特許訂正審判
2018-390182
基板貼り合わせ方法及びその装置
- 審判番号
- 2018-390182
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2001-118361
- 登録番号
- 特許第3458145号(P3458145)
- 請求日
- 2018年11月27日
- 審決日
- 2019年03月26日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】AIメカテック 株式会社
- 【請求人代理人】牧野 知彦
- 【請求人代理人】古城 春実
- 【請求人代理人】岡田 健太郎
- 【請求人代理人】中村 守
- 審判長/審判官
- 審判長 森 竜介
- 審判官 西村 直史
- 審判官 山村 浩
- 分類
- P141 .851-Y (G02F) / P141 .853-Y (G02F) / P141 .856-Y (G02F) / P141 .161-Y (G02F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第29条の2、特許法第126条第6項、特許法第168条第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第126条第7号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第3458145号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第3458145号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第3458145号(以下「本件特許」という。)は、平成13年4月17日の出願であって、平成15年8月8日にその特許権の設定登録がなされ、同年10月20日に特許掲載公報が発行された。その後の経緯は、次のとおりである。
平成15年12月19日 :異議申立(異議2003-73348号)
(申立人 太田恵三)
平成15年12月31日 :異議申立(異議2003-73348号)
(申立人 高橋 徹)
平成16年 6月14日付け:取消理由通知書
平成16年 8月20日 :訂正請求、意見書
平成16年 9月22日付け:異議の決定
平成30年11月27日 :本件訂正審判請求
平成31年 1月16日 :上申書
第2 本件審判の請求について
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件訂正審判に係る特許第3458145号の明細書及び特許請求の範囲の請求項2を本件訂正審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおりに訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである。(下線部分は訂正箇所であり、請求人が訂正特許請求の範囲において示したとおりである。)
(1)訂正事項1
本件訂正審判に係る特許第3458145号の特許請求の範囲(以下「本件訂正前特許請求の範囲」という。)の請求項2において、
「徐々にガスを導入する第一ガス導入工程と、」とあるのを
「第一ガス導入機構により、徐々にガスを導入する第一ガス導入工程と、」と訂正する。
(2)訂正事項2
本件訂正前特許請求の範囲の請求項2において、
「急速にガスを導入して前記真空チャンバ内を大気圧にする第ニガス導入工程と」とあるのを
「、第ニガス導入機構により、急速にガスを導入して前記真空チャンバ内を大気圧にする第二ガス導入工程と」と訂正する。
(3)訂正事項3
本件訂正審判に係る特許第3458145号の明細書(以下「本件訂正前明細書」という。)の段落【0010】に
「徐々にガスを導入する第一ガス導入工程と、」とあるのを、
「第一ガス導入機構により、徐々にガスを導入する第一ガス導入工程と、」と訂正する。
(4)訂正事項4
本件訂正前明細書の段落【0010】に
「急速にガスを導入して真空チャンバ内を大気圧にする第二ガス導入工程と」とあるのを、
「、第二ガス導入機構により、急速にガスを導入して真空チャンバ内を大気圧にする第二ガス導入工程と」と訂正する。
3 証拠方法
請求人が審判請求書に添付して提出した証拠は以下のとおりである。
甲第1号証:特許侵害差止等請求事件:平成30年(ワ)第12923号の被告第2準備書面
甲第2号証:特開2002-40398号公報
第3 当審の判断
1 訂正の目的・新規事項の有無等について
(1)訂正事項1は、訂正前特許請求の範囲の請求項2記載の「第一ガス導入工程」が「第一ガス導入機構」により達成されるものであることを限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
