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特許拒絶査定不服審判

2018-004791

作業機システム

審判番号
2018-004791
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-542446外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年04月09日
審決日
2019年07月11日
公報発行日
2019年10月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G05B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-542446「作業機システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年4月23日国際公開,WO2015/056319〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,2013年(平成25年)10月17日を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は,概略,以下のとおりである。 平成29年6月30日付け:拒絶理由通知 同 年8月29日  :意見書及び手続補正書の提出 平成30年1月17日付け:拒絶査定 同 年4月 9日  :審判請求と同時に手続補正書の提出 平成31年3月 6日付け:拒絶理由通知 同 年4月15日  :意見書及び手続補正書の提出 第2 本願発明 平成31年4月15日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりである。 「制御装置と,該制御装置に電気的に接続される一つのタッチパネルと,を各々が有する複数の同種の作業機と, 複数の同種の該作業機を互いに電気的に接続するネットワークと, を備える作業機システムであって, 複数の前記タッチパネル,各々が,指定した自身以外の該タッチパネルに表示されている画面に切り換えて表示が可能であると共に,その表示した該画面にタッチすることにより自身以外の前記作業機の操作が可能であり, 複数の該タッチパネルは,各々が,前記制御装置および前記ネットワークのうち,少なくとも一方に無線で電気的に接続された状態で,該作業機に対して,作業者が持ち運びできるように,着脱可能であり, 複数の該タッチパネルは,各々が,該作業機の操作盤として所定の位置に取り付けられた状態,および該作業機から取り外された状態において,操作可能であることを特徴とする作業機システム。」 第3 拒絶の理由 平成31年3月6日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は,次のとおりである。 本願発明は,本願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし4に記載された周知の技術的事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開平4-317101号公報 引用文献2:特開平5-324037号公報 引用文献3:特開2011-255472号公報 引用文献4:特開2000-218496号公報 第4 引用文献及び引用発明 1.引用文献1の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載事項 引用文献1には,以下の事項が記載されている(下線は,当審で付した。以下同じ。)。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は数値制御装置の入出力制御方式に関し,特に複数の数値制御装置間で,一つの数値制御装置が他の数値制御装置のCRT/MDIユニットの機能を実行する数値制御装置の入出力制御方式に関する。 【0002】 【従来の技術】FA(ファクトリー・オートメーション)の発展に伴い,一つの工場に多数の数値制御工作機械が設置されている。これらの多数の数値制御装置の操作は,それぞれの数値制御装置ごとに行われていた。すなわち,特定の数値制御装置に操作を行う場合や動作を監視する場合等には,他の数値制御装置のある場所まで移動し,操作や動作の監視等を行う必要があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし,操作を行う数値制御装置が増大すれば,一つの数値制御装置から対象となる他の数値制御装置までの平均的な距離もまた増大する。したがって,一つの数値制御装置から他の数値制御装置の操作や動作の監視等ができれば,便利である。 