特許拒絶査定不服審判
2019-008785
UV-LED及びディスプレイ
- 審判番号
- 2019-008785
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-199891外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年07月01日
- 審決日
- 2020年04月07日
- 公報発行日
- 2020年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ナイトライド・セミコンダクター株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人YKI国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (H01L)
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2018-199891「UV-LED及びディスプレイ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成30年10月24日の出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
平成30年11月 1日 :審査請求書の提出
平成31年 1月 8日付け:拒絶理由通知(同年1月15日発送)
同年 3月13日 :手続補正書・意見書の提出
同年 4月 1日付け:拒絶査定(同年4月9日送達。
以下「原査定」という。)
令和元年 7月 1日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成31年3月13日付けの手続補正により補正された請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
バッファ層と、
前記バッファ層上に形成されたコンタクト層と、
前記コンタクト層上に形成されたn型SLS層と、
前記n型SLS層上に形成されたInGaN系発光層と、
前記発光層上に形成されたp型SLS層と、
を備え、チップサイズは矩形状の平面形状において少なくともその一辺が50μm以下であるUV-LED。」(なお、下線は、当審が付したものである。以下同じ。)。
第3 引用文献
1 引用文献1の記載
(1)原査定の拒絶の理由において、引用文献1として引用された国際公開第2017/150257号(以下「引用文献」という。)には、図とともに以下の記載がある。
ア 「技術分野
[0001] 本発明は、複数の発光素子を備える表示装置及びその製造方法、並びに発光装置及びその製造方法に関する。本出願は、日本国において2016年3月2日に出願された日本特許出願番号特願2016-040529を基礎として優先権を主張するものであり、この出願は参照されることにより、本出願に援用される。
背景技術
[0002] 微小な発光素子を基板上に配列してなるマイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイが提案されている。マイクロLEDディスプレイは、一般的な液晶ディスプレイに必要とされるバックライトが省略可能となるためディスプレイ自体の薄型化が図れるほか、さらなる広色域化、高精細化、及び省電力化を実現することが可能となる。
[0003] 特許文献1には、赤、青、緑の発光素子をそれぞれピックアップして運搬し、赤、青、緑の発光素子をアライメント実装し、発光素子と基板とを金属接合させることが記載されている。
[0004] また、非特許文献1には、ウエハ上に発光素子を形成し、格子状に隣り合ったP極又はN極同士を金ワイヤーで電気的に接続し、その上にそれぞれ赤、青、緑の量子ドット蛍光体を含む樹脂を塗布することが記載されている。
先行技術文献
特許文献
[0005]特許文献1:特表2015-500562号公報
[0006]
……
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0007] 特許文献1に記載の方法では、実装に時間が掛かるため、スループットが非常に悪く、また、アライメントずれにより歩留まりも良くない。また、発光素子をピックアップしてアライメントするため、発光素子の間隔が大きくなり、高精細化が困難である。
[0008] また、非特許文献1に記載の方法では、多数のワイヤーボンドが必要となるため、スループットが悪く、また、極小電極へのワイヤーボンドとなるため、歩留まりも良くない。さらに、発光面上に電極及びワイヤーが存在するため、光取り出し効率が低下し、高輝度化が困難である。
[0009] 本発明は、前述した課題を解決するものであり、高輝度化及び高精細化を実現する表示装置及びその製造方法、並びに発光装置及びその製造方法を提供する。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者は、鋭意検討を行った結果、異方性導電接着剤を用いることにより、ウエハ上に形成された配置にて複数の発光素子を一括実装することができ、高輝度化及び高精細化が可能であることを見出した。」
イ 「[0025] <1.第1の実施の形態>
[第1の実施の形態に係る表示装置]
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。第1の実施の形態に係る表示装置11は、波長変換部材が、赤色光、緑色光、又は青色光に変換させる蛍光体層を複数の発光素子上にサブピクセル単位で配列してなるものである。