(2)訂正事項2は、訂正前特許請求の範囲の請求項2記載の「第二ガス導入工程」が「第二ガス導入機構」により達成されるものであることを限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
(3)訂正事項1及び2は、訂正前特許請求の範囲の請求項4及び訂正前明細書の段落【0012】、【0048】、【0049】などに記載されている事項であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項1及び2は、「第一ガス導入工程」が「第一ガス導入機構」により達成されること、及び、「第二ガス導入工程」が「第二ガス導入機構」により達成されることをそれぞれ規定して発明を特定する構成要件を直列的に限定付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)訂正事項3及び4は、訂正特許請求の範囲の請求項2の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るために、発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
そして、訂正事項3及び4は、上記(3)と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
2 独立特許要件について
訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、同条第7項の規定に基づき、訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて、以下に検討する。
(1)訂正後の発明
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項2に係る発明は、以下のとおりのものである(以下「本件訂正発明」という。下線部分は訂正箇所であり、請求人が訂正特許請求の範囲において示したとおりである。)。
「【請求項2】
少なくとも何れか一方に接着剤を設け且つ対向して配設した貼り合わせ対象物たる二枚の基板を、真空状態の真空チャンバ内で位置合わせを行った後、加圧して貼り合わせを行う基板貼り合わせ方法であって、
前記各基板を真空状態で機械的に加圧貼り合わせする加圧工程と、
この加圧工程の後、前記真空状態の真空チャンバ内が導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧になるまで、前記接着剤を、破ることなく、徐々に潰して前記接着剤と前記二枚の基板との接触面積が徐々に拡大するように、第一ガス導入機構により、徐々にガスを導入する第一ガス導入工程と、
この第一ガス導入工程にて前記所定圧になると、第二ガス導入機構により、急速にガスを導入して前記真空チャンバ内を大気圧にする第二ガス導入工程と
を有することを特徴とした基板貼り合わせ方法。」
(2)特許無効の抗弁
東京地方裁判所から,本件特許に係る侵害訴訟事件:平成30年(ワ)第12923号における被告の防御の方法として特許無効の抗弁(甲第1号証(被告第2準備書面))がされた旨の通知(特許法第168条第5項)があった。
その内容は、以下のものである。
無効理由1:明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号)
(甲第1号証の第15頁4行ないし第17頁8行及び同第17頁第9行ないし第18頁第4行を参照。)
無効理由2:実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号)
(甲第1号証の第18頁第5行ないし同頁下から5行を参照。)
無効理由3:拡大先願要件違反(特許法第29条の2)
(甲第1号証第18頁下から4行ないし第25頁第5行を参照。)
そこで、本件訂正審判では、明確性要件(無効理由1)、実施可能要件(無効理由2)および拡大先願要件(無効理由3)の観点から本件訂正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。
(3)明確性要件について
ア 明確性要件違反(無効理由1)の概要
(ア)本件特許の特許請求の範囲の請求項2には「導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧」との記載及び「前記所定圧」との記載がある。請求項2に係る発明の技術的範囲の範囲に含まれるか否かを当業者が理解できるためには、上記「導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧」を当業者が具体的に知ることができなければならない。
しかし、上記本件特許の明細書の発明の詳細の説明に記載された「前記所定圧」を知る方法(段落【0048】及び【0049】を参照。)では、「導入されたガスが接着剤37を破って真空空間部40内に入り込むことがなくなったときの圧力を予め実験等で検出」することになるが、このような実験等が可能となるためには、「導入されたガスが接着剤37を破って真空空間部40内に入り込む」という事態が発生することが前提となる。
