特許拒絶査定不服審判
2018-016396
粘着剤組成物、粘着剤層、粘着型光学フィルム、粘着型偏光板、および画像表示装置
- 審判番号
- 2018-016396
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-171935外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年12月07日
- 審決日
- 2019年09月24日
- 公報発行日
- 2019年11月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三星エスディアイ株式会社
- 【請求人代理人】八田国際特許業務法人
- 分類
- P18 .121-WY (C09J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-171935「粘着剤組成物、粘着剤層、粘着型光学フィルム、粘着型偏光板、および画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月 4日出願公開、特開2016- 44291、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年8月26日の出願であって、平成30年4月5日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月10日付けで意見書及び補正書が提出され、同年7月31日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年12月7日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は、請求項1~10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明10」という。)は、以下の引用文献1、2に記載された発明、及び、引用文献1、2、5~8に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
<引用文献>
1.特開2011-190302号公報
2.特開2012-012537号公報
5.特開2009-098623号公報
6.特開2012-037895号公報
7.特開2014-152312号公報
8.特開2014-152303号公報
(本願発明1~10と引用された引用文献との関係は、次のとおりである。
本願発明1~7:引用文献1、2それぞれが主引用文献
本願発明8:引用文献1、2それぞれが主引用文献、引用文献5、6が周知技術を示す文献
本願発明9:引用文献1、2それぞれが主引用文献、引用文献7が周知技術を示す文献
本願発明10:引用文献1、2それぞれが主引用文献、引用文献8が周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願発明1~10は、平成30年7月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される発明であり、請求項1~10には、次のように記載されている。
「【請求項1】
粘着剤樹脂(A) 100重量部と、
エポキシ当量が100~2000g/molでかつアルコキシル基含有量が5~60重量%であるシリコーンアルコキシオリゴマー(B) 0.5~20重量部と、
前記粘着剤樹脂(A)が、カルボキシル基を含有しないモノマーを重合して得られるアクリル系粘着剤樹脂(A1)、ウレタン系粘着剤樹脂(A2)、およびポリエステル系粘着剤樹脂(A3)からなる群より選択される1つ以上であり、
架橋剤(C)を、前記粘着剤樹脂(A)100重量部に対して、0.01~20重量部含有する、
前記架橋剤(C)が、イソシアネート系化合物および過酸化物から選ばれる少なくとも1つである、粘着剤組成物。
【請求項2】
前記シリコーンアルコキシオリゴマー(B)の数平均分子量が、300~10000である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記粘着剤樹脂(A)が、ヒドロキシル基を含有する、請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記粘着剤樹脂(A)100重量部に対して、さらに、シランカップリング剤(D)を0.001~5重量部含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記粘着剤樹脂(A)の重量平均分子量が、2万~250万である、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物により形成されてなる、粘着剤層。
【請求項7】
光学フィルムの少なくとも片側に、請求項6に記載の粘着剤層が形成されてなる、光学部材。
【請求項8】
前記光学フィルムと前記粘着剤層との間に、易接着層を有する、請求項7に記載の光学部材。
【請求項9】
前記光学フィルムが偏光板であり、
前記偏光板の厚みが100μm以下である、請求項7または8に記載の光学部材。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の光学部材を、少なくとも1つ用いた、画像表示装置。」
第4 引用文献1、2の記載
1 引用文献1
引用文献1には、「粘着剤組成物、粘着剤および粘着シート」(発明の名称)について、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、粘着剤および粘着シートに関する。特に、シーズニング処理を省略した場合であっても、初期粘着力が制御され、リワーク性に優れるとともに、所定環境下における耐久性にも優れた粘着剤層を構成するための粘着剤組成物、粘着剤およびそのような粘着剤を用いた粘着シートに関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の粘着剤組成物は、熱架橋剤も含んでいることから、それを完結させるための長時間(7日程度)にわたるシーズニング処理が必要であった。
一方、該粘着剤組成物から単に熱架橋剤成分を除いた場合、凝集力不足に起因して粘着力が増大し、リワーク性が悪化したり、被着体に糊残りが生じる場合があるという問題が見られた。
【0008】
また、特許文献2の粘着剤組成物や特許文献3に開示された粘着剤組成物は、ポリマー型シランカップリング剤と反応させたり、凝集力を向上させるべく、熱架橋剤を配合したりしており、特許文献1と同様に、長時間にわたるシーズニング処理が必要であった。
また、それぞれ光硬化反応を利用しておらず、ポリマー型シランカップリング剤と、熱架橋剤との組み合わせを用いていることから、シーズニング処理を施した後であっても、初期粘着力が高くなりやすく、十分なリワーク性を得ることが困難になるという問題も見られた。
より具体的には、特許文献2の実施例に開示されているように、たとえ、7日間のシーズニング処理を施した場合であっても、初期粘着力(初期接着強度)の値が1500~1900g/25mmと高すぎるという問題が見られた。
【0009】
そこで、本発明者等は、以上のような事情に鑑み、鋭意努力したところ、(B)成分である光硬化性成分を含む粘着剤組成物中に、(C)成分であるシランカップリング剤の加水分解縮合物(オリゴマー型シランカップリング剤と称する場合もある。)を所定量配合することによって、シーズニング処理を省略しても、初期粘着力が所定範囲に制御され、光学フィルム等に適用した場合に、リワーク性に優れるとともに、耐久性試験においても良好な結果が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、シーズニング処理を省略した場合であっても、初期粘着力が制御され、リワーク性や耐久性等に優れた粘着剤層を得るための粘着剤組成物、粘着剤およびそのような粘着剤を用いた粘着シートを提供することにある。」
