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特許拒絶査定不服審判

2024-004671

映像表示装置

審判番号
2024-004671
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-063347外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年03月18日
審決日
2025年04月16日
公報発行日
2025年07月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020- 63347号「映像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和3年10月11日出願公開、特開2021-162686〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年3月31日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年10月10日付け:拒絶理由通知書 同年11月29日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年 1月 4日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月23日 :原査定の謄本の送達) 同年 3月18日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年3月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年3月18日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和6年3月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年11月29日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 入力される映像信号に対応する映像を画面に表示する映像表示手段と、 所定の検出期間をかけて周囲の照度を検出する照度検出手段と、 前記照度検出手段によって検出された周囲の照度に基づいて、所定の調整時間をかけて、前記映像表示手段に表示する画面の輝度を変化させるとともに、この変化の程度を前記調整時間内において時間経過とともに大きくする輝度設定手段と、 を備え、前記検出期間よりも前記調整時間を長く設定することを特徴とする映像表示装置。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 入力される映像信号に対応する映像を画面に表示する映像表示手段と、 所定の検出期間内に所定の時間間隔で検出した複数回分の照度を平均化することにより周囲の照度を検出する照度検出手段と、 前記照度検出手段によって検出された周囲の照度に基づいて、所定の調整時間をかけて、前記映像表示手段に表示する画面の輝度を変化させるとともに、この変化の程度を前記調整時間内において時間経過とともに大きくする輝度設定手段と、 を備え、前記検出期間よりも前記調整時間を長く設定することを特徴とする映像表示装置。」 2 補正の目的 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「所定の検出期間をかけて周囲の照度を検出する」構成について、「所定の検出期間内に所定の時間間隔で検出した複数回分の照度を平均化することにより周囲の照度を検出する」構成に限定するものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Dまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】(符号130で表される部材名「照度センサ」を加筆してある。)及び【図2】を掲載する。】 <本件補正発明の分説> A 入力される映像信号に対応する映像を画面に表示する映像表示手段と、 B 所定の検出期間内に所定の時間間隔で検出した複数回分の照度を平均化することにより周囲の照度を検出する照度検出手段と、 C 前記照度検出手段によって検出された周囲の照度に基づいて、所定の調整時間をかけて、前記映像表示手段に表示する画面の輝度を変化させるとともに、この変化の程度を前記調整時間内において時間経過とともに大きくする輝度設定手段と、 を備え、 D 前記検出期間よりも前記調整時間を長く設定することを特徴とする X 映像表示装置。 参考図1(【図1】) [図:0001424260000001.jpg] 参考図2(【図2】) [図:0001424260000002.jpg] イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、入力される映像信号に対応する映像表示を行う映像表示装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、照度センサを用いて検出された周囲の明るさに応じて表示パネルの光強度を制御するようにした表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この表示装置では、周囲が暗くなると表示パネルのバックライトを暗くしている。これにより、暗い環境で輝度が高すぎてコントラストが低下することを防止している。