しかし、接着剤(シール材)の種類によっては、初めからベント開放して一段階でガスを導入しても接着剤(シール材)が破れる事態が生じないことがある。このような、初めからベント開放して一段階でガスを導入しても接着剤が破れない場合には、「導入されたガスが接着剤37を破って真空空間部40内に入り込む」という事態が起こりえず、そのような場合には実験等によって「所定圧」を検出することができない。
したがって、当業者が上記「導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧ないし「前記所定圧」を具体的に知ることができないため、特許請求の範囲の請求項2は明確ではない。
(イ)請求項2に係る発明では、第一ガス導入工程では「徐々にガスを導入する」と規定され、第二ガス導入工程では「急速にガスを導入する」と規定されている。請求項2に係る発明の技術的範囲の範囲に含まれるか否かを当業者が理解できるためには、どの程度のガス導入速度であれば「徐々に」や「急速に」に該当するのかを理解できなければならない。
しかし、本件特許の明細書の発明の詳細の説明の記載を参酌したとしても、どの程度のガス導入速度であれば「徐々に」または「急速に」に該当するかを知ることができない。
したがって、当業者が、どの程度のガス導入速度であれば「徐々に」や「急速に」該当するのか、具体的に知ることができないため、請求項2に係る発明は明確ではない。
イ 明確性要件の検討
(ア)「前記所定圧」について
a 本件訂正発明において、「前記所定圧」とは、「導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧」を意味している。
そして、本件訂正明細書の段落【0049】には、「例えばその所定圧としては、導入されたガスが接着剤37を破って真空空間部40内に入り込むことがなくなったときの圧力を予め実験等で検出しておき、その圧力を設定しておけばよい。」との記載がある。
これらの本件訂正特許請求の範囲の記載及び明細書の記載からすれば、「導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧」及び「前記所定の圧」の意味内容を当業者が充分に理解することができるのであり、明確性要件に欠けるところはない。
b これに対し、上記侵害訴訟の被告(以下、単に「被告」という。)は、「接着剤(シール材)の種類によっては、初めからベント開放して一段階でガスを導入しても接着剤(シール材)が破れる事態が生じないことがある。このような、初めからベント開放して一段階でガスを導入しても接着剤が破れない場合には、「導入されたガスが接着剤37を破って真空空間部40内に入り込む」という事態が起こりえず、そのような場合には実験等によって「所定圧」を検出することができない」と主張する。
これについて検討すると、本件訂正特許請求の範囲の請求項2の「この加圧工程の後、前記真空状態の真空チャンバ内が導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧になるまで、前記接着剤を、破ることなく、徐々に潰して前記接着剤と前記二枚の基板との接触面積が徐々に拡大するように、第一ガス導入機構により、徐々にガスを導入する第一ガス導入工程」及び「この第一ガス導入工程にて前記所定圧になると、第二ガス導入機構により、急速にガスを導入して前記真空チャンバ内を大気圧にする第二ガス導入工程」との記載から、本件訂正発明は、第一ガス導入工程を経ずに第二ガス導入工程のように「急速にガスを導入」した場合には、接着剤が破れることを前提として、第一ガス導入工程において「接着剤を、破ることなく、徐々に潰して前記接着剤と前記二枚の基板との接触面積が徐々に拡大するように」していることは明らかである。
したがって、本件訂正発明は、被告が主張するような「初めからベント開放して一段階でガスを導入しても接着剤が破れない場合」を想定していないものである。
また、このことは、訂正明細書の段落【0048】及び【0049】の下記(a)及び(b)の記載からも明らかである(下線は、当審が付した。以下同じ。)。
(a)「急激に大気圧に戻した場合は、前述したが如く接着剤37がまだ十分に潰れていない為、ガスがその接着剤37を破って真空空間部40に入り込み、不良品の液晶基板ができてしまう。これが為、本実施形態にあっては、一次加圧終了後に細い配管21の弁22を開放し、その配管21に接続した圧力源から加圧されたガスを真空貼り合わせ室15内に導入することで、徐々に大気圧に戻す。このように真空貼り合わせ室15内を徐々に大気圧に戻していくと、各基板33,34には徐々に圧力が加わり、接着剤37が徐々に潰れていく。・・・(略)・・・このようにして真空空間部40の内圧と真空貼り合わせ室15内の圧力との差を徐々に大きくするので、導入されたガスが接着剤37を破って真空空間部40内に入り込むことはない。」(段落【0048】)
