方法がバックライトスキャンであるとして説明したがそれに限らない。ローカルディミングであってもよい。」 「[0280] ここで、ローカルディミングは、表示領域(画面)を幾つかの領域に分割し、その領域内の液晶の透過率を通常より高くし、その分だけバックライトの輝度を下げる(デューティを下げる)ことにより、電力を下げるバックライト制御方法である。該当領域内でもっとも高い輝度の画素において、透過率を上げる余裕があるとき(最も高い輝度が比較的低い値を持つとき)に上記制御による電力削減が可能である。また、バックライトのデューティを下げることにより、点灯期間が減少し、結果としてコントラストが向上する効果も奏する。」 「[0283] ローカルディミングを適用してバックライト制御を行う時は、例えば図20に示すように、隣接する領域同士では、ブランキング期間の開始タイミングの間隔Tは均一であるが、ブランキング期間の長さは均一ではない。」 「[0296] [2.2.第2の処理部の動作の一例] ローカルディミング時においても、通常のバックライトスキャン制御時と同様に順次ブランキング期間を持つことを優先してもよい。この場合の処理について以下説明する。」 「[0303] 図24は、実施の形態6における第2の処理部の動作一例を説明するためのタイミングチャートである。図24には、実施の形態1で説明した第2の方法によって調整期間が設けたられている。太線は、B.L制御信号のON期間およびOFF期間を示しており、以下では領域Aを基準領域として説明する。 [0304] 例えば図24に示すように、第2の処理部170は、基準領域である領域Aのフレームの開始タイミングから所定期間経過後の時刻P~時刻Qの期間において、同位相の符号化信号を各領域に重畳するとともに、調整期間を設ける。なお、調整期間については実施の形態1の第2の方法に従って設ければよいが、第2の方法については上述したためここでの説明を省略する。 [0305] 本実施の形態では、実施の形態1~5と同様に、B.L制御信号がOFF期間(ブランキング期間)の時には符号化信号を重畳せず、B.L制御信号がON期間の時には、符号化信号を重畳することを基本とする。そのため、例えば領域Aでは、時刻Pから一定期間は、B.L制御信号AがOFFとなるブランキング期間であるので、符号化信号は重畳されない。そして、符号化信号期間C後に調整期間が設けられる。」 「[図6C] 」 「[図20] 」 「[図24] 」 (2)引用文献1の前記(1)の記載をまとめると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「表示パネル150と([0021])、 表示パネル150に対して背面側から光を照射するバックライト190と([0034])、 表示装置100の外部にあるスマートフォン200により受信するため、可視光通信信号を符号化して、ON期間とOFF期間が混在している符号化信号を生成し([0017]、[0030]、[0031])、 生成された符号化信号を映像信号に基づいて生成されたバックライト制御信号に重畳する処理を行う第2の処理部170と([0032])、 第2の処理部170から送信されるバックライト制御信号に基づいて、バックライト190の輝度や発光及び消灯のタイミングを制御する第2の制御部180と([0033])、 を備え、 バックライト190の制御方法として、表示画面を複数領域に分割し、その領域毎に順次ブランキング期間を設け、特定の表示領域のブランキング期間を長くする(デューティを下げる)ことにより、当該領域のバックライトの輝度を下げるとともに、当該領域の液晶の透過率をその分だけ高くするローカルディミング制御が採用されており([0278]、[0280]、[0283]、[0296]、[図20]、[図24])、 第2の処理部170は、バックライト制御信号のON期間に符号化信号を重畳し([0048]、[0305]、[図6C]、[図24])、 バックライト制御信号に重畳された符号化信号のOFF期間分だけ、バックライト190が消灯されている期間が増えて暗くなってしまうことを改善するため、ブランキング期間に、上記符号化信号のOFF期間分だけバックライトを点灯する調整期間を設けることで、元々の映像信号に基づいて決められた総消灯期間に全ての領域の総消灯期間を合わせこむようにした([0062]、[0063]、[0065]、[0100]ないし[0103]、[0303]ないし[0305]、[図6C]、[図20]、[図24])、 表示装置100。」 2 対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。 (1)引用発明の「表示パネル150」は、本願発明1の「表示パネル」に相当する。 (2)引用発明の「バックライト190」は、「表示パネル150に対して背面側から光を照射する」ものであるから、本願発明1の「前記表示パネルを背面から照明するバックライト」に相当する。 (3)引用発明の「符号化信号」は、「表示装置100の外部にあるスマートフォン200により受信するため、可視光通信信号を符号化して」「生成」したものであるから、本願発明1の「外部に対する出力対象となる通信データ」に相当する。 (4)引用発明の「バックライト制御信号」は、当該「バックライト制御信号に基づいて」、「第2の制御部180」がバックライト190の輝度や発光及び消灯のタイミングを制御する」ための「バックライト190の制御方法として、表示画面を複数領域に分割し、その領域毎に順次ブランキング期間を設け」る「ローカルディミング制御」を行う際に、「特定の表示領域のブランキング期間を長くする(デューティを下げる)ことにより、当該領域のバックライトの輝度を下げる」ために用いられている。すなわち、引用発明の「バックライト制御信号」は、表示画面の領域毎のバックライトの輝度を調整するために用いられる信号である。また、引用発明の「バックライト制御信号」は、具体的には、引用文献1の【0303】ないし【0305】、【図24】に記載されているとおり、ON期間とOFF期間(ブランキング期間)とを有する信号であるから、パルス信号である。