特許拒絶査定不服審判
2018-001226
エンジンの制御装置
- 審判番号
- 2018-001226
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-183068
- 請求日
- 2018年01月30日
- 審決日
- 2018年09月25日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三菱自動車工業株式会社
- 【請求人代理人】鎌田 直也
- 【請求人代理人】鎌田 文二
- 【請求人代理人】中谷 弥一郎
- 【請求人代理人】清水 隆
- 審判長/審判官
- 審判長 冨岡 和人
- 審判官 鈴木 充
- 審判官 水野 治彦
- 分類
- P18 .121-WYA(F01N) / P18 .575-WYA(F01N) / P18 .571-WYA(F01N) / P18 .572-WYA(F01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-183068「エンジンの制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年3月16日出願公開、特開2015-48821、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年9月4日の出願であって、平成29年5月29日付け(発送日:同年6月6日)で拒絶理由が通知され、同年7月31日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年8月29日付け(発送日:同年9月5日)で(最後の)拒絶理由が通知され、同年10月10日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月30日付けで前記平成29年10月10日付け手続補正についての補正の却下の決定がされるとともに同日付け(発送日:同年11月7日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、平成30年1月30日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 平成29年10月30日付けの補正の却下の決定について
請求人は、審判請求書の請求の趣旨において「原査定を取り消す。本願は特許すべきものであるとの審決を求める。」とし、審判請求書の請求の理由の「(4)むすび」の項で、「平成29年10月10日付け手続補正書でした補正に対する補正の却下の決定には承服できかねる。」と主張している。そこで、平成29年10月30日付けの補正の却下の決定の当否について検討する。
[平成29年10月30日付けの補正の却下の決定についての結論]
平成29年10月30日付けの補正の却下の決定を取り消す。
[理由]
1 補正の内容
平成29年10月10日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲を、以下のとおりに補正する内容を含むものである。
(1)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の記載は、平成29年7月31日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「 【請求項1】
車両に搭載したエンジンの運転状態を判断する運転状態判別手段と、
前記エンジンの排気ガスの温度を検出する排気ガス温度検出手段と、
前記エンジンから車両に伝達された走行トルクに制動力を付与する制動手段と、
前記運転状態判別手段が、エンジンの始動後一定期間内にあると判断したとき、排気ガス浄化装置の活性化に必要な温度まで排気ガスを昇温させるよう燃焼室内への燃料及び空気の供給及び点火時期を制御する排気ガス温度制御手段と、
前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけるように前記制動手段を動作させる制動制御手段と、
前記車両に設けられその車両の前後方向への傾斜を検出する傾斜検出手段と、
を備え、
前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記傾斜検出手段が検出する車両の進行方向への勾配の状況に応じて、前記制動手段は車両に制動力を付与し、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行っている最中で点火時期を遅角させている状態であっても、一定勾配以上の上り坂であれば排気ガス温度制御手段はその昇温制御を一旦解除することを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
前記排気ガス温度制御手段による排気ガスの昇温制御は、アクセル開度が第一所定値以下の場合に行われることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
【請求項3】
前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記排気ガス温度制御手段が点火時期を遅角させている状態で、前記傾斜検出手段が車両の進行方向への第二所定値以上の上り勾配の傾斜を検出したとき、前記排気ガス温度制御手段は点火時期を進角させることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
【請求項4】
前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記傾斜検出手段が車両の進行方向への水平状態又は下り勾配の傾斜を検出したとき、前記制動手段は、車両に制動力を付与することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項5】
前記制動手段は、ブレーキバイワイヤによる制動システムであり、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記運転状態判別手段が車両の走行速度が第三所定値以上であると判断したとき、前記制動手段は、車両に制動力を付与することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項6】
前記制動手段は、ブレーキバイワイヤによる制動システムであり、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記運転状態判別手段が車両の加速度が第四所定値以上であると判断したとき、前記制動手段は、車両に制動力を付与することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲は次のとおり補正された(下線部は、当審が付したもので、補正箇所を示すものである。)
「 【請求項1】
車両に搭載したエンジンの運転状態を判断する運転状態判別手段と、
前記エンジンの排気ガスの温度を検出する排気ガス温度検出手段と、
前記エンジンから車両に伝達された走行トルクに制動力を付与する制動手段と、
前記運転状態判別手段が、エンジンの始動後一定期間内にあると判断したとき、排気ガス浄化装置の活性化に必要な温度まで排気ガスを昇温させるよう燃焼室内への燃料及び空気の供給及び点火時期を制御する排気ガス温度制御手段と、
前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけるように前記制動手段を動作させる制動制御手段と、
前記車両に設けられその車両の前後方向への傾斜を検出する傾斜検出手段と、
を備え、
前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記傾斜検出手段が検出する車両の進行方向への勾配が下り坂、水平状態、又は一定勾配未満の上り坂であれば、前記制動手段は車両に制動力を付与して前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけ、
前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行っている最中で点火時期を遅角させている状態であっても、一定勾配以上の上り坂になれば排気ガス温度制御手段はその昇温制御を一旦解除して点火時期を進角させることを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