(b)「ここで、接着剤37は、前述したが如く真空貼り合わせ室15内にガスを導入すると、図2から図3に近い形状に潰れることで流動が起こり、チクソトロピー性によって粘度が低下する。本実施形態にあってはこの接着剤37の粘度が低下した状態で、急速に真空貼り合わせ室15内を大気圧に戻す為の大気開放弁23を開放して更に各基板33,34に加圧力を加える。具体的には、真空貼り合わせ室15内に設けた圧力計が所定圧を超えたことを検出したときに弁22を閉じ、且つシリンダ24を作動させて大気開放弁23を開放することによって、各基板33,34に加圧力が加わり貼り合わせが終了する。例えばその所定圧としては、導入されたガスが接着剤37を破って真空空間部40内に入り込むことがなくなったときの圧力を予め実験等で検出しておき、その圧力を設定しておけばよい。」(段落【0049】)
したがって、被告は、本件訂正発明が想定していないような例外的な場合を挙げて、「所定の圧」が検出できない旨を主張しているものであるから、当該主張は採用できない。
c 以上のとおり、本件訂正特許請求の範囲の請求項2の「導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧」及び「前記所定圧」との記載は明確である。
(イ)「徐々に」及び「急速に」について
a 本件訂正発明においては、「第一ガス導入工程」は、「この加圧工程の後、前記真空状態の真空チャンバ内が導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧になるまで、前記接着剤を、破ることなく、徐々に潰して前記接着剤と前記二枚の基板との接触面積が徐々に拡大するように、第一ガス導入機構により、徐々にガスを導入する」ことが規定され、
また、「第二ガス導入工程」については、「この第一ガス導入工程にて前記所定圧になると、第二ガス導入機構により、急速にガスを導入して前記真空チャンバ内を大気圧にする」ことが規定されている。
ここで、「第一ガス導入工程」における「導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧」の前のガスを導入する速さについて、「徐々に」と規定し、「第二ガス導入工程」におけるガスを導入する速さについて「急速に」としているのであるから、「徐々に」及び「急速に」とは、「第一ガス導入工程」と「第二ガス導入工程」とにおけるガスを導入する速さを相対的に表現したものと理解できる。
そして、「第一ガス導入工程」のガスを導入する速さについては、「前記接着剤を、破ることなく、徐々に潰して前記接着剤と前記二枚の基板との接触面積が徐々に拡大するように」と規定されているのであるから、「徐々に」の意味内容を当業者が充分に理解することができるのであり、明確性要件に欠けるところはない。
b 上記(ア)bに摘記した本件訂正明細書の段落【0048】及び【0049】の記載によれば、真空状態のチャンバには気圧差により外側から非常に強い力が加わっており、このような状態で適正な流量調整を行わずに大気開放弁(ベント)を開放すれば激しい勢いでガスが流入することになることを避けるため、「本実施形態にあっては、一次加圧終了後に細い配管21の弁22を開放し、その配管21に接続した圧力源から加圧されたガスを真空貼り合わせ室15内に導入することで、徐々に大気圧に戻す」ものであることを踏まえれば、当業者であれば、「徐々に」に相当するガスを導入する速さは、「前記接着剤を、破ることなく、徐々に潰して前記接着剤と前記二枚の基板との接触面積が徐々に拡大する」ようなガスの導入の速さを実験等を通じて検出すれば良く、それよりも速い速さとして、「急速に」に相当するガスを導入する速さは設定し得ることが理解できる。
c したがって、本件訂正発明の「徐々にガスを導入」及び「急速にガスを導入」は、いずれも発明の概念が明確に特定されているのであり、明確性に欠けるところはないというべきである。
(ウ)まとめ
よって、訂正後の請求項2の記載は、明確性要件を満たしている。
(4)実施可能要件について
ア 実施可能要件違反(無効理由2)の概要
上記(3)アのとおり、本件特許の請求項2に係る発明を実施するためには「導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧」の値を求める必要があるが、初めからベント開放して一段階でガスを導入しても接着剤が破れない場合には、「導入されたガスが接着剤37を破って真空空間部40内に入り込む」という事態が起こりえず、実験等によって「所定圧」を求めることができない。
これに対し、本件特許の請求項2に係る発明では、接着剤(シール材)が限定されておらず、初めからベント開放して一段階でガスを導入したときには接着剤(シール材)が破れる場合に限定されていない。