「【0018】
また、本発明のさらに別の態様は、基材上に、上述した粘着剤を含む粘着剤層を備えてなる粘着シートである。
すなわち、このように構成することにより、シーズニング処理を省略した場合であっても、リワーク性に優れるとともに、所定環境下においても耐久性にも優れた粘着シートを得ることができる。」
「【0044】
3.(C)成分としてのシランカップリング剤の加水分解縮合物
(1)種類
また、本発明の粘着剤組成物に、(C)成分として、シランカップリング剤の加水分解縮合物(オリゴマー型シランカップリング剤)を含有させることを特徴とする。
すなわち、かかるシランカップリング剤の加水分解縮合物は、粘着剤組成物中に配合されることによって、例えば、液晶セル等のガラスからなる対象物と、偏光フィルム等の光学フィルム基材と、の密着性を効果的に向上させることに寄与する。
また、このような(C)成分であるオリゴマー型シランカップリング剤であれば、(B)成分である光硬化性成分等との組み合わせによって、図1に示す特性曲線Aに示されるように、初期粘着力を所定範囲内の値に制御し、かつ、図2に示す特性曲線Aに示されるように、塗工経時による粘着特性の変化が少なくなって、結果として、優れたリワーク性や耐久性を得ることができる。」
「【0047】
(2)含有量
また、(C)成分であるシランカップリング剤の加水分解縮合物の含有量を、(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.001~10重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるシランカップリング剤の加水分解縮合物の含有量が、0.001重量部未満の値になると、偏光板等と、液晶セル等と、の密着性を向上させる効果を十分に発揮させることが困難となる場合があるためである。一方、かかるシランカップリング剤の加水分解縮合物の含有量が、10重量部を超えた値になると、粘着性および耐久性が低下する場合があるためである。
したがって、シランカップリング剤の加水分解縮合物の含有量を、(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01~5重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05~0.5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0048】
次いで、(C)成分であるシランカップリング剤の加水分解縮合物の含有量に関して、図1を参照して、粘着剤組成物から形成された粘着剤層(光硬化後)のガラス表面への貼付1日後の初期粘着力に対する影響を説明する。
図1の横軸には、(A)成分100重量部に対するシランカップリング剤の含有量(重量部)を採って示してあり、縦軸に、実施例6等に準拠した配合組成の粘着剤(光硬化後)の初期粘着力(N/25mm)を採って示してある。
そして、特性曲線Aは、オリゴマー型シランカップリング剤を配合した粘着剤組成物から形成された粘着剤層の初期粘着力を示すラインであり、特性曲線Bは、モノマー型シランカップリング剤を配合した粘着剤組成物から形成された粘着剤層の初期粘着力を示すラインである。
【0049】
かかる特性曲線Aが示すように、オリゴマー型シランカップリング剤の含有量が多いほど、粘着剤層の初期粘着力が低下し、所定範囲内の値(例えば、0.05~5.0N/25mm)に制御されていることが理解される。
それに対し、特性曲線Bが示すように、モノマー型シランカップリング剤を配合した場合、含有量にかかわらず、粘着剤層の初期粘着力が高い値(例えば、20N/25mm前後)となっていることが理解される。
したがって、粘着剤層の初期粘着力を所定範囲内の値に制御し、優れたリワーク性を発揮するためには、オリゴマー型シランカップリング剤を所定量配合することが有効であることが理解される。
【0050】
一方、特性曲線A´は、オリゴマー型シランカップリング剤を配合した粘着剤組成物から形成された粘着剤層における硝子表面への貼付後14日経過した後の粘着力(14日経過後粘着力)を示すラインであり、特性曲線B´は、モノマー型シランカップリング剤を配合した粘着剤組成物における貼付後14日経過した後の粘着力(14日経過後粘着力)を示すラインである。
そして、かかる特性曲線A´が示すように、オリゴマー型シランカップリング剤の含有量が多いほど、粘着剤組成物(光硬化後)における14日経過後粘着力も低下し、所定範囲内の値(例えば、0.05~5.0N/25mm)に制御されており、初期粘着力の傾向とほとんど変化しないことが理解される。
それに対して、特性曲線B´が示すように、モノマー型シランカップリング剤を配合した場合、含有量の増加にともなって、粘着剤組成物(光硬化後)の14日経過後粘着力も増加してしまい、高い値(例えば、20~45N/25mm)となっていることが理解される。
したがって、粘着剤組成物(光硬化後)の14日経過後粘着力についても、所定範囲内の値に制御するためには、オリゴマー型シランカップリング剤を所定量配合することが有効であることが理解される。
【0051】
(3)塗工経時時間との関係
次いで、図2を参照して、粘着剤組成物から形成された粘着剤層(光硬化後)における塗工経時時間と、粘着剤組成物から形成された粘着剤層のガラス表面への貼付1日後の初期粘着力との関係を説明する。すなわち、粘着剤組成物を光硬化させて、粘着剤を構成した、実際に、被着体に対して使用するまでの時間である塗工経時時間の相違によって、粘着力(初期粘着力)が変化することが知られている。
そこで、本願発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層の場合、塗工経時時間の相違によって、初期粘着力の値がどのように変化するかが問題となるが、図2の横軸には、粘着剤組成物から形成された粘着剤層(光硬化後)における塗工経時時間(日)を採って示してあり、縦軸に、かかる粘着剤組成物から形成された粘着剤層の初期粘着力(N/25mm)を示してある。
そして、特性曲線Aは、オリゴマー型シランカップリング剤および光硬化性成分を含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層(実施例6相当)の初期粘着力を示すラインであり、特性曲線Bは、モノマー型シランカップリング剤および光硬化性成分を含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層(比較例2相当)の初期粘着力を示すラインであり、特性曲線Cは、オリゴマー型シランカップリング剤およびモノマー型シランカップリング剤、並びに、光硬化性成分を含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層(実施例2相当)の初期粘着力を示すラインである。
【0052】
かかる特性曲線Aが示すように、オリゴマー型シランカップリング剤および光硬化性成分を含む粘着剤層の場合、塗工経時時間によらず、初期粘着力の値が安定化し、所定範囲内の値(例えば、0.05~5.0N/25mm)に制御されていることが理解される。
それに対して、特性曲線Bが示すように、モノマー型シランカップリング剤および光硬化性成分を含む粘着剤組成物の場合、塗工経時時間によらず、初期粘着力の値が高い(例えば、30N/25mm前後)ことが理解される。
また、特性曲線Cが示すように、オリゴマー型シランカップリング剤およびモノマー型シランカップリング剤、並びに、光硬化性成分を含む粘着剤層の場合であれば、特性曲線Aの場合よりも初期粘着力を僅かに増加させつつも、所定範囲内の値(例えば、6.0N/25mm前後)に制御できることが理解される。
