特許拒絶査定不服審判
2018-008412
血管内ライン及びポートクリーニング方法、血管内に薬品を投与する方法、血液を採取し検査する方法、並びにこのような方法を実施するデバイス
- 審判番号
- 2018-008412
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-560059外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年06月19日
- 審決日
- 2019年08月15日
- 公報発行日
- 2020年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ハイプロテック、 インク.
- 【請求人代理人】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A61M) / P18 .113-Z (A61M) / P18 .575-Z (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-560059「血管内ライン及びポートクリーニング方法、血管内に薬品を投与する方法、血液を採取し検査する方法、並びにこのような方法を実施するデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 6日国際公開、WO2013/130891、平成27年 3月23日国内公表、特表2015-508699〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)2月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年2月29日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成28年11月25日付けの拒絶理由通知に対し、平成29年2月28日に意見書及び手続補正書が提出され、その後、同年7月19日付けの最後の拒絶理由通知に対し、同年12月25日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成30年2月7日付けで、平成29年12月25日にされた手続補正について補正の却下の決定がされるとともに拒絶査定がされ、これに対し、平成30年6月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲についての手続補正がされたものである。
第2 平成30年6月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年6月19日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、次の内容を含むものである。
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に
「【請求項1】
プランジャを受けるように構成した開口から針及び/又は医療用チューブと結合するように構成した端部まで延在する注射器シリンダと、
前記端部に結合するように構成したキャップと、
前記キャップ及びシリンダ端部のみを部分的に包囲するバリヤ材と、
を具備することを特徴とする注射器組立体。」
とあるのを、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1として、
「【請求項1】
プランジャを受けるように構成した開口から針及び/又は医療用チューブと結合するように構成した端部まで延在する注射器シリンダと、
LEUR-LOK嵌合部の端部に結合するように構成したキャップと、
前記キャップ及びシリンダ端部のみを部分的に包囲するバリヤ材と、
を具備することを特徴とする注射器組立体。」
と補正する(補正箇所に下線を付した。)。
2 補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記端部」における「端部」について、上記下線部のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について、以下に検討する。
3-1 本願補正発明
本願補正発明は、上記1に本件補正後の発明として記載したとおりのものである。
3-2 引用文献の記載事項
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった実願平2-11125号(実開平3-101960号)のマイクロフィルム(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。
1a:明細書第1頁第4行~最終行
「2.実用新案登録請求の範囲
シリンダ筒の先端に突設された注射針取付部にキヤツプが装着されているとともに基端側からピストンロツド先端のピストンが所定位置まで嵌装され所定量の薬液が封入されている薬液入り注射器において、前記シリンダ筒の先端部とキヤツプとを包んで封印具が熱収縮により密着して被せられていることを特徴とする薬液入り注射器。
3.考案の詳細な説明
[産業上の利用分野]
本考案は予め内部に所定量の薬液を封入してなる薬液入り注射器に関するものである。」
1b:明細書第5頁第4行~第7頁第11行
「第1図および第2図は本考案の一実施例を示すものであり、従来の薬液入り注射器と同様にシリンダ筒2の先端に突設された注射針取付部4に例えばブチルゴムなどにより形成された基部51の外径がシリンダ筒2の外径とほぼ同等の凸状のキャップ5が圧入装着されているとともにシリンダ筒2の基端側からピストンロッド1の先端に固着されたピストン11が所定位置まで嵌装され所定量の薬液3が封入されている。・・・