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】特開2006-72255号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、上述した特許文献1に開示された表示装置は、主にコンピュータディスプレイやテレビ受信機として用いられることを想定しており、急激な照度変化が繰り返されることを想定していない。これに対し、車両で使用する場合には、夜間時に一定間隔で設置された照明の下を通過するような場合もあり、周囲の明暗の反転が繰り返される事態も起こりうる。 【0005】 一般に、周囲の明るさに応じて表示パネルの輝度を変化させる車載機では、トンネルに出入りする時など照度が急激に変化するシーンでの追随性を考慮して調光時間を設定している。しかしながら、明暗を繰り返すシーン(地下駐車場や夜間バイパスの走行など)では、調光が明暗の変化に追随できず、周囲が暗い環境で表示パネルが明るく、反対に周囲が明るい環境で表示パネルが暗くなる場合があり、一時的な照度変化によって視認性が低下するという問題があった。これらの現象は、周囲の明るさの誤検出を防止するために一定の検出期間を設けており、調光開始までに遅延が発生することが原因の一つと考えられる。この対策として、調光時間を長く設定することが考えられるが、トンネル入出時などにおける調光追随性が悪くなるため、調光時間をあまり長くすることは実用的とはいえない。 【0006】 本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、周囲の一時的な照度変化による視認性の低下を抑制することができる映像表示装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上述した課題を解決するために、本発明の映像表示装置は、入力される映像信号に対応する映像を画面に表示する映像表示手段と、所定の検出時間内に所定の時間間隔で検出した複数回分の照度を平均化することにより周囲の照度を検出する照度検出手段と、照度検出手段によって検出された周囲の照度に基づいて、所定の調整時間をかけて、映像表示手段に表示する画面の輝度を変化させるとともに、この変化の程度を調整時間内において時間経過とともに大きくする輝度設定手段とを備えている。 【0008】 検出した周囲の照度に対応させて画面の輝度を変化させる際に、変化開始直後の輝度変化量を少なくすることにより、周囲の明るさの一時的な変化に過敏に追随して画面の輝度が変化してしまうことを抑制している。これにより、周囲が暗い環境で画面が明るく、反対に周囲が明るい環境で画面が暗くなる状況を抑制し、一時的な照度変化による視認性の低下を改善することができる。 【0009】 また、上述した輝度設定手段は、輝度を変化させる程度を時間経過とともに徐々に大きくすることが望ましい。これにより、画面の輝度を変化させる際に違和感を低減することが可能となる。 【0010】 また、上述した検出期間よりも調整時間を長く設定している。また、上述した輝度設定手段は、照度検出手段によって検出された周囲の照度が変化したときに、変化後の照度に基づいて、調整時間をかけて画面の輝度を変化させることが望ましい。これにより、周囲の明るさが一時的に変化してその後元に戻った場合に、一時的な変化に対応する画面輝度の大きな変化を抑制するとともに、一時的な変化が終了した後の周囲の明るさに対応するように画面輝度を設定することが可能となる。 【0011】 また、上述した映像表示装置は、車両に搭載されていることが望ましい。これにより、周囲の明るさの変化が大きい車載機において、特に、周囲の一時的な照度変化による視認性の低下を抑制することが可能となる。」 (2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2007-133159号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、当合議体により、後記イの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。 (ア) 特許請求の範囲 「【請求項1】 映像信号を入力して映像表示すると共に、周囲照度に応じて画面の明るさを調節することができる映像表示装置において、 周囲照度をサンプリング期間毎に取得する周囲照度取得手段と、 前記周囲照度取得手段により取得された周囲照度に基づきバックライト輝度設定値を演算する演算手段と、 前記演算手段で演算された前記バックライト輝度設定値に基づきバックライトの輝度を制御するバックライト輝度制御手段を備え、 前記演算手段は、 前記取得された周囲照度に対応する最適バックライト輝度設定値と現在の前記演算されたバックライト輝度設定値の大小関係が継続して同じ状態にあるとき、サンプリング期間毎に前記バックライト輝度設定値を前記最適バックライト輝度設定値に向かってその変化が次第に大きくなるように更新することを特徴とする表示装置。 (後略)」 (イ) 段落【0001】~【0008】、【図8】、【図9】 「【0001】 本発明は、表示装置、及びその輝度調節方法に係り、特に周囲照度の一時的な変化による誤動作を防止して、最適な状態で映像を鑑賞することができる表示装置、及びその輝度調節方法に関する。 【背景技術】 【0002】 テレビ画面などの表示器で映像を鑑賞する際の画面の明るさは、周囲の明るさによって見やすい最適値が変化する。例えば周囲が暗いときには、画面を暗くしたほうが見やすい。また、明るい部屋で見るときは、画面を明るくしないと見にくい。 【0003】 このような状況に対応するため、従来、周囲の明るさに応じて画面の明るさを自動調節することが行われている。特許文献1に開示された従来技術はその一例である。