商標取消審判
2018-300918
ホップ、エッチオオピイ、エイチオオピイ
- 審判番号
- 2018-300918
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2001-046148
- 登録番号
- 4584026
- 請求日
- 2018年12月10日
- 審決日
- 2021年11月19日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 リクルートスタッフィング情報サービス
- 【請求人代理人】橘 哲男
- 【請求人代理人】佐藤 大輔
- 【被請求人】石出 和博
- 【被請求人代理人】小林 滿茂
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T132 .1 -Z (Z35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4584026号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第4584026号商標の指定役務中、第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,輸出入に関する事務の代理又は代行,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,広告用具の貸与」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4584026号商標(以下「本件商標」という。)は、「HOP」の文字を標準文字で表してなり、平成13年5月22日に登録出願、第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として、同14年7月5日に設定登録、その後、商標登録の一部取消し審判により、本件商標の指定役務中、第35類「職業のあっせん」について取り消すべき旨の審決がされ、令和元年7月11日に確定審決の登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年12月25日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年12月25日から同30年12月24日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、平成31年4月22日付け審判事件弁駁書及び令和3年6月24日付け上申書において、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,輸出入に関する事務の代理又は代行,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,広告用具の貸与」(以下「取消請求役務」という場合がある。)について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第4号証について
乙第4号証によれば、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)が代表を務める「ハウジングオペレーションアーキテクツ株式会社」(以下「ハウジングオペレーションアーキテクツ社」という。)、「HOPグループ株式会社」(以下「HOPグループ社」という。)及び「HOPファクトリー株式会社」(以下「HOPファクトリー社」という。)のいずれの法人においても第35類「経営の診断及び指導」(以下「本件役務」という。)を行っている事実を確認することはできない。
すなわち、乙第4号証中の「HOPグループ概要」部分では、ハウジングオペレーションアーキテクツ社は「建築設計・建築請負」、HOPグループ社は「知的財産監理」、「広報統括」、HOPファクトリー社は「造作家具・建具製作」を各々の業務としており、いずれの法人も本件役務の提供を業務とするものではない。
さらに、ハウジングオペレーションアーキテクツ社のウェブサイトの「会社概要」のページ(甲3)においては、「HOPグループのあゆみ」としてグループ各社の歴史を記しているものの、いずれも同グループの主要業務である建築・設計業に関する事実ばかりを記しており、本件商標権者及び本件商標権者が代表を務める各社が、本件役務の提供を行っている事実はうかがうことができない。
(2)乙第5号証について
乙第5号証によれば、2018年12月5日に行われた青森市産官学連携プラットホームが主催した「事業承継こそベンチャー創造のチャンス~新しいビジネスモデルの創造~」と題した経営セミナー(以下「本件経営セミナー」という。)に本件商標権者が登壇した事実は把握することができる。
しかしながら、本件経営セミナーのようなセミナーは、登壇者が不特定多数の聴衆に対して、一方的に講話するのが基本的な流れであり、これは第41類「セミナーの企画・運営又は開催」に該当するものである。これに対して、「経営の診断及び指導」とは、経営の診断及び指導を行う者が顧客との間で個別的、かつ、具体的な経営相談に応じるのであって、本件経営セミナーのように登壇者が一方的に講話し続ける事実をもって本件役務を行っているものとはいい難い。
乙第5号証は、第41類「セミナーの企画・運営又は開催」についての証拠とはなり得たとしても、本件役務とは根本的に全く異なる役務であって、本件役務の使用証拠とはなり得ない。