前記排気ガス温度制御手段による排気ガスの昇温制御は、アクセル開度が第一所定値以下の場合に行われることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
【請求項3】
前記制動手段は、ブレーキバイワイヤによる制動システムであり、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記運転状態判別手段が車両の走行速度が第三所定値以上であると判断したとき、前記制動手段は、車両に制動力を付与することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
【請求項4】
前記制動手段は、ブレーキバイワイヤによる制動システムであり、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記運転状態判別手段が車両の加速度が第四所定値以上であると判断したとき、前記制動手段は、車両に制動力を付与することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。」
上記(1)及び(2)から、本件補正は、以下の補正事項を含むものである。
[補正事項1]
補正前の請求項1に「傾斜検出手段が検出する車両の進行方向への勾配の状況に応じて、前記制動手段は車両に制動力を付与し、」とあったものを、補正後に「傾斜検出手段が検出する車両の進行方向への勾配が下り坂、水平状態、又は一定勾配未満の上り坂であれば、前記制動手段は車両に制動力を付与して前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけ」とするとともに、補正前の請求項1に「一定勾配以上の上り坂であれば排気ガス温度制御手段はその昇温制御を一旦解除する」とあったものを、補正後に「一定勾配以上の上り坂になれば排気ガス温度制御手段はその昇温制御を一旦解除して点火時期を進角させる」とする補正。
[補正事項2]
補正前の請求項5の内容を補正後の請求項3とするとともに、その従属先の請求項を「請求項1又は2」とする補正。
[補正事項3]
補正前の請求項6の内容を補正後の請求項4とするとともに、その従属先の請求項を「請求項1から3」とする補正。
[補正事項4]
補正前の請求項3及び4を削除する補正。
2 本件補正の適否
(1)補正の却下の決定及び平成29年8月29日付け(最後の)拒絶理由の概要
ア 平成29年10月30日付けの補正の却下の決定の概要は次のとおりである。
請求項1ないし4についての補正は限定的減縮を目的としている。
しかしながら、補正後の請求項1ないし4に係る発明は、下記引用文献1ないし5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、この補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下する。
<引用文献等一覧>
1.特開2006-307728号公報
2.特開2013-108400号公報
3.特開平6-26431号公報
4.特開2003-206763号公報(周知技術を示す文献)
5.米国特許出願公開第2008/0202095号明細書
イ 平成29年8月29日付け(最後の)拒絶理由及び原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1ないし6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2006-307728号公報
2.特開2013-108400号公報
3.特開平6-26431号公報
4.特開2003-206763号公報(周知技術を示す文献)
5.米国特許出願公開第2008/0202095号明細書
(2)補正の目的
ア 上記補正事項1について、平成29年10月10日付けの意見書の【意見の内容】(2)1.において「今回、請求項1に対して請求項3、4の内容の一部を加える補正を行い、その請求項3、4を削除する補正を行いました。」と述べているが、上記限定のうち、「一定勾配未満の上り坂であれば、前記制動手段は車両に制動力を付与」することは、本件補正前の請求項3及び4には記載されていない事項についての限定である。
そうすると、上記補正事項1は、補正前の請求項1に対して「傾斜検出手段が検出する車両の進行方向への勾配が下り坂、水平状態、又は一定勾配未満の上り坂であれば、前記制動手段は車両に制動力を付与して前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけ」及び「一定勾配以上の上り坂になれば排気ガス温度制御手段はその昇温制御を一旦解除して点火時期を進角させる」との限定を付したものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものと認める。
イ 上記補正事項2ないし4は、請求項3及び4を削除して、それ以降の請求項の項番を繰り上げるとともに、従属先の請求項を補正するものであるから、同項第1号に掲げる請求項の削除に該当するものである。
(3)新規事項及びシフト補正
補正事項1ないし4による補正は、同条第3項及び第4項に規定する要件を満たすものである。
(4)独立特許要件について
上記(2)アのとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むから、本件補正後の請求項1ないし4に係る発明(以下「本願補正発明1」ないし「本願補正発明4」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか否か)について検討する。
ア 本願補正発明1ないし4の認定
本願補正発明1ないし4は、上記1(2)のとおりである。
イ 引用文献の記載事項及び引用発明
(ア)平成29年10月30日付けの補正の却下の決定及び原査定の拒絶の理由で引用され、本件出願前に頒布された特開2006-307728号公報(以下「引用文献1」という。)には、「内燃機関の触媒暖機制御装置」に関し、図面とともに以下の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)
a「【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、内燃機関の排気通路に配置された触媒装置と、前記触媒装置の触媒暖機制御時に内燃機関へ供給される燃料を増量する触媒暖機時燃料増量手段と、内燃機関への外部負荷を増大する外部負荷増大手段と、を備えた内燃機関の触媒暖機制御装置において、前記触媒暖機時燃料増量手段により内燃機関へ供給される燃料が増量された場合には、前記外部負荷増大手段により外部負荷を増大すること、を特徴としている。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、触媒暖機時において内燃機関の出力トルクの増大を、外部負荷を増大することで吸収するため、燃焼変動を抑えることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記外部負荷増大手段は、前記触媒暖機時燃料増量手段による燃料増量に伴う内燃機関の出力トルク増大分に相当する外部負荷の増大を行うこと、を特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、内燃機関の出力トルクの増大分に見合った外部負荷の増大を行うため、ドライバが意図しないトルクを車軸に伝達することが防止される。よって、ドライバへ違和感を与えることがなくなる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1及至2記載の発明において、前記内燃機関の出力軸に連結され、前記内燃機関の動力により駆動される補機を有し、前記外部負荷増大手段は前記補機の負荷を増大すること、を特徴としている。
請求項3記載の発明によれば、外部負荷増大手段は補機の負荷を増大させることであり好ましくは、油圧ポンプである。例えば、油圧式パワーステアリングポンプは、内燃機関の出力軸に連結され、内燃機関に加える負荷を変更する制御が行える。よって、パワーステアリングポンプを外部負荷とする場合、容易に、かつ運転状態に悪影響を与えることなく外部負荷を増大できる。