特許文献1によれば、周囲照度に対して図8に示したような特性、即ち、周囲照度が高い(明るい)ときには画面を明るくし、周囲照度が低い(暗い)ときには画面を暗くすると見やすいことが記載されている。この従来技術は、周囲照度を周囲受光部(周囲照度センサ)で検知し、この検知量と図8の関係を基に画面の明るさを調節するようにしている。 【特許文献1】特開平6-308891号公報」 「【図8】 [図:0001424260000003.jpg] 」 「【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、上記従来技術は、単に周囲照度の変化を検知しそれをバックライト輝度に反映させているだけなので、例えば暗い部屋で映像を鑑賞しているときに瞬間的に明るくなったり(例えば何らかのライトの光が一時的に周囲受光部に当たったとき)、あるいは明るい部屋で映像を鑑賞しているときに部屋の電灯がちらついて一時的に暗くなったりしたときに、その照度変化に応答して画面の明るさ調節制御が必要のない動作(誤動作)を起こしてしまう。また、周囲環境光としては自己の画面からの光の回り込みもある。例えば爆発、炎上などの数秒間というような時間、画面が全体的に白っぽくなるような映像が流れた際に、その間、画面の明るさのレベルが高くなり、その結果周囲照度センサでこれが検知されると、これに反応してバックライト輝度が一時的に瞬くように高くなる。特に周囲環境光の照度レベルが低いときに、画面の明るさの影響が大きくなり、画面の明るさ調節制御に誤動作が起こりやすくなる。 【0005】 図9はこの誤動作の様子を示したものである。図9において、点線a-b-c-bは周囲照度の変化を示す。また、実線d-e-f-eは画面の明るさの変化を示す。ここで、符号a、b、c、d、e、fは、図8に示したものと同じものを示す。点線cの部分は周囲照度が暗い状態から一時的に明るくなった状態を示している。この周囲照度の変化に反応して画面がeの暗い状態からfの明るい状態になって、またeの暗い状態に戻っている。周囲照度cは一時的なものであるからこの変化に画面の明るさがfのように反応すると瞬間的に画面が見づらくなる。このような周囲照度の一時的な変化に画面の明るさは反応すべきではない。」 「【図9】 [図:0001424260000004.jpg] 」 「【0006】 本発明の目的は、上記問題点に鑑み、周囲照度の一時的な変化による画面の明るさ調節制御の誤動作を防止して、最適な状態で映像を鑑賞することができる表示装置、及びその輝度調節方法を提供することにある。 …(中略)… 【発明の効果】 【0008】 本発明によれば、表示装置の映像を視聴している状態において、室内照明や外光採光や映像内容等により表示装置の周囲輝度の一時的な変化による画面の明るさ調節制御の不必要な動作を防止して、最適な状態で映像を視聴することができる。」 (ウ) 段落【0009】~【0019】、【図1】 「【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 次に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して具体的に説明する。 【0010】 (第1の実施の形態) 図1は本実施の形態における表示装置の制御構成図であり、液晶表示器の例を示している。なお、本実施の形態では液晶表示器の例を示したが、本発明は液晶表示器に限らず、CRT表示器、プラズマディスプレイ、その他、輝度を調節できる表示器一般に適用することができる。」 「【図1】 [図:0001424260000005.jpg] 」 「【0011】 図1において、1はマイクロコンピュータ(以下マイコンという)で構成される演算回路であり、中央演算装置CPU、記憶手段(ROM,RAM)などから成る。この記憶手段のROMには本発明を実施するに必要なプログラムやその他各種プログラムが記憶されており、記憶手段のRAMは演算結果や演算途中の値などが一時記憶される。 【0012】 2はバックライト制御部であり、演算回路1から入力したバックライト輝度設定値を基にバックライトの輝度を制御する。 【0013】 3はバックライト駆動部であり、バックライト制御部からの制御信号を受けて、バックライト輝度設定値に対応する電圧が印加される。 【0014】 4はバックライトであり、冷陰極管やLEDなどの光源が使用される。 【0015】 5は液晶表示装置を使用した映像表示部であり、バックライトの前面に配置され、映像信号を基に映像を表示する。 【0016】 8はOPC(周囲照度センサ)であり、周囲環境光や画面から回り込んだ光による周囲の明るさ、即ち周囲照度を検知する。OPC8は周囲環境光や画面から回り込んだ光を受光し、周囲照度に比例した信号を演算回路1に出力する。演算回路1はOPC8から周囲照度に比例する値を入力しバックライト輝度設定値を演算してバックライト制御部2に出力する。 【0017】 6は映像信号入力部であり、テレビ受信部で受信して復調された映像信号が入力される。7は映像信号処理部であり、IP変換/RGBプロセッサなどから構成され、インターレスとプログレッシブの変換やR、G、B信号を生成する。 【0018】 このように映像信号は、映像信号処理部7で映像表示するに適した信号に処理され、映像表示部5で映像が表示される。 【0019】 9は視聴者による画面明るさ調節手段であり、視聴者の好みにより画面の明るさを任意に設定できるようになっている。この画面明るさ調節手段9から画面明るさ補正係数αが演算回路1に入力され、この画面明るさ補正係数αにより補正されたバックライト輝度設定値が演算回路1より出力される。