特許拒絶査定不服審判
2019-000923
乗員保護装置
- 審判番号
- 2019-000923
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-192666外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年01月24日
- 審決日
- 2020年02月10日
- 公報発行日
- 2020年03月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社SUBARU
- 【請求人代理人】筒井 大和
- 分類
- P18 .121-WY (B60R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-192666号「乗員保護装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月25日出願公開、特開2016- 60464号、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成26年9月22日の出願であって,平成30年3月27日付けで拒絶理由が通知され,平成30年6月1日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたが,同年10月23日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,これに対し,平成31年1月24日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1)本願の請求項1,3に係る発明は,以下の引用文献1-3,5に基いて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2)本願の請求項2に係る発明は,以下の引用文献1-5に基いて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2006-248276号公報
2.特開2004-338484号公報
3.特開2003-320919号公報
4.特開2005-297846号公報
5.特開2010-8280号公報
第3 本願発明
本願請求項1~3に係る発明(以下,「本願発明1」~「本願発明3」という。)は,平成31年1月24日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される,以下のとおりの発明である。
【請求項1】
撮像周期毎に車両周囲を撮像して画像データを出力するセンサ部と、
前記センサ部より出力される複数の前記画像データから、共通の特徴点を抽出する特徴点抽出部と、
撮像時点の異なる複数の前記特徴点を比較し、前記特徴点の移動量を演算する移動量演算部と、
前記特徴点の移動量に基づいて、車体のロール軸回りの回転挙動を判定する挙動判定部と、
車体側部に設けられる第1エアバッグモジュールと、
前記車体側部に設けられ、前記第1エアバッグモジュールよりも上方に配置される第2エアバッグモジュールと、
前記回転挙動に基づいて、前記第1エアバッグモジュールと前記第2エアバッグモジュールとの展開状態を制御するエアバッグ制御部と、
を有し、
前記センサ部として、車両前方の画像データを出力する前センサ部と、車両後方の画像データを出力する後センサ部と、の少なくともいずれか一方を備え、
前記特徴点抽出部は、前記特徴点として、前記画像データの消失点よりも右側の領域から右特徴点を抽出し、前記画像データの消失点よりも左側の領域から左特徴点を抽出し、
前記移動量演算部は、前記右特徴点の移動量を演算し、前記左特徴点の移動量を演算し、
前記挙動判定部は、前記右特徴点と前記左特徴点との移動量の垂直方向成分に基づいて、前記回転挙動を判定し、
前記エアバッグ制御部は、前記回転挙動が閾値を上回るロールオーバー挙動であると判定された場合に、前記第1エアバッグモジュールを展開させ始めた後に、前記第2エアバッグモジュールを展開させ始める、乗員保護装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乗員保護装置において、
前記車体側部の窓ガラスを開閉させるウィンドウレギュレータと、
前記ウィンドウレギュレータを制御するウィンドウ制御部と、を有し、
前記ウィンドウ制御部は、前記回転挙動が閾値を上回るロールオーバー挙動であると判定された場合に、前記ウィンドウレギュレータを制御して前記窓ガラスを閉じる、乗員保護装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の乗員保護装置において、
前記第2エアバッグモジュールは、前記車体側部の窓ガラスを覆うカーテンエアバッグモジュールである、乗員保護装置。
第4 引用文献,引用発明等
1.引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。
・「【請求項1】
ロールオーバー判定機能を有するエアバッグ制御装置において、
車両のロールオーバーおよび横転方向を判定する判定手段と、
着座シート上の乗員に関する傾斜情報を検出する傾斜情報検出手段と、