[0026]
……
[0027] 発光素子21、22、23は、片面に第1導電型電極と第2導電型電極とを有する所謂フリップチップ型のLED(Light Emitting Diode)である。発光素子21、22、23は、紫外光~青色光を発光することが好ましく、そのピーク波長は200nm~500nmの範囲であることが好ましい。発光素子21、22、23の大きさは、表示パネルの大きさに合わせて適宜設定することができ、矩形の長辺が0.5mm以下、好ましくは0.1mm以下、より好ましくは0.01mm以下である。例えば、0.005mm×0.005mmのサイズのLEDを設計し、1画素を9個のLEDで設計した場合において、3840画素×2160画素を設計した場合、画面サイズは57.6mm×32.4mmであり、3インチ以上のウエハを用いることにより、表示装置を実現することができる。
[0028]
……
[0029] 図2は、1つの発光素子の実装例を模式的に示す断面図である。発光素子21は、例えばn-GaNからなる第1導電型クラッド層211と、例えばInxAlyGa1-x-yN層からなる活性層212と、例えばp-GaNからなる第2導電型クラッド層213とを備え、いわゆるダブルヘテロ構造を有する。また、パッシベーション層214により第1導電型クラッド層211の一部に形成された第1導電型電極211aと、第2導電型クラッド層213の一部に形成された第2導電型電極213aとを備える。第1導電型電極211aと第2導電型電極213aとの間に電圧が印加されると、活性層212にキャリアが集中し、再結合することにより発光が生じる。
[0030]
……
[0035] また、発光素子21、22、23が近紫外光の場合、近紫外光を赤色光に変換する蛍光体を含有するR蛍光体層と、近紫外光を緑色光に変換する蛍光体を含有するG蛍光体層と、近紫外光を青色光に変換する蛍光体を含有するB蛍光体層とが配列される。近紫外光を赤色光に変換する蛍光体としては、例えばCaAlSiN3:Euなどを用いることができる。近紫外光を緑色光に変換する蛍光体としては、例えばβ-SiAlON:Euなどを用いることができる。近紫外光を青色光に変換する蛍光体としては、例えば(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6 Cl2:Eu、BaMgAl10O17:Eu(Sr,Ba)3 MgSi2O8:Euなどを用いることができる。」
ウ 「[0037] [第1の実施の形態に係る表示装置の製造方法]
第1の実施の形態に係る表示装置の製造方法は、部材配置工程において、ウエハを取り除き、赤色光、緑色光、又は青色光に変換させる蛍光体層を複数の発光素子上にサブピクセル単位で配列するものである。
[0038]
……
[0039] 図3(A)は、ウエハ上の発光素子を模式的に示す断面図であり、図3(B)は、発光素子と基板との接続工程を模式的に示す断面図である。図3(A)に示すように、発光素子21、22、23は、ウエハ20上にRGBサブピクセルの配列で形成されている。ウエハ20は、サファイア基板、SiC基板、GaN基板、Si基板などの成長基板であることが好ましい。
[0040]
……
[0048] 図4は、第1の実施の形態における部材配置工程を模式的に示す断面図であり、図4(A)は、ウエハを除去する工程を示し、図4(B)は、蛍光体層を形成する工程を示す。
[0049] 図4(A)に示すように、部材配置工程では、先ず、ウエハ20をリフトオフさせ、ウエハ20を除去する。ウエハ20のリフトオフには、レーザリフトオフ装置を用いることが好ましい。レーザリフトオフ装置を用いることにより、パルス発振される高密度UVレーザ光がウエハ20を透過してGaN層に到達し、約20nmの深さにわたってGaNがGaとN 2 (窒素)に分解され、LED構造にダメージを与えることなく、ウエハ20を剥離することができる。
[0050] 次に、図4(B)に示すように、赤色光、緑色光、又は青色光に変換させる蛍光体を含む透光性樹脂を複数の発光素子21、22、23上、すなわち第1導電型クラッド層211上に塗布し、蛍光体層51、52、53を形成する。透光性樹脂としては、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。また、蛍光体を含む透光性樹脂の塗布には、インクジェット法などを用いることができる。」
エ 図1及び図2は、以下のものである。
図1
図2
21、22、23…発光素子
211…n-GaNからなる第1導電型クラッド層
211a…第1導電型電極
212…In x Al y Ga 1-x-y N層からなる活性層
213…p-GaNからなる第2導電型クラッド層
213a…第2導電型電極
30…基板
31…基材
32…第1導電型用回路パターン
33…第2導電型用回路パターン
40…異方性導電膜
41…導電性粒子
オ 図3及び図4は、以下のものである。
図3
図4
20…ウエハ(サファイア基板、SiC基板、GaN基板等の成長基板)
51、52、53…蛍光体層
(2)引用文献の記載から把握できる事項
ア 上記(1)アの記載によれば、引用文献には、
「マイクロLEDディスプレイ」の高輝度化及び高精細化を実現した製造方法が記載されているものと認められる。
なお、「マイクロLEDディスプレイ」とは、多数のLEDを画素(ピクセル)として回路基板上に敷き詰めた表示装置である。