請求項4記載の発明は、請求項1及至3記載の発明において、前記触媒装置の触媒暖機制御は、前記内燃機関のアイドル状態時に行うこと、を特徴としている。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、アイドル時に、内燃機関の燃焼変動を抑制しながら触媒暖機を促進することができる。
請求項5記載の発明は、請求項1及至4記載の発明において、前記内燃機関は点火時期を制御する点火時期制御手段を備え、前記触媒装置の触媒暖機制御時には、更に前記点火時期制御手段により点火時期を遅角させること、を特徴とすることを特徴としている。
外部負荷の増大が内燃機関に反映されるまでには、時間がかかる場合があり、外部負荷が内燃機関に反映されるまでの間、内燃機関の回転数が変動することによって、ドライバに違和感を与える虞がある。請求項5記載の発明によれば、出力トルクに対するレスポンスが速い点火時期の変更を行うため、外部負荷の増大により内燃機関のトルク増大分を吸収すると共に遅角制御により内燃機関のトルク増大を迅速に抑制することで、ドライバへの違和感を防止できる。」
b「【0028】
上記構成に基づき、本実施例では、ECU200は、次の制御を行う。
・ 燃料噴射制御
燃料タンク内の燃料は燃料ポンプにより昇圧されてインジェクタに送られ、インジェクタに送られた燃料圧力は、一定値となるように制御されている。そのため、開弁時間を制御すれば、燃料噴射量を制御することができる。吸気圧センサは吸気圧を検出し、内燃機関への吸入空気量を算出する。吸入空気量に基づき、ECU200は吸入空気量と、燃料との比が理論空燃比となるように基本噴射時間となるインジェクタの開弁時間を算出する。
【0029】
ここで、内燃機関の回転数が変化した場合等、すなわち内燃機関の運転状態が変化した場合は、吸入空気量にも変化が生じるので、吸入空気量に基づいて、公知の方法により基本噴射時間に補正を行う。従って、燃料噴射量は、吸入空気量に応じて増大する。
・ ISCV制御
内燃機関がアイドル状態であることを検知した場合、ISCV制御用アクチュエータを駆動させる。内燃機関のアイドル時はISCV113の開度に応じた空気量が内燃機関に供給されるので内燃機関の回転数を制御できる。従って、スロットルバルブ111が全閉状態であっても、ISCV113が開弁制御されていれば内燃機関に空気が導入されることになる。
・ 点火時期制御
内燃機関への吸入空気量、回転数により、内燃機関の運転状況に応じた基本点火時期を算出する。また、基本点火時期に基づいて、冷却水温等、運転状況に応じた進角量、遅角量の補正すると共に、本発明に基づいた触媒暖機時の遅角量の補正値を決定する。
【0030】
以下、上記装置を備えた車両において、本発明の特徴である触媒暖機時の制御内容の第1の実施例について説明する。図2において、ステップS11で内燃機関が始動されたことが確認され、ルーチンが開始されると、ステップS12で目標とするアイドル回転数が決定される。ここで、目標アイドル回転数は吸気温度、シフト位置、エアコンのオン/オフ等の情報に基づいて決定される
。算出した目標アイドル回転数に基づき、ISCV用駆動アクチュエータ114に駆動信号を出力する。
【0031】
次に、ステップS13において、始動時の冷却水温、始動後の吸入空気量の積算値が算出される
。上述のように燃料噴射量は吸入空気量に基づいて、算出されるので、始動後の吸入空気量の積算値から内燃機関へ供給された燃料の量が算出することができる。触媒装置は、内燃機関へ供給された燃料の燃焼熱を利用して、暖機が促進されるので、供給された燃料の量からの触媒装置119の温度上昇が算出され、始動時の冷却水温と、始動後の吸入空気量の積算値から、触媒装置119の温度を求めることができる。
ステップS13で触媒装置119の温度に基づいて、触媒装置の暖機が完了していないと判断した場合には、ステップS14でパワーステアリングポンプ油圧の増大設定、及び吸入空気量増量値の設定を行う。
【0032】
パワーステアリングポンプ401は、内燃機関の出力軸に連結されたパワーステアリングプーリ307で駆動される構成となっているので、パワーステアリングポンプ401の油圧を上昇させる制御を行うことで、内燃機関に負荷を与えることができる。
【0033】
すなわち、内燃機関へ吸入空気量を増量することによる出力の増加分に相当する負荷をパワーステアリングポンプ401から生じる外部負荷により、吸収することで、内燃機関に生じる出力トルクを抑制することができる。
【0034】
ステップS14において、増量させる吸入空気量と、増加させるパワーステアリングのポンプ圧力との関係は図5のマップに示す相関関係を持たせている。このマップはECU200のROM内に格納されて、ECU200は、吸入空気量に応じたパワーステアリングポンプ圧力を適宜マップから読み込み、パワーステアリングポンプ401の圧力を制御している。
【0035】
また、ステップS13において、暖機が完了していると判断した場合には、ステップS16へ進みパワーステアリングポンプ401の油圧が上昇しているか否かの判断を行う。パワーステアリングポンプ401の油圧が上昇している場合は、パワーステアリングポンプ401の油圧の減圧設定、及び吸入空気量減量値の設定を行う。パワーステアリングポンプ401の油圧を下げると、図5の相関図に基づき、内燃機関に加わる外部負荷は減少する。そのパワーステアリングポンプ401の油圧の低下に応じて、ISCV113の開度を減少、すなわち吸入空気量を減少させ、出力トルクを抑制し、ステップS18へ進み、本ルーチンを終了する。
【0036】
或いは、ステップS16において、パワーステアリングポンプ401の油圧が上昇していないと判断した場合は、ステップS17における制御をする必要がないので、ステップS18へ進み、本ルーチンを終了する。
また、本発明の第2の実施例として、以下の制御内容を行うこともできる。第1の実施例と同様のステップについての説明は省略する。図3において、ステップ14までは、第1の実施例で行った制御内容と同一である。ステップ14で、パワーステアリングポンプ401の油圧を上昇させ、吸入空気量を上昇させた後、ステップS15にて、内燃機関の点火時期の遅角制御を行い、再度目標回転数と、回転数センサ206によって検出された実回転数とを一致させる。
【0037】
パワーステアリングポンプ401から内燃機関へ負荷が反映されるまでには、その応答に遅れがあり、即座に反映されるわけではない。そこで、ステップS15においては、パワーステアリングポンプ401の負荷が内燃機関へ反映されるまでの所定期間を、点火時期を遅角制御することで、内燃機関のトルク増大を抑制する制御を行うことが可能である。
【0038】
よって、目標回転数に対して、実回転数が高い場合に、点火時期の遅角制御を実行し、シリンダ108内での燃焼圧、内燃機関の出力トルクを抑制することができる。」
c 上記b(特に、段落【0028】及び【0029】の記載事項)から、ECU200は、内燃機関の運転状態を判断するといえる。
上記記載事項、認定事項及び図示内容から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「車両に搭載した内燃機関の運転状態を判断するECU200と、
触媒装置119の温度を求める手段と、
前記内燃機関の出力軸に連結される補機と、
前記ECU200が、触媒装置119の暖機が完了していないと判断した場合、触媒装置119の温度を早期に所定温度まで上昇させるよう内燃機関へ供給される吸入空気量及び燃料噴射量を増大させる触媒暖機時燃料増量手段並びに内燃機関の点火時期の遅角制御を行う点火時期制御手段と、
触媒暖機時燃料増量手段により内燃機関へ供給される燃料が増量された場合に、前記補機の負荷を増大させる外部負荷増大手段と、を備えた内燃機関の触媒暖機制御装置。」
(イ)同じく平成29年10月30日付けの補正の却下の決定及び原査定の拒絶の理由で引用され、本件出願前に頒布された特開2013-108400号公報(以下「引用文献2」という。)には、「内燃機関の制御装置」に関し、図面(特に、図1、3ないし5及び7)ともに、以下の記載がある。
a 「【0028】
[1-4.センサー系]
