特許拒絶査定不服審判
2018-010557
情報コード生成方法、情報コード、及び情報コード利用システム
- 審判番号
- 2018-010557
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-102610外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年08月02日
- 審決日
- 2019年02月04日
- 公報発行日
- 2019年03月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社デンソーウェーブ
- 【請求人代理人】田下 明人
- 分類
- P18 .537-WY (G06K) / P18 .121-WY (G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-102610「情報コード生成方法,情報コード,及び情報コード利用システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月 7日出願公開,特開2015-219709,請求項の数(32)〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は,特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成26年5月16日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 1月25日付け:拒絶理由通知書
平成30年 3月26日 :意見書,手続補正書の提出
平成30年 5月 1日付け:拒絶査定(原査定)
平成30年 8月 2日 :審判請求書,手続補正書の提出
平成30年12月 7日付け:拒絶理由通知書(当審)
平成30年12月25日 :意見書,手続補正書の提出
第2 本願発明
本願請求項1-32に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明32」という。)は,平成30年12月25日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-32に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセルを配列した情報コードを情報コード生成装置によって生成する情報コード生成方法であって、
前記コード領域の内部に、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域と、複数種類の前記セルによってデータを記録するデータ記録領域と、を設け、前記特定パターン領域の少なくとも一部をなす特定部位のみを、前記コード領域内に記録される記録内容又は前記コード領域に表される表示内容の少なくともいずれかのコード内容に関するランクを形状、模様、色彩、若しくはそれらの組み合わせによって表すことを特徴とする情報コード生成方法。」
なお,本願発明2-32の概要は以下のとおりである。
本願発明2-9は,本願発明1を減縮した発明である。
本願発明10-18は,本願発明1-9に対応する情報コードの発明であり,本願発明1-9とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明19は,本願発明1により生成された情報コードを表示する情報コード利用システムの発明であり,本願発明1を減縮し,本願発明1とカテゴリ表現が異なる発明である。
そして,本願発明20-23,25-32は,本願発明19を減縮した発明である。
本願発明24は,本願発明1に対応する情報コード利用システムの発明であり,本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
第3 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由で引用された本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2006-31681号公報(平成18年2月2日出願公開。以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。)。
「【0001】
本発明はバーコード作成装置、バーコード作成方法及びプログラムに係り、特に2次元バーコード、1次元バーコード、その他のバーコードを作成するバーコード作成装置、バーコード作成方法及びプログラムに関する。」
「【0003】
例えば、QRコード(登録商標)と呼ばれる2次元バーコードは、外観が四角形であって、四角形内に最小単位である白黒のセルを2次元マトリックス状に多数配置して情報を表すようになっている。また、QRコード(登録商標)は、四角形の4つの角のうちの3つの角に配置した位置検出パターン(切り出しシンボル、ファインダパターンともいう)や、これらの位置検出パターンの間に配置されたタイミングパターンなどを2次元バーコード内に配置することによりクイックリードを可能にしている。」
「【0061】
次に、第1実施形態における2次元バーコード作成の処理の流れについて、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0062】
なお、以下の説明において、バーコード作成装置10は、2次元バーコード作成ツール(プログラムである)を実行するコンピュータ装置によって構成されている。また、2次元バーコードを読み取る端末装置は、カメラ付きの携帯電話によって構成されている。