かかる実施例を製造するには、先ず、ピストンロッド1を所定の位置に配置して所定量の薬液3を充満するとともに注射針取付部4にキャップ5を装着する。次で、封印具7をシリンダ筒2の先端部外周21からキャップ5の基部51ならびにその先端部分に亘って被せ、封印具7を高周波誘導、赤外線ヒータ、インパルスヒートシール、熱気流などの手段により加熱、収縮させシリンダ筒2の先端部外周21とキャップ5の基部51の外周52ならびに肩部53とに密着させればよい。
かかる実施例を使用するには、摘み部74を引いてミシン目73に沿って封印具7を分断して封印を解除した後、キャップ5を抜取って露出した注射針取付部4に注射針を結合させればよい。」
1c:図面の第2図には、シリンダ筒2に突設された注射針取付部4は、テーパ嵌合部の雄型コネクタとして形成されていることが図示されている。
上記の記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「シリンダ筒の先端に突設された注射針取付部にキヤツプが装着されているとともに基端側からピストンロツド先端のピストンが所定位置まで嵌装され所定量の薬液が封入されている薬液入り注射器において、
前記シリンダ筒の先端部とキヤツプとを包んで封印具が熱収縮により密着して被せられ、
前記注射針取付部は、テーパ嵌合部の雄型コネクタである、薬液入り注射器。」
(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2009-537250号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。
2a:「【技術分野】
【0001】
本発明は血管内ポートアクセス器具、血管内ポート洗浄器具、血管内ポート洗浄方法、血管内導管ポートへの薬剤等の投与方法、患者からの血液サンプル採取方法および血管内導管ポートキャップセットに関する。」
2b:「【0018】
器具10がポート洗浄に利用される場合には、第2部材16の収容器21は典型的には洗浄剤を収容するであろう。この洗浄剤はポート外面の洗浄に使用される消毒剤でよい。・・・第2部材16は器具10に着脱式に取り付けられる。ポートの洗浄のために、着脱式第2部材16は第1部材12から取り外され、血管内導管ポート外部の洗浄のためのポート外面への接触に利用される。」
2c:「【0019】
ポートの外部の洗浄後、洗浄/消毒作業時には血管内ポートの内部洗浄に利用できる器具の第1部材は、洗浄されるポートにリバーシブルに取り付け可能である。チャンバ容積は例えば3.5mlまでであり、好適な容積範囲は約1mlから約3mlである。これよりもさらに小さいか大きな容積であっても可能である。チャンバはチャンバの全容積に関して適当な目盛りを有することができる。例えば、3.5ml液体容積のチャンバは1ml単位、0.5ml単位あるいは0.1ml単位等の目盛りを有することができる。実施例によっては連結延伸部はLEUR-LOK(ベクトン、ディキンソン&カンパニ社、米国ニュージャージ州フランクリンレークス)部材(図示せず)を、LEUR-LOKタイプのポートへの接続に利用することができる。洗浄剤はチャンバ23内に収容でき、抗生物質あるいは別な適した消毒剤でよい。例示的な洗浄剤はアルコールまたはアルコール溶液であり、第2部材収容器21に関して前述したものでよい。洗浄形態ではチャンバ22はエチレンジアミントレタ酢酸(EDTA)及び/又はクエン酸ナトリウム等の化学剤を代わりに収容することができ、あるいは追加的に収容することができる。
【0020】
導管ポートに連結されると、例えばハウジングに外圧を加えることで押圧変形させてディスペンサ26を移動させ、受領ポート30からバルブ28を移動させて開く。押圧を継続することでチャンバ23の収容物を連結延伸部24を通して連結されたポート内に入れることができる。・・・」
2d:「【0037】
図15に示す本発明の別実施例では、従来タイプの注射器およびプランジャ設計を利用でき、本発明によるキャップを利用することができる。従って、第1部材42cは注射器ハウジング48cを含んでおり、第1端50にLEUR-LOK部材を有することができる。プランジャ46cはハウジング48cの第2端52へ挿入し、チャンバ54cの壁で封止状態を形成するように設計された従来式のピストンシール部57cを有することができる。第2部材44cは例えば、LEUR-LOK部材に内部でフィットするか、あるいはLEUR-LOK部材を第1部材ハウジング48cの第1端50で覆う内部受領ポートを有するハウジング60cを含むことができる。第3部材45cも洗浄されるポートのタイプによって、LEUR-LOK部材に内部でフィットするか、あるいはLEUR-LOK部材(または別タイプの部材を有するもの)を覆う内部受領ポートを含むように設計されたハウジング80cを有することができる。
【0038】
図16は図15で示す器具の断面図である。これはLEUR-LOKタイプの部材を覆うためのキャップハウジングの例示タイプを示している。例えば第3部材45cはLEUR-LOKタイプの部材内にフィットし、その部材に被せられるハウジング部分を含むハウジング80cを有する。対照的に、第2部材44cはLEUR-LOKタイプの部材と螺合するハウジング60cを有している。図面は例示的なものであって、キャップの一方または両方を螺合形態またはスナップ式形態とすることができる。キャップハウジング60cと80cはさらに前述のように色彩でコード化することもできる。」
