特許拒絶査定不服審判
2018-002126
飛行時間型カメラシステム
- 審判番号
- 2018-002126
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-526665外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年02月15日
- 審決日
- 2019年01月17日
- 公報発行日
- 2019年03月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ソニー デプスセンシング ソリューションズ エスエー エヌブイ
- 【請求人代理人】亀谷 美明
- 分類
- P18 .121-WY (G01S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-526665「飛行時間型カメラシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 2日国際公開、WO2015/097284、平成28年 9月23日国内公表、特表2016-529491、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2014年12月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年12月24日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成28年12月21日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年5月15日付けで手続補正がされ、同年10月16日付けで拒絶査定(送達日:同年同月24日)がされ、これに対し、平成30年2月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成29年10月16日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願請求項1-12に係る発明は、以下の引用文献1-7に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.国際公開第2012/137434号
2.特開2008-286527号公報
3.特開2008-164367号公報
4.米国特許出願公開第2012/0249744号明細書
5.特表2013-538342号公報
6.特表2002-500367号公報
7.特開2008-8687号公報
第3 本願発明
本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、平成30年2月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりの発明である。
「各々が画像センサを有する幾つかのカメラ(1、107)を備えるTOFカメラシステム(3)であって、前記カメラのうちの少なくとも1つは、TOFカメラであり、前記カメラのうち少なくとも1つは、前記TOFカメラとは異なる種類のカメラであり、前記各カメラは、共通の基板(100)上に組み立てられて同じシーン(15)を同時に画像化し、かつ前記少なくとも2つのカメラは、当該各カメラに対応する異なる駆動パラメータによって、前記同じシーン(15)について独立した異なる種類の画像を同時に取得するように駆動される、TOFカメラシステム(3)。」
なお、本願発明2-12は、本願発明1を減縮する発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図とともに次の事項が記載されている(下線は、当審による。)。
「[0001] 本発明は、被写体の立体形状を表す距離画像を取得する立体撮像装置に関する。」
「[0008] しかしながら、特許文献1に記載された立体撮像装置では、追加されたTOFカメラは、ステレオカメラを構成する2台のカメラのいずれとも別の位置に配置されている。このため、カメラから被写体までの視点がわずかにずれてしまい、ステレオマッチング方式による対応画素探索が出来なかった場合には、ステレオカメラの画素データの一部をTOF方式の画素データで補う際に画像の視線にズレが生じてしまう。これにより、距離画像データの補正がうまく機能しないという課題がある。
[0009] また、特許文献1に記載された立体撮像装置は、ステレオマッチング方式の2台のカメラに加え、もう1台の別のカメラを配置させた3眼式のセット構成のため、撮像装置の小型化が困難であるという課題を有している。
[0010] 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ステレオマッチング方式による対応画素探索ができなかった場合における距離画像データの補正時においても、画像の視線にズレが生じず、小型化可能な立体撮像装置を提供することを目的とする。」
「[0028」 図1は、本発明の実施の形態に係る立体撮像装置100の主要構成を示すブロック図である。同図に記載された立体撮像装置100は、第1の撮像カメラC1と、第2の撮像カメラC2と、光源1と、撮像制御部2と、ステレオマッチング部3と、変調信号発生部4と、距離測定精度判定部5と、画像出力切替制御部6とを備える。
[0029] 立体撮像装置100は、その前面部に、被写体OBJに向けて赤外光L1を照射する光源1と、前記被写体OBJからの反射光R1を受光して被写体OBJを撮像する第1の撮像カメラC1と、被写体OBJからの反射光R2を受光して被写体OBJを撮像する第2の撮像カメラC2とが配置されている。ここで、反射光R1およびR2は、赤外光L1が被写体OBJにあたって反射した光のほかに、例えば、太陽光などの環境光L0が被写体OBJにあたって反射した光を含んでいてもよい。