冷却水通路24上の任意の位置には、冷却水温Wを検出する冷却水温センサー5(水温検出手段)が設けられる。冷却水温Wは、例えばエンジン10が冷態始動状態であるか否かを判断するために用いられる。ここで検出された冷却水温Wの情報は、エンジン制御装置1に伝達される。
触媒装置22の近傍には、触媒温度Cを検出する触媒温度センサー6(触媒温度検出手段)が設けられる。図1では、触媒温度センサー6を触媒装置22の上流側に設けたものを図示するが、触媒装置22の下流側に設けてもよい。この触媒温度センサー6で検出される触媒温度Cは、触媒装置22の活性を判断するための指標となる。ここで検出された触媒温度Cの情報は、エンジン制御装置1に伝達される。」
b 「【0031】
[2.制御構成]
[2-1.制御モード]
エンジン制御装置1は、エンジン10の各気筒20a~20dに対して供給される燃料噴射量,燃料供給手法,点火タイミング等を総合的に制御する電子制御装置であり、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。
このエンジン制御装置1には、エンジン10の始動時における燃料噴射の制御態様として「通常噴射モード」及び「圧縮S/Lモード」の二種類のモードが設定され、点火時期の制御態様として「通常点火モード」,「リタードモード」及び「追加リタードモード」の三種類のモードが設定されている。
【0032】
通常噴射モードは、「圧縮行程でのDI噴射」以外の燃料噴射方式を実施するモードであり、例えば吸気行程でのDI噴射やPI噴射を実施する制御モードである。このモードは、エンジン10を始動させるクランキング時,エンジン10が始動してからエンジン回転数Neが安定するまでの過渡期,エンジン10の始動後、所定時間TENDが経過した以後(排気温度や触媒温度Cが十分に暖まったアイドリング運転時)などに選択される。
また、この通常噴射モードは、運転者によるアクセル操作がなされて車両が走行し始めたときやエンジン10がアイドリング状態でなくなった時にも選択される。なお、具体的な通常噴射モード時の制御内容は任意であり、例えばエンジン10の運転状態や車両の走行状態に応じて、DI噴射とPI噴射とが適宜設定されるものとしてもよい。
【0033】
一方、圧縮S/Lモードは、エンジン10の始動後に排気温度を早期に昇温させるべく、圧縮行程でDI噴射を実施する燃料噴射モードである。このモードは、エンジン10の始動後であってエンジン回転数Neが安定したとき(エンジン始動時から所定時間TSTAが経過した時点以後)に選択される。なお、本実施形態ではさらに圧縮S/Lモードの実施条件が追加されており、冷却水温Wが所定水温W0以下である冷態始動時に選択される。
この圧縮S/Lモードでは、空燃比がスライトリーン(ストイキよりも僅かにリーンの空燃比であり、例えば14.7~16の範囲内の空燃比)になるように、各気筒の直噴インジェクター11a~11dから圧縮行程で燃料が供給される。
【0034】
続いて点火時期の制御について詳述する。
通常点火モードは、エンジン10に要求される出力や負荷に応じて点火時期を設定する通常のモードであり、燃料噴射モードが通常噴射モードであるときに選択される。具体的な通常点火モード時の制御内容は任意であり、例えばエンジン10の運転状態や車両の走行状態に応じて適宜設定される。一方、燃料噴射モードが圧縮S/Lモードであるときには、リタードモード,追加リタードモードの何れか一方が選択される。
【0035】
リタードモードは、点火時期を通常点火モード時よりもリタード方向(遅角方向)に制御するモードであり、燃料噴射のモードが圧縮S/Lモードとなったときに選択される。このリタードモードでは、各気筒の点火プラグ17a~17dでの点火時期が通常点火モード時と比較してリタードするように制御される。
なお、前述の圧縮S/Lモードでは点火直前の圧縮行程で燃料が噴射されるため、筒内における燃料濃度の高い部位を点火プラグ17の近傍に局在化させやすい(燃料の筒内での拡散を抑制しやすい)という利点があり、適切なタイミングで燃料を供給することでエンジン10の回転を安定させたまま点火時期を大幅にリタードすることが可能となる。また、PI噴射を実施した場合と比較すると燃焼速度が速くなり、点火時期を大きくリタードできるというメリットがある。
【0036】
そこで、前述の圧縮S/Lモードの選択時にリタードモードで点火時期を遅らせ、排気行程後の排気通路内でも燃焼反応を進行させる(いわゆる後燃え状態とする)ことにより、排気温度を大幅に上昇させることが可能となる。また、点火時期を遅らせることで各気筒20a~20d内での燃焼速度が低下するため、燃料の後燃えの傾向が強まり、排気温度の上昇傾向が強化される。」
c 「【0039】
[2-2.制御部]
エンジン制御装置1には、上記の各モードでの制御を実施するためのソフトウェア又はハードウェアとして、燃料噴射制御部2,点火時期制御部3及び負荷制御部4が設けられる。エンジン制御装置1の入力側には冷却水温センサー5,触媒温度センサー6,アクセル開度センサー7,クランク角センサー8,車速センサー9が接続され、冷却水温W,触媒温度C,アクセル開度P,クランクシャフト21の回転角θ,車速Vの情報がそれぞれ入力される。また、エンジン制御装置1の出力側には、各気筒20a~20dの直噴インジェクター11a~11d,点火プラグ17a~17d,ポート噴射インジェクター12等が接続される。
【0040】
燃料噴射制御部2(燃料噴射制御手段)は、各気筒20a~20dの直噴インジェクター11a~11dから筒内に噴射される燃料量及び燃料噴射のタイミングを制御するものである。ここでは、上記の通常噴射モードや圧縮S/Lモードの選択条件及び選択解除条件が判定される。これらの条件を以下に例示する。本実施形態では、通常噴射モードは以下の条件(A1)~(A5)の何れかが成立したときに選択され、圧縮S/Lモードは以下の条件(B1)~(B4)の全てが成立したときに選択される。また、選択された燃料噴射モードに基づき、燃料噴射制御部2はそれぞれのポート噴射インジェクター12に対して、所望のエンジン出力を得るための制御信号を出力する。」
d 「【0046】
負荷制御部4(負荷制御手段)は、エンジン10の負荷を増大させる制御(負荷増大制御)を実施するものである。ここでは、図示しない空調装置やオルタネーターなどを作動させる制御が実施される。エンジン10の負荷が増大するとエンジン回転数が上昇しにくくなり、燃料噴射制御部2で制御される燃料噴射量の目標値が増量方向に補正される。これに伴い、気筒内への吸入空気量も増量されるため、排気流量が増大することになり、排気温度の上昇傾向が強化される。」
e 「【0054】
[3-3.負荷増大制御]
図5のフローは、負荷制御部4で実施される制御内容に対応する。
ステップC10では、燃料噴射モードが圧縮S/Lモードであるか否かが判定される。このとき、圧縮S/Lモードである場合にはステップC20へ進み、圧縮S/Lモードでない場合にはステップC60へ進む。
ステップC20では、圧縮S/Lモードの開始時からの経過時間が所定時間TA以上であるか否かが判定される。このステップの条件が成立しない時にはステップC60へ進み、このステップの条件が成立する時にはステップC30へ進む。
【0055】
ステップC30では、冷却水温Wが第二所定水温W1以下であるか否かが判定される。ここでW≦W1である場合にはステップC40へ進み、W>W1である場合にはステップC60へ進む。このステップでの冷却水温Wの判定閾値である第二所定水温W1は、圧縮S/Lモードの選択条件に含まれる所定水温W0よりも低い温度であり、エンジン10が冷態であるか極冷態であるかを判断するための指標となる。
【0056】
ステップC40では、触媒温度Cが所定温度C1以下であるか否かが判定される。ここでC≦C1である場合にはステップC50へ進み、エンジン10の負荷を追加する制御が実施される。一方、C>C1である場合にはステップC60へ進み、負荷が追加されることなく本フローが終了する。触媒温度Cの判定閾値である所定温度C1も、追加リタードモードの選択条件に含まれる所定温度C0よりも低い温度であり、排気温度をより迅速に昇温させる必要があるか否かを判断するための指標となる。」
f 「【0077】
