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特許訂正審判

2017-390115

基板の搬出入方法とロボット

審判番号
2017-390115
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2006-210451
登録番号
特許第4470922号(P4470922)
請求日
2017年10月23日
審決日
2017年12月11日
公報発行日
2018年03月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】AIメカテック 株式会社
  • 【請求人代理人】牧野 知彦
  • 【請求人代理人】中村 守
審判長/審判官
  • 審判長 森 竜介
  • 審判官 星野 浩一
  • 審判官 居島 一仁
分類
P141 .161-Y (G02F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項特許法126条5項特許法126条7項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第29条の2、特許法第126条第7号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第4470922号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第4470922号の特許請求の範囲を本件訂正審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第4470922号は、平成14年7月1日に出願した特願2002-191579号(以下「原出願」という。)の一部を平成18年8月2日に新たな特許出願としたものであり、以後の主な手続は以下のとおりである。 平成21年 9月30日:拒絶理由通知(10月6日発送) 同年12月 1日:手続補正書・意見書 平成22年 2月 3日:特許査定(2月9日送達) 同年 3月12日:設定登録 同年 6月 2日:特許掲載公報発行 平成29年10月23日:本件訂正審判の請求 第2 訂正の要旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件訂正審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 1 訂正の内容(当審注:訂正箇所に下線を付した。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において、「チャンバ内に上下に2枚の基板を対向して間隔を開けて保持するための上テーブルと下テーブルとを設け、この上テーブルを移動してテーブル間隔を縮めることで基板を貼り合せる基板組み立て装置にロボットによって基板を搬出入する基板搬出入方法において、」とあるのを、 「チャンバ内に上下に2枚の基板を対向して間隔を開けて保持するための上テーブルと下テーブルとを設け、この上テーブルを移動してテーブル間隔を縮めることで基板を貼り合せる基板組み立て装置にロボットによって基板を搬出入する基板搬出入方法において、 前記上テーブルには、当該上テーブルによる基板の保持機構として粘着材により基板を物理的に保持する保持機構を備えており、」と訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1において、「前記第3の工程に続いて、前記ロボットが前記他方のアームに保持された前記基板を前記チャンバ内に搬入して前記下テーブルに受け渡す第4の工程とを 有することを特徴とする基板搬出入方法。」とあるのを、 「前記第3の工程に続いて、前記ロボットが前記他方のアームに保持された前記基板を前記チャンバ内に搬入して前記下テーブルに受け渡す第4の工程とを有しており、前記第2の工程中に前記上テーブルに受け渡された基板は、前記保持機構により物理的に保持されることを特徴とする基板搬出入方法。」に訂正する。 2 訂正の目的・新規事項の有無等について (1)訂正事項1 訂正事項1は、訂正前の「上テーブル」を、「粘着材により基板を物理的に保持する保持機構」を備えたものに限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 また、本件特許明細書の【0029】に「減圧状態での上側テーブル2による上側基板の保持機構は、静電チャックにより電気的に保持する機構、あるいは粘着材により物理的に保持する機構のいずれでも良い。」