[0030] 第1の撮像カメラC1および第2の撮像カメラC2は、それぞれ、ステレオマッチングにより被写体OBJの立体形状を表す第1の距離画像を生成するための基準画像および参照画像を取得する撮像部であり、所定間隔をあけて平行に配置されている。
[0031] 第1の撮像カメラC1による撮像および第2の撮像カメラC2による撮像は、撮像制御部2から送られる同期信号Sg1およびSg2によりシャッタータイミングの同期が取られている。」
「[0035] さらに、第1の撮像カメラC1は、変調信号Sg3により光強度が変調された赤外光L1が被写体OBJにあたって反射した光を含む反射光R1を、同期信号Sg1の情報をもとに所定のシャッタータイミングおよびシャッター時間において受光する。第1の撮像カメラC1は、照射した光が被写体から戻ってくるまでの時間を画素毎に計測することにより、被写体OBJの反射点からの距離情報を含む第2の距離画像信号D2を生成する機能を備えたTOF型のカメラでもある。つまり、本実施の形態における第1の撮像カメラC1は、第2の距離画像生成部でもある。生成された第2の距離画像信号D2は距離測定精度判定部5に送られる。」
「[0044] 図2は、本発明の実施の形態に係る第1の撮像カメラC1の主要構成を示すブロック図である。同図に記載された第1の撮像カメラC1は、レンズ11と、固体撮像素子12と、画像信号抽出部13と、素子駆動部14と、距離画像信号抽出部15とを備える。」
「[0050] 一方、図3は、本発明の実施の形態に係る第2の撮像カメラC2の主要構成を示すブロック図である。同図に記載された第2の撮像カメラC2は、レンズ21と、固体撮像素子22と、画像信号抽出部23と、素子駆動部24とを備える。」
「[0068] 図5は、本発明の実施の形態に係る撮像カメラC1に内蔵された固体撮像素子12の概略構成および画素配置を示す図である。固体撮像素子12は、撮像領域40に単位画素(例えば、画素サイズ3.75μm×3.75μm)が2次元状に配置されている。撮像領域40に配置される単位画素は、青色光および赤外光を透過するフィルタを有し青色光および赤外光の波長帯に感度を有する単位画素41と、緑色光および赤外光を透過するフィルタを有し緑色光および赤外光の波長帯に感度を有する単位画素42と、赤色光および赤外光を透過するフィルタを有し赤色光および赤外光の波長帯に感度を有する単位画素43と、赤外光を透過するフィルタを有し赤外光の波長帯のみに感度を有する単位画素44とを含む。また、撮像領域40において、単位画素41、42、43および44の4画素は、一組の単位配列となって正方に配置される。
[0069] このように単位画素41、42、43および44を配置することにより、カラーの可視光画像と赤外光画像との両方を撮影することができる。以下、上述した画素配列により、カラーの可視光画像および赤外画像の両方を撮影できる理由を、図6A~図8Dを用いて説明する。
・・・
[0071] 画像信号抽出部13は、単位画素41の電荷信号である(B+IR)信号、単位画素42の電荷信号である(G+IR)信号および単位画素43の電荷信号である(R+IR)信号のそれぞれから、単位画素44の電荷信号であるIR信号を減算する赤外差分部を有し、当該赤外差分部の演算結果よりRGBカラー信号を生成する信号抽出部である。
[0072] 図7A~図7Cは、それぞれ、図6A~図6Cの分光感度特性から図6Dの分光感度特性を減算したときの分光感度特性を表すグラフである。このように、(B+IR)信号、(G+IR)信号および(R+IR)信号のそれぞれから、IR信号を減算することによりカラー信号を生成することがわかる。このカラー信号と、単位画素41、42、43および44の各画素のいずれかの画素より生成された輝度信号から、可視光によるカラー画像信号を容易に得ることができる。」
「[0080] 図9は、本発明の実施の形態に係る立体撮像装置100において行われる処理のフローチャートである。
・・・
[0083] 次に、立体撮像装置100は、第1の撮像カメラC1から基準画像となる画像信号G1を、また、第2の撮像カメラC2から参照画像となる画像信号G2を抽出する(S03)。
・・・
[0086] 一方、ステップS03~S05の間、第1の撮像カメラC1は、照射した光が被写体から戻ってくるまでの時間を画素毎に計測することにより、第2の距離画像信号D2を生成する(S06)。」
したがって、上記記載によれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「固体撮像素子12を備える第1の撮像カメラC1と、固体撮像素子22を備える第2の撮像カメラC2と、を備える立体撮像装置100であって、([0028]、[0044]、[0050])
第1の撮像カメラC1および第2の撮像カメラC2は、それぞれ、ステレオマッチングにより被写体OBJの立体形状を表す第1の距離画像を生成するための基準画像および参照画像を取得する撮像部であり([0030])、第1の撮像カメラC1は、TOF型のカメラでもあり([0035])、
第1の撮像カメラC1による撮像および第2の撮像カメラC2による撮像は、撮像制御部2から送られる同期信号Sg1およびSg2によりシャッタータイミングの同期が取られ([0031])、
固体撮像素子12は、青色光および赤外光の波長帯に感度を有する単位画素41と、緑色光および赤外光の波長帯に感度を有する単位画素42と、赤色光および赤外光の波長帯に感度を有する単位画素43と、赤外光の波長帯のみに感度を有する単位画素44とを含み([0068])、単位画素41の電荷信号である(B+IR)信号、単位画素42の電荷信号である(G+IR)信号および単位画素43の電荷信号である(R+IR)信号のそれぞれから、単位画素44の電荷信号であるIR信号を減算して([0071])、カラーの可視光画像と赤外光画像との両方を撮影することができ([0069])、
