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特許異議申立

2018-700879

被処理物の温度測定装置及び温度測定方法並びに攪拌・脱泡方法

審判番号
2018-700879
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-199844
登録番号
特許第6388992号(P6388992)
請求日
2018年11月01日
審決日
2020年03月11日
公報発行日
2020年06月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社写真化学
  • 【権利者代理人】特許業務法人森脇特許事務所
  • 【異議申立人】神谷 宗之介
審判長/審判官
  • 審判長 福島 浩司
  • 審判官 東松 修太郎
  • 審判官 渡戸 正義
分類
P1651.121-YAA(G01J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6388992号発明「被処理物の温度測定装置及び温度測定方法並びに攪拌・脱泡方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6388992号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-4]、5、6、7、8、[9-10]、11について訂正することを認める。 特許第6388992号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6388992号の請求項1-11に係る特許についての出願は、平成29年10月13日に出願され、平成30年8月24日にその特許権の設定登録がされ、同年9月12日に特許掲載公報が発行された。その後の本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 平成30年11月1日  : 特許異議申立人 神谷 宗之介(以下、単に「申立人」という。)による特許異議の申立て 令和元年6月10日付け: 取消理由通知 令和元年8月13日  : 特許権者による意見書の提出 令和元年9月30日付け: 取消理由通知(決定の予告) 令和元年12月2日  : 特許権者による意見書の提出及び訂正請求 (以下、令和元年12月2日にされた訂正請求を、「本件訂正請求」といい、また、その訂正を「本件訂正」という。) なお、本件訂正請求について、申立人に意見を提出する機会を与えたが、申立人からは、意見書の提出はされていない。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求は、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-11について訂正することを求めるものであり、以下の訂正事項1-7からなる(なお、下線は、請求人が付したものである。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1について、 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能である ことを特徴とする温度測定装置。」 とあるのを、 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、 前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている ことを特徴とする温度測定装置。」 と訂正する(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~4も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項5について、 「前記センサ部の光入射口部に、前記センサ部の光軸方向に可動な光学素子が設置されていることを特徴とする請求項3又は4記載の温度測定装置。」 とあるのを、 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部と、 前記センサ部へ電力を供給する電源部と、 前記測定値を含む前記データを前記受信ユニットへ送信する演算処理部とを有し、 前記受信ユニットは、 前記測定値を含む前記データを受信する受信部と、 前記測定値を記録する記録部とを有し、 前記センサ部の光入射口部に、前記センサ部の光軸方向に可動な光学素子が設置されていることを特徴とする温度測定装置。」 と訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項6について、 「前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載の温度測定装置。」 とあるのを、 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部と、 前記センサ部へ電力を供給する電源部と、 前記測定値を含む前記データを前記受信ユニットへ送信する演算処理部とを有し、 前記受信ユニットは、 前記測定値を含む前記データを受信する受信部と、 前記測定値を記録する記録部とを有し、 前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されていることを特徴とする温度測定装置。」 と訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項7について、 「前記送信ユニットが、球面軸受により前記容器の前記上蓋に対して揺動可能に支持されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の温度測定装置。」 とあるのを、 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットが、球面軸受により前記容器の前記上蓋に対して揺動可能に支持されることを特徴とする温度測定装置。」 と訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項8について、 「前記送信ユニットは、加速度センサをさらに備え、前記加速度センサが閾値以上の加速度を検知すると、前記センサ部に電力が供給されることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項記載の温度測定装置。」 とあるのを、 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部と、 前記センサ部へ電力を供給する電源部と、 前記測定値を含む前記データを前記受信ユニットへ送信する演算処理部とを有し、 前記受信ユニットは、 前記測定値を含む前記データを受信する受信部と、 前記測定値を記録する記録部とを有し、 前記送信ユニットは、加速度センサをさらに備え、前記加速度センサが閾値以上の加速度を検知すると、前記センサ部に電力が供給されることを特徴とする温度測定装置。」 と訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項9について、 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する方法であって、 前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置された送信ユニットは 前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、 前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、 所定時間待機する待機工程と からなる送信サイクルを繰り返し、 前記容器の外部に設置された受信ユニットは、 前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、 前記測定値を記録する記録工程と、 からなる受信サイクルを繰り返す ことを特徴とする温度測定方法。」 とあるのを、 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する方法であって、 前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置された送信ユニットは 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、 前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置され、 前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、 前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、 所定時間待機する待機工程と からなる送信サイクルを繰り返し、 前記容器の外部に設置された受信ユニットは、 前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、 前記測定値を記録する記録工程と、 からなる受信サイクルを繰り返す ことを特徴とする温度測定方法。」 と訂正する。 (請求項9の記載を直接的に引用する訂正前の請求項10も、同様に訂正する。) (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項11について、 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物を攪拌・脱泡する方法であって、 前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置された送信ユニットは 前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、 前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、 所定時間待機する待機工程と からなる送信サイクルを繰り返し、 前記容器の外部に設置された受信ユニットは、 前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、 前記測定値を記録する記録工程と、 前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め前記受信ユニットの記録部に記録されている参照データとを比較する比較工程と、 前記測定値と前記参照データとの乖離値を算出する工程とからなる受信サイクルを繰り返し、 前記乖離値に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更することを特徴とする攪拌・脱泡方法。」 とあるのを、 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物を攪拌・脱泡する方法であって、 前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置された送信ユニットは 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、 前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置され、 前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、 前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、 所定時間待機する待機工程と からなる送信サイクルを繰り返し、 前記容器の外部に設置された受信ユニットは、 前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、 前記測定値を記録する記録工程と、 前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め前記受信ユニットの記録部に記録されている参照データとを比較する比較工程と、 前記測定値と前記参照データとの乖離値を算出する工程とからなる受信サイクルを繰り返し、 前記乖離値に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更することを特徴とする攪拌・脱泡方法。」 と訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否等 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的の適否 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の「送信ユニット」について「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている」ことを特定するものであり、そのことにより、請求項1、及びそれを引用する請求項2-4の範囲が減縮されるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 「送信ユニット」が「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている」ことは、訂正前の請求項6,3及び明細書の段落【0009】、【0014】等に記載されているから、訂正事項1に係る訂正は、新たな技術的事項を導入するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1に係る訂正は、請求項1及びそれを引用する請求項2-4における「送信ユニット」について、「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている」との発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的の適否 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項5における「・・・請求項3又は請求項4に記載の温度測定装置。」のうち、「・・・請求項3に記載の温度測定装置。」に減縮するとともに、請求項3を引用しない形式とするものである。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に規定する事項を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正前の請求項5には、「・・・請求項3に記載の温度測定装置。」が記載されていたといえるから、訂正事項2に係る訂正は新たな技術的事項を導入するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項5における「・・・請求項3又は請求項4に記載の温度測定装置。」のうち、「・・・請求項3に記載の温度測定装置。」に限定するとともに、請求項3を引用しない形式とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的の適否 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項6における「・・・請求項3乃至5のいずれか1項記載の温度測定装置。」のうち、「・・・請求項3に記載の温度測定装置。」に減縮するとともに、請求項3を引用しない形式とするものである。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に規定する事項を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正前の請求項6には、「・・・請求項3に記載の温度測定装置。」が記載されていたといえるから、訂正事項3に係る訂正は新たな技術的事項を導入するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項6における「・・・請求項3乃至5のいずれか1項記載の温度測定装置。」のうち、「・・・請求項3に記載の温度測定装置。」に減縮するとともに、請求項3を引用しない形式とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的の適否 訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項7における「・・・請求項1乃至6のいずれか1項記載の温度測定装置。」のうち、「・・・請求項1に記載の温度測定装置。」に減縮するとともに、請求項1を引用しない形式とするものである。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に規定する事項を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正前の請求項7には、「・・・請求項1に記載の温度測定装置。」が記載されていたといえるから、訂正事項4に係る訂正は新たな技術的事項を導入するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項7における「・・・請求項1乃至6のいずれか1項記載の温度測定装置。」