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商標異議申立

2017-900007

ブイアアルインサイド、インサイド

審判番号
2017-900007
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2016-031972
登録番号
商標登録第5891465号(T5891465)
請求日
2017年01月10日
審決日
2017年09月07日
公報発行日
2017年11月24日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】スパイシーソフト株式会社
  • 【権利者代理人】佐藤 勝
  • 【異議申立人】インテル・コーポレーション
  • 【異議申立人代理人】中村 知公
  • 【異議申立人代理人】前田 大輔
  • 【異議申立人代理人】伊藤 孝太郎
  • 【異議申立人代理人】朝倉 美知
審判長/審判官
  • 審判長 山田 正樹
  • 審判官 榎本 政実
  • 審判官 木住野 勝也
分類
T1651.261-Y (W4142) / T1651.262-Y (W4142) / T1651.263-Y (W4142) / T1651.271-Y (W4142) / T1651.222-Y (W4142)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

登録第5891465号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 登録第5891465号商標の商標登録を維持する。

理由

【理 由】 1 本件商標 本件登録第5891465号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成28年3月23日に登録出願、第41類「インターネット・携帯電話による通信を用いて行うゲームの提供,インターネット・携帯電話による通信を用いて行うゲームの提供に関する情報の提供,娯楽施設の提供,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,電子出版物の提供に関する情報の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」及び第42類「コンピュータプログラム及びコンピュータゲーム用ソフトウェアの作成・設計・開発又は保守及びこれらに関する情報の提供,ウェブサイトの作成・設計・開発又は保守及びこれらに関する情報の提供,インターネットにおける検索エンジンの提供又はこれに関する情報の提供,サーバーのホスティング,デザインの考案,電子計算機用プログラムの提供,通信ネットワークを利用したアプリケーションソフトウェアの提供又はこれに関する情報の提供,コンピュータソフトウェアの開発及び試験」を指定役務として、同年9月15日に登録査定、同年10月28日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下のとおりである。 (1)登録第5042114号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:別掲2のとおり 登録出願日:平成18年1月5日 設定登録日:平成19年4月20日 最新更新登録日:平成29年2月28日 指定商品:後掲1のとおり (2)登録第5296055号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様:「INTEL INSIDE」(標準文字) 登録出願日:平成21年3月10日 設定登録日:平成22年1月22日 指定商品:後掲2のとおり (3)登録第5777817号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様:別掲3のとおり 登録出願日:平成26年10月7日 設定登録日:平成27年7月10日 指定商品:後掲3のとおり (4)登録第4222888号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の態様:「THE COMPUTER INSIDE」 登録出願日:平成8年10月17日 設定登録日:平成10年12月18日 抹消登録日:平成21年8月19日 指定商品:第16類「コンピュータに関する印刷物」 (5)登録第4233497号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の態様:「THE COMPUTER INSIDE」 登録出願日:平成8年10月17日 設定登録日:平成11年1月22日 抹消登録日:平成21年10月14日 指定商品:第9類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光ディスク・光磁気ディスクその他の周辺機器を含む。),コンピュータ用メモリ素子,半導体記憶装置,集積回路,集積回路チップ,その他の電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く),FAXモデム」 (6)登録第4492276号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の態様:「THE JOURNEY INSIDE」(標準文字) 登録出願日:平成12年3月15日 設定登録日:平成13年7月19日 最新更新登録日:平成23年5月24日 指定役務:後掲4のとおり (7)登録第5651671号商標(以下「引用商標7」という。) 