特許拒絶査定不服審判
2018-014032
冗長化記憶制御装置、冗長化記憶制御方法、及び冗長化記憶制御プログラム
- 審判番号
- 2018-014032
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-054333外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年10月23日
- 審決日
- 2019年09月10日
- 公報発行日
- 2019年10月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第164条第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 54333「冗長化記憶制御装置、冗長化記憶制御方法、及び冗長化記憶制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月 5日出願公開、特開2015-176521、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成26年3月18日の出願であって,平成29年2月15日付けで審査請求がなされ,平成30年1月16日付けで拒絶理由通知(同年1月23日発送)がなされ,同年3月16日付けで意見書が提出されるとともに,同日付けで手続補正がなされ,同年7月24日付けで拒絶査定(原査定)(同年7月31日謄本送達)がなされ,これに対し,同年10月23日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに,同日付けで手続補正がなされ,平成31年1月16日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がされ,令和元年6月12日付けで当審より拒絶理由通知がなされ(同年6月18日発送),同年7月19日付けで意見書が提出されるとともに,手続補正がなされたものである。
第2 本願発明
本願請求項1-9に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は,令和元年 7月19日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
外部の装置から、第1のデータ書き込み要求及び第2のデータ書き込み要求を受け取る受付手段と、
外部の第1の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を第1の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第2の時間帯で実行させるための第1のスケジュール、及び
外部の第2の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第2の時間帯とは重ならない第3の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第4の時間帯で実行させるための第2のスケジュール
を生成するスケジューリング手段と、
を備えることを特徴とする冗長化記憶制御装置。」
なお,本願発明2-9の概要は以下のとおりである。
本願発明2-7は,本願発明1を減縮した発明である。
本願発明8,9は、それぞれ,本願発明1に対応する方法,プログラムの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
第3 引用文献,引用発明等
1.引用文献1に記載された事項
ア 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開平6-187101号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
A 「【0023】(実施例1)図1は、本発明による二重化ディスクアレイ装置の一実施例の構成図である。
【0024】CPU1にはディスク制御装置(以下DKCとする)2が接続され、DKC2には複数のドライブ4により構成されるドライブユニット(以下DUとする)3が接続されている。DKC2は、CPU1および拡張記憶装置(ES)19との間のインターフェース(I/F)制御を行うチャネルI/Fコントロールユニット(以下CICUとする)6、DU3内のドライブ4に対するデータの読みだし/書き込みを制御するデータコントロールユニット(DCU)7、および、ドライブ4-DKC2間のインターフェース制御を行なうドライブI/Fコントロールユニット(以下DICUとする)10により構成される。DU3は2台以上のドライブ4により構成される1または複数の論理グループ5により構成される。論理グループ5内には、二重化されたデータの両方が格納されており、元のデータとそのコピーとはそれぞれ別のドライブ4に格納されている。
・・・(略)・・・
【0028】DCU7はデータ制御部8とデータ管理テーブル31により構成される。データ制御部8はDKC2内のデータ処理の制御を行なうマイクロプロセッサ(MP)29とチャネルインターフェース回路(CH IF)24とデータ制御(DCC)25とチャネル側キャッシュアダプタ(C Adp)26とドライブ側キャッシュアダプタ(C Adp)27とドライブインターフェース回路(Drive IF)28により構成される。CH IF21はCPU1におけるチャネルインターフェースのプロトコルとDKC2内の処理の変換と、チャネルインターフェースとDKC2内の処理速度の調整を行なう。具体的にはCPU1,DKC2間のチャネルインターフェースを光のインターフェースにした場合、光のインターフェースのプロトコルとDKC2内での電気処理でのプロトコルの変換を行なう。MP29の指示の元で、DCC25はDKC2内のデータ転送制御を行なう。C Adp26はキャッシュメモリ7に対するデータの読みだし、書き込みをMP29の指示で行う回路で、キャッシュメモリ7の状態の監視、各読みだし、書き込み要求に対し排他制御を行う回路である。キャッシュメモリ18からCAdp23により読み出されたデータはDCC25の制御によりCH IF24に転送され、逆にCH IF24から転送されてきたデータはDCC25の制御によりC Adp26に転送され、C Adp26によりキャッシュメモリ18に格納される。ドライブ側のC Adp27はチャネル側のC Adp26と同様にキャッシュメモリ7に対するデータの読みだし、書き込みをMP29の指示で行う回路で、キャッシュメモリ7の状態の監視、各読みだし、書き込み要求に対しC Adp26と共同で排他制御を行う回路である。Drive IF28はMP29の指示により、当該ドライブ4へ読み出しまたは書き込みに関するコマンドを発行する。」