画面明るさ調節手段9は画面明るさ補正係数αに対応する数値を直接入力できるようになっていてもよいし、画面上の画面の明るさ調節メニューに従って調節するようにして、その結果、画面明るさ補正係数αが演算手段1に出力されるようにしてもよい。あるいは図示していないリモコンのボタンを操作することによって画面明るさ補正係数αが演算手段1に出力されるようにしてもよい。」 (エ) 段落【0020】~【0028】、【図2】、【図3】 「【0020】 図2、図3は、本実施の形態の動作の概略を示したものである。図において、L1,L2は周囲照度であり、Y1、Y2はそれぞれの照度に対応する最適バックライト輝度設定値を示している。」 「【図2】 [図:0001424260000006.jpg] 」 「【図3】 [図:0001424260000007.jpg] 」 「【0021】 周囲照度に応じて画面の明るさ調節制御を行う場合、周囲照度の一時的な変化に急峻に反応すべきではない。例えば周囲照度が低いとき何らかの一時的な光や自己の画面からの光に反応してしまったり、逆に周囲照度が高いときに、光センサーの前を人が横切るだけで反応してしまうといったことが生じるためである。 【0022】 従来技術では、画面の明るさ調節制御(液晶表示装置の場合はバックライト輝度調節制御で行う)は周囲照度に比例してバックライト輝度設定値を線形増加/減少するように行っていたが、本発明による本実施の形態ではバックライト輝度設定値を時間の経過と共に目標とする最適バックライト輝度設定値に向かって加速度的に大きくなるようにしている。このようにバックライト輝度設定値を加速度的に増加/減少させることにより、短時間の周囲照度の変化では、バックライト輝度設定値が殆ど変化せず、確実に変化している場合には比較的早くバックライト輝度設定値を適正な値に変化させることができる。図2は、周囲照度が確実に変化している場合のバックライト輝度設定値の応答を表し、図3は周囲照度の変化が短時間の場合のバックライト輝度設定値の応答を表している。 【0023】 図2に示したように、周囲照度は時間t1からt2の間にL1からL2に低下し、バックライト輝度設定値はこれに反応して当初の輝度設定値Y1から周囲照度L2に対応する最適バックライト輝度設定値Y2に低下している。しかしながら、バックライト輝度設定値の変化は線形ではなく、加速度的な変化をしている。つまり周囲照度の低い状態が継続している場合に、バックライト輝度設定値の変化は当初は少なく、時間が経過するにしたがって徐々に大きくなっている。バックライト輝度設定値は時間t3で周囲照度L2に対応する最適バックライト輝度設定値Y2に達しその値が維持される。 【0024】 また、周囲照度が時間t4からt5の間にL2からL1に増加し、バックライト輝度設定値はこれに反応して周囲照度L2に対応する最適バックライト輝度設定値Y2から周囲照度L1に対応する最適バックライト輝度設定値Y1に増加している。この場合にも、周囲照度の増加した当初のバックライト輝度設定値の変化は少なく、時間が経過するにしたがって徐々に大きくなっている。バックライト輝度設定値は時間t6で最適バックライト輝度設定値Y2に達しその値が維持される。 【0025】 この図2で示した場合は、周囲照度が確実に変化しているので、バックライト輝度設定値も最適なレベルまで確実に変化している。 【0026】 一方、図3を見ると、周囲照度は時間t7からt8の間にL1からL2に低下し、バックライト輝度設定値は周囲照度L1に対応する最適バックライト輝度設定値Y1からY3に低下している。しかしながら、時間t7とt9の間が短時間であるために、バックライト輝度設定値は殆ど低下していない。 【0027】 また、周囲照度は時間t9からt10の間にL2からL1に増加し、バックライト輝度設定値はY3から周囲照度L1に対応する最適バックライト輝度設定値Y1に増加している。 【0028】 図3の場合のように、バックライト輝度設定値の変化が小さいときに周囲照度が元に戻ってしまうような場合には、バックライト輝度設定値が殆ど変化しない。」 (オ) 段落【0029】~【0038】、【図4】 「【0029】 図4は、本発明による第1の実施の形態の表示装置の制御動作を概念的に説明する図である。 図4は横軸に時間、縦軸にバックライト輝度設定値(左側)、及び輝度抑制値(右側)を取ってある。時間t1、t2、t3、・・・時点の点線はサンプリング時点(輝度抑制値、あるいはバックライト輝度設定値の更新時点)を示している。」 「【図4】 [図:0001424260000008.jpg] 」 「【0030】 ここで、輝度抑制値とは、バックライトの出し得る最大輝度に対してどの程度輝度が抑制されているかを示す値であり、バックライトの設定可能な輝度として、最も明るい輝度に設定したときを0%(全く輝度が抑制されていないという意味で輝度抑制値=0%)、バックライト輝度が0(cd/m2)のときを100%(輝度が100%抑制されているという意味で輝度抑制値=100%)となる値である。この輝度抑制値は、周囲照度に対応して「明るい」方の限界値(0%)から「暗い」方の限界値(例えば85%)の間で変わるように演算回路1で演算される。 【0031】 一方、バックライト輝度設定値は、この輝度抑制値と大きさの関係が逆になっており、輝度抑制値=0%のとき100%*α、輝度抑制値=100%のとき0%となっている。ここでαは画面明るさ補正係数であり、例えば視聴者の好みによって画面を明るくしたり暗くしたりするとき画面明るさ調節手段9から入力される画面の明るさを補正する係数値(%)である。即ち、バックライト輝度設定値は、演算された輝度抑制値を基に画面明るさ補正係数αによる補正をして求められる実際のバックライト輝度に対応する値である。 