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特許拒絶査定不服審判

2018-016892

半導体電子レンジ及びその半導体マイクロ波源

審判番号
2018-016892
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-514758
請求日
2018年12月19日
審決日
2019年10月21日
公報発行日
2020年05月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】グァンドン ミデア キッチン アプライアンシズ マニュファクチュアリング カンパニー リミテッド
  • 【請求人代理人】名古屋国際特許業務法人
  • 【請求人】ミデア グループ カンパニー リミテッド
  • 【請求人代理人】名古屋国際特許業務法人
審判長/審判官
  • 審判長 紀本 孝
  • 審判官 大屋 静男
  • 審判官 松下 聡
分類
P18 .121-Z (H05B) / P18 .575-Z (H05B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-514758号「半導体電子レンジ及びその半導体マイクロ波源」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月3日国際公開、WO2015/180416、平成29年8月31日国内公表、特表2017-525121〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2014年(平成26年)11月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年(平成26年)5月28日、中国、2014年(平成26年)5月28日、中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。 平成30年 2月 5日付け:拒絶理由通知書 同年 5月10日  :意見書の提出 同年 8月 8日付け:拒絶査定 同年12月19日  :審判請求書、手続補正書の提出 第2 平成30年12月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年12月19日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、出願当初の)下記の(1)に示す請求項1を下記の(2)に示す請求項1に補正することを含むものである。(下線は、補正箇所を示す。) (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「キャビティーを有する本体と、 前記キャビティーと連通するマイクロ波入力装置と、 半導体マイクロ波源と、 第一マイクロ波信号が発生されるように信号源を制御する制御装置と、 を含み、 前記半導体マイクロ波源は、前記第一マイクロ波信号を発生するための前記信号源と、電力分配器と、N個の駆動増幅器と、を含み、 前記電力分配器は、第一入力端とN個の出力端を有し、前記電力分配器の第一入力端が前記信号源に接続され、前記電力分配器は、所定比率で前記第一マイクロ波信号の電力を分配して周波数が同一であるN個の第二マイクロ波信号を生成し、前記周波数が同一であるN個の第二マイクロ波信号が前記N個の出力端により対応して出力され、Nは2以上の整数であり、 前記N個の駆動増幅器は、前記N個の出力端に対応して接続され、各前記駆動増幅器は、対応する第二マイクロ波信号を駆動のために増幅し、N個の駆動のために増幅された第二マイクロ波信号を、それぞれ前記マイクロ波入力装置に入力し、前記マイクロ波入力装置を介して前記キャビティーに伝達する、 ことを特徴とする半導体電子レンジ。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「キャビティーを有する本体と、 前記キャビティーと連通するマイクロ波入力装置と、 半導体マイクロ波源と、 第一マイクロ波信号が発生されるように信号源を制御する制御装置と、 を含み、 前記半導体マイクロ波源は、前記第一マイクロ波信号を発生するための前記信号源と、電力分配器と、N個の駆動増幅器と、を含み、 前記電力分配器は、第一入力端とN個の出力端を有し、前記電力分配器の第一入力端が前記信号源に接続され、前記電力分配器は、所定比率で前記第一マイクロ波信号の電力を分配して周波数が同一であるN個の第二マイクロ波信号を生成し、前記周波数が同一であるN個の第二マイクロ波信号が前記N個の出力端により対応して出力され、Nは2以上の整数であり、 