2e:「【0039】
本発明はポート洗浄器具(図示せず)の先方(非投与)端に配置される二重キャップ形態も想定している。この二重キャップ形態では第1“緑色”キャップが器具と前後の両方に、第2“黄色”キャップに対して積重ね状態でリバーシブルに取り付けられる。これら2つのキャップはそれぞれ例えばLEUR-LOKタイプの部材キャップ、摩擦嵌合キャップなどでよい。・・・」
上記の各記載から、引用文献2には、次の事項が記載されているものといえる。
ア)従来タイプの注射器が、注射器ハウジング48cを含んでおり、第1端50にLEUR-LOK部材を有する(摘記事項2d)。
イ)LEUR-LOK部材は導管ポートに連結される(摘記事項2c、2d)。
ウ)また、キャップもLEUR-LOK部材に着脱式に取り付けられる(摘記事項2b、2d)。
よって、以上によれば、引用文献2には、次の技術が記載されている。
「注射器ハウジング48cの第1端50にLEUR-LOK部材を有する、従来タイプの注射器であって、LEUR-LOK部材には導管ポートが連結され、また、キャップが着脱式に取り付けられる、注射器。」
3-3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア)引用発明の「薬液入り注射器」は、その文言、形状、機能等からみて、本願補正発明「注射器組立体」に相当し、以下同様に、「シリンダ筒」は「注射器シリンダ」に、「ピストンロツド先端のピストン」は「プランジャ」に、それぞれ相当する。
また、引用発明は、「シリンダ筒の」「基端側からピストンロツド先端のピストンが所定位置まで嵌装され」ているのであるから、当該「シリンダ筒」が、ピストンを受け入れるように構成した適宜の開口を有することは明らかである。
イ)引用発明の「注射針取付部」は、その文言上の意味からして、注射針を取付けて結合させるための部位といえるので、本願補正発明の「針及び/又は医療用チューブと結合するように構成した端部」に相当する。
ウ)上記のア)、イ)の相当関係から、引用発明の「シリンダ筒」は、ピストンを受け入れるように構成した開口から注射針取付部まで延在しているものといえるので、引用発明は、「プランジャを受けるように構成した開口から針及び/又は医療用チューブと結合するように構成した端部まで延在する注射器シリンダ」を具備する点で本願補正発明と一致する。
エ)引用発明は、「テーパ嵌合部の雄型コネクタである」「注射針取付部にキヤツプが装着されている」ところ、装着の結果、注射器取付部の雄型コネクタを受け入れたキャップと注射器取付部とは結合状態となるのであるから、引用発明は、「嵌合部の端部に結合するように構成したキャップ」を具備する点で本願補正発明と共通する。
オ)引用発明の「シリンダ筒の先端部」、「封印具」は、それぞれ、本願補正発明の「シリンダ端部」、「バリヤ材」に相当する。
そして、引用発明では、「シリンダ筒の先端部とキヤツプとを包んで封印具が熱収縮により密着して被せられ」ているのであるから、引用発明は、「キャップ及びシリンダ端部のみを部分的に包囲するバリヤ材」を具備する点で本願補正発明と一致する。
以上によれば、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
(一致点)
プランジャを受けるように構成した開口から針及び/又は医療用チューブと結合するように構成した端部まで延在する注射器シリンダと、
嵌合部の端部に結合するように構成したキャップと、
前記キャップ及びシリンダ端部のみを部分的に包囲するバリヤ材と、
を具備する注射器組立体。
(相違点)
キャップが結合する「嵌合部の端部」に関し、本願補正発明では、当該端部が「LEUR-LOK嵌合部の端部」であるのに対し、引用発明では、テーパ嵌合部の端部である点。
3-4 判断
(1)相違点について
上記3-2(2)に示したように、引用文献2には、注射器ハウジングの第1端にLEUR-LOK部材を有する従来式の注射器であって、LEUR-LOK部材には導管ポートが連結され、また、キャップが着脱式に取り付けられる注射器という技術が記載されているところ、当該技術における「導管ポートが連結され」る「LEUR-LOK部材」は、“医療用チューブと結合するように構成した端部”と、また、「キャップが着脱式に取り付けられる」「LEUR-LOK部材」は、“キャップと結合するLEUR-LOK嵌合部である端部”と、それぞれ言い得るものである。
また、一の注射器の一端に、注射針だけでなく、輸液チューブ等の所望の医療器具を連結して使用することは、注射器の技術分野において普通に行われていることを踏まえると、引用文献2に記載の技術は、針又は医療用チューブと結合するように構成した端部を有する注射器であって、端部をキャップと結合するLEUR-LOK嵌合部である端部とする注射器の技術と言い換えることができる。
ところで、針又は医療用チューブと注射器とを連結するためのコネクタ手段として、既存の技術のうちからどのようなタイプの手段を採用するかは、連結の簡便性や連結強度等を考慮しつつ、当業者が随意に定め得る設計上の選択事項にすぎない。
そうすると、引用文献2に記載の上記技術に接した当業者であれば、引用発明における「嵌合部の端部」として、引用文献2のLEUR-LOK嵌合部である端部を採用し、「LEUR-LOK嵌合部の端部」とすることは、容易に想到し得たことである。