そもそも、乙第5号証は、その信用性に疑義が生ずるものといわざるを得ない。
甲第4号証は、請求人が、平成31年4月3日に、青森大学のウェブサイトからダウンロードした本件経営セミナーの告知用文書であるが、これは、一見すると乙第5号証と共通している。
しかし、甲第4号証と乙第5号証の差異を検討すると、乙第5号証の中央下部のハウジングオペレーションアーキテクツ社の代表取締役会長名の右横には本件商標である「HOP」の文字が比較的大きく表示されているが、甲第4号証の該当部分にはそれが見当たらない。
このように、甲第4号証と乙第5号証の間には比較的大きく表示されている「HOP」の文字部分の有無の差異が存在し整合性が欠如するものである。仮に、甲第4号証が正しいものであるなら、本件経営セミナーの告知用文書上には「HOP」の文字は存在しないこととなり、乙第5号証は、本件商標の使用証拠とはなり得ないことは明らかである。
以上より、乙第5号証に基づく被請求人の主張は、妥当性を欠くものである。
(3)乙第6号証について
被請求人によると、乙第6号証は、経営指導講演において本件商標権者が行った説明の内容を示す記録文書であるとのことであるが、本号証には、いつ行われた経営指導講演であるのか日時の記載がない。そのため、乙第6号証では、要証期間における使用の事実であることを確認することはできない。
また、経営指導講演のようなセミナーは、登壇者が不特定多数の聴衆に対して、一方的に講話するのが基本的な流れであり、これは「セミナーの企画・運営又は開催」に該当し、本件役務の提供を行っているものとはいえない。
(4)乙第7号証について
乙第7号証の作成主体は、本件経営セミナーを主催した青森大学の学長であることから、本件商標権者とは利害関係を有しない第三者とはいい難く、何ら客観的な事実を「証明」できる立場になく、乙第7号証は何らの事実の存在を「証明」するものではない。
そして、乙第7号証は本件経営セミナーが「セミナーの企画・運営又は開催」に該当することを示すことに他ならず、被請求人が乙第7号証を提出した趣旨は不明である。
(5)乙第8号証について
乙第8号証では、本件経営セミナーが「ベンチャーセミナー」である点を何度も指摘している上に、参加者が「一般や大学生ら約50名」であることが記載され、さらに、本件経営セミナーにおいて、本件商標権者と思われる人物が講演を行っている画像が複数枚に渡って掲載されているため、当該画像は一般的なセミナーの開催風景を表すといい得るものであり、本件経営セミナーが単なるセミナーの域を脱しないものであることの証左に他ならない。
その上、通常であれば学業を本分とする大学生を相手に「経営に関する診断及び指導」、いわゆる経営コンサルティングサービスを提供する機会などないことは明らかである。
(6)乙第9号証について
乙第9号証は、日時場所、進行表、テーマ、参加者等が記載される一般的なセミナーの開催案内である。
一般的な商取引の場において、経営コンサルティングサービスを提供する際に、このように日時場所、進行表、テーマ及び参加者が明らかにされることなど考えられない。その上、同サービスを提供する際に「司会」などは必要ない。
通常の経営コンサルティングサービスは、同サービスの提供主体が、同サービスを受ける者に対して、個別具体的な課題を設定しその解決スキームを併せて提供することが一般的である。なぜなら、多くの企業が有する課題や悩みは、それぞれ企業独自のものであり、個別具体的に課題設定、解決される必要があるからである。
このように、経営コンサルティングサービスは、事前に日時場所、進行表、テーマ及び参加者等を公にするものではない。「経営の診断及び指導」は個別具体的に行われるものであり、一般聴衆を対象とする「講演」とは別異のものである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求め、平成31年3月13日付け答弁書(以下「第1答弁」という。)、令和2年10月26日付け答弁書(以下「第2答弁」という。)及び令和3年3月17日付け審尋に対する同年5月12日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、答弁書において乙第1号証ないし乙第6号証を、回答書において乙7号証ないし乙第9号証を提出した。
1 第1答弁による主張(要旨)
(1)本件商標権者について
乙第1号証ないし乙第3号証は、ハウジングオペレーションアーキテクツ社、HOPグループ社及びHOPファクトリー社の履歴事項全部証明書であり、これらの法人において、本件商標権者はいずれも代表取締役となっている。
乙第4号証は、ハウジングオペレーションアーキテクツ社のウェブサイトの一部であり、ハウジングオペレーションアーキテクツ社、HOPグループ社及びHOPファクトリー社等が、注文戸建住宅の建築等を営む、HOPグループを形成していることを示すものである。
(2)要証期間に本件商標を使用した事実
ア 乙第5号証は、本件商標権者が、青森商工会議所において、事業継承型ベンチャーの経営に関する講演を行ったことを示すものである。この告知用文書では、本件商標「HOP」が比較的大きな書体で表記されており、いわゆる商標的使用態様の条件を満たしている。
この経営指導講演は、開催日時「2018年12月5日」、主催「青森市産官学連携プラットフォーム(青森市、青森商工会議所、青森大学、青森公立大学、青森中央学院大学、青森県立保健大学等)」、テーマ「事業継承こそベンチャー創造のチャンス~新しいビジネスモデルの創造~」として行われた。