前記N個の駆動増幅器は、前記N個の出力端に対応して接続され、各前記駆動増幅器は、対応する第二マイクロ波信号を駆動のために増幅し、N個の駆動のために増幅された第二マイクロ波信号を、それぞれ前記マイクロ波入力装置に入力し、前記マイクロ波入力装置を介して前記キャビティーに伝達し、 前記駆動増幅器は、 前記第二マイクロ波信号を駆動のために増幅して第四マイクロ波信号を生成するための駆動モジュールと、 前記駆動モジュールに接続され、前記第四マイクロ波信号を二次増幅して前記駆動のために増幅された第二マイクロ波信号を生成するための増幅モジュールと、を更に含み、 前記第一マイクロ波信号は、前記第二マイクロ波信号より電力が大きく、 前記第四マイクロ波信号は、前記第二マイクロ波信号より電力が大きく、 前記駆動のために増幅された第二マイクロ波信号は、前記第四マイクロ波信号より電力が大きい、 ことを特徴とする半導体電子レンジ。」 2 本件補正の目的について 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「駆動増幅器」について「前記第二マイクロ波信号を駆動のために増幅して第四マイクロ波信号を生成するための駆動モジュールと、前記駆動モジュールに接続され、前記第四マイクロ波信号を二次増幅して前記駆動のために増幅された第二マイクロ波信号を生成するための増幅モジュールと、を更に含み、前記第一マイクロ波信号は、前記第二マイクロ波信号より電力が大きく、前記第四マイクロ波信号は、前記第二マイクロ波信号より電力が大きく、前記駆動のために増幅された第二マイクロ波信号は、前記第四マイクロ波信号より電力が大きい」という限定を付加するものを含むものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明とは産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。 そこで、本件補正によって補正された請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか(特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかどうか)について、以下、検討する。 3 独立特許要件の判断 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項、引用発明 ア 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である国際公開第2009/011111号(以下「引用文献1」という。)には、「マイクロ波加熱装置」に関して、図面とともに次の記載がある。(下線は理解の一助のために当審にて付したものである。) 「[0051] 図1に示すように、実施の形態1のマイクロ波加熱装置である電子レンジ1は、その前面に上下2つの窓を有する扉2が設けられており、被加熱物を収納する加熱室4が上側加熱室4aと下側加熱室4bの2つに分割されている。実施の形態1のマイクロ波加熱装置においては、その前面に設けられた操作表示パネル3において、使用者が上側加熱室4aおよび/または下側加熱室4bの加熱条件の設定を行い、その加熱条件および被加熱物の処理状態などが表示されるよう構成されている。 [0052] 図2に示すマイクロ波供給系の構成において、実施の形態1のマイクロ波加熱装置には、加熱室4へ供給するマイクロ波を形成するマイクロ波発生部5、および操作表示パネル3からの加熱条件などに基づきマイクロ波発生部5などを制御するマイクロコンピュータで構成された制御部6が設けられている。 [0053] マイクロ波発生部5は、半導体素子を用いて構成した発振部7と、この発振部7の出力を2段構成により4分配する3つの電力分配部8a,8b,8cと、2段目の電力分配部8b,8cから4分配された出力が各マイクロ波伝送路9a,9b,9c,9dを介して入力される半導体素子を用いて構成された初段増幅部11a,11b,11c,11dと、初段増幅部11a,11b,11c,11dのそれぞれの出力が入力されて、さらに増幅する半導体素子を用いて構成された主増幅部12a,12b,12c,12dと、主増幅部12a,12b,12c,12dの出力がマイクロ波伝送路13a,13b,13c,13dを介して入力される出力部15a,15b,15c,15dと、マイクロ波伝送路13a,13b,13c,13dに挿入され、加熱室4からの反射電力を検知する電力検知部14a,14b,14c,14dと、マイクロ波伝送路9a,9cに挿入された位相可変部10a,10bと、を具備して構成されている。