したがって、ベント開放してガスを導入しても接着剤が破れない場合には、本件訂正発明を実施できるように明細書に記載されていない。
イ 実施可能要件の検討
上記(3)イで検討したように、被告は、本件訂正発明が想定していないような例外的な場合を挙げて、「所定の圧」が検出できない旨を主張しているのであるから、当該主張を採用することはできず、訂正明細書の段落【0048】及び【0049】の記載によれば、当業者が「所定圧」を求め得るものと理解できる。
したがって、本件訂正発明は実施可能である。
よって、訂正後の請求項2に係る発明について、本件訂正明細書の記載は、実施可能要件を満たしている。
(5)拡大先願要件について
ア 拡大先願要件違反(無効理由3)の概要
本件特許の請求項2に係る発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた特許出願(特願2000-219815号(特開2002-40398号公報)(甲第2号証))の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が上記特許出願に係る上記の発明した者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、本件特許の請求項2に係る発明に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
イ 拡大先願要件の検討
(ア)本件特許及び上記特許出願の発明者及び出願人の同一性等
本件特許の出願日は、平成13年4月17日であり、本件特許の発明者は、今泉 潔、外4名であり、本件特許出願時の出願人は、日立テクノエンジ二アリング株式会社である。
他方、上記特許出願の出願日は、平成12年7月19日であり、出願公開がされた日は、平成14年2月6日であり、同特許出願の願書に記載された発明者は、松田 明寛であり、同出願人は、日本電気株式会社である。
したがって、上記特許出願は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に特許掲載公報の発行若しくは出願公開がされた特許出願であり、本件特許出願の発明者が上記特許出願に係る上記の発明した者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもない。
(イ)本件訂正発明
本件訂正発明は、上記第3の2(1)のとおりである。
(ウ)甲第2号証の記載
a 甲第2号証(以下「甲2」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。
(a)「【請求項6】 第1及び第2の基板を貼り合わせて構成される液晶表示装置を製造する液晶表示装置の製造方法において、前記第1の基板上に液晶を滴下する工程と、内圧が所定値以下の真空チャンバ内で前記第1の基板の前記液晶が滴下された面に前記第2の基板を所定の圧力で加圧しながら前記第1及び第2の基板同士の位置合わせを行う工程と、前記真空チャンバを大気開放する工程と、を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法」
(b)「【0042】図2は処理部6の構造を示す断面図である。処理部6には、真空チャンバ11が設けられ、真空チャンバ11内に互いに平行に第1の定盤12及び第2の定盤13が設けられている。真空チャンバ11には、真空引き口11a及び真空排気口11bが設けられている。第1の定盤12の基材は、例えばセラミックス製であり、その第2の定盤13との対向面に第1の基板31を静電吸着する電極(第1の基板吸着手段)14が埋め込まれている。同様に、第2の定盤13の基材は、例えばセラミックス製であり、その第1の定盤12との対向面に第2の基板32を静電吸着する電極(第2の基板吸着手段)15が埋め込まれている。また、第1の定盤12及び第2の定盤13には、夫々第1の基板31及び第2の基板32を真空吸着するための吸引孔(図示せず)等が設けられている。
【0043】及び【0044】・・・(略)・・・
【0045】また、第1の定盤12の下面には第1の定盤連結台座25の上端が連結され、第1の定盤連結台座25の下端は位置調整テーブル26に連結されている。位置調整テーブル26には、真空チャンバ11の第1の定盤12側に設けられた駆動ユニット20等も固定されている。位置調整テーブル26には、モータ(図示せず)が設けられており、第1の定盤連結台座25を互いに直交する2方向(X方向及びY方向)に直線移動させることが可能であると共に、その中心軸を回動軸として周方向(θ方向)回転させることが可能である。従って、位置調整テーブル26により第1の定盤12、ひいては第1の基板31の位置が調整される。
【0046】更に、第2の定盤13を上下方向に移動させ第2の定盤13と第1の定盤12とを互いに加圧する加圧モータ27が設けられている。加圧モータ27は固定部材28aに固定されている。また、真空チャンバ11の外部には、第1の基板31及び第2の基板32に夫々設けられたアライメントマーク33及び34の位置を検出するアライメントカメラ30並びに基板間に塗布された仮止め用の光硬化性樹脂に紫外線を照射する紫外線源35が配設されている。」