この経営指導講演において、本件商標権者は、HOPグループが行ってきた多数の実例、例えば、森林所有者や林業組合を含む異業種組合の設立、新技術の開発、人工林の活用ルート、産直ネットワーク構築の重要性等、小さな企業が着実に市場を拡大させる経営の実践ノウハウ等を説明した。
当日は、本件商標権者による講演後、受講者に対してアンケートを行い、当該アンケートに基づいて企業経営について受講者との間でディスカッションを実施し、個別的に経営の指導、助言を行った。
イ 乙第6号証は、この経営指導講演において本件商標権者が行った説明の内容を示す記録文書である。この記録文書には、本件商標権者及びHOPグループの活動経緯及び売上推移等が具体的に示されているほか、企業経営の理念の持ち方、困難を打開する考え方等が、具体例とともに示されている。
(3)小括
以上より、本件商標権者は、要証期間に、本件商標を使用して、日本国内において本件役務の提供を行っている。
2 第2答弁による主張(要旨)
(1)乙第4号証について
乙第4号証は、本件商標権者が建築業務に従事していることを示すものである。
請求人は、乙第4号証から本件役務を確認できない旨主張するが、ウェブサイト上の企業紹介等は主力業務をメインとして掲載するものであり、企業活動が、時代の変化、社会的要請に柔軟迅速に対応するため、それらに限定されないことは社会通念として広く認識されている。
(2)乙第5号証について
ア 乙第5号証に「第3回ベンチャーセミナー」と明記されているように、本件商標権者が指導担当したのは、「セミナー」であり、「セミナー」は、指導者の下、少人数の生徒(受講者)が特定のテーマについて討論や研究を行うものであり、意見交換を行い、討論をしていく形で進行していくものである。
イ 本件経営セミナーの主催者は青森市産学官連携プラットフォームであり、本件商標権者が「セミナーの企画・運営又は開催」を行ったわけではない。
ウ 青森大学の告知文書に「HOP」の文字表記がないことをもって、紙にカラー印刷された告知パンフレット(乙5)の証拠価値を疑うのは、妥当性に欠ける。
ウェブサイト上の告知データと、一般配布用のカラーパンフレットとでは、担っている役割が違うからである。
告知に必要な基本情報は、セミナータイトルと概要、開催日時、開催場所及び指導担当者のプロフィールであるため、全体のレイアウトは必然的に共通性をもつものとなる。
しかしながら、ウェブサイトの告知データは、できるだけ早期に情報発信を行うことが主たる役割であり、イベント終了後は速やかに削除される性質がある。無用な問合せ等の煩雑を回避するためである。
一方、カラーパンフレットは、告知配布の側面もあるが、主催者等関係者の記録保存用の文書としての役割があり、また印刷コストもかかるため、記載内容やレイアウトの校正は、会議を開いて確認しあうなど、慎重に行うものである。
結果として、ウェブサイト上の告知データとパンフレットが異なることは、イベント企画や商品の販売促進企画等では珍しくないというのが実情であると考える。
また、本件商標権者が指導担当した本件経営セミナーの主催者は、青森市産学官連携プラットフォームであり、その構成員は、青森市、青森商工会議所、青森大学を含む8団体であって、その構成員の一である青森大学のウェブサイト上の告知文書(甲4)をもって、乙第5号証の証拠価値を否定することは妥当ではない。
(3)乙第6号証について
乙第6号証の表題には「新しいビジネスモデル」及び、「事業継承」の文字が明記されており、この2つの言葉は、乙第5号証として提出したパンフレットのメインテーマと一致するものである。
セミナーは、個別具体的な意見交換の内容は別として、テーマが同じであれば指導内容は、大幅な変更は行わないのが通常である。限られた時間の中で指導内容の品質を均一に保つ必要があるからである。
3 回答書による主張(要旨)
(1)乙第7号証について
乙第7号証は、本件経営セミナーの主催者の一である青森大学の学長の署名・押印を記した証明書である。
当該学長は、本件経営セミナーの主催責任者であり、大学事務局が作成を進めたパンフレットの確認にも携わっていた。
本件商標権者が行った講演及び講演後のディスカッションは、「経営の指導」に該当する役務である。
(2)乙第8号証について
乙第8号証は、青森大学のホームページにおいて公開されている、本件経営セミナーの記録レポートである。
掲載写真には、本件商標権者が複数枚にわたって写されており、当該セミナー参加者の様子も掲載されている。
また、このレポートには、一般や大学生ら約50名が参加したこと、本件商標権者の講話があったこと、参加者からは、リアルな経営者の視点の話を聞けて良かった旨の意見があったことが記録されている。
(3)乙第9号証について
乙第9号証は、本件経営セミナーの式次第を告知した案内文書である。
そして、本件経営セミナーでは、本件商標権者が、様々な企業経営ノウハウを含む事業経営について語る時間を約60分間もち、また、セミナー終了後、トークセッションはアンケートに基づいて進められた。
また、本件商標権者は、上記トークセッションを通して、「経営の指導」を行ったと考える。