第1の撮像カメラC1から基準画像となる画像信号G1を、また、第2の撮像カメラC2から参照画像となる画像信号G2を抽出し([0083])、また第1の撮像カメラC1は、照射した光が被写体から戻ってくるまでの時間を画素毎に計測することにより、第2の距離画像信号D2を生成する([0086])、
立体撮像装置100。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、段落0013、0018-0020、図1-3等の記載からみて、複数の撮像光学系間の視差によって対象物までの距離を測定する複眼測距装置において、それぞれの撮像光学系に対応する撮像素子をシリコンウエハーのような同一基板に実装するという技術事項が記載されていると認められる。
3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、段落0012-0014、図1-3等の記載からみて、第1撮像領域と第2撮像領域とを含む領域に行列状に配置された複数の光電変換素子を備える撮像部と、前記第1撮像領域に配置された複数の光電変換素子及び前記第2撮像領域に配置された複数の光電変換素子からそれぞれ第1映像信号及び第2映像信号を出力する出力手段と、前記第1映像信号及び前記第2映像信号から被写体に対する視差を算出し、被写体までの距離に関する情報を算出する算出手段とを備え、前記撮像部と、前記出力手段と、前記算出手段とは、同一の半導体基板に形成される固体撮像装置という技術事項が記載されていると認められる。
4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、段落0029-0034、図1-3等の記載からみて、シリコン基板のような1個の半導体基板22に形成された検出器素子24のマトリックス上に、赤外光、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ通すフィルタゾーン34、36、38 40が設けられ、それぞれ、パターンベースの3Dマッピング赤外画像及びRGBカラー画像を提供するという技術事項が記載されていると認められる。
5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、段落0014-0017等の記載からみて、ディエイリアシングアルゴリズムを実装するための少なくとも2つの異なる周波数を含む駆動パラメータでカメラを駆動するという技術事項が記載されていると認められる。
6 引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、段落0006-0008、0020-0058等の記載からみて、複数の画像領域で同じシーンを異なる積分時間中に画像化するという技術事項が記載されていると認められる。
7 引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には、段落0027-0028、図1等の記載からみて、視差測定方式、位相TOF方式及びパルスTOF方式を組み合わせて距離測定システムを構成するという技術事項が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「固体撮像素子12を備える第1の撮像カメラC1と、固体撮像素子22を備える第2の撮像カメラC2」は、本願発明1の「各々が画像センサを有する幾つかのカメラ(1、107)」に相当する。また、引用発明の「第1の撮像カメラC1は、TOF型のカメラでもあ」るから、これを備える引用発明の「立体撮像装置100」は、TOFカメラを含むシステムであるといえる。そうすると、引用発明の「固体撮像素子12を備える第1の撮像カメラC1と、固体撮像素子22を備える第2の撮像カメラC2と、を備える立体撮像装置100」と、本願発明1の「各々が画像センサを有する幾つかのカメラを備えるTOFカメラシステム」とは、「各々が画像センサを有する幾つかのカメラを備える、TOFカメラを含むシステム」の点で共通する。
イ 引用発明において、「第1の撮像カメラC1は、TOF型のカメラでもあ」る一方、「第1の撮像カメラC1および第2の撮像カメラC2は、それぞれ、ステレオマッチングにより被写体OBJの立体形状を表す第1の距離画像を生成するための基準画像および参照画像を取得する撮像部であ」るから、「第2の撮像カメラC2」は、「TOF型のカメラ」として機能するものではなく、このことは、本願発明1において「前記カメラのうちの少なくとも1つは、TOFカメラであり、前記カメラのうち少なくとも1つは、前記TOFカメラとは異なる種類のカメラであ」ることに相当する。
ウ 引用発明において、「第1の撮像カメラC1による撮像および第2の撮像カメラC2による撮像は、撮像制御部2から送られる同期信号Sg1およびSg2によりシャッタータイミングの同期が取られ」ており、両カメラが同時に撮像を行うものであることは明らかであって、この点と、本願発明1において「前記各カメラは、共通の基板(100)上に組み立てられて同じシーン(15)を同時に画像化」するものである点とは、「前記各カメラは、同じシーン(15)を同時に画像化」するものである点で共通するといえる。