・・・(中略)・・・
【0064】
図4に示すように管理テーブル1100は、2次元バーコードを読み取った携帯電話で起動される各機能ごとに、識別子、バーコード色、表示文字、表示マーク、表示色が設定された表である。
・・・(中略)・・・
【0066】
「識別子」は、2次元バーコードに符号化する原情報の中に含まれるべき要素であって、各機能を識別可能な要素が設定される。例えば、「mailto:」は、「メール」機能の識別子である。また、例えば、「http://」は、「Web」機能の識別子である。
【0067】
「バーコード色」は、2次元バーコードの色であって、各機能に対応する色が設定される。例えば、「メール」機能には青(blue)を設定し、「Web」機能には赤(red)を設定する。
・・・(中略)・・・
【0081】
出力指示が行われると、まず、2次元バーコードに埋め込む表示文字及び表示マークの特定を行う(S24)。具体的には、管理テーブル1100を参照して、特定した機能に対応する表示文字及び表示マークを読み出す。
【0082】
なお、2次元バーコードの着色のみ行う場合には、管理テーブル1100に表示文字及び表示マークは設定されておらず、2次元バーコードに埋め込む表示文字及び表示マークはないと判定される。また、表示文字(例えば「M」)の埋め込みのみ行う場合には、管理テーブル1100に表示マークは設定されておらず、2次元バーコードに埋め込む表示マークはないと判定される。また、表示マーク(例えば郵便図形)の埋め込みのみ行う場合には、管理テーブル1100に表示文字は設定されておらず、2次元バーコードに埋め込む表示文字はないと判定される。
【0083】
次に、2次元バーコードの色と表示文字及び表示マークの色とを特定する(S26)。具体的には、管理テーブル1100を参照して、特定した機能に対応する2次元バーコードの色(バーコード色)と表示文字及び表示マークの色(表示色)とを読み出す。
・・・(中略)・・・
【0085】
次に、原情報の符号化を行う(S28)。例えば、機能が「メール」であって、原情報が「mailto:XXXX」である場合には、この原情報がQRコード(登録商標)として規格化された所定のフォーマットで符号化されて、図5(a)に示すような原2次元バーコードのビットマップが生成される。
【0086】
次に、2次元バーコードの編集を行う(S30)。例えば、機能が「メール」であって、管理テーブル1100において「メール」機能に関連付けられた「バーコード色」が青色(blue)である場合には、2次元バーコードの色を青色に設定する。また、管理テーブル1100において「メール」機能に関連付けられた「表示文字」が「M」であって、「表示色」が黒色(black)である場合には、「M」を黒色で2次元バーコードに埋め込む。また、管理テーブル1100において「メール」機能に関連付けられた「表示マーク」が郵便図形であって、「表示色」が黒色(black)である場合には、郵便図形を黒色で2次元バーコードに埋め込む。」
(2)上記記載から,引用文献1には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 引用文献1に記載された技術は,2次元バーコードの作成方法に関するものである(【0001】,【0061】)。
また,当該2次元バーコードの作成は,バーコード作成装置により行われるものである(【0062】)。
イ 2次元バーコードであるQRコードは,外観が四角形であって,当該四角形内に最小単位である白黒セルを2次元マトリックス状に多数配置して情報を表すものであり,また,位置検出パターンやタイミングパターンを2次元バーコード内に配置するものである(【0003】)。
ウ 管理テーブルに設定されたバーコード色は,2次元バーコードを読み取った携帯電話で起動される各機能に対応する色である(【0064】,【0067】)。
エ 2次元バーコードに符号化される原情報には,各機能を識別可能な要素である識別子が含まれる(【0066】)。
オ 出力指示が行われると,原情報がQRコードとして規格化された所定のフォーマットで符号化されて生成されるビットマップにより原2次元バーコードが構成され(【0081】,【0085】),2次元バーコードの着色のみ行う場合には,2次元バーコードの色を,管理テーブルにおいて(特定した)機能に関連付けられたバーコード色に設定する(【0082】,【0083】,【0086】)。
(3)上記(1),(2)から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 四角形内に最小単位である白黒セルを2次元マトリックス状に配置して情報を表すQRコードである2次元バーコードをバーコード作成装置により作成する2次元バーコードの作成方法であって,
原情報がQRコードとして規格化された所定のフォーマットで符号化されたビットマップで構成される2次元バーコードが生成され,当該2次元バーコード内には位置検出パターンやタイミングパターンが配置されており,2次元バーコードの着色のみ行う場合には,前記位置検出パターンやタイミングパターンを含む2次元バーコードを,前記2次元バーコードに符号化された原情報に含まれる識別子により識別可能な機能に対応するバーコード色に設定する2次元バーコードの作成方法。」