【0004】本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり,複数の数値制御装置のうち,一つの数値制御装置から他の数値制御装置を指定し,他の数値制御装置のCRT/MDIユニットの機能を実行する数値制御装置の入出力制御方式を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解決するために,複数の数値制御装置間で,一つの数値制御装置が他の数値制御装置のCRT/MDIユニットの機能を実行する数値制御装置の入出力制御方式において,前記数値制御装置のメモリと前記他の数値制御装置のメモリとの入出力信号を相互に転送する入出力信号転送手段と,前記他の数値制御装置を指定するために切り換え開始指令を出力し,かつ,他の数値制御装置から切り換え開始指令を入力したときは前記入出力信号転送手段に入出力信号を転送するように指令する切り換え手段と,前記他の数値制御装置と相互に通信を行うための通信制御手段と,を有する数値制御装置が前記通信制御手段でそれぞれ接続されたことを特徴とする数値制御装置の入出力制御方式が,提供される。 【0006】 【作用】複数の数値制御装置のうち,一つの数値制御装置から制御の対象となる他の数値制御装置を,通信制御手段を介して切り換え手段により他の数値制御装置のCRT/MDIユニットに切り換え,通信制御手段および切り換え手段を介して入出力信号転送手段により他の数値制御装置のCRT/MDIユニットとの入出力信号を転送するため,他の数値制御装置の機能が実行でき,制御や動作の監視等を行うことが可能となる。 【0007】 【実施例】以下,本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は,本発明の数値制御装置の入出力制御方式の原理ブロック図である。数値制御装置20および図に表されていない数値制御装置は,数値制御装置10と同一構成であるので,ここでは数値制御装置10について説明する。図において,数値制御装置10は,CRT/MDIユニット11,メモリ12,入出力信号転送手段15,切り換え手段16および通信制御手段17を有する。メモリ12には,フレームメモリ13の表示データおよびキーテーブル14の操作指令データが格納される。ここで,数値制御装置20の各要素21~27は,それぞれ数値制御装置10の各要素11~17に対応する。 【0008】CRT/MDIユニット11は,情報の表示およびデータの入力等を行う。メモリ12には,フレームメモリ13の表示データおよびキーテーブル14の操作指令データの他に,数値制御装置のシステムプログラムが格納される。入出力信号転送手段15は,メモリ12にあるフレームメモリ13の表示データおよびキーテーブル14の操作指令データ等を転送するための制御を行う。切り換え手段16は,複数の数値制御装置のうち,制御の対象となる他の数値制御装置の指定を行う。通信制御手段17は,複数の数値制御装置間の通信制御を行う。また,数値制御装置10は,通信制御手段17を介して複数の数値制御装置間の通信制御を行うために,通信路30に接続されている。 【0009】次に,数値制御装置10のCRT/MDIユニット11によって,数値制御装置20のCRT/MDIユニット21の機能を実行することを例に説明する。すなわち,CRT/MDIユニット11によって,数値制御装置20の操作を行なったり,数値制御装置20の表示データの表示を行う。このために,後述するCRT/MDIユニット11上の入出力装置設定画面を選択し,数値制御装置20を選択する。その詳細については後述する。 【0010】まず,CRT/MDIユニット11によって,数値制御装置20の操作を行う数値制御装置10の動作について説明する。CRT/MDIユニット11によって切り換え開始が指令されると,切り換え手段16は通信制御手段17を介して指定された数値制御装置20に切り換え開始指令を転送する。このとき,切り換え開始指令を受けた数値制御装置20から数値制御装置10に,数値制御装置20の表示データが転送される。転送された表示データは,切り換え手段16によって入出力信号転送手段15に転送される。入出力信号転送手段15は,表示データをフレームメモリ13に格納する。CRT/MDIユニット11は,入出力信号転送手段15を介してフレームメモリ13にある表示データを表示する。」 「【0013】また,切り換え手段26が数値制御装置10から数値制御装置20の操作指令データを受けると,通信制御手段27に通信路30にあるデータを入力する指令を行う。その後,切り換え手段26は入出力信号転送手段25に数値制御装置20の操作指令データを転送する。入出力信号転送手段25は操作指令データをもとに,キーテーブル24を参照する。入出力信号転送手段25は,参照されたキーテーブル24の一部として格納されている操作キーデータをCRT/MDIユニット21に転送する。最後に,操作キーデータを受けたCRT/MDIユニット21は,操作キーデータに対応する処理を実行する。」 「【0016】図2は本発明の入出力制御を行う数値制御装置を設定する装置設定画面の一例を示す図である。