商標の態様:「LOOK INSIDE」(標準文字) 登録出願日:平成25年3月13日 優先権主張:サンマリノ共和国 2013年1月31日 設定登録日:平成26年2月21日 指定商品及び指定役務:後掲5のとおり (8)登録第5651672号商標(以下「引用商標8」という。) 商標の態様:別掲4のとおり 登録出願日:平成25年3月13日 優先権主張:サンマリノ共和国 2013年2月1日 設定登録日:平成26年2月21日 指定商品及び指定役務:後掲6のとおり 以上のとおり、引用商標1ないし引用商標3及び引用商標6ないし引用商標8は、いずれも現に有効に存続しており、以下、これらをまとめて「引用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 申立人の沿革及び名声 申立人は、1968年(昭和43年)7月18日にアメリカ合衆国カリフォルニア州で創業された世界最大の半導体製品メーカーである。 申立人の日本での本格的な営業活動は、1971年(昭和46年)10月開設の「インテルコーポレーション日本支社」(東京都渋谷区)により開始され、1976年(昭和51年)4月28日には「インテルジャパン株式会社」(東京都世田谷区)として法人登記され、その後、つくば本社(茨城県つくば市東光台)及び東京本社(東京都千代田区丸の内)が設置された。同社は、1997年(平成9年)に「インテル株式会社」と名称変更して現在に至る。 半導体業界における申立人の名声は、1970年(昭和45年)に世界初のICメモリを、また、1971年(昭和46年)に世界初のマイクロプロセッサを開発したことに始まり、これ以後、現在に至るまで、数年毎に先進技術のマイクロプロセッサを開発、製品化し、マイクロプロセッサの世界市場の約80%を占めている。 イ 引用商標1及び引用商標3によるブランド戦略と「○○○INSIDE」形式の知名度 1990年(平成2年)末から1991年(平成3年)初頭、申立人は、その商号商標「INTEL」を冒頭に冠した「Intel INSIDE」を商標として採択し、膨大な広告費用を投じて、引用商標1及び引用商標3のロゴマークと「インテル、入ってる」のキャッチコピーを用いたテレビコマーシャルを含む広告宣伝活動を展開すると共に、当該商標に関する斬新な商標使用許諾制度「インテル・インサイド・プログラム」(INTEL INSIDE PROGRAM)を導入した(甲6)。 このインテル・インサイド・プログラムは、申立人のプロセッサを搭載したライセンシーの製造に係るパソコン等の最終製品に引用商標1及び引用商標3のロゴマークステッカーを貼付して表示し、さらに、当該ライセンシーの製品の広告宣伝活動にも引用商標の使用を許容して、その広告宣伝費の一部を申立人が支援するという極めて独創的で画期的な発想に基づくユニークなライセンス方式を特色とするものである。 上記インテル・インサイド・プログラムを用いたマーケティング戦略により、申立人は、他社のプロセッサを搭載した最終製品(パソコン)から自社のプロセッサを搭載した最終製品(パソコン)を差別化することに成功すると同時に、引用商標1及び引用商標3は、申立人の高度な技術に裏打ちされた高い品質を最終製品の需要者(すなわち一般消費者)に保証する機能を果たすこととなり、一般消費者における申立人及び「Intel INSIDEファミリー」の知名度は大きく上昇したのである。 ウ 「○○○INSIDE」形式の商標は、申立人の商品等出所識別標識として認識理解されている。 申立人は、「Intel INSIDE」の他、引用商標4ないし引用商標8を「○○○INSIDE」ファミリー商標として所有し、商標登録を取得している。また、申立人は「○○○INSIDE」ファミリー商標を全世界で1,114件所有している。 インテル・インサイド・プログラムによる広範囲な使用を通じた「intel inside」の高度な著名性の獲得により、INSIDEファミリー商標に共通する「○○○INSIDE」の形式は、取引者、需要者の間で申立人の業務に係る商品の出所を表示する識別標識として、広く認識理解されている。 例えば、下記に示す諸外国における判決等は、「○○○INSIDE」形式の商標を他人が使用した場合には、申立人の著名商標「Intel INSIDE」及びINSIDEファミリー商標と共通する「○○○INSIDE」の形式が、申立人と何らかの経済的又は組織的な関係を取引者若しくは需要者に示唆し、申立人の業務に係る商品又は役務と出所混同を生ずるおそれがあり、また、そのような商標の使用は申立人商標の顧客吸引力への便乗行為であると認定して、他人による「○○○INSIDE」の形式の商標の登録及び使用を禁じた事案である。 ・商標「MCAP INSIDE」(台湾) ・商標「MONEDERO INSIDE」(パラグアイ) ・商標「MDIY INSIDE」「CTI INSIDE」「INNOFIDEI」(中国) ・商標「XXL INSIDE」(欧州共同体) ・商標「CINEMA SOUND INSIDE」(欧州共同体) ・商標「INTELLIGENCE INSIDE」(2001年9月、ドイツ) ・商標「LOOK INSIDE」(2002年7月、スペイン) ・商標「DOCTOR INSIDE」(1998年7月、台湾) ・商標「CINEMA SOUND INSIDE」「DSM DIGITAL SERVO MASTERING INSIDE」(2002年12月、欧州連合) ・商標「DIGITALL INSIDE」(2003年2月、英国) ・商標「CRYPTO INSIDE」(2003年6月、フランス) エ 本件商標と引用商標の類否 半導体製品の分野ではINSIDEファミリー商標が周知著名であることから、第三者が「○○○INSIDE」の表示様式を用い、「○○○INSIDE」の「○○○」に何らかの表示を付加し使用した場合は、需要者・取引者は頻繁に接する機会が多いINSIDEファミリー商標の印象及び記憶に基づき第三者の表示「○○○INSIDE」に接すると、申立人の商標を連想し、申立人の商品若しくは役務であることを認識するおそれがある。また、第三者商標が「○○○INSIDE」である場合、かかる第三者商標は申立人が提供するインテル・インサイド・プログラムの対象商標であるとの印象を抱き、また、連想することは明らかである。 そして、本件商標は、正に「○○○INSIDE」の様式を踏襲するものであるから、これに接した需要者・取引者は申立人のINSIDEファミリー商標を連想し、共通する印象を抱くものである。 よって、本件商標は、申立人の「Intel INSIDE」及びINSIDEファミリー商標、すなわち引用商標に類似する商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 オ 本件商標の指定役務と引用商標の指定商品との類否 本件商標の指定役務中、第41類「インターネット・携帯電話による通信を用いて行うゲームの提供」、「インターネット・携帯電話による通信を用いて行うゲームの提供に関する情報の提供」及び第42類の全指定役務は、引用商標1ないし引用商標3の指定商品に類似する。 また、本件商標の指定役務中、第42類の役務は、引用商標の第9類の商品と、設計上、使用上、取引上密接な関係にあり、かつ、需要者・取引者を共通にするから、区分の相違にかかわらず、互いに類似する商品及び役務の関係にある。 換言すれば、ア)本件商標の第42類の役務は、引用商標の第9類の指定商品との関係において、役務の提供と商品の製造販売が同一事業者によって行われているのが一般的であること、イ)商品と役務の用途が一致すること、ウ)商品の販売場所と役務の提供場所が一致すること、エ)需要者の範囲が一致すること、が認められる。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 申立人はVRに関する事業を推進しており、VR関連機器及びVR事業分野においては、INTEL及びインテルの商標は申立人の商標として、周知著名であることは明らかである。 したがって、本件商標を指定商品・役務に使用した場合は、INSIDEファミリー商標の様式と同商標が共通することから、本件商標の指定商品・役務の分野における申立人の周知著名な商標「Intel INSIDE」及びその他のINSIDEファミリー商標のシリーズ商標であると需要者・取引者が理解することは明らかである。 イ 一方、申立人は、前述のとおり、CPU等の半導体製造販売会社であるとともに、VRに関する事業を展開しており、VRを活用した事業の展開を進めている企業である。 したがって、本件商標に接した需要者・取引者は、申立人の前述のVR関連事業の存在を感知し、本件商標から申立人の周知著名な商標「Intel INSIDE」及びINSIDEファミリー商標を想起し、本件商標により提供される指定商品・役務は、申立人が提供する指定商品・役務であると誤認混同を生じるおそれがある。 仮に、そのような直接的に誤認混同を生じるおそれがない場合においても、申立人の子会社若しくは関連会社の商品・役務であるなど、間接的に誤認混同を生じるおそれがある。 また、本件商標は引用商標の名声、評判にフリーライドし、引用商標の唯一性、すなわち、「○○○INSIDE」の様式を有するINSIDEファミリー商標は申立人が創作し使用を継続していることを指標するものである唯一性を、稀釈化するものでもある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号について 引用商標1及び引用商標3は、本件商標の登録出願前から、本件商標の指定役務と同一又は類似若しくは密接に関連する商品に使用されていたものである。本件商標の指定役務を取り扱う商標権者が、本件商標の登録出願時に引用商標について不知であったとは考え難い。 ましてや、商標権者は、VR技術の研究開発型企業であり、VR技術又はVR技術を用いた製品の情報提供会社であることに鑑みれば、本件商標は、引用商標「Intel INSIDE」及びINSIDEファミリー商標が獲得している世界的な名声と顧客吸引力にフリーライドし、これにより、商標権者の市場参入を容易化し、不当に商業的利益を得んとする意図が窺える。 それのみならず、本件商標は、引用商標の出所表示力を希釈化してブランド価値を低下させ、申立人の商標の資産価値を毀損するものである。引用商標に関する「○○○INSIDE」の方式に立つ商標は、英文法の観点よりみても文法法則から外れた特異な表示形式であり、極めて独創性の高い標章である。 