該傾斜情報検出手段からの乗員に関する傾斜情報に基づいて乗員をサイドウインドから遠ざけ、サイドエアバッグを展開するサイドエアバッグ展開手段と、
該サイドエアバッグ展開手段によるサイドエアバッグの展開後所定時間後に左右のカーテンエアバッグを展開するカーテンエアバッグ展開手段と
を備えたことを特徴とするエアバッグ制御装置。」
・「【技術分野】
【0001】
この発明は、エアバッグ制御装置に関し、特に、ロールオーバー対応のエアバッグ制御装置に関するものである。」
・「【0006】
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、車両の横転を事前に検知し、カーテンエアバッグを展開して乗員が車外に放出されるのを未然に防ぐことができるエアバッグ制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るエアバッグ制御装置は、車両のロールオーバーおよび横転方向を判定する判定手段と、着座シート上の乗員に関する傾斜情報を検出する傾斜情報検出手段と、この傾斜情報検出手段からの乗員に関する傾斜情報に基づいて乗員をサイドウインドから遠ざける機能を有する左右のサイドエアバッグを展開するサイドエアバッグ展開手段と、このサイドエアバッグ展開手段によるサイドエアバッグの展開後所定時間後に左右のカーテンエアバッグを展開するカーテンエアバッグ展開手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、乗員がサイドウインド側に傾斜している時のみ、サイドエアバッグを展開させるので、サイドエアバッグの補修費が安くなり、また、ロールオーバー判定した場合は乗員の姿勢を拘束しカーテンエアバッグを展開するので、展開したカーテンエアバッグによって乗員の保護の信頼性が向上するという効果がある。」
・「【0010】
図1において、エアバッグ制御装置は、車両フロアとシートスライドの間や着座シート下部とシートスライドの間に設けられた荷重センサ1と、車両のロールオーバーを検知する、例えば角加速度センサを用いたロールオーバー検知手段2と、荷重センサ1からの検出出力とロールオーバー検知手段2からの検知出力とが入力されるロールオーバー判定手段(ECU)3とを備え、このロールオーバー判定手段3は、荷重センサ1からの検出出力に基づいて着座シートの荷重がどちらに向いているかを判断する荷重分布判定部31と、ロールオーバー検知手段2の検知出力に基づいて車両のロールオーバーを判定する左右横転方向判定部32とを有する。なお、荷重センサ1と荷重分布判定部31は、実質的に着座シート上の乗員に関する傾斜情報を検出する傾斜情報検出手段を構成し、ロールオーバー検知手段2と左右横転方向判定部32は実質的に車両のロールオーバーおよび横転方向を判定する判定手段を構成する。
【0011】
また、エアバッグ制御装置は、ロールオーバー判定手段3の荷重分布判定部31の判定結果と左右横転方向判定部32の判定結果に基づいてエアバッグの展開を判断するエアバッグ展開判断手段4と、このエアバッグ展開判断手段4の出力側にそれぞれ設けられた左右シートベルト巻き上げ機5、右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7と、エアバッグ展開判断手段4の出力側に遅延タイマ8を介して設けられた左右カーテンエアバッグ9とを備える。なお、左右シートベルト巻き上げ機5、右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7は、実質的に乗員の姿勢を規制、つまり保持するものであり、また、左右カーテンエアバッグ9は、実質的に乗員を保護するものである。
【0012】
なお、エアバッグ展開判断手段4と右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7は、実質的に乗員に関する傾斜情報に基づいて乗員をサイドウインドから遠ざけ、サイドエアバッグを同時に展開するサイドエアバッグ展開手段を構成し、エアバッグ展開判断手段4と左右カーテンエアバッグ9は、実質的にサイドエアバッグの展開後一定時間後あるいは同時に左右カーテンエアバッグ9を展開するカーテンエアバッグ展開手段を構成する。また、右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7は、サイドドアライニング部、シート背もたれまたはシート座席部に設置する。」
・「【0015】
また、エアバッグ展開判断手段4では、左右横転方向判定部32のロールオーバーの横転方向の判定結果に基づいて右サイドエアバッグ6または左サイドエアバッグ7を展開し、遅延タイマ8を介して一定時間後左右カーテンエアバッグ9を展開する。なお、左右カーテンエアバッグ9の展開は、遅延タイマ8を介することなく、サイドエアバッグ6,7の展開と同時に実行するようにしてもよい。」
・「【0019】
図5は、サイドエアバッグをサイドウインド側から展開する通常のサイドエアバッグ展開の推移状態を示しており、図5(a)は乗員の頭部12がサイドウインド10に接近し、図5(b)はサイドエアバッグ6,7が展開し、図5(c)はカーテンエアバッグ9が展開する状態を示している。いま、図5(a)では、乗員の頭部12がサイドウインド10に接しているため、カーテンエアバッグ9を展開すると、カーテンエアバッグ9の先端が乗員の頭部12に当たり、カーテンエアバッグ9はカーテン状に展開しない。一方、図5(b)では、サイドエアバッグ6または7を展開し、サイドウインド10から乗員の頭部12を引き離し、カーテンエアバッグ9が展開できる間隙を設ける。また、図5(c)では、サイドエアバッグ6または7を展開した一定時間(Δt(s))後にカーテンエアバッグ9を展開する。」