したがって、塗工経時時間にかかわらず、粘着剤組成物(光硬化後)の初期粘着力を所定範囲内の値に制御し、優れたリワーク性を発揮するためには、オリゴマー型シランカップリング剤および光硬化性成分を含む粘着剤組成物の構成とすることが有効であることが理解される。
また、モノマー型シランカップリング剤を用いる場合であっても、オリゴマー型シランカップリング剤と併用することで、塗工経時時間にかかわらず、優れたリワーク性を発揮できることが理解される。
【0053】
一方、特性曲線A´は、オリゴマー型シランカップリング剤、光硬化性成分および熱硬化性成分(以下、熱架橋剤と称する場合もある。)を含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層(実施例15相当)の初期粘着力を示すラインであり、特性曲線B´は、モノマー型シランカップリング剤、光硬化性成分および熱硬化性成分を含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層(比較例6相当)の初期粘着力を示すラインである。
なお、特性曲線A´およびB´に相当する粘着剤組成物における熱硬化性成分の含有量は、(A)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、2.5重量部である。
【0054】
まず、特性曲線B´が示すように、モノマー型シランカップリング剤、光硬化性成分および熱硬化性成分を含む粘着剤層の場合、塗工経過時間によって初期粘着力の値が大きく変化することが理解される。例えば、塗工経時時間が1日の場合の初期粘着力は、20N/25mm以上であるが、塗工経時時間が3日になると、初期粘着力は、10N/25mm程度となり、塗工経時時間が7、14日になると、初期粘着力は、2.0N/25mm程度となっている。
また、特性曲線A´が示すように、オリゴマー型シランカップリング剤、光硬化性成分および熱硬化性成分を含む粘着剤層の場合であっても、塗工経時時間によって、初期粘着力の値が低下する傾向が見られる。
しかしながら、特性曲線A´の場合、特性曲線B´の場合と比較して、塗工経時時間による、初期粘着力低下割合が非常に小さいことが理解される。
より具体的には、例えば、塗工経時時間が1日の時点での初期粘着力が6.0N/25mm前後であるのが、塗工経時時間が14日経った時点であっても、2.0N/25mm前後にまでしか低下していない。
したがって、(A)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、例えば、2.5重量部程度の割合で熱硬化性成分を含有させた場合、事実上、モノマー型シランカップリング剤を用いることはできないのに対し、オリゴマー型シランカップリング剤であれば、使用する余地があることが理解される。
よって、特性曲線A~CおよびA´~B´からは、塗工経時時間によらず、優れたリワーク性を得るためには、オリゴマー型シランカップリング剤を用いることが必要であり、かつ、その場合、所定の範囲内であれば、熱硬化性成分を含有させてもよいことが理解される。」
「【0073】
4.粘着剤特性
・・・
【0074】
(2)初期粘着力
また、粘着剤層の初期粘着力(硝子表面への貼付1日後の剥離力をいう。)を0.1~20N/25mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる初期粘着力が0.1N/25mm未満の値となると、耐久性が不十分になる場合があるためである。一方、かかる初期粘着力が20N/25mmを超えた値となると、リワーク性が低下する場合があるためである。
したがって、粘着剤層の初期粘着力を0.5~18N/25mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1~10N/25mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、初期粘着力の測定方法については、実施例において記載する。」
「【実施例】
【0084】
以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0085】
[実施例1]
1.粘着剤組成物の調整
表1に示すように、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としての光硬化性成分と、(C)成分としてのシランカップリング剤の加水分解縮合物と、(C´)成分としてのシランカップリング剤とから、実施例1の粘着剤組成物を調製した。
【0086】
(1)(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合
まず、単量体として、アクリル酸ブチル(BA)98.5重量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)1.5重量部とを用い、常法である溶液重合法(溶媒:酢酸エチル)に従って重合し、重量平均分子量170万の(メタ)アクリル酸エステル重合体((メタ)アクリル酸エステル重合体1と称する場合がある。)の溶液を得た。
なお、得られたアクリル酸エステル重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(以下、GPC法と略記する。)にて測定した。
すなわち、まず、ポリスチレンを用いて検量線を作成した。以降、重量平均分子量は、ポリスチレン換算値で表す。次いで、(メタ)アクリル酸エステル重合体等の測定対象の濃度が1重量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液を準備し、東ソー(株)製、GEL PER MEATION CHROMATOGRAPH HLC-8020(TSKGEL GMHXL、TSKGEL GMHXL、TSKGEL G2000HXLからなる3連カラム)にて40℃、THF溶媒、1ml/分の条件にて重量平均分子量を測定した。そして、ガードカラムとして、東ソー(株)製、TSK GUARD COLUMNを使用した。
【0087】
(2)光硬化性成分の配合
次いで、(A)成分の上記アクリル酸エステル重合体溶液の固形分100重量部に対して、(B)成分の光硬化性成分(光重合開始剤を含む)として、紫外線硬化性樹脂(トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、東亜合成(株)製、商品名:アロニックスM-315、以下、M-315と称する場合がある。)を20重量部、光重合開始剤(ベンゾフェノンと、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの混合物(重量比:1:1)、チバ・スペシャリティケミカル社製、商品名:イルガキュア500)を2重量部の割合でそれぞれ配合した。
【0088】
(3)シランカップリング剤の加水分解縮合物の配合
次いで、(A)成分の上記(メタ)アクリル酸エステル重合体溶液の固形分100重量部に対して、(C)成分のシランカップリング剤の加水分解縮合物として、オリゴマー型シランカップリング剤である3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー(信越化学(株)製、X-41-1053)を0.08重量部の割合で配合した。
【0089】
(4)シランカップリング剤の配合
最後に、(A)成分の上記(メタ)アクリル酸エステル重合体溶液の固形分100重量部に対して、(C´)成分のシランカップリング剤として、モノマー型シランカップリング剤である3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、KBM403)を0.08重量部の割合で配合し、実施例1の粘着剤組成物とした。
【0090】
2.粘着剤組成物の塗布