【0032】 また、サンプリングタイミングt1、t2、t3、・・・毎に輝度抑制値が更新されているが、この1サンプリング毎の輝度抑制値の変化量を輝度抑制値変化量ということにする。 【0033】 図4では、画面明るさ補正係数αを1としたときのバックライト輝度設定値100%、y1%、y2%、・・・y6%に対し、画面明るさ補正係数αを乗算した値100%*α、y1%*α、y2%*α、・・・y6%*αを、画面明るさ調節手段9からの画面明るさ補正係数αにより補正されたバックライト輝度設定値として示してある。そして、バックライト輝度設定値を加速度的に変化させるために、サンプリングタイムごとに変化するバックライト輝度設定値y1%*α、y2%*α、y3%*α、y4%*α、y5%*α、y6%*αを、例えば98%、95%、87%、75%、48%、15%のように変化させる。 【0034】 また、図4では、輝度抑制値が0%から変化を開始し、「暗い」方の限界値を目標に変化しているが、変化開始時点は必ずしも「明るい」方の限界値を目標に変化するのではなく、また「暗い」方の限界値を目標に変化するのではない。変化先の目標となる輝度抑制値は「明るい」方の限界値から「暗い」方の限界値の間の値でよいことはいうまでもない。この場合、周囲照度に見合った最適輝度抑制値が求められてそれを目標として変化していくことになる。サンプリング毎に周囲照度は変化している可能性があり、従って、最適輝度抑制値もサンプリング毎に変化し、輝度抑制値はそれに向かって追随するように変化することになる。 【0035】 また、図4では、サンプリング毎の輝度抑制値の変化幅を比較的大きく描いてあるが、実際には輝度抑制値0%から100%までの変化幅に対し輝度抑制値の最小変化幅は1/1000程度と小さく、また、サンプリング間隔も輝度抑制値0%から100%まで変化する時間に対し1/1000程度の時間と小さい。したがって輝度抑制値の変化は、実質的に滑らかな変化となり、また、サンプリング毎の輝度抑制値の変化を直線補間などで補間すれば更に滑らかに変化させることもできる。 【0036】 ところで、図3で示した周囲照度が変化する時間t7~t10がどの程度の時間であればバックライト輝度設定値が実質反応しないようになるかは、後述の輝度抑制値変化量をどのように決めるかによって決まる。すなわち当初の輝度抑制値変化量が少ない期間を長く取れば反応が鈍くなり、短く取れば敏感に反応するようになる。 【0037】 バックライト輝度設定値を加速度的に変化させるとき、変化の増加割合を決めるには種々の方法が考えられる。例えば、バックライト輝度設定値の更新タイミング毎に、前の輝度抑制値変化量に所定の値を加算して輝度抑制値変化量を増加していくことが考えられる。あるいは輝度抑制値変化量を所定の関数に従って演算することも考えられる。 【0038】 なお、図2、図3は周囲照度が高→低→高と変化した場合を示したが、低→高→低と変化した場合も同様で、周囲照度の変化直後の変化が少なく、時間が経つに従ってバックライト輝度設定値の変化が急峻になる。」 イ 引用発明の認定 前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「映像信号を入力して映像表示するとともに、周囲照度に応じて画面の明るさを調節することができる映像表示装置であって、 周囲照度をサンプリング期間毎に取得する周囲照度取得手段と、 前記周囲照度取得手段により取得された周囲照度に基づきバックライト輝度設定値を演算する演算手段と、 前記演算手段で演算された前記バックライト輝度設定値に基づきバックライトの輝度を制御するバックライト輝度制御手段を備え、 前記演算手段は、 前記取得された周囲照度に対応する最適バックライト輝度設定値と現在の前記演算されたバックライト輝度設定値の大小関係が継続して同じ状態にあるとき、サンプリング期間毎に前記バックライト輝度設定値を前記最適バックライト輝度設定値に向かってその変化が次第に大きくなるように更新するものであり、(請求項1) 周囲照度は時間t1からt2の間にL1からL2に低下した場合、バックライト輝度設定値はこれに反応して当初の輝度設定値Y1から周囲照度L2に対応する最適バックライト輝度設定値Y2に低下するものであり、 バックライト輝度設定値の変化は線形ではなく、加速度的な変化をしており、周囲照度の低い状態が継続している場合に、バックライト輝度設定値の変化は当初は少なく、時間が経過するにしたがって徐々に大きくなっており、 バックライト輝度設定値は時間t3で周囲照度L2に対応する最適バックライト輝度設定値Y2に達しその値が維持され、(【0023】、【図2】) 周囲照度が時間t4からt5の間にL2からL1に増加した場合、バックライト輝度設定値はこれに反応して周囲照度L2に対応する最適バックライト輝度設定値Y2から周囲照度L1に対応する最適バックライト輝度設定値Y1に増加するものであり、 この場合にも、周囲照度の増加した当初のバックライト輝度設定値の変化は少なく、時間が経過するにしたがって徐々に大きくなっており、バックライト輝度設定値は時間t6で最適バックライト輝度設定値Y2に達しその値が維持される、(【0024】、【図2】) 映像表示装置」 【図2】 [図:0001424260000009.jpg] (3) 周知技術1の認定 ア 引用文献5に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2004-226870号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 「【0005】 【発明が解決しようとする課題】 上述のように、周囲の明るさに応じて液晶表示パネルのバックライトの強度を変化させる技術においては、光センサの出力の変化に敏感に反応し過ぎることになり、液晶表示パネルの画面輝度が頻繁に変化するため、かえって見づらい画面になってしまうという問題点があった。