特許異議申立
2017-700199
成形体、成形体形成用組成物、及び成形体の製造方法
- 審判番号
- 2017-700199
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-088684
- 登録番号
- 特許第5980547号(P5980547)
- 請求日
- 2017年02月28日
- 審決日
- 2017年07月27日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 却下
- 当事者
- 【権利者】日本曹達株式会社
- 【権利者代理人】廣田 雅紀
- 【権利者代理人】東海 裕作
- 【異議申立人】田中 淳二
- 審判長/審判官
- 審判長 原田 隆興
- 審判官 橋本 栄和
- 審判官 大島 祥吾
- 分類
- P1651.113-XA (C08J) / P1651.121-XA (C08J) / P1651.851-XA (C08J) / P1651.853-XA (C08J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5980547号発明「成形体、成形体形成用組成物、及び成形体の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5980547号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕及び5について訂正を認める。
本件特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯・本件異議申立の趣旨
1.本件特許の設定登録までの経緯
本件特許第5980547号(以下、単に「本件特許」という。)に係る出願(特願2012-88684号、以下「本願」という。)は、平成18年2月16日(優先権主張:平成17年2月18日、同年8月29日及び平成18年1月23日(特願2005-43199号、特願2005-248170号及び特願2006-13933号))の国際出願日にされたものとみなされる特許出願(特願2007-503692号)の一部を出願人日本曹達株式会社(以下「特許権者」ということがある。)により平成24年4月9日に新たな特許出願とされたものであり、平成28年8月5日に特許権の設定登録(請求項の数5)がされたものである。
2.本件異議申立の趣旨
本件特許につき平成29年2月28日付けで特許異議申立人田中淳二(以下「申立人」という。)により「特許第5980547号の特許請求の範囲の請求項1、2、3及び5に記載された発明についての特許は取り消されるべきものである。」という趣旨の本件異議申立がされた。(すなわち、請求項4に係る特許については、本件の異議申立の対象となっていない。)
3.以降の経緯
以降の手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 5月22日付け 取消理由通知
平成29年 7月19日 意見書(特許権者)・訂正請求書
第2 申立人が主張する取消理由
申立人は、本件特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、下記甲第1号証ないし甲第4号証を提示し、取消理由として、概略、以下の取消理由1及び2が存するとしている。
取消理由1:本件発明1、2及び5は、いずれも、甲第1号証又は甲第2号証のいずれかに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
取消理由2:本件発明1、2、3及び5は、いずれも、甲第1号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
・申立人提示の甲号証
甲第1号証:特開昭60-233164号公報
甲第2号証:特開平5-345877号公報
甲第3号証:特開2001-348528号公報
甲第4号証:「有機化合物のスペクトルによる同定法(第5版)-MS,IR,NMR,UVの併用-」、1995年10月2日(第4刷)、株式会社東京化学同人発行、第273頁
(以下、それぞれ「甲1」ないし「甲4」と略していう。)
第3 当審が通知した取消理由の概要
当審が平成29年5月22日付けで通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
「当審は、
申立人が主張する取消理由1及び2により、本件発明1、2、3及び5についての特許はいずれも取り消すべきもの、
と判断する。」
第4 平成29年7月19日付け訂正請求の適否
以下、特許権者がした平成29年7月19日付け訂正請求に係る訂正の適否につき検討する。
1.訂正の内容
上記訂正請求は、以下の(1)ないし(3)の各訂正事項を含むものである。
(1)訂正事項1
請求項1~3からなる一群の請求項を削除する。
(2)訂正事項2
請求項5を削除する。
(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の段落0006において、7行目~最終行の「すなわち、請求項1にかかる発明は、・・・成形体形成用組成物である。」の記載を削除する。それに併せて、同明細書の段落0007において、第1行目の「また」を「すなわち」に訂正する。
2.検討
なお、以下の検討において、この訂正請求による訂正を「本件訂正」といい、本件訂正前の特許請求の範囲における請求項1ないし5を「旧請求項1」ないし「旧請求項5」、本件訂正後の特許請求の範囲における請求項1ないし5を「新請求項1」ないし「新請求項5」という。
(1)訂正の目的要件について
上記の各訂正事項による訂正の目的につき検討する。
上記訂正事項1及び2は、いずれも、旧請求項1ないし3の一群の請求項及び旧請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものと認められる。
上記訂正事項3は、訂正事項1及び2に係る訂正に伴い生じる明細書の不整合を単に正したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
そして、これら訂正は、一群の請求項ごと又は請求項ごとに対して請求されたものであるものと認められる。
したがって、上記訂正事項1ないし3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に規定の目的要件に適合するものである。
(2)新規事項の追加及び特許請求の範囲の実質的拡張・変更について
上記(1)に示したとおり、訂正事項1ないし3による訂正により、新請求項1ないし3及び5の特許請求の範囲がいずれも削除され減縮されていることが明らかであるから、上記訂正事項1ないし3による訂正は、いずれも新たな技術的事項を導入しないものであり、また、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものではないことが明らかである。
してみると、上記訂正事項1ないし3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定を満たすものである。
(3)独立特許要件
なお、上記第1の2.でも示したとおり、本件の異議申立は、旧請求項1ないし3及び5に対するものであり、旧請求項4は、本件の異議申立の対象とされていないものであるから、旧請求項4が、本件の訂正請求により特許請求の範囲の減縮などを目的として訂正されている場合、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであることを要する(いわゆる独立特許要件)。
しかるに、そもそも、旧請求項4は、他の請求項を引用したり他の請求項で引用されたりする請求項ではなく独立したものであって、他の請求項が訂正により変動したとしても影響があるものではない。
また、上記1.で示したとおり、本件訂正請求において、旧請求項4につき直接又は間接的に訂正されるような訂正事項が存するものでもない。
してみると、旧請求項4は、本件訂正請求において、訂正されているものではないから、上記独立特許要件につき検討することを要しない。
(4)一群の請求項について
なお、旧請求項2及び3は、それぞれ、旧請求項1を直接引用するものであるから、旧請求項1ないし3は、一群の請求項であり、旧請求項4又は5はいずれも他の請求項につき引用又は被引用されるものでないから、それぞれ、独立した請求項である。
(5)訂正に係る検討のまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-3〕及び5について訂正を認める。
第5 本件特許に係る請求項に記載された事項
上記第4のとおり、本件訂正は適法であって、訂正後の本件特許に係る請求項1ないし5には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
β-ケトカルボニル化合物、β-ケトエステル化合物及びα-ヒドロキシエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物がチタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属原子に配位した化合物、それらの加水分解物及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の、250nm~310nmの波長の光を吸収して励起する光感応性化合物の存在下、
式(I)
RnSiX4-n・・・(I)
(式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合し、置換基としてハロゲン又は(メタ)アクリロキシ基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数4~10のエポキシアルキルオキシアルキル基、又はポリシロキサン、ポリビニルシラン若しくはポリアクリルシランを含む基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4-n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物に、250nm~310nmの波長の光を照射することを特徴とする成形体の製造方法。
【請求項5】
(削除)」
第6 当審の判断
本件異議申立は、上記第1の2.で示したとおり、本件の請求項1ないし3及び5に係る特許に対するものであるところ、上記第4で示した適法にされた訂正により、本件の請求項1ないし3及び5に係る各記載事項がいずれも全て削除されたことにより、申立ての対象を欠く不適法なものとなった。
そして、当該不適法とされる点は、その補正ができないものであるから、本件異議申立は、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。
第7 むすび
以上のとおり、本件の請求項1ないし3及び5に係る特許に対する本件異議申立は、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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