特許拒絶査定不服審判
2018-002109
着信通知方法及び装置、プログラム及び記録媒体
- 審判番号
- 2018-002109
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-505702外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年02月15日
- 審決日
- 2019年07月03日
- 公報発行日
- 2020年01月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小米科技有限責任公司
- 【請求人代理人】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (H04M) / P18 .537-WZ (H04M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-505702「着信通知方法及び装置、プログラム及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月22日国際公開、WO2016/145861、平成29年 6月29日国内公表、特表2017-517997〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)10月28日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2015年3月13日、(CN)中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、平成29年6月9日付けの拒絶理由の通知に対し、平成29年9月22日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成29年10月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年2月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、平成31年1月24日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年4月25日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし13に係る発明は、平成31年4月25日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
着信を受けた場合、前記着信の番号情報に基づいて、前記着信の音声識別情報を決定するステップと、
前記着信の音声識別情報をユーザに通知するステップと
を含み、
前記着信の番号情報に基づいて、前記着信の音声識別情報を決定するステップは、
前記着信の番号情報に基づいて、連絡先情報の照会を行うステップと、
前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報が照会できた場合、前記着信の音声プロンプト情報が、照会された、前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報を含む第1タイプの音声プロンプト情報であると決定するステップと、
前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報が照会できなかった場合、前記着信の番号情報に基づいて、イエローページ情報の照会を行うステップと、
前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できた場合、前記着信の音声プロンプト情報が、照会された、前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報を含む第2タイプの音声プロンプト情報であると決定するステップと、
前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できなかった場合、前記着信の番号情報に基づいて、識別マーク情報の照会を行うステップと、
前記着信の番号情報と関連のある識別マーク情報が照会できた場合、前記着信の音声プロンプト情報が、前記識別マーク情報を含む第3タイプの音声プロンプト情報であると決定するステップと、
前記着信の番号情報と関連のある識別マーク情報が照会できなかった場合、前記着信の音声プロンプト情報が、前記着信の番号情報を含む第4タイプの音声プロンプト情報であると決定するステップと、
を含むことを特徴とする着信通知方法。」
第3 当審における拒絶の理由
当審における平成31年1月24日付けの拒絶の理由の概要は、進歩性として、この出願の請求項1ないし13に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし5に記載された事項に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。
引用文献1:特開2013-126124号公報
引用文献2:特開2013-207394号公報
引用文献3:特開2002-209011号公報
引用文献4:特開2006-295633号公報
引用文献5:特表2010-535461号公報
第4 引用文献
1.引用文献1
当審の拒絶の理由1(進歩性)で引用された特開2013-126124号公報(平成25年6月24日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審が付与、以下同じ)。
「【0001】
本発明は、携帯電話等の携帯端末において、発信者情報をできるだけ正確に表示する発信者情報表示システムおよび方法に関する。」
「【0019】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。図1に本発明のシステム構成を示す。本システムは、発信者端末1、受信者端末2、およびサービス事業者システム3から構成される。受信者端末2は、内部に受信者端末データベース21を有し、サービス事業者システム3は、発信者情報取得サーバ31、信頼度測定サーバ32、およびサービス事業者データベース33から構成される。以下に、本システムの各部分の機能概要を説明する。」
「【0021】
受信者端末2も、携帯電話等の携帯端末であり、受信者は発信者からの着信を受ける。受信者端末データベース21は、受信者端末2に内蔵されたデータベースであり、アドレス帳、着信拒否データベース、および発着信履歴データベースを備える。受信者端末2は、受信者端末データベース21を検索、および発信者情報取得サーバ31に問い合わせることにより、発信者の電話番号から発信者情報を取得して表示する。
【0022】
図1右下に、受信者端末2で表示される情報の例を示す。着信日時と共に発信者の情報が表示される。本例の発信者情報では、発信者の名称、情報源へのリンク、迷惑電話の可能性、信頼度等が表示される。本例では、信頼度に応じたアイコンで信頼度が表示される。なお、発信者情報は、別途より詳細に説明される。」
「【0027】
図2aは、アドレス帳の構造を示す。アドレス帳は、受信者端末2の所有者が登録するデータベースであり、電話番号、名称、およびURL/その他のカラムを備える。」