・図1、図5には以下の図面が図示されている。
・段落【0012】の下線部を参照すると右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7はサイドドアアライニング部に設置され、図5(c)からみて、車体側部に設けられ、右サイドエアバッグ6よりも上方に配置される右カーテンエアバッグ9が看て取れるとともに、通常、左サイドエアバッグ7よりも上方に左カーテンエアバッグ9が配置されることは明らかである。
これらの記載事項及び図示内容からみて,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「サイドドアアライニング部に設置される右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7と、
ロールオーバー判定手段3の荷重分布判定部31の判定結果と左右横転方向判定部32の判定結果に基づいてエアバッグの展開を判断するエアバッグ展開判断手段4と、
車体側部に設けられ、右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7よりも上方に配置されるとともに、エアバッグ展開判断手段4の出力側に遅延タイマ8を介して設けられた左右カーテンエアバッグ9とを備える、エアバッグ制御装置であって、
エアバッグ展開判断手段4では、左右横転方向判定部32のロールオーバーの横転方向の判定結果に基づいて右サイドエアバッグ6または左サイドエアバッグ7を展開し、遅延タイマ8を介して一定時間後左右カーテンエアバッグ9を展開する、エアバッグ制御装置。」
2.引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【請求項2】
車両の乗員の側面部分を保護する側面保護手段を備える車両に搭載される乗員保護装置において、
前記車両の側面回転方向の角速度を検出する角速度検出手段と、
前記車両の状態を検出する状態検出手段と、
前記角速度検出手段により検出された角速度に基づいて、前記乗員に生じる危険に対応するパラメータを設定し、当該設定されたパラメータが所定の作動基準値を超えた際に、前記側面保護手段を作動させるべく制御する制御手段と、
前記状態検出手段により検出された前記車両の状態に応じて、前記作動基準値を調整する調整手段と、を備えることを特徴とする乗員保護装置。」
・「【請求項8】
請求項2~7の何れか1項に記載の乗員保護装置において、
前記側面保護手段には、カーテンエアバッグと、サイドエアバッグと、が含まれ、
前記作動基準値として、前記カーテンエアバッグに対応するカーテン用基準値と、前記サイドエアバッグに対応するサイド用基準値と、が設定され、
前記制御手段は、前記設定されたパラメータが前記カーテン用基準値を超えた際に、前記カーテンエアバッグを展開させ、当該パラメータが前記サイド用基準値を超えた際に、前記サイドエアバッグを展開させるべく制御し、
前記調整手段は、前記カーテン用基準値及び前記サイド用基準値を調整する場合には、前記サイド用基準値が前記カーテン用基準値以下となるように、調整することを特徴とする乗員保護装置。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両がロールオーバする際に乗員を保護する乗員保護装置に関する。」
・「【0054】
図1及び図2に示すように、乗員保護装置1は、図2に示す車両Pに搭載され、角速度センサ(角速度検出手段)2と、状態検出部(状態検出手段)3と、制御部(制御手段)5と、セーフィング部6と、主調整部(調整手段)7と、プリテンショナ(側面保護手段)8と、サイドエアバッグ(側面保護手段)9と、カーテンエアバッグ(側面保護手段)10を備える。」
・「【0056】
角速度センサ2は、図2に示すように、車両Pの側面回転方向(車両P前後方向を軸とした回転方向)の角速度を検出する。なお、当該側面回転方向については、車両Pの前方から見て右回転方向を負方向とし、左回転方向を正方向とする。」
・「【0075】
この結果、当該角度が基準角度を超え、且つ、当該角速度が当該基準角度に対応するサイド用基準角速度を超えた場合(以下、「一組のパラメータが基準角度及びサイド用基準角速度を超えた場合」と称する)には、当該サイド用基準角速度に対応する座席側のサイドエアバッグ9を展開させる旨のサイド展開許可信号を生成して展開実行部53に出力する。
【0076】
また、当該角度が基準角度を超え、且つ、当該角速度が当該基準角度に対応するカーテン用基準角速度を超えた場合(以下、「一組のパラメータが基準角度及びカーテン用基準角速度を超えた場合」と称する)には、当該カーテン用基準角速度に対応する座席側のカーテンエアバッグ10を展開させる旨のカーテン展開許可信号を生成して展開実行部53に出力する。」
・「【0084】