また、本願補正発明の奏する作用効果も、引用発明及び引用文献2に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(2)請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、本願補正発明の作用効果に関連し、「即ち、本発明の注射器組立体は、キャップを外さない限りキャップとシリンダ端部は固定されており、キャップを外すことで初めてバリヤ材が破砕される構成となっている。そして、キャップはLEUR-LOK嵌合部の端部にねじ込まれているため、不用意にプランジャが動いた場合であっても、その圧力でキャップが抜けることはない。したがって、キャップが不用意に抜けることでバリヤ材が意図せず破砕されることもない。バリヤ材は、キャップをねじ取る際に破砕可能な材料からなるものである。」などと主張するので、以下に検討する。
ア)「キャップを外すことで初めてバリヤ材が破砕される」点について
なるほど、引用発明の「注射器」は、「摘み部74を引いてミシン目73に沿って封印具7を分断して封印を解除した後、キャップ5を抜取って露出した注射針取付部4に注射針を結合させ」(摘記事項1b)て使用するというものであって、「キャップを外すことで初めてバリヤ材が破砕される」ものではない。
しかしながら、本件補正後の請求項1の記載をみても、バリヤ材の破砕態様を具体的に特定する記載は何ら見当たらないのであるから、本願補正発明も、ミシン目を利用してバリヤ材を破砕する事項を排除するものでもなく、「キャップを外すことで初めてバリヤ材が破砕される」点が本願補正発明特有の作用効果であるとはいえない。
イ)「キャップはLEUR-LOK嵌合部の端部にねじ込まれている」点について
特許請求の範囲には、「キャップはLEUR-LOK嵌合部の端部にねじ込まれている」点を特定するための記載はない。
また、明細書の記載をみても、「例示したものは、単に例示目的のためであり、各又は両キャップは、ねじ付き形態又はスナップ留め形態であれば良いことが理解されるべきである。」(段落【0043】)、「2つのキャップの各々は、例えばLEUR-LOK(登録商標)型の嵌合キャップ、摩擦嵌合キャップ等であれば良い。」(段落【0044】)等の記載を参酌すれば、本願補正発明においては、キャップと端部とが、当該端部のLEUR-LOK嵌合部を介して結合するとはいえるものの、キャップと端部との結合形態は摩擦嵌合等の多様な形態が含まれると解するのが相当であって、ねじ結合が必須であるとまではいえない。
そうすると、「キャップはLEUR-LOK嵌合部の端部にねじ込まれている」ことを前提として、本願補正発明においては、「不用意にプランジャが動いた場合であっても、その圧力でキャップが抜けることはない。」との主張は、特許請求の範囲の記載に基づく主張とはいえず、採用できない。
なお、仮に、キャップとLEUR-LOK嵌合部の端部との結合がねじ結合を意味するとしても、引用文献2には、「これら2つのキャップはそれぞれ例えばLEUR-LOKタイプの部材キャップ、摩擦嵌合キャップなどでよい。」(摘記事項2e)と、端部側だけでなくキャップ側もLEUR-LOKタイプとする事項も開示されていることから、「キャップはLEUR-LOK嵌合部の端部にねじ込まれているため、不用意にプランジャが動いた場合であっても、その圧力でキャップが抜けることはない。」なる作用効果は、引用文献2に記載の事項から予測できる範囲内のものであって、格別顕著なものとはやはりいえない。
3-5 小括
よって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成29年2月28日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
プランジャを受けるように構成した開口から針及び/又は医療用チューブと結合するように構成した端部まで延在する注射器シリンダと、
前記端部に結合するように構成したキャップと、
前記キャップ及びシリンダ端部のみを部分的に包囲するバリヤ材と、
を具備することを特徴とする注射器組立体。」
2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないか、又は、同文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
記
・実願平2-11125号(実開平3-101960号)のマイクロフィルム(上記「引用文献1」に同じ。)
3 引用文献1の記載事項
引用文献1の記載事項及び同文献に記載された発明は、前記第2の[理由]3-2(1)に記載したとおりである。
4 対比・判断
前記第2の[理由]3-3「対比」における検討を踏まえつつ、本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明では、「テーパ嵌合部の雄型コネクタである」「注射針取付部にキヤツプが装着されている」のであるから、引用発明は、「端部に結合するように構成したキャップ」を具備するものといえる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、
「プランジャを受けるように構成した開口から針及び/又は医療用チューブと結合するように構成した端部まで延在する注射器シリンダと、
前記端部に結合するように構成したキャップと、
前記キャップ及びシリンダ端部のみを部分的に包囲するバリヤ材と、
を具備する注射器組立体。」
の点で一致し、両者に差違はない。
よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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