図において,CRT41はCRT/MDIユニット11のCRT部分である。入出力装置設定画面51は,数値制御装置を選択し,設定する画面である。データ入力キー42およびソフトキー43a~43c,43x,43yは,指令および諸データを入力するキーである。 【0017】まず,CRT/MDIユニット11上のソフトキー43によって,入出力装置設定画面51に切り換える。この画面で,接続すべき数値制御装置の装置番号,装置名およびコメントを,データ入力キー42およびソフトキー43a~43c等によって入力する。例えば,ソフトキー43aを押すと,接続番号0001が指定され,装置名およびコメントが入力できる状態になる。同様に,ソフトキー43bを押すと接続番号0002が,ソフトキー43cを押すと接続番号0003が指定され,装置名およびコメントが入力できる状態になる。このとき,装置名およびコメントをデータ入力キー42から入力する。図2では,複数の接続装置を指定した状態の画面が表示されている。なお,切り換え開始指令および切り換え終了指令は,それぞれソフトキー43xおよびソフトキー43yで行うことができる。 【0018】図3および図4は,数値制御装置10,20の表示画面の例を示す図である。図3において,表示画面51は数値制御装置10の表示画面であり,数値制御装置20の表示データを表示する前の状態を示す。表示画面52は数値制御装置20の表示画面であり,画面には各軸の現在位置が表示されている。ここで先に述べたように,数値制御装置10から数値制御装置20に切り換え開始指令を行うと,表示画面51は図4に示す画面になる。すなわち,数値制御装置10の表示画面51は表示画面53となる。つまり,数値制御装置20の表示画面52が数値制御装置10に表示される。これによって,数値制御装置10で数値制御装置20の動作の監視を行うことができる。また,どの数値制御装置のどのようなデータを表示するかは数値制御装置10側から指定することができる。勿論,数値制御装置10から数値制御装置20に切り換え終了指令が転送されると,表示画面53は表示画面51に戻る。」 「図1 」 「図2 」 「図3 」 「図4 」 (2)引用文献1記載の技術的事項 上記(1)の記載事項から,引用文献1には,以下の技術的な事項が記載されているということができる。 ア.従来,一つの工場に設置された多数の数値制御工作機械の操作は,それぞれの数値制御装置ごとに行われていたため,数値制御装置のある場所まで移動し,操作や動作の監視等を行う必要があった(【0002】)が,数値制御装置が増大すれば,一つの数値制御装置から対象となる他の数値制御装置までの平均的な距離も増大するという課題があったこと(【0003】)。 イ.上記ア.の課題を解決するため,複数の数値制御装置のうち,一つの数値制御装置から他の数値制御装置を指定し,他の数値制御装置のCRT/MDIユニットの機能を実行する数値制御装置の入出力制御システム(方式)を提供することを目的としてなされたものであり,一つの数値制御装置から他の数値制御装置の機能を実行でき,制御や動作の監視等を行うことが可能となること(【0004】ないし【0006】)。 ウ.数値制御装置の入出力制御システムは,複数の同一構成の数値制御装置10,20を備え,数値制御装置10,20はCRT/MDIユニット11を有し(【0007】),数値制御装置10,20は,通信制御手段17を介して複数の数値制御装置間の通信制御を行うために,通信路30に接続されていること(【0008】及び図1)。 エ.CRT/MDIユニット11によって切り換え開始が指令されると,切り換え開始指令を受けた数値制御装置20から数値制御装置10に数値制御装置20の表示データが転送され,転送された表示データはフレームメモリ13に格納され,CRT/MDIユニット11は,フレームメモリ13にある表示データを表示すること(【0009】及び【0010】)。 オ.数値制御装置10,20は,数値制御工作機械と同義であるか又は工作機械を制御するものである(【0002】)から,少なくとも,工作機械がそれぞれ数値制御装置10,20を有しているといえること。 カ.数値制御装置10のCRT/MDIユニット11のCRT41の入出力装置設定画面51(【0016】,図2及び3)は,数値制御装置20の表示画面52に切り替えて表示が可能である(【0018】,図3及び4)と共に,数値制御装置20の操作が可能である(【0013】)こと。 (3)引用発明 上記(2)に示す引用文献1に記載された技術的事項をまとめると,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているということができる。 「CRT/MDIユニット11を有する数値制御装置10,20を備えた工作機械と, 工作機械の数値制御装置10,20間の通信制御を行うために接続される通信路30と, を備える数値制御装置の入出力制御システムであって, 数値制御装置10のCRT/MDIユニット11のCRT41の入出力装置設定画面51は,数値制御装置20の表示画面52に切り替えて表示が可能であると共に,数値制御装置20の操作が可能である数値制御装置の入出力制御システム。」 