(c)「【0049】次に、上述のように構成された本実施例の液晶表示装置の製造装置の動作、即ちこの製造装置を使用した液晶表示装置の製造方法について説明する。図4乃至図9は本発明の実施例に係る液晶表示装置の製造装置の動作を示す模式図である。
【0050】・・・(略)・・・更に第2の定盤13により第2の基板32を吸着する。
【0051】次に、基板移載ロボット9が第1の積載部1から第1の基板31を取り出し、液晶滴下部4のステージ8a上に移載する。移載された第1の基板31上には、図5(a)に示すように、シール剤42が塗布されている。シール剤42は、例えば光硬化性樹脂中に直径が5μm程度の粒子状のギャップ剤が分散されたものである。・・・(略)・・・
【0052】・・・(略)・・・
【0053】・・・(略)・・・更に第1の定盤12により第1の基板31を吸着する。
【0054】その後、真空チャンバ11内を真空引き口11aから真空引きする。そして、真空チャンバ11の内圧が所定の圧力に達した後、真空チャンバ11内を所定圧力以下に保持するために真空引き口11aから真空引きを行ったまま、アライメントカメラ30によりアライメントマーク33及び34の位置を検出しながら、図7に示すように、第1の基板31と第2の基板32との間隔を例えば0.2乃至0.5mm程度としてそれらの位置ずれが、例えば5μm以内となるように位置調整テーブル26により第1の定盤12の位置を調整する。
【0055】次いで、図8に示すように、加圧モータ27により第2の定盤13と第1の定盤12とを互いに加圧しながら、アライメントマーク33及び34の位置を検出し、それらの位置ずれが、例えば1.0μm以内となるように位置調整テーブル26により第1の定盤12の位置を調整する。そして、最終的な加圧の大きさは、例えば1960Nとし、この状態における第1の基板31と第2の基板32との間隔はシール剤42中に分散している粒子状のギャップ剤の直径とほぼ一致しており、約5μm程度である。その後、例えば1960Nの圧力を印加した状態で、シール剤42の周囲に塗布された光硬化性樹脂43に紫外線源35から紫外線を照射することにより、光硬化性樹脂43を仮硬化させる。
【0056】及び【0057】・・・(略)・・・
【0058】その後、図9に示すように、真空排気口11bからN2ガスを徐々に流量を大きくしながら、真空チャンバ11内に流入させて大気圧となるまでN2パージを行う。瞬間的に大気圧をかける場合には、シール剤42等に瞬間的に大きな衝撃力が作用するが、このように徐々にN2ガスを流入させた場合には、シール剤42等に対する衝撃力の作用を防止できる。このようなパージ方法を、例えばスローベントという。このスローベントにおけるN2ガス流量の変化は、一次関数的であっても、二次関数的であっても、段階的に変化するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0059】そして、図10に示すように、互いに貼り合わされた基板31及び32を突き上げピン12aにより上昇させると共に、シャッタ6aを開き、基板移載ロボット9により基板31及び32を取り出す。続いて、シャッタ7aを開き、基板31及び32をUV照射部7内に移載した後、シャッタ7aを閉じる。続いて、シール剤42を加熱する等して本硬化させる。このとき、TFTは紫外線により損傷を受けることがあるので、TFTへの紫外線の照射を防ぐためのマスクを使用することが望ましい。」
(d)「【0060】このような本実施例によれば、第1の定盤12と第2の定盤13とを加圧しながら第1の基板31と第2の基板32との最終的な位置合わせ(微調整)を行っているので、位置合わせ中にシール剤42中のギャップ剤が転動する。このとき、シール剤42の幅は1mm程度、その高さは5μm程度となっているので、その後に加圧を解除してもギャップ剤の転動の戻りは生じない。また、加圧状態でシール剤42の周囲に塗布された光硬化性樹脂43を仮硬化させているので、第1の基板31と第2の基板32との間の位置ずれは、より生じにくくなる。従って、位置合わせが行われた状態のまま大気プレスを受けることになるので、極めて高い精度が維持される。」
(e)図2、図7ないし9は、次のとおりである。
図2
図7
図8
図9
(f)上記(c)の段落【0058】の記載によれば、甲2には、「N2ガスを徐々に流量を大きくしながら、真空チャンバ11内に流入させて大気圧となるまでN2パージを行うことにより、シール剤42等に対する衝撃力の作用を防止でき、N2ガス流量の変化は、段階的に変化するものであってもよい」ことが記載されている。
b 上記aの記載からして、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。