と記載されているから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内においてなされるものであることは明らかであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、訂正事項1に伴い、「上テーブル」は、「粘着材により基板を物理的に保持する保持機構」を備えたものに限定され、該「上テーブル」が第2工程において果たす機能(粘着材により基板を物理的に保持する)を明確に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 また、本件特許明細書の【0029】に「減圧状態での上側テーブル2による上側基板の保持機構は、静電チャックにより電気的に保持する機構、あるいは粘着材により物理的に保持する機構のいずれでも良い。」と記載され、【0033】に「上基板が挿入されると制御装置の指令により上側テーブル2を下降し、負圧による吸引吸着により上側テーブル2の下に反転した上側基板を吸着保持する。」と記載されているから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内においてなされるものであることは明らかであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 3 独立特許要件について 訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、同条第7項の規定に基づき、訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて、以下に検討する。 (1)訂正後の発明 訂正後の請求項1に係る発明は、以下のとおりのものである(以下「本件訂正発明1」という。)。 「チャンバ内に上下に2枚の基板を対向して間隔を開けて保持するための上テーブルと下テーブルとを設け、この上テーブルを移動してテーブル間隔を縮めることで基板を貼り合せる基板組み立て装置にロボットによって基板を搬出入する基板搬出入方法において、 前記上テーブルには、当該上テーブルによる基板の保持機構として粘着材により基板を物理的に保持する保持機構を備えており、 前記ロボットは基板を保持する2つのアームを有しており、 前記ロボットが、前記2枚の基板のうちの一方の基板を前記2つのアームのうちの一方のアームで保持すると同時に、他方の基板を他方のアームで保持した状態で前記基板組み立て装置に移動する第1の工程と、 前記第1の工程に続いて、前記ロボットが前記一方のアームに保持された前記基板を前記チャンバ内に搬入して前記上テーブルに受け渡す第2の工程と、 前記第2の工程に続いて、前記ロボットが前記チャンバ内の前記下テーブル上の貼り合わせが完了した基板を前記下テーブルの面から離間させて前記一方のアームに保持し、前記チャンバ内から搬出する第3の工程と、 前記第3の工程に続いて、前記ロボットが前記他方のアームに保持された前記基板を前記チャンバ内に搬入して前記下テーブルに受け渡す第4の工程とを有しており、前記第2の工程中に前記上テーブルに受け渡された基板は、前記保持機構により物理的に保持されることを特徴とする基板搬出入方法。」 (2)特許法第29条の2についての判断 ア 独立特許要件に関し、請求人は、原出願の出願日(平成14年7月1日)前の出願であって、本件特許出願の出願日後に公開された下記の三件の特許出願を提示している。 特願2002-181395号(特開2003-241202号公報) 特願2002-188279号(特開2003-233053号公報) 特願2002-188557号(特開2003-255297号公報) 上記特許出願は、何れも、「液晶表示素子用真空貼り合わせ装置」に関するものである。 イ 特願2002-181395号の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下「先願明細書1」という。)には、図とともに、次の事項が記載されている。 (ア)「【0059】以下、上述したような構成を有する本実施形態の液晶表示素子用貼り合わせ装置を用いた基板間の貼り合わせ過程をより概略的に説明する。 【0060】まず、図4のように、ローダ部300は各アーム310,320を制御して下部ステージにローディングされる第1基板510と、上部ステージにローディングされる第2基板520とをそれぞれ搭載する。この状態で真空チャンバ110の出入口111が開放すると、前記ローダ部は第2アーム320を制御し、シール剤が塗布された前記第2基板520を開放した出入口111を介して真空チャンバ110内の上側空間に設けられた上部ステージ121に搬入する。 【0061】この場合、上部ステージ121に連結された真空ポンプ123が動作することにより、前記上部ステージ121に形成された各真空ホール121bに真空力を伝達して、第2アーム320により搬入された第2基板520を吸着して前記上部ステージ121に固定する。 【0062】仮に、かかる過程において、下部ステージ122に貼り合わせ済みの基板が存在するときは、前記第2アーム320が前記第2基板を搬入した後に前記貼り合わせ基板をアンローディングすることが好ましい。 