2 引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由で引用された本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2014-71469号公報(平成26年4月21日出願公開。以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。)。
「【0021】
(情報コードの構成)
情報コード100は、明色セルCw及び暗色セルCbが配列されてなり且つ切り出しシンボル(位置検出パターン)が1つである二次元コード(第1の二次元コードMQ1、第2の二次元コードMQ2、第3の二次元コードMQ3)がこれら二次元コードよりもサイズの大きい所定領域内(矩形領域AR1内)に配置されている。第1の二次元コードMQ1、第2の二次元コードMQ2、第3の二次元コードMQ3は、いずれも公知のマイクロQRコードとして構成されており、具体的には、例えば、JISX0510:2004の附属書1に規定されたマイクロQRコードとして構成されている。この第1の二次元コードMQ1、第2の二次元コードMQ2、第3の二次元コードMQ3の切り出しシンボル(位置検出パターン)Fm1~Fm3は、中央部に3行3列の暗色セルの矩形領域が配され、その周囲を1セル幅の明色セル群によって矩形状且つ環状に囲んでいる。更に、その環状の明色セル群の周囲を1セル幅の暗色セル群によって矩形状且つ環状に囲んでいる。
・・・(中略)・・・
【0025】
そして、矩形領域AR1において、第1の二次元コードMQ1(二次元コード)、第2の二次元コードMQ2、及び第3の二次元コードMQ4が配置される領域以外の残余領域には、デザインの領域又は情報を記録した記録領域の少なくともいずれかが設けられている。図1では、「ABCD」という事業主体の情報が、商標として記録領域D1に記録されており、この記録領域D1は、商標を表示するデザイン領域としても機能している。
【0026】
第1の二次元コードMQ1、第2の二次元コードMQ2、第3の二次元コードMQ3に記録する情報は特に限定されるものではないが、例えば、図2(A)のような情報を記録することができる。図2(A)では、「ABCD」という事業主体(例えば企業名)のウェブ上のサイト(ホームページ)にアクセスするためのアドレス(URL)が記録されており、このアドレスの記号列を、3つに分割して第1の二次元コードMQ1、第2の二次元コードMQ2、第3の二次元コードMQ3にそれぞれ記録している。」
(2)上記記載から,引用文献2には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 矩形領域AR1内には,第1乃至第3の二次元コードMQ1-MQ3が配置されており,これら以外の残余領域には,デザインの領域又は情報を記録した記録領域のいずれかが設けられている(【0021】,【0025】)。
イ 第1乃至第3の二次元コードのそれぞれには,URLの記号列を3つに分割した各部分が記録されている(【0026】)。
(3)上記(1),(2)から,引用文献2には,次の技術的事項が記載されていると認められる。
「3つの二次元コードを矩形領域内に配置し,当該二次元コード以外の残余領域には,デザインの領域又は情報を記録した記録領域のいずれかを設けるとともに,当該二次元コードのそれぞれには,URLの記号列を3つに分割した各部分を記録すること。」
3 引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由で引用された本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開平7-254037号公報(平成7年10月3日出願公開。以下,「引用文献3」という。)には,図面とともに,次の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。)。
「【0025】
【実施例】図1に一実施例としての二次元コード1の構成を示す。本二次元コード1は、3個の位置決め用シンボル2、データ領域3、タイミングセル4、頂点検出用セル5から構成されている。これら全体はセル数が縦横同数(21セル×21セル)の正方形状に配置されている。各セルは、光学的に異なった2種類のセルから選ばれており、図および説明上では白(明)・黒(暗)で区別して表す。尚、タイミングセル4は、1/1傾斜の交互明暗セルに該当し、頂点検出用セル5はタイミングセル4も兼ねている。また、図1では便宜上データ領域3にはまだデータが記載されていない白紙の状態を示している。
【0026】位置決め用シンボル2は、二次元コード1の4つの頂点の内、3つに配置されている。そのセルの明暗配置は、黒部からなる正方形2a内の中心に白部からなる縮小した正方形2bが形成され、その内の中心に黒部からなる更に縮小した正方形2cが形成されているパターンである。
【0027】この位置決め用シンボル2をスキャンした場合の明暗検出を図2に示す。図2(A)に示すように、位置決め用シンボル2の中心を代表的な角度で横切る走査線(a),(b),(c)での明暗検出パターンは、図2(B)に示すごとく、すべて同じ周波数成分比を持つ構造になっている。即ち、位置決め用シンボル2の中心を横切るそれぞれの走査線(a),(b),(c)の周波数成分比は暗:明:暗:明:暗=1:1:3:1:1となっている。勿論、走査線(a),(b),(c)の中間の角度の走査線においても比率は1:1:3:1:1である。」