のうち、「・・・請求項1に記載の温度測定装置。」に限定するとともに、請求項1を引用しない形式とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項4に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的の適否 訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項8における「・・・請求項3乃至6のいずれか1項記載の温度測定装置。」のうち、「・・・請求項3に記載の温度測定装置。」に減縮するとともに、請求項3を引用しない形式とするものである。 したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に規定する事項を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正前の請求項8には、「・・・請求項3に記載の温度測定装置。」という選択肢が記載されていたといえるから、訂正事項5に係る訂正は新たな技術的事項を導入するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項8における「・・・請求項3乃至6のいずれか1項記載の温度測定装置。」のうち、「・・・請求項3に記載の温度測定装置。」に限定するとともに、請求項3を引用しない形式とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的の適否 訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項9の「送信ユニット」について「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置され」ることを特定するものであり、そのことにより、請求項9-10の範囲が減縮されるから、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 「送信ユニット」が「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている」ことは、訂正前の請求項6、3及び明細書の段落【0009】、【0014】等に記載されているから、訂正事項6に係る訂正は新たな技術的事項を導入するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項9について、「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている」との発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)訂正事項7 ア 訂正の目的の適否 訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項11における「送信ユニット」について「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置され」ることを特定するものであり、そのことにより、請求項11の範囲が減縮されるから、訂正事項7に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 「送信ユニット」が「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている」ことは、訂正前の請求項6、3及び明細書の段落【0009】、【0014】等に記載されているから、訂正事項7に係る訂正は、新たな技術的事項を導入するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項11について、「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている」との発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 独立特許要件について 本件では、訂正前の請求項1-11について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1-7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。 4 一群の請求項について 上記訂正事項1-5は、一群の請求項である訂正前の請求項1-8を訂正するものであり、上記訂正事項6は、一群の請求項である訂正前の請求項9-10を訂正するものである。 ここで、特許権者から、訂正後の請求項5、6、7、8について、各々、当該請求項についての訂正が認められる場合には、別の訂正単位とすることの求めがあったことから、訂正後の請求項[1-4]、5、6、7、8、[9-10]、11について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1-11に係る発明(以下、各々「本件発明1」-「本件発明11」ともいい、また、「本件発明」と総称することがある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1-11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、 前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている ことを特徴とする温度測定装置。 【請求項2】 前記送信ユニットは、前記被処理物に向けて設置されている ことを特徴とする、請求項1記載の温度測定装置。 【請求項3】 前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部と、 前記センサ部へ電力を供給する電源部と、 前記測定値を含む前記データを前記受信ユニットへ送信する演算処理部とを有し、 前記受信ユニットは、 前記測定値を含む前記データを受信する受信部と、 前記測定値を記録する記録部とを有する、 ことを特徴とする請求項1又は2記載の温度測定装置。 【請求項4】 前記センサ部の視野角が、20°~90°であることを特徴とする請求項3記載の温度測定装置。 【請求項5】 公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部と、 前記センサ部へ電力を供給する電源部と、 前記測定値を含む前記データを前記受信ユニットへ送信する演算処理部とを有し、 前記受信ユニットは、 前記測定値を含む前記データを受信する受信部と、 前記測定値を記録する記録部とを有し、 前記センサ部の光入射口部に、前記センサ部の光軸方向に可動な光学素子が設置されていることを特徴とする温度測定装置。 【請求項6】 公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部と、 前記センサ部へ電力を供給する電源部と、 前記測定値を含む前記データを前記受信ユニットへ送信する演算処理部とを有し、 前記受信ユニットは、 前記測定値を含む前記データを受信する受信部と、 前記測定値を記録する記録部とを有し、 前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されていることを特徴とする温度測定装置。 【請求項7】 公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットが、球面軸受により前記容器の前記上蓋に対して揺動可能に支持されることを特徴とする温度測定装置。 【請求項8】 公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部と、 前記センサ部へ電力を供給する電源部と、 前記測定値を含む前記データを前記受信ユニットへ送信する演算処理部とを有し、 前記受信ユニットは、 前記測定値を含む前記データを受信する受信部と、 前記測定値を記録する記録部とを有し、 前記送信ユニットは、加速度センサをさらに備え、前記加速度センサが閾値以上の加速度を検知すると、前記センサ部に電力が供給されることを特徴とする温度測定装置。 【請求項9】 公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する方法であって、 前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置された送信ユニットは 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、 前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置され、 前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、 前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、 所定時間待機する待機工程と からなる送信サイクルを繰り返し、 前記容器の外部に設置された受信ユニットは、 前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、 前記測定値を記録する記録工程と、 からなる受信サイクルを繰り返す ことを特徴とする温度測定方法。 【請求項10】 前記受信ユニットは、 前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め前記受信ユニットの記録部に記録されている参照データとを比較する比較工程と、 前記測定値と前記参照データとの乖離の有無を判定する判定工程と、 を繰り返すことを特徴とする請求項9記載の温度測定方法。 【請求項11】 公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物を攪拌・脱泡する方法であって、 前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置された送信ユニットは 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、 前記センサ部の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置され、 前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、 前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、 所定時間待機する待機工程と からなる送信サイクルを繰り返し、 前記容器の外部に設置された受信ユニットは、 前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、 前記測定値を記録する記録工程と、 前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め前記受信ユニットの記録部に記録されている参照データとを比較する比較工程と、 前記測定値と前記参照データとの乖離値を算出する工程とからなる受信サイクルを繰り返し、 前記乖離値に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更することを特徴とする攪拌・脱泡方法。」 第4 取消理由に記載した取消理由について 1 取消理由の要旨 請求項1-11に係る特許に対して、当審が令和元年9月30日付けの取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)甲第1号証を主引例とするもの 請求項1-4、9-10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1-4,9-10に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 請求項11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第2号証に記載された技術事項及び甲第5号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項11に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)職権により当審で引用された引用文献1(特開2013-244475号公報)を主引例とするもの 請求項1-4、9-10に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 請求項11に係る発明は、引用文献1に記載された発明並びに甲第2号証に記載された技術事項及び甲第5号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、請求項1-4、9-11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 証拠一覧 特許異議申立人が提出した甲第1号証-甲第5号証(以下、「甲1」~「甲5」という。)は、次のとおりである。 甲第1号証:特開2017-176990号公報 甲第2号証:特開2011-45873号公報 甲第3号証:特開2011-218300号公報 甲第4号証:特開2011-185693号公報 甲第5号証:特開2006-305512号公報 また、当審が職権により探知し、取消理由通知で採用した引用文献は、次のとおりである。 引用文献1:特開2013-244475号公報 3 甲1の記載事項 甲1には、以下の記載がある。(下線は当審にて付した。以下同様。) (甲1ア) 「【発明が解決しようとする課題】 【0011】 この発明はかかる従来の課題に着目し、粘性材料や流動性を有する材料を収容した撹拌容器を駆動モータにより公転させながら自転させると共に被混練物の気泡を脱泡させ、効率良く撹拌脱泡することが出来る撹拌脱泡機において、ハウジングケース内で撹拌運転中の撹拌容器を個別に、または複数個同時に冷却や加温を効率良く行い、撹拌している被混練物材料の物性を変化させることなく良好に担保して混合,撹拌脱泡を行うことが出来る撹拌脱泡機を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0012】 この発明は上記目的を達成するため、公転軸中心部内と自転軸の中心部とにエアー通路を形成し、前記公転軸下部のエアー通路端末部にロータリ-ジョイント及びエアー供給配管回路を介してエアー供給制御装置を接続すると共に、公転軸の中心上部のエアー通路端末部と自転軸に形成したエアー通路下部端末部に設けたロータリ-ジョイントとをエアー配管を介して気密的に接続し、前記撹拌容器に、該撹拌容器に収容した被混練物の撹拌時における温度を検出するための温度センサーを設け、前記エアー供給配管回路に、前記エアー供給制御装置から供給されるエアーを、加温エアー,冷風エアー,または常温エアーに調温するための加温冷風手段と、これらの各エアーを切り換え制御するための電磁切換え弁とを設け、前記切り換え制御された加温エアー,冷風エアー,または常温エアーの何れかを前記カップホルダ-内に収容されている撹拌容器の底面及び側面に供給して撹拌容器内の被混練物を所定温度に調温するように構成したことを要旨とするものである。」 (甲1イ) 「【0020】 図1は、この発明を実施した被混練物(粘性材料や流動性を有する材料:例えば半田ペースト,歯科用印象材料,油脂,樹脂,染料,顔料等)を収容したロータ上に設置した容器Wを公転させながら自転させることにより、前記被混練物の撹拌及び脱泡を行う撹拌脱泡機の全体を示す一部斜視図、図2は撹拌脱泡機の一部縦断正面図を示している。 【0021】 この発明の一実施形態例における撹拌脱泡機は、中空箱状のハウジングケース1内のプレート状の支持体2(取付板)に回転駆動可能な駆動モータ3と、この駆動モータ3の駆動軸4に駆動プーリ10及び公転従動プーリ11から成る伝達機構5を介して連結された公転軸6とを立設し、この公転軸6の先端にロータ7を取付けると共に、このロータ7上に前記公転軸6と回転伝達機構8を介して連結された少なくとも一本以上の自転軸9が配設してある。 【0022】 前記回転伝達機構8は、支持体2に取付けられた固定プーリ12と、前記ロータ7に設置された自動軸駆動プーリ11がベルト18を介して連結駆動され、自動軸駆動プーリ11と同軸に設けられた中間プーリ13を介して自転軸9の設けた有底筒状のカップホルダー14の外周の自転軸従動プーリ15を回転駆動するようになっている。 【0023】 なお、上記の回転駆動方法は上記のプーリやベルト等の構成に限定されるものでは無くギャー等で駆動することも可能であり、また駆動モータ3としては、通常の回転駆動のものや、正,逆回転駆動のもの、更に自転,公転をそれぞれ制御するもの等あらゆるものが使用できる。 【0024】 従って、駆動モータ3のからの回転駆動力を公転軸6や回転伝達機構8、ロータ7に設置された自動軸駆動プーリ11、更に自転軸従動プーリ15を介して自転軸9を回転駆動させ、ロータ7を公転させながら撹拌容器Wを自転させて撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌及び密閉された中空箱状のハウジングケース1内で脱泡を行うものである。 