意匠拒絶査定不服審判
2018-016030
傘
- 審判番号
- 2018-016030
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2017-020498外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年12月03日
- 審決日
- 2019年04月17日
- 公報発行日
- 2019年07月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】浙江天合雨具▲設▼▲計▼有限公司
- 【請求人代理人】TRY国際特許業務法人
- 分類
- D18 .113-WY (B3-8)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第4条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2017- 20498「傘」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする,平成29年9月20日の意匠登録出願であって,平成30年1月30日付けの拒絶理由の通知に対し,平成30年5月30日に意見書が提出されたが,平成30年8月22日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成30年12月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「傘」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した写真に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当する,というものである。
引用意匠は,日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成22年11月15日)に記載された,意匠登録第1401140号(意匠に係る物品,傘)の意匠であり,その形態を,同公報に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「傘」であって一致する。
2 形態の対比
(1)形態の共通点
(共通点1)全体の基本構成が,先端に石突を有する中棒から成る柄部と,中棒上端から等間隔な放射状に配設された親骨に傘生地が張られた傘部から成る点。
(共通点2)傘部は,長さの異なる2種類の親骨を交互に配設して成り,長いものが,短いものに比して中棒寄りの部分で大きく湾曲し,傘部表面の円周方向に凹凸のある曲面が形成されており,また,長いものは先端側が下方に大きく突出しており,2つの長い親骨の間の隣り合う円弧状の小間の縁部分が,緩いアーチ状を形成している点。
(2)形態の相違点
(相違点1)傘部について,本願意匠は,親骨が8本で,親骨の間に形成される三角形状の小間の中心角が45度であるのに対して,引用意匠は,親骨が10本で,小間の中心角が36度である点。
(相違点2)傘部の底面視において,本願意匠は,上下左右とも対称であることから,外周が,4本の長い親骨と短い4本の親骨による8角形を基調とした印象であるのに対して,引用意匠は,上下が非対称であることから,外周が,5本の長い親骨の頂点を結んだ5角形を基調とした印象である点。
(相違点3)柄部について,本願意匠は手元側の端部に持ち手がなく,中棒の中程に径の大きい幅広な円筒状の部位が看取され,この上方は中棒が太く構成されているのに対して,引用意匠は,手元側端部にJ字状の持ち手を有し,その上方は単一部材の中棒で構成されている点。
(相違点4)色彩について,本願意匠は,傘部が橙色で,柄部の中程から上方が黒色であるのに対して,引用意匠は,傘部及び柄部の持ち手が灰色である点。
第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は,同一である。
2 形態の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は,雨や雪を防ぐために使用されるものであって,需要者は,耐久性や使い勝手の良さに注意を払うものと考えられ,手に持って使用するものであるから,手に触れる柄部や間近で観察される傘部の態様は需要者の注意を引く部分ということができ,また,ファッション性の観点から,第三者によって観察される外観についても,需要者が注意を払うものということができる。
(1)形態の共通点
共通点1は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点であり,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この種物品分野においてはごく一般的な形態であるから,これらが意匠全体の美感に与える影響は小さい。
共通点2は,長さの異なる親骨の湾曲の違いによって,傘部表面の円周方向に凹凸のある曲面が形成されるとともに,隣り合う小間の縁部分が,緩いアーチ状を成すものであって,需要者に観察されやすい傘部の視覚的印象に影響をもたらすものではあるが,長さの異なる親骨からなる態様は,例えば,参考意匠1(意匠登録第1473996号,別紙第3参照),参考意匠2(意匠登録第1456588号,別紙第4参照)に見られ,両意匠のみに見られるものではないから,意匠全体の美感に及ぼす影響は一定程度にとどまるものと認められる。
(2)形態の相違点
相違点1は,需要者に観察されやすい傘部の親骨の数とそれに伴う小間の形態の相違であるが,親骨の数は傘の耐久性に関係し,傘を畳んだ際の形態にも影響を及ぼすことから,需要者は注意を払うものと考えられるものの,親骨が8本であるか10本であるかの違いについては,どちらの態様もこの種物品においては,本願の出願前に普通に見られることから,意匠全体の美感に与える影響は一定程度にとどまるものと認められる。
相違点2は,需要者に観察されやすい傘部の対称性の相違であって,底面視において上下左右が対称である本願意匠は,使用時には前後左右が対象に看取されるのに対して,引用意匠は前後左右が対称ではなく変則的な印象となるから,両意匠は傘部の美感に大きな差異がある。
相違点3は,需要者に観察されやすい使用時に手に取る柄部の相違であって,本願意匠の中棒に形成された円筒状部分及びその上方の態様及び手元側端部に持ち手を有さない態様は,引用意匠の手元側端部にJ字状の把持部を形成して単一部材の中棒から成る態様とは大きく異なるものであるから,両意匠は柄部の美感には大きな差異がある。
相違点4は,色彩の相違であるが,両意匠の傘部及び柄部の着色は,いずれも単一色が施されたものであって,物品の全体又は部分に任意に選択した単一色を施すことは,この種物品分野に限らず常とう的に行われる手法であるから,意匠全体の美感に与える影響は一定程度にとどまるものと認められる。
3 両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき,意匠全体として総合的に観察した場合,両意匠は,上記2の前文のとおり,傘部及び柄部の態様が需要者の注意を強く惹く部分であり,上記2(2)のとおり,傘部の対称性や柄部の態様は,需要者に異なる美感を与えるものである。そうすると,全体の基本構成や傘部の具体的な構成に共通する点が見られることを考慮したとしても,意匠全体として観察した際には異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,その形態において,需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しない。
第6 むすび
以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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