【0063】そして、前記過程が完了して第2アームが真空チャンバの外部に抜け出ると、ローダ部は第1アーム310を制御して、前記液晶が滴下された第1基板510を前記真空チャンバ110内の下部ステージ122に搬入する。 【0064】その後、下部ステージ122に連結された真空ポンプ(図示せず)が動作することにより、第1アーム310により搬入された第1基板510を吸着して前記下部ステージ122に固定する。そして、前記ローダ部の第1アームは真空チャンバの外部に抜け出ることにより、各基板510、520のローディング過程が完了する。 【0065】前記した過程で一般にシール剤が塗布された第2基板520を液晶が滴下された第1基板510より先に搬入させる理由は、第1基板510を先に搬入した状態で第2基板520を搬入すると、前記第2基板520の搬入過程中に発生し得る塵埃などが前記既に搬入されていた第1基板510の液晶が滴下された領域に落ちることがあるので、このような問題を未然に防止するためである。 【0066】そして、前記した過程を通じて各基板510、520のローディングが完了すると、前記真空チャンバ110の出入口111に設けられた遮蔽ドア114(図6A参照)が動作しつつ前記出入口111を閉鎖することにより、前記真空チャンバ110の内部は密閉した状態になる。」 (イ)図4は、以下のものである。 上記記載からして、先願明細書1には、次の発明(以下「先願発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「液晶表示素子用貼り合わせ装置において、第1アーム310及び第2アーム320を有するローダ部300によって真空チャンバ110内に基板を搬出入する方法であって、 前記ローダ部300の第1アーム310に下部ステージ122にローディングされる第1基板510を、第2アーム320に上部ステージ121にローディングされる第2基板520とをそれぞれ搭載する工程と、 前記第2アーム320が第2基板520を真空チャンバ110内の上側空間に設けられた上部ステージ121に搬入する工程と、 上部ステージ121に連結された真空ポンプ123が動作することにより、前記上部ステージ121に形成された各真空ホール121bに真空力を伝達して、第2アーム320により搬入された第2基板520を吸着して前記上部ステージ121に固定する工程と、 下部ステージ122に貼り合わせ済みの基板が存在するときは、前記第2アーム320が前記第2基板を搬入した後に前記貼り合わせ基板をアンローディングする工程と、 前記第1アーム310が前記第1基板510を前記真空チャンバ110内の下部ステージ122に搬入する工程を、備えた、 基板を搬出入する方法。」 ウ 当審の判断 (ア)本件訂正発明1と先願発明1とを対比する。 a 先願発明1の「真空チャンバ110」は、本件訂正発明1の「チャンバ」に相当し、 以下、同様に、 「上部ステージ121」は、「上テープ」に、 「下部ステージ122」は、「下テーブル」に、 「第1アーム310及び第2アーム320」は、「2つのアーム」に、 「ローダ部300」は、「ロボット」に相当する。 b 先願発明1の「上部ステージ121」には、「第2基板520を吸着して上部ステージ121に固定する」ための「真空ポンプ123」が連結されていることから、該「上部ステージ121」は、基板を物理的に保持する保持機構を備えているといえる。 c また、先願発明1の「液晶表示素子用貼り合わせ装置」は、「上部ステージ121」の「第2基板520」と「下部ステージ122」の「第1基板510」を貼り合わせ、「貼り合わせ済みの基板」が「下部ステージ122」に位置することから、「基板を貼り合せる基板組み立て装置」であるといえる。 d してみると、本件訂正発明1と先願発明1とは、 「チャンバ内に上下に2枚の基板を対向して間隔を開けて保持するための上テーブルと下テーブルとを設け、この上テーブルを移動してテーブル間隔を縮めることで基板を貼り合せる基板組み立て装置にロボットによって基板を搬出入する基板搬出入方法において、 前記上テーブルには、当該上テーブルによる基板の保持機構として基板を物理的に保持する保持機構を備えており、 前記ロボットは基板を保持する2つのアームを有して」いる点で一致する。 e 先願発明1の「ローダ部300の第1アーム310に下部ステージ122にローディングされる第1基板510を、第2アーム320に上部ステージ121にローディングされる第2基板520とをそれぞれ搭載する工程」と「第2アーム320が第2基板520を真空チャンバ110内の上側空間に設けられた上部ステージ121に搬入する工程」との間に、ローダ部300が「真空チャンバ110」に向かって移動する工程があることは、当業者に明らかであるから、 先願発明1は、本件訂正発明1の「ロボットが、2枚の基板のうちの一方の基板を2つのアームのうちの一方のアームで保持すると同時に、他方の基板を他方のアームで保持した状態で基板組み立て装置に移動する第1の工程」を備えているといえる。 