一方、角度等比較部52に調整信号が与えられた場合、角度等比較部52は、一組のパラメータが基準角度及びサイド用基準角速度を超えた場合に、サイド展開許可信号を出力し、その後、当該一組のパラメータが基準角度及びカーテン用基準角速度を超えた場合に、カーテン展開許可信号を出力する。」
・「【0203】
したがって、乗員保護装置1は、サイド用基準角速度及びカーテン用基準角速度が調整された場合には、図17~21に示すように、車両Pの重心が実質90度に達する時刻t7よりも前の時刻t5にて、図7に示すステップS1a~ステップS8a等の処理により、プリテンショナ8の作動及びサイドエアバッグ9の展開を同時に行う。その後、時刻t7よりも前の時刻t6にて、ステップS1a~ステップS4a、及びステップS10a~ステップS11a等の処理により、カーテンエアバッグ10を展開する。なお、横滑りの程度が小さい場合等のように、サイド用基準角速度及びカーテン用基準角速度が調整されない場合には、単純なロールオーバの場合と同様の処理が行われる。」
3.引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【請求項1】 上端部が乗員頭部よりも高い位置にある車体上部に固定された状態で収納されてなると共に、作動展開時に、インフレータのガスが導かれることにより、乗員頭部と室内側壁との間へ向けてカーテン状に展開させるカーテンエアバッグを備えた自動車の頭部保護用エアバッグ装置であって、
前記カーテンエアバッグが展開する所定時間前に乗員を室内側壁より遠ざける乗員拘束手段を設けてなることを特徴とする自動車の頭部保護用エアバッグ装置。
【請求項2】請求項1に記載の自動車の頭部保護用エアバッグ装置であって、
乗員拘束手段は、乗員の胴部を室内側壁から離す方向に付勢可能なるサイドエアバッグよりなり、
該サイドエアバッグの作動展開後、所定の時間経過後に前記カーテンエアバッグが作動展開することを特徴とする自動車の頭部保護用エアバッグ装置。
【請求項3】請求項2に記載の自動車の頭部保護用エアバッグ装置であって、
前記サイドエアバッグは、ドアに設置されたドアバッグであることを特徴とする自動車の頭部保護用エアバッグ装置。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車の頭部保護用エアバッグ装置に関する。」
・「【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の技術にあっては、カーテンエアバッグが膨張する時に、乗員が自動車の室内側壁に近寄っていることなどにより、乗員の頭部と室内側壁、例えばドアガラス、ピラートリムとの間隙が小さくなっている場合には、カーテンエアバッグがスムーズに展開しづらくなるおそれがある。また、カーテンエアバッグ展開時は、ロールオーバーセンサーが自動車のロール角やロール角速度を検知しているため、カーテンエアバッグの展開タイミングのチューニング調整に多くの時間を必要とし、開発工数が多大になるおそれがある。」
・「【0015】符号1は、上端部1aが乗員Mの頭部Hよりも高い位置にあるサイドルーフレール(車体)10の上部に固定された状態で収納されてなると共に、作動展開時に、図示しないインフレータのガスが導かれることにより、乗員Mの頭部Hと室内側側壁との間へ向けてカーテン状に展開させるカーテン状のエアバッグ(以下単にカーテンエアバッグという。)である。
【0016】符号3はドアで、室内側壁を、図示しないピラーと共に形成している。該ドア3の室内側には、乗員拘束手段5が配設されている。該乗員拘束手段5は、座席4に着座した乗員Mの胴部Maを室内側壁であるドア3から離す方向に付勢可能なるドアバッグであるサイドエアバッグよりなる。該サイドエアバッグ5の作動展開後、所定の時間経過(例えば100ミリ秒)後に、カーテンエアバッグ1が作動展開するようにタイマー6によりセットされている。
【0017】次に、このカーテンエアバッグ1の展開までの順序を説明する。自動車2に搭載されてなるセンサー7がONになると、乗員拘束装置であるサイドエアバッグ5のインフレータに信号が送られ、インフレータが作動してガスがガス導入通路に噴射する。ガス導入通路内に噴射されたガスは、サイドエアバッグ5を膨張させて、図2及び図3に実線で示したドア3側に近寄っている乗員Mの胴部Maと頭部Hとを図3の破線及び矢印で示すようにドア3から離れる方向に付勢する。該サイドエアバッグ5は、乗員Mの胴部Maを横方向から押すことで、ドア3と乗員Mの頭部Hとの間の隙間9形成が少ないガス量で可能である。
【0018】前記サイドエアバッグ5のインフレータに信号が送られると同時にタイマー6にも信号が送られ、所定時間経過(例えば100ミリ秒)後に、カーテンエアバッグ1のインフレータがONになり、カーテンエアバッグ1のインフレータがガスをカーテンエアバッグ1のガス導入通路に噴射する。ガス導入通路内に噴射されたガスは、カーテンエアバッグ1を作動展開させて、図4に示したようにドアガラス8と乗員Mの頭部Hとの隙間9にカーテンエアバッグ1がスムーズに下降し、乗員Mの頭部Hを保護することができる。」
4.引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の横転から乗員を保護する装置に関する。」
・「【0018】