2.引用文献2の記載 (1)引用文献2の記載事項 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は,操作パネルの一部をハンディタイプの操作部により構成したリモート操作パネル付NC装置に関するものである。」 「【0008】図1は,本発明にかかるリモート操作パネル付NC装置の操作パネルの外観図である。すなわち,操作パネルは主操作部1及びその主操作部1から脱着可能なハンディ操作部3により構成されている(図1はハンディ操作部3を主操作部1に装着した状態を示す)。・・・(以下省略) 【0009】一方,ハンディ操作部3には,主操作部1の第1画面表示部2に表示された表示画面の一部の情報を表示する第2画面表示部4,非常停止用の非常停止ボタン31,割り付けられた機能の操作量を連続的に変更する第1ジョグダイヤル32及び第2ジョグダイヤル33,軸送り用の軸送りボタン34等が設けられている。・・・(以下省略)」 「【0015】次に上記実施例の動作について説明する。 【0016】まず,ハンディ操作部3を主操作部1に装着した状態で操作を行う場合,主操作部1の第1画面表示部2に表示されたマルチウィンドー表示部21の画面情報を参照しながら操作を行う。この操作は,マルチウィンドー表示部21周囲のアイコン表示部12に,文字や絵で表示された指令やアイコンの横の操作ボタン部13の操作ボタン(メカ式)を押すことにより機能を選択して,キーボード14からデータや指令の入力を行うことによって実行される。又この場合ハンディ操作部3から操作することも勿論可能である。」 「【0019】次に,工具などの段取りを行うために,工作機械本体の加工部を見ながら操作する場合,ハンディ操作部3を主操作部1から取り外して,接続ケーブルを延ばす。」 「【0029】また,上記実施例では,主操作部1とハンディ操作部3とのデータ通信は接続ケーブルにより行うように構成したが,これに限らず,例えば無線,赤外線等を用いてデータ通信できるように構成してもよい。」 「【0031】また,上記実施例では,操作ボタン部にメカ式の操作ボタンを用いたが,これに限らず,機能などを選択するのにアイコンの部分をタッチパネル式にしたり,ライトペンなどで選択できるように構成してもよい。」 (2)引用文献2記載の技術的事項 上記(1)の記載事項から,引用文献2には,以下の技術的な事項が記載されているということができる。 ア.ハンディタイプの操作部により構成したリモート操作パネル付NC装置であって(【0001】),ハンディ操作部3を主操作部1に装着した状態で操作を行うことができ(【0016】),ハンディ操作部3を主操作部1から取り外して,接続ケーブルを延ばした状態で操作を行うことができること(【0019】)。 イ.主操作部1とハンディ操作部3とのデータ通信を,接続ケーブルにより行うことに換えて,無線を用いてデータ通信できるように構成してもよいこと(【0029】)。 ウ.操作ボタン部のメカ式の操作ボタンに換えて,タッチパネル式に構成してもよいこと(【0031】)。 3.引用文献3の記載 (1)引用文献3の記載事項 「【0001】 本発明は,被加工物に加工を施す加工手段と,加工手段の動作条件を入力設定する操作画面を表示する表示モニタとを備えた加工装置に関する。 【背景技術】 【0002】 多くの産業機械や製造装置では,加工手段等の駆動機構はハウジング中に収容されている。そして,ハウジングには加工手段の動作条件等を入力するための操作ボタンや,入力設定された動作条件や加工手段の動作状況を表示するための表示手段が配設されている。 ・・・(中略)・・・ 【0004】 一方,近年では装置の小型化や見栄えを考慮して,動作条件を入力する操作ボタンに替わって,入力された動作条件や加工結果の表示のみでなく,動作条件を入力可能なタッチパネル式の表示モニタが広く採用されており,一般的に表示モニタはハウジングの側壁に固定されている(例えば,特開2009-194326号公報)。 ・・・(中略)・・・ 【0006】 しかし,多くの産業機械や製造装置では,ハウジングの側壁は垂直であり,このような側壁にタッチパネル式の表示モニタを配設すると,作業者の身長によっては入力がしづらい上,表示が読みがたいという問題がある。」 