「【0058】上記実施例では、位置決め用シンボル2を二重の正方形で、中心を横切る周波数成分比が黒:白:黒:白:黒=1:1:3:1:1の図形で示したが、図11(a)のように円形でもよく、図11(b)のように六角形でもよく、また他の正多角形でも良い。即ち、同心状に相似形の図形が重なり合う形に形成したものであればよい。さらに、中心を横切る周波数成分比があらゆる角度で同じならば、図11(c)に示すごとく、上記図形を何重にしても良い。」
(2)上記記載から,引用文献3には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 二次元コードは,3個の位置決め用シンボル,データ領域3,タイミングセル,頂点検出用セルから構成され,当該位置決め用シンボルは,二次元コードの4つの頂点の内,3つに配置されている(【0025】,【0026】)。
イ 位置決め用シンボルは,二重の正方形で,中心を横切る周波数成分比が黒:白:黒:白:黒=1:1:3:1:1の図形で構成されるほか,正多角形といった同心状に相似形の図形が重なり合う形に形成することができるものである(【0027】,【0058】)。
(3)上記(1),(2)から,引用文献3には,次の技術的事項が記載されていると認められる。
「3個の位置決め用シンボル,データ領域3,タイミングセル,頂点検出用セルから構成される二次元コードにおいて,二次元コードの4つの頂点の内3つに配置される前記位置決め用シンボルは,二重の正方形で,中心を横切る周波数成分比が黒:白:黒:白:黒=1:1:3:1:1の図形や,同心状に相似形の図形が重なり合う図形で構成すること。」
4 引用文献4について
(1)原査定の拒絶の理由で引用された本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2012-226710号公報(平成24年11月15日出願公開。以下,「引用文献4」という。)には,図面とともに,次の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。)。
「【0043】
図4は、情報コード生成装置1の動作を説明するためのフローチャートである。まず、ステップS10において、入力部2からコード化対象の情報を受け取ると、単位コード生成部3は、4色の要素色に対応する単位コードを生成するため、コード化対象の情報を4つに分割する。例えば、社名、住所、電話番号、およびウェブサイトのURLを含む企業に関する情報をコード化対象とする場合に、単位コード生成部3は、コード化対象の情報を、社名、住所、電話番号、URLの4つに分割する。ここでは、社名、住所、電話番号、URLの各情報は、図3に示したような公知の白黒のQRコード20では格納できない大きさの情報であるものとする。
【0044】
次いで、ステップS20において、単位コード生成部3は、分割した情報を4色の要素色に割り当て、既存のQRコードにおけるコード化の規則に従って、各要素色に対応する単位コードを生成する。ここで、単位コード生成部3は、分割した情報を各要素色に割り当てる際、元の情報の先頭側から、予め決定された色順で割り当てるようにする。
【0045】
図5(a)は、要素色のうちの黒色に対応する単位コード30Kの一例を示す図、図5(b)は、シアンに対応する単位コード30Cの一例を示す図、図5(c)は、マゼンタに対応する単位コード30Mの一例を示す図、図5(d)は、イエローに対応する単位コード30Yの一例を示す図である。単位コード30K,30C,30M,30Yは、図1に示したような周知のQRコードの黒色の表示部分を、それぞれに対応する要素色で表示したものである。つまり、単位コード30K,30C,30M,30Yでは、各セル24は、対応する要素色または白色で表示される。また、単位コード30K,30C,30M,30Yの位置検出パターン22a,22b,22cも、対応する要素色を用いて表示される。
・・・(中略)・・・
【0047】
次いで、ステップS30において、合成部4は、単位コード30K,30C,30M,30Yを重ね合わせて合成した情報コードを生成する。図6は、単位コード30K,30C,30M,30Yを重ね合わせる様子を概念的に示す図である。合成部4は、図6のように単位コード30K,30C,30M,30Yを重ね合わせたときに、白色と要素色とが重なるセル24は要素色とし、2色以上の要素色が重なるセル24はそれらを混色した色とする。また、合成部4は、白色のみが重なるセル24については白色とし、位置検出パターン22a,22b,22cについては、全要素色を混色した濃度「1」の黒色とする。このような重ね合わせによって形成される色(合成色)は、図7に示す色番号C-1~C-16の16通りである。図7において、例えば、色番号C-6は、シアンとイエローとが合成された緑色であることを示す。色番号C-1~C-16の各色に対応する要素色の組み合わせは一意に決まるものである。」
「【0090】
なお、第1の実施の形態では、情報コード40の位置検出パターン22a,22b,22cが、全要素色を混色した濃度「1」の黒色の基準色を示す基準パターンであるとしたが、位置検出パターン22a,22b,22cに他の色の基準色を提示するようにしてもよい。例えば、各要素色(シアン、マゼンタ、イエロー、黒色)、すべての要素色の混色により形成される黒色、減法混色の3原色の混色により形成される黒色、の少なくともいずれかの基準色を示すようにすることができる。
【0091】