次いで、剥離フィルムとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム(リンテック(株)製、SP-PET3811)の剥離層上に、トルエンを加えて固形分が15重量%になるように希釈した粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが25μmになるように、ナイフ式塗工機で塗布した。
次いで、90℃、1分間の加熱条件で、乾燥処理を施した後、厚さ180μmの偏光板にラミネートし、偏光板/粘着剤組成物/剥離フィルムという積層体を得た。
【0091】
3.粘着剤組成物の硬化(粘着剤層の形成)
次いで、前記積層体の剥離フィルム側から、紫外線(UV)を下記条件で照射して、粘着剤組成物を光硬化させ、粘着シート(粘着剤層付き偏光板)を得た。
ランプ:高圧水銀ランプ(アイグラフィックス(株)製)
光量:300mJ/cm2
照度:300mW/cm2
UV光量および照度計:UVF-PFA1(アイグラフィックス(株)製)
【0092】
4.評価
(1)粘着力
光硬化(上記紫外線照射)を行った直後に被着体へ貼合してから1日後および14日後における粘着剤層付き偏光板における粘着力をそれぞれ測定した。
すなわち、裁断装置(荻野製作所(株)製、スーパーカッター)を用いて、得られた粘着剤層付き偏光板を幅25mm×長さ100mmの大きさに裁断して、測定サンプルとした。
次いで、得られた測定サンプルから剥離フィルムを剥離した後、無アルカリガラス(コーニング(株)製、イーグルXG)に貼合した。
次いで、測定サンプルが貼合された無アルカリガラスを、オートクレーブ(栗原製作所(株)製)に投入し、0.5MPa、50℃、20分の条件で加圧した後、23℃、50%RHの条件下に、1日の間、放置した。
次いで、測定サンプルにつき、引っ張り試験機(オリエンテック(株)製、テンシロン)を用いて、下記条件にて、初期粘着力を測定した。
剥離速度:300mm/分
剥離角度:180°
一方、同様にして、測定サンプルを無アルカリガラスへ貼合した後、23℃、50%RHの条件下に、14日(336時間)放置した場合の粘着力の測定を行った。
それぞれ得られた結果を表2に示す。
また、後述する実施例2、実施例6比較例1、比較例6および実施例15については、さらに、光硬化後の粘着剤層付き偏光板を、23℃、相対湿度50%RHで所定期間(3、5、7および14日)放置後、無アルカリガラスと貼合した後、23℃相対湿度50%RHで1日放置してから、上記の内容と同様に粘着力を測定した。得られた結果を表3に示す。
【0093】
(2)耐久性
以下の条件下における粘着剤層付き偏光板の耐久性を評価した。
すなわち、裁断装置(荻野製作所(株)製、スーパーカッター)を用いて、得られた粘着剤層付き偏光板を233mm×309mmの大きさに切断して測定サンプルとした。
次いで、得られた測定サンプルから剥離フィルムを剥離した後、無アルカリガラス(コーニング(株)製、イーグルXG)に貼合した。
次いで、測定サンプルが貼合された無アルカリガラスを、オートクレーブ(栗原製作所(株)製)に投入し、0.5MPa、50℃、20分の条件で加圧した後、80℃かつ乾燥条件下、60℃かつ相対湿度90%RHの条件下、およびヒートショック条件(-35℃(1時間)/70℃(1時間))の各条件下に投入後、120時間放置した。
次いで、測定サンプルの状態について、10倍ルーペを用いて観察を行い、下記基準に沿って、耐久性を評価した。得られた結果を表2に示す。
◎:サンプルにおいて、発泡、スジ、剥がれ等の欠陥がいずれも発生していない。
○:サンプルの4辺(外周端部から0.6mm以上)において、発泡、スジ、剥がれ等の欠陥が発生していない。
△:サンプルの4辺(外周端部から0.6mm以上)において、発泡、スジ、剥がれ等の欠陥が発生している。但し、外周端部から1.0mm以上においては、発泡、スジ、剥がれ等の欠陥が発生していない。
×:サンプルの4辺(外周端部から1.0mm以上)において、発泡、スジ、剥がれ等の欠陥が発生している。」
「【0105】
[実施例15]
実施例15では、(C)成分のシランカップリング剤の加水分解縮合物を含有し、熱架橋剤を含有し、モノマー型シランカップリング剤を含有しない配合の影響等を検討した。
すなわち、(A)成分の(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、紫外線硬化樹脂(M-315)を15重量部、光重合開始剤(イルガキュア500)を1.5重量部、熱架橋剤(コロネートL-45)を2.5重量部、および(C)成分のオリゴマー型シランカップリング剤(X-41-1053)を0.16重量部、を配合し、(C’)成分を配合しなかった以外は、実施例1と同様に、粘着剤層付き偏光板を作製して、評価した。」
「【0111】
[比較例6]
比較例6では、(C)成分のシランカップリング剤の加水分解縮合物を用いない影響、
(C´)成分のモノマー型シランカップリング剤の含有量の影響、および熱架橋剤の配合の影響等を検討した。
すなわち、(A)成分の(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、紫外線硬化性樹脂(M-315)を15重量部、光重合開始剤(イルガキュア500)を1.5重量部の割合で配合するとともに、(C)成分のオリゴマー型シランカップリング剤を用いないとともに、(C´)成分の含有量を0.16重量部とし、さらに、熱架橋剤として、コロネートL-45(イソシアネート系架橋剤)を2.5重量部配合したこと以外は、実施例1と同様に、粘着剤層付き偏光板を作製して、評価した。」
「【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
」
2 引用文献2
引用文献2には、「粘着剤組成物、および該粘着剤を用いた光学部材」(発明の名称)について、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は粘着剤組成物および光学部材に関し、より詳細には、耐久性と共に優れた低粘着性を有する粘着剤組成物およびそれを用いた光学部材に関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来技術によっては、大型ディスプレイに要求される低粘着性と耐久性とを両立することは十分にできていなかった。本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、低粘着性と耐久性とを両立することのできる粘着剤組成物、およびそのような粘着剤組成物を用いた光学部材を提供することを目的とする。」
「【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、
(1)92~99.7質量部の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、0.3~8質量部のカルボキシル基含有モノマーおよびヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸モノマーの少なくとも一方とからなり、重量平均分子量が500,000~2,000,000である(メタ)アクリル共重合体100質量部;
(2)カルボジイミド硬化剤0.01~1.0質量部;および
(3)シランカップリング剤オリゴマー0.02~1.0質量部;
を含む粘着剤組成物を完成するに至った。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粘着剤組成物は、低粘着性および良好な耐久性を両立させる効果がある。低粘着性の実現により、大型ディスプレイにおいて作業性および生産性を向上させることができる。低粘着性が実現されることにより、リワーク性も向上が期待できる。また、耐久性の向上により、高温高湿度下においても光学フィルムの剥れ等を防止することができ、これは製品信頼性の向上につながる。ここで、耐久性には、耐熱性、耐湿熱性および耐光漏れ性が含まれる。」