図2において、初段増幅部11a,11b,11c,11dおよび主増幅部12a,12b,12c,12dで構成される増幅ブロックは、2段構成で示されているが、当該マイクロ波加熱装置の出力仕様に応じて一段から複数段に構成される。 [0054] 実施の形態1のマイクロ波加熱装置における加熱室4は、仕切り板25により上下に2分割されており、被加熱物を収納する略直方体構造を有する上側加熱室4aおよび下側加熱室4bから構成されている。また、マイクロ波加熱装置は、上側加熱室4aおよび下側加熱室4bに対して被加熱物の出し入れを行うために開閉する扉2が設けられており、加熱室内部に供給されたマイクロ波が漏洩しないよう構成されている。 [0055] 前述のように、マイクロ波発生部5から加熱室4へは4つのマイクロ波出力が伝送されており、マイクロ波発生部5から出力されたマイクロ波は加熱室内部に放射する4つの給電部21a,21b,21c,21dに伝送される。各給電部21a,21b,21c,21dは、加熱室4を構成するそれぞれの壁面に配設されている。上側加熱室4aにおける対向面である左壁面上部26aと右壁面上部27aには、給電部21bと給電部21aがそれぞれ対向して配置されている。 [0056] 一方、下側加熱室4bにおける対向面である左壁面下部26bと右壁面下部27bには給電部21cと給電部21dがそれぞれ対向して配置されている。 上記のように、一方の対となる給電部21aと給電部21bが設けられている上側加熱室4aと、他方の対となる給電部21cと給電部21dが設けられている下側加熱室4bとの間は、電磁波遮蔽機能を有する仕切り板25により区切られている。仕切り板25の材料としては、金属板で構成しても良いが、電磁波が透過しない材料で高い反射係数を有する材料であれば良く、例えばセラミック材で構成することも可能である。 [0057] 実施の形態1のマイクロ波加熱装置は、上記のように構成されているため、一つの筐体であるにもかかわらず加熱室4の内部が2つに区画されて、2つの加熱室4(4a,4b)を形成することができる。実施の形態1のマイクロ波加熱装置は、例えば、使用者による使用実態を想定すると、上側加熱室4aには被加熱物として主菜、下側加熱室4bには被加熱物として副菜を収納し、一度に加熱するという使い方にも対応できるという長所を有している。 [0058] 実施の形態1のマイクロ波加熱装置においては、上側加熱室4aの給電部21aと給電部21b、および下側加熱室4bの給電部21cと給電部21dが対向して配置され、上側加熱室4aおよび下側加熱室4bのそれぞれにおいて対向してマイクロ波を放射するよう構成されている。また、マイクロ波伝送路9a,9cには位相可変部10a,10bが設けられているため、対向して放射されるマイクロ波の位相を変えることが可能である。 [0059] 上記のように構成されているため、上側加熱室4aおよび下側加熱室4bのそれぞれにおいては、対向して配置された両側の給電部21aおよび21b、並びに給電部21cおよび21dから放射されるマイクロ波がお互いに衝突し、かつ両者のマイクロ波の位相を変化させることができるため、加熱室4の内部に所望の電磁波分布を形成することが可能である。 [0060] それぞれの給電部21a,21b,21c,21dは、加熱室4の壁面に形成された開口部24a,24b,24c,24dと、マイクロ波を開口部24a,24b,24c,24dへ導く導波部22a,22b,22c,22dと、マイクロ波発生部5からのマイクロ波を出力するアンテナとなる供給部23a,23b,23c,23dと、を具備して構成されている。各開口部24a,24b,24c,24dは、矩形形状である長方形形状に形成されており、その長手方向が全て水平方向となるよう配置されている。ここで水平方向とは、マイクロ波加熱装置における正面側と裏面側とを結ぶ奥行き方向である。 [0061] 実施の形態1のマイクロ波加熱装置においては、制御部6からの制御信号により位相可変部10a,10bが対向するマイクロ波の位相差を自在に変化させている。このように2つの位相可変部10a,10bにより、上側加熱室4aおよび下側加熱室4bにおいて対向して供給されるマイクロ波の位相を調整して、上側加熱室4aおよび下側加熱室4bのそれぞれの内部は所望の電磁波分布が形成される。実施の形態1における位相可変部10a,10bは、印加電圧に応じて静電容量が変化する静電容量可変素子を用いて構成されており、位相可変範囲が0度~180度の範囲である。 [0062] 制御部6は、使用者が操作表示パネル3(図1参照)において直接入力する被加熱物の加熱条件(図2の矢印X)および加熱動作中において検知された被加熱物の加熱状態を示す加熱情報(図2の矢印Y)などに基づいて、マイクロ波発生部5の発振部7に発振周波数調整信号を送出して、発振部7が発生するマイクロ波の発振周波数を変化させている。また、制御部6は、反射電力を検出する電力検知部14a,14b,14c,14dからの検知情報(図2の矢印Z)に基づいて、マイクロ波発生部5の構成要素である発振部7と増幅ブロックのそれぞれに供給する駆動電力の制御、および位相可変部10a,10bへの印加電圧を制御する。図2において、制御部6に入力される矢印Sで示す信号は加熱開始信号であり、使用者が操作表示パネル3において加熱開始操作を行うことにより制御部に入力される信号である。 [0063] このように制御部6は、入力された信号に基づき加熱室4における上側加熱室4aおよび下側加熱室4bのそれぞれの内部に収納された被加熱物を最適に加熱するようにマイクロ波発生部5を駆動制御する。制御部6による詳細な駆動制御に関しては後述する。 [0064] 以下、制御部6からの制御信号により位相可変部10a,10bが制御されることにより、加熱室4の内部が最適な加熱状態となることを説明する。 また、発振部7からのマイクロ波信号が各給電部21a,21b,21c,21dに略1/4の電力量でどのようにして配分されるかについて説明する。 [0065] マイクロ波発生部5におけるマイクロ波伝送部9a,9b,9c,9d,13a,13b,13c,13dにおいては、誘電体基板の片面に設けた導電体パターンによって特性インピーダンスが略50Ωの伝送回路が形成されている。2段構成の電力分配部8a,8b,8cは、それぞれが同一構造を有する3dBブランチラインカプラー構成である。したがって、以下の説明においては、1段目の電力分配器8aを代表としてその構成について説明する。 [0066] 電力分配部8aは、4端子を有しており、それぞれの端子を第1端子16、第2端子17、第3端子18および第4端子19とする。第1端子16と第2端子17の間、および第3端子18と第4端子19の間には特性インピーダンス50Ωでその電気長がλ/4(λは使用周波数帯の中央周波数の実効波長)からなるマイクロストリップ線路を配置している。また、第1端子16と第3端子18の間、および第2端子17と第4端子19の間には特性インピーダンスが略35.35Ωでその電気長がλ/4のマイクロストリップ線路を配置している。さらに、第3端子18には抵抗値が50Ωの電気終端部20が接続されている。 [0067] 上記のように構成された電力分配部8aにおいて、第1端子16に入力したマイクロ波信号は、第2端子17および第4端子19に2分配されて出力される。また、このとき第2端子17と第4端子19から出力されるマイクロ波信号は、第2端子17から出力されたマイクロ波信号の位相を基準にすると、第4端子19から出力されたマイクロ波信号は位相が90度遅れている。 [0068] 電力分配部8aの出力を次段の2つの電力分配部8b,8cに入力する2段構成とすることにより、発振部7の出力電力は、略1/4ずつ分配されて、後続の増幅ブロックにおける初段増幅部11a,11b,11c,11dに出力される。このように伝送された4つのマイクロ波伝送路9a,9b,9c,9dにおいて、マイクロ波伝送路9bを伝送するマイクロ波信号を基準にすると、マイクロ波伝送線路9aおよび9cを伝送するマイクロ波信号は、位相が90度遅れており、マイクロ波伝送路9dを伝送するマイクロ波信号は、位相が180度遅れている。なお、4分配された電力のばらつきには、位相可変部10a,10b、初段増幅部11a,11b,11c,11d、および主増幅部12a,12b,12c,12dの利得の許容差等も含まれるが、支配的なものではない。」 「 」(図2) イ 上記アの記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 a 引用文献1に記載された技術は、電子レンジ1に関するものである([0051])。 b 電子レンジ1は、被加熱物を収納する加熱室4を含む([0051])。 c 電子レンジ1は、加熱室4を構成するそれぞれの壁面に配設され、マイクロ波を加熱室内部に放射する4つの給電部21a,21b,21c,21dを含む([0055])。 d 電子レンジ1は、マイクロ波を形成するマイクロ波発生部5を含む([0052])。 e 電子レンジ1は、マイクロ波発生部5などを制御するマイクロコンピュータで構成された制御部6を含む([0052])。 