B 「【0053】一方、書込みの場合は図5、6にフローチャートとして示すように、DCU7のMP(29)は元のデータと二重化データを格納するアドレスの決定後、格納先の両ドライブ4に対し書込みが可能な場合は即座にデータおよび二重化データを書き込む。しかし、一方のドライブ4が使用中で書込みが行なえない場合は、先に書き込める方のドライブ4に書込んでおき、他方には書き込み可能になり次第書き込む。なお、CPU1側では二重化データを書き込むことは認識しておらず、DKC2が独自に行なう。このようにCPU1からDKC2へ読み出し/書込み要求が来た場合はDCU7のMP(29)はデータ管理テーブル9を用いてDU3内のアドレス(当該ドライブアドレス、ドライブ内アドレス(シリンダアドレス、ヘッドアドレス))を決定した後、そのアドレスへ読み出し/書込みを行なう。」
イ 上記A及びBに記載された事項を踏まえると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「CPU1から書込み要求が来るディスク制御装置(DKC)2と,複数のドライブ4により構成されるドライブユニット(DU)3を備え,格納先の両ドライブ4に対し書込みが可能な場合は即座にデータおよび二重化データを書き込む一方,一方のドライブ4が使用中で書込みが行なえない場合は,先に書き込める方のドライブ4に書込んでおき,他方には書き込み可能になり次第書き込むマイクロプロセッサ(MP)29を備える二重化ディスクアレイ装置。」
2.引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開平11-15720号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
C 「【0009】本発明の他の目的は、複数のプロセスからのアクセス要求をまとめて発行し、ファイルの並列アクセスを総合的にスケジューリングするファイル入出力制御方法を提供することにある。」
D 「【0023】次にファイルサーバ18は、スケジュールステップ300を実行する。図9にスケジュールステップを示す。スケジュールステップは、ファイル入出力要求を発行したAP17が存在する計算機1上のファイルサーバ(18)上で動作する部分と、検索ステップによつてディスク装置ごとに分割されたアクセス要求に対応する計算機上のファイルサーバ上で動作する部分とに分かれる。前者のファイルサーバをローカルファイルサーバ、後者のファイルサーバをリモートファイルサーバと呼ぶ。スケジュールステップは、検索ステップで分割された要求608、609、606、611、612及び604を受け取る。まずステップ301で、受け取った要求を要求先となるファイルサーバごとに集める。ファイルサーバ15が動作する計算機5には、ディスク装置20、21が接続されているので、ディスク装置20、21に対する要求608、611、612を集める。ファイルサーバ16が動作する計算機6に対しては、ディスク装置22、23が接続されているので、ディスク装置22、23に対する要求609、606を集める。要求604に関しては、ゲートウェイを介して別のネットワークへアクセスする必要があるので、ゲートウェイ8上のファイルサーバ19に対する要求とする。次にステップ302で要求先の各ファイルサーバ(リモートファイルサーバ)に対して、集めた要求を同時に発行する。要求はファイル名、ディスク装置番号、アクセス種別、アクセス領域の先頭と最終オフセツト、アクセス経路が2つ以上ある場合の各ネットワーク識別子を含む。以降のステップは、各リモートファイルサーバ上で実行される。ただし領域Dに対する要求は、以下に説明するリモートファイルサーバとは若干異なった方法で処理される。」
3.引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開平7-64870号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
E 「【0018】
【実施例】図1は効率よく書込みを行うため分類された蓄積更新によってバッチ方式で交互に更新される2重化記憶ディスクを有する本発明によるディスク記憶サブシステム[Alternating Mirrors with Deferred Updates(AMD、据置更新による交互ミラー)と以下で呼ぶことがある]を組み込んだコンピュータシステムの好ましい実施例のブロック図である。これは制御装置ないし入出力プロセッサ(IOP)200、複数個の2重化ディスク対300-1ないし300-N、少なくとも一対のスペア・ディスク400、及び中央演算処理装置(CPU)100を含んでいる。制御装置200はCPU100に接続されており、プロセッサ210及び不揮発性メモリ220を有している。説明を簡単にするため、不揮発性メモリの各々が2重化対に対応している領域220-1ないし220-Nに分割されているものと想定する。
・・・(略)・・・
【0020】各2重化ディスク対はディスク対300-1に対する300-a1及び300-b1という2つのディスク(したがって、ディスク対300-Nに対しては300-aNと300-bN)からなっている。各2重化対の2つのディスクは基本的に同一のデータを収納している。しかしながら、以下の説明から理解されるように、各2重対のディスクに対する更新は、従来の2重化ディスクの場合のように、同時に行われるものではない。その代わりに、本発明によれば、更新は不揮発性メモリ220に蓄積され、更新のバッチに記憶され、これが対となった2つのディスクに同時にではなく、まず一方に、その後他方へ適用される。さらに、同一の更新は最終的には対となった2つのディスクの各々に適用されるのであるが(両方のディスクに適用される前に、不揮発性メモリ220内でさらに更新されたために古いものとなってしまった更新は除く)、各ディスクに独立して行われる更新のバッチは一般に、これらが別な時間に適用され、データの新しいブロックが対の各ディスクの独立したバッチに含まれているので、同一のものではない。」
4.参考文献に記載された事項
本願出願前公知の文献である特開2000-20249号公報(以下,「参考文献」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
F 「【0041】図4は、本発明のデータ保護方法を適用したディスク装置のディスクドライバ(図6の構成の場合はコントローラまたはディスクドライバ)の動作例を示すフローチャートである。
・・・(略)・・・
【0045】上記ステップS6で、アプリケーションプログラムが終了した場合には、ログ領域24に書込み位置情報等の情報を書込むと共に(S9)、書込み位置情報を基にデータ書込み領域22に今回書込んだ情報を取り出して、バックアップ領域23の対応する位置に書込み(S10)、プログラム終了状態フラグおよび電源遮断状態フラグをオフ(=0)にして動作を終了する(S11)。」