「【0009】 本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,作業者の身長によらず動作条件等の入力及び表示画面の読み取りが容易で作業し易い表示モニタを備えた加工装置を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明によると,被加工物に加工を施す加工手段と該加工手段を収容するハウジングとを有する加工装置本体と,該加工手段の動作条件を入力する操作画面を表示する該ハウジングに配設された表示モニタとを備えた加工装置であって,該表示モニタは,該ハウジングに対して着脱可能に構成され,入力された操作情報を該加工装置本体へ送信するとともに該加工装置本体からの情報を受信する第1無線送受信部を有し,該加工装置本体は,該表示モニタからの該操作情報を受信するとともに該表示モニタへ情報を送信する第2無線送受信部を有する制御手段を備えたことを特徴とする加工装置が提供される。」 「【0024】 上述した実施形態によると,表示モニタ6を加工装置本体4から取り外すことができるため,どの作業者でも動作条件等の入力及び表示画面の読み取りが容易となる。また,メンテナンスや調整時にも任意の場所へと表示モニタ6を持ち運ぶことができるため,加工装置が大型化しても作業性が悪化することがない。」 (2)引用文献3記載の技術的事項 上記(1)の記載事項から,引用文献3には,以下の技術的な事項が記載されているということができる。 ア.表示モニタを加工装置本体のハウジングに対して着脱可能に構成し,入力された操作情報を該加工装置本体へ送信するとともに該加工装置本体からの情報を受信する第1無線送受信部を設けること(【0010】)。 イ.従来は,タッチパネル式の表示モニタをハウジングの側壁に固定していた(【0004】)ために,作業者の身長によっては入力がしづらい上,表示が読みがたいという問題があったが(【0006】),表示モニタを加工装置本体から取り外すことができるため,どの作業者でも動作条件等の入力及び表示画面の読み取りが容易となる(【0024】)ことから,上記ア.の表示モニタはタッチパネル式であるといえること。 4.引用文献4の記載 (1)引用文献4の記載事項 「【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するために,被加工物を走行するワイヤ列に押し付けて被加工物を多数枚のウェーハに切断するワイヤソーにおいて,ワイヤソーの運転状況を表示する表示モニタが,ワイヤソー本体に対して着脱自在に設けられていることを特徴とする。」 「【0015】ところで,前記のごとく構成されたワイヤソー10では,その運転に際して操作情報をワイヤソー本体11の側面部に設けられた操作盤60から入力する。そして,その運転情報は操作盤60に設置された表示モニタ62の液晶画面62A上に表示される。この表示モニタ62は,ワイヤソー本体11から分離可能に形成されており,ワイヤソー本体11とはケーブル64を介して接続されている。そして,通常は図4に示すように操作盤60に設置されたホルダ66に保持されてワイヤソー本体11と一体化されている。」 「【0017】図5は表示モニタ62の液晶画面62A上に表示される画面構成を示した図である。・・・(以下省略)」 「【0026】また,本実施の形態では,表示モニタ62は1台のみであるが,複数台設置してもよい。さらに,本実施の形態では,表示モニタ62はケーブル64を介してワイヤソー本体11と接続されているが,ワイヤソー10の運転状況を示す情報を,ワイヤソー本体11側から無線で通信するようにしてもよい。これにより,ケーブルの長さ等に拘束されずに任意の位置に表示モニタ62を設置,移動させることができる。 【0027】また,表示モニタ62を保持する手段は,本実施の形態で示したホルダ66に限らず,例えばマグネットにより保持するように構成してもよい。また,本実施の形態の表示モニタ62は,ワイヤソー10の運転状況を表示するのみであるが,入力部を設け,ワイヤソー10の操作情報を入力できるように構成してもよい。これにより,ワイヤソー本体11から離れた場所にいてもワイヤソー10の操作を行うことができる。」 (2)引用文献4記載の技術的事項 上記(1)の記載事項から,引用文献4には,以下の技術的な事項が記載されているということができる。 ア.表示モニタ62が,ワイヤソー本体11から着脱自在に設けられ,ワイヤソー本体11とはケーブル64を介して接続されていること(【0015】)。 イ.表示モニタ62はケーブル64を介してワイヤソー本体11と接続されているが,無線で通信するようにしてもよいこと(【0026】)。 ウ.表示モニタ62は,ワイヤソー10の運転状況を表示するのみであるが,入力部を設け,ワイヤソー10の操作情報を入力できるように構成することで,ワイヤソー本体11から離れた場所でワイヤソー10の操作を行うことができること(【0027】)。 第5 対比 本願発明と引用発明を対比すると,以下のとおりとなる。 引用発明の「数値制御装置10,20」が本願発明の「制御装置」に相当することは明らかであり,引用発明の「CRT/MDIユニット11」と本願発明の「該制御装置に電気的に接続される一つのタッチパネル」は,「該制御装置に電気的に接続される一つの表示及び操作装置」という点で一致する。また,引用発明の「工作機械」は,同じ工場に多数が設置され(上記第4の1.