「【0033】
図2gは、外部電話番号データベースの構造を示す。外部電話番号データベースは、サービス事業者システム3以外の事業者が提供する発信者端末1の発信者情報を示すデータベースであり、少なくとも名称、電話番号を備える。本データベースは、例えば、「タウンページ」、「迷惑電話番号サーチズ」、「勧誘電話110番Neo」、「迷惑電話・ワン切り撃退」等が該当する。
【0034】
図2hは、共有着信拒否データベースの構造を示す。共有着信拒否データベースは、受信者端末2の所有者が共有する着信拒否電話番号を示すデータベースであり、ユーザID、電話番号、および備考を備える。ユーザIDは着信拒否電話番号を登録したユーザのユーザIDである。なお、ユーザIDについては、図2dのユーザIDと紐付ける必要はなく、重複を起こさないことが重要である。逆に誰が拒否設定をしているということが漏洩することが問題となる。そのため、ユーザIDについては一方向ハッシュのようなしくみにより、不可逆な値として保持することが望ましい。」
「【0036】
図3は、本発明による発信者情報を表示するフローを示す。本フローに従い、本発明の処理を示す。
【0037】
図3aは、発信者端末1と受信者端末2の処理を示す。
(S11)発信者端末1の発信者が、受信者端末2に電話番号通知で電話をかける。
(S12)受信者端末2に着信する。
(S13)受信者端末2の内部処理(図3b)が行われる。
(S14)データ転送が可能か確認する。具体的には、回線交換の場合、着信終了を待つ必要があるため、データ転送が不可能であり、S15に進み、LTEの場合、VoIPが可能となるので、S16に進む。
(S15)受信者端末2の着信終了を待ち、終了後S16に進む。
(S16)発信者情報取得サーバ31に電話番号の検索(図3c)を依頼する。
(S17)発信者情報取得サーバ31からへ返却された情報を受信者端末2のUI(ユーザインターフェース)に表示する。
【0038】
図3bは、受信者端末2の内部処理を示す。
(S21)受信者端末2のアドレス帳(a)を検索する。
(S22)発信者端末1の電話番号が登録されていれば、S23に進み、登録されていない場合、S24に進む。
(S23)名称、URL/その他の情報を取得し、受信者端末2のUIに表示する。
(S24)受信者端末2の着信拒否データベース(b)を検索する。
(S25)発信者端末1の電話番号が登録されていれば、S26に進み、登録されていない場合、終了し、図3aのフローに戻る。
(S26)着信拒否を行い、備考が登録されていれば、備考を受信者端末2のUIに表示する。
【0039】
なお、S23、S26の表示処理を行った場合、図3aのフローに戻ることなく処理は終了する。
【0040】
図3cは、発信者情報取得サーバ31の電話番号検索処理を示す。
(S31)発信者情報取得サーバ31のユーザ登録データベース(e)を検索する。
(S32)発信者端末1の電話番号が登録されていれば、S33に進み、登録されていない場合、S34に進む。
(S33)登録されているURL(プロフィール)と認証の有無を取得し、S37に進む。
(S34)外部電話番号データベース(g)を検索する。
(S35)発信者端末1の電話番号が登録されていれば、S36に進み、登録されていない場合、S38に進む。
(S36)登録されている名称を取得する。
(S37)信頼度データベース(f)から信頼度を取得する。
(S38)共有着信拒否データベース(h)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、登録数を取得し、着信拒否設定率を計算する。なお、本検索は、検索時間によっては、自動でチェックするのではなく、ユーザのリクエストに応じて行っても良い。
【0041】
発信者情報取得サーバ31は、上記で得られた登録情報(名称、URL、認証の有無)、信頼度、および着信拒否設定率を受信者端末2に返却する。」
「【0043】
S17では、発信者情報として、以下の内容が表示される。
・アドレス帳に、発信者電話番号が登録されていた場合には、登録された名称等を表示する。
・着信拒否データベースに、発信者電話番号が登録されていた場合には、登録された情報を表示する。さらに、着信拒否と表示し、備考を添えて表示してもよい。
・ユーザ登録データベースに、発信者電話番号が登録されていた場合には、登録された名称を表示する。さらに信頼度を表示しても良い。信頼度については、返却された信頼度の数値をそのまま表示しても良いし、何らか別の表現(信頼度に応じたアイコンなど)で表しても良い。
・外部電話番号データベースに、発信者電話番号が登録されていた場合には、「迷惑電話かも」といった迷惑電話の可能性を示唆する表示をする。さらに情報源へのリンクを用意して、ユーザの指示によりリンクに示される情報を表示するようにしても良い。
・共有着信拒否データベースに、発信者電話番号が登録されていた場合で、着信拒否設定率が一定の割合(例えば20%)以上の場合、「迷惑電話かも」や「多くの人が着信拒否設定をしています」といった表示とする。さらにその数値(着信拒否設定率)を表示しても良いし、数値に対応した別の表現(着信拒否設定率に応じたアイコンなど)を行っても良い。
・いずれの情報もなかった場合には、電話番号のみを表示する。」
「【図1】
」
「【図2】
」
「【図3】
」
上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
【0021】の記載によれば、引用文献1の受信者端末2は、発信者からの着信を受けると、受信者端末データベース21を検索、および発信者情報取得サーバ31に問い合わせることにより、発信者の電話番号から発信者情報を取得して表示するものである。
【0021】,【0022】及び図1の記載によれば、受信者端末2には、発信者の名称、迷惑電話の可能性を含む発信者情報が表示される。
次に、【0036】の記載によれば、引用文献1の図3には「発信者情報を表示するフロー」が示されており、当該フローは、発信者情報を表示する方法といえる。また、「発信者情報を表示するフロー」は、発信者端末1と受信者端末2の処理(図3a)、受信者端末2の内部処理(図3b)及び発信者情報取得サーバ31の電話番号検索処理(図3c)を含む。
【0037】,【0038】,【0040】,【0041】,図3a(S16,S17),図3b(S21~S23)及び図3c(S34~S36)の記載によれば、引用文献1の「発信者情報を表示するフロー」において、発信者端末1の電話番号で検索処理を行い、発信者の名称を取得して受信者端末2のUIに表示するから、引用文献1の「発信者情報を表示するフロー」は、「発信者端末1の電話番号に基づいて検索処理を行い、発信者の名称を取得して受信者端末2のUIに発信者情報を表示するステップ」を含むといえる。
【0027】,【0036】~【0038】,図2a,図3a及び図3b(S13,S21~S23)の記載によれば、「発信者端末1の電話番号に基づいて検索処理を行い、受信者端末2のUIに発信者情報を表示するステップ」は具体的には、(S21)受信者端末2のアドレス帳(a)を検索するステップと、(S22)アドレス帳(a)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、(S23)名称を取得し、受信者端末2のUIに表示するステップを含む受信者端末2の(S13)端末内部処理を行うものである。