「第1の基板及び第2の基板を貼り合わせて構成される液晶表示装置を製造する液晶表示装置の製造方法において、
第1の基板上には、シール剤が塗布され、シール剤は、光硬化性樹脂中に粒子状のギャップ剤が分散されたものであり、
第1の定盤及び第2の定盤に、夫々第1の基板及び第2の基板を真空吸着し、
真空チャンバ内を真空引き口から真空引きし、
真空チャンバの内圧が所定の圧力に達した後、真空チャンバ内を所定圧力以下に保持するために真空引き口から真空引きを行ったまま、第1の基板と第2の基板の間隔及び位置ずれを調整し、加圧モータにより第2の定盤と第1の定盤とを互いに加圧しながら第1の定盤の位置を調整し、例えば1960Nの圧力を印加した状態で、シール剤の周囲に塗布された光硬化性樹脂を仮硬化させ、
その後、真空排気口からN2ガスを徐々に流量を大きくしながら、真空チャンバ11内に流入させて大気圧となるまでN2パージ(スローベント)を行い、
第1の基板及び第2の基板をUV照射部内に移載した後、シール剤を加熱する等して本硬化させる、
液晶表示装置の製造方法であって、
前記N2パージ(スローベント)を行うことにより、シール剤等に対する衝撃力の作用を防止でき、スローベントにおけるN2ガス流量の変化は、段階的に変化するものであってもよい、
液晶表示装置の製造方法。」
(エ)対比
本件訂正発明と甲2発明を対比する。
a 本件訂正発明の「少なくとも何れか一方に接着剤を設け且つ対向して配設した貼り合わせ対象物たる二枚の基板を、真空状態の真空チャンバ内で位置合わせを行った後、加圧して貼り合わせを行う基板貼り合わせ方法」との発明特定事項について
(a)甲2発明の「第1の基板」及び「第2の基板」は、それぞれ本件訂正発明の「二枚の基板」の一方ないし他方に相当し、甲2発明の「シール剤」は、本件訂正発明の「接着剤」に相当する。
(b)甲2発明は、「第1の基板上には、シール剤が塗布され」るので、甲2発明の「第1の基板」及び「第2の基板」は、本件補正発明の「二枚の基板」と、「少なくとも何れか一方に接着剤を設け且つ対向して配設した貼り合わせ対象物たる」ものである点で一致する。
(c)甲2発明では、「真空チャンバ内を真空引き口から真空引きし」、「真空引きを行ったまま、第1の基板と第2の基板の間隔及び位置ずれを調整し」、その後、「例えば1960Nの圧力を印加した状態で、シール剤の周囲に塗布された光硬化性樹脂を仮硬化させ」るものであるので、甲2発明も、本件訂正発明と同様に、「真空状態の真空チャンバ内で位置合わせを行った後、加圧して貼り合わせを行う」といえる。
(d)上記(c)のとおりであるから、甲2発明の「液晶表示装置の製造方法」は、本件訂正発明と「基板貼り合わせ方法」である点で共通する。
(e)以上のとおりであるから、本件訂正発明と甲2発明とは、上記発明特定事項において一致する。
b 本件訂正発明の「前記各基板を真空状態で機械的に加圧貼り合わせする加圧工程」との発明特定事項について
甲2発明において「1960Nの圧力を印加」することは、「真空引きを行ったまま」、「加圧モータにより第2の定盤と第1の定盤とを互いに加圧」することによって行われるから、本件訂正発明と甲2発明とは、上記発明特定事項を備える点で一致する。
c 本件訂正発明の「この加圧工程の後、前記真空状態の真空チャンバ内が導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧になるまで、前記接着剤を、破ることなく、徐々に潰して前記接着剤と前記二枚の基板との接触面積が徐々に拡大するように、第一ガス導入機構により、徐々にガスを導入する第一ガス導入工程」について
(a)甲2発明の「N2ガス」は、本件訂正発明の「ガス」に相当する。また、甲2発明の「真空排気口」と、本件訂正発明の「第一ガス導入機構」及び「第二ガス導入機構」とは、ガスを導入する点で共通するから、いずれも、「ガス導入機構」であるといえる。
(b)甲2発明では、「真空排気口からN2ガスを徐々に流量を大きくしながら、真空チャンバ11内に流入させて大気圧となるまでN2パージ(スローベント)を行」っているものであるから、「N2ガス」が流入するにしたがって「第1の基板」と「第2の基板」との間隔が徐々に小さくなり、それによって、「シール剤」も徐々に潰され、「シール剤」と第1及び第2の基板との接触面積が徐々に拡大することになることは明らかである。
また、甲2発明では、「N2パージ(スローベント)を行うことにより、シール剤等に対する衝撃力の作用を防止でき」ることから、甲2発明では、「シール剤」を、破ることはないといえる。
しかし、甲2発明では、「徐々にガスを導入する」のが、本件訂正発明のように「前記真空状態の真空チャンバ内が導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧になるまで」であるのか否かは不明である。