基準色の提示の一例を図13に示す。図13では、位置検出パターン22a,22b,22cの中心部27をそれぞれシアン、マゼンタ、イエローの基準色とし、外枠25をすべての要素色(シアン、マゼンタ、イエロー、黒色)の混色により形成される黒色の基準色としている。情報コード40が印刷媒体に印刷される場合に、使用される印刷媒体や印刷装置の種類によって、情報コード40の色合いが異なる可能性がある。情報コード読取装置50において、上記のように情報コード40に提示された基準色を基準としてデータ領域21内の各色を判断することで、情報コード40が印刷される印刷媒体等の種類によらず、読み取り誤差を低減し、正確な読み取りが可能となる。」
(2)上記記載から,引用文献4には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア コード化対象の情報は,4つに分割され,分割した情報は4色の要素色に割り当てられ,既存のQRコードにおけるコード化の規則に従って各要素色に対応する単位コードが生成され,さらに,当該単位コードを重ね合わせて合成した情報コードが生成される(【0043】,【0044】,【0045】,【0047】)。
イ 単位コードを合成して生成された情報コードは,3つの位置検出パターンを,全要素色を混色した濃度「1」の黒色の基準色を示す基準パターンとするほか,それぞれ各要素色とすることもできるものである(【0090】,【0091】)。
(3)上記(1),(2)から,引用文献4には,次の技術的事項が記載されていると認められる。
「4分割したコード化対象の情報のそれぞれを4色の要素色に割り当てて,既存のQRコードにおけるコード化の規則に従って生成した各要素色に対応する単位コードを合成して生成した情報コードにおいて,3つの位置検出パターンを,全要素色を混色した濃度「1」の黒色の基準色とするほか,それぞれ各要素色の基準色とすること。」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「最小単位である白黒セル」は,2次元マトリックス状に配置して情報を表すものであるから,「情報を表示する単位となる」点において,本願発明1の「セル」に一致する。
そして,引用発明の「QRコードである2次元バーコード」及び「バーコード作成装置」は,それぞれ本願発明1の「情報コード」及び「情報コード生成装置」に相当するから,引用発明の「四角形内に最小単位である白黒セルを2次元マトリックス状に配置して情報を表すQRコードである2次元バーコードをバーコード作成装置により作成する2次元バーコードの作成方法」は,「所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセルを配列した情報コードを情報コード生成装置によって生成する」点において,本願発明1の「情報コード生成方法」に一致する。
(イ)引用発明の「位置検出パターンやタイミングパターン」は,QRコードの技術仕様から,「予め定められた形状の特定パターン」であり,2次元バーコード内の特定の領域(本願発明1の「特定パターン領域」)に配置されるものであることが明らかである。
また,引用発明の「ビットマップ」は,上記「最小単位である白黒セル」により構成されるものであることが明らかであり,また,当該白黒セルは,白色と黒色の2種類が存在することから「複数種類」が存在するものであるといえ,さらに,引用発明の「原情報」は本願発明1の「データ」に相当するから,引用発明の「原情報がQRコードとして規格化された所定のフォーマットで符号化されたビットマップで構成される2次元バーコード」は,「複数種類の前記セルによってデータを記録する」ものであるといえ,当該記録のための領域(本願発明1の「データ記憶領域」)も当然に有しているといえる。
してみれば,引用発明の「原情報がQRコードとして規格化された所定のフォーマットで符号化されたビットマップで構成される2次元バーコードが生成され,当該2次元バーコード内には位置検出パターンやタイミングパターンが配置されて」いる「2次元バーコードの作成方法」は,「前記コード領域の内部に、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域と、複数種類の前記セルによってデータを記録するデータ記録領域と、を設け」るものである点において,本願発明1の「情報コード生成方法」に一致する。
(ウ)引用発明の「前記2次元バーコードに符号化された原情報に含まれる識別子による識別可能な機能」は,本願発明1の「前記コード領域内に記録される記録内容」に相当するから,同様に,本願発明1の「前記コード領域内に記録される記録内容又は前記コード領域に表される表示内容の少なくともいずれかのコード内容」に相当するといえる。
してみれば,引用発明の「前記位置検出パターンやタイミングパターンを含む2次元バーコードを,」当該「機能に対応するバーコード色に設定する2次元バーコードの作成方法」は,上位概念において,「前記コード領域内に記録される記録内容又は前記コード領域に表される表示内容の少なくともいずれかのコード内容に関する情報を形状、模様、色彩、若しくはそれらの組み合わせによって表すことを特徴とする」ものである点において,本願発明1の「情報コード生成方法」に一致する。
イ 以上のことから,本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。
(一致点)
「 所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセルを配列した情報コードを情報コード生成装置によって生成する情報コード生成方法であって、
