特許拒絶査定不服審判
2018-003388
プログラムフロー制御監視ルーチン、関連する方法およびシステム
- 審判番号
- 2018-003388
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-544873外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年03月08日
- 審決日
- 2019年06月18日
- 公報発行日
- 2019年08月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー
- 【請求人代理人】岡島 伸行
- 分類
- P18 .121-WY (G05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-544873「プログラムフロー制御監視ルーチン、関連する方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年6月6日国際公開、WO2013/082256、平成27年3月19日国内公表、特表2015-508517、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)11月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年12月2日(IN)インド)を国際出願日とする出願であって、平成28年7月28日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年10月24日に手続補正がされ、平成29年3月29日付けで最後の拒絶理由通知がされ、平成29年7月4日に手続補正がされ、平成29年12月7日付けで平成29年7月4日の手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という)がされ、これに対し、平成30年3月8日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 平成29年12月7日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要
1.平成29年12月7日付けの補正の却下の決定の概要は次のとおりである。
平成29年7月4日付けの補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるが、当該補正後の本願請求項1-20に係る発明は、引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という)が容易に発明できたものであり、独立特許要件を満たさないから、平成29年7月4日付けの補正は却下すべきものである。
引用文献等一覧
1.特開2006-285734号公報
2.特開2001-14027号公報
3.特開平5-12065号公報
2.原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1-20に係る発明は、上記引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって、請求項1、7、13の「プログラムフロー制御監視ルーチン」について、「前記モジュールに組み込まれ」ると共に「監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」るという事項を追加する補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、当初明細書の段落【0010】及び【0025】に記載されているから、当該補正は新規事項を追加するものではない。
また、補正前の請求項7及び14が削除されたことに対応させて、補正前の請求項8~13、15~20を繰り上げて、補正後の請求項7~12、13~18にするとともに引用請求項を対応させた補正も、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-18に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願請求項1-18に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」-「本願発明18」という)は、平成30年3月8日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-18に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1、7、13は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
過程工場監視および/または制御装置であって、
少なくとも1つの入力を受け取って少なくとも1つの出力を生成するように構成された制御器と、
少なくとも1つのモジュールを記憶するためのコンピュータ可読媒体であって、前記制御器が、過程内の監視および/または制御機能性を達成するために前記モジュールを実行するようにさらに構成される、コンピュータ可読媒体と、
前記コンピュータ可読媒体に記憶されたモジュール登録ルーチンであって、実行されると、システム実時間に動的に、ユーザ入力に従って、監視のためにモジュールを登録および登録抹消する、モジュール登録ルーチンと、
前記コンピュータ可読媒体上に記憶されたプログラムフロー制御監視ルーチンであって、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、実行されると、前記モジュールに関連する任意のエラーを検出して、任意のエラーが検出されたときのタイムスタンプ表示を提供し、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、前記モジュールに組み込まれ、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され、前記プログラムフロー制御監視ルーチンが、モジュールエラーが検出されると実行されて、工場固有の警告および/または処置を開始するインターフェースルーチンを含む、プログラムフロー制御監視ルーチンと、を備える、過程工場監視および/または制御装置。
【請求項7】
過程工場の監視および/または制御に関連付けられるモジュール内でエラーを検出する方法であって、
少なくとも1つの入力を受け取って少なくとも1つの出力を生成するように構成された制御器を提供することと、
コンピュータ可読媒体を提供することと、