各種の乗員保護手段については、運転席のシートベルトのプリテンショナ60および助手席のシートベルトのプリテンショナ61、運転席の右側に装備されるエアバック62aおよび助手席の右側に装備されるエアバック63a、運転席の左側に装備されるエアバック62bおよび助手席の左側に装備されるエアバック63b、運転席側のドアに装備されるパワーウインド64の閉側操作手段および助手席側のドアに装備されるパワーウインド65の閉側操作手段、ハンドルの中央部および助手席前方のインストルメントパネルに装備されるエアバック66,67、が設定される。」
【0022】
ロール角θに基づく判定手段52においては、ロール角θの程度を判定するための基準値(注意喚起レベルθ0、横転危険警報1レベルθ1,横転危険警報2レベルθ2、横転不可避1レベルθ3,横転不可避2レベルθ4)を格納する手段、ロール角θが基準値以上かどうかを判定する手段、ロール角θが特定レベル以上の継続時間Tを判定するための基準値(設定時間T1~設定時間T4)を格納する手段、継続時間Tが基準値以上かどうかを判定する手段、これらの判定信号(車両が横転へ至る危険度を判定する信号)を出力する手段、を備える。ロール角θの程度を判定するための基準値については、注意喚起レベルθ0<横転危険警報1レベルθ1<横転危険警報2レベルθ2<横転不可避1レベルθ3<横転不可避2レベルθ4、の関係に設定される。
【0023】
ロール角速度θ’に基づく判定手段54においては、ロール角速度θ’の程度を判定する基準値(横転不可避レベルθa’~横転不可避レベルθd’)を格納する手段、ロール角速度θ’が基準値以上かどうかを判定する手段、その判定信号(車両が横転不可避かどうかの判定信号)を出力する手段、を備える。ロール角速度θ’の程度を判定する基準値については、横転不可避レベルθa’>横転不可避レベルθb’>横転不可避レベルθc’<横転不可避レベルθd’、の関係に設定される。」
・「【0031】
S13~S33において、ロール角速度θ’が横転不可避レベルθb未満かつ横転不可避レベルθc未満のときは、ロール角|θ|が横転不可避1レベルθ3(図11、参照)以上の継続時間Tが設定値T2に及ぶと、横転方向の前側に装備されるパワーウインド65または64の閉側操作手段が作動する。ロール角速度θ’が横転不可避レベルθb未満かつ横転不可避レベルθc未満かつ横転不可避レベルθd未満のときは、ロール角θが横転不可避2レベルθ4(図12、参照)以上の継続時間Tが設定値T3に及ぶと、座席の両側に装備されるエアバック62a,62b、63a,63bのうち横転方向の前側のエアバック62b,63bまたは62a,63aが作動する。その後、これらの作動開始から計測される時間が設定時間T4に達すると、座席の前方に装備されるエアバック66,67が作動するのである。」
5.引用文献5
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【請求項1】
自車両周辺を撮像した画像における特定の画像処理領域に対して画像処理を行い、自車両周辺の物体の情報を取得する物体検出装置であって、
自車両周辺の物体の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
自車両周辺を撮像する撮像手段と、
前記位置情報取得手段で取得した物体の位置情報に基づいて前記撮像手段で撮像した画像における画像処理領域を設定する画像処理領域設定手段と、
自車両の挙動の変化を検出する車両挙動検出手段と、
前記車両挙動検出手段で検出した自車両の挙動の変化に応じて前記画像処理領域設定手段で設定した画像処理領域を補正する補正手段と
を備えることを特徴とする物体検出装置。
・・・
【請求項3】
前記車両挙動検出手段は、前記撮像手段でそれぞれ撮像した撮像時刻の異なる複数の画像間のオプティカルフローを算出し、当該オプティカルフローに基づいて自車両の挙動の変化を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する物体検出装置。」
・「【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置に関する。」
・「【0009】
本発明の上記物体検出装置では、車両挙動検出手段は、撮像手段でそれぞれ撮像した撮像時刻の異なる複数の画像間のオプティカルフローを算出し、当該オプティカルフローに基づいて自車両の挙動の変化を検出すると好適である。
【0010】
この物体検出装置では、車両挙動検出手段により複数の撮像時刻の異なる画像間のオプティカルフローを利用して自車両の挙動の変化を検出することにより、自車両の挙動の変化を高精度に検出することができる。」
・「【0013】
本実施の形態では、本発明に係る物体検出装置を、車両に搭載される周辺監視装置に適用する。本実施の形態に係る周辺監視装置は、自車両前方の障害物(例えば、他車両、自転車、歩行者などの移動物体、落下物などの静止物体)を検出し、その検出した障害物情報を運転支援装置(衝突防止装置など)に出力あるいは音声や表示によって運転者に提供する。なお、検出方向としては、前方とするが、側方、後方などの他の方向でもよい。」
【0014】
図1~図3を参照して、本実施の形態に係る周辺監視装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る周辺監視装置の構成図である。図2は、自車両のロールと画像処理領域との関係を示す撮像画像の一例である。図3は、自車両のピッチングと画像処理領域との関係を示す撮像画像の一例である。
