意匠拒絶査定不服審判
2019-001693
ヘッドライトの装飾照明具
- 審判番号
- 2019-001693
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2017-027070外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年02月06日
- 審決日
- 2019年06月11日
- 公報発行日
- 2019年08月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】グローバルトレーディング株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人北斗特許事務所
- 分類
- D18 .113-WY (G2-2)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第4条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2017- 27070「ヘッドライトの装飾照明具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成29年(2017年)12月4日の意匠登録出願であって、平成30年(2018年)6月25日付けの拒絶理由の通知に対し、同年8月6日に意見書が提出されたが、同年11月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年(2019年)2月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願の意匠
本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「ヘッドライトの装飾照明具」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1465112号
(意匠に係る物品、自動車用ランプ)の意匠(別紙第2参照)
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「ヘッドライトの装飾照明具」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「自動車用ランプ」であって、表記は異なるが、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも、自動車のヘッドライトの周辺に取り付けられる照明具であるから、共通するものである。
(2)両意匠の形態
両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
両意匠は、全体の色彩を暗調子とする基部と発光部から成り、正面視、略横長帯状の基部の正面部に、基部の横幅よりやや短い長さの略横長細帯状の発光部を取り付けたものであって、発光部の右端部は、右に鋭角に傾斜し、その斜辺が左斜め上方に延出して上端部に鋭角に尖った三角形を形成している(以下、右端部全体を「鏃(やじり)部」という。)。
イ 相違点
(ア)基部
(ア-1)全体形状について、本願意匠は、正面視において、両端部をそれぞれ右下がりに切り欠いて略横長平行四辺形とした薄板状パネル(以下「前面パネル部」という。)の中央やや左端部寄りを背面側に緩やかに湾曲し、背面部に、平面視、略横長帯状で、その上端部に形状の異なる凹凸を多数形成した取付部を、横幅いっぱいに設けている。これに対し、引用意匠は、正面視、略横長長方形の右端部を発光部の形状にあわせて上端を略隅丸三角形に突出した、前後に厚みのあるブロック状で、背面部は平坦面状で下端部の中央やや両端部寄りにやや大きめの矩形状の切り欠きを1つずつ設けている。また、底面部に、前記の2つの切欠部を正面側から囲むように、底面視、略横長倒コ字状の台座部を形成し、この台座部は正面視において、上側の形状線が右側に傾斜しており、これによって基部全体がやや右傾している。
(ア-2)本願意匠は、前面パネル部の右端部に前面パネル部よりやや縦幅が短い略横長矩形状の係止片を突設しているのに対し、引用意匠は、係止片はなく、垂直な平坦面状である。
(イ)発光部
(イ-1)正面部の形状について、本願意匠は、鏃部を除く全体が、左右に細長い長方形で、鏃部は、左斜め上方に尖った三角形の左側の付け根が鋭角に屈曲している。また、上下中央にごく細幅の分割線を左端部中央から右端部手前まで設け、さらに右端部側を左斜め上方に屈曲して鏃部の先端まで延設し、この分割線より上側の面に横縞状の細線を多数形成している。これに対し、引用意匠は、鏃部を除いて、上下の形状線は、右に傾斜した直線で、左端部で上下の線が鋭角に接合して全体として細長の先細り状をなし、鏃部は、左斜め上方に尖った三角形の付け根が弧状に湾曲している。また、鏃部の斜辺から下側の形状線に沿って縁取りしたように明調子の部分が看取できる。
(イ-2)基部への取付け態様について、本願意匠は、前面パネル部の略上下中央に水平に取り付け、前面パネル部の面上からわずかに段差状に埋設しているのに対し、引用意匠は、基部の正面部のやや上端部寄りの面上に取り付け、立体状に突設している。
2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、共通している。
(2)両意匠の形態
以下、両意匠の形態について検討する。
ア 共通点の評価
この種物品の分野において、基部の色彩を暗調子とし、正面視、略横長帯状の基部の正面部に、基部の横幅よりやや短い長さの略横長細帯状の発光部を一体状に取り付けたものは、両意匠の他にも見られる態様である(参考意匠1、参考意匠2)。また、発光部の片側端部を鏃部としたものも、両意匠の他にもごく普通に見られる態様であることから、これらの態様は、いずれも両意匠のみに共通する態様とはいえず、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠1(別紙第3参照)
本願出願前の平成22年(2010年)2月8日に特許庁が発行した意匠公報に記載された
意匠登録第1379230号の意匠
(意匠に係る物品、ヘッドライトの飾り照明具)
参考意匠2(別紙第4参照)
本願出願前の平成23年(2011年)7月11日に特許庁が発行した意匠公報に記載された
意匠登録第1418186号の意匠
(意匠に係る物品、ヘッドライトの装飾照明具)
イ 相違点の評価
まず、相違点(ア)について、(ア-1)前面パネル部を湾曲した略横長平行四辺形薄板状とし、その背面部に取付部を設けた本願意匠と、全体が、正面視、略横長長方形のブロック状で上端部右側を略隅丸三角形に突出した引用意匠とは、基本形態が相違しており、一見して視覚的印象は異なるものである。また、(ア-2)係止片の有無について、本願意匠の当該係止部は比較的大きく目立つものであって、前面パネル部の右端部をさらに延長して一層横長薄板の印象であるのに対し、引用意匠の右端部は係止片はなく、奥行きのある垂直な平坦面状であるから、(ア-1)と相まって、異なる美感が生じているものである。
したがって、相違点(ア)が、両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。
次に、相違点(イ)について、(イ-1)本願意匠は、鏃部を除く全体が、左右に細長い長方形で、鏃部を含めてすべて直線で形成し、かつ基部の前面パネル部の上下の形状線に沿って水平に取り付けているため、前面パネル部と発光部の横線が整列し、整然とした印象をもたらしているのに対し、引用意匠は、鏃部を除く全体が、左に向かって細長の先細り状で、さらに、鏃部の三角形の左側の付け根が弧状に湾曲しているため、台座部により基部全体が右側に傾斜している効果も相まって、左上から右下に突き進むようなスピード感と躍動感をもたらしており、表面に施される線等の違いも含め、両者は、異なる美感をもたらしているものである。また、(イ-2)前面パネル部の面上からわずかに段差状に埋設している本願意匠と、基部の正面部のやや上端部寄りの面上に立体状に突設している引用意匠とは、その取り付けの構成が大きく相違しており、視覚的印象は全く異なるものである。加えて、使用状態を示す参考図によれば、本願意匠は、使用状態において、前面パネル部と発光部が車体表面に表れるように取り付けるものであるのに対し、引用意匠は、使用状態において、発光部のみが車体表面に表れるように取り付けるものであり、発光部のみならず、前面パネル部も表出するよう車体に取り付けられる本願意匠と、発光部のみ車体表面に表れるように取り付けられる引用意匠とは、使用状態が相違するものであるから、その視覚的印象は異なるものといえ、この点においても両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
したがって、相違点(イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。
以上のとおり、相違点(ア)及び相違点(イ)が、両意匠の類否判断に与える影響はいずれも極めて大きいものであるから、相違点全体が相まって両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
3 小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は共通するが、形態においては、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両意匠は、美感を異にするというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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