ここで、【0021】及び図2の記載によれば、受信者端末に内蔵された受信者端末データベース21は、アドレス帳を備えるから、アドレス帳(a)は受信者端末に内蔵されている。
次に、【0033】,【0034】,【0037】~【0041】,【0043】,図2g,図2h及び図3a~図3c(S16,S22,S34~S36,S38)の記載によれば、「発信者端末1の電話番号に基づいて検索処理を行い、受信者端末2のUIに発信者情報を表示するステップ」は、(S22)受信者端末2のアドレス帳(a)に発信者端末1の電話番号が登録されていない場合に、図3aのフローに戻り、(S16)発信者情報取得サーバ31に電話番号の検索を依頼し、(S34)外部電話番号データベース(g)を検索するステップと、(S35)外部電話番号データベース(g)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、(S36)登録されている名称を取得するステップと、(S35)発信者情報取得サーバ31の外部電話番号データベース(g)に発信者端末1の電話番号が登録されていない場合は、(S38)共有着信拒否データベース(h)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、着信拒否設定率を計算し、発信者情報取得サーバ31は、名称および着信拒否設定率を受信者端末2に返却するステップを含む電話番号検索(図3c)を行い、(S17)発信者情報取得サーバ31から返却された情報を受信者端末2のUIに表示するステップを含むものである。
ここで、受信者端末2が、発信者情報取得サーバ31から返却された情報である、名称および着信拒否設定率を取得することは明らかである。
さらに、【0036】~【0043】の記載によれば、「発信者端末1の電話番号に基づいて検索処理を行い、受信者端末2のUIに発信者情報を表示するステップ」は、アドレス帳(a)、外部電話番号データベース(g)、及び共有着信拒否データベース(h)のいずれにも発信者電話番号が登録されていない場合には、電話番号のみを表示するステップを含むものである。
また、【0036】~【0043】の記載によれば、アドレス帳(a)に、発信者電話番号が登録されていた場合、外部電話番号データベース(g)に発信者電話番号が登録されていた場合、共有着信拒否データベース(h)に発信者電話番号が登録されていた場合、及びいずれにも登録されていない場合で、それぞれ発信者情報として表示される内容は異なるから、異なるタイプの情報が表示されるといえる。
以上より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「受信者端末2に着信があると、受信者端末2は、発信者端末1の電話番号に基づいて検索処理を行い、発信者の名称を取得して受信者端末2のUIに発信者情報を表示するステップを含み、
当該発信者情報には、発信者の名称、迷惑電話の可能性が含まれ、
発信者端末1の電話番号に基づいて検索処理を行い、受信者端末2のUIに発信者情報を表示するステップは、
受信者端末2に内蔵されたアドレス帳(a)を検索するステップと、
アドレス帳(a)に、発信者端末1の電話番号が登録されていれば、名称を取得し、受信者端末2のUIに表示するステップと、
受信者端末2のアドレス帳(a)に発信者端末1の電話番号が登録されていない場合に、発信者情報取得サーバ31に電話番号の検索を依頼し、外部電話番号データベース(g)を検索するステップと、
外部電話番号データベース(g)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、登録されている名称を取得するステップと、
発信者情報取得サーバ31の外部電話番号データベース(g)に発信者端末1の電話番号が登録されていない場合は、備考として「迷惑電話」や「ストーカー」を含む共有着信拒否データベース(h)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、発信者情報取得サーバ31から返却された情報である、名称および着信拒否設定率を取得するステップと、
発信者情報取得サーバ31から返却された情報を受信者端末2のUIに表示するステップと、
アドレス帳(a)、外部電話番号データベース(g)、及び共有着信拒否データベース(h)のいずれにも発信者電話番号が登録されていない場合には、電話番号のみを表示するステップを含み、
アドレス帳(a)に、発信者電話番号が登録されていた場合、外部電話番号データベース(g)に発信者電話番号が登録されていた場合、共有着信拒否データベース(h)に発信者電話番号が登録されていた場合、及びいずれの情報も登録されていない場合で、それぞれ発信者情報として表示される内容は異なり、異なるタイプの情報が表示される、
発信者情報を表示する方法。」
が記載されている。
2.引用文献2
当審の拒絶の理由(進歩性)で引用された特開2013-207394号公報(平成25年10月7日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、悪意のある電話に出てしまうのを効果的に回避させることが可能な電話機能を有する電子機器および電話事前警告システムを提供することである。」
「【0018】
上記第1の局面による電話機能を有する電子機器において、好ましくは、制御部は、少なくとも、表示、振動または音声のうちのいずれか1つの態様により、リスク情報に基づいた判断結果をユーザに通知する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、表示、振動または音声のうちのいずれか1つの態様を切り替えてユーザに判断結果を容易に認識させることできる。」
「【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1~図5を参照して、本発明の一実施形態による電話事前警告システム100の構成を説明する。電話事前警告システム100は、携帯電話10とサーバ20とを備えている。なお、携帯電話10は、本発明の「電話機能を有する電子機器」の一例である。また、サーバ20は、本発明の「外部サーバ」の一例である。
【0026】
携帯電話10は、図1に示すように、電話通信が可能な電話通信部1と、インターネット通信が可能なインターネット通信部2と、情報を表示可能な表示部3と、音声により情報をユーザに通知可能なスピーカ4と、振動により情報をユーザに通知可能な振動モータ5とを備えている。また、携帯電話10は、データを記憶可能な記憶部6と、携帯電話10の動作を制御する制御部7とを備えている。なお、電話通信部1は、本発明の「通信部」の一例である。」
「【0029】
ここで、本実施形態では、外部ネットワーク上のサーバ20には、図2に示すように、電話番号に関連付けられた複数のサーバ格納リスク情報32が格納されている。また、サーバ20に格納されている複数のサーバ格納リスク情報32は、それぞれ、複数のユーザにより投稿された情報により構成されている。具体的には、外部サーバ20において、複数のユーザから後述する個人登録リスク情報31が投稿されることにより収集されて共有管理されている。これらのサーバ格納リスク情報32は、複数のユーザからアクセス可能であり、複数のユーザにより共有化されている。
