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特許訂正審判

2016-390127

光配向用偏光光照射装置

審判番号
2016-390127
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2013-131208
登録番号
特許第5884776号(P5884776)
請求日
2016年10月07日
審決日
2017年01月10日
公報発行日
2017年04月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】ウシオ電機 株式会社
  • 【請求人代理人】松尾 和子
  • 【請求人代理人】大塚 文昭
  • 【請求人代理人】相良 由里子
  • 【請求人代理人】谷口 信行
  • 【請求人代理人】岸 慶憲
  • 【請求人代理人】松野 仁彦
審判長/審判官
  • 審判長 恩田 春香
  • 審判官 河原 英雄
  • 審判官 近藤 幸浩
分類
P141 .851-Y (G02F) / P141 .853-Y (G02F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項3号特許法126条5項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5884776号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第5884776号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件訂正審判に係る特許第5884776号は、平成25年6月22日に出願され、平成28年2月19日に特許権の設定登録がなされたものであり、平成28年10月7日付けで本件訂正審判が請求されたものである。 そして、本件訂正審判において、平成28年10月31日付けで手続補正書(方式)が提出され、審判請求書の「6.請求の理由」が補正された。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5884776号の特許権全体に対し、明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものである。 第3 訂正の内容 請求人が請求する訂正は、以下の訂正事項1及び訂正事項2からなる。(審決注:下線部が訂正箇所である。) 1.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「設定された照射領域に偏光光を照射する光照射器と、照射領域を通過するようにしてワークを搬送する搬送系とを備えた光配向用偏光光照射装置であって、 光照射器は、長尺な発光部を成す光源と、光源と照射領域の間に配置された偏光素子ユニットとを備えたものであり、 偏光素子ユニットは、発光部の長手方向に沿って並べられた複数の偏光素子より成るものであり、 ワークは一個ずつ切り離されたものであって、搬送系は、ワークを保持したワーク保持体を移動させることでワークを搬送するものであり、 搬送系は、発光部の長手方向に交差する第一の方向にワーク保持体を移動させることで照射領域を通過するようにワークを搬送するものであるとともに、偏光素子ユニットにおける各偏光素子の境界線の方向に交差する第二の方向にワーク保持体を移動させることが可能なものであり、 搬送系による第二の方向へのワーク保持体の移動は、ワークから見た各偏光素子の境界線の位置を光照射の際に第二の方向に相対的に変位させるものであることを特徴とする光配向用偏光光照射装置。」 とあるのを、 「設定された照射領域に偏光光を照射する光照射器と、照射領域を通過するようにしてワークを搬送する搬送系とを備えた光配向用偏光光照射装置であって、 前記光照射器は、長尺な発光部を成す光源と、前記光源と前記照射領域の間に配置された偏光素子ユニットとを備えたものであり、 前記偏光素子ユニットは、前記発光部の長手方向に沿って並べられた複数の偏光素子より成り、前記偏光素子の各々の間の境界線に遮光部を有し、前記偏光素子に対応する前記照射領域上の位置において照度低下が発生するものであり、 前記ワークは一個ずつ切り離されたものであって、前記搬送系は、前記ワークを保持したワーク保持体を移動させることで前記ワークを搬送するものであり、 前記搬送系は、前記発光部の長手方向に交差する第一の方向に前記ワーク保持体を移動させることで、光照射が行われている前記照射領域を通過させて往路移動及び復路移動するように前記ワークを搬送するものであるとともに、前記偏光素子ユニットにおける各偏光素子間の前記境界線の方向に交差する第二の方向に前記ワーク保持体を移動させることが可能なものであり、 前記搬送系による第二の方向へのワーク保持体の移動は、前記ワークから見た各偏光素子間の前記境界線の位置を光照射の際に第二の方向に相対的に変位させて、前記復路移動を前記往路移動と異なる経路を通るようにして、前記ワーク上における偏光光の露光量の均一性を向上させるものであることを特徴とする光配向用偏光光照射装置。」 に訂正する。 2.訂正事項2 願書に添付した明細書(以下「本件明細書」ということがある。)の段落【0011】に 「上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、設定された照射領域に偏光光を照射する光照射器と、照射領域を通過するようにしてワークを搬送する搬送系とを備えた光配向用偏光光照射装置であって、 光照射器は、長尺な発光部を成す光源と、光源と照射領域の間に配置された偏光素子ユニットとを備えたものであり、 偏光素子ユニットは、発光部の長手方向に沿って並べられた複数の偏光素子より成るものであり、 ワークは一個ずつ切り離されたものであって、搬送系は、ワークを保持したワーク保持体を移動させることでワークを搬送するものであり、 搬送系は、発光部の長手方向に交差する第一の方向にワーク保持体を移動させることで照射領域を通過するようにワークを搬送するものであるとともに、偏光素子ユニットにおける各偏光素子の境界線の方向に交差する第二の方向にワーク保持体を移動させることが可能なものであり、 搬送系による第二の方向へのワーク保持体の移動は、ワークから見た各偏光素子の境界線の位置を光照射の際に第二の方向に相対的に変位させるものあるという構成を有する。 