意匠拒絶査定不服審判
2019-000307
歯車用ブッシュ
- 審判番号
- 2019-000307
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-001529外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年01月10日
- 審決日
- 2019年04月19日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .113-WY (K9-1)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2018- 1529「歯車用ブッシュ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成30年1月26日の意匠登録出願であって、平成30年7月11日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年8月21日に意見書が提出されたが、平成30年10月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年1月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとし、本意匠の出願番号を意願2018-001528とする、関連意匠の意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を「歯車用ブッシュ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠は、特許庁発行の公開実用新案公報 昭和61年実用新案出願公開第204043号に記載の第1~3図に表された調和減速機のウェーブジェネレータの楕円状部材」の意匠であり、その形態は、同公報に記載されたとおりのものであって、引用意匠において本願部分と対比、判断する部分を、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、願書の【意匠に係る物品の説明】欄の記載によれば、歯車の内部に設けられた弾性部材に埋め込む「歯車用ブッシュ」である。
一方、引用意匠の意匠に係る物品は、昭和61年実用新案出願公開第204043号の明細書の記載によれば、調和減速機の入力軸に取り付けられるカムとして働く「ウェーブジェネレータの楕円状部材」である。
したがって、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも回転軸に取り付けられる歯車に用いられる部材であって、その用途は共通するとしても、その主たる機能がブッシュとカムであって異なるものであるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、その用途は一致するとしても、その機能が一致しないものである。
2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分の用途及び機能は、願書の【意匠に係る物品の説明】欄及び願書添付図面の記載によれば、車両用エンジン等に用いられる樹脂製歯車等の内部に設けられた弾性部材に嵌入されて使用される、回転軸等に取り付けられる歯車を構成する部品として用いられるものであり、その主な機能は、歯車に高負荷が加わった場合であっても、本物品とその周囲の部材との間に回り止め機能が働き、本物品とその周囲の部材との結合の解除を抑制することができるものである。
一方、引用部分の用途及び機能は、昭和61年実用新案出願公開第204043号の明細書の記載によれば、フレクスプライン(弾性筒状部材)Fに内接して回転しつつ外歯13を波動させるウェーブジェネレータを構成する楕円状カムWaとして用いられるものであり、その主な機能は、フレクスプラインFの形態を楕円状にたわませて外周歯13の楕円の長軸部分がサーキュラスプライン(環状部材)Sの内歯11と2箇所で噛み合うようにするためのものである。
したがって、本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は、一致しないものである。
3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分は、いずれもその貫通孔部分に回転軸を挿通させて取り付けられる部品の、貫通孔を除いた正面及び背面部分並びに外周面部分であるから、両部分の位置、大きさ及び範囲は、一致するものである。
4 両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると、以下のとおり、主な共通点及び相違点がある。
以下、対比のため、引用意匠の第3図における楕円形部材の長軸方向を水平に配置したものを引用意匠の「正面図」とし、その他は、これに準じて表されているものとする。
(1)両部分の形態の共通点
(共通点)両部分は、部分全体の形状が、正面視略楕円形状の一定の厚みを有する板状体とし、その中心部分に破線であらわされた円形貫通孔を形成したものである点で共通する。
(2)両部分の形態の相違点
(相違点1)本願部分の楕円形状の長軸と短軸の長さの比が、約1.44:1であるのに対し、引用部分の楕円形状の長軸と短軸の比は、約1.23:1である点で、両部分は相違する。
(相違点2)本願部分の板状体の厚みが、長軸の長さの約1/3とする肉厚なものであるのに対し、引用部分の板状体の厚みは、長軸の長さの約1/5とする厚みの薄いものである点で、両部分は相違する。
第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、その用途は一致するものの、その機能が一致せず、類似しないものである。
2 両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、いずれも一致しないものであり、類似しないものである。
3 両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置、大きさ及び範囲は、物品全体の形態の中における位置、大きさ及び範囲が一致するから、同一である。
4 両部分の形態の共通点及び相違点の評価
(1)両部分の形態の共通点
(共通点)は、部分全体の形状に係るものであって、両部分の構成態様の基調を形成し、需要者に共通の強い印象を与えるものであるから、この(共通点)が部分全体の美感に与える影響は大きい。
(2)両部分の形態の相違点
(相違点1)の楕円形状の長軸と短軸の長さの比、及び(相違点2)の板状体の厚みについては、本願部分が引用部分より扁平な楕円形状で厚みのある形態であるものの、この程度の僅かな相違は、需要者に別異の印象を与える程のものではないから、これらの相違点が部分全体の美感に与える影響は小さい。
5 両意匠の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、部分意匠全体として両部分を総合的に観察した場合、両部分は、楕円形状の長軸と短軸の長さの比、及び板状体の厚みが相違するものの、これらはいずれも共通する形態の中での僅かな比率の相違に係る相違であって、需要者の注意を特に惹くものではないのに対し、両部分の形態の共通性は、需要者に共通の美感を起こさせるものである。
また、両部分の位置、大きさ及び範囲についても、物品全体の形態の中における位置、大きさ及び範囲が一致するから、同一であるといえる。
しかしながら、両意匠は、意匠に係る物品については類似しないものであり、両部分の用途及び機能についても類似しないものであるから、これらを観察する需要者は、たとえその形態や物品全体の形態の中における位置、大きさ及び範囲が類似若しくは一致するとしても、両意匠に係る物品や両部分の用途及び機能の相違によって両意匠を類似する物品とは認識しないのであるから、両意匠を類似するものとは認めることはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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