【0030】
また、サーバ格納リスク情報32は、電話番号に関連付けられた複数の情報を含んでいる。詳細には、サーバ格納リスク情報32は、図2に示すように、電話番号の危険性を示す複数のリスク度に関する情報を含んでいる。具体的には、リスク度1、リスク度2、リスク度3、リスク度4の順で危険性が低くなる。すなわち、リスク度1が最も危険性が高く、リスク度4が最も危険性が低い。また、サーバ格納リスク情報32は、電話番号についての分類に関する情報を含んでいる。たとえば、「勧誘」の分類は、勧誘に使用された電話番号であることを示す。また、「詐欺」の分類は、詐欺に使用された電話番号であることを示す。また、「業者」の分類は、電話番号の発信元が業者であることを示す。」
「【0035】
記憶部6は、書き換え可能な不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶部6は、インターネット通信部2によりサーバ20から取得された複数のサーバ格納リスク情報32を記憶可能に構成されている。また、記憶部6は、所定の電話番号にリスク度および分類が関連付けされた複数の個人登録リスク情報31を記憶可能に構成されている。また、個人登録リスク情報31は、ユーザによりサーバ20に投稿(アップロード)可能なように構成されている。また、図3に示すように、個人登録リスク情報31には、サーバ格納リスク情報32と同様に、リスク度と分類とに関する情報が含まれている一方、サーバ格納リスク情報32とは異なり、投稿数と信頼度とに関する情報については含まれていない。また、記憶部6は、信頼できる人物の声紋を記憶可能に構成されている。また、記憶部6は、信頼できる人物の顔の画像を記憶可能に構成されている。信頼できる声紋および顔画像であるか否かは、ユーザが任意に設定可能である。
【0036】
また、制御部7は、所定のタイミング(たとえば、ユーザが指定した時刻およびインターネット回線が混雑しない時間帯など)でサーバ20からサーバ格納リスク情報32を取得する制御を行うように構成されている。
【0037】
制御部7は、図4に示すように、着信があった際に、記憶部6に記憶された複数のサーバ格納リスク情報32(図2参照)に基づいて、電話の発信元のリスク度を判断し、判断結果として発信元の電話番号と、リスク度、分類、投稿数および信頼度とを表示部3に表示させるように構成されている。また、制御部7は、図5に示すように、着信があった際に、記憶部6に記憶された個人登録リスク情報31(図3参照)に基づいて、電話の発信元のリスク度を判断し、判断結果として発信元の電話番号と、リスク度、分類、投稿数および信頼度とを表示部3に表示させるように構成されている。」
「【0069】
本実施形態では、リスク情報30を、個人登録リスク情報31とサーバ格納リスク情報32とを含むように構成し、制御部7を、個人登録リスク情報31のリスク度とサーバ格納リスク情報32のリスク度との両方に基づいて、着信の態様を切り替える制御を行うように構成する。これにより、サーバ格納リスク情報32と個人登録リスク情報31との両方を用いて、着信の態様を適切に切り替えることができる。」
「【図2】
」
「【図3】
」
「【図4】
」
「【図5】
」
上記記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
引用文献2の【0006】の記載によれば、引用文献2の電話事前警告システムは、悪意のある電話に出てしまうのを効果的に回避させることが可能な電話機能を有するものであり、悪意のある電話は、一般に、迷惑な電話である。
引用文献2の【0029】,【0030】及び図2の記載によれば、引用文献2のサーバ格納リスク情報32は、電話番号に関連付けられた、複数のリスク度に関する情報と、「勧誘」、「詐欺」あるいは「業者」等の分類に関する情報を含むものである。
また、引用文献2の【0026】,【0029】及び【0035】の記載によれば、引用文献2のサーバ格納リスク情報32は外部ネットワーク上のサーバ20に格納されている。
引用文献2の【0026】,【0035】及び図3の記載によれば、引用文献2の個人登録リスク情報31は、サーバ格納リスク情報32と同様に、所定の電話番号にリスク度および分類が関連付けされ、リスク度と分類とに関する情報が含まれている。
そして、引用文献2の【0069】の記載によれば、リスク情報30は、個人登録リスク情報31とサーバ格納リスク情報32とを含むように構成されるから、サーバ格納リスク情報32及び個人リスク情報31を合わせてリスク情報30といえる。
したがって、引用文献2の電話事前警告システムは、電話番号に関連付けられた、複数のリスク度に関する情報と、「勧誘」、「詐欺」あるいは「業者」等の分類に関する情報を含む、リスク情報30を有するものである。
引用文献2の【0018】の記載によれば、引用文献2の電話機能を有する電子機器は、リスク情報30に基づいた判断結果をユーザに通知する制御を行うように構成され、ユーザに判断結果を認識させることができる制御部を有するものである。
また、引用文献2の【0024】~【0026】の記載によれば、引用文献2の「本発明を具体化した実施形態」であり、「電話機能を有する電子機器」の一例である携帯電話10が備える制御部7は、【0018】に記載の制御部と同様に構成されているといえる。
そして、引用文献2の【0025】,【0026】,【0037】及び図2~5の記載によれば、電話事前警告システム100が備える携帯電話10は、着信があった際に、リスク情報30に基づいて、電話の発信元のリスク度を判断し、判断結果として発信元の電話番号と、リスク度、分類を表示部3に表示させる制御部7を備えたものである。
したがって、上記記載によれば、引用文献2には、
「迷惑な電話に出てしまうのを効果的に回避させることが可能な電話機能を有する電話事前警告システムであって、
電話番号に関連付けられた、複数のリスク度に関する情報と、「勧誘」、「詐欺」あるいは「業者」等の分類に関する情報を含む、リスク情報30を有し、
リスク情報30に基づいた判断結果をユーザに通知する制御を行うように構成され、ユーザに判断結果を認識させることでき、着信があった際に、リスク情報30に基づいて、電話の発信元のリスク度を判断し、判断結果として発信元の電話番号と、リスク度、分類を表示部3に表示させる制御部7と
を備えた電話事前警告システム」
の技術が記載されている。
3.引用文献3
当審の拒絶の理由(進歩性)で引用された特開2002-209011号公報(平成14年7月26日出願公開。以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0004】また、着信の際、発信者の電話番号を表示部に表示し、その電話番号に対応する氏名が自携帯端末のアドレス帳に登録されている場合は、発信者の氏名も同様に表示部に表示する機能を有する携帯端末が一般に広く用いられている。上記のような発信者の電話番号および氏名を報知する動作を音声を用いて行うことによりより容易にユーザが情報を得る発明として、特開平10-233833号公報が開示するところの携帯電話機(以下、従来例3)、特開平11-32105号公報が開示するところの携帯情報端末およびその着信報知方法(以下、従来例4)、および特開平11-187113号公報が開示するところの音声蓄積装置、情報通信装置及び発信番号再生方法(以下、従来例5)などがある。」