そうすると、「バックライト制御信号」のブランキング期間を長くする(デューディを下げる)ことは、パルス信号のデューティを下げることであり、これは、パルス幅を狭めることを意味する。そして、それによって、バックライトの輝度を下げているのであるから、引用発明の「バックライト制御信号」は、バックライトの輝度を調整するためにその幅が制御されるパルス信号にほかならない。よって、引用発明の「バックライト制御信号」は、本願発明1の「バックライトの輝度をPWM制御によって調整するためのPWM信号」に相当する。 (5)引用発明の「第2の処理部170」は、(ア)「可視光通信信号を符号化して、ON期間とOFF期間が混在している符号化信号を生成」する機能、(イ)「生成された符号化信号を映像信号に基づいて生成されたバックライト制御信号に重畳する」する機能、(ウ)「バックライト制御信号に重畳された符号化信号のOFF期間分だけ、バックライト190が消灯されている期間が増えて暗くなってしまうことを改善するため、ブランキング期間に、上記符号化信号のOFF期間分だけバックライトを点灯する調整期間を設けることで、元々の映像信号に基づいて決められた総消灯期間に全ての領域の総消灯期間を合わせこむ」機能、を有しているから、上記(ア)~(ウ)の各機能を有する「第2の処理部170」は、それぞれ本願発明1の「通信データを作成する通信データ作成手段」、「通信データが重畳されたPWM信号を生成するPWM信号生成手段」及び「重畳された前記通信データによるデューティ変化分を調整して前記通信データが重畳される前の前記PWM信号と同じデューティに補正するデューティ補正手段」に相当する。 (6)引用発明の「第2の制御部180」は、上記(5)の(イ)の機能を有する「第2の処理部170」によって「符号化信号」が「重畳」された「バックライト制御信号」に基づいて、「バックライト190の輝度や発光及び消灯のタイミングを制御する」ものであるから、本願発明1の「PWM信号生成手段によって生成されたPWM信号に基づいて前記バックライトを駆動するバックライト駆動手段」に相当する。 (7)引用発明において、上記(5)の(イ)の機能を有する「第2の処理部170」は、「バックライト制御信号のON期間に符号化信号を重畳」しており、本願発明1の「前記PWM信号における点灯期間に対応して前記通信データを重畳」する「PWM信号生成手段」に相当する。 (8)引用発明における、「バックライト制御信号に重畳された符号化信号のOFF期間分だけ」、「バックライトを点灯する期間を設けることで、元々の映像信号に基づいて決められた総消灯期間に全ての領域の総消灯期間を合わせこむ」「第2処理部170」の処理は、本願発明1の「PWM信号において前記点灯期間に対応して重畳された前記通信データによるデューティ減少分だけ消灯期間が短くなるように補正を行う」「デューティ補正手段」の処理に相当する。 (9)引用発明の「表示装置100」は、本願発明1の「画像表示装置」に相当する。 よって、引用発明は、本願発明1の構成をすべて含む。 したがって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明である。 3 請求人の主張について 請求人は、審判請求書の「(3-1c)請求項1に係る発明と先行技術文献との対比」において「引用文献1の図5A、5B、6A~6Dには、オン期間とオフ期間が含まれるバックライト駆動信号(B.L制御信号)が記載されているが、このオフ期間はバックライトスキャン方式でバックライトを駆動する際にバックライトを消灯するブランキング期間であって、バックライトの輝度を調整するPWM信号における消灯期間と異なっている。特に、引用文献1には、輝度調整用のPWM信号に着目して通信データを重畳するという発想については一切記載がない。」と主張する。 しかしながら、上記2(4)で述べたように、引用発明1の「バックライト制御信号」は、「表示画面を複数領域に分割し、その領域毎に順次ブランキング期間を設け」る「ローカルディミング制御」を行う際に、「特定の表示領域のブランキング期間を長くする(デューティを下げる)ことにより、当該領域のバックライトの輝度を下げる」ために用いられる信号であり、これは、バックライトの輝度を調整するためにその幅が制御されるパルス信号にほかならない。そして、引用発明は、この「バックライト制御信号」の「ON期間に符号化信号を重畳」するのであるから、バックライトの輝度調整用のPWM信号に通信データを重畳するものである。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。 請求人は、さらに、「請求項1の発明は、PWM信号における点灯期間に対応して通信データを重畳し、この通信データによるデューティ減少分だけ消灯期間が短くなるようにPWM信号のデューティを補正することに特徴があり(構成要件D、G、H)、バックライトの輝度調整をPWM制御で行うことが引用文献1に開示されているからといって、これらの特徴まで自明であることにはならない。」と主張する。 しかし、引用文献1には、バックライトの輝度調整をPWM制御で行うことだけでなく、PWM信号における点灯期間に対応して通信データを重畳し、この通信データによるデューティ減少分だけ消灯期間が短くなるようにPWM信号のデューティを補正することも記載されている。 すなわち、引用発明は、「バックライト制御信号に重畳された符号化信号のOFF期間分だけ」、「ブランキング期間に、上記符号化信号のOFF期間分だけバックライトを点灯する調整期間を設ける」ものであり、これは、上記4(8)で述べたとおり、本願発明1が「PWM信号において前記点灯期間に対応して重畳された前記通信データによるデューティ減少分だけ消灯期間が短くなるように補正を行う」ことに相当する。 したがって、請求人の主張は、当を得ない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明1は、特許法29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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