前記コード領域の内部に、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域と、複数種類の前記セルによってデータを記録するデータ記録領域と、を設け、前記コード領域内に記録される記録内容又は前記コード領域に表される表示内容の少なくともいずれかのコード内容に関する情報を形状、模様、色彩、若しくはそれらの組み合わせによって表すことを特徴とする情報コード生成方法。」
(相違点)
(相違点1)
「前記コード領域内に記録される記録内容又は前記コード領域に表される表示内容の少なくともいずれかのコード内容に関する情報」に関し,本願発明1は,「前記特定パターン領域の少なくとも一部をなす特定部位のみを、」形状、模様、色彩、若しくはそれらの組み合わせによって表すものであるのに対し,引用発明は,「前記位置検出パターンやタイミングパターンを含む2次元バーコードを,」対応するバーコード色に設定するものである点。
(相違点2)
「前記コード領域内に記録される記録内容又は前記コード領域に表される表示内容の少なくともいずれかのコード内容に関する情報」として表す情報が,本願発明1は,当該「コード内容に関するランク」であるのに対し,引用発明は,当該「コード内容(識別子)が識別可能な機能」である点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると,上記相違点1に係る本願発明1の「前記特定パターン領域の少なくとも一部をなす特定部位のみを、前記コード領域内に記録される記録内容又は前記コード領域に表される表示内容の少なくともいずれかのコード内容に関する情報を形状、模様、色彩、若しくはそれらの組み合わせによって表す」という構成(以下,「相違構成」という。)は,上記引用文献2-4のいずれにも記載されておらず,当業者にとって自明な事項でもない。
また,引用発明に,上記引用文献2-4に記載の技術的事項のいずれを適用しても,本願発明1の上記相違構成を想到することは適宜なし得たとすることもできない。
したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2-9について
本願発明2-9は,本願発明1を減縮した発明であり,よって,本願発明1の上記相違構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明10-18について
本願発明10-18は,本願発明1-9に対応する情報コードの発明であり,よって,本願発明1の上記相違構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 本願発明19について
本願発明19は,本願発明1により生成された情報コードを表示する情報コード利用システムの発明であって,本願発明1を減縮し,本願発明1とカテゴリ表現が異なる発明であり,本願発明1の上記相違構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
5 本願発明20-23,25-32について
本願発明20-23,25-32は,本願発明19を減縮した発明であり,よって,本願発明1の上記相違構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
6 本願発明24について
本願発明24は,本願発明1に対応する情報コード利用システムの発明であり,よって,本願発明1の上記相違構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
(特許法第29条2項について)
原査定は,請求項1-32について上記引用文献1-4に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとしたものである。
しかしながら,平成30年12月25日付け手続補正により補正された請求項1-32に係る発明は,それぞれ前記「第4」で検討した相違点1に係る上記相違構成と同一の構成を備えるものであるから,上記のとおり,本願発明1と同じ理由により,上記引用発明及び上記引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
(特許法第36条第6項第2号について)
当審では,
(1)請求項1-32の記載について,「予め定められた位置」と「特定部位」の関係を明確に把握できない;
(2)請求項1-32の記載について,「前記特定パターン領域の少なくとも一部をなす予め定められた位置の特定部位を、前記コード領域内に記録される記録内容又は前記コード領域に表される表示内容の少なくともいずれかのコード内容に関する種別としてランク分けされた情報を特定する模様、色彩、若しくはそれらの組み合わせによって表す」との記載は,日本語の文章としてその意味するところが明確でない;
(3)請求項2-9,11-18,25-32の記載について,請求項2等に記載の「所定の表示対象」と,請求項2等が引用する請求項1等に記載された「表示内容」とは,その異同が明確でない;
との拒絶の理由を通知しているが,平成30年12月25日付け手続補正により特許請求の範囲の記載が補正された結果,この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり,本願発明1-32は,当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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2018-010557