「【0007】また、従来例3には、着信時に発信者電話番号を表示し、その発信者番号に対応する発信者名が自携帯電話機のメモリに登録されている場合は、その発信者名をスピーカにより音声で報知する携帯電話機が記載されていた。」
「【0008】また、従来例4には、着信時に、発信者番号やそれに対応する発信者特定情報(発信者氏名など)を、呼出音として発音手段から報知する携帯情報端末およびその着信報知方法が記載されていた。」
引用文献3の【0004】の記載によれば、着信時に、発信者の電話番号と氏名を表示部に表示する機能を有する携帯端末について、表示部に表示される発信者の電話番号および氏名を報知する動作を音声を用いて行うことによりより容易にユーザが情報を得る発明として、従来例3及び従来例4の技術がある。
引用文献3の【0007】の記載によれば、従来例3は、発信者名、すなわち発信者の氏名をスピーカにより音声で報知する携帯電話機である。
引用文献3の【0008】の記載によれば、従来例4は、発信者番号や発信者特定情報(発信者氏名など)を発音手段から報知する携帯情報端末である。
したがって、上記記載によれば、引用文献3には、
「着信時に、表示部に表示される発信者の電話番号および氏名を報知する動作を、スピーカや発音手段により音声を用いて行うことにより容易にユーザが情報を得る携帯情報端末」
の技術が記載されている。
第5 対比
本願発明と、引用発明とを対比する。
(ア)引用発明における「受信者端末2に着信がある」ことは、本願発明における「着信を受け」ることに相当し、引用発明における「発信者端末1の電話番号」は、本願発明における「着信の番号情報」に相当する。
引用発明の「受信者端末2は、発信者端末1の電話番号に基づいて検索処理を行い、発信者の名称を取得して受信者端末2のUIに発信者情報を表示するステップ」は、「発信者端末1の電話番号に基づいて、受信者端末2のUIに表示する発信者情報を決定するステップ」及び「受信者端末2のUIに発信者情報を表示するステップ」を含むといえる。
そして、引用発明における、受信者端末2のUIに表示する発信者情報は、「発信者の名称、迷惑電話の可能性」を含むものであり、これは、発信者を識別する情報、すなわち、着信を識別する情報に他ならない。
一方、本願発明が「着信を受けた場合」に「前記着信の番号情報に基づいて」決定するのは「着信の音声識別情報」であり、「着信の音声識別情報」は「着信の識別情報」である。
したがって、引用発明と本願発明は、「着信を受けた場合、前記着信の番号情報に基づいて、前記着信の識別情報を決定するステップ」を含む点で共通する。
(イ)引用発明における「受信者端末2のUIに発信者情報を表示するステップ」は、「着信の識別情報」(上記(ア))を受信者であるユーザに通知するステップであるといえる。
(ウ)本願発明における「イエローページ情報」について、イエローページ(yellow pages)とは職業別電話帳である。
これに対し、引用発明における「外部電話番号データベース(g)」について、引用文献1の【0033】には、「外部電話番号データベース(g)」は、サービス事業者システム3以外の事業者が提供する発信者端末1の発信者情報を示すデータベースであり、少なくとも名称、電話番号を備えること、例えば、「タウンページ」が該当することが記載されており、「タウンページ」は、日本電信電話(株)の職業別電話帳(登録商標)である。
そうすると、本願発明の「イエローページ」も、引用文献1の「タウンページ」も職業別電話帳であるから、引用発明における「外部電話番号データベース(g)」は、本願発明における「イエローページのデータベース」に相当し、「外部電話番号データベース(g)」に登録されている名称は「イエローページ情報」に相当する。
したがって、「発信者情報取得サーバ31に電話番号の検索を依頼し、外部電話番号データベース(g)を検索するステップ」は、本願発明における「前記着信の番号情報に基づいて、イエローページ情報の照会を行う」ステップに相当する。
次に、引用発明における「外部電話番号データベース(g)に発信者端末1の電話番号が登録されてい」ることは、本願発明における「前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できた」ことに相当する。
引用発明では、「外部電話番号データベース(g)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、登録されている名称を取得する」から、取得した「登録されている名称」は、本願発明における「照会された、前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報」に相当する。
そして、当該「登録されている名称」は、受信者端末2のUIに表示する発信者情報、すなわち、「着信の識別情報」として決定されるものであるといえる。
したがって、引用発明における「外部電話番号データベース(g)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、登録されている名称を取得するステップ」は、「前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できた場合、照会された、前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報を、着信の識別情報として決定するステップ」といえる。
(エ)本願発明における「識別マーク」について、本願明細書の【0003】及び【0004】には、標記した「識別マーク」がユーザに示され、当該ユーザの注意を喚起することにより、迷惑電話を濾過する目的を達成することができること、「識別マーク」は迷惑電話を濾過するためのものであることが記載されている。
また、本願明細書の【0003】には、「識別マーク」として、「セールス」、「詐欺」等が挙げられ、【0041】には識別マークが「セールス」だとする例が記載され、【0036】には、「識別マーク情報」について、「当該着信の番号に識別マークが含まれているか否かを決定する時、通常、サーバ側へ当該着信の番号を含む照会リケェストを発送することができる。前記サーバ側は当該照会リケェストを受信した後、自機の識別マークデータベースに、当該番号がその他のユーザにより標識されたか否かを照会することができる。当該番号が既にその他のユーザにより標識された場合、サーバ側は、当該標識を照会結果としてスマートホンにフィードバックすることができる。」と記載されている。
上記によれば、本願発明における「識別マーク情報」とは、迷惑電話を濾過するためにその他のユーザにより標識された着信の番号に対応する「セールス」や「詐欺」等の情報であり、当該「識別マーク情報」がユーザに示されることで、ユーザが迷惑電話を濾過することができるものと解される。
これに対し、引用発明における「共有着信拒否データベース(h)」は、受信者端末2の所有者が共有する着信拒否電話番号を示すデータベースであり、着信拒否電話番号を登録したユーザのユーザIDが登録されているものである(引用文献1の【0034】参照)。