前記コンピュータ可読媒体上に、少なくとも1つのモジュール、モジュール登録ルーチン、および少なくとも1つのプログラムフロー制御監視ルーチンを記憶し、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、前記モジュールに組み込まれることと、
前記少なくとも1つのモジュールのプログラムフロー制御を監視するユーザの要望を示すユーザ入力に従って、監視のために、少なくとも1つのモジュールを動的に登録する前記モジュール登録ルーチンを実行し、前記プログラムフロー制御監視ルーチンが、監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減されることと、
過程内の監視および/または制御機能性を達成するために前記モジュールを実行することと、
前記少なくとも1つの登録されたモジュールの実行に関連する任意のエラーを検出するために前記プログラムフロー制御監視ルーチンを実行することと、
モジュールエラーが検出されたときのタイムスタンプ表示を提供することと、
任意のモジュールエラーが検出されたときにインターフェースルーチンを実行して、工場固有の警告および/または処置を開始することと、を含む、方法。
【請求項13】
過程工場の監視および/または制御において使用するためのコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ可読媒体上に記憶された過程の監視および/または制御に関連付けられた複数のモジュールと、
前記コンピュータ可読媒体に記憶されたモジュール登録ルーチンであって、実行されると、ユーザ入力に従って、少なくとも1つのモジュールを監視から登録抹消する、モジュール登録ルーチンと、
前記コンピュータ可読媒体上に記憶された少なくとも1つのプログラムフロー制御監視ルーチンであって、実行されると、監視されるために登録された少なくとも1つのモジュールに関連する任意のエラーを検出し、前記エラーが検出されたときのタイムスタンプ表示を提供し、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、前記複数のモジュールの1つに組み込まれ、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減される、プログラムフロー制御監視ルーチンと、
任意のモジュールエラーが検出されたときに実行されて、工場固有の警告および/または処置を開始する、少なくとも1つのインターフェースルーチンと、を備える、コンピュータ可読媒体。」
本願発明2-6は、概略、本願発明1を、本願発明8-12は、概略、本願発明7を、本願発明14-18は、概略、本願発明13を、それぞれ減縮した発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は理解の便のため当審で付与)
(1)「【0001】
本発明は、プラントに配置されたフィールド機器を管理・制御するプラント制御システムにおいて、制御動作における各種処理タスクの実行状況を監視する診断方法に関するものである。」
(2)「【0003】
図8は、従来の診断機能を有する制御装置の一例を示す構成図である。図において、1はフィールド機器からのプロセスデータを取り込み、制御バルブなどの操作端を駆動する制御信号を出力する制御装置、2は制御装置1の設定値を変更したり、動作状態の監視などを行うエンジニアリングステーション、3はこれらの機器間を接続する制御バスである。制御装置1は各種の処理タスクを有するものであるが、ここでは、診断タスク10および制御タスク20を例示している。」
(3)「【0027】
図1は、本発明の制御装置の診断方法の一実施例を示す構成図である。図において、前記図8と同様のものは同一符号を付して示す。30は制御装置1内で実行される制御タスクであり、この制御タスク30は、診断処理31、INPUT処理32、LOGIC処理33、OUTPUT処理34、WDT処理35から構成され、これらの処理を順次実行する。なお、各処理の内容は、前記図8における同一名の処理と同様である。
また、制御タスク30は、各処理の実行順および各処理内における処理単位の実行順を監視する実行順監視機能36を有している。」
(4)「【0029】
図3は、診断処理31の一例を示すもので、フィールド機器の故障診断やメモリのチェックなど、一連の診断処理1~診断処理Nを決められた順序で実行する。
ここで、各診断処理1~診断処理Nの終了時には、実行順のチェックが行われ、実行順の異常が検出された場合には、異常終了として、警報の通知やシステムのシャットダウンなど、必要な措置が取られる。
【0030】
図4は、実行順のチェック動作を説明するフロー図である。なお、診断処理1~診断処理Nなどの処理単位における実行順情報は、図5の如き実行順テーブルとして記憶されている。
このテーブルにおいて、Indexは処理単位の処理順、Currentは現在地点を0以外の整数で指定したもので、最初の地点ならばSTARTを指定する。Nextは次に呼び出す地点を0以外の整数で指定したもので、最初の地点ならばSTARTを指定する。
【0031】
図4に戻って、実行順チェックの開始時には、実行順テーブルのIndexポインタを初期化し、処理1(診断処理1)の実行順をテーブルと比較する。実行順テーブルのIndexが指す所に処理1の情報があるか、情報があれば処理1のCurrentおよびNextが実行順テーブルの各々と一致しているかを調べる。なお、CurrentまたはNextが0ならば、情報未登録である。
【0032】
比較結果が正常であれば、処理単位(診断処理1~診断処理N)の実行終了に合わせて、順次Indexポインタを更新し、同様な比較動作を繰り返す。
最後の処理Nまで比較を行い、異常が検出されなければ、診断処理31が実行順を含めて正常に終了したことになる。
【0033】
したがって、診断処理31を処理単位(診断処理1~診断処理N)の実行順を含めて監視することができ、前記した図9のような処理の抜けによる不具合を防止することができる。
【0034】
図2に戻って、診断処理31が終了すると、この診断処理31に対する実行順のチェックが行われ、処理がINPUT処理32へ移される。
このとき使用される実行順情報は、前記図5の如き、実行順テーブルの形式で記憶したものでも良いし、制御タスク30中に持っている順序情報を利用しても良い。」
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という)が記載されていると認められる。
「プラント制御システムの制御装置1であって、