「【0038】
[シランカップリング剤オリゴマー]
本発明の粘着剤組成物は、シランカップリング剤オリゴマーを必須の成分として含む。シランカップリング剤オリゴマーは、少なくともアルコキシ基を有するシラン化合物が2個以上縮合して-Si-O-Si-構造を形成し、そのケイ素原子には少なくとも1個のアルコキシ基が結合し、さらに、分子内に有機官能基を有する化合物である。
【0039】
本発明においてシランカップリング剤オリゴマーは、特に得られる粘着剤層の低粘着性を実現するために重要な役割を果たしている。シランカップリング剤オリゴマーは、アルコキシ基を有していることにより、液晶パネル等に使用される、ガラスに対する密着性が発現する。また、有機官能基を有していることにより、シランカップリング剤オリゴマーは上記(メタ)アクリル共重合体との相溶性および密着性に優れ、(メタ)アクリル共重合体へのいわゆるアンカー効果が表れる。さらに、オリゴマーを構成するシロキサン骨格が、ある程度の流動性(可塑性)を示すために、得られる粘着剤層が低粘着性となると推測される。シロキサン骨格は(メタ)アクリル共重合体と相溶しにくいため、シランカップリング剤オリゴマーは粘着剤層の表面に並ぶように移動する。すると、アルコキシ基が貼り合せたガラスに対する密着性を示し、有機官能基が(メタ)アクリル共重合体へのアンカー効果を示す。その一方で、シロキサン骨格が可塑的であるために、ガラス基板と粘着剤層との界面部分に応力が集中し易く、剥れ易さ、すなわち低粘着性が現れると考えられる。したがって、本発明では、目的とする低粘着性の程度に応じて、有機官能基の種類およびシロキサン骨格の長さ、すなわちオリゴマーの重合度、を適当に選択することが重要となる。もっとも、本発明はこのような考察によって制限されるものではない。
【0040】
本発明において、粘着剤層が低粘着性を示すとは、粘着力が5.0N/25mm以下であることをいう。5.0N/25mm以下であれば、近年大型化が進んだ液晶パネルと光学フィルムとを貼り合わせた際にも、両者を剥がし易く、作業性および生産性が向上できる。粘着力の下限値については特に制限はないが、粘着剤として機能するという観点からは、0.5N/25mm以上が適当である。好ましくは、粘着力は0.5~5.0N/25mm、より好ましくは0.15~4.8N/25mmである。なお、本明細書において、「粘着力」は、JIS Z0237(2000年)の粘着テープ・粘着シート試験方法において準じて測定することによって求められ、より具体的には、下記実施例に記載される方法に従って測定される。」
「【0064】
シランカップリング剤オリゴマーは、上記の(メタ)アクリル共重合体100質量部に対して、0.02~1質量部である。0.02質量部を下回ると、低粘着性実現の効果が得られない。一方1質量部を超えると、耐久性が低下する。シランカップリング剤オリゴマーは、好ましくは0.03~0.9質量部であり、より好ましくは0.05~0.8質量部である。」
「【0089】
(実施例1)
還流器および攪拌機を備えたフラスコに、n-ブチルアクリレート(株式会社日本触媒製)98質量部、アクリル酸(株式会社日本触媒製)2質量部、および酢酸エチル150質量部を投入した。次いで、窒素置換を行いながら65℃まで加熱し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1質量部を加え、65℃を維持しつつ6時間重合を行った。重合反応終了後、酢酸エチル 83質量部を加えて希釈を行い、アクリル共重合体の溶液を得た。得られたアクリル共重合体溶液の固形分は28.0質量%、粘度は5.0Pa・s、アクリル共重合体の重量平均分子量は60万であった。
【0090】
上記のようにして得られたアクリル共重合体溶液に、カルボジイミド硬化剤であるカルボジライト(登録商標) V-07(日清紡ケミカル株式会社製) 0.3質量部、シランカップリング剤オリゴマーであるX-41-1053(信越化学工業株式会社製)0.3質量部、イソシアネート硬化剤であるコロネート(登録商標)L(トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物、日本ポリウレタン工業株式会社製) 1.5質量部を室温(25℃)で10分間混合し、粘着剤組成物が溶解している溶液を得た。
【0091】
この溶液を、剥離PETフィルム(三菱樹脂株式会社製、MRF38、厚み:38μm)上に、乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布した。塗布後、90℃で3分間乾燥させて粘着剤組成物層を形成した。次に、剥離PET上の粘着剤組成物層を偏光板に貼り合わせをした。
【0092】
その後、粘着剤組成物層付きの偏光板は、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間静置することによって粘着剤組成物を架橋させ、粘着剤層付き偏光板を製造した。粘着剤層付き偏光板は、下記試験によって耐久性および粘着力の評価を行った。評価結果は、材料組成と共に、下記表2に示す。
【0093】
下記表2において、「BA」はブチルアクリレート、「MA」はメチルアクリレート、「AA」はアクリル酸、「2HEA」は2-ヒドロキシエチルアクリレート、「#1053」および「#1810」はそれぞれ信越化学工業株式会社製シランカップリング剤オリゴマーであるX-41-1053およびX-41-1810、「C-L」は日本ポリウレタン工業株式会社製イソシアネート硬化剤のコロネート(登録商標)L、「TAZM」はトリメチロールプロパントリ-β-アジリジニルプロピオネートを表し、「KBM-403」は、信越化学工業株式会社製シランカップリング剤モノマーの商品名である。」
「【0098】
・・・
(実施例2)
還流器および攪拌機を備えたフラスコに、n-ブチルアクリレート(株式会社日本触媒製)98質量部、アクリル酸(株式会社日本触媒製)2質量部、および酢酸エチル125質量部を投入した。次いで、窒素置換を行いながら、65℃まで加熱し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05部を加え、65℃を維持しつつ6時間重合を行った。重合反応終了後、酢酸エチル 275部を加えて希釈を行い、アクリル共重合体の溶液を得た。得られたアクリル共重合体溶液の固形分は18.0質量%、粘度は7.0Pa・s、アクリル共重合体の重量平均分子量は120万であった。
【0099】
この溶液および下記表2に示した配合量の材料を用いて、実施例1と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造し、耐久性および粘着力を評価した。結果は合わせて下記表2に示す。」
「【0104】
(実施例5~16)
実施例5は実施例1と同様にして、実施例6~8、11~16は実施例2と同様にして、実施例9、10は実施例3と同様にして、後掲の表2~4に示す配合量の材料を使用した以外は、本発明の粘着剤組成物および粘着剤層付き偏光板を製造し、評価を行った。評価結果は材料、配合量および物性等と併せて表2~4に示す。」
「【0111】
【表3】
」
第5 引用文献1、2に記載された発明(引用発明、引用発明’)
1 引用発明
引用文献1の【0084】~【0089】には、実施例1の粘着剤組成物について記載されており、【0105】には、実施例15について、「(A)成分の(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、紫外線硬化樹脂(M-315)を15重量部、光重合開始剤(イルガキュア500)を1.5重量部、熱架橋剤(コロネートL-45)を2.5重量部、および(C)成分のオリゴマー型シランカップリング剤(X-41-1053)を0.16重量部、を配合し、(C’)成分を配合しなかった以外は、実施例1と同様に、粘着剤層付き偏光板を作製して、評価した。」と記載されていることから、実施例15に係る粘着剤組成物は、【0084】~【0089】、【0105】及び【表1】(【0113】)から、