そして、引用発明においては、「備考として「迷惑電話」や「ストーカー」を含む共有着信拒否データベース(h)」に、発信者端末1の電話番号が登録されていれば、着信拒否設定率を取得することが行われるため、着信拒否設定率が一定の割合以上の場合は、「迷惑電話かも」や「多くの人が着信拒否設定をしています」といった表示、あるいは、着信拒否設定率の数値や着信拒否設定率に応じたアイコンの表示(引用文献1の【0043】参照)、すなわち、着信拒否設定率に基づく情報の表示が行われて、受信者は迷惑電話の可能性を知ることができる。ここで、「迷惑電話」や「ストーカー」は、電話の種類を示す情報といえる。
そうすると、引用発明における「着信拒否設定率」と、本願発明における「識別マーク情報」(「セールス」や「詐欺」等の情報)は、「着信の番号を迷惑電話として区別する情報」である点で共通する。
したがって、引用発明における「共有着信拒否データベース(h)」と本願発明における「識別マーク情報」のデータベースとは、「迷惑電話を濾過するために、電話の種類を示す情報と、その他のユーザにより標識された着信の番号を含み、当該着信の番号を迷惑電話として区別する情報の照会が行われるデータベース」である点で共通する。
また、引用発明では、着信拒否設定率に基づく情報の表示を行うから、「着信の番号を迷惑電話として区別する情報」を、「着信の識別情報」(受信者端末2のUIに表示する発信者情報)に含めると決定するものであるといえる。
以上より、引用発明における「発信者情報取得サーバ31の外部電話番号データベース(g)に発信者端末1の電話番号が登録されていない場合は、備考として「迷惑電話」や「ストーカー」を含む共有着信拒否データベース(h)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、発信者情報取得サーバ31から返却された情報である、名称および着信拒否設定率を取得するステップ」は、「前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できなかった場合、前記着信の番号情報に基づいて、迷惑電話を濾過するために、電話の種類を示す情報と、その他のユーザにより標識された着信の番号を含むデータベースにおいて、当該着信の番号を迷惑電話として区別する情報の照会を行うステップ」及び「前記着信の番号情報と関連のある、当該区別する情報が照会できた場合、着信の識別情報に当該区別する情報を含めると決定するステップ」といえる。
(オ)本願発明において照会が行われる「連絡先情報」は、「自機の連絡帳の連絡先情報」であり、本願明細書の【0047】~【0051】及び図2の記載によれば、「連絡先情報」は、「イエローページ情報」や「識別マーク情報」とは別に、「イエローページ情報」や「識別マーク情報」に先立って照会される情報であると解される。
引用発明における「受信者端末2に内蔵されたアドレス帳(a)」に登録された情報は、「外部電話番号データベース(g)」や「共有着信拒否データベース(h)」とは別のデータベースであり、「外部電話番号データベース(g)」や「共有着信拒否データベース(h)」に先立って照会されるから、本願発明における「連絡先情報」及び「自機の連絡帳の連絡先情報」に相当する。
上記によれば、引用発明における「受信者端末に内蔵されたアドレス帳(a)を検索するステップ」は、本願発明における「前記着信の番号情報に基づいて、連絡先情報の照会を行うステップ」に相当する。
次に、引用発明における「アドレス帳(a)に発信者端末1の電話番号が登録されてい」ることは、本願発明における「前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報が照会できた」ことに相当する。
また、引用発明における「受信者端末2のアドレス帳(a)に発信者端末1の電話番号が登録されていない場合」は、本願発明における「前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報が照会できなかった場合」に相当する。
そして、引用発明は、アドレス帳(a)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、名称を取得するから、引用発明における「名称」は、本願発明における「照会された、前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報」に相当する。
さらに、引用発明は、「名称」を「着信の識別情報」(受信者端末2のUIに表示する発信者情報)として決定するものであるといえる。
したがって、引用発明における「アドレス帳(a)に、発信者端末1の電話番号が登録されていれば、名称を取得し、受信者端末2のUIに表示するステップ」は、「前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報が照会できた場合、照会された、前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報を着信の識別情報として、決定するステップ」を含むといえる。
(カ)本願発明において、「識別マーク情報の照会」が行われるのは、「前記着信の番号情報と関連のある連絡先情報が照会できなかった場合」かつ「前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できなかった場合」であるから、引用発明における「アドレス帳(a)、外部電話番号データベース(g)、及び共有着信拒否データベース(h)のいずれにも発信者電話番号が登録されていない場合」は、「前記着信の番号情報と関連のある、迷惑電話として区別する情報が照会できなかった場合」といえる。
そして、引用発明における「電話番号のみを表示するステップ」は、電話番号、すなわち、「着信の番号情報」を、「着信の識別情報」(受信者端末2のUIに表示する発信者情報)として決定するステップを含むことは明らかである。
したがって、引用発明における「アドレス帳(a)、外部電話番号データベース(g)、及び共有着信拒否データベース(h)のいずれにも発信者電話番号が登録されていない場合には、電話番号のみを表示するステップ」は、「前記着信の番号情報と関連のある、迷惑電話として区別する情報が照会できなかった場合、着信の識別情報が、着信の番号情報を含むと決定するステップ」を含むといえる。
(キ)引用発明は、「アドレス帳(a)に、発信者電話番号が登録されていた場合、外部電話番号データベース(g)に発信者電話番号が登録されていた場合、共有着信拒否データベース(h)に発信者電話番号が登録されていた場合、及びいずれの情報も登録されていない場合で、それぞれ発信者情報として表示される内容は異なり、異なるタイプの情報が表示される」ものであるから、「着信の識別情報」は、それぞれの場合の表示内容を含む「第1~第4タイプ着信の識別情報」であるといえる。
(ク)引用発明における「発信者情報を表示する方法」は、受信者端末2に着信があると、発信者の電話番号から発信者情報を取得して、発信者情報を表示する方法といえるから、本願発明における「着信通知方法」に相当する。
上記(ア)~(ク)より、本願発明と引用発明との一致点は、次のとおりである。
【一致点】
「着信を受けた場合、前記着信の番号情報に基づいて、前記着信の識別情報を決定するステップと、
前記着信の識別情報をユーザに通知するステップと
を含み、
前記着信の番号情報に基づいて、着信の識別情報を決定するステップは、
前記着信の番号情報に基づいて、連絡先情報の照会を行うステップと、