例えば、上述の実施形態ではエンジン10が冷態始動状態であるか否かを判定するのに冷却水温Wの情報を用いるものを提示したが、冷却水温Wの代わりに外気温度や触媒温度C,排気通路18内の排気温度,エキゾーストマニホールド28の排気温度等を用いてもよいし、これらに相当する他のパラメーターを用いてもよい。あるいは、エンジン10が始動してからの経過時間のみをパラメーターとしてもよい。
この場合、冷却水温Wの大小に関わらず、始動してからの経過時間が十分でないときには常にエンジン10が冷態始動状態であるものと判断することも可能である。なお、具体的な他のパラメーターの例としては、吸気流量やインテークマニホールド圧(吸気圧),過給圧(ターボ圧),吸気温度(給気温度),外気温,車速等を用いることが考えられる。」
g 上記aないしc及びfから、エンジン制御装置1は、エンジンの運転状態を判断するといえる。
上記記載事項、認定事項及び図示内容から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「車両に搭載したエンジンの運転状態を判断するエンジン制御装置1と、
触媒温度Cを検出する触媒温度センサー6と、
エンジンにより駆動される空調装置やオルタネータと、
エンジン始動時からの経過時間が十分でないとき、触媒が早期に活性化するように圧縮S/Lモードが開始され、点火時期を遅角方向に制御する点火時期制御部3、圧縮S/Lモードの開始時から所定時間TA以上経過し冷却水温Wが第二所定水温W1以下であり、触媒温度Cが所定温度C1以下である場合に、前記空調装置やオルタネータを駆動してエンジンの負荷を増大させる負荷制御部4及びエンジンの負荷を増大したときに、燃料噴射量及び吸入空気量を増量する燃料噴射制御部2と、を備えた内燃機関の制御装置。」
(ウ)同じく平成29年10月30日付けの補正の却下の決定及び原査定の拒絶の理由で引用され、本件出願前に頒布された特開平6-26431号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
a 「【0006】ところで、内燃機関の排気エミッションを改善するために、排気系に三元触媒を設置し、排気中のHC、COの酸化と、NOの還元とを同時に行うことなどが知られているが、このような触媒は所定温度以上の活性状態において初めて所期の排気浄化効率を維持することができる。したがって、機関の冷間始動時など触媒温度が上昇するまでの間は排気エミッションが増加し、そこで例えば実開昭57-75173号公報にもあるように、機関冷却水温が低いときは、点火時期を遅角させることにより排気温度を高め、始動後できるだけ早期に触媒の働きを回復させるようにしている。なお、このことは機関の暖機促進にもつながる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、基本点火時期に対するこの遅角補正量を、通常は冷却水温に応じて一律に規定している関係から、遅角中に運転負荷が増大するような場合、とくに高負荷域でのトルク不足やサージが問題となることがあった。」
b 「【0016】
【作用】運転条件によって、例えば機関の暖機時など触媒の温度を上げるため、点火時期の遅角補正が必要であると判定されると、基本遅角量が算出され、同時にアクセル開度または絞弁開度に応じて補正値が求められ、基本遅角量がこの補正値に基づいて補正される。
【0017】この補正後の遅角量をもとに基本点火時期が修正されるので、アクセル開度に点火時期の遅角補正量が対応し、アクセル開度に対するトルク特性の変動のない良好な運転フィーリングを確保しつつ、触媒の昇温を促進する。」
c 「【0025】機関の冷間始動時など暖機が進むまでの間は、三元触媒16の温度が低く活性化しないため、十分機能することはできず、そこで点火時期を基本点火時期から遅らせることにより、排気温度を上昇させ、三元触媒16を早期に活性化させるのであり、かつこの暖機中の機関運転性能を悪化させないように、アクセル開度等に基づいて点火時期の遅角量を後述するように補正制御する。」
d 「【0051】この遅角補正率はアクセル開度が所定値までは1.0を維持するが、それ以上にアクセル開度が大きくなると、それ以降、アクセル開度に比例してゼロに近づいていき、所定の高負荷域では遅角補正量がゼロとなるように減少させ、運転性の悪化を防止する。」
上記記載事項によれば、引用文献3には、次の事項が記載されているものと認められる。
「内燃機関の冷間始動時など暖機が進むまでの間、点火時期を基本点火時期から遅らせることにより、排気温度を上昇させ、三元触媒16を早期に活性化させ、かつこの暖機中の機関運転性能を悪化させないように、アクセル開度に基づいて点火時期の遅角量を補正制御するものにおいて、アクセル開度が大きくなるような所定の高負荷域では遅角量をゼロとすることで、運転性の悪化を防止すること。」
(エ)同じく平成29年10月30日付けの補正の却下の決定及び原査定の拒絶の理由で引用され、本件出願前に頒布された特開2003-206763号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。
a 「【0008】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、請求項1の発明では、内燃機関の吸気系に生ずる負圧を利用して車両のブレーキ力を補助する負圧式ブレーキブースタと、内燃機関の排気通路内の排気流動を抑制することにより排気浄化を促進する排気流動制御手段と、前記負圧式ブレーキブースタが実際に発生可能な実ブレーキ力相関値を検出する実ブレーキ力相関値検出手段と、前記負圧式ブレーキブースタに要求される要求ブレーキ力相関値を検出する要求ブレーキ力相関値検出手段と、前記要求ブレーキ力相関値検出手段により検出される要求ブレーキ力相関値が前記実ブレーキ力相関値検出手段により検出される実ブレーキ力相関値より大きいとき、前記排気流動制御手段による排気流動の抑制を制限する制限手段とを備えたことを特徴としている。」
b 「【0016】また、請求項4の発明では、前記実ブレーキ力相関値検出手段は、実ブレーキ力相関値として前記内燃機関の吸気系に生ずる実負圧の大きさを検出するものであり、前記要求ブレーキ力相関値検出手段は、要求ブレーキ力相関値として車速、車両傾斜角及び運転者によるブレーキペダルストロークの少なくともいずれか一つから要求負圧の大きさを検出するものであることを特徴としている。」
c 「【0036】ステップS16では、要求ブレーキ力(要求ブレーキ力相関値)を検出する(要求ブレーキ力相関値検出手段)。つまり、現時点で負圧式ブレーキブースタ60に要求されるブレーキ力を検出する。要求ブレーキ力は、車速V、車両の前後方向の傾斜角θ及びブレーキペダル56のストローク量BPSTの関数f(V,θ,BPST)に応じて求められ、ここでは、図5に示すように、要求ブレーキ力とf(V,θ,BPST)との関係が実験等により予め設定されマップ化されており、要求ブレーキ力は、車速センサ74からの車速情報V、傾斜角センサ76からの傾斜角情報θ及びストロークセンサ78からのストローク量情報BPSTの関数f(V,θ,BPST)に基づき同マップから読み取られる。なお、ここでは、要求ブレーキ力を車速V、車両の前後方向の傾斜角θ及びブレーキペダル56のストローク量BPSTの関数f(V,θ,BPST)に応じて求めるようにしたが、要求ブレーキ力は、車速V、傾斜角θ及びストローク量BPSTのいずれか一つの関数に応じたものであればよい。」
上記によれば、引用文献4には、次の事項が記載されているものと認められる。
「内燃機関の吸気系に生ずる負圧を利用して車両のブレーキ力を補助する負圧式ブレーキブースタと、
内燃機関の排気通路内の排気流動を抑制することにより排気浄化を促進する排気流動制御手段と、
前記負圧式ブレーキブースタが実際に発生可能な実ブレーキ力相関値を検出する実ブレーキ力相関値検出手段と、
前記負圧式ブレーキブースタに要求される要求ブレーキ力相関値を検出する要求ブレーキ力相関値検出手段と、
前記要求ブレーキ力相関値検出手段により検出される要求ブレーキ力相関値が前記実ブレーキ力相関値検出手段により検出される実ブレーキ力相関値より大きいとき、前記排気流動制御手段による排気流動の抑制を制限する制限手段と、を備えた車両用内燃機関の排気浄化装置において、前記要求ブレーキ力相関値検出手段は、要求ブレーキ力相関値として車両傾斜角から要求負圧の大きさを検出すること。」