また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記光照射器は、第一第二の複数の光照射器となっており、 第一の光照射器における各偏光素子の境界線と、第二の光照射器における各偏光素子の境界線とは、前記第二の方向にお互いにずれているという構成を有する。」 とあるのを、 「上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、設定された照射領域に偏光光を照射する光照射器と、照射領域を通過するようにしてワークを搬送する搬送系とを備えた光配向用偏光光照射装置であって、 前記光照射器は、長尺な発光部を成す光源と、前記光源と前記照射領域の間に配置された偏光素子ユニットとを備えたものであり、 前記偏光素子ユニットは、前記発光部の長手方向に沿って並べられた複数の偏光素子より成り、前記偏光素子の各々の間の境界線に遮光部を有し、前記偏光素子に対応する前記照射領域上の位置において照度低下が発生するものであり、 前記ワークは一個ずつ切り離されたものであって、前記搬送系は、前記ワークを保持したワーク保持体を移動させることで前記ワークを搬送するものであり、 前記搬送系は、前記発光部の長手方向に交差する第一の方向に前記ワーク保持体を移動させることで、光照射が行われている前記照射領域を通過させて往路移動及び復路移動するように前記ワークを搬送するものであるとともに、前記偏光素子ユニットにおける各偏光素子間の前記境界線の方向に交差する第二の方向に前記ワーク保持体を移動させることが可能なものであり、 前記搬送系による第二の方向へのワーク保持体の移動は、前記ワークから見た各偏光素子間の前記境界線の位置を光照射の際に第二の方向に相対的に変位させて、前記復路移動を前記往路移動と異なる経路を通るようにして、前記ワーク上における偏光光の露光量の均一性を向上させるものであるという構成を有する。 また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記光照射器は、第一第二の複数の光照射器となっており、 第一の光照射器における各偏光素子の境界線と、第二の光照射器における各偏光素子の境界線とは、前記第二の方向にお互いにずれているという構成を有する。」 に訂正する。 第4.当審の判断 1.訂正事項1について (1)請求項1についての訂正事項1は、以下の訂正事項1-1ないし1-4に整理することができる。 ア 訂正事項1-1 請求項1において、「光照射器」、「光源」、「照射領域」、「偏光素子ユニット」、「発光部」、「ワーク」、「搬送系」、「ワーク保持体」及び「境界線」との記載について、それぞれ2回目以降に「前記」との記載を追加する訂正。 イ 訂正事項1-2 請求項1において、「偏光素子ユニットは、発光部の長手方向に沿って並べられた複数の偏光素子より成るものであり」とあるのを「前記偏光素子ユニットは、前記発光部の長手方向に沿って並べられた複数の偏光素子より成り、前記偏光素子の各々の間の境界線に遮光部を有し、前記偏光素子に対応する前記照射領域上の位置において照度低下が発生するものであり」とする訂正。 ウ 訂正事項1-3 請求項1において、「搬送系は、発光部の長手方向に交差する第一の方向にワーク保持体を移動させることで照射領域を通過するようにワークを搬送するものであるとともに」とあるのを「前記搬送系は、前記発光部の長手方向に交差する第一の方向に前記ワーク保持体を移動させることで、光照射が行われている前記照射領域を通過させて往路移動及び復路移動するように前記ワークを搬送するものであるとともに」とする訂正。 エ 訂正事項1-4 請求項1において、「搬送系による第二の方向へのワーク保持体の移動は、ワークから見た各偏光素子の境界線の位置を光照射の際に第二の方向に相対的に変位させるものである」とあるのを「前記搬送系による第二の方向へのワーク保持体の移動は、前記ワークから見た各偏光素子間の前記境界線の位置を光照射の際に第二の方向に相対的に変位させて、前記復路移動を前記往路移動と異なる経路を通るようにして、前記ワーク上における偏光光の露光量の均一性を向上させるものである」とする訂正。 (2)訂正事項1-1について ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1において、「光照射器」、「光源」、「照射領域」、「偏光素子ユニット」、「発光部」、「ワーク」、「搬送系」、「ワーク保持体」及び「境界線」との用語がそれぞれ複数記載されているところ、これら複数記載された同一の用語が同一の要素を指すのか否か明瞭でないという不備がある。 訂正事項1-1は、「前記」との記載を追加することにより、上記の複数記載された同一の用語が同一の要素を指すことを明瞭にするものである。 したがって、訂正事項1-1は、特許法第126条ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 訂正前の請求項1において、「光照射器」、「光源」、「照射領域」、「偏光素子ユニット」、「発光部」、「ワーク」、「搬送系」、「ワーク保持体」及び「境界線」との用語がそれぞれ複数記載されているところ、これら複数記載された同一の用語が同一の要素を指すべきものであることは、本件明細書及び図面における「光照射器1」、「光源3」、「照射領域R」、「偏光素子ユニット4」、「光源3の発光部」、「ワーク」又は「基板S」、「搬送系2」、「ワーク保持体」又は「ステージ5」及び「境界線40」についての記載から理解されることである。 