f マイクロは発生部5は、半導体素子を用いて構成した発振部7と、この発振部7の出力を2段構成により4分配する3つの電力分配部8a,8b,8cと、4分配された出力が入力される4つの初段増幅部11a,11b,11c,11dと、初段増幅部11a,11b,11c,11dのそれぞれの出力が入力されてさらに増幅する4つの主増幅部12a,12b,12c,12dとを含む([0053])。 g 電力分配部8aにおいて、発振部7から第1端子16に入力されたマイクロ波信号は、第2端子17及び第4端子19に2分配されて出力され、電力分配部8aの出力を次段の2つの電力分配部8b,8cに入力する2段構成とすることにより、発振部7の出力電力は、略1/4ずつ分配されて出力される([0067]、[0068]及び図2)。 h 分配されて出力されたマイクロ波は、4つの初段増幅部11a,11b,11c,11d及び4つの主増幅部12a,12b,12c,12dにより増幅され、増幅されたマイクロ波は給電部21a,21b,21c,21dを介して加熱室4内部に放射される([0055]及び[0068])。 ウ 上記ア、イから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「被加熱物を収納する加熱室4と、 加熱室4を構成するそれぞれの壁面に配設され、マイクロ波を加熱室内部に放射する4つの給電部21a,21b,21c,21dと、 マイクロ波を形成するマイクロ波発生部5と、 マイクロ波発生部5などを制御するマイクロコンピュータで構成された制御部6とを含み、 マイクロ波発生部5は、半導体素子を用いて構成した発振部7と、この発振部7の出力を2段構成により4分配する3つの電力分配部8a,8b,8cと、4分配された出力が入力される4つの初段増幅部11a,11b,11c,11dと、初段増幅部11a,11b,11c,11dのそれぞれの出力が入力されてさらに増幅する4つの主増幅部12a,12b,12c,12dとを含み、 電力分配部8aにおいて、発振部7から第1端子16に入力されたマイクロ波信号は、第2端子17及び第4端子19に2分配されて出力され、電力分配部8aの出力を次段の2つの電力分配部8b,8cに入力する2段構成とすることにより、発振部7の出力電力は、略1/4ずつ分配されて出力され、 分配されて出力されたマイクロ波は、4つの初段増幅部11a,11b,11c,11d及び4つの主増幅部12a,12b,12c,12dにより増幅され、増幅されたマイクロ波は給電部21a,21b,21c,21dを介して加熱室4内部に放射される、 電子レンジ。」 (3)本件補正発明と引用発明との対比・判断 本件補正発明と引用発明とを対比すると次のとおりとなる。 ア 引用発明における「加熱室4」は、「被加熱物を収納する」ものであり、被加熱物を収納するためのキャビティー(空間)を有することは明らかであるから、本件補正発明における「キャビティーを有する」、「本体」に相当する。 イ 引用発明における「給電部21a,21b,21c,21」は、「加熱室4を構成するそれぞれの壁面に配設され、マイクロ波を加熱室内部に放射する」ものであり、加熱室4のキャビティーと連通するものであることは明らかであるから、本件補正発明における「前記キャビティーと連通する」、「マイクロ波入力装置」に相当する。 ウ 引用発明における「マイクロ波を形成するマイクロ波発生部5」は、「半導体素子を用いて構成した発振部7」を含むものであるから、本件補正発明における「半導体マイクロ波源」に相当する。 エ 引用発明における「制御部6」は、「マイクロ波発生部5などを制御するマイクロコンピュータで構成される」ものであるから、本件補正発明における「第一マイクロ波信号が発生されるように信号源を制御する」、「制御装置」に相当する。 オ 引用発明における「半導体素子を用いて構成した発振部7」は、マイクロ波を形成するものであるから、本件補正発明における「第一マイクロ波信号を発生するための」、「信号源」に相当する。 カ 引用発明における3つの「電力分配部8a,8b,8c」を併せたものは、本件補正発明における「電力分配器」に相当する。 キ 引用発明における「初段増幅部11a,11b,11c,11d」と「主増幅部12a,12b,12c,12d」とを併せた部分は、本件補正発明における「駆動増幅器」に相当する。 ク 引用発明の「電力分配部8a」における「第1端子16」はマイクロ波信号が入力されるものであるから、本件補正発明における「第一入力端」に相当する。また、引用発明において、「電力分配部8aの出力を次段の2つの電力分配部8b,8cに入力する2段構成とすることにより、発振部7の出力電力は、略1/4ずつ分配されて出力され」るのであるから、引用発明における「電力分配部8b、8c」が合計で4個の出力端を有するものであることは明らかである。