(オ)同じく平成29年10月30日付けの補正の却下の決定及び原査定の拒絶の理由で引用され、本件出願前に電気通信回線を通じて利用可能となった米国特許出願公開第2008/0202095号明細書(以下「引用文献5」という。)には、図面(特に、図11)とともに以下の記載がある。
「[0038] FIG.11 is an example of an engine system in which an external load is applied through a torque converter. More specifically, FIG.11 is a schematic representation of a front engined, rear wheel drive vehicle where drive from the engine 14 is supplied via an automatic transmission 20 that includes a torque converter 44 and gears 46 to a drive shaft 48. The drive shaft 48 is then connected via a differential 52 and secondary drive shafts 54 to the rear wheels 18. In the example shown in FIG.8, an electrically operated parking brake 60 is provided that is used when the vehicle is stationary.
[0039]?In operation of the engine system shown in FIG.11, the control system 26 is operable to detect the activation point illustrated in FIG.10 following ignition. This can be detected, for example, when ignition is achieved following a cold start of the engine or a start when the catalytic converter is below its normal operating range of temperatures. The control system 26 is then operable automatically to engage a driven gear (either forward or reverse) while at the same time engaging the parking brake. The brake 60 could be configured as a friction brake member that engages a secondary drive shaft 54. In the present example, an electrically operated friction brake is used, although in other examples other forms of operation could be used. Also, the brake could be in the form of a visco-mechanical coupling, an eddy current brake, a regenerative braking system, or indeed any other suitable form of brake that can apply a controllable braking force. This has the effect of the holding the torque converter still via the drive train. This in turn causes an external load to be applied to the engine over an above the normal loading caused by internal friction, etc., which means that the engine generates more heat for a given engine speed. The control system 26 can be operable to maintain the engine speed at a desired level to give smooth running under load by applying an appropriate amount of throttle. The result of applying the additional external load is that the light off time for the catalytic converter can be reduced compared to a prior art engine where an external load is not applied. Alternatively, the additional external load can enable the same amount of heating compared to a prior art engine where an external load is not applied, but at a reduced engine speed. A further advantage of proving the external load via the gearbox is that also reaches a normal operating temperature more quickly, reducing consumption due to reduced frictional losses.」
(当審仮訳)
[0038]図11は、トルクコンバータを介して外部荷重が付与されるエンジンシステムの一例である。より具体的には、図11は、エンジン14からの駆動力がトルクコンバータ44及びギア46を有する自動変速機20を介して駆動軸48に供給される、フロントエンジン・リヤドライブ車両の概略図である。次に、駆動シャフト48は、ディファレンシャル52と二次駆動シャフト54を介して後輪18に接続されている。図8(当審注:図11の誤記)では、車両が停止しているときに使用される電気的に操作される駐車ブレーキ60が例示されている。
[0039]図11に示したエンジンシステムの作動において、制御装置26は、点火に続く図10に示す活性点を検出するように動作可能である。これは、例えば、エンジンの冷間時又は触媒コンバータの温度がその通常の動作範囲以下であるときに、点火を行ったことが検出される。制御システム26は、駐車ブレーキが係合すると同時に自動的に従動歯車(フォワードまたはリバースのいずれか)と係合するように動作可能である。ブレーキ60は、二次駆動シャフト54に係合する摩擦ブレーキ部材として構成することができる。本実施例では、電気的に作動する摩擦ブレーキが使用されるが、他の例では他の形式の動作を使用することができる。また、ブレーキは、粘弾性の機械的連結器、渦電流ブレーキ、回生ブレーキシステム、または制御可能な制動力を付与することができる任意の他の適切な形態であり得る。これは、ドライブトレインを介してトルクコンバータを静止して保持する効果を有する。これは、内部摩擦その他によって、通常の負荷を超える外部負荷がエンジンに与えられることになり得る。そしてそれは、エンジンがスピードを得るためにより多くの熱を発生することを意味する。制御システム26は、適切な量のスロットによって適用される負荷のもとで円滑な走行をするように、エンジン速度を所望のレベルに維持するために、動作可能である。付加的な外部負荷を適用した結果、外部負荷が印加されていない従来技術の触媒コンバータに比べて活性化時間を減少させることができる。また、付加的な外部負荷は、エンジン速度を抑えながら、付加的な外部負荷が加えられない従来技術のエンジンと同じ量の発熱を可能にする。ギアボックスを介して外部負荷を設けることのさらなる利点は、より迅速に通常の作動温度に達し、減少した摩擦損失により消費をも減らすことである。