エ 引用発明は、「第1の撮像カメラC1および第2の撮像カメラC2は」、「シャッタータイミングの同期が取られ」て、「ステレオマッチングにより被写体OBJの立体形状を表す第1の距離画像を生成するための基準画像および参照画像を取得」し、また「第1の撮像カメラC1は、TOF型のカメラでもあ」って、その「固体撮像素子12は、青色光および赤外光の波長帯に感度を有する単位画素41と、緑色光および赤外光の波長帯に感度を有する単位画素42と、赤色光および赤外光の波長帯に感度を有する単位画素43と、赤外光の波長帯のみに感度を有する単位画素44とを含み、単位画素41の電荷信号である(B+IR)信号、単位画素42の電荷信号である(G+IR)信号および単位画素43の電荷信号である(R+IR)信号のそれぞれから、単位画素44の電荷信号であるIR信号を減算して、カラーの可視光画像と赤外光画像との両方を撮影する」ものであり、「第1の撮像カメラC1から基準画像となる画像信号G1を、また、第2の撮像カメラC2から参照画像となる画像信号G2を抽出」し、「第1の撮像カメラC1は、照射した光が被写体から戻ってくるまでの時間を画素毎に計測することにより、第2の距離画像信号D2を生成する」という構成を有するものである。したがって、引用発明の2つのカメラが「同じシーンから異なるタイプの情報を同時に取得する」(本願明細書【0041】)ものであって、「当該各カメラに対応する異なる駆動パラメータによって」、「同じシーンについて独立した異なる種類の画像を同時に取得するように駆動される」ことは明らかといえる。
そうすると、引用発明の上記構成は、本願発明1の「前記少なくとも2つのカメラは、当該各カメラに対応する異なる駆動パラメータによって、前記同じシーン(15)について独立した異なる種類の画像を同時に取得するように駆動される、」ことに相当する。
オ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「各々が画像センサを有する幾つかのカメラを備える、TOFカメラを含むシステムであって、前記カメラのうちの少なくとも1つは、TOFカメラであり、前記カメラのうち少なくとも1つは、前記TOFカメラとは異なる種類のカメラであり、前記各カメラは、同じシーンを同時に画像化し、かつ前記少なくとも2つのカメラは、当該各カメラに対応する異なる駆動パラメータによって、前記同じシーンについて独立した異なる種類の画像を同時に取得するように駆動される、TOFカメラを含むシステム。」
(相違点)
本願発明1は、「TOFカメラシステム」であり、「前記各カメラは、共通の基板(100)上に組み立てられて」いるのに対し、引用発明は、「立体撮像装置」であって、「第1の撮像カメラC1」は「TOF型のカメラでもあ」るものの、「第1の撮像カメラC1」と「第2の撮像カメラC2」が「共通の基板上に組み立てられて」いるとはされていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
引用発明は、引用文献1の段落[0008]に記載されるように、TOFカメラがステレオカメラを構成する「2台」のカメラのいずれとも別の位置に配置されていると、カメラから被写体までの視線がわずかにずれてしまい、距離画像データの補正がうまく機能しないという課題を解決するものである。
このことに鑑みると、引用発明は、引用文献1の段落[0008]に記載された従来のステレオカメラと同様に、(「TOF型のカメラでもあ」るものとされた)「第1の撮像カメラC1」と「第2の撮像カメラC2」を、十分な視差が得られる程度に「所定間隔をあけて並行に配置」(引用文献1の段落[0030])し、「2台」の撮像カメラでステレオカメラを構成することを前提とした発明であるといえる。
したがって、引用文献2又は3に、「複眼測距装置」において「それぞれの撮像光学系に対応する撮像素子を同一の半導体基板に実装する」技術が記載されているとしても、引用発明に、引用文献2又は3に記載された上記技術を適用し、引用発明における(「TOF型のカメラでもあ」るものとされた)「第1の撮像カメラC1」と「第2の撮像カメラC2」の「2台」の撮像カメラを、「同一の半導体基板に実装」された「2つの撮像素子」とし、立体撮像装置ではなく、TOFカメラシステムとして再構成して、上記相違点に係る本願発明1の構成とすることは、引用発明における上記前提と相容れないことであって、当業者といえども動機付けられないことである。
引用文献4は、1個の半導体基板22に形成された検出器素子24のマトリックス上に、赤外光、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ通すフィルタゾーン34、36、38 40を設けることを記載するだけであって、引用発明において、「第1の撮像カメラC1」と「第2の撮像カメラC2」を同一の半導体基板に実装することを示唆するものではいえない。
また、引用文献5-7も、引用発明において、「第1の撮像カメラC1」と「第2の撮像カメラC2」を同一の半導体基板に実装することを示唆するものではない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1-7に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2-12について
本願発明2-12は、本願発明1を減縮する発明であるから、本願発明1と同様の理由により、引用文献1-7に基づいて当業者が容易に発明できたものということはできない。
第6 原査定について
本願発明1-12は「前記各カメラは、共通の基板(100)上に組み立てられて」いるという事項を有するものであって、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-7に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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