かかる事情から、本件商標は、申立人の周知著名な商標である「Intel INSIDE」及びINSIDEファミリー商標が築き上げた名声を利用する、不正の目的をもって使用するものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)「INTEL(intel)」及び引用商標等の著名性について ア 申立人の提出した甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人は、1968年(昭和43年)7月18日にアメリカ合衆国カリフォルニア州で創業された半導体製品メーカーであり、1970年(昭和45年)にICメモリを、また1971年にマイクロプロセッサを開発し、以後現在に至るまで、マイクロプロセッサを開発、製品化しており(甲6)、申立人の年間売上げは、2015年が554億ドル(約6兆2,602億円。1ドル=113円で計算。)、2014年が559億ドル、2013年は527億ドルであった(甲4、甲6)。 (イ)申立人は、1982年頃から商標「intel」をマイクロプロセッサについて使用し、1991年以降、消費者が申立人のマイクロプロセッサを搭載したパソコンを簡単に認識できるようにするため、「Intel Inside」の文字を含むロゴを採用し、2006年には「intel」の文字を含むロゴに刷新して、以後現在も継続して使用している(甲6)。 (ウ)日本における本格的な営業活動は、昭和46年開設の「インテル・ジャパン・コーポレーション日本支社」により開始され、同支社は昭和51年4月に「インテルジャパン株式会社」として法人登記され、その後「インテル株式会社」と名称変更され、現在も継続して営業活動が行われている(甲6)。 イ 上記アからすると、次のように判断できる。 「INTEL(intel)」の文字は、本件商標の登録出願の日前から、申立人の製造に係るマイクロプロセッサ等の商品を表示するものとして、日本国内及び米国をはじめとする外国における需要者の間に広く認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日においても継続していたといえるものである。 しかしながら、申立人の提出した証拠によれば、引用商標が使用されている事実及び「INSIDE(inside)」の文字が単独で使用されている事実を示す証左は見いだせない。 また、申立人が「intel」以外の文字と「inside」の文字を結合した標章を使用した事実が見いだせないことはもとより、「inside」の文字が、「内側の、内部に」等の意味を有する平易な英単語であることからすると、必ずしも「INSIDE(inside)」の文字を申立人と関連付けて認識するものとはいえず、「intel」以外の文字と結合した「○○○INSIDE(inside)」の構成からなる商標及び「INSIDE(inside)」の文字は、申立人の製造に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 なお、申立人は、外国において「○○○INSIDE(inside)」形式の構成からなる商標が、申立人の業務に係る商品又は役務と出所混同を生ずるおそれがあるなどと認定され、他人による「○○○INSIDE」形式の商標の登録及び使用が禁じられたとする事案を挙げているが、その事実を裏付ける証拠は提出されていないばかりか、外国における判断を直ちに本件の判断の基礎としなければならない理由はない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、前記1のとおり「VRInside」の欧文字を、「VR」は赤色で、「Inside」は黒色で、やや図案化して表してなるところ、その構成文字は、色彩が異なるものの同書、同大、等間隔で、まとまりよく一体に表され、これから生じる「ブイアールインサイド」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標は、その構成中のいずれかの文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいい難いものである。 そうすると、本件商標は、その構成文字全体をもって、一体不可分のものとして認識し、把握されるとみるのが相当である。 また、本件商標は、全体として具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いことから、これに接する需要者は、本件商標の構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するというのが相当である。 してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「ブイアールインサイド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標について (ア)引用商標4及び引用商標5 引用商標4及び引用商標5に係る商標権は、いずれも本件商標の登録出願の日前(査定日前)に存続期間満了により抹消登録されているので、本件商標はこれらとの関係において商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (イ)引用商標1ないし引用商標3 引用商標1及び引用商標3は、前記2(1)及び(3)のとおり、2つの円弧を楕円形状に組み合わせた図形の中に「intel」の文字を表示し、その下部に「inside」の文字を配した構成からなり、また、引用商標2は、前記2(2)のとおり、「INTEL INSIDE」の文字を標準文字で表してなるところ、いずれもその構成文字に相応して「インテルインサイド」の称呼を生じるほか、その構成中の「intel」及び「INTEL」の文字部分は、上記(1)イのとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であって、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。 してみれば、引用商標1ないし引用商標3は、該文字部分に相応して「インテル」の称呼をも生じ、「(申立人のブランドとしての)インテル」の観念を生じるものである。 (ウ)引用商標6 引用商標6は、前記2(6)のとおり、「THE JOURNEY INSIDE」の文字からなるところ、該文字は、全体として、我が国において親しまれた意味合いを想起するものとはいえず、一種の造語として理解されるものである。 してみれば、引用商標6は、該文字に相応して「ザジャーニーインサイド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (エ)引用商標7 引用商標7は、前記2(7)のとおり、「LOOK INSIDE」の文字からなるところ、該文字は、「のぞき込む」程の意味合いを有する英語(株式会社小学館「ランダムハウス英和大辞典」)を表したものと容易に理解させるものである。 してみれば、引用商標7は、該文字に相応して「ルックインサイド」の称呼を生じ、「のぞき込む」の観念を生じるものである。 (オ)引用商標8 引用商標8は、前記2(8)のとおり、2つの円弧を楕円形状に組み合わせた図形の中に「intel」の文字を表示し、その下部に「Look Inside」の文字を配した構成からなり、全体の構成文字に相応して「インテルルックインサイド」の称呼を生じるほか、「intel」及び「Look Inside」の文字部分に相応して「インテル」及び「ルックインサイド」の称呼をも生じ、「(申立人のブランドとしての)インテル」及び「のぞき込む」の観念を生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、本件商標と引用商標とは、その構成文字、構成態様が明らかに相違するものであるから、両商標は、外観上、明確に区別できるものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「ブイアールインサイド」の称呼と、引用商標から生じる「インテル」、「インテルインサイド」、「ザジャーニーインサイド」、「ルックインサイド」及び「インテルルックインサイド」の称呼とは、明らかに構成音を異にし、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音調、音感が明らかに異なることから、両商標は、称呼上、明確に聴別できるものである。 そして、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標1ないし引用商標3は「(申立人のブランドとしての)インテル」の観念が生じ、引用商標6は特定の観念を生じず、引用商標7は「のぞき込む」の観念が生じ、引用商標8は、「(申立人のブランドとしての)インテル」及び「のぞき込む」の観念が生じるものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはないものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 エ 小括 したがって、本件商標は、引用商標に類似しない商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 前記(1)のとおり、「○○○INSIDE(inside)」の構成からなる商標及び「INSIDE(inside)」の文字は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。 そして、上記(2)のとおり本件商標は、引用商標と非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 また、他に本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 前記(1)のとおり、「○○○INSIDE(inside)」の構成からなる商標及び「INSIDE(inside)」の文字は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、前記(2)のとおり本件商標は、引用商標とは非類似の商標であって別異のものである。 また、商標権者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的を持って本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-900007

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