意匠拒絶査定不服審判
2018-015442
研磨材シート
- 審判番号
- 2018-015442
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2017-026906外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1629788
- 請求日
- 2018年11月21日
- 審決日
- 2019年02月22日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 分類
- D18 .113-WY (K1-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2017- 26906「研磨材シート」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年(2017年)12月1日の意匠登録出願であって、平成30年5月30日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年7月13日に意見書が提出されたが、平成30年10月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成30年11月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願意匠は、意匠に係る物品を「研磨材シート」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原審の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠は、特許庁普及支援課が2010年12月9日に受け入れた、大韓民国意匠商標公報2010年11月9日10-21号に記載された、「研磨ディスク(登録番号30-0578414)」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH22429745号)であり、その形態を、同公報に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
第4 当審の判断
1 対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、「研磨材シート」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「研磨ディスク」であるが、いずれも円形シート状の研磨用部材といえるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通する。
(2)形態の対比
本願意匠と引用意匠を対比すると、両意匠の形態については、以下のとおり、主な共通点及び相違点がある。
なお、対比のため、本願意匠の図面における正面、平面等の向きを、引用意匠にもあてはめて対比する。
ア 形態の共通点
(共通点1)両意匠は、全体の基本的な構成態様が、薄い円板状としたものであって、この中央部分に複数の小径な円形貫通孔(以下「小円孔」という。)を、略同心円状になるように等間隔に配設し、その周囲から外辺部に向かって複数の小円孔を、曲線に沿った配置になるように複数列形成した点で共通する。
(共通点2)両意匠は、外辺部に向かって複数列形成した小円孔の1列において、隣り合う小円孔の間隔が、外辺部に向かって僅かずつ広がりながら配設している点で共通する。
イ 形態の相違点
(相違点1)本願意匠の中央部分における小円孔の配置態様が、6つの小円孔を円周に沿った配置になるように等間隔に形成したものであるのに対し、引用意匠の中央部分における小円孔の配置態様が、中心部分には3つの小円孔を円周に沿った配置になるように等間隔に形成し、その外周部分に5つの小円孔を円周に沿った配置になるように等間隔に形成し、更にその外周部分に12の小円孔を円周に沿った配置になるように等間隔に形成し、かつ、それら3つ小円孔群が略同心円状になるように配置したものである点で、両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠の外辺部に向かって列を形成する小円孔の配置態様が、円板の全面に、大きな螺旋状の曲線に沿って配置した22個の小円孔からなる長い列を、等間隔に6つ配設したものであるのに対し、引用意匠の外辺部に向かって列を形成する小円孔の配置態様が、円板の外辺寄りの部分に、略円弧状の曲線に沿って配置された4つの小円孔からなる短い列を、略放射線状になるように等間隔に17列配設したものである点で、両意匠は相違する。
2 判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通するから類似するものである。
(2)形態の共通点及び相違点の評価
本願意匠の意匠に係る物品である「研磨材シート」もしくは引用意匠の意匠に係る物品である「研磨ディスク」は、その表面に形成された小円孔の大きさやその配置態様によって研磨効率や作業性が変わるものであるから、需要者は、表面に設けられた小円孔の形態やその配置態様を注視する。
したがって、小円孔の具体的な形態及びその配置態様が需要者の注意を強く惹く部分であるといえる。
ア 形態の共通点
(共通点1)は、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)における隣り合う小円孔の間隔が、外辺部に向かって僅かずつ広がりながら配設している態様は、この種物品分野において極普通に見られるものであるから、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず、この(共通点2)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
イ 形態の相違点
(相違点1)は、需要者の注意を惹く中央部分における小円孔の配置態様に係るものであって、6つの小円孔を円周に沿った配置になるように等間隔に形成した本願意匠の形態は、小円孔が正六角形の頂点の位置に表れているとの印象を与えるのに対して、中心部分に3つの小円孔を円周に沿った配置になるように等間隔に形成し、その外周部分に5つの小円孔を円周に沿った配置になるように等間隔に形成し、更にその外周部分に12の小円孔を円周に沿った配置になるように等間隔に形成した引用意匠の形態は、円周に沿って配置した小円孔の中に正五角形の頂点の位置に小円孔が表れ、さらにその中に、正三角形の頂点の位置に小円孔が表れているとの印象を与えるから、両意匠は、中央部分における小円孔の具体的な配置態様が与える美感に大きな差異がある。
(相違点2)は、需要者の注意を惹く外辺部に向かって列を形成する小円孔の配置態様に係るものであって、本願意匠が、円板の全面に、22個の小円孔からなる螺旋状の長い列を、等間隔に6つ配したとの印象を与えるのに対し、引用意匠は、円板の外辺寄りの部分に、4つの小円孔からなる短い列を、略放射線状に17列配したとの印象を与えるから、両意匠は、外辺部に向かって列を形成する小円孔の配置態様に非常に大きな差異がある。
(3)両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠は、上記(2)の前文のとおり、需要者は、小円孔の具体的な形態及びその配置態様を注視するところ、両意匠には上記イのとおり、中央部分における小円孔の具体的な配置態様、及び外辺部に向かって列を形成する小円孔の配置態様といった需要者の注意を惹く部分が与える美感に大きな差異がある。
そうすると、両意匠は、全体の態様や小円孔の1列において、隣り合う小円孔の間隔が、外辺部に向かって僅かずつ広がりながら配設している態様が共通することを考慮しても、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は類似するものであるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、当審の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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