必要ならば、下記の文献を参照
特表2018-505567号公報(【要約】及び【0011】)
イ また、上記(1)アの記載によれば、以下のことが理解できる。
引用文献に記載された方法によれば、多数のマイクロLEDを「異方性導電接着剤」を用いて回路基板上に一括実装するため、高輝度化と高精細化が同時に達成できること(いわゆる、モノリシック型)。
ウ 上記(1)イの記載を踏まえて、図1及び図2を見ると、以下のことが理解できる。
(ア)上記アの「マイクロLED」は、例えば、近紫外光を発光する、0.005mm×0.005mmサイズのフリップチップ型のLEDであって、蛍光体層と組合わせることにより、可視領域の光を発光すること。
以下、「5μm×5μm」と表記する。
(イ)上記アの「マイクロLED」は、例えば、
半導体層として、
n-GaNからなる第1導電型クラッド層211と、
InxAlyGa1-x-yN層からなる活性層212と、
p-GaNからなる第2導電型クラッド層213と、を備えるものであってもよいこと。
エ 上記(1)ウの記載を踏まえて、図3及び図4を見ると、以下のことが理解できる。
上記ウ(イ)の「半導体層」は、
サファイア基板上に、
n-GaNからなる第1導電型クラッド層211と、
InxAlyGa1-x-yN層からなる活性層212と、
p-GaNからなる第2導電型クラッド層213を、順に成長させ、
その後、サファイア基板をリフトオフした半導体層であること。
2 引用文献に記載された発明
上記1(2)の検討からして、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「近紫外光を発光する、5μm×5μmサイズのフリップチップ型のマイクロLEDであって、
サファイア基板上に、
n-GaNからなる第1導電型クラッド層と、
InxAlyGa1-x-yN層からなる活性層と、
p-GaNからなる第2導電型クラッド層と、を順に成長させ、
その後、前記サファイア基板をリフトオフした半導体層を備えた、マイクロLED。」
第4 対比・判断
1 本願発明と引用発明を対比する。
(1)「近紫外」とは、紫外線のうち、可視光に近い波長であることから、引用発明の「近紫外光を発光する、5μm×5μmサイズのフリップチップ型のマイクロLED」は、本願発明の「チップサイズは矩形状の平面形状において少なくともその一辺が50μm以下であるUV-LED」に相当する。
(2)引用発明の「n-GaNからなる第1導電型クラッド層」と本願発明の「コンタクト層上に形成されたn型SLS層」とは、
「n型クラッド層」である点で一致する。
(3)ア 本願発明の「InGaN系発光層」に関して、本願明細書には、以下の記載がある。
「【0018】
図2において、発光波長385nmのUV-LEDチップは、サファイア基板20上にu-GaNバッファ層22、(GaN;Si)n-コンタクト層24を積層し、この上にInGaN系発光層を積層して構成される。具体的には、順次、
(AlInGaN)/(InGaN;Si)n―SLS(超格子構造)層26
(InGaN/AlGaN)MQW(多重量子井戸)発光層28
p-AlGaN;Mg層30
(AlGaN;Mg/GaN;Mg)p-SLS層32
p-GaN(GaN;Mg)層34がMOCVD装置を用いて積層される。」
イ 上記記載からして、
本願発明の「InGaN系発光層」とは、少なくとも、In元素、Ga元素及びN元素を含む発光層であって、Al元素を含んでもよいものと解される。
ウ そうすると、引用発明の「InxAlyGa1-x-yN層からなる活性層」と本願発明の「n型SLS層上に形成されたInGaN系発光層」とは、
「n型クラッド層上に形成されたInGaN系発光層」である点で一致する。
(4)引用発明の「p-GaNからなる第2導電型クラッド層」と本願発明の「発光層上に形成されたp型SLS層」とは、
「発光層上に形成されたp型クラッド層」である点で一致する。
(5)上記のことから、本願発明と引用発明とは以下の点で一致する。
<一致点>
「n型クラッド層と、
前記n型クラッド層上に形成されたInGaN系発光層と、
前記発光層上に形成されたp型クラッド層と、
を備え、
チップサイズは矩形状の平面形状において少なくともその一辺が50μm以下であるUV-LED。」
(6)一方で、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明は、「バッファ層」を備えているのに対して、
引用発明は、バッファ層を備えているか否か不明である点。
<相違点2>
本願発明は、
ア 「バッファ層上に形成されたコンタクト層」を備え、
イ 「『コンタクト層に形成されたn型SLS層』、『n型SLS層上に形成されたInGaN系発光層』及び『InGaN系発光層上に形成されたp型SLS層』」を備えているのに対して、
引用発明は、そのような半導体層を備えていない点。
2 判断
(1)上記<相違点1>について検討する。
ア 引用発明の「n-GaNからなる第1導電型クラッド層」は、「サファイア基板」上に形成されたものであるところ、サファイア基板上に半導体層を形成する際に、転位の抑制などを目的として、「バッファ層」を介在させることは、本願出願時点で周知である(以下「周知技術1」という。)。
原査定の拒絶の理由において、素子構造などは適宜設計されるべき事項であることを示すために、周知文献として例示した特開2017-17265号公報(【0014】ないし【0024】及び図1)を参照。