「(メタ)アクリルエステル重合体100重量部と、光硬化性成分15重量部と、光重合開始剤1.5重量部と、熱架橋剤2.5重量部と、オリゴマー型シランカップリング剤(X-41-1053)0.16重量部とを含む粘着剤組成物」であると認められる。
そして、該「(メタ)アクリルエステル重合体」は、【0105】から、実施例1の「(メタ)アクリルエステル重合体」と同じものであって、「単量体として、アクリル酸ブチル(BA)98.5重量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)1.5重量部とを用い、常法である溶液重合法(溶媒:酢酸エチル)に従って重合し、重量平均分子量170万の(メタ)アクリル酸エステル重合体((メタ)アクリル酸エステル重合体1と称する場合がある。)の溶液を得た」(【0086】)ものであると認められる。
また、「光硬化性成分」、「光重合開始剤」及び「熱架橋剤」は、【0105】から、それぞれ、「紫外線硬化樹脂(M-315)」、「光重合開始剤(イルガキュア500)」及び「熱架橋剤(コロネートL-45)」であり、該「オリゴマー型シランカップリング剤(X-41-1053)」は【0088】から、「3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー」であると認められる。
そうすると、引用文献1には、実施例15として、
「(メタ)アクリルエステル重合体(アクリル酸ブチル(BA)98.5重量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)1.5重量部とを用い、常法である溶液重合法(溶媒:酢酸エチル)に従って重合し、得られた重量平均分子量170万の(メタ)アクリル酸エステル重合体) 100重量部と、
光硬化性成分として紫外線硬化樹脂(M-315) 15重量部と、
光重合開始剤(イルガキュア500) 1.5重量部と、
熱架橋剤(コロネートL-45) 2.5重量部と、
オリゴマー型シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー(信越化学(株)製、X-41-1053)) 0.16重量部とを含む粘着剤組成物。」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
2 引用発明’
引用文献2の【0089】~【0092】には、実施例1の粘着剤組成物について記載され、【0098】~【0099】には、実施例2の粘着剤組成物について記載され、【0099】の「この溶液および下記表2に示した配合量の材料を用いて、実施例1と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造し、耐久性および粘着力を評価した。」という記載及び【0104】の「実施例6~8、11~16は実施例2と同様にして、実施例9、10は実施例3と同様にして、後掲の表2~4に示す配合量の材料を使用した以外は、本発明の粘着剤組成物および粘着剤層付き偏光板を製造し、評価を行った。」という記載から、実施例12に係る粘着剤組成物は、上記の記載及び【表3】(【0111】)から、
「(メタ)アクリルエステル重合体 100重量部(BA 90重量部、MA 6重量部、2HEA 4重量部)と、イソシアネート硬化剤(C-L) 0.1重量部と、カルボジイミド硬化剤(V-01) 0.1重量部と、シランカップリング剤(#1053) 0.2重量部とを含む粘着剤組成物」であると認められる。
そして、該「(メタ)アクリルエステル重合体」は、【0093】、【0098】、【0104】から、「BA」(ブチルアクリレート)、「MA」(メチルアクリレート)及び「2HEA」(2-ヒドロキシエチルアクリレート)を共重合されたものであり、該「シランカップリング剤(#1053)」は、【0090】から「シランカップリング剤オリゴマーであるX-41-1053(信越化学工業株式会社製)」であると認められる。
そうすると、引用文献2には、実施例12として、
「(メタ)アクリルエステル重合体(ブチルアクリレート 90重量部、メチルアクリレート 6重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート 4重量部の共重合体) 100重量部と、
イソシアネート硬化剤(C-L) 0.1重量部と、
カルボジイミド硬化剤(V-01) 0.1重量部と、
シランカップリング剤オリゴマー(X-41-1053(信越化学工業株式会社製)) 0.2重量部とを含む粘着剤組成物。」(以下、「引用発明’」という。)が記載されていると認められる。
第6 対比・判断
1 引用文献1を主引用文献とした場合(引用発明を主引用発明とした場合)
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「(メタ)アクリルエステル重合体」は、「アクリル酸ブチル(BA)98.5重量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)1.5重量部とを用い、常法である溶液重合法(溶媒:酢酸エチル)に従って重合し、得られた重量平均分子量170万の(メタ)アクリル酸エステル重合体」であり、「アクリル酸ブチル(BA)」及び「アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)」はいずれもカルボキシル基を含有しないモノマーであるから、本願発明1の「粘着剤樹脂(A)」であって、「カルボキシル基を含有しないモノマーを重合して得られるアクリル系粘着剤樹脂(A1)」に相当する。
(イ)引用発明の「オリゴマー型シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー(信越化学(株)製、X-41-1053))」は、本願明細書【0079】に、「本発明に用いられるシリコーンアルコキシオリゴマー(B)の市販品」として例示された「信越化学工業株式会社製のX-41-1053(エポキシ当量830g/mol;アルコキシル基含有量50重量%)」であるから、本願発明1の「エポキシ当量が100~2000g/molでかつアルコキシル基含有量が5~60重量%であるシリコーンアルコキシオリゴマー(B)」に相当する。
(ウ)引用発明の「熱架橋剤(コロネートL-45)」は、引用文献1の【0111】に記載されているように、「イソシアネート系架橋剤」であるから、本願発明1の「イソシアネート系化合物」である「架橋剤(C)」に相当する。
(エ)引用発明の「(メタ)アクリルエステル重合体」100重量部に対する、「熱架橋剤(コロネートL-45)」の含有量は、本願発明1の「架橋剤(C)」の含有量の範囲に含まれる。
(オ)上記(ア)~(エ)より、本願発明1と引用発明とは、
「粘着剤樹脂(A) 100重量部と、
エポキシ当量が100~2000g/molでかつアルコキシル基含有量が5~60重量%であるシリコーンアルコキシオリゴマー(B)と、
前記粘着剤樹脂(A)が、カルボキシル基を含有しないモノマーを重合して得られるアクリル系粘着剤樹脂(A1)、ウレタン系粘着剤樹脂(A2)、およびポリエステル系粘着剤樹脂(A3)からなる群より選択される1つ以上であり、
架橋剤(C)を、前記粘着剤樹脂(A)100重量部に対して、0.01~20重量部含有する、
前記架橋剤(C)が、イソシアネート系化合物および過酸化物から選ばれる少なくとも1つである、粘着剤組成物。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。