(1)の【0002】),同一構成の数値制御装置10,20によって制御される(上記第4の1.(1)の【0007】)ことから,本願発明の「複数の同種の作業機」に相当する。 また,引用発明の「工作機械の数値制御装置10,20間の通信制御を行うために接続される通信路30」は,本願発明の「複数の同種の該作業機を互いに電気的に接続するネットワーク」に相当し,引用発明の「数値制御装置の入出力制御システム」は,工作機械の数値制御装置の入出力操作及び判断に係るシステムであるから,本願発明の「作業機システム」に相当する。 そして,引用発明において「数値制御装置10のCRT/MDIユニット11のCRT41の入出力装置設定画面51は,数値制御装置20の表示画面52に切り替えて表示が可能であると共に,数値制御装置20の操作が可能」であることと,本願発明において「複数の前記タッチパネル,各々が,指定した自身以外の該タッチパネルに表示されている画面に切り換えて表示が可能であると共に,その表示した該画面にタッチすることにより自身以外の前記作業機の操作が可能」であることは,「複数の前記表示及び操作装置,各々が,指定した自身以外の該表示及び操作装置に表示されている画面に切り換えて表示が可能であると共に,自身以外の前記作業機の操作が可能」である点で一致する。 したがって,本願発明と引用発明は,以下の点で一致及び相違する。 <一致点> 「制御装置と,該制御装置に電気的に接続される一つの表示及び操作装置と,を各々が有する複数の同種の作業機と, 複数の同種の該作業機を互いに電気的に接続するネットワークと, を備える作業機システムであって, 複数の前記表示及び操作装置,各々が,指定した自身以外の該表示及び操作装置に表示されている画面に切り換えて表示が可能であると共に,自身以外の前記作業機の操作が可能である作業機システム。」 <相違点> 本願発明は「制御装置に電気的に接続されるタッチパネル」を備え,「画面にタッチすることにより」「作業機の操作が可能」であり,「該タッチパネルは,各々が,前記制御装置および前記ネットワークのうち,少なくとも一方に無線で電気的に接続された状態で,該作業機に対して,作業者が持ち運びできるように,着脱可能であり」,「該タッチパネルは,各々が,該作業機の操作盤として所定の位置に取り付けられた状態,および該作業機から取り外された状態において,操作可能である」のに対し,引用発明は,数値制御装置10,20が有するCRT/MDIユニット11を備え,CRT/MDIユニット11は数値制御装置10,20に無線接続されるものではなく,CRT/MDIユニット11は数値制御装置10,20から取り外された状態で使用されるものではない点。 第6 判断 1.相違点の判断 上記相違点について,判断する。 工作機械や加工装置のような作業機の技術分野において,作業機の状態を表示したり,作業機を操作する表示及び操作装置を作業機の制御装置に無線で接続して,作業機に対して着脱可能とし,表示及び操作装置を作業機に取り付けた状態でも,作業機から取り外した状態でも操作可能とすることは,引用文献2ないし4記載の技術的事項(上記第4の2.(2),3.(2)及び4.(2))からみて,本願出願前に周知の技術的事項といえる。 また,作業機の技術分野における表示及び操作装置を特にタッチパネルとすることは,引用文献2及び3の技術的事項からみて,本願出願前に周知の技術的事項といえるし,日常的に接し得るパーソナルコンピュータや,銀行のCD機においても,表示及び操作装置としてタッチパネルが採用されていることは周知の技術的事項である。 これらの周知の技術的事項は,いずれも装置や機器の操作性の向上に寄与するものといえるところ,工作機械に限らず,操作性を向上させることは自然な要求であるから,引用発明の「CRT/MDIユニット11」を,従来周知の技術的事項であるタッチパネルで構成し,当該タッチパネルを作業機の制御装置に無線で接続して,作業機に対して着脱可能とし,タッチパネルを作業機に取り付けた状態でも,作業機から取り外した状態でも操作可能とすることは,当業者が容易に想到できた事項である。 2.本願発明の効果について 本願発明の奏する効果は,「簡単に所望の作業機を遠隔操作可能であり,かつ所望の作業機の情報を遠隔表示可能な作業機システムを提供することができる」(本願明細書の段落【0017】)というものである。 しかし,当該効果は,引用発明の奏する「所望の作業機を操作可能である」という効果,及び,本願出願前に周知の技術的事項の奏する「作業機を遠隔操作可能であり,かつ作業機の情報を遠隔表示可能である」という効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものとはいえない。 3.小括 したがって,本願発明は,引用発明,引用文献2ないし4記載の技術的事項に示す周知の技術的事項並びに引用文献2及び3記載の技術的事項に示す周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。 