・「【0018】
カメラ3は、自車両の前方を撮像するカメラである。カメラ3は、自車両の前側の中央に取り付けられる。カメラ3は、自車両前方を撮像し、その撮像画像情報を画像信号としてECU4に送信する。この撮像画像は、一定時間(例えば、1/30秒)毎のフレームの画像である。」
・「【0022】
自車両運動量推定機能について説明する。ECU4では、現時刻(t)のフレームの画像と前時刻(t-1)のフレームの画像間の画像全体からオプティカルフローを算出する。このオプティカルフローによって、画像全体における各点(物体)の動きをベクトルとして取得できる。画像中には前方車両などの移動物体と道路などの静止物体が存在するので、画像全体を対象としてオプティカルフローを求めることにより、移動物体と静止物体に対するオプティカルフローをそれぞれ求めることができる。移動物体の場合、オプティカルフローには移動物体の動きと自車両の動きが含まれるので、自車両の運動量を推定するのが難しい。しかし、静止物体の場合、オプティカルフローには自車両の動きだけが含まれるので、自車両の運動量を推定するのが容易である。なお、オプティカルフローを算出する場合、前時刻(t-1)よりも更に過去のフレームの画像を用いてもよい。
【0023】
さらに、ECU4では、各点のオプティカルフロー(特に、静止物体のオプティカルフロー)から自車両の運動量(ピッチ角、ロール角、ヨー角など)を推定する。この推定では、8点アルゴリズムなどを利用する。ちなみに、この推定される運動量は、厳密には推定に用いる画像を撮像したカメラ3の運動量であるが、カメラ3が自車両に搭載され、自車両と一体でカメラ3も動くので、自車両の運動量に相当することになる。
【0024】
画像処理領域補正機能について説明する。ECU4では、自車両運動量推定機能で求めたピッチ角がピッチ角閾値よりも大きいか否かを判定する。ピッチ角閾値は、自車両のピッチングによって位置ずれした画像処理領域(画像処理領域設定機能で設定した領域)で画像処理を行った場合に画像処理結果(障害物情報)に影響を与える程度のピッチ角か否かを判定するための閾値であり、実験などによって予め設定される。ピッチ角がピッチ角閾値よりも大きい場合、ECU4では、そのピッチ角から画像内での上下方向の平行移動量(画素数)を算出する。そして、ECU4では、その上下方向の平行移動量に従って画像処理領域設定機能で設定した画像処理領域の位置を平行移動し、画像処理領域を最終決定する。
【0025】
また、ECU4では、自車両運動量推定機能で求めたロール角がロール角閾値よりも大きいか否かを判定する。ロール角閾値は、自車両のロールによって位置ずれした画像処理領域で画像処理を行った場合に画像処理結果に影響を与える程度のロール角か否かを判定するための閾値であり、実験などによって予め設定される。ロール角がロール角閾値よりも大きい場合、ECU4では、そのロール角から画像内での回転移動量(画像中心における水平軸に対する回転角)を算出する。そして、ECU4では、その回転移動量に従って画像処理領域設定機能で設定した画像処理領域の位置を画像中心を回転軸として回転移動し、画像処理領域を最終決定する。」
・「【0032】
カメラ3では、一定時間毎に、自車両の前方を撮像し、その画像情報を示す画像信号をECU4に送信する。ECU4では、この画像信号を受信する毎に、そのフレームの画像情報を時系列で記憶する。」
・「【0034】
ECU4では、現時刻(t)のフレームと前時刻(t-1)のフレームの画像をそれぞれ読み出し、2フレーム間の画像からオプティカルフローを算出し、そのオプティカルフローに基づいて自車両の運動量(ピッチ角、ロール角、ヨー角)を推定する(S3)。」
【0035】
ECU4では、ピッチ角がピッチ角閾値よりも大きいか否かを判定するとともに、ロール角がロール角閾値よりも大きいか否かを判定する(S4)。」
・「【0040】
この周辺監視装置1によれば、自車両の運動量を検出し、その運動量に応じて画像処理領域を補正することにより、自車両の挙動が変化した場合でも自車両周辺の障害物を十分に含む適切な画像処理領域を設定することができる。その結果、自車両の挙動が変化した場合でも、その補正された画像処理領域から障害物の情報を確実に検出することができる。さらに、周辺監視装置1によれば、異なる撮像時刻の画像間のオプティカルフローを利用して自車両の運動量を推定することにより、自車両の運動量を高精度に検出することができる。特に、画像全体を対象にしてオプティカルフローを求めているので、画像中の移動物体の動きに影響を受けることなく、自車両の運動量を検出することができる。
・・・
【0042】
例えば、本実施の形態では周辺監視装置に適用したが、歩行者検知装置などの他の物体検出装置あるいは衝突防止装置、車間距離制御装置、追従走行装置などの運転支援装置における物体検出機能などにも適用可能である。」
そうすると、引用文献5には以下の事項(以下、「引用文献5に記載された事項」という。)が記載されているといえる。