G 「【0052】図6は、本発明のディスク装置の書込みデータ保護方法を適用したディスク装置の一実施例の主要部の構成を示すブロック図であり、RAID1により複数2台(または2×n個)のディスクを用いてデータを二重化する場合の例である。また、図6で、(a)はアプリケーションプログラムの通常動作中のディスクへのアクセス状態を示し、(b)はアプリケーションプログラムの終了時または電源オフ(或いは電源オン)時のディスクへのアクセス状態を示す図である。
【0053】図1で、ディスク装置100’はコントローラ(またはディスクドライバ)4と2台のディスク2-1,2-2を備えている。ディスク2-1,2-2はデータファイル領域が確保されるデータ書込み領域22-1,22-2とバックアップデータを書込むバックアップ領域23-1,23-2およびログ領域24-1,24-2を有している。これら領域22~24はディスクの物理的連続領域をメーカー側で予め分割して集荷するか、或いはディスクのフォーマット時に割り付けられる。なお、実施例では制御プログラムやアプリケーションプログラムおよびユティリティプログラム等はディスク装置100’に図示しない回線等を介して接続するホストコンピュータ3側で持つように構成したが、アプリケーションプログラムをデータファイルとしてデータ書込み領域22-1,22-2に書込むようにしてもよい。
・・・(略)・・・
【0055】図6の例では、RAID1によりディスク2-1および2-2に同一タイミングで同じデータが書込まれデータが二重化されるのでディスク装置のハードウエア上の誤動作や欠陥に伴うデータ書込みエラーを防止できる。また、本発明によるデータ保護方法によりデータ書込み領域へのデータの書込みとバックアップデータ領域へは同一データが書込まれるが、図4のフローチャートに示したと同様の動作により書込みのタイミングがずらされているので、RAID1でアプリケーションプログラムの誤動作によって異常データがディスク2-1,2-2に同時に書込まれても、バックアップ領域24-1,24-2には異常データが書込まれないので、アプリケーションプログラムの誤動作があってもデータ回復を行なうことができる。」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。
ア 引用発明における「CPU1」,「ディスク制御装置(DKC)2」,「二重化ディスクアレイ装置」は,それぞれ,本願発明1の「外部の装置」,「受付手段」,「冗長化記憶制御装置」に相当する。
イ 引用発明における「書込み要求」は,本願発明1の「書き込み要求」に相当する。
ウ したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点及び相違点があるといえる。
(一致点)
外部の装置から,書き込み要求を受け取る受付手段と,
を備えたことを特徴とする冗長化記憶制御装置。
(相違点1)
本願発明1は,書き込み要求として「第1のデータ書き込み要求及び第2のデータ書き込み要求」があるのに対し,引用発明は,書き込み命令について,第1の書き込み命令及び第2の書き込み命令があるとは特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1は,「外部の第1の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を第1の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第2の時間帯で実行させるための第1のスケジュール、及び
外部の第2の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第2の時間帯とは重ならない第3の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第4の時間帯で実行させるための第2のスケジュール
を生成するスケジューリング手段」を備えるのに対して,
引用発明は,一方のドライブ4が使用中で書込みが行なえない場合は,先に書き込める方のドライブ4にデータの書き込みを開始する時点と,他方のドライブ4にデータの書き込みを開始する時点が異なるものの,複数のドライブ4に対して複数のデータの書き込みを行う時間帯が重ならないようにスケジュールするスケジュール手段を備えることは特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み,先に相違点2について検討する。
相違点2に係る本願発明1の「外部の第1の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を第1の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第2の時間帯で実行させるための第1のスケジュール、及び
外部の第2の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第2の時間帯とは重ならない第3の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第4の時間帯で実行させるための第2のスケジュール
を生成するスケジューリング手段」について,
引用文献2に記載されたスケジューリングは,アクセス要求に係るものであって,書き込み要求に係るスケジューリングではないので,引用文献2にも,本願発明1の相違点2に係る上記スケジュール手段を備えることは記載されていない。
また,引用文献3及び参考文献のいずれにも,本願発明1の相違点2に係る上記スケジュール手段が記載されておらず,該相違点は,当業者にとって周知技術または技術常識であるとは言えない。
したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3,参考文献に記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-7について
本願発明2-7も,本願発明1の「外部の第1の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を第1の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第2の時間帯で実行させるための第1のスケジュール、及び
外部の第2の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第2の時間帯とは重ならない第3の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第4の時間帯で実行させるための第2のスケジュール