(相違点1)
粘着剤樹脂(A)100重量部に対する「エポキシ当量が100~2000g/molでかつアルコキシル基含有量が5~60重量%であるシリコーンアルコキシオリゴマー(B)」の含有量について、本願発明1は、「0.5~20重量部」であるのに対し、引用発明は、「0.16重量部」である点。
(相違点2)
引用発明は、「光硬化性成分として紫外線硬化樹脂(M-315) 15重量部と、光重合開始剤(イルガキュア500) 1.5重量部と」を含有しているのに対し、本願発明1は、光硬化成分及び光重合開始剤を含むことは規定されていない点。
イ 判断
まず、相違点1について、検討する。
引用発明における「オリゴマー型シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー(信越化学(株)製、X-41-1053))」は、引用文献1の【0044】に記載された「(C)成分として」の「シランカップリング剤の加水分解縮合物(オリゴマー型シランカップリング剤)」に相当し、同【0047】には、その含有量を「(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.001~10重量部の範囲内の値とすること」が記載されている。
そして、同【0049】には、「オリゴマー型シランカップリング剤の含有量が多いほど、粘着剤層の初期粘着力が低下し、所定範囲内の値(例えば、0.05~5.0N/25mm)に制御されていることが理解される。・・・粘着剤層の初期粘着力を所定範囲内の値に制御し、優れたリワーク性を発揮するためには、オリゴマー型シランカップリング剤を所定量配合することが有効であることが理解される。」と記載されている。
また、同【0050】には、「オリゴマー型シランカップリング剤の含有量が多いほど、粘着剤組成物(光硬化後)における14日経過後粘着力も低下し、所定範囲内の値(例えば、0.05~5.0N/25mm)に制御されており、初期粘着力の傾向とほとんど変化しないことが理解される。・・・粘着剤組成物(光硬化後)の14日経過後粘着力についても、所定範囲内の値に制御するためには、オリゴマー型シランカップリング剤を所定量配合することが有効であることが理解される。」と記載されている。
そうすると、引用発明において、「オリゴマー型シランカップリング剤の含有量が多いほど、粘着剤層の初期粘着力が低下し」、「粘着剤層の初期粘着力を所定範囲内の値に制御し、優れたリワーク性を発揮するためには、オリゴマー型シランカップリング剤を所定量配合することが有効であること」(【0049】)及び「オリゴマー型シランカップリング剤の含有量が多いほど、粘着剤組成物(光硬化後)における14日経過後粘着力も低下し」、「粘着剤組成物(光硬化後)の14日経過後粘着力についても、所定範囲内の値に制御するためには、オリゴマー型シランカップリング剤を所定量配合することが有効であること」(【0050】)はいえる。
しかしながら、引用発明の初期粘着力は、5.8(N/25mm)、14日経過後粘着力は、15.8(N/25mm)(それぞれ、【表2】の実施例15の貼合1日後及び貼合14日後の粘着力)であり、引用文献1に、「粘着剤層の初期粘着力(硝子表面への貼付1日後の剥離力をいう。)を0.1~20N/25mmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる初期粘着力が0.1N/25mm未満の値となると、耐久性が不十分になる場合があるためである。一方、かかる初期粘着力が20N/25mmを超えた値となると、リワーク性が低下する場合があるためである。」(【0074】)という記載からみて、引用発明の初期粘着力及び14日経過後粘着力は、引用文献1において好ましい範囲とされた値であるから、引用発明において、「初期粘着力」及び「14日経過後粘着力」を、さらに、低下させる動機付けは見出すことはできない。
したがって、引用発明における「オリゴマー型シランカップリング剤の含有量」を、「0.16重量部」から、本願発明1の「0.5~20重量部」の範囲とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるということはできない。
これに対し、本願発明1における「(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部」に対する「エポキシ当量が100~2000g/molでかつアルコキシル基含有量が5~60重量%であるシリコーンアルコキシオリゴマー(B)」の含有量について、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された実施例3では0.5重量部含まれ、実施例4では10重量部含まれ、比較例1では含まれず、比較例2では0.05重量部含まれ、比較例3は22重量部、それぞれ含まれる粘着剤組成物であるところ、形成された粘着剤層について、【表3】(【0176】)には、上記「シリコーンアルコキシオリゴマー(B)」の含有量が本願発明1の範囲内のものである実施例3、4は、加熱後の実リワーク性(【0173】)が良好(◎)であることが示されているのに対し、「シリコーンアルコキシオリゴマー(B)」を含有しない比較例1、0.05重量部の比較例2は、加熱後の実リワーク性が悪化(×)することが示され、22重量部の比較例3は、加熱後の実リワーク性は良好(◎)であるものの、耐久性が悪い(×)ことが示されている。
また、請求人は審判請求書において、上記実施例3の「シリコーンアルコキシオリゴマー(B)」の量を0.2重量部とした比較実験例については、加熱後の実リワーク性が悪化(×)するものであることを示している。
そして、引用文献1に、「本発明の目的は、シーズニング処理を省略した場合であっても、初期粘着力が制御され、リワーク性や耐久性等に優れた粘着剤層を得るための粘着剤組成物、粘着剤およびそのような粘着剤を用いた粘着シートを提供することにある。」(【0009】)と記載されるように、引用発明における「オリゴマー型シランカップリング剤」は、粘着剤層の初期粘着力を制御するために所定量配合されたものであって、本願発明1のような、粘着剤層を有する偏光板等の加熱後の実リワーク性を考慮して配合されたものではないことは明らかである。
また、「オリゴマー型シランカップリング剤」の含有量と、加熱後の実リワーク性との関係が、本願出願前に当業者にとって公知の事項であるとは認められない。
そうすると、引用発明において、「オリゴマー型シランカップリング剤」の含有量を「0.16重量部」から、本願発明1の「0.5~20重量部」の範囲とすることが可能だとしても、そのような粘着剤層を有する偏光板等は、初期粘着力及び14日経過後粘着力が低下することはいえても、加熱後の実リワーク性がどのようなものとなるかは当業者の技術常識に照らしても明らかではない。
したがって、本願発明1の「本発明によれば、特に薄型の画像表示装置および薄型の光学部材にも用いられうる粘着剤組成物において、容易に剥がすことができるリワーク性、および接着状態での加熱および加湿等による耐久試験に対する耐久性を両立することができる。」(【0014】)という明細書記載の作用効果は、引用発明からは、当業者が予測し得ないものであるというべきである。
よって、上記相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(2)本願発明2~10について
上記第2で述べたように、本願発明1~7に対しては、引用文献1、2が主引用文献として引用され、本願発明8に対しては、引用文献1、2が主引用文献として引用され、引用文献5、6が周知技術を示す文献として引用され、本願発明9に対しては、引用文献1、2が主引用文献として引用され、引用文献7が周知技術を示す文献として引用され、本願発明10に対しては、引用文献1、2が主引用文献として引用され、引用文献8が周知技術を示す文献として引用されているところ、引用文献2、5~8には、「シリコーンアルコキシオリゴマー」と加熱後の実リワーク性との関連についての記載は見当たらない。