【0025】 前記駆動軸4に連結された公転軸6の中心部内と前記自転軸9の中心部とには、貫通したエアー通路31,32が形成してあり、前記公転軸6下部のエアー通路端末部31aはロータリ-ジョイント33及びエアー供給配管回路34を介してエアー供給源等で構成されるエアー供給制御装置35に接続して構成し、一方公転軸6の中心上部のエアー通路端末部31bと自転軸9に形成したエアー通路下部端末部32aに設けたロータリ-ジョイント36aとを図4に示すようなエアー配管36を介して気密的に接続してある。 【0026】 また前記カップホルダー14に装着する撹拌容器Wの上部開口部には、蓋状のアダプター37が設けてあり、このアダプター37には、撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38が設けてある。なお、38aは温度センサー38からの信号を受信する受信部を示している。」 (甲1ウ) 「【0031】 これにより制御供給された加温エアーQa,冷風エアーQb,または常温エアーQcによって撹拌容器Wを効率良く冷却したり加温し、被混練物Wxを所定温度に担保して材料の物性の変化を防止している。」 (甲1エ) 「【0033】 そして、この発明の実施形態では公転軸6を介してロータ1を公転させながら自転軸9にカップホルダー14を介して装着された撹拌容器Wを自転させて撹拌容器Wに収容した被混練物の撹拌及び脱泡を行うものである。 【0034】 前記エアー供給制御装置35は、図4に示すように外部エアーGaまたは内部コンプレッサーKaに接続してエアーQを供給するようにし、また前記カップホルダ-Wの上面は、カップホルダ-Wの上面の覆い、かつ加温エアーQa,冷風エアーQb,または常温エアーQcを撹拌容器Wの周側面側に戻すガイド手段37aを備えた蓋状のアダプター37が設けてあり、前記アダプター37に、撹拌容器W内の被混練物Wxの温度を測定する温度センサー38を設け、この温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信し、更にエアー供給制御装置35に送信して加温エアー,冷風エアー,または常温エアーの温度制御を行うようにしたものである。」 (甲1オ) 「【0043】 また同時に、撹拌材料の温度を検出しながら加温エアーQa,冷風エアーQb,または常温エアーQcを切り換え制御して撹拌容器の外表面に均一に拭き付けるので、撹拌容器W内の撹拌材料Wxを効率良く冷却または加温することが出来、更にカップホルダ-14の上面を覆い、かつ加温エアーQa,冷風エアーQb,または常温エアーQcを撹拌容器Wの周側面側に戻すガイド手段37aを備えたアダプター37を設けるので、一度加温,冷却したエアーを排気することなくリタンーンさせて無駄なく使用でき、撹拌容器の加温,冷却効率を高めることが出来る。」 (甲1カ)図2 (甲1キ)図4 上記(甲1イ)【0024】には、「駆動モータ3のからの回転駆動力」との記載があるが、文脈からみて当該記載は「駆動モータ3からの回転駆動力」を誤って記載したものと認められるから、以下では「駆動モータ3からの回転駆動力」と記載されたものとして扱う。 (2)上記(1)の記載を総合すると甲1には次の3つの発明(以下、それぞれ「甲1発明」、「甲1′発明」、「甲1′′発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲1発明) 「中空箱状のハウジングケース1内のプレート状の支持体2(取付板)に回転駆動可能な駆動モータ3と、この駆動モータ3の駆動軸4に駆動プーリ10及び公転従動プーリ11から成る伝達機構5を介して連結された公転軸6とを立設し、この公転軸6の先端にロータ7を取付けると共に、このロータ7上に前記公転軸6と回転伝達機構8を介して連結された少なくとも一本以上の自転軸9が配設してあり、 駆動モータ3からの回転駆動力を公転軸6や回転伝達機構8、ロータ7に設置された自動軸駆動プーリ11、更に自転軸従動プーリ15を介して自転軸9を回転駆動させ、ロータ7を公転させながら撹拌容器Wを自転させて撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌及び密閉された中空箱状のハウジングケース1内で脱泡を行う撹拌脱泡機において、 前記駆動軸4に連結された公転軸6の中心部内と前記自転軸9の中心部とには、貫通したエアー通路31,32が形成してあり、前記公転軸6下部のエアー通路端末部31aはロータリ-ジョイント33及びエアー供給配管回路34を介してエアー供給源等で構成されるエアー供給制御装置35に接続されており、 カップホルダー14に装着する撹拌容器Wの上部開口部には、蓋状のアダプター37が設けてあり、このアダプター37には、撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38が設けてあり、 この温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信し、更にエアー供給制御装置35に送信して加温エアー,冷風エアー,または常温エアーの温度制御を行う機構。」 (甲1′発明) 「中空箱状のハウジングケース1内のプレート状の支持体2(取付板)に回転駆動可能な駆動モータ3と、この駆動モータ3の駆動軸4に駆動プーリ10及び公転従動プーリ11から成る伝達機構5を介して連結された公転軸6とを立設し、この公転軸6の先端にロータ7を取付けると共に、このロータ7上に前記公転軸6と回転伝達機構8を介して連結された少なくとも一本以上の自転軸9が配設してあり、 駆動モータ3からの回転駆動力を公転軸6や回転伝達機構8、ロータ7に設置された自動軸駆動プーリ11、更に自転軸従動プーリ15を介して自転軸9を回転駆動させ、ロータ7を公転させながら撹拌容器Wを自転させて撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌及び密閉された中空箱状のハウジングケース1内で脱泡を行う撹拌脱泡機において、 前記駆動軸4に連結された公転軸6の中心部内と前記自転軸9の中心部とには、貫通したエアー通路31,32が形成してあり、前記公転軸6下部のエアー通路端末部31aはロータリ-ジョイント33及びエアー供給配管回路34を介してエアー供給源等で構成されるエアー供給制御装置35に接続されており、 カップホルダー14に装着する撹拌容器Wの上部開口部には、蓋状のアダプター37が設けてあり、このアダプター37には、撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38が設けてあり、 この温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信し、更にエアー供給制御装置35に送信して加温エアー,冷風エアー,または常温エアーの温度制御を行う方法。」 (甲1′′発明) 「被混練物を収容したロータ上に設置した容器Wを公転させながら自転させることにより、前記被混練物の撹拌及び脱泡を行う方法であって、 中空箱状のハウジングケース1内のプレート状の支持体2(取付板)に回転駆動可能な駆動モータ3と、この駆動モータ3の駆動軸4に駆動プーリ10及び公転従動プーリ11から成る伝達機構5を介して連結された公転軸6とを立設し、この公転軸6の先端にロータ7を取付けると共に、このロータ7上に前記公転軸6と回転伝達機構8を介して連結された少なくとも一本以上の自転軸9が配設してあり、 前記駆動軸4に連結された公転軸6の中心部内と前記自転軸9の中心部とには、貫通したエアー通路31,32が形成してあり、前記公転軸6下部のエアー通路端末部31aはロータリ-ジョイント33及びエアー供給配管回路34を介してエアー供給源等で構成されるエアー供給制御装置35に接続されており、 カップホルダー14に装着する撹拌容器Wの上部開口部には、蓋状のアダプター37が設けてあり、このアダプター37には、撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38が設けてあり、 駆動モータ3からの回転駆動力を公転軸6や回転伝達機構8、ロータ7に設置された自動軸駆動プーリ11、更に自転軸従動プーリ15を介して自転軸9を回転駆動させ、ロータ7を公転させながら撹拌容器Wを自転させて撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌及び密閉された中空箱状のハウジングケース1内で脱泡を行い、 この温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信し、更にエアー供給制御装置35に送信して加温エアー,冷風エアー,または常温エアーの温度制御を行い、制御供給された加温エアーQa,冷風エアーQb,または常温エアーQcによって撹拌容器Wを効率良く冷却したり加温し、被混練物Wxを所定温度に担保する、 被混練物の撹拌及び脱泡を行う方法。」 4 甲2の記載事項 (1)甲2には、以下の記載がある。 (甲2ア) 「【0018】 図1は本発明の好ましい実施の形態を示すものであり、公転・自転撹拌機1は、全体が上面を開口した筒状の基体2の内部に配置した基板21に公転軸3が軸受31により貫通して軸着されている。特に本実施の形態では前記公転軸3は基体2の底板22上に配置された電動機32の電動機軸を兼ねており、上部には水平面内で回転する回転体33が固着されている。 【0019】 また、前記回転体33は、その回転中心である公転軸3から半径方向に距離を隔てた位置に回転体33の回転中心方向に傾斜した自転軸34,34が軸受35,35により軸着されており、その上端に撹拌容器51を挿入保持する容器ホルダー52,52が備えられている。 … 【0021】 特に、本実施の形態では、前記容器ホルダー52は、図3に示すように内側に撹拌容器51を保持するとともに容器ホルダー52との間に空隙53を形成するための中間ホルダー54を有しており、撹拌容器51は、図1に示すように開口部55の周縁に立設したフランジ部56が立設されていて、必要な場合には中央部に開口部57を有する蓋体58を被せることも可能であり、特に、本実施の形態では蓋体58はその周壁に撹拌容器51内の空気を排出するための多数の通孔59が形成されている。従って、物質供給管から連続的に供給される加熱空気または冷却空気が撹拌容器51の内面や混合物に衝って撹拌容器から排出される際に前記通孔59が通り道となって風の循環をきわめて効率よく行うことができる。 … 【0026】 尚、図面中、符号85は容器ホルダー52内に保持される撹拌容器51内に収容される混合物の温度を感知する赤外線式の温度センサー、符号86は排気ファン、符号87は先部を基体2の外部へ挿出させた排気管であり使用時に基体2内の過熱または過冷空気を外部へ排出するために設置されている。 … 【0029】 次に、従来の公転・自転撹拌機と同様に容器ホルダー52,52を公転・自転させて撹拌・混合を行うことになるが、本実施の形態では、公転軸3を回転させる電動機32と物質供給管7を回転させる電動機64の回転を制御して公転軸3と物質供給管7とが同軸で且つ回転を同期させるように制御する。」 (甲2イ)図1 (2)上記(1)の記載を総合すると甲2には次の技術事項(以下、「甲2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「撹拌容器を保持する容器ホルダーを公転・自転させて撹拌・混合を行う公転・自転撹拌機において、容器ホルダー内に保持される撹拌容器内に収容される混合物の温度を赤外線式の温度センサーで感知すること。」 5 甲3の記載事項 (1)甲3には、以下の記載がある。 (甲3ア)「【0035】 次に、本願の遊星回転混合装置1の特徴構成について説明する。 本願の遊星回転混合装置1は、上述の基本的構成に加え、マイクロ波を照射可能なマイクロ波照射手段50、マイクロ波を吸収するマイクロ波吸収材料51、マイクロ波吸収材料51の熱が内部空間3の容器4外に放散するのを防止する保温材52、容器4内の物質の温度を検出するサーモグラフィー53(温度センサの一例)、サーモグラフィー53にマイクロ波が照射されるのを防止するパンチングメタル板54(マイクロ波不透過性材料の一例)を備える。」 (甲3イ)「【0040】 筐体2の蓋体22の上部には、容器4内の物質の温度を検出するサーモグラフィー53(温度センサの一例)が配設され、容器4内の物質から放射される赤外線に基づいて当該物質の温度を検出可能に構成されている。検出された容器4内の物質の温度は、温度情報として制御手段7に出力される。」 (甲3ウ)「 【図1】 」 (2)上記(1)の記載を総合すると甲3には次の技術事項(以下、「甲3に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「遊星回転混合装置において、容器内の物質の温度を検出するサーモグラフィーにマイクロ波が照射されるのを防止するパンチングメタル板を備える構成要素。」 6 甲4の記載事項 (1)甲4には、以下の記載がある。 (甲4ア)「【0026】 攪拌脱泡装置1は、図1に示すように、筐体10を有する。筐体10内部には、後述する種々の機構を支持するための支持基板12が、防振ばねを介して取り付けられている。筐体10は、図示しない開閉可能に構成されたドアを有し、当該ドアを開けると容器ホルダ30が露出して、容器ホルダ30に収納容器100を着脱することが可能になる。」 (甲4イ)「【0048】 本実施の形態では、収納容器100は、センサユニット200を保持することが可能に構成されている。具体的には、収納容器100では、蓋体120の上面側に凹部122が構成され、凹部122で、センサユニット200を保持するように構成されている(図3(B)参照)。」 (甲4ウ)「【0050】 (4)センサユニット200 次に、本実施の形態に適用可能なセンサユニット200について、図4(A)~図6(D)を参照して説明する。なお、センサユニット200は、筐体210と、筐体210に収納された回転センサ220とを有し、先述した収納容器100(蓋体120に形成された凹部122)に保持されて、収納容器100と一体的に挙動する部材である。 【0051】 (4-1)被検出子230 センサユニット200は、被検出子230を含む。被検出子230は、図4(A)~図4(C)に示すように、回転部材232を有する。回転部材232は、図4(A)に示すように、筐体210に固定された中心軸212に、ベアリング214を介して取り付けられている。これにより、回転部材232(被検出子230)は、筐体210に対して回転可能となる。回転部材232は、中央部234と、中央部234から延びる四個の延設部236とを含む(図4(B)及び図4(C)参照)。ただし回転部材232の外形はこれに限られるものではなく、検出子240の性質に合致した形状とすることができる。回転部材232は、また、後述する検出子240が検出可能ないずれかの材料で構成される。本実施の形態では、回転部材232は、発光素子242(後述)が発した光を遮断することが可能な材料、例えばアルミニウムなどの金属で構成することができる。ただし、本発明はこれに限られるものではなく、検出子240の構造に合致した材料で、回転部材232を構成することができる。」 (甲4エ) 「【0070】 (7)作用効果 次に、本実施の形態が奏する作用効果について説明する。 本実施の形態によると、回転体20や容器ホルダ30の回転数に関するデータを利用することなく、センサユニット200によって、収納容器100の挙動(自転数)を直接検出することが可能になる。そのため、収納容器100内の材料Mの処理状況を正確に把握することができる。このことから、攪拌脱泡装置1によると、材料Mを所望の状態に撹拌脱泡処理することが可能になるとともに、材料Mの処理履歴を正確に記録することが可能になる。」 (2)上記(1)の記載を総合すると甲4には次の技術事項(以下、「甲4に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「攪拌脱泡装置の容器ホルダに着脱することが可能な収納容器が保持するセンサユニットであって、 センサユニットは、筐体と回転部材を有する被検出子を有し、 回転部材は、筐体に固定された中心軸にベアリングを介して取り付けられており、これにより、回転部材は、筐体に対して回転可能となり、 センサユニットによって、収納容器の自転数を直接検出することが可能になる、構成要素。」 7 甲5の記載事項 (1)甲5には、以下の記載がある。 (甲5ア) 「【0005】 そこで、本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、材料の温度変化に起因する仕上がり品質のばらつきを防止する攪拌脱泡方法および攪拌脱泡装置を提供することを課題とする。」 (甲5イ) 「【0018】 まず、本発明に係る攪拌脱泡方法を行う攪拌脱泡装置について説明する。 図1に示すように、攪拌脱泡装置1は、筐体2、支持部材3、モータ5、公転テーブル7、容器8、温度検出ユニット9、制御部10と、を主に有し、その他、バネ4、バランス錘取付部11等を有している。攪拌脱泡装置1は、容器8を所定軌道上で公転運動させつつ自転運動させ、容器8に収容された材料Mを攪拌脱泡するものである。