を生成するスケジューリング手段」と同一の構成を備えるものであるから,上記「1 本願発明1について」と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3,参考文献に記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明8について
本願発明8は,本願発明1に対応する方法の発明であり,本願発明1の「外部の第1の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を第1の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第2の時間帯で実行させるための第1のスケジュール、及び
外部の第2の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第2の時間帯とは重ならない第3の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第4の時間帯で実行させるための第2のスケジュール
を生成するスケジューリング手段」に対応する構成を備えるものであるから,上記「1 本願発明1について」と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3,参考文献に記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
4 本願発明9について
本願発明9は,本願発明1に対応するプログラムの発明であり,本願発明1の「外部の第1の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を第1の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第2の時間帯で実行させるための第1のスケジュール、及び
外部の第2の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第2の時間帯とは重ならない第3の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第4の時間帯で実行させるための第2のスケジュール
を生成するスケジューリング手段」に対応する構成を備えるものであるから,上記「1 本願発明1について」と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3,参考文献に記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定について
1 理由1(特許法第29条第2項)について
原査定は,請求項1-9について上記引用文献1-3に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら,令和元年7月19日付け手続補正により補正された請求項1,8,9は,それぞれ「外部の第1の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を第1の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第2の時間帯で実行させるための第1のスケジュール、及び
外部の第2の記憶装置に対し、前記受付手段によって受け取られた前記第2のデータ書き込み要求に対する処理を前記第2の時間帯とは重ならない第3の時間帯で実行させ、前記受付手段によって受け取られた前記第1のデータ書き込み要求に対する処理を前記第1の時間帯とは重ならない第4の時間帯で実行させるための第2のスケジュール
を生成するスケジューリング手段」に対応する構成を有するものとなっており,上記第4で示したとおり,本願発明1-9は,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3,参考文献に記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定を維持することはできない。
2 理由2(特許法第36条第6項第2号)について
原査定は,請求項8に記載された方法の発明は,当該方法を構成するそれぞれの工程の主体が明らかにされないことから,依然として,コンピュータ等のハードウェア資源の動作によって実現される方法の発明であるのか,あるいは,人間が,コンピュータを操作しながら,各工程をコンピュータに指示する操作方法に関する発明であるのかが明確でないので,特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら,平成30年10月23日付けの手続補正により,「受付手段と,スケジューリング手段とを備えた冗長化記憶制御装置」として動作する情報処理装置の冗長化記憶制御方法と補正された結果,この拒絶理由は解消した。
第6 当審拒絶理由について
当審では,請求項1,8,9における「第1の時点」,「第2の時点」,「第3の時点」及び「第4の時点」の記載について,「時点」とは,「時間の流れの上の,ある一点」を指すものと認められるところ,
「時点」という言葉を,このように解釈した場合,本願明細書の【0037】段~【0046】段,【図3】の記載に基づき,「第1の時点」を「2T」の時刻,「第2の時点」を「3T」の時刻とした場合,例えば,「第4の時点」とは「2.5T」の時刻,「第3の時点」とは「3.5T」の時刻である場合を含むものと認められ,
例えば,「2.5T」~「3T」の時刻に渡り,データ1について,第1の書き込み先への書き込みタイミングと,第2の書き込み先への書き込みタイミングが重なるものと認められ,「2.5T」~「3T」の時刻の間でヘッドクラッシュ等の障害が発生した場合,第1の書き込み先,第2の書き込み先とも,データ1についてデータ損失が生じるものと認められるので,
請求項1-9に係る発明は,本願明細書の【0014】段に記載された「装置全体に同時に障害が発生した場合のデータ書き込みの耐障害性を向上する」という本願の目的を達成できず,発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されていないとの拒絶理由を通知したが,令和元年7月19日付けの手続補正において,請求項1,8,9が「第1の時間帯」,「前記第1の時間帯とは重ならない第2の時間帯」,「前記第2の時間帯とは重ならない第3の時間帯」,「前記第1の時間帯とは重ならない第4の時間帯」と補正された結果,この拒絶理由は解消された。
第7 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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2018-014032