「運転支援装置における物体検出機能などにも適用可能な物体検出装置であって、自車両の前方を撮像するカメラ3であり、検出方向としては、前方とするが、後方でもよく、ECU4では、現時刻(t)のフレームの画像と前時刻(t-1)のフレームの画像間の画像全体からオプティカルフローを算出し、当該オプティカルフローによって、画像全体における各点(物体)の動きをベクトルとして取得でき、静止物体のオプティカルフローから自車両の運動量(ロール角)を推定し、自車両運動量推定機能で求めたロール角がロール角閾値よりも大きいか否かを判定し、ロール角がロール角閾値よりも大きい場合、そのロール角から画像内での回転移動量(画像中心における水平軸に対する回転角)を算出し、その回転移動量に従って画像処理領域設定機能で設定した画像処理領域の位置を画像中心を回転軸として回転移動し、画像処理領域を最終決定する、物体検出装置。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「サイドドアアライニング部」は前者の「車体側部」に相当し、以下同様に、「右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7」は「第1エアバッグモジュール」に、「左右カーテンエアバッグ9」は「第2エアバッグモジュール」に、「ロールオーバー判定手段3」は「車体のロール軸まわりの回転挙動を判定する挙動判定部」に、「エアバッグ展開判断手段4」及び「遅延タイマ8」は「エアバッグ制御部」に、「エアバッグ制御装置」は「乗員保護装置」に、それぞれ相当する。
後者の「サイドドアアライニング部に設置される右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7」は前者の「車体側部に設けられる第1エアバッグモジュール」に相当し、後者の「車体側部に設けられ、右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7よりも上方に配置され」る「左右カーテンエアバッグ9」は前者の「前記車体側部に設けられ、前記第1エアバッグモジュールよりも上方に配置される第2エアバッグモジュール」に相当する。
後者の「ロールオーバー判定装置3の荷重分布判定部31の判定結果と左右横転方向判定部32の判定結果」を出すことと、前者の「前記挙動判定部は、前記右特徴点と前記左特徴点との移動量の垂直方向成分に基づいて、前記回転挙動を判定」することとは、「前記挙動判定部は、前記回転挙動を判定」することにおいて共通する。
後者の「ロールオーバー判定装置3の荷重分布判定部31の判定結果と左右横転方向判定部32の判定結果」は車体の回転挙動に基づいて生じるものであり、後者の「エアバッグ展開判断手段4」が判断するエアバッグの展開は、「右サイドエアバッグ6および左サイドエアバッグ7」と「左右カーテンエアバッグ9」の展開であるから、後者の「ロールオーバー判定手段3の荷重分布判定部31の判定結果と左右横転方向判定部32の判定結果に基づいてエアバッグの展開を判断するエアバッグ展開判断手段4」は前者の「前記回転挙動に基づいて、前記第1エアバッグモジュールと前記第2エアバッグモジュールの展開状態を制御するエアバッグ制御部」に相当する。
後者の「エアバッグ展開判断手段4」が「左右横転方向判定部32のロールオーバーの横転方向の判定結果に基づいて」判断することは、「回転挙動がロールオーバー挙動であると判定された場合」にエアバッグモジュールの制御を行うことになるから、後者の「エアバッグ展開判断手段4では、左右横転方向判定部32のロールオーバーの横転方向の判定結果に基づいて右サイドエアバッグ6または左サイドエアバッグ7を展開し、遅延タイマ8を介して一定時間後左右カーテンエアバッグ9を展開する」ことと、前者の「前記エアバッグ制御部は、前記回転挙動が閾値を上回るロールオーバー挙動であると判定された場合に、前記第1エアバッグモジュールを展開させ始めた後に、前記第2エアバッグモジュールを展開させ始める」こととは、「前記エアバッグ制御部は、前記回転挙動がロールオーバー挙動であると判定された場合に、前記第1エアバッグモジュールを展開させ始めた後に、前記第2エアバッグモジュールを展開させ始める」ことにおいて共通する。
そうすると、両者は、
「車体のロール軸回りの回転挙動を判定する挙動判定部と、
車体側部に設けられる第1エアバッグモジュールと、
前記車体側部に設けられ、前記第1エアバッグモジュールよりも上方に配置される第2エアバッグモジュールと、
前記回転挙動に基づいて、前記第1エアバッグモジュールと前記第2エアバッグモジュールの展開状態を制御するエアバッグ制御部と、
を有し、
前記挙動判定部は、前記回転挙動を判定し、
前記エアバッグ制御部は、前記回転挙動がロールオーバー挙動であると判定された場合に、前記第1エアバッグモジュールを展開させ始めた後に、前記第2エアバッグモジュールを展開させ始める、乗員保護装置。」
の点で一致し、以下の各点で相違する。
<相違点1>