上記によれば、引用文献5には、次の事項が記載されているものと認められる。
「エンジンの冷間時又は触媒コンバータの温度がその通常の動作範囲以下であるときに、エンジン14からの駆動力がトルクコンバータ44、自動変速機20、駆動軸48及びディファレンシャル52を介して伝達される二次駆動シャフト54に係合する摩擦ブレーキ部材を有し、電気的に操作される駐車ブレーキ60によって、エンジンに付加的な外部負荷を与えることにより、触媒の活性化時間を減少させること。」
ウ 対比・判断
(ア)本願補正発明1について
a 引用発明1との対比
本願補正発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「ECU200」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願補正発明1における「運転状態判別手段」に相当し、以下同様に、「内燃機関」は「エンジン」に、「触媒装置119」は「排気ガス浄化装置」に、「触媒装置119の温度を早期に所定温度まで上昇させるよう」は「排気ガス浄化装置の活性化に必要な温度まで排気ガスを昇温させるよう」に、「内燃機関へ供給される吸入空気量及び燃料噴射量を増大させる触媒暖機時燃料増量手段並びに内燃機関の点火時期の遅角制御を行う点火時期制御手段」は「燃焼室内への燃料及び空気の供給及び点火時期を制御する排気ガス温度制御手段」に、「触媒暖機時燃料増量手段により内燃機関へ供給される燃料が増量された場合に」は「前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に」に、「内燃機関の触媒暖機制御装置」は「エンジンの制御装置」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1の「触媒装置119の温度を求める手段」と本願補正発明1の「前記エンジンの排気ガスの温度を検出する排気ガス温度検出手段」とは、「前記エンジンの排気ガスの温度に相関した温度を求める手段」という限りにおいて一致しており、以下同様に、「前記内燃機関の出力軸に連結される補機」と「前記エンジンから車両に伝達された走行トルクに制動力を付与する制動手段」とは「前記エンジンに負荷を付与する手段」という限りにおいて一致しており、「前記内燃機関の出力トルクの増大分を吸収するために前記補機の負荷を増大させる外部負荷増大手段」と「前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけるように前記制動手段を動作させる制動制御手段」とは「増加したエンジントルクの増加を抑えるように負荷を付与する手段を動作させる制御手段」という限りにおいて一致している。
また、本願補正発明1の「エンジンの始動後一定期間内にあると判断したとき」について、本願明細書の段落【0033】の「運転状態判別手段21は、エンジンEが冷間時であるか、暖機後の状態であるかの情報を取得することができ、また、冷間時におけるエンジンEの始動後の経過時間を、タイマを通じて取得することができる。」との記載、同段落【0035】及び【0036】の「運転状態判別手段21が、エンジンEの始動後所定期間内にあると判断したとき、排気ガス浄化装置18の活性化に必要な温度まで排気ガスを昇温させるよう燃焼室3内への燃料及び空気の供給及び点火時期を制御する排気ガス温度制御手段22を備える。・・・ 排気ガス温度制御手段22は、特に冷間時においてエンジンEを始動した際、排気ガスの温度を早期に高めるために、燃焼室3に供給される燃料及び空気を増量して高い排気温度を確保したり、あるいは、点火時期の遅角を行って排気温度を上昇させる制御を行う。」との記載から、引用発明1の「触媒装置の暖機が完了していないと判断した場合」は、本願補正発明1の「エンジンの始動後一定期間内にあると判断したとき」に相当するといえる。
したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「車両に搭載したエンジンの運転状態を判断する運転状態判別手段と、
前記エンジンの排気ガスの温度に相関した温度を求める手段と、
前記エンジンに負荷を付与する手段と、
前記運転状態判別手段が、エンジンの始動後一定時間内にあると判断したとき、排気ガス浄化装置の活性化に必要な温度まで排気ガスを昇温させるよう燃焼室内への燃料及び空気の供給及び点火時期を制御する排気ガス温度制御手段と、
前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、増加したエンジントルクの増加を抑えるように前記負荷を付与する手段を動作させる制御手段と、を備えたエンジンの制御装置。」
[相違点1]
「エンジンの排気ガスの温度に相関した温度を求める手段」が、本願補正発明1においては「エンジンの排気ガスの温度を検出する排気ガス温度検出手段」であるのに対して、引用発明1においては「触媒装置119の温度を求める手段」である点。
[相違点2]
「エンジンに負荷を付与する手段」が、本願補正発明1においては「エンジンから車両に伝達された走行トルクに制動力を付与する制動手段」であるのに対して、引用発明1では「内燃機関の出力軸に連結される補機」であり、「増加したエンジントルクの増加を抑えるように負荷を付与する手段を動作させる制御手段」が、本願補正発明1においては「車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけるように前記制動手段を動作させる制動制御手段」であるのに対して、引用発明1では「前記内燃機関の出力トルクの増大分を吸収するために補機の負荷を増大させる外部負荷増大手段」である点。
[相違点3]
本願補正発明1は「車両に設けられその車両の前後方向への傾斜を検出する傾斜検出手段」を備え「前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記傾斜検出手段が検出する車両の進行方向への勾配が下り坂、水平状態、又は一定勾配未満の上り坂であれば、前記制動手段は車両に制動力を付与して前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけ、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行っている最中で点火時期を遅角させている状態であっても、一定勾配以上の上り坂になれば排気ガス温度制御手段はその昇温制御を一旦解除して点火時期を進角させる」ものであるのに対して、引用発明1は、そのような構成を備えていない点。
b 判断
事案に鑑み、上記相違点3について検討する。
「車両に設けられその車両の前後方向への傾斜を検出する傾斜検出手段」を備え「前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記傾斜検出手段が検出する車両の進行方向への勾配が下り坂、水平状態、又は一定勾配未満の上り坂であれば、前記制動手段は車両に制動力を付与して前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけ、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行っている最中で点火時期を遅角させている状態であっても、一定勾配以上の上り坂になれば排気ガス温度制御手段はその昇温制御を一旦解除して点火時期を進角させる」ことは、引用文献2ないし5に記載及び示唆はない。
したがって、引用発明1及び引用発明2並びに引用文献3ないし5に記載の事項から、上記相違点3に係る本願補正発明1の構成が容易に想到し得たということはできない。
したがって、相違点1及び2を検討するまでもなく、本願補正発明1は、引用発明1及び引用発明2並びに引用文献3ないし5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
c 引用発明2との対比