そうすると、引用発明における「電力分配部8aにおいて、発振部7から第1端子16に入力されたマイクロ波信号は、第2端子17及び第4端子19に2分配されて出力され、電力分配部8aの出力を次段の2つの電力分配部8b,8cに入力する2段構成とすることにより、発振部7の出力電力は、略1/4ずつ分配されて出力され」る態様は、本件補正発明における「前記電力分配器は、第一入力端とN個の出力端を有し、前記電力分配器の第一入力端が前記信号源に接続され、前記電力分配器は、所定比率で前記第一マイクロ波信号の電力を分配して周波数が同一であるN個の第二マイクロ波信号を生成し、前記周波数が同一であるN個の第二マイクロ波信号が前記N個の出力端により対応して出力され、Nは2以上の整数であ」る態様と、「前記電力分配器は、第一入力端とN個の出力端を有し、前記電力分配器の第一入力端が前記信号源に接続され、前記電力分配器は、所定比率で前記第一マイクロ波信号の電力を分配してN個の第二マイクロ波信号を生成し、前記N個の第二マイクロ波信号が前記N個の出力端により対応して出力され、Nは2以上の整数であ」るという限りにおいて一致する。 ケ 上記キに記載したとおり、引用発明における「初段増幅部11a,11b,11c,11d」と「主増幅部12a,12b,12c,12d」とを併せた部分は、本件補正発明における「駆動増幅器」に相当し、また、4つの「初段増幅部11a,11b,11c,11d」及び「主増幅部12a,12b,12c,12d」が「電力分配部8b、8c」の4つの出力端に対応するものであることは明らかであるから、引用発明における「分配されて出力されたマイクロ波は、4つの初段増幅部11a,11b,11c,11d及び4つの主増幅部12a,12b,12c,12dにより増幅され、増幅されたマイクロ波は給電部21a,21b,21c,21dを介して加熱室4内部に放射される」態様は、本件補正発明における「前記N個の駆動増幅器は、前記N個の出力端に対応して接続され、各前記駆動増幅器は、対応する第二マイクロ波信号を駆動のために増幅し、N個の駆動のために増幅された第二マイクロ波信号を、それぞれ前記マイクロ波入力装置に入力し、前記マイクロ波入力装置を介して前記キャビティーに伝達」する態様に相当する。 コ 引用発明における「初段増幅部11a,11b,11c,11d」は、「電力分配部8a,8b,8c」において分配されたマイクロ波信号が入力されるものであるから、本件補正発明における「前記第二マイクロ波信号を駆動のために増幅して第四マイクロ波信号を生成するための」、「駆動モジュール」に相当する。また、引用発明における「主増幅部12a,12b,12c,12d」は「初段増幅部11a,11b,11c,11dのそれぞれの出力が入力されてさらに増幅する」ものであるから、本件補正発明における「前記駆動モジュールに接続され、前記第四マイクロ波信号を二次増幅して前記駆動のために増幅された第二マイクロ波信号を生成するための」、「増幅モジュール」に相当する。 サ 引用発明において、「電力分配部8a,8b,8c」を通過する前のマイクロ波信号(本件補正発明の「第一マイクロ波信号」に相当。)が「電力分配部8a,8b,8c」を通過した後のマイクロ波信号(本件補正発明の「第二マイクロ波信号」に相当。)より電力が大きいこと、「初段増幅部11a,11b,11c,11d」を通過した後のマイクロ波信号(本件補正発明の「第四マイクロ波信号」に相当。)が「初段増幅部11a,11b,11c,11d」を通過する前のマイクロ波信号(本件補正発明の「第二マイクロ波信号」に相当。)より電力が大きいこと、及び、「主増幅部12a,12b,12c,12d」を通過した後のマイクロ波信号(本件補正発明の「前記駆動のための増幅された第二マイクロ波信号」に相当。)が「主増幅部12a,12b,12c,12d」を通過する前のマイクロ波信号(本件補正発明の「第四マイクロ波信号」に相当。)より電力が大きいことは、いずれも技術的に明らかなことである。 