必要ならば、例えば、下記の文献も参照されたい。
特開2010-103429号公報(【0011】ないし【0020】)
特開2005-311119号公報(【0017】ないし【0021】)
特開2005-197292号公報(【0026】ないし【0030】)
特開2004-363349号公報(【0015】ないし【0017】)
特開2004-186509号公報(【0011】ないし【0021】)
特開2004-55719号公報(【0019】ないし【0020】)
ちなみに、特開2017-17265号公報の図1は、以下のものである。
10 PSS(パターニングされたサファイア基板)
12 AlNバッファ層
14 u-AlGaN層
16 n-AlGaN層
18 n-clad AlGaN層
20 活性層
22 p-block AlGaN層
24 p-clad AlGaN層
26 p-contact層
イ してみると、引用発明において、サファイア基板上に「バッファ層」形成することは、当業者が容易になし得たことである。
その際、引用発明の「半導体層」は、成長後にサファイア基板をリフトオフしたものであるから、除去後は、「『バッファ層』を含む半導体層」となる。
ウ 以上のことから、引用発明において、上記<相違点1>に係る本願発明の構成を備えることは、当業者が上記周知技術1に基いて容易になし得ることである。
(2)上記<相違点2>について検討する。
ア 引用発明は、「『近紫外光を発光する』『マイクロLED』」であるところ、
「超格子構造のクラッド層」を採用することで、発光効率を向上させた紫外線を発光するLEDは、上記周知技術1で例示した文献等に記載されているように、本願出願時点で周知である(以下「周知技術2」という。)。
ちなみに、特開2004-55719号公報の表1は、以下のものである。
表1において、( )内の数値は発光効率が最大となる最適値を示す。
エ してみると、引用発明の「n-GaNからなる第1導電型クラッド層」及び「p-GaNからなる第2導電型クラッド層」を、例えば、「AlGaN」と組合わせることにより超格子構造に変更することで、発光効率を向上させることは、当業者が上記周知技術2に基いて容易になし得たことである。
その際、「コンタクト層」を形成することは、適宜なし得る設計事項である。
オ 以上のことから、引用発明において、上記<相違点2>に係る本願発明の構成を備えることは、当業者が上記周知技術2に基いて容易になし得ることである。
(3)効果
本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、上記周知技術1及び周知技術2から予測し得る範囲内のものである。
3 審判請求書における主張について
(1)請求人は、下記ア及びイのように主張することから、この点について検討する。
ア 「本願出願当時における後述の公知事実、すなわちチップサイズを小さくすると発光強度が低下するとの事実を参酌することでより明瞭に理解される。公知事実を参酌すれば、引用文献1の記載のみでは、引用文献1におけるGaNクラッド層をSLS層に置換する技術的必然性は全く存在していないのは明らかである。」(第5頁中段)
当審注:引用文献1は、審決で引用する引用文献である。
しかしながら、SLS層には、キャリアを活性層に注入して閉じ込める効果以外に、活性層に転位やクラックが伝搬するのを抑制する効果もあることから、引用発明において、GaNクラッド層をSLS層にする動機がある。
ちなみに、上記周知技術1で例示した「特開2005-197292号公報」の【0047】には「…この様な超格子構造のn型クラッド層には、n型コンタクト層などから上記の量子井戸層に転位やクラックが伝播するのを抑制する効果があり、また、超格子構造は、素子内部の応力を緩和する作用をも奏するので、量子井戸層自身が柔軟になったこととの相乗効果によって、量子井戸層に転位やクラックが生じ難くなる。より望ましくは、30周期以上38周期以下の範囲で繰り返すと良い。」と記載されている。
イ 「これら参考資料1及び参考資料2で示されているように、SLS層なしではチップサイズが小さくなると発光強度が低下してしまい、十分な発光効率を有するマイクロLEDデバイスは得られないところ、InGaN系発光層を挟むようにn型SLS層とp型SLS層を形成しつつ、チップサイズを50μm以下とすることで発光効率が逆に増大するのであるから、本願発明は引用文献と比較して予測し得ない顕著な効果を奏することは明白である。」(第8頁中段)
本願の図18及び参考資料2におけるLEDは、本願明細書の【0018】ないし【0020】等の記載からして、
「多重量子井戸構造の発光層」を「特定周期のSLS層」で挟み込んだ構造であると解される。
しかしながら、本願発明は、上記構造のLEDに特定されるものではない。
この点は措くとしても、「5μm×5μmサイズのSLS層のないLED」に対して、SLS層を適用した際に、発光効率が向上することが予測できればよいのであり、「(既に)SLS層のあるLED」のチップサイズを徐々に小さくした際に、「50μm」を境に、発光効率が向上することを予測できなければならないというものではない。
(2)よって、請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。
4 まとめ
本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-008785