図1においては、容器8を公転運動させるときの公転軸を符号Y1で表し、自転運動させるときの自転軸を符号Y2で表す。」 (甲5ウ) 「【0032】 次に、攪拌脱泡装置1の動作を説明する。 まず、材料Mを収容した試料ホルダ8cを容器本体8aに設置する。そして、制御部10が、モータ5を駆動すると、その回転が、プーリP1、ベルトV1、プーリP2を介して公転テーブル7に伝達され、公転テーブル7を回転させる。このとき、公転テーブル7を基準とすれば、支持部材3の突起3aが相対回転し、この突起3aの相対回転が、案内プーリP4、丸ベルトV2、プーリP3、支軸8dを介して容器8に伝達される。そのため、容器8は公転テーブル7上で回転させられる。つまり、公転テーブル7に取り付けられる容器8は公転するとともに、公転テーブル7上で自転する。ここで、容器8は、支持部材3に対する公転テーブル7の回転速度と同一速度で、かつ、その回転方向と逆向きに自転する。 【0033】 また、温度検出ユニット9においては、温度センサ91で一定タイミングごとに材料Mの温度を検出し、その検出値を検出信号としてコンパレータ部92に送信している。コンパレータ部92では、予め設定された基準値と、前記検出値を比較しており、検出値が基準値を上回った場合は、材料Mが所定温度に到達したとして、LED92aを発光させる。LED92aが発光すると、受光部93が検知し、その結果を、制御部10に送信する。これにより、制御部10において、材料Mの温度が所定温度を上回ったことが検知される。 … 【0035】 まず、制御部10は、モータ5を駆動し、回転速度N1(例えば、容器8を1000rpm)で回転(公転・自転)させる(ステップS1)。この工程は、主として材料Mの粘度調整のため、高速回転によって材料Mの発熱(例えば、冷蔵温度の約8℃から約23℃まで加温)を促すことを目的とする。 … 【0038】 所定時間が経過した場合(ステップS2でYes)、および、材料Mが所定温度に到達している場合は(ステップS3でYes)、制御部10は、モータ5を駆動し、回転速度N2(N1>N2)(例えば、容器8を500rpm)で回転させる(ステップS5)。この工程は、所定温度を保持したまま、材料Mをさらに分散、脱泡することを目的とする。その後、第2の所定時間(例えば、180sec)が経過したか否かを判断し(ステップS6)、経過していない場合は(ステップS6でNo)、さらに、経過するまで時間計測する。そして、第2の所定時間を経過した場合は(ステップS6でYes)、そのまま、処理を終了する。」 (甲5エ) 「【0040】 材料Mは攪拌されることで温度が上昇するが、本実施形態では材料Mの温度を定期的に検出し、所定の処理時間の経過および検出された温度のうちいずれか一方に基づき、容器8の回転速度(公転速度、自転速度)を遅くするように制御する。つまり、所定時間が経過するか、材料が所定温度以上になったかを検出したら、回転速度を遅くするように制御するので、円滑な攪拌脱泡を促進するとともに、材料Mの摩擦熱による温度上昇を抑え、温度変化に起因する材料Mの仕上がり品質のばらつきを抑えられる。」 (甲5オ) 「【0041】 以上、本実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施することができる。 … 【0045】 本実施形態では、材料Mの温度が所定温度を超えたら、制御部10が回転速度(公転速度、自転速度)を遅くするように調節して制御したが、本発明はこれに限定されず、材料Mの温度に基づき制御するものであれば、いかなる調節態様であってもよい。例えば、温度が所定温度より低くなったら、回転速度を調節する(例えば、速める)ように制御するものであってもよい。」 (2)上記(1)の記載によると、甲5には「容器8を所定軌道上で公転運動させつつ自転運動させ、容器8に収容された材料Mを攪拌脱泡する」「攪拌脱泡装置1」において、「高速回転によって材料Mの発熱」「を促」し、「材料M」を「攪拌」す「ることで温度」を「上昇」させてから、「回転速度を遅くするように制御」して「所定温度を保持し」、「材料の温度変化に起因する仕上がり品質のばらつきを防止する攪拌脱泡」することが記載されており、さらに、甲5には、「本発明は前記実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施することができ」、「材料Mの温度が所定温度を超えたら、制御部10が回転速度を遅くするように調節して制御」するばかりでなく、「温度が所定温度より低くなったら、回転速度を」「速める」「ように制御する」ことも記載されている。 (3)してみれば、上記(2)に示した甲5記載事項によれば、甲5には次の技術事項(以下、「甲5に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「攪拌脱泡装置において、材料の温度に応じて回転速度を制御することであって、材料の温度が所定温度より高くなったら回転速度を遅くし、材料の温度が所定温度より低くなったら回転速度を速めて、所定温度を保持するように回転速度を制御すること。」 8 引用文献1の記載事項 (1)当審が職権で探知した引用文献1には、以下の記載がある。 (引1ア) 「【0020】 (1)遠心機1の構成 以下、本実施の形態に係る遠心機1の構成について、図面を参照して説明する。遠心機1は、図1に示すように、回転軸10と、回転軸10に固定された公転体20と、公転体20に取り付けられる自転体30、及びバランス錘40と、自転体30と共に回転する収納容器50と、公転体20と自転体30とを回転させる駆動部60と、被処理材料Mの温度情報を検知する検知部70と、公転体20の回転する領域を含む空間を区画する区画体80と、被処理材料Mを温調する温調機90とを備える。更に遠心機1は、図2に示すように、当該遠心機1の動作を制御する制御機構100を備える。 【0021】 又、遠心機1は、図1に示すように、区画体80等を支持する支持基板110、支持基板110を含む上記各構成を収納する筐体120を備える。更に、遠心機1は、支持基板110を支持して、その振動を防止するための、防振ワイヤや防振バネ等により構成される図示しない防振手段を備えてもよい。尚、遠心機1は、収納容器50に収納した被処理材料Mを処理するものであり、より具体的には、収納容器50を公転させながら自転させることによって、被処理材料Mを撹拌・脱泡、粉砕、乳化等するものである。」 (引1イ) 「【0029】 収納容器50は、図1に示すように、底部を有する円筒状に形成されて、被処理材料Mを収納可能な本体部52と、本体部52の開口した部分を封止する蓋部54とを備える。 【0030】 本体部52は、樹脂、金属、ガラス、ジルコニア等の材質により構成される。この本体部52は、自転体30の自転体本体32の中空部31に、その底部側から挿入されることで、自転体本体32に装着されて、自転体本体32と共に公転軸線L1を中心に公転、かつ、自転軸線L2を中心に自転可能に構成される。又、本体部52は、自転体本体32への装着時、外周部から突出する凸部53が自転体本体32の上端と当接することで、図1に示すように、自転体本体32の底部と離間した状態となる。又、本体部52は、自転体本体32への装着時、当該本体部52の中心を通る仮想の直線である中心軸線が自転軸線L2と重なるように配置される。」 (引1ウ) 「【0032】 蓋部54は、本体部52の開口した部分に取り付けられて、図1に示すように、中蓋55と外蓋57とを含み構成される。外蓋57は、中蓋55を本体部52の開口した部分に取り付けた後に、例えば、本体部52と螺合できるようにする図示しないねじ機構を利用して、本体部52に取り付けられる。」 (引1エ) 「【0036】 検知部70は、図1に示すように、収納容器50に取り付けられて、収納容器50に収納された被処理材料Mの温度情報を検知する。この検知部70は、被処理材料Mに接触することでその温度情報を検知するものであってよく、図示するように、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知するものであってもよい。又、検知部70は、検知した被処理材料Mの温度情報を、赤外線通信等の無線回線、及び必要に応じて設けられるインターフェースユニットを介し、図2に示すCPU102に送る。」 (引1オ) 「【0041】 制御機構100は、図2に示すように、マイクロプロセッサ(CPU102)と、駆動部60の動作を制御する駆動制御部104と、温調機90の動作を制御する温調機制御部106とを備える。 【0042】 CPU102には、検知部70、ユーザが遠心機1を操作する際に使用する操作部107、公転体20の回転速度を検知する回転センサ108、及びユーザ向けに遠心機1の状態等を表示する表示部109が、有線又は無線回線、及び必要に応じた図示しないインターフェースユニットを介し接続される。このCPU102は、操作部107を介しユーザから入力された遠心機1の運転条件、検知部70、及び回転センサ108からの情報等に基づき、駆動制御部104及び温調機制御部106に指示を出すと共に、ユーザ向けに遠心機1の状態を示す情報を表示部109に表示させる。尚、CPU102は、図示しない記憶部を備えて、検知部70による被処理材料Mの温度情報、あらかじめ設定される遠心機1の運転条件等を記憶するように構成してもよい。」 (引1カ) 「【0045】 (3)被処理材料Mの処理方法 遠心機1における被処理材料Mの処理方法について、図3を参照して説明する。S1において、自転体30の自転体本体32には、被処理材料Mが収納された収納容器50がユーザにより装着される。 【0046】 S2において、ユーザが操作部107を介して入力すること等により設定された運転条件に基づき、遠心機1の運転が開始される。即ち、CPU102は、前記運転条件に基づく指示を駆動制御部104、及び温調機制御部106に対し行う。これにより、駆動制御部104は、CPU102から指示された公転体20の回転速度を実現するべく、駆動部60のモータ61を制御する。これにより、公転体20、及び自転体30は、被処理材料Mを処理するための通常の回転速度(以下、「通常回転速度」という)で回転する。従って、収納容器50は、通常回転速度にて、公転軸線L1を中心に公転しつつ、自転軸線L2を中心に自転するので、被処理材料Mの処理が行われる。又、温調機制御部106は、CPU102から指示に基づき、被処理材料Mを冷却すべく、前記温調部の設定温度と、前記ポンプの動作とを制御する。これにより、区画体80内を満たす前記熱媒体が冷却されるので、被処理材料Mは、当該熱媒体により収納容器50と共に冷却される。 【0047】 ここで、遠心機1では、上記のように、温調機90により被処理材料Mを収納容器50と共に冷却している。しかし、収納容器50が公転軸線L1を中心に公転しつつ、自転軸線L2を中心に自転することで被処理材料Mに働く力による発熱により、被処理材料M、及び収納容器50の温度上昇が発生する場合がある。この際、被処理材料M、及び収納容器50の温度が、それらの劣化を生じさせる温度、又は劣化を促進させる温度を超えないようにしなければならない。そのため、S3において、CPU102は、検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、被処理材料Mの温度、及び被処理材料Mと略同温度となる被処理材料Mと触れている部分の収納容器50の温度が、それらを劣化させる温度、又は劣化を促進させる温度(以下、「上限値」という)以上となっているか否かを判断する。CPU102は、被処理材料Mと収納容器50との少なくとも一方の温度が上限値(この上限値は、安全性を考慮して、被処理材料Mや収納容器50を劣化等させる温度より所定温度低い温度とすることも許容される。)以上となっていると判断した場合において(S3にてY)、処理はS4に進む。又、CPU102が被処理材料M、及び収納容器50の温度が上限値以下であると判断した場合において(S3にてN)、処理はS7に進む。 【0048】 S4において、CPU102が公転体20の回転速度を低下させるべく、駆動制御部104に指示を出す。これにより、駆動制御部104は、CPU102から指示された公転体20の回転速度を実現するべく、駆動部60のモータ61を制御する。この制御により、公転体20、及び自転体30の回転速度は低下する。 【0049】 ここで、遠心機1では、公転体20、及び自転体30が、通常回転速度より低速な回転速度(以下、「低回転速度」という)で回転することで、被処理材料M、及び収納容器50の温度の低下を促進させることができる。これは、公転体20、及び自転体30が低回転速度で回転している場合には、公転体20、及び自転体30が通常回転速度で回転している場合に比べ、被処理材料Mに働く力が小さくなるので発熱も小さくなる(この際、被処理材料Mの処理は、停止又は低速化される。)。更に、公転体20が低回転速度で回転することで、自転体30の自転体本体32の流入流出部33から、温調機90により温調された熱媒体が中空部31に流入し、収納容器50との間で熱交換を行った後、自転体本体32から流出する。これにより、遠心機1では、単に公転体20、及び自転体30の回転を停止させた場合に比べ、被処理材料M、及び収納容器50の温度の低下を促進させることができる。尚、S3とS4とのステップを合わせて、第1制御部と呼ぶ。 【0050】 S5において、CPU102は、検知部70で検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、被処理材料M、及び収納容器50の温度が、十分に低下して下限値以下となっているか否かを判断する。この下限値とは、上限値より十分に低い値であり、再び公転体20、及び自転体30を通常回転数で回転させて被処理材料Mの処理を再開可能な温度である。CPU102が被処理材料M、及び収納容器50の温度が下限値以下であると判断した場合において(S5にてY)、処理はS6に進む。又、CPU102が被処理材料M、及び収納容器50の温度が下限値以上であると判断した場合において(S5にてN)、処理はS4に戻る。 【0051】 S6において、遠心機1では、被処理材料Mの処理が再開される。即ち、CPU102は、公転体20が通常回転速度にて回転するように駆動制御部104に指示を出す。これにより、駆動制御部104は、CPU102から指示された公転体20の回転速度を実現するべく、駆動部60のモータ61を制御する。この制御により、公転体20、及び自転体30は通常回転速度にて回転する。尚、S5とS6とのステップを合わせて、第2制御部と呼ぶ。 【0052】 S7において、CPU102は、被処理材料Mの処理が終了したか否かを判断する。この判断は、例えば、遠心機1の運転条件に基づき行うとしてよい。CPU102が被処理材料Mの処理が終了していると判断した場合において(S7にてY)、処理はS8に進む。又、CPU102が被処理材料Mの処理が終了していないと判断した場合において(S7にてN)、処理はS3に戻る。」 (引1キ)図1 (引1ク)図2 (引1ケ)図3 (2)上記(引1イ)の【0029】の「収納容器50は、図1に示すように、底部を有する円筒状に形成されて、被処理材料Mを収納可能な本体部52と、本体部52の開口した部分を封止する蓋部54とを備える。」との記載、上記(引1ウ)の【0032】の「蓋部54は、本体部52の開口した部分に取り付けられて、図1に示すように、中蓋55と外蓋57とを含み構成される。」との記載、及び、上記(引1エ)の【0036】の「検知部70は、図1に示すように、収納容器50に取り付けられて、収納容器50に収納された被処理材料Mの温度情報を検知する。」との記載を踏まえれば、図1から蓋部54の中蓋55の下面に検知部70が取り付けられていることが見て取れる。 (3)したがって、上記(2)を含め上記(1)の記載事項及び図面を総合すると、引用文献1には、次の2つの発明(以下、それぞれ「引用発明1」、「引用発明1′」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明1) 「回転軸10と、回転軸10に固定された公転体20と、公転体20に取り付けられる自転体30、及びバランス錘40と、自転体30と共に回転する収納容器50と、公転体20と自転体30とを回転させる駆動部60と、制御機構100を備えており、 制御機構100は、CPU102と、駆動部60の動作を制御する駆動制御部104とを備え、 収納容器50は、底部を有する円筒状に形成されて、被処理材料Mを収納可能な本体部52と、本体部52の開口した部分を封止する蓋部54とを備え、 蓋部54は、中蓋55と外蓋57とを含み構成され、 収納容器50を公転させながら自転させることによって、収納容器50に収納した被処理材料Mを撹拌・脱泡する遠心機1の構成要素であって、 蓋部54の中蓋55の下面に検知部70が取り付けられており、 検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知するものであって、検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送り、 CPU102は、記憶部を備えて、前記検知部70による被処理材料Mの温度情報、あらかじめ設定される遠心機1の運転条件等を記憶するように構成されている、 構成要素。」 (引用発明1′) 「回転軸10と、回転軸10に固定された公転体20と、公転体20に取り付けられる自転体30、及びバランス錘40と、自転体30と共に回転する収納容器50と、公転体20と自転体30とを回転させる駆動部60と、被処理材料Mの温度情報を検知する検知部70と、当該遠心機1の動作を制御する、制御機構100を備えた、収納容器50を公転させながら自転させることによって、収納容器50に収納した被処理材料Mを撹拌・脱泡する遠心機1であり、 制御機構100は、CPU102と、駆動部60の動作を制御する駆動制御部104とを備え、 収納容器50は、底部を有する円筒状に形成されて、被処理材料Mを収納可能な本体部52と、本体部52の開口した部分を封止する蓋部54とを備え、 蓋部54は、中蓋55と外蓋57とを含み構成され、 さらに、蓋部54の中蓋55の下面に検知部70が取り付けられており、 検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知するものであって、検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送り、 CPU102は、記憶部を備えて、前記検知部70による被処理材料Mの温度情報、あらかじめ設定される遠心機1の運転条件等を記憶するように構成されている、 遠心機1における被処理材料Mの処理方法であって、 S1において、自転体30の自転体本体32には、被処理材料Mが収納された収納容器50がユーザにより装着され、 S2において、設定された運転条件に基づき、遠心機1の運転が開始され、 S3において、CPU102は、検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、被処理材料Mの温度、及び被処理材料Mと略同温度となる被処理材料Mと触れている部分の収納容器50の温度が、上限値以上となっているか否かを判断し、 CPU102は、被処理材料Mと収納容器50との少なくとも一方の温度が上限値以上となっていると判断した場合において、処理はS4に進み、又、CPU102が被処理材料M、及び収納容器50の温度が上限値以下であると判断した場合において、処理はS7に進み、 S4において、CPU102が公転体20の回転速度を低下させるべく、駆動制御部104に指示を出し、 S5において、CPU102は、検知部70で検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、被処理材料M、及び収納容器50の温度が、十分に低下して下限値以下となっているか否かを判断し、 CPU102が被処理材料M、及び収納容器50の温度が下限値以下であると判断した場合において、処理はS6に進み、又、CPU102が被処理材料M、及び収納容器50の温度が下限値以上であると判断した場合において、処理はS4に戻り、 S6において、CPU102は、公転体20が通常回転速度にて回転するように駆動制御部104に指示を出し、 S7において、CPU102は、被処理材料Mの処理が終了したか否かを判断し、 CPU102が被処理材料Mの処理が終了していると判断した場合において、処理はS8に進み、又、CPU102が被処理材料Mの処理が終了していないと判断した場合において、処理はS3に戻る、 被処理材料Mの処理方法。」 9 当審の判断 (1)本件発明1 ア 甲1発明を主引用発明とした場合について (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 a 甲1発明の「温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信し、更にエアー供給制御装置35に送信して加温エアー,冷風エアー,または常温エアーの温度制御を行う機構」は、「ロータ7を公転させながら撹拌容器Wを自転させて撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌及び密閉された中空箱状のハウジングケース1内で脱泡を行」っている間に、「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出する」ものであるから、本件発明1の「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置」に相当する。 b 甲1発明の「撹拌容器Wの上部開口部」「に設けてあ」る「蓋状のアダプター37に」「設けてあ」る「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38」と、「この温度センサー38で測定した温度を無線により送信」する構成は併せて、本件発明1の「非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し」、「前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能である」「送信ユニット」と、「前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し」、「前記容器に着脱可能に固定される上蓋に設置され、前記容器とともに公転可能である」「送信ユニット」で共通する。 c 甲1発明の「温度センサー38で測定した温度を無線により送信し」た信号を「受信」する「受信部38a」と、信号が更に送信される「エアー供給制御装置35」とからなる構成は、本件発明1の「前記データを受信」する「受信ユニット」に相当する。 d 甲1発明の「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38」と、本件発明1の「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部」とは、「前記被処理物の温度を測定するセンサ部」である点で共通する。 (イ)一致点・相違点 したがって、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致する。 (一致点) 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットは、前記被処理物の温度を測定するセンサ部を有する、 ことを特徴とする温度測定装置。」 また、次の点で相違する。 (相違点1) 送信ユニットによる温度測定について、本件発明1は、「前記被処理物の温度を」「センサ部」により「非接触で」「測定」するもので、「前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され」るのに対して、甲1発明は、「蓋状のアダプター37」に設けた「温度センサー38で測定」するとのみ特定されている点。 (相違点2) 本件発明1は「前記センサ部(被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部)の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている」のに対して、甲1発明では、そのような特定はされていない点。 (ウ)判断 事案に鑑み、まず相違点2について検討する。 本件特許の明細書には、次の記載がある。 (本a)「【0037】 一般に使用される放射温度計6は、測定被処理物からの熱輻射を光入射口部39から取り入れ、レンズにより集光し、検知部へ導き(集光し)温度測定を行う構成である。そのため、放射温度計6は、光軸と測定可能な測定視野を決定する光の入射角の範囲(視野角)θを有しており、放射温度計6の種々の仕様から、所望のθ値を選択できる。 被処理物1表面上の測定視野の大きさは、被処理物1と放射温度計6からの距離と視野角θで決定される。後述するように、θの値は、容器2の形状、被処理物1の量等から最適な測定視野が得られる値を選択する。 【0038】 図1に示すように、中蓋4の開口部5の径は、入射角の範囲θの光が放射温度計6に侵入するように設定されている。その結果、測定視野以外のからの放射光が、不必要に放射温度計6に侵入することを遮断し、放射温度計6の面積効果による測定誤差を低減する。 さらに好適には、開口部5の断面に傾斜を設け、テーパー形状とすることができる。放射温度計6の受光面と開口部5の面積と、両者の間隔の距離に従って開口部5の断面の傾斜角を設定することにより、開口部5のエッジ部が、回折現象により入射光の集光特性に影響を与えることを防止することができる。その結果、開口部5のエッジ部近傍での回折現象による受光強度の低下を抑制することができる。 【0039】 また、中蓋4の開口部5に、θを変更するために追加的な光学素子、例えばフレネルレンズ等を設置してもよい。 放射温度計6の光軸の容器2側の延長線上で、放射温度計6の光入射口部から離間して位置する開口部5に光学素子を設置することにより、開口部5を経由して放射温度計6に入射する光を光学素子により屈折させ、θを変更することができる。その結果、放射温度計6を変更することなく、容器や被処理物の量に合わせて測定視野を変更し、測定視野を最適化することで温度測定の精度を向上させることができる。」 この記載を参酌すると、本件発明1の「前記センサ部の光入射口部から離間した位置に」「設置されている」「光学素子」とは、フレネルレンズのような、センサ部に入射する光を屈折させることによりθを変更する機能を有する光学素子をいうものと解される。 一方、甲3には、容器4内の物質の温度を検出するサーモグラフィー53にマイクロ波が照射されるのを防止するパンチングメタル板54を設ける構成が開示されている。しかし、パンチングメタル板54は、入射する光を屈折させることによりθを変更する機能を有する光学素子ではないから、本件発明1の「光学素子」ではない。よって、甲3には、「前記センサ部の光軸の延長上に、前記センサ部の光入射部から離間した位置に光学素子が設置されている」構成は、開示されていない。 また、そのような構成は、甲2、4-5及び引用文献1のいずれにも開示されていない。 したがって、相違点2に係る構成は、当業者が容易に想到し得るものではない。よって、本件発明1は、相違点1について判断するまでもなく、甲1発明並びに甲2-5及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 引用発明1を主引用発明とした場合について (ア)対比 本件発明1と引用発明1とを対比する。 a 引用発明1の「公転体20に取り付けられる」「自転体30と共に回転する収納容器50」の「蓋部54の中蓋55の下面に」「取り付けられており、」「被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」「検知部70」及び「CPU102」を含む「遠心機1の構成要素」は、本件発明1の「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置」に相当するものである。 b 引用発明1の「検知部70」は「温度情報を無線回線を介し」て「送」るものであるから、本件発明1の「送信ユニット」に相当する。 c 引用発明1の「検知部70」が「温度情報を無線回線を介し」て「送」る「CPU102」は、「検知部70」から「温度情報を」受け取るものであるから、本件発明1の「受信ユニット」に相当する。 d 引用発明1の「検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知するものであって、検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることは、本件発明1の「前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信」することに相当する。 e 引用発明1の「検知部70」が「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることは、「CPU102」が「被処理材料Mの温度情報を」受け取ることといえるから、引用発明1の「検知部70」が「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることは、本件発明1の「前記受信ユニットは、前記データを受信」することに相当する。 f 引用発明1の「検知部70」は「収納容器50」の「蓋部54の中蓋55の下面」に「取り付けられており」、「蓋部54の中蓋55」が着脱されることは自明である。 また、「遠心機1」が「収納容器50を公転させながら自転させる」際には、「収納容器50」の「蓋部54の中蓋55」に「取り付けられて」いる「検知部70」も「収納容器50」と同様に「公転」しながら「自転」することになる。 してみると、引用発明1の「収納容器50」の「蓋部54の中蓋55」に「取り付けられて」いる「検知部70」と、本件発明1の「前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され、前記容器とともに公転可能になされ」ることとは、「前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に設置され、前記容器とともに公転可能になされ」る点で共通する。 g 引用発明1の「検知部70」は、「被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」ものであるので、本件発明1の「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部」に相当する。 (イ)一致点・相違点 したがって、本件発明1と引用発明1とは、次の点で一致する。 (一致点) 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する温度測定装置であって、 送信ユニットと受信ユニットとを備え 前記送信ユニットは、非接触で前記被処理物の温度を測定し、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記受信ユニットは、前記データを受信し、 前記送信ユニットは、前記容器に着脱可能に固定される上蓋に設置され、前記容器とともに公転可能になされ、 前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有する、 温度測定装置。」 また、次の点で相違する。 (相違点3) 上蓋に設置される送信ユニットについて、本件発明1では「被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され」るのに対して、引用発明1では、中蓋55の下面に取り付けられているものの、そのような特定はされていない点。 (相違点4) 送信ユニットについて、本件発明1は「前記センサ部(被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部)の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている」のに対して、引用発明1では、そのような特定はされていない点。 (ウ)判断 事案に鑑み、まず相違点4について検討する。相違点4は、前述の相違点2と実質的に同じ相違点であるから、相違点2と同様に、当業者が容易に想到し得るものではない。 よって、本件発明1は、相違点3について判断するまでもなく、引用発明1及び甲1-5に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2-4 本件発明2は、本件発明1に対し、さらに「前記送信ユニットは、前記被処理物に向けて設置されている」という技術事項を付加したものである。 また、本件発明3は、本件発明1又は本件発明2に対し、 「前記送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部と、 前記センサ部へ電力を供給する電源部と、 前記測定値を含む前記データを前記受信ユニットへ送信する演算処理部とを有し、 前記受信ユニットは、 前記測定値を含む前記データを受信する受信部と、 前記測定値を記録する記録部とを有する」 という技術事項を付加したものである。 また、本件発明4は、本件発明3に対し、 「前記センサ部の視野角が、20°~90°である」 という技術事項を付加したものである。 そうすると、上記(1)アと同様の理由により、本件発明2-4は、甲1発明並びに甲2-5に記載された技術事項及び引用文献1に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。 また、上記(1)イと同様の理由により、本件発明2-4は、引用発明1及び甲1-5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。 (3)本件発明9 ア 甲1′発明を主引用発明とした場合について (ア)対比 本件発明9と甲1′発明とを対比する。 