したがって、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 拡張・変更の存否について 上記アから明らかなとおり、訂正事項1-1は、「前記」との記載を追加することにより、複数記載された同一の用語が同一の要素を指すことを明瞭にするものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1-1は、特許法第126条6項の規定に適合する。 (3)訂正事項1-2について ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1において、偏光素子ユニットが、複数の偏光素子から成ることについては特定されていたが、かかる偏光素子の各々の間の境界線がいかなる構成を備えるかについては特定されていなかった。 これに対して、訂正事項1-2による訂正後の請求項1においては、「前記偏光素子の各々の間の境界線に遮光部を有し、前記遮光部に対する前記照射領域上の位置において照度低下が発生す」るとの事項が追加され、これにより偏光素子の各々の間の境界線の構成が特定された。 したがって、訂正事項1-2は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 よって、訂正事項1-2は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に 規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 本件明細書において、段落【0008】に「このような問題を考慮し、特許文献1では、各偏光素子の境界部分を塞ぐように遮光板を設け、境界部分からは光が出射されないようにしている。遮光板を配置することで、遮光板の直下の位置を通過した領域では露光量が低下するが、無偏光の光が多く照射されて光配向が局所的に不十分になるよりは良いとの考えである。遮光板の直下の位置での偏光光の照度低下は、光源の出力を大きくして全体に照度を高くしたり、照射距離を長くして照度低下を緩和したりすることはできる。尚、以下の説明において、照度や露光量といった場合、偏光光についての照度や露光量を意味する。」と記載され、段落【0018】に「各偏光素子41を保持したフレーム42は、各偏光素子41を並べた方向に長い長方形の枠状である。尚、各境界線40を覆うようにして、遮光板43が設けられている。遮光板43は、境界線40の部分から無偏光光が出射されないようにするものである。」と記載されており、本件明細書には、偏光素子の各々の境界線に遮光部を有すること及び遮光部により照度低下が生じることが記載されている。 したがって、訂正事項1-2に係る「前記偏光素子の各々の間の境界線に遮光部を有し、前記遮光部に対する前記照射領域上の位置において照度低下が発生す」るとの事項は、本件明細書に記載した事項である。 よって、訂正事項1-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 拡張・変更の存否について 上記アから明らかなとおり、訂正事項1-2は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1-2は、特許法第126条6項の規定に適合する。 (4)訂正事項1-3について ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1において、第1の方向にワーク保持体を移動させることについて、照射領域を通過するようにワークを搬送するものであることは特定されていたが、ワークが通過する照射領域の照射状態及びワークの移動の向きについては特定されていなかった。 これに対して、訂正事項1-3による訂正後の請求項1においては、ワークが通過する照射領域について「光照射が行われている」こと及びワークの移動の向きが「往路移動及び復路移動」であることが特定された。 したがって、訂正事項1-3は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 よって、訂正事項1-3は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に 規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 本件明細書の段落【0014】に、「具体的には、図1の装置は、設定された照射領域Rに偏光光を照射する光照射器1と、照射領域Rを通過するようにして基板Sを搬送する搬送系2とを備えている。図1に示すように、照射領域Rは、長方形の水平な領域として設定されている。」との記載があり、照射領域に光照射が行われており、かかる照射領域を、基板Sに対応するワークが通過することが記載されている。 また、本件明細書の段落【0027】に「図6(1)に示すように、初期状態において、ステージ5は基板搭載位置に位置している。基板Sがステージ5上に載置されて各保持ピン51で保持されると、搬送系2は、第一の駆動源613を駆動し、ベース板21及びステージ5を第一の方向に前進させる。ステージ5が第一の前進限度位置に達すると、第一の駆動源613は停止される。図6(2)に示すように、第一の前進限度位置は、ステージ5上の基板Sが照射領域Rを完全に通過する位置である。「完全に通過」とは、基板Sの後縁が照射領域Rを通過することを意味する。」と記載されるとともに、図6(1)及び図6(2)を参照すると、基板搭載位置から基板が照射領域を通過する往路移動について開示されている。 さらに、本件明細書の【0028】に、「次に、搬送系2は、第一の駆動源613を再び動作させ、ベース板21及びステージ5を第一の方向であって逆向きに移動させる。即ち、第一のボールねじ611が逆向きに回転するように第一の駆動源613を動作させる。第一の駆動源613は、ステージ5が照射領域Rを再び通過し、基板回収位置に達したら停止する(図6(4))。」