本願補正発明1と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「エンジン制御装置1」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願補正発明1における「運転状態判別手段」に相当し、以下同様に、「エンジン始動時からの経過時間が十分でないとき」は「前記運転状態判別手段が、エンジンの始動後一定期間内にあると判断したとき」に、「内燃機関の制御装置」は「エンジンの制御装置」に、それぞれ相当する。
また、引用発明2の「触媒温度Cを検出する触媒温度センサー6」と本願補正発明1の「エンジンの排気ガスの温度を検出する排気ガス温度検出手段」とは、「エンジンの排気ガスの温度に相関した温度を検出する手段」という限りにおいて一致しており、以下同様に、「エンジンにより駆動される空調装置やオルタネータ」と「前記エンジンから車両に伝達された走行トルクに制動力を付与する制動手段」とは「エンジンに負荷を付与する手段」という限りにおいて一致しており、「触媒が早期に活性化するように圧縮S/Lモードが開始され、点火時期を遅角方向に制御する点火時期制御部3、圧縮S/Lモードの開始時から所定時間TA以上経過し冷却水温Wが第二所定水温W1以下であり、触媒温度Cが所定温度C1以下である場合に、前記空調装置やオルタネータを駆動してエンジンの負荷を増大させる負荷制御部4及びエンジンの負荷を増大したときに、燃料噴射量及び吸入空気量を増量する燃料噴射制御部2」と「排気ガス浄化装置の活性化に必要な温度まで排気ガスを昇温させるよう燃焼室内への燃料及び空気の供給及び点火時期を制御する排気ガス温度制御手段と、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけるように前記制動手段を動作させる制動制御手段」とは「排気ガス浄化装置の活性化に必要な温度まで排気ガスを昇温させるよう燃焼室内への燃料及び空気の供給及び点火時期を制御する排気ガス温度制御手段と、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、エンジンから伝達されたトルクに負荷を付与する手段を作動させる制御手段」という限りにおいて一致している。
したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「車両に搭載したエンジンの運転状態を判断する運転状態判別手段と、
前記エンジンの排気ガスの温度に相関した温度を検出する手段と、
前記エンジンに負荷を付与する手段と、
前記運転状態判別手段が、エンジンの始動後一定期間内にあると判断したとき、排気ガス浄化装置の活性化に必要な温度まで排気ガスを昇温させるよう燃焼室内への燃料及び空気の供給及び点火時期を制御する排気ガス温度制御手段と、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、エンジンから伝達されたトルクに負荷を付与する手段を作動させる制御手段と、を備えたエンジンの制御装置。」
[相違点4]
「エンジンの排気ガスの温度に相関した温度を検出する手段」が、本願補正発明1では「エンジンの排気ガスの温度を検出する排気ガス温度検出手段」であるのに対して、引用発明2では「触媒温度Cを検出する触媒温度センサー6」である点。
[相違点5]
「エンジンに負荷を付与する手段」が、本願補正発明1では「エンジンから車両に伝達された走行トルクに制動力を付与する制動手段」であるのに対して、引用発明2では「エンジンにより駆動される空調装置やオルタネータ」であり、「エンジンから伝達されたトルクに負荷を付与する手段を作動させる制御手段」が、本願補正発明1では「前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけるように前記制動手段を動作させる制動制御手段」であるのに対して、引用発明2では「圧縮S/Lモードの開始時から所定時間TA以上経過し冷却水温Wが第二所定水温W1以下であり、触媒温度Cが所定温度C1以下である場合に、前記空調装置やオルタネータを駆動してエンジンの負荷を増大させる負荷制御部4」である点。
[相違点6]
本願補正発明1は「前記車両に設けられその車両の前後方向への傾斜を検出する傾斜検出手段と、を備え、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記傾斜検出手段が検出する車両の進行方向への勾配が下り坂、水平状態、又は一定勾配未満の上り坂であれば、前記制動手段は車両に制動力を付与して前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけ、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行っている最中で点火時期を遅角させている状態であっても、一定勾配以上の上り坂になれば排気ガス温度制御手段はその昇温制御を一旦解除して点火時期を進角させる」ものであるのに対して、引用発明2では、そのような構成を備えていない点。
d 判断
事案に鑑み、上記相違点6について検討する。
「車両に設けられその車両の前後方向への傾斜を検出する傾斜検出手段」を備え「前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行った場合に、前記傾斜検出手段が検出する車両の進行方向への勾配が下り坂、水平状態、又は一定勾配未満の上り坂であれば、前記制動手段は車両に制動力を付与して前記車両の走行トルクをその昇温制御を行わない状態で想定される車両の走行トルクに近づけ、前記排気ガス温度制御手段が排気ガスの昇温制御を行っている最中で点火時期を遅角させている状態であっても、一定勾配以上の上り坂になれば排気ガス温度制御手段はその昇温制御を一旦解除して点火時期を進角させる」ことは、引用文献1、3ないし5に記載及び示唆はない。
したがって、引用発明2及び引用発明1並びに引用文献3ないし5に記載の事項から、上記相違点6に係る本願補正発明1の構成が容易に想到し得たということはできない。
したがって、相違点4及び5を検討するまでもなく、本願補正発明1は、引用発明2及び引用発明1並びに引用文献3ないし5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
e 本願補正発明1についてのまとめ
よって、本願補正発明1は、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由はない。
(イ)本願補正発明2ないし4について
本願補正発明2ないし4は、本願補正発明1の記載を他の記載に置き換えることなく直接又は間接的に引用して記載されたものであるから、本願補正発明2ないし4は、本願補正発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願補正発明2ないし4は、本願補正発明1と同様の理由により、引用発明1及び引用発明2並びに引用文献3ないし5に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本願補正発明2ないし4は、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由はない。
エ まとめ
よって、本願補正発明1ないし4は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項(独立特許要件)に適合する。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし同条第6項の規定に適合するから、却下することはできない。
第3 本願の請求項1ないし4に係る発明について
1 本願の請求項1ないし4に係る発明
上記のとおり、平成29年10月30日付けの補正の却下の決定は取り消されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は本願補正発明1ないし4であると認める。
2 原査定についての判断
原査定の概要は、上記第2[理由]2(1)イのとおりである。
そして、上記第2[理由]2(4)で検討したとおり、本願補正発明1ないし4は、引用発明1及び引用発明2並びに引用文献3ないし5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては拒絶をすることができない。
3 むすび
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-001226