a 甲1′発明の「温度センサー38」が「ロータ7を公転させながら撹拌容器Wを自転させて撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌及び密閉された中空箱状のハウジングケース1内で脱泡を行」っている間に、「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出」し、「温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信し、更にエアー供給制御装置35に送信して加温エアー,冷風エアー,または常温エアーの温度制御を行う」ことは、本件発明9の「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する方法」に相当する。 b 甲1′発明の「撹拌容器Wの上部開口部」の「蓋状のアダプター37」に設けられる「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38」と、「この温度センサー38で測定した温度を無線により送信」する構成は、本件発明9の「前記容器に着脱可能に固定される上蓋に」「設置された」「送信ユニット」に相当する。 c 甲1′発明の「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38」と、本件発明9の「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部」とは、「前記被処理物の温度を測定するセンサ部」である点で共通する。 d 甲1′発明の「撹拌容器Wの上部開口部」の「蓋状のアダプター37」に設けられる「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38」と、「この温度センサー38で測定した温度を無線により送信」する構成が、「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出する」ことは、本件発明9における「被処理物の温度」を「測定する測定工程」に、甲1′発明の前記構成が「温度センサー38で測定した温度を無線により送信」することは、本件発明9における「被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程」にそれぞれ相当する。 e 甲1′発明の「温度センサー38で測定した温度を無線により送信し」た信号を「受信」する「受信部38a」と、信号が更に送信される「エアー供給制御装置35」とからなる構成は、本件発明9の「前記容器の外部に設置された受信ユニット」に相当する。 f 甲1′発明の「温度センサー38で測定した温度を無線により送信し」た信号を「受信」する「受信部38a」と、信号が更に送信される「エアー供給制御装置35」とからなる構成」が、「無線により送信」された「温度センサー38で測定した温度を」「受信部38aにより受信」することは、本件発明9の「前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程」に相当する。 (イ)一致点・相違点 したがって、本件発明9と甲1′発明とは、次の点で一致する。 (一致点) 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する方法であって、 前記容器に着脱可能に固定される上蓋に設置された送信ユニットは、 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、 前記被処理物の温度を測定する測定工程と、 前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、を行い、 前記容器の外部に設置された受信ユニットは、 前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信する受信工程を行う 温度測定方法。」 また、次の点で相違する。 (相違点5)送信ユニットの設置及び測定工程について、本件発明9は、「前記被処理物の温度を」「非接触で」「測定」するもので、「前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され」るのに対して、甲1′発明は、蓋状のアダプター37に温度センサー38が設けてあるものの、「温度センサー38で測定」するとのみ特定されている点。 (相違点6)送信ユニットが、本件発明9は、「測定工程と、」「送信工程と、所定時間待機する待機工程とからなる送信サイクルを繰り返」すのに対して、甲1′発明は、「温度センサー38」で「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出」し、「温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信」すると特定されているにとどまり、本件発明9における、「所定時間待機する待機工程」及び「送信サイクルを繰り返」すことについての特定はない点。 (相違点7)本件発明9は、「前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、前記測定値を記録する記録工程と、からなる受信サイクルを繰り返す」のに対して、甲1′発明は、「温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信」することが特定されているにとどまり、「測定値を記録する記録工程」及び「受信サイクルを繰り返す」ことついての特定はない点。 (相違点8) 本件発明9では、「前記センサ部(被処理物の温度を測定するセンサ部)の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置され」るのに対して、甲1′発明では、そのような特定はされていない点。 (ウ)判断 事案に鑑み、まず相違点8について検討する。 相違点8は、前述の相違点2と実質的に同じ相違点であるから、相違点2と同様に、当業者が容易に想到し得るものではない。 したがって、本件発明9は、相違点5-7について判断するまでもなく、甲1′発明並びに甲2-5及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 引用発明1′を主引用発明とした場合 (ア)対比 本件発明9と引用発明1′とを対比する。 a 引用発明1′の「検知部70」で「被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知」することを含む「収納容器50を公転させながら自転させることによって、収納容器50に収納した被処理材料Mを撹拌・脱泡する遠心機1」「における被処理材料Mの処理方法」は、本件発明9の「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する方法」に相当する。 b 引用発明1′の「検知部70」は「収納容器50」の「蓋部54の中蓋55の下面」に「取り付けられており」、「被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知するものであって、検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」る。また、「蓋部54の中蓋55」が着脱されることは自明である。 したがって、引用発明1′の「収納容器50」の「蓋部54の中蓋55の下面」に「取り付けられており」、「被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知するものであって、検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」る「検知部70」と、本件発明9の「前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置された送信ユニット」とは、「前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、設置された送信ユニット」である点で共通する。 c 引用発明1′の「検知部70」は、「被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」ものであるので、本件発明1の「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部」に相当する。 d 引用発明1′の「検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」ことは、本件発明9の「前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程」に相当する。 e 引用発明1′の「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることは、本件発明9の「前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程」に相当する。 f 引用発明1′は、「被処理材料Mの処理方法」における工程の一部として、「S3において、CPU102は、検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、被処理材料Mの温度、及び被処理材料Mと略同温度となる被処理材料Mと触れている部分の収納容器50の温度が、上限値以上となっているか否かを判断し、」「CPU102が被処理材料M、及び収納容器50の温度が上限値以下であると判断した場合において、処理はS7に進み、」「S7において、CPU102は、被処理材料Mの処理が終了したか否かを判断し、」「CPU102が被処理材料Mの処理が終了していないと判断した場合において、処理はS3に戻る」手順を有している。 すなわち、引用発明1′において、「被処理材料Mの処理が終了」するまで、反復して上記「S3」の手順が行われるから、「検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」ことと、「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることは、反復して実行されるものである。 してみると、引用発明1′において、「検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」ことと、「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることを反復して実行することは、本件発明9の「前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、所定時間待機する待機工程とからなる送信サイクルを繰り返」すことと、「前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程とからなる送信サイクルを繰り返」す点で共通する。 g 引用発明1′の「CPU102」は「遠心機1の動作を制御する、制御機構100」に「備え」られたものであって、「検知部70」が「温度情報を無線回線を介し」て「送」る「CPU102」は、「検知部70」から「温度情報を」受け取るものであるから、引用発明1′の「CPU102」は、本件発明9の「前記容器の外部に設置された受信ユニット」に相当する。 h 引用発明1′の「検知部70」が「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」った際に、「CPU102」は「被処理材料Mの温度情報を」受け取ることになる。 してみると、引用発明1′の「検知部70」が「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることは、「CPU102」は「被処理材料Mの温度情報を」受け取ることといえるから、「検知部70」が「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」る引用発明1′は、本件発明9の「前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程」に相当する工程を備えているといえる。 i 引用発明1′の「CPU102は、記憶部を備えて、前記検知部70による被処理材料Mの温度情報を」「記憶する」ものであり、引用発明1′の「記憶部を備え」た「CPU102は、」「前記検知部70による被処理材料Mの温度情報を」「記憶する」ことは、本件発明9の「前記測定値を記録する記録工程」に相当する。 j 上記eで述べたとおり、引用発明1′の「検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」ことと、「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることは、反復して実行されている。 そして、「検知部70」の動作に対応して、引用発明1′の「検知部70」が「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ること、すなわち、「CPU102」は「被処理材料Mの温度情報を」受け取ること(上記h参照)と、「CPU102は、」「前記検知部70による被処理材料Mの温度情報を」「記憶する」ことも反復して実行されることになる。 してみると、引用発明1′において、「検知部70」が「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ること、すなわち、「CPU102」は「被処理材料Mの温度情報を」受け取ることと、「CPU102は、記憶部を備えて、前記検知部70による被処理材料Mの温度情報を」「記憶する」ことを反復して実行することは、本件発明9の「前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、前記測定値を記録する記録工程と、からなる受信サイクルを繰り返す」ことに相当する。 (イ)一致点・相違点 したがって、本件発明9と引用発明1′とは、次の点で一致する。 (一致点) 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物の温度を測定する方法であって、 前記容器に着脱可能に固定される上蓋に設置された送信ユニットは 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、 前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、 前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、 からなる送信サイクルを繰り返し、 前記容器の外部に設置された受信ユニットは、 前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、 前記測定値を記録する記録工程と、 からなる受信サイクルを繰り返す、 温度測定方法。」 また、次の点で相違する。 (相違点9) 上蓋に設置された送信ユニットについて、本件発明9では「被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され」るのに対して、引用発明1′では中蓋55の下面に取り付けられているものの、そのような特定はされていない点。 (相違点10) 送信サイクルについて、本件発明9では「所定時間待機する待機工程」を含むのに対して、引用発明1′では、そのような特定はされていない点。 (相違点11) 本件発明9では、「前記センサ部(被処理物の温度を測定するセンサ部)の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置され」るのに対して、引用発明1′では、そのような特定はされていない点。 (ウ)判断 事案に鑑み、まず相違点11について検討する。 相違点11は、前述の相違点2と実質的に同じ相違点であるから、相違点2と同様に、当業者が容易に想到し得るものではない。 したがって、本件発明9は、相違点9-10について判断するまでもなく、引用発明1′及び甲1-5に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10 本件発明10は、本件発明9に対し、さらに「前記受信ユニットは、前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め前記受信ユニットの記録部に記録されている参照データとを比較する比較工程と、前記測定値と前記参照データとの乖離の有無を判定する判定工程と、を繰り返す」という技術事項を付加したものである。 そうすると、上記(3)アと同様の理由により、本件発明10は、甲1′発明並びに甲2-5に記載された技術事項及び引用文献1に記載された技術事項から当業者が容易に想到し得るものではない。 また、上記(3)イと同様の理由により、本件発明10は、引用発明1′及び甲1-5に記載された技術事項から当業者が容易に想到し得るものではない。 (5)本件発明11 ア 甲1′′発明を主引用発明とした場合 (ア)対比 本件発明11と甲1′′発明とを対比する。 a 甲1′′発明の「被混練物を収容したロータ上に設置した容器Wを公転させながら自転させることにより、前記被混練物の撹拌及び脱泡を行う方法」は、本件発明11の「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物を攪拌・脱泡する方法」に相当する。 