と記載されるとともに、図6(3)及び図6(4)を参照すると、基板が照射領域を通過して、基板回収位置に移動する復路移動について開示している。 以上のことから、本件明細書において、ワークが照射領域を通過して、往復移動を行うことが記載されているといえる。 したがって、訂正事項1-3に係る「光照射が行われている前記照射領域を通過させて往路移動及び復路移動するように前記ワークを搬送する」との事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項である。 よって、訂正事項1-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 拡張・変更の存否について 上記アから明らかなとおり、訂正事項1-3は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1-3は、特許法第126条6項の規定に適合する。 (5)訂正事項1-4について ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1において、第二の方向へのワーク保持体の移動について「第二の方向へのワーク保持体の移動は、ワークから見た各偏光素子の境界線の位置を光照射の際に第二の方向に相対的に変位させるものである」ことについて特定されていたが、第二の方向にワーク保持体が移動した結果、ワークから見た各偏光素子の境界線の位置がいかなる経路を通るかについては、特定されていなかった。 これに対して、訂正後の請求項1においては、ワークから見た各偏光素子間の境界線の位置について「前記復路移動を前記往路移動と異なる経路を通るようにして、前記ワーク上における偏光光の露光量の均一性を向上させる」ものであることが特定された。 したがって、訂正事項1-4は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 よって、訂正事項1-4は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に 規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 本件明細書の段落【0030】に、「第一の方向に加え第二の方向へのステージ5の移動を行うのは、前述した境界線40の直下の位置における照度低下に起因した露光量の不均一化の問題を回避するためである。上述したように、実施形態の装置において搬送系2はステージ5を第一の方向において往復動させる。この際、ステージ5が同じ経路を通って戻ってくるのではなく、少し横方向にシフトさせ、異なる経路を通って戻ってくるようにしている。」との記載があり、露光量の不均一化の問題を回避するために、ステージが、往路移動と復路移動とで異なる経路を通ることが記載されている。このステージは、ワーク(基板)が載置されたものである。 また、本件明細書の段落【0031】に、「一方、異なる経路を通って基板Sが戻ってくると、往路で照度低下の箇所を通過した基板S上の箇所は、復路では照度低下の箇所ではない箇所を通過して戻ってくるから、全体として露光量は均一になる。」と記載され、往路移動において照度低下の箇所となった箇所が、復路移動において照度低下の箇所ではない箇所を通り、露光量が均一になるように往路移動と復路移動とで異なる経路を通ることについて開示されている。 以上のことから、本件明細書において、ワーク保持体が往路移動と復路移動とで異なる経路を通り、ワークに対する偏光光の露光量の均一性を向上させることが記載されているといえる。 したがって、訂正事項1-4に係る「前記復路移動と往路移動と異なる経路を通るようにして前記ワーク上における偏光光の露光量の均一性を向上させる」との事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項である。 よって、訂正事項1-4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 拡張・変更の存否について 上記アから明らかなとおり、訂正事項1-4は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1-4は、特許法第126条6項の規定に適合する。 (6)上記(2)ないし(5)のまとめ 上記(1)ないし(5)のとおりであるから、訂正事項1-1ないし訂正事項1-4からなる訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第5項及び第6項の規定に適合する。 (7)独立特許要件について 訂正事項1による訂正後の請求項1及び請求項2に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか検討するに、訂正後の請求項1及び請求項2に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 2.訂正事項2について (1)訂正の目的について 訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、本件明細書の段落【0011】を訂正するものである。 したがって、当該訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項の有無、拡張・変更の存否について 訂正事項2は、本件明細書の段落【0011】において「本願の請求項1記載の発明」についての記載を、訂正事項1による訂正後の請求項1の記載に変更するものである。 したがって、訂正事項2は、訂正事項1と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-390127

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