前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報が照会できた場合、着信の識別情報が、照会された、前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報を含む第1タイプの着信の識別情報であると決定するステップと、
前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報が照会できなかった場合、前記着信の番号情報に基づいて、イエローページ情報の照会を行うステップと、
前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できた場合、着信の識別情報が、照会された、前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報を含む第2タイプの着信の識別情報であると決定するステップと、
前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できなかった場合、前記着信の番号情報に基づいて、迷惑電話を濾過するために、電話の種類を示す情報と、その他のユーザにより標識された着信の番号を含むデータベースにおいて、当該着信の番号を迷惑電話として区別する情報の照会を行うステップと、
前記着信の番号情報と関連のある、当該区別する情報が照会できた場合、着信の識別情報が、当該区別する情報を含む第3タイプの着信の識別情報であると決定するステップと、
前記着信の番号情報と関連のある、迷惑電話として区別する情報が照会できなかった場合、着信の識別情報が、着信の番号情報を含む第4タイプの着信の識別情報であると決定するステップと、
を含む着信通知方法。」
一方で、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
【相違点1】
一致点の「迷惑電話を濾過するために、電話の種類を示す情報と、その他のユーザにより標識された着信の番号を含むデータベースにおいて、当該着信の番号を迷惑電話として区別する情報の照会を行うステップ」が、本願発明では、「識別マーク情報の照会を行うステップ」であるのに対し、引用発明では、共有着信拒否データベース(h)が備考として、電話の種類を示す情報である「迷惑電話」や「ストーカー」を含むものの、発信者情報取得サーバ31から「識別マーク情報」を取得するかどうか明らかでなく、着信拒否設定率を取得するステップである点、また、一致点の「前記着信の番号情報と関連のある、当該区別する情報が照会できた場合」に「着信の識別情報」について行われる内容が、本願発明では、「着信の識別情報」が「識別マーク情報を含む」情報であると決定することであるのに対し、引用発明では、「識別マーク情報」の表示ではなく、着信拒否設定率に基づく情報の表示を行うことである点。
【相違点2】
「着信の識別情報」として、本願発明では、「音声識別情報」を決定する又は「第1~第4タイプの音声プロンプト情報」であると決定するのに対し、引用発明では、「着信の識別情報」として決定されるのは、「受信者端末2のUI」に表示する「発信者情報」又は「異なるタイプの情報」(第1~第4タイプのいずれかの表示内容)である点。
第6 判断
1.相違点の検討
以下で【相違点1】及び【相違点2】について検討する。
(ア)【相違点1】について
上記第4の「2.引用文献2」の末尾に記載した、電話事前警告システムにおける、リスク情報30に含まれる、電話番号に関連付けられた、「勧誘」、「詐欺」あるいは「業者」等の分類に関する情報は、着信拒否を行う理由を示す情報であり、本願発明における「識別マーク情報」に相当する。
一方で、引用文献2の電話事前警告システムにおける「リスク度」は、電話番号の危険性を示す情報である点で、引用発明における「着信拒否設定率」に対応する情報といえる。
そして、引用文献2の電話事前警告システムにおける、「リスク度」と「分類」は、リスク情報に基づいた判断結果としてユーザに認識させるものであり、発信元の電話番号とともに表示部に表示されるものであるから、「着信の識別情報」に他ならない。
すなわち、引用文献2の電話事前警告システムは、「着信の識別情報」として、電話番号の危険性を示す「リスク度」及び「分類」を表示部に表示させることで、迷惑な電話をユーザに通知して、ユーザが迷惑な電話に出てしまうのを回避させるシステムである。
引用発明の共有着信拒否データベース(h)には、リスク度に対応する「着信拒否設定率」とともに、「迷惑電話」や「ストーカー」、すなわち、着信拒否を行う理由を示す情報が含まれているもののの、共有着信拒否データベース(h)への問合せに対する回答として受信者端末2が取得する情報に、「着信拒否設定率」のみならず、着信拒否を行う理由を示す情報が含まれているかどうかの記載はないが、引用文献2には、上述したように、「リスク度」とともに「勧誘」、「詐欺」あるいは「業者」等の着信拒否を行う理由が含まれるデータベースに問合せた際の回答として、リスク度とともに着信拒否を行う理由を回答することが記載されているから、引用発明における共有着信拒否データベース(h)の回答に、リスク度に対応する「着信拒否設定率」とともに着信拒否を行う理由、すなわち、「識別マーク情報」を送信することは、当業者が容易に想到し得たことである。
これは、受信者端末2が発信者情報取得サーバ31から「識別マーク情報」を取得することであり、発信者情報をUIに表示する受信者端末2が、取得した「識別マーク情報」も表示することは自明である。
(イ)【相違点2】について
本願発明の「着信の音声識別情報」は、本願の請求項4,9の記載を参酌すると、「音声メッセージ」に転換して、ユーザにオーディオ出力されるものを含むものである。
そして、上記第4の「3.引用文献3」の末尾に記載した、携帯情報端末における、「発信者の電話番号および氏名」は、「発信者情報」といえ、当該「発信者情報」は、携帯情報端末のユーザが音声で発信者を確認することを可能とするものであるから、本願発明における「音声メッセージ」に他ならない。
また、引用文献3の携帯情報端末は、「発信者情報」を、スピーカや発音手段により音声メッセージに転換して出力するものであるから、引用文献3の携帯情報端末における「発信者情報」は、本願発明における「着信の音声識別情報」といえる。
次に、本願発明の「着信の音声プロンプト情報」について、「プロンプト(prompt)」とは、技術常識を参酌すれば、コンピュータがユーザに対して入力を促すものである。
そして、本願発明において第1~第4タイプの「着信の音声プロンプト情報」を決定する各ステップは、「前記着信の番号情報に基づいて、前記着信の音声識別情報を決定するステップ」に含まれるから、「着信の音声プロンプト情報」は「着信の音声識別情報」に対応する情報である。
引用文献3の携帯情報端末における「発信者情報」は、上述したように、本願発明における「着信の音声識別情報」といえ、携帯情報端末のユーザに音声で報知することで、通話動作に移行するための入力を促すものであるから、「着信の音声プロンプト情報」といえる。