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 「キャビティーを有する本体と、 前記キャビティーと連通するマイクロ波入力装置と、 半導体マイクロ波源と、 第一マイクロ波信号が発生されるように信号源を制御する制御装置と、 を含み、 前記半導体マイクロ波源は、前記第一マイクロ波信号を発生するための前記信号源と、電力分配器と、N個の駆動増幅器と、を含み、 前記電力分配器は、第一入力端とN個の出力端を有し、前記電力分配器の第一入力端が前記信号源に接続され、前記電力分配器は、所定比率で前記第一マイクロ波信号の電力を分配してN個の第二マイクロ波信号を生成し、前記N個の第二マイクロ波信号が前記N個の出力端により対応して出力され、Nは2以上の整数であり、 前記N個の駆動増幅器は、前記N個の出力端に対応して接続され、各前記駆動増幅器は、対応する第二マイクロ波信号を駆動のために増幅し、N個の駆動のために増幅された第二マイクロ波信号を、それぞれ前記マイクロ波入力装置に入力し、前記マイクロ波入力装置を介して前記キャビティーに伝達し、 前記駆動増幅器は、 前記第二マイクロ波信号を駆動のために増幅して第四マイクロ波信号を生成するための駆動モジュールと、 前記駆動モジュールに接続され、前記第四マイクロ波信号を二次増幅して前記駆動のために増幅された第二マイクロ波信号を生成するための増幅モジュールと、を更に含み、 前記第一マイクロ波信号は、前記第二マイクロ波信号より電力が大きく、 前記第四マイクロ波信号は、前記第二マイクロ波信号より電力が大きく、 前記駆動のために増幅された第二マイクロ波信号は、前記第四マイクロ波信号より電力が大きい、 ことを特徴とする半導体電子レンジ。」 [相違点] 電力分配器で生成されたN個の第二マイクロ波信号に関して、本件補正発明においては、「周波数が同一である」のに対して、引用発明においては、周波数が同一であるか不明である点。 上記相違点について検討する。 引用文献1には、「電力分配器8a,8b,8c」により4分配された後のマイクロ波信号の周波数についての直接的な記載はないが、分配後の各マイクロ波信号の周波数を変更する手段を設けるとの記載はなく、また、引用発明において、分配後の各マイクロ波信号の周波数を互いに異ならせる必要性も見当たらないから、分配後の各マイクロ波信号の周波数を同一とし、上記相違点に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が適宜なし得た程度のことである。 したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)まとめ したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 むすび 以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、次のとおりである。 本願請求項1-3、6-8、10、13-15に係る発明は、以下の引用例1に記載された発明に基いて、本願請求項1、2、4、6-8、10、11、13-15に係る発明は、以下の引用例2に記載された発明に基いて、本願請求項5、12に係る発明は、以下の引用例1、2に記載された発明に基いて、また、本願請求項9、16に係る発明は、以下の引用例1ないし7に記載された発明に基いて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用例一覧> 1.特開2008-66292号公報 2.国際公開第2009/011111号(引用文献1) 3.国際公開第2011/033740号 4.特開昭56-132793号公報 5.国際公開第2009/050893号 6.国際公開第2011/004561号 7.特開昭55-150589号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]3(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、第2[理由]3において検討した本件補正発明から、「駆動増幅器」に対しての「前記第二マイクロ波信号を駆動のために増幅して第四マイクロ波信号を生成するための駆動モジュールと、前記駆動モジュールに接続され、前記第四マイクロ波信号を二次増幅して前記駆動のために増幅された第二マイクロ波信号を生成するための増幅モジュールと、を更に含み、前記第一マイクロ波信号は、前記第二マイクロ波信号より電力が大きく、前記第四マイクロ波信号は、前記第二マイクロ波信号より電力が大きく、前記駆動のために増幅された第二マイクロ波信号は、前記第四マイクロ波信号より電力が大きい」であるという限定を削除したものに相当する。 そうすると、本願発明の発明特定事項に対応する発明特定事項を全て含む本件補正発明が、上記第2[理由]3(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4 むすび 前記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-016892

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