これは、液晶表示パネルを携帯端末に適用した場合などに特に顕著であった。この問題に対処するために、光センサの出力を一定時間毎にサンプリングして平均化することにより、液晶表示パネルの画面輝度が敏感に反応することを防ぐことが考えられる。」 「【0011】 図3は、実施の形態1におけるLED駆動回路7の制御方法について説明するためのグラフである。図3(a)に示すように、光検出手段11の出力値は、A/Dコンバータ3を介して、CPU4によりある一定のX時間の間隔にて一旦メモリ5に保存されていく。次に、CPU4は、図3(b)に示すように、Y1時間又はY2時間(Y1,Y2≧X)のサンプリング時間ごとに、メモリ5に保存された前述の光検出手段11の出力値を平均化又は積分化して、その平均値又は積分値を基にLED駆動回路7の制御を行う。このように光検出手段11出力値をサンプリング時間ごとに平均化又は積分化処理することでLED駆動回路7の制御に時定数をもたせることになり、周囲の明るさの変化に対して液晶表示パネル9の輝度が過剰に反応することを防ぐことが可能となる。」 「【図3】 [図:0001424260000010.jpg] 」 イ 引用文献6に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2006-72255号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。 「【0010】 本発明に係る表示装置は、表示パネルと、前記表示パネル側の外光照度を計測する第1の照度センサと、前記第1の照度センサから前記表示パネルまでの距離に比べ表示パネルまでの距離が大きい箇所で外光照度を計測する第2の照度センサと、前記第1および第2の照度センサからの2つの外光照度に基づいて、前記表示パネルの光強度を制御する制御部と、を有する。 この制御部は、望ましくは、第1の照度センサで計測した第1外光照度と、第2の照度センサで計測した第2の外光照度との平均値、重み付け加算平均値の何れかを用いる。あるいは、さらに望ましくは、平均値または重み付け加算平均値を求めようとする2つの外光照度(第1および第2外光照度)の少なくとも一方の外光照度として所定期間で累積平均した外光照度を用いる。 …(中略)… 【0012】 このような構成の表示装置によれば、第1および第2の照度センサを備え、その両方の照度(第1および第2外光照度)を勘案して制御部が表示パネルの光強度を制御し、表示面の輝度を調整する。とくに重み付け加算平均の場合、視聴環境の照度を正しくモニタするために第1および第2外光照度の重み付け係数の設定が可能となる。また、所定期間で累積平均した外光照度を用いると、瞬間的な外光照度変化の影響を抑制し、より視聴環境の照度を正しくモニタされた外光照度に基づいた輝度調整がなされる。 さらに、第2の照度センサをリモートコントローラに設けると、この第2の輝度センサは、視聴環境の近くでの照度を検出する可能性が高まる。」 ウ 引用文献7に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2006-267225号公報(以下「引用文献7」という。)には、次の記載がある。 「【0042】 この実施の形態1では、情報端末装置100の撮像部1が表示部2周囲の照度を測光し、測光した照度をもとに表示部2のコントラスト、あるいは輝度を制御し、視認度の高い表示画面を形成するようにしている。 【0043】 なお、この実施の形態1では、画像処理部1cが電気信号から照度に変換するようにしていたが、CPU13が照度に変換するようにしてもよい。また、CPU13が適正なコントラスト、あるいは輝度を演算するようにしていたが、記録部4が照度に対応した適性なコントラスト、あるいは適正な輝度を保持するようにしてもよい。 【0044】 また、この実施の形態1では、情報端末装置100は、1度だけ、照度を測光するようにしていたが、所定の時間間隔ごとに照度を測光して、照度の平均からコントラスト、あるいは輝度を制御するようにしてもよい。情報端末装置100が置かれた環境の明るさを平均化できるからである。また、情報端末装置100の操作者が手動で照度を測光するようにしてもよい。」 エ 周知技術1の認定 前記ア~ウに示した引用文献5~7の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。) <周知技術1> 「周囲照度に応じて輝度を変化させる表示装置において、瞬間的な周囲照度の変化の影響を抑制するために、所定の期間内において所定の時間間隔で検出した複数の照度の平均に基づいて表示装置の輝度を変化させること。」 (4) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点(映像表示装置) 「映像表示装置」の発明である本件補正発明と「表示装置」の発明である引用発明は、「映像表示装置」の発明である点において一致する。 (イ) 構成Aの観点(映像表示手段) a 構成Aは、「入力される映像信号に対応する映像を画面に表示する映像表示手段」を有することである。 b 引用発明は、「映像信号を入力して映像表示する」ものであるから、「入力される映像信号に対応する映像を画面に表示する映像表示手段」に相当する構成を備えることは明らかである。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Aの観点について、次の点において一致する。 