車体のロール軸回りの回転挙動を判定する挙動判定部に関して、本願発明1では、「撮像周期毎に車両周囲を撮像して画像データを出力するセンサ部と、前記センサ部より出力される複数の前記画像データから、共通の特徴点を抽出する特徴点抽出部と、撮像時点の異なる複数の前記特徴点を比較し、前記特徴点の移動量を演算する移動量演算部と、前記特徴点の移動量に基づいて、」車体のロール軸回りの回転挙動を判定する挙動判定部であって、「前記センサ部として、車両前方の画像データを出力する前センサ部と、車両後方の画像データを出力する後センサ部と、の少なくともいずれか一方を備え、前記特徴点抽出部は、前記特徴点として、前記画像データの消失点よりも右側の領域から右特徴点を抽出し、前記画像データの消失点よりも左側の領域から左特徴点を抽出し、前記移動量演算部は、前記右特徴点の移動量を演算し、前記左特徴点の移動量を演算し、前記挙動判定部は、前記右特徴点と前記左特徴点との移動量の垂直方向成分に基づいて、前記回転挙動を判定し」たのに対して、引用発明では、ロールオーバー判定手段が画像データを用いるものではなく、そのような特定はなされていない点。
<相違点2>
前記エアバッグ制御部は、前記回転挙動がロールオーバー挙動であると判定された場合に、前記第1エアバッグモジュールを展開させ始めた後に、前記第2エアバッグモジュールを展開させ始めることに関して、本願発明1では、前記回転挙動が「閾値を上回る」ロールオーバー挙動であると判定された場合であるのに対して、引用発明では、閾値を上回るとの特定がなされていない点。
(2)相違点についての判断
<相違点1について>
本願発明1と引用文献5に記載された事項とを対比すると、後者の「自車両の前方を撮像するカメラ3であり、検出方向としては、前方とするが、後方でもよく」、「現時刻(t)のフレームの画像と前時刻(t-1)のフレームの画像間の画像全体からオプティカルフローを算出し、当該オプティカルフローによって、画像全体における各点(物体)の動きをベクトルとして取得でき、静止物体のオプティカルフローから自車両の運動量(ロール角)を推定し、自車両運動量推定機能で求めたロール角がロール角閾値よりも大きいか否かを判定」することと、前者の「撮像周期毎に車両周囲を撮像して画像データを出力するセンサ部と、前記センサ部より出力される複数の前記画像データから、共通の特徴点を抽出する特徴点抽出部と、撮像時点の異なる複数の前記特徴点を比較し、前記特徴点の移動量を演算する移動量演算部と、前記特徴点の移動量に基づいて、車体のロール軸回りの回転挙動を判定する挙動判定部」であって「前記センサ部として、車両前方の画像データを出力する前センサ部と、車両後方の画像データを出力する後センサ部と、の少なくともいずれか一方を備え、前記特徴点抽出部は、前記特徴点として、前記画像データの消失点よりも右側の領域から右特徴点を抽出し、前記画像データの消失点よりも左側の領域から左特徴点を抽出し、前記移動量演算部は、前記右特徴点の移動量を演算し、前記左特徴点の移動量を演算し、前記挙動判定部は、前記右特徴点と前記左特徴点との移動量の垂直方向成分に基づいて、前記回転挙動を判定」することとは、「撮像周期毎に車両周囲を撮像して画像データを出力するセンサ部と、前記センサ部より出力される複数の前記画像データから、共通の特徴点を抽出する特徴点抽出部と、撮像時点の異なる複数の前記特徴点を比較して、前記特徴点の移動に関する量を演算する演算部と、前記特徴点の移動に関する量に基づいて、車体のロール軸まわりの回転運動を判定するものであって、前記センサ部として、車両前方の画像データを出力する前センサ部と、車両後方の画像データを出力する後センサ部と、の少なくともいずれか一方を備え、前記回転運動を判定した」ことにおいて共通するものの、少なくとも相違点1における発明特定事項の、「前記特徴点抽出部は、前記特徴点として、前記画像データの消失点よりも右側の領域から右特徴点を抽出し、前記画像データの消失点よりも左側の領域から左特徴点を抽出し、前記移動量演算部は、前記右特徴点の移動量を演算し、前記左特徴点の移動量を演算し、前記挙動判定部は、前記右特徴点と前記左特徴点との移動量の垂直方向成分に基づいて」前記回転挙動を判定した点(以下、「技術事項1」という。)については記載されていない。
また、上記「第4 2.~4.」で摘記したとおり,引用文献2や引用文献3にも、上記技術事項1は記載されておらず、原査定において請求項2について引用した引用文献4にも上記技術事項1は記載されていない。
そして、引用文献5に記載された事項は、運転支援装置に適用可能な物体検出装置であるが、画像内の回転移動量を算出して、画像処理領域を決定するものであって、ロールオーバーを検出するものではないので、引用発明に適用する動機付けがあるともいえない。
さらに、仮に、引用発明に、引用文献5に記載された事項を適用できたとしても、上記技術事項1が開示されていないため、本願発明1の発明特定事項には至らない。
したがって、本願発明1は、相違点2について検討するまでもなく、引用発明、引用文献2、引用文献3、及び引用文献5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をできたものとはいえない。
2.本願発明2,3について
本願発明2,3は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定して発明を特定するものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献2ないし引用文献5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をできたものではない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-000923