引用発明及び引用文献3に記載された技術は、ともに携帯端末において、携帯着信時に発信者情報をユーザに通知する方法に関するものであるから、着信の識別情報として決定されるのが、受信者端末2のUIに表示する発信者情報、又は、異なるタイプの情報(第1~第4タイプのいずれかの表示内容)である引用発明においても、引用文献3に記載された技術のように、容易にユーザが情報を得られるよう、着信の識別情報として、着信の音声識別情報を決定する、又は、第1~第4タイプの音声プロンプト情報であると決定することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)有利な効果について
以上の相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても,本願発明の奏する作用効果は,引用発明及び引用文献2,3に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
よって、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2,3に記載された技術に基づいて当業者が容易になし得たものである。
2.請求人の主張について
審判請求人は、平成31年4月25日に提出された意見書において、
請求項1に係る発明の「(A)前記着信の番号情報に基づいて、前記着信の音声識別情報を決定するステップは、
A1:前記着信の番号情報に基づいて、連絡先情報の照会を行うステップと、
A2:前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報が照会できた場合、前記着信の音声プロンプト情報が、照会された、前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報を含む第1タイプの音声プロンプト情報であると決定するステップと、
A3:前記着信の番号情報と関連のある自機の連絡帳の連絡先情報が照会できなかった場合、前記着信の番号情報に基づいて、イエローページ情報の照会を行うステップと、
A4:前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できた場合、前記着信の音声プロンプト情報が、照会された、前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報を含む第2タイプの音声プロンプト情報であると決定するステップと、
A5:前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できなかった場合、前記着信の番号情報に基づいて、識別マーク情報の照会を行うステップと、
A6:前記着信の番号情報と関連のある識別マーク情報が照会できた場合、前記着信の音声プロンプト情報が、前記識別マーク情報を含む第3タイプの音声プロンプト情報であると決定するステップと、
A7:前記着信の番号情報と関連のある識別マーク情報が照会できなかった場合、前記着信の音声プロンプト情報が、前記着信の番号情報を含む第4タイプの音声プロンプト情報であると決定するステップと、を含むことを特徴としています。」と述べている。
また、「A1からA7のステップは、各ステップが個別に分離抽出されて特許性が分析されるものではなく、一つの全体的な技術思想として特許性が分析されるべきであるのが妥当である」とし、「引用文献1のイエローページ情報と第4タイプの音声プロンプト情報を提示するステップの間に、あえてわざわざ引用文献2のステップを挿入する動機付けが存在していないのであるから、当業者がA4ステップとA7ステップの間にA5ステップを挿入するはずがありません」と主張している。
しかしながら、第4の「1.引用文献1」で述べたように、引用発明は、「外部電話番号データベース(g)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、登録されている名称を取得するステップ」(A4ステップに対応)と、「アドレス帳、外部電話番号データベース、及び共有着信拒否データベースのいずれにも発信者電話番号が登録されていない場合には、電話番号のみを表示するステップ」(A7ステップに対応)の間に、「発信者情報取得サーバ31の外部電話番号データベース(g)に発信者端末1の電話番号が登録されていない場合は、備考として「迷惑電話」や「ストーカー」を含む共有着信拒否データベース(h)に発信者端末1の電話番号が登録されていれば、着信拒否設定率を計算し、発信者情報取得サーバ31から返却された情報である、名称および着信拒否設定率を取得し、着信拒否設定率に基づく表示を行うステップ」(以下、「Bステップ」という。)を含むものである。
そして、第6の「1.(ア)相違点1について」で述べたように、引用発明のBステップを、引用文献2に記載された技術のように、電話番号の危険性を示す着信拒否設定率とともに、「勧誘」、「詐欺」あるいは「業者」等の分類に関する情報をユーザに通知するために、Bステップを、共有着信拒否データベース(h)の備考に、分類に関する情報を登録し、発信元の電話番号により、分類に関する情報の照会を行うステップと、分類に関する情報が照会できた場合、着信の識別情報が、電話番号に関連付けられた分類に関する情報を含むと決定するステップを含むように変更し、本願発明のA5,A6ステップとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ここで、引用発明のBステップは、第5の(エ)で述べたように、請求項1に係る発明のA5ステップと、「前記着信の番号情報と関連のあるイエローページ情報が照会できなかった場合、前記着信の番号情報に基づいて、迷惑電話を濾過するために、電話の種類を示す情報と、その他のユーザにより標識された着信の番号を含み、当該着信の番号を迷惑電話として区別する情報の照会を行うステップ」及び「前記着信の番号情報と関連のある、当該区別する情報が照会できた場合、着信の識別情報に当該区別する情報を含めると決定するステップ」を含む点で共通するものである。
そうすると、Bステップを上記のように変更することは、引用発明にA5ステップを挿入することには当たらない。
次に、審判請求人は、同意見書において、「引用文献1は着信番号を表示するのみ」であり、「引用文献1にはそもそも音声で通知する必要性がなく、引用文献1の構成に、あえて引用文献3の技術を適用する動機づけが」ない旨を主張している。
しかしながら、引用文献3の【0002】には、「通常、ユーザは、携帯端末をポケットあるいは鞄などに収納して携帯することが多く、着信に気づかずに通話の機会を逃してしまう問題」があることが記載されており、同文献の【0004】には、「発信者の電話番号および氏名を報知する動作を音声を用いて行うことによりより容易にユーザが情報を得る」ことも記載されており、このように、携帯端末のユーザが容易に着信や発信者の情報を得られるようにする課題は周知である。
また、引用文献1に、発信者情報を音声で報知することを妨げる阻害要因もない。
したがって、第6の「1.(イ)相違点2について」で述べたように、引用発明においても、引用文献3に記載されているように、容易にユーザが情報を得られるように、着信の識別情報として、着信の音声識別情報を決定する、又は、第1~第4タイプの音声プロンプト情報であると決定することは、当業者が容易に想到し得たことである。
第7 むすび
上記のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-002109