f 先願発明1の「第2アーム320が第2基板520を真空チャンバ110内の上側空間に設けられた上部ステージ121に搬入する工程」は、本件訂正発明1の「第1の工程に続いて、ロボットが一方のアームに保持された基板をチャンバ内に搬入して上テーブルに受け渡す第2の工程」に相当する。 g 先願発明1の「下部ステージ122に貼り合わせ済みの基板が存在するときは、第2アーム320が第2基板を搬入した後に貼り合わせ基板をアンローディングする工程」は、本件訂正発明1の「第2の工程に続いて、ロボットがチャンバ内の下テーブル上の貼り合わせが完了した基板を下テーブルの面から離間させて一方のアームに保持し、チャンバ内から搬出する第3の工程」に相当する。 h 先願発明1の「第1アーム310が第1基板510を真空チャンバ110内の下部ステージ122に搬入する工程」は、本件訂正発明1の「第3の工程に続いて、ロボットが他方のアームに保持された基板をチャンバ内に搬入して下テーブルに受け渡す第4の工程」に相当する。 i 先願発明1の「第2アーム320が第2基板520を真空チャンバ110内の上側空間に設けられた上部ステージ121に搬入する工程」により、搬入された第2基板520は、その工程中に保持機構により物理的に保持されているといえるから、 本件訂正発明1と先願発明1とは「第2の工程中に上テーブルに受け渡された基板は、保持機構により物理的に保持される」点で一致する。 j 以上のことから、本件訂正発明1と先願発明1とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「チャンバ内に上下に2枚の基板を対向して間隔を開けて保持するための上テーブルと下テーブルとを設け、この上テーブルを移動してテーブル間隔を縮めることで基板を貼り合せる基板組み立て装置にロボットによって基板を搬出入する基板搬出入方法において、 前記上テーブルには、当該上テーブルによる基板の保持機構として基板を物理的に保持する保持機構を備えており、 前記ロボットは基板を保持する2つのアームを有しており、 前記ロボットが、前記2枚の基板のうちの一方の基板を前記2つのアームのうちの一方のアームで保持すると同時に、他方の基板を他方のアームで保持した状態で前記基板組み立て装置に移動する第1の工程と、 前記第1の工程に続いて、前記ロボットが前記一方のアームに保持された前記基板を前記チャンバ内に搬入して前記上テーブルに受け渡す第2の工程と、 前記第2の工程に続いて、前記ロボットが前記チャンバ内の前記下テーブル上の貼り合わせが完了した基板を前記下テーブルの面から離間させて前記一方のアームに保持し、前記チャンバ内から搬出する第3の工程と、 前記第3の工程に続いて、前記ロボットが前記他方のアームに保持された前記基板を前記チャンバ内に搬入して前記下テーブルに受け渡す第4の工程とを有しており、前記第2の工程中に前記上テーブルに受け渡された基板は、前記保持機構により物理的に保持される、基板搬出入方法。」 k 一方、両者は、以下の点で相違する。 <相違点> 基板を物理的に保持する保持機構に関して、 本件訂正発明1は、「粘着材により基板を物理的に保持する」のに対して、 先願発明1は、真空力により基板を物理的に保持する点。 (イ)また、特願2002-188279号の願書に最初に添付された明細書又は図面、及び特願2002-188557号の願書に最初に添付された明細書又は図面にも、先願発明1と同様の「基板を搬出入する方法」が記載され、何れも、真空力により基板を物理的に保持するものであるものの、粘着材により基板を物理的に保持することは記載されていない。 そして、両者の「基板を物理的に保持する機構」は、構造的に全く異なるものであって、「粘着材により基板を物理的に保持する」ことが周知技術ないし慣用技術であるか否かにかかわらず、本件訂正発明1と先願発明1との相違点が、課題解決のための具体化手段における微差であるということはできない。 (ウ)まとめ 本件訂正発明1は、上記三件の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であるとはいえない。 (3)独立特許要件についてのまとめ 以上の検討によれば、本件訂正発明1について、特許出願の際独立して特許を受けられないとすべき理由を発見しない。 また、他に本件訂正発明1について、特許出願の際独立して特許を受けられないとすべき理由を発見しない。 よって、訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第7号の規定に適合する。 第3 むすび 以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項から第7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-390115

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