b 甲1′′発明の「撹拌容器Wの上部開口部」の「蓋状のアダプター37」に設けられる「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38」と、「この温度センサー38で測定した温度を無線により送信」する構成は、本件発明11の「前記容器に着脱可能に固定される上蓋に」「設置された」「送信ユニット」に相当する。 c 甲1′′発明の「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38」と、本件発明9の「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部」とは、「前記被処理物の温度を測定するセンサ部」である点で共通する。 d 甲1′′発明の「撹拌容器Wの上部開口部」の「蓋状のアダプター37」に設けられる「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38」と、「この温度センサー38で測定した温度を無線により送信」する構成が、「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出する」ことは、本件発明11における「被処理物の温度」を「測定する測定工程」に、甲1′′発明の前記構成が「温度センサー38で測定した温度を無線により送信」することは、本件発明11における「被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程」にそれぞれ相当する。 e 甲1′′発明の「温度センサー38で測定した温度を無線により送信し」た信号を「受信」する「受信部38a」と、信号が更に送信される「エアー供給制御装置35」とからなる構成は、本件発明11の「前記容器の外部に設置された受信ユニット」に相当する。 f 甲1′′発明の「温度センサー38で測定した温度を無線により送信し」た信号を「受信」する「受信部38a」と、信号が更に送信される「エアー供給制御装置35」とからなる構成」が、「無線により送信」された「温度センサー38で測定した温度を」「受信部38aにより受信」することは、本件発明11の「前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程」に相当する。 g 本件発明11の「前記乖離値に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更すること」について、明細書の段落【0087】には、「被処理物1によっては、攪拌・脱泡処理時の被処理物1の化学変化を防止するため、上限温度が定められている場合がある。逆に、攪拌・脱泡効果を高めるため、下限温度が定められている場合がある。このような場合においても、乖離値のデータを利用して、受信ユニット12の制御部22から、攪拌・脱泡装置100の回転運動を制御する制御部に指令信号を送信することで、攪拌・脱泡装置100の処理条件を制御し、最適な攪拌・脱泡処理条件を維持することも可能である。」と、段落【0088】には、「例えば、参照データと測定データの乖離値が閾値の下限を下回った場合、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を増大させ、参照データと測定データの乖離値が閾値の上限を上回った場合、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を減少させるといった制御が可能である。」と説明されている。 すると、本件発明11の「前記乖離値に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更すること」は、被処理物の温度の参照データと測定データの乖離値に基づいて、被処理物の温度を下限温度以上、上限温度以下に調節するために行うことであると解される。 そうすると、甲1′′発明の「被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38が設けてあり、」「この温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信し、更にエアー供給制御装置35に送信して加温エアー,冷風エアー,または常温エアーの温度制御を行い、制御供給された加温エアーQa,冷風エアーQb,または常温エアーQcによって撹拌容器Wを効率良く冷却したり加温し、被混練物Wxを所定温度に担保する」ことと、本件発明11の「前記乖離値に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更すること」とは、「被処理物の温度の測定値を含むデータに基づいて、被処理物の温度を調節すること」において共通する。 (イ)一致点・相違点 したがって、本件発明11と甲1′′発明とは、次の点で一致する。 (一致点) 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物を攪拌・脱泡する方法であって、 前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、設置された送信ユニットは 前記被処理物の温度を測定するセンサ部を有し、 前記被処理物の温度を測定し、 前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信し、 前記容器の外部に設置された受信ユニットは、 前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信し、 前記測定値を含む前記データに基づいて、被処理物の温度を調節することを特徴とする攪拌・脱泡方法。」 また、次の点で相違する。 (相違点12) 送信ユニットの設置及び測定工程について、本件発明11は、「前記被処理物の温度を」「非接触で」「測定」するもので、「前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され」るのに対して、甲1′′発明は、蓋状のアダプター37に温度センサー38が設けてあるものの、「温度センサー38で測定」するとのみ特定されている点。 (相違点13) 送信ユニットが、本件発明11は、「測定工程と、」「送信工程と、所定時間待機する待機工程とからなる送信サイクルを繰り返」すのに対して、甲1′′発明は、「温度センサー38」で「撹拌容器Wに収容した被混練物Wxの撹拌時における温度を検出」し、「温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信」すると特定されているにとどまり、本件発明11における、「所定時間待機する待機工程」及び「送信サイクルを繰り返」すことについての特定はない点。 (相違点14) 本件発明11は、「前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、 前記測定値を記録する記録工程と、 前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め前記受信ユニットの記録部に記録されている参照データとを比較する比較工程と、 前記測定値と前記参照データとの乖離値を算出する工程とからなる受信サイクルを繰り返す」のに対して、甲1′′発明は、「温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信」することが特定されているにとどまり、「前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、 前記測定値を記録する記録工程と、 前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め前記受信ユニットの記録部に記録されている参照データとを比較する比較工程と、 前記測定値と前記参照データとの乖離値を算出する工程とからなる受信サイクル」及び「受信サイクルを繰り返す」ことついての特定はない点。 (相違点15) 前記測定値を含む前記データに基づいて、被処理物の温度を調節することについて、本件発明11は、「前記乖離値に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更する」のに対して、甲1′′発明は、「被混練物Wxの撹拌時における温度を検出するための温度センサー38が設けてあり、」「この温度センサー38で測定した温度を無線により送信して受信部38aにより受信し、更にエアー供給制御装置35に送信して加温エアー,冷風エアー,または常温エアーの温度制御を行い、制御供給された加温エアーQa,冷風エアーQb,または常温エアーQcによって撹拌容器Wを効率良く冷却したり加温し、被混練物Wxを所定温度に担保する」ものであり、「乖離値に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更する」ものではない点。 (相違点16) 本件発明11では、「前記センサ部(被処理物の温度を測定するセンサ部)の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置され」るのに対して、甲1′′発明では、そのような特定はされていない点。 (ウ)判断 事案に鑑み、まず相違点16について判断する。 相違点16は、前述の相違点2と実質的に同じ相違点であるから、相違点2と同様に、当業者が容易に想到し得るものではない。 したがって、本件発明11は、相違点12-15について判断するまでもなく、甲1′′発明並びに甲2-5及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 引用発明1′を主引用発明とした場合 (ア)対比 本件発明11と引用発明1′とを対比する。 a 引用発明1′の「収納容器50を公転させながら自転させることによって、収納容器50に収納した被処理材料Mを撹拌・脱泡する遠心機1」「における被処理材料Mの処理方法」は、本件発明11の「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物を攪拌・脱泡する方法」に相当する。 b 引用発明1′の「検知部70」は「収納容器50」の「蓋部54の中蓋55の下面」に「取り付けられており」、「被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知するものであって、検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」る。また、「蓋部54の中蓋55」が着脱されることは自明である。 したがって、引用発明1′の「収納容器50」の「蓋部54の中蓋55の下面」に「取り付けられており」、「被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知するものであって、検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」る「検知部70」と、本件発明11の「前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、前記被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置された送信ユニット」とは、「前記容器に着脱可能に固定される上蓋に、設置された送信ユニット」である点で共通する。 c 引用発明1′の「検知部70」は、「被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」ものであるので、本件発明1の「前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部」に相当する。 d 引用発明1′の「検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」ことは、本件発明11の「前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程」に相当する。 e 引用発明1′の「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることは、本件発明11の「前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程」に相当する。 f 引用発明1′は、「被処理材料Mの処理方法」における工程の一部として、「S3において、CPU102は、検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、被処理材料Mの温度、及び被処理材料Mと略同温度となる被処理材料Mと触れている部分の収納容器50の温度が、上限値以上となっているか否かを判断し、」「CPU102が被処理材料M、及び収納容器50の温度が上限値以下であると判断した場合において、処理はS7に進み、」「S7において、CPU102は、被処理材料Mの処理が終了したか否かを判断し、」「CPU102が被処理材料Mの処理が終了していないと判断した場合において、処理はS3に戻る」手順を有している。 すなわち、引用発明1′において、「被処理材料Mの処理が終了」するまで、反復して上記「S3」の手順が行われるから、「検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」ことと、「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることは、反復して実行されるものである。 してみると、引用発明1′において、「検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知する」ことと、「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることを反復して実行することは、本件発明11の「前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、所定時間待機する待機工程とからなる送信サイクルを繰り返」すことと、「前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程とからなる送信サイクルを繰り返」す点で共通する。 g 引用発明1′の「CPU102」は「遠心機1の動作を制御する、制御機構100」に「備え」られたものであって、「検知部70」が「温度情報を無線回線を介し」て「送」る「CPU102」は、「検知部70」から「温度情報を」受け取るものであるから、引用発明1′の「CPU102」は、本件発明11の「前記容器の外部に設置された受信ユニット」に相当する。 h 引用発明1′の「検知部70」が「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」った際に、「CPU102」は「被処理材料Mの温度情報を」受け取ることになる。 してみると、引用発明1′の「検知部70」が「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」ることは、「CPU102」は「被処理材料Mの温度情報を」受け取ることといえるから、「検知部70」が「検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送」る引用発明1′は、本件発明11の「前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程」に相当する工程を備えているといえる。 i 引用発明1′の「CPU102は、記憶部を備えて、前記検知部70による被処理材料Mの温度情報を」「記憶する」ものであり、引用発明1′の「記憶部を備え」た「CPU102は、」「前記検知部70による被処理材料Mの温度情報を」「記憶する」ことは、本件発明11の「前記測定値を記録する記録工程」に相当する。 j 引用発明1′の「被処理材料Mの処理方法」における工程の一部として、「S3において、CPU102は、検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、被処理材料Mの温度、及び被処理材料Mと略同温度となる被処理材料Mと触れている部分の収納容器50の温度が、上限値以上となっているか否かを判断し」ている。 ここで、引用発明1′の「上限値」は、本件発明11の「参照データ」に相当する。 また、引用発明1′の上記工程の一部における「検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報」は、「検知部70は、被処理材料Mと非接触にその温度情報を検知するものであって、検知した被処理材料Mの温度情報を無線回線を介しCPU102に送り、CPU102は、記憶部を備えて、前記検知部70による被処理材料Mの温度情報」「を記憶」されているものであるから、引用発明1′の上記工程の一部における「検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報」は、CPU102の記憶部に記憶されたものであるといえる。 