(c)以上のことを踏まえると、本件訂正発明と甲2発明とは、「この加圧工程の後、前記接着剤を、破ることなく、徐々に潰して前記接着剤と前記二枚の基板との接触面積が徐々に拡大するように、ガス導入機構により、徐々にガスを導入する第一ガス導入工程」を備える点で一致する。
d 本件訂正発明の「この第一ガス導入工程にて前記所定圧になると、第二ガス導入機構により、急速にガスを導入して前記真空チャンバ内を大気圧にする第二ガス導入工程」について
(a)上記cで対比したように、甲2発明では、「真空排気口からN2ガスを徐々に流量を大きくしながら、真空チャンバ11内に流入させて大気圧となるまで」導入し、その際、「スローベントにおけるN2ガス流量の変化は、段階的に変化するものであってもよい」のであるから、大気圧になる直前の段階のN2ガス流量が最も大きいことは明らかであるものの、本件訂正発明のように、「急速に」ガスを導入しているとまではいえない。
(b)以上のことから、本件訂正発明と甲2発明とは、「ガス導入機構により、ガスを導入して前記真空チャンバ内を大気圧にする第二ガス導入工程」を備える点で一致する。
そうすると、本件訂正発明と甲2発明とは、以下の点で一致する。
・一致点
「 少なくとも何れか一方に接着剤を設け且つ対向して配設した貼り合わせ対象物たる二枚の基板を、真空状態の真空チャンバ内で位置合わせを行った後、加圧して貼り合わせを行う基板貼り合わせ方法であって、
前記各基板を真空状態で機械的に加圧貼り合わせする加圧工程と、
この加圧工程の後、前記接着剤を、破ることなく、徐々に潰して前記接着剤と前記二枚の基板との接触面積が徐々に拡大するように、ガス導入機構により、徐々にガスを導入する第一ガス導入工程と、
ガス導入機構により、ガスを導入して前記真空チャンバ内を大気圧にする第二ガス導入工程と
を有することを特徴とした基板貼り合わせ方法。」
一方、両者は、以下の点で相違する。
・相違点
本件訂正発明では、徐々にガスを導入する第一ガス導入工程は、「第一ガス導入機構」により、「前記真空状態の真空チャンバ内が導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧になるまで」行われ、前記所定圧になると、「第二ガス導入機構」により、「急速に」ガスを導入する第二ガス導入工程が行われるのに対し、甲2発明では、「前記真空状態の真空チャンバ内が導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧」になった後、「急速に」ガスを導入するものか否か明らかでなく、ガスの導入は、第一ガス導入工程及び第二ガス導入工程を通して、ガス導入機構により行われる点。
(オ)判断
上記相違点について、以下検討する。
本件訂正発明は、「前記真空状態の真空チャンバ内が導入されたガスで前記接着剤が破れることがない所定の圧になるまで」、徐々にガスを導入するものであって、当該「所定の圧」となった後は「接着剤が破れることがない」状態となっているといえる。そして、その状態で急速にガスを導入することにより、本件訂正明細書の段落【0065】に記載されているように、「各基板の暴れや水分の凍結の発生を防止することができ、これにより確実且つ短時間で貼り合せを完了させることができる」ものである。
他方、甲2発明では、「N2ガスを徐々に流量を大きくしながら、真空チャンバ11内に流入させて大気圧となるまで」、ガスを導入しているものの、「接着剤が破れることがない」状態となるような所定の圧とした後に、流量を大きくしているわけではなく、スローベントにおけるN2ガス流量を単に段階を設けて徐々に大きくしているだけであるから、このようなことに反して「急速に」ガスを導入するようなことは、当業者であっても理解することはできない。
また、甲2発明では、同じガス導入機構によって、スローベントにおけるN2ガス流量を段階的に大きくして導入するものである以上、本件訂正発明のように、異なる「ガス導入機構」を複数設けるようなことは想定できない。
そうすると、上記相違点は実質的なものであって、本件訂正発明と甲2発明とは同一とはいえない。
(カ)まとめ
よって、訂正後の請求項2に係る発明は、拡大先願要件を満たしている。
(6)独立特許要件についてのまとめ
以上の検討によれば、本件訂正発明は、「明確性要件」、「実施可能要件」及び「拡大先願要件」のいずれの要件にも違反していない。
また、他に本件訂正発明について、特許出願の際独立して特許を受けられないとすべき理由を発見しない。
よって、訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第7号の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は同第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項から第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-390182