そして、本願発明2~10は、本願発明1を直接的又は間接的に引用し、さらに限定するものであるから、本願発明1と同様に、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
2 引用文献2を主引用文献とした場合(引用発明’を主引用発明とした場合)
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明’とを対比する。
(ア)引用発明’の「(メタ)アクリルエステル重合体」は、「ブチルアクリレート 90重量部、ブチルアクリレート 6重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート4重量部の共重合体」であり、「ブチルアクリレート」、「ブチルアクリレート」及び「2-ヒドロキシエチルアクリレート」はいずれもカルボキシル基を含有しないモノマーであるから、本願発明1の「粘着剤樹脂(A)」であって、「カルボキシル基を含有しないモノマーを重合して得られるアクリル系粘着剤樹脂(A1)」に相当する。
(イ)引用発明’の「シランカップリング剤オリゴマー(X-41-1053(信越化学工業株式会社製))」は、本願明細書【0079】に、「本発明に用いられるシリコーンアルコキシオリゴマー(B)の市販品」として例示された「信越化学工業株式会社製のX-41-1053(エポキシ当量830g/mol;アルコキシル基含有量50重量%)」、であるから、本願発明1の「エポキシ当量が100~2000g/molでかつアルコキシル基含有量が5~60重量%であるシリコーンアルコキシオリゴマー(B)」に相当する。
(ウ)引用発明’の「イソシアネート硬化剤(C-L)」は、本願発明1の「イソシアネート系化合物」である「架橋剤(C)」に相当する。
(エ)引用発明’の「(メタ)アクリルエステル重合体」100重量部に対する、「イソシアネート硬化剤(C-L)」の含有量は、本願発明1の「架橋剤(C)」の含有量の範囲に含まれる。
(オ)上記(ア)~(エ)より、本願発明1と引用発明’とは、
「粘着剤樹脂(A) 100重量部と、
エポキシ当量が100~2000g/molでかつアルコキシル基含有量が5~60重量%であるシリコーンアルコキシオリゴマー(B)と、
前記粘着剤樹脂(A)が、カルボキシル基を含有しないモノマーを重合して得られるアクリル系粘着剤樹脂(A1)、ウレタン系粘着剤樹脂(A2)、およびポリエステル系粘着剤樹脂(A3)からなる群より選択される1つ以上であり、
架橋剤(C)を、前記粘着剤樹脂(A)100重量部に対して、0.01~20重量部含有する、
前記架橋剤(C)が、イソシアネート系化合物および過酸化物から選ばれる少なくとも1つである、粘着剤組成物。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。
(相違点1’)
粘着剤樹脂(A)100重量部に対する「エポキシ当量が100~2000g/molでかつアルコキシル基含有量が5~60重量%であるシリコーンアルコキシオリゴマー(B)」の含有量について、本願発明1は、「0.5~20重量部」であるのに対し、引用発明’は、「0.2重量部」である点。
(相違点2’)
引用発明は、「カルボジイミド硬化剤(V-01) 0.1重量部」を含有しているのに対し、本願発明1は、カルボジイミド硬化剤を含むことは規定されていない点。
イ 判断
まず、相違点1’について、検討する。
引用発明’における「シランカップリング剤オリゴマー(X-41-1053(信越化学工業株式会社製))」は、引用文献2の【0039】に「シランカップリング剤オリゴマーは、特に得られる粘着剤層の低粘着性を実現するために重要な役割を果たしている」と記載されるように、得られる粘着剤層の低粘着性を実現するために含有されたものと認められる。
そして、該「低粘着性」について、引用文献2の【0040】には、「本発明において、粘着剤層が低粘着性を示すとは、粘着力が5.0N/25mm以下であることをいう。」と記載され、引用発明’の粘着力は、【表3】(【0111】)には、2.3N/25mmであることが記載されている。
そうすると、引用発明’において、低粘着性を実現するためには、「シランカップリング剤オリゴマー」をより多く含有させればよいということはいえるとしても、引用発明’の初期粘着力は、引用文献2において低粘着性を示す範囲とされた値であるから、引用発明’において、「粘着力」を、さらに、低下させる動機付けは見出すことはできない。
したがって、引用発明’における「オリゴマー型シランカップリング剤の含有量」を、「0.2重量部」から、本願発明1の「0.5~20重量部」の範囲とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるということはできない。
また、引用文献2には、「シランカップリング剤オリゴマーは、上記の(メタ)アクリル共重合体100質量部に対して、0.02~1質量部である。0.02質量部を下回ると、低粘着性実現の効果が得られない。一方1質量部を超えると、耐久性が低下する。」(【0064】)という記載があるものの、引用発明’における「オリゴマー型シランカップリング剤」は、【0039】に記載されるように、粘着剤層の低粘着性を実現するために配合されたものであって、本願発明1のような、粘着剤層を有する偏光板等の加熱後の実リワーク性を考慮して配合されたものではない。
そうすると、引用発明’において、「オリゴマー型シランカップリング剤」の含有量を「0.2重量部」から、本願発明1の「0.5~20重量部」の範囲とすることが可能だとしても、そのような粘着剤層を有する基材等は、粘着力が低下することはいえても、加熱後の実リワーク性がどのようなものとなるかは当業者の技術常識に照らしても明らかではない。
そして、本願発明1の「本発明によれば、特に薄型の画像表示装置および薄型の光学部材にも用いられうる粘着剤組成物において、容易に剥がすことができるリワーク性、および接着状態での加熱および加湿等による耐久試験に対する耐久性を両立することができる。」(【0014】)という明細書記載の作用効果は、引用発明’から、当業者が予測し得るものではない。
したがって、上記相違点2’について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明’に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(2)本願発明2~10について
上記第2で述べたように、本願発明1~7に対しては、引用文献1、2が主引用文献として引用され、本願発明8に対しては、引用文献1、2が主引用文献として引用され、引用文献5、6が周知技術を示す文献として引用され、本願発明9に対しては、引用文献1、2が主引用文献として引用され、引用文献7が周知技術を示す文献として引用され、本願発明10に対しては、引用文献1、2が主引用文献として引用され、引用文献8が周知技術を示す文献として引用されているところ、引用文献1、5~8には、「シリコーンアルコキシオリゴマー」と加熱後の実リワーク性との関連についての記載は見当たらない。
そして、本願発明2~10は、本願発明1を直接的又は間接的に引用し、さらに限定するものであるから、本願発明1と同様に、引用発明’に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1~10は、引用発明及び引用発明’、並びに引用文献1、2、5~8の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-016396