フィールド機器からのプロセスデータを取り込み、制御バルブなどの操作端を駆動する制御信号を出力する制御装置1と、
当該制御装置1が、診断処理31、INPUT処理32、LOGIC処理33、OUTPUT処理34、WDT処理35から構成される制御タスク30を実行し、
制御タスク30の中に持たせた実行順監視機能36が、決められた順序で実行する一連の診断処理1~診断処理Nの実行順をチェックし、実行順の異常が検出された場合には、異常終了として、警報の通知やシステムのシャットダウンなど、必要な措置をするプラント制御システムの制御装置1。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0060】及び【0061】の記載並びに図16の記載からみて、当該引用文献2には、
「プラントの制御コントローラにおいて、故障が発生するとエラーコードの内容とエラー発生時刻をバックアップメモリ38にセーブし、トレースバックを可能にする」という技術的事項が記載されていると認められる。
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の段落【0014】-【0043】の記載及び図1-3の記載からみて、当該引用文献3には、
「プログラム実行状況監視装置のプログラム実行監視部300において、
当該プログラム実行監視部300が、監視対象プログラムモジュール名登録簿310及び監視対象プログラムモジュール名登録簿管理部320を備え、前記監視対象プログラムモジュール名登録簿管理部320が、前記監視対象プログラムモジュール名登録簿310に対して、監視対象のプログラムモジュール名を登録したり、削除したりすることで、ユーザが監視対象プログログラムを動的に切替る」という技術的事項が記載されていると認められる。
4.その他の文献について
新たに引用する特開2009-98910号公報の段落【0003】-【0005】及び図6には、次の事項が記載されている。
(1)プログラムの実行時に、必要とするメモリ領域を動的に拡張して確保し、また、不要となった場合にはメモリ領域を解放する事項は、周知技術である点。
(2)プログラミング言語であるC++には、メモリ領域を、プログラム実行時に確保あるいは解放するための関数が用意されており、これらの関数を用いてメモリ領域を効率よく利用することは、周知技術である点。
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明における「プラント制御システムの制御装置1」は、本願発明1における「過程工場監視および/または制御装置」に相当する。
引用発明の「フィールド機器からのプロセスデータを取り込み、制御バルブなどの操作端を駆動する制御信号を出力する制御装置1」は、「フィールド機器からのプロセスデータ」が「1つの入力」であり、「制御バルブなどの操作端を駆動する制御信号」が「1つの出力」であるから、本願発明1の「少なくとも1つの入力を受け取って少なくとも1つの出力を生成するように構成された制御器」に相当する。
引用発明の「当該制御装置1が、診断処理31、INPUT処理32、LOGIC処理33、OUTPUT処理34、WDT処理35から構成される制御タスク30を実行」する事項について検討すると、「制御タスク30」は本願発明1の「モジュール」に相当するから、引用発明は、本願発明1の「少なくとも1つのモジュールを記憶するためのコンピュータ可読媒体」を備えているといえる。また、引用発明の「診断処理31、INPUT処理32、LOGIC処理33、OUTPUT処理34、WDT処理35から構成される制御タスク30を実行」することは、本願発明1の「過程内の監視および/または制御機能性を達成するために前記モジュールを実行する」ことに相当するといえる。
引用発明の「制御タスク30の中に持たせた実行順監視機能36」は、本願発明1の「前記コンピュータ可読媒体上に記憶されたプログラムフロー制御監視ルーチン」に相当し、また、引用発明の「実行順監視機能36が、決められた順序で実行する一連の診断処理1~診断処理Nの実行順をチェックし、実行順の異常が検出」という事項は、本願発明1の「前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、実行されると、前記モジュールに関連する任意のエラーを検出」に相当する。
引用発明の「実行順監視機能36」が「実行順の異常が検出された場合には、異常終了として、警報の通知やシステムのシャットダウンなど、必要な措置をする」ことは、本願発明1の「前記プログラムフロー制御監視ルーチン」が「モジュールエラーが検出されると実行されて、工場固有の警告および/または処置を開始するインターフェースルーチンを含む」ことに相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「過程工場監視および/または制御装置であって、
少なくとも1つの入力を受け取って少なくとも1つの出力を生成するように構成された制御器と、
少なくとも1つのモジュールを記憶するためのコンピュータ可読媒体であって、前記制御器が、過程内の監視および/または制御機能性を達成するために前記モジュールを実行するようにさらに構成される、コンピュータ可読媒体と、
前記コンピュータ可読媒体上に記憶されたプログラムフロー制御監視ルーチンであって、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、実行されると、前記モジュールに関連する任意のエラーを検出して、前記プログラムフロー制御監視ルーチンが、モジュールエラーが検出されると実行されて、工場固有の警告および/または処置を開始するインターフェースルーチンを含む、プログラムフロー制御監視ルーチンと、を備える、過程工場監視および/または制御装置。」
<相違点1>
本願発明1は、「前記コンピュータ可読媒体に記憶されたモジュール登録ルーチンであって、実行されると、システム実時間に動的に、ユーザ入力に従って、監視のためにモジュールを登録および登録抹消する、モジュール登録ルーチン」を備えるのに対し、引用発明は、「モジュール登録ルーチン」を備えるものではない点。
<相違点2>
プログラムフロー制御監視ルーチンについて、本願発明1では、「任意のエラーが検出されたときのタイムスタンプ表示を提供」するものであるのに対し、引用発明の実行順監視機能36が、「エラーが検出されたときのタイムスタンプ表示を提供」するものであるかは不明である点。
<相違点3>