4.請求人の主張に対して ア.請求人は,平成31年4月15日の意見書(以下「意見書」という。)において,概略,以下のように主張している。 (ア)引用文献1と引用文献2ないし4を組み合わせる動機がないこと。(意見書2ページ最終行ないし3ページ8行,同ページ下から6行ないし4ページ2行及び同ページ29ないし36行) (イ)仮に,引用文献1のCRT/MDIユニットを数値制御装置に対して着脱自在に配置すると,一つの数値制御装置そのものから他の数値制御装置の操作や動作の監視等を行うことが困難になるため,引用文献1と引用文献2ないし4を組み合わせることに阻害要因があること。(意見書3ページ9ないし13行,4ページ3ないし7行及び同ページ37ないし41行) (ウ)引用文献1のCRT/MDIユニットを引用文献2ないし4のものと置換するためには,着脱不可能なCRT/MDIユニットを着脱可能に変更するステップ,数値制御装置との対応を2対2に変更するステップ,数値制御装置に対して切り換え可能に設定するステップの3つのステップが必要であり,引用文献1と引用文献2ないし4を組み合わせることは困難であること。(意見書3ページ18ないし32行,4ページ13ないし15行及び同ページ下から3ないし最終行) (エ)本願発明は,引用文献1に係る発明と比較して,異質かつ顕著な効果を有しており,引用文献1ないし4に対して進歩性を有している。(意見書5ページ14ないし29行) イ.上記ア.(ア)について検討すると,例えばパーソナルコンピュータ等の表示及び操作装置として,引用発明の出願時は,CRTとキーボードによるものが主流であったといえるのに対して,本願の出願時は,液晶のタッチパネルによるものが普及しているといえるように,表示及び操作装置として,CRTをタッチパネルに置き換えることは,技術的な進歩に応じた自然な発想である。また,作業機の表示及び操作装置を作業機の制御装置に無線で接続して,作業機に対して着脱可能とし,表示及び操作装置を作業機に取り付けた状態でも,作業機から取り外した状態でも操作可能とすれば,作業機を遠隔で操作することができることになるから,操作性が向上し,作業者の負担が軽減されることは明らかであるところ,操作性の向上は自然な要求といえるから,引用文献1と引用文献2ないし4を組み合わせる動機がない旨の請求人の主張は採用できない。 ウ.上記ア.(イ)について検討すると,引用発明は,従来,一つの工場に設置された多数の数値制御工作機械の操作がそれぞれの数値制御装置ごとに行われていたため,数値制御装置のある場所まで移動し,操作や動作の監視等を行う必要があり,数値制御装置が増大すれば一つの数値制御装置から対象となる他の数値制御装置までの平均的な距離も増大するという課題(上記第4の1.(2)ア.)に対して,一つの数値制御装置で他の数値制御装置を操作可能とすることで,当該課題を解決しようとするものである。 一つの数値制御装置で他の数値制御装置を操作可能とすることと,数値制御装置の表示及び操作装置を着脱可能とすることは,特に関連するものではないから,表示及び操作装置を着脱可能とすることで,一つの数値制御装置で他の数値制御装置を操作することができなくなるわけではない。むしろ,表示及び操作装置を着脱可能として,無線により一つの数値制御装置や他の数値制御装置の操作が可能となれば,数値制御装置のある場所まで移動する必要がないから,上記の課題は当然に解決でき,引用発明よりもさらに作業者の負担が軽減されることは明らかである。 したがって,引用文献1と引用文献2ないし4を組み合わせることに阻害要因がある旨の主張は採用できない。 エ.上記ア.(ウ)について検討すると,上記1.で説示するとおり,本願発明と引用発明の相違点について,従来周知の技術的事項を適用することにより,相違点に係る構成を当業者が容易に想到できるのであるから,請求人の主張する「3つのステップ」は,請求人独自の見解であって,採用することはできない。 オ.上記ア.(エ)について検討すると,上記1.で説示するとおり,本願発明は引用発明及び本願出願前に周知の技術的事項から当業者が容易に想到し得るものであるところ,上記2.で説示するとおり,本願発明の効果は,引用発明の奏する効果や周知の技術的事項の奏する効果に対して異質なものではなく,格別顕著なものでもないから,請求人の主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおり,本願発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明,引用文献2ないし4記載の技術的事項に示す周知の技術的事項並びに引用文献2及び3記載の技術的事項に示す周知の技術的事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2018-004791

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