そして、引用発明1′の「検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、被処理材料Mの温度、及び被処理材料Mと略同温度となる被処理材料Mと触れている部分の収納容器50の温度が、上限値以上となっているか否かを判断」することは、「検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、」「温度が、上限値以上となっているか否かを判断」することであり、「検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報」と「上限値」とを比べることを含んでいるから、本件発明11の「前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め」「記録されている参照データとを比較する比較工程」に相当する。 してみると、引用発明1′の「検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、被処理材料Mの温度、及び被処理材料Mと略同温度となる被処理材料Mと触れている部分の収納容器50の温度が、上限値以上となっているか否かを判断」することと、本件発明11の「前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め前記受信ユニットの記録部に記録されている参照データとを比較する比較工程」とは、「前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め記録されている参照データとを比較する比較工程」である点で共通する。 k 引用発明1′の「CPU102は、検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、」「温度が、上限値以上となっているか否かを判断し、」「温度が上限値以上となっていると判断した場合において、処理はS4に進み、」「S4において、CPU102が公転体20の回転速度を低下させるべく、駆動制御部104に指示を出」すことと、本件発明11の「前記乖離値に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更すること」とは、「前記測定値と参照データとの差違の評価に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更する」点で共通する。 (イ)一致点・相違点 したがって、本件発明11と引用発明1′とは、次の点で一致する。 (一致点) 「公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物を攪拌・脱泡する方法であって、 前記容器に着脱可能に固定される上蓋に設置された送信ユニットは 前記被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部を有し、 前記被処理物の温度を非接触で測定する測定工程と、 前記被処理物の温度の測定値を含むデータを送信する送信工程と、 からなる送信サイクルを繰り返し、 前記容器の外部に設置された受信ユニットは、 前記送信工程の後に前記送信ユニットから送信された前記測定値を含む前記データを受信する受信工程と、 前記測定値を記録する記録工程と、 前記記録工程の後に、記録された前記測定値と予め記録されている参照データとを比較する比較工程と、 前記測定値と参照データとの差違を評価する工程とからなる受信サイクルを繰り返し、 前記測定値と参照データとの差違の評価に応じて、公転又は自転の少なくとも一方の回転数を変更することを特徴とする攪拌・脱泡方法。」 また、次の点で相違する。 (相違点17) 上蓋に設置された送信ユニットについて、本件発明11では「被処理物から放射された光の入射光を検知可能に設置され」るのに対して、引用発明1′では中蓋55の下面に取り付けられているものの、そのような特定はされていない点。 (相違点18) 送信サイクルについて、本件発明11では「所定時間待機する待機工程」を含むのに対して、引用発明1′では、そのような特定はされていない点。 (相違点19) 参照データについて、本件発明11では「受信ユニットの記録部に記録されている」のに対して、引用発明1′では、そのような特定はされていない点。 (相違点20) 前記測定値と参照データとの差違を評価する工程について、本件発明11では、「前記測定値と前記参照データとの乖離値を算出する」のに対して、引用発明1′では、「検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、」「温度が、上限値以上となっているか否かを判断し」ている点。 (相違点21) 公転又は自転の少なくとも一方の回転数の変更が、本件発明11では「前記乖離値に応じて」行われるのに対して、引用発明1′では「CPU102は、検知部70が検知した被処理材料Mの温度情報に基づき、」「温度が、上限値以上となっているか否かを判断し、」「温度が上限値以上となっている」ことにより行われる点。 (相違点22) 本件発明11では、「前記センサ部(被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部)の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置され」るのに対して、引用発明1′では、そのような特定はされていない点。 (ウ)判断 事案に鑑み、まず相違点22について検討する。 相違点22は、前述の相違点2と実質的に同じ相違点であるから、相違点2と同様に、当業者が容易に想到し得るものではない。 したがって、相違点17-21について検討するまでもなく、本件発明11は引用発明1′及び甲1-5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得た発明ではない。 第5 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許法第29条第2項(同法第113条第2号) (1)本件発明5 ア 申立人の主張 申立人は、本件発明5について、 「甲第3号証は、センサ部の光入射囗部に、センサ部の光軸方向に可働な光学素子が設置されること(サーモグラフィー35。当該サーモグラフィー35が、赤外線カメラと同等であることは自明である。)を開示又は示唆している(例えば、甲第3号証の段落【0035】及び【0040】)。 したがって、本件特許発明5は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証、及び甲第3号証記載事項から容易に発明することができたものである。」 (特許異議申立書第22頁第20-25行目) と主張している。 イ 検討 本件発明5は「前記センサ部(被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部)の光入射口部に、前記センサ部の光軸方向に可動な光学素子が設置されている」のに対して、甲1発明は、そのような特定はされていない。 ここで、本件特許の明細書には、次の記載がある。 (本b)「【0099】 (実施形態3) 放射温度計6は、上記のように光学系を備えており、放射温度計6により測定視野が確定されている。測定視野は、容器2及び容器2に収容されている被処理物1の量に応じて最適化することが好ましい。この目的のために、種々の測定視野を有する放射温度計6をセンサ部13として用いた送信ユニット11を複数準備しておき、最適な測定視野に近い送信ユニット11を選択すると、コストが増大するという問題がある。 本実施形態によれば、1台の放射温度計6により、測定視野の最適化を可能にすることができる。 【0100】 図6に示すように、放射温度計6(センサ部13)の光入射口部39には、入射光を屈折させる光学素子40、例えば凸レンズ、が固定された可動支持台41が設置されている。可動支持台41は放射温度計6の光軸に沿って平行に移動可能であり、さらに、放射温度計6に対して、ネジ等で固定することができる。可動支持台41を移動させることで、光学素子40は、放射温度計6の光軸において、焦点距離を変更し、放射温度計6に入射する光の視野角を変更することができる。 放射温度計6の円筒形の外面と円筒形の可動支持台41の内面に同じピッチのネジ山を形成しておき、可動支持台41を回転させることにより、可動支持台41を光軸方向に移動可能にすることができる。可動支持台41は、最適な位置において固定することが可能なように、可動支持台41の側壁を貫通するネジ穴を別途設け、ボルトで放射温度計6と固定することができる。 【0101】 また視野角は、可動支持台39の位置を変化させることにより、連続的に変更することができる。従って、中蓋4の開口部5にレンズを使用した場合と異なり、視野角を微調整することができ、さらに測定視野の最適化が可能であり、温度測定精度を向上させることができる。 なお、中蓋4の開口部5に設置する光学素子(例えばフレネルレンズ)との組合わせにより、広い範囲での視野角の変更も可能である。」 上述の記載事項を参酌すると、本件発明5の「光学素子」は、凸レンズのように、入射光を屈折させる光学素子をいうものと解される。 一方、甲3には、容器内の物質の温度を検出するサーモグラフィーにマイクロ波が照射されるのを防止するパンチングメタル板を設ける構成が開示されている。しかし、パンチングメタル板は、入射光を屈折させるものでなく、本件発明5の「光学素子」ではない。よって、甲3には、「前記センサ部の光入射口部に、前記センサ部の光学方向に可動な光学素子が設置されている」構成は、開示されていない。 また、そのような構成は、甲2、甲4-5及び引用文献1にも開示されていない。 したがって、本件発明5は、甲1発明並びに甲2-5及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明6 ア 申立人の主張 申立人は、 「甲第3号証は、センサ部の光軸の延長線上に、センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されることを開示又は示唆している(例えば、甲第3号証の段落【0035】及び【0040】)。 したがって、本件特許発明6は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証、及び甲第3号証記載事項から容易に発明することができたものである。」 (特許異議申立書第23頁第2-5行目) と主張している。 イ 検討 本件発明6は「前記センサ部(被処理物の温度を非接触で測定するセンサ部)の光軸の延長線上に、前記センサ部の光入射口部から離間した位置に光学素子が設置されている」のに対して、甲1発明は、そのような特定はされていない。 ここで、(1)イで前述したとおり、甲3に開示されるパンチングメタル板は、入射する光を屈折させることによりθを変更する機能を有する光学素子ではない。したがって、甲3に開示されるパンチングメタル板は、本件発明6の「光学素子」ではない。よって、甲3には、「前記センサ部の光軸の延長上に、前記センサ部の光入射部から離間した位置に光学素子が設置されている」構成は、開示されていない。 また、そのような構成は、甲2、甲4-5及び引用文献1にもにも開示されていない。 したがって、本件発明6は、甲1発明並びに甲2-5及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に想到することができた発明ではない。 (3)本件発明7 ア 申立人の主張 申立人は、本件発明7について、 「・・・送信ユニットが、球面軸受により容器の上蓋に対して揺動可能に支持されることは、容器が公転運動することにより、生じた競り上がりに対応した部分の被処理物の温度測定を行うためのものであり、容器の公転運動により生じる遠心力を利用して、実質的に、送信ユニットの公転軸に対する姿勢を固定する機構である。一方、甲第4号証は、容器の公転運動により生じる遠心力を利用して、実質的に、所定装置の公転軸に対する姿勢を固定する機構を開示している(甲第4号証の段落【0051】の被検出子230の回転部材232及びベアリング214。なお、ベアリング214が球面軸受であることは、甲第4号証に明確に示されていないが、どのような軸受けを採用するかは、当業者が必要に応じて選択し得る設計的事項である)。 そうすると、甲第4号証に記載された技術を、甲第1号証記載の発明に適用する(つまり、甲第1号証の温度センサー38に、甲第4号証の被検出子230と同様の構成を付加する。)ことで、送信ユニットが、球面軸受により容器の上蓋に対して揺動可能に支持されるように構成することは容易である。 したがって、本件特許発明7は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証、甲第3号証、及び甲第4号証記載事項から容易に発明することができたものである。」 (特許異議申立書第23頁第8-24行目) と主張している。 イ 検討 本件発明7では、「前記送信ユニット前記球面軸受により前記容器の前記上蓋に対して揺動可能に支持される」のに対して、甲1発明では、そのような特定はされていない。 一方、甲4には、攪拌脱泡装置の収納容器が保持するセンサユニットにおいて、回転部材を筐体の中心軸にベアリングを介して取り付けることにより、筐体に対して回転可能とする技術事項が開示されている。しかしながら、甲4の技術事項の「ベアリング」は、本件発明7の「球面軸受」ではないし、また、甲4の技術事項の「センサユニット」は、収納容器の自転数を検出するためのものであるから、本件発明7の「非接触で被処理物の温度を測定」する「送信ユニット」に相当するものではない。さらに、「送信ユニット」を「前記容器の前記上蓋に対して揺動可能に支持される」ことも開示されていない。 よって、甲4には、「送信ユニットが、球面軸受により前記容器の前記上蓋に対して揺動可能に支持される」ことは開示されていない。 また、「送信ユニットが、球面軸受により前記容器の前記上蓋に対して揺動可能に支持される」ことは、甲2、3、5及び引用文献1にも開示されていない。 したがって、本件発明7は、甲1発明並びに甲2-5及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に想到することができた発明ではない。 (4)本件発明8 ア 申立人の主張 申立人は、本件発明8について、 「甲第5号証は、公転及び/又は自転運動する容器に収容された被処理物を処理する装置において、回転速度と温度との間に相関があることを開示している(例えば、甲第5号証の段落【0040】)。この開示に基づけば、当該装置において、回転数が上がれば、温度が上昇することは明らかであり、当該装置で用いられる温度測定装置において、回転数が上がれば、センサ部により被処理物の温度を計測する意義が生じることは、当業者が容易に理解することである。そうすると、送信ユニットが、加速度センサをさらに備え、加速度センサが閾値以上の加速度を検知すると、センサ部に電力が供給されるように構成することは、当業者にとって容易である。 したがって、本件特許発明8は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証、甲第3号証、及び甲第5号証記載事項から容易に発明することができたものである。」 (特許異議申立書第23頁第26行目-第24頁第10行目) と主張している。 イ 検討 本件発明8では、「送信ユニット」が「前記センサ部へ電力を供給する電源部」及び「閾値以上の加速度を検知すると、前記センサ部に電力が供給される」「加速度センサ」を有するのに対して、甲1発明では、センサ部への電力供給手段についての特定はない。 ここで、甲5には、攪拌脱泡装置において、材料の温度が所定温度より高くなったら回転速度を遅くし、材料の温度が所定温度より低くなったら回転速度を速めて、所定温度を保持するように回転速度を制御する構成が記載されている(「7 甲5の記載事項」を参照)。しかしながら、甲5には、攪拌脱泡装置において加速度センサを設けることや、加速度センサが閾値以上の加速度を検知するとセンサ部に電力が供給される構成は記載されていない。 よって、「送信ユニット」に「前記センサ部へ電力を供給する電源部」及び「閾値以上の加速度を検知すると、前記センサ部へ電力が供給される加速度センサ」を設けることは、甲5の記載から当業者が容易に想到し得たことではない。 また、攪拌脱泡装置において加速度センサを設けることや、加速度センサが閾値以上の加速度を検知するとセンサ部に電力が供給される構成は、甲2-4及び引用文献1にも記載されていない。 したがって、本件発明8は、甲1発明並びに甲2-5及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に想到することができた発明ではない。 (5)小括 よって、本件発明5-8は、当業者が容易に想到することができた発明ではないから、これらの発明について当業者が容易に発明をすることができたとする申立人の主張は採用することができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1-11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1-11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700879

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