「入力される映像信号に対応する映像を画面に表示する映像表示手段」を有する点。 (ウ) 構成Bの観点(照度検出手段) a 構成Bは、「所定の検出期間内に所定の時間間隔で検出した複数回分の照度を平均化することにより周囲の照度を検出する照度検出手段」を有することである。 b 引用発明における「周囲照度をサンプリング期間毎に取得する周囲照度取得手段」と、本件補正発明における「所定の検出期間内に所定の時間間隔で検出した複数回分の照度を平均化することにより周囲の照度を検出する照度検出手段」は、「周囲の照度を検出する照度検出手段であって、所定の検出期間ごとに、検出した周囲の照度を出力する照度検出手段」である点において共通する。 c そうすると、本件補正発明と引用発明の構成Bの観点における一致点と相違点は、それぞれ次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成Bの観点における一致点 「周囲の照度を検出する照度検出手段であって、所定の検出期間ごとに、検出した周囲の照度を出力検出する照度検出手段」を備える点。 (b) 構成Bの観点における相違点 周囲の照度を検出する照度検出手段であって、所定の検出期間ごとに、検出した周囲の照度を出力検出する照度検出手段が、 本件補正発明においては、 「所定の検出期間内に所定の時間間隔で検出した複数回分の照度を平均化することにより周囲の照度を検出する」のに対して、 引用発明においては、 「周囲照度をサンプリング期間毎に取得する」点。 (エ) 構成Cの観点(輝度設定手段) a 構成Cは、「前記照度検出手段によって検出された周囲の照度に基づいて、所定の調整時間をかけて、前記映像表示手段に表示する画面の輝度を変化させるとともに、この変化の程度を前記調整時間内において時間経過とともに大きくする輝度設定手段」を有することである。 b(a) 引用発明は、「周囲照度に応じて画面の明るさを調節することができる映像表示装置」であって、次の構成を備えるものである。 「前記周囲照度取得手段により取得された周囲照度に基づきバックライト輝度設定値を演算する演算手段と、 前記演算手段で演算された前記バックライト輝度設定値に基づきバックライトの輝度を制御するバックライト輝度制御手段」 (b) 前記(a)を踏まえると、本件補正発明における「前記照度検出手段によって検出された周囲の照度に基づいて」、「前記映像表示手段に表示する画面の輝度を変化させる」「輝度設定手段」に相当する構成を引用発明が有していることは明らかである。 c(a) また、引用発明における「前記演算手段」は、「前記取得された周囲照度に対応する最適バックライト輝度設定値と現在の前記演算されたバックライト輝度設定値の大小関係が継続して同じ状態にあるとき、サンプリング期間毎に前記バックライト輝度設定値を前記最適バックライト輝度設定値に向かってその変化が次第に大きくなるように更新するもの」である。 さらに、引用発明は、次の構成を備える。 「周囲照度は時間t1からt2の間にL1からL2に低下した場合、バックライト輝度設定値はこれに反応して当初の輝度設定値Y1から周囲照度L2に対応する最適バックライト輝度設定値Y2に低下するものであり、 バックライト輝度設定値の変化は線形ではなく、加速度的な変化をしており、周囲照度の低い状態が継続している場合に、バックライト輝度設定値の変化は当初は少なく、時間が経過するにしたがって徐々に大きくなっており、 バックライト輝度設定値は時間t3で周囲照度L2に対応する最適バックライト輝度設定値Y2に達しその値が維持され、(【0023】、【図2】) 周囲照度が時間t4からt5の間にL2からL1に増加した場合、バックライト輝度設定値はこれに反応して周囲照度L2に対応する最適バックライト輝度設定値Y2から周囲照度L1に対応する最適バックライト輝度設定値Y1に増加するものであり、 この場合にも、周囲照度の増加した当初のバックライト輝度設定値の変化は少なく、時間が経過するにしたがって徐々に大きくなっており、バックライト輝度設定値は時間t6で最適バックライト輝度設定値Y2に達しその値が維持される(【0024】、【図2】)」 (b) そうすると、引用発明は、本件補正発明における「所定の調整時間をかけて、前記映像表示手段に表示する画面の輝度を変化させるとともに、この変化の程度を前記調整時間内において時間経過とともに大きくする」という構成に相当する構成を備えているといえる。 d 以上の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、構成Cに関して、次の点において一致する。 「前記照度検出手段によって検出された周囲の照度に基づいて、所定の調整時間をかけて、前記映像表示手段に表示する画面の輝度を変化させるとともに、この変化の程度を前記調整時間内において時間経過とともに大きくする輝度設定手段」を有する点。 (オ) 構成Dの観点(検出期間と調整時間の関係) a 構成Dは、「前記検出期間よりも前記調整時間を長く設定する」ことである。 b 引用発明においては、「前記取得された周囲照度に対応する最適バックライト輝度設定値と現在の前記演算されたバックライト輝度設定値の大小関係が継続して同じ状態にあるとき」との条件設定があることから、引用発明における、「周囲照度」についての「サンプリング期間」(本件補正発明における「検出期間」に相当する。)よりも、「当初の輝度設定値Y1から周囲照度L2に対応する最適バックライト輝度設定値Y2に低下する」時間(本件補正発明における「調整時間」に相当する。)が長く設定されていることは明らかである。 c したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Dの観点に関して次の点において一致する。 「前記検出期間よりも前記調整時間を長く設定する」点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「入力される映像信号に対応する映像を画面に表示する映像表示手段と、 周囲の照度を検出する照度検出手段であって、所定の検出期間ごとに、検出した周囲の照度を出力検出する照度検出手段と、 前記照度検出手段によって検出された周囲の照度に基づいて、所定の調整時間をかけて、前記映像表示手段に表示する画面の輝度を変化させるとともに、この変化の程度を前記調整時間内において時間経過とともに大きくする輝度設定手段と、 を備え、 前記検出期間よりも前記調整時間を長く設定する 映像表示装置」の発明である点。 (イ) 相違点 周囲の照度を検出する照度検出手段であって、所定の検出期間ごとに、検出した周囲の照度を出力検出する照度検出手段が、 本件補正発明においては、 「所定の検出期間内に所定の時間間隔で検出した複数回分の照度を平均化することにより周囲の照度を検出する」のに対して、 引用発明においては、 「周囲照度をサンプリング期間毎に取得する」点。 (5) 判断 ア 相違点の評価 前記相違点について検討する。 (ア) 引用発明は、周囲照度の一時的な変化による画面の明るさ調節制御の誤動作を防止することを課題とする発明である。 (イ) そして、「周囲照度に応じて輝度を変化させる表示装置において、瞬間的な周囲照度の変化の影響を抑制するために、所定の期間内において所定の時間間隔で検出した複数の照度の平均に基づいて表示装置の輝度を変化させること」は、周知の技術である(前記周知技術1参照)。 (ウ) そうすると、引用発明において、前記(ア)において示した課題である明るさ調節制御の誤動作を防止することをより確実にするために前記(イ)において示した周知技術1を採用し、前記相違点の「所定の検出期間内に所定の時間間隔で検出した複数回分の照度を平均化することにより周囲の照度を検出する」という構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (エ) そして、本件補正発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 (オ) したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、引用文献1や引用文献2には、平均化するために所定の時間間隔で複数回の照度検出を行うことを想定した長さを有する「検出期間」を含む構成Bや、このような検出期間を前提とした構成Dに対応する直接的な記載やこれを示唆する記載はない旨主張する。 しかしながら、前記(4)ア(オ)において検討したとおり、構成Dは相違点とは認められないし、前記アにおいて検討したとおり、構成Bは、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (6) 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(6)のとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由である理由1(新規性の欠如)及び理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(新規性の欠如) 本願発明は、その出願前に発行された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、その出願前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2007-133159号公報 3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等 引用文献1に記載された事項並びに引用発明は、前記第2の3(2)において示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明における前記第2の2の限定を省いたものである。 そうすると、本願発明における「照度検出手段」は、「所定の検出期間をかけて周囲の照度を検出する」のに対して、引用発明は、「周囲照度をサンプリング期間毎に取得する」点において、少なくとも表現上一応相違する。 しかし、「周囲照度をサンプリング期間毎に取得する」ことは、「所定の検出期間をかけて周囲の照度を検出する」ということもでき、相違点とはいえない。 仮に、相違点があったとしても、前記2(5)において検討したとおり、「所定の検出期間内に所定の時間間隔で検出した複数回分の照度を平均化することにより周囲の照度を検出する」ことは引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到できたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到できたものである。 したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明であるか、引用文献1に記載された発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当するため、又は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-004671

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