エ 以上、本回答書によって提出した証拠方法(乙7~乙9)によって、本件商標権者が「経営の指導」を行ったことを明確にできたと考える。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人提出の証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙第5号証は、被請求人の主張によれば、青森大学事務局長により2018年10月頃作成された本件経営セミナーの告知用文書であり、その文書には、「第3回 ベンチャーセミナー IN PLATFORM of AOMORI」の見出しの下、「事業継承型ベンチャー」のタイトル及び「日時 2018年12月5日(水)/14:00~17:00(13:30~受付開始)」、「会場 青森商工会議所(7階会議室)・・・」、「事業継承こそ/ベンチャー創造のチャンス/~新しいビジネスモデルの創造~」、「ハウジングオペレーションアーキテクツ株式会社/代表取締役会長/石出 和博氏」、その右横に、「HOP」の欧文字及びその下に小さく「Housing Operaion Project Group」との記載がある。
(2)乙第7号証は、本件経営セミナーの主催者の一である青森大学の学長の署名・押印を記した証明書であり、ここには、「本件商標権者と証明者(青森大学学長)との関係」、「商標『HOP』を使用したベンチャーセミナー開催の経緯」、「本件商標権者を講師として迎えた経緯」、「セミナーの告知パンフレット」、「セミナーの内容」、「セミナー出席者への経営指導」の項目及びそれらに関する説明があり、また、「セミナー出席者への経営指導」の項目において「その講演終了時に受講者に対してアンケートを行い、企業経営についてディスカッションを行ったという事実がございます。」との記載がある。
(3)乙第8号証は、青森大学のホームページにおいて公開されている、本件経営セミナーの記録レポートの写しであり、本件経営セミナーの様子を撮った画像とともに、2018年12月5日「ベンチャーセミナー」が開催され、テーマが「事業継承ベンチャー」であることが記載されている。
2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
本件商標権者は、2018年12月5日に、青森大学が主催する青森商工会議所で行われた本件経営セミナーの講師として講演し(以下「使用役務」という。)、本件経営セミナーの告知文書には、「HOP」の文字及びその下に小さく「Housing Operaion Project Group」の文字が記載されている標章(以下「使用商標」という。)を付して使用した。
そして、その使用商標は、その構成中の「HOP」の文字部分が、太いゴシック体に属する書体で大きく顕著に表されており、他の文字部分に比して明らかに強く支配的な印象を与えるものといえるから、使用商標に接した取引者、需要者は、当該「HOP」の文字部分をその要部として認識するものというのが相当である。
そうすると、本件経営セミナーの告知文書(乙5)に記載された使用商標と本件商標「HOP」は、構成文字を同じくするものであるから、社会通念上同一の商標であると認められる。
そして、本件商標権者により使用商標が上記本件経営セミナーの告知文書に使用された時期は、要証期間であるから、本件商標権者は、要証期間に本件商標と社会通念上同一の商標を使用役務に使用したことが推認できる。
3 使用役務が取消請求役務の範ちゅうに含まれる役務であるか否かについて
被請求人は、「本件経営セミナーでは、本件商標権者が、様々な企業経営ノウハウを含む事業経営について語る時間を約60分間もち、また、セミナー終了後、トークセッションはアンケートに基づいて進められた。本件商標権者は、上記トークセッションを通して、『経営の指導』を行った。」と主張する。
しかしながら、本件経営セミナー後、トークセッションを行ったことは青森大学学長の「証明書」(乙7)から推認し得るものの、そのトークセッションがいかなる内容であったかを把握できる証拠はないことから、セミナーの参加者個々に対し、個別に経営に関する相談を受け、それに対する具体的な経営の課題や問題点を指摘しつつ、経営の改善を提案するといった、「経営の指導」といい得る役務を、本件商標権者が本件経営セミナー後に行ったことは確認することができない。
そうすると、本件商標権者が「経営の指導」に該当する役務を提供したことを、被請求人が証明したとはいえない。
なお、使用役務は、本件商標権者が、本件経営セミナーの講師として講演したことを内容とするものであり、これはセミナーの参加者に対し、新しいビジネスモデルの創造に関して、広く知識を教授したものと認められる。
したがって、使用役務は、「知識の教授」の範ちゅうに属する役務であり、取消請求役務の範ちゅうに属する役務とはいえない。
4 小括
上記2及び3のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、取消請求役務のいずれかについて、要証期間に本件商標権者が、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用をしたものと認めるに足る事実を見いだせない。
5 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、その請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていることを証明したものということができない。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中、「結論掲記の指定商品」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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