プログラムフロー制御監視ルーチンについて、本願発明1では、「前記モジュールに組み込まれ」ると共に、「監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」るのに対し、引用発明の実行順監視機能36は、「モジュールに組み込まれ」「監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」る構成については不明である点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点3について検討する。
相違点3に係る本願発明1の「プログラムフロー制御監視ルーチン」が「拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」るという事項については、上記第5の「4.その他の文献について」にも示されているように、一般的なプログラムの実行時に、必要とするメモリ領域を動的に拡張して確保し、また、不要となった場合にはメモリ領域を解放することで、効率の良いメモリの利用を行う技術は、本願優先日前に周知であった。
しかし、引用発明の「実行順監視機能36」は、制御タスク30内に診断処理31として備わっているもので、診断対象となるモジュールに組み込まれるものではなく、当該モジュールの数に比例してメモリを拡張することもないから、メモリ配分の増減を行わせる周知技術を適用する動機付けがないものである。
そして、例えば、プログラミング言語であるC++に、メモリ領域をプログラム実行時に確保あるいは解放するための関数が用意されていたとしても、これらの関数を用いてメモリ領域を効率よく利用する技術を引用発明に適用しても、相違点3に係る本願発明1の「プログラムフロー制御監視ルーチン」が「前記モジュールに組み込まれ」、「監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」る構成とすることはできない。
さらに、上記引用文献2及び3にも、相違点3に係る本願発明1の「プログラムフロー制御監視ルーチン」が「前記モジュールに組み込まれ」、「監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」る構成については、記載も示唆もされていない。
したがって、上記相違点1及び2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項並びに上記周知技術に基づいて、容易に発明することができたものとはいえない。
なお、原審の補正の却下の決定においては、相違点3に係る本願発明1の「プログラムフロー制御監視ルーチンが、監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」る構成は、本願出願前における周知技術にすぎないとの判断がされているが、上記のとおり、当該構成は周知技術を適用しても容易に想到するものとは認められない。
2.本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6は、本願発明1を引用するものであり、本願発明1の「前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、前記モジュールに組み込まれ、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」る事項と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された事項に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。
3.本願発明7ないし12について
本願発明7ないし12は、本願発明1ないし6の「過程工場監視および/または制御装置」に対応する「過程工場の監視および/または制御に関連付けられるモジュール内でエラーを検出する方法」であって、本願発明1の「前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、前記モジュールに組み込まれ、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」る事項に対応する、「前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、前記モジュールに組み込まれること」、「前記プログラムフロー制御監視ルーチンが、監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減されること」という事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された事項に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。
4.本願発明13ないし18について
本願発明13ないし18は、本願発明1ないし6の「過程工場監視および/または制御装置」に対応する「過程工場の監視および/または制御において使用するためのコンピュータ可読媒体」であって、本願発明1の「前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、前記モジュールに組み込まれ、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」る事項に対応する、「前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、前記複数のモジュールの1つに組み込まれ、前記プログラムフロー制御監視ルーチンは、監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減される」事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された事項に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。
第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-18は「プログラムフロー制御監視ルーチン」が「前記モジュールに組み込まれ」、「監視のために登録するモジュールの数に比例して拡張可能であり、これに対応してメモリ配分が増減され」る事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明1-18は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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