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特許訂正審判

2017-390093

光学ガラス及び光学素子

審判番号
2017-390093
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2012-278573
登録番号
特許第6095356号(P6095356)
請求日
2017年09月12日
審決日
2018年03月02日
公報発行日
2018年06月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】株式会社 オハラ
  • 【請求人代理人】正林 真之
  • 【請求人代理人】林 一好
  • 【請求人代理人】新山 雄一
審判長/審判官
  • 審判長 豊永 茂弘
  • 審判官 山崎 直也
  • 審判官 新居田 知生
分類
P141 .851-Y (C03C) / P141 .853-Y (C03C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項、特許法第29条第1項第3号、特許法第126条第4項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6095356号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第6095356号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 本件特許第6095356号(以下、「本件特許」という。)は、平成24年12月20日(優先権主張 平成23年12月28日、平成24年 8月30日)に出願された特願2012-278573号の請求項1~3に係る発明について、平成29年 2月24日に特許権の設定登録がされたものである。 そして、本件審判は、本件特許の訂正を求め、平成29年 9月12日に請求され、平成29年10月 3日付けで手続補正指令書(方式)が通知され、これに対し、平成29年10月23日付けで審判請求書に対する手続補正がなされたものである。 2.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下、「本件特許明細書」という。)を、審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであって、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1~5(注:下線部が訂正箇所)である。 ア.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「Gd2O3成分の含有量が6.30%以下」とあるのを、「Gd2O3成分の含有量が6.30%以下(但し、Gd2O3成分の含有量が1重量%以上であるものを除く)」に訂正する。 イ.訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「Y2O3成分の含有量が0~16.10%」とあるのを、「Y2O3成分の含有量が11.10~16.10%」に訂正する。 ウ.訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に「1300℃以下の液相温度を有する」とあるのを、「1150℃以下の液相温度を有し、」に訂正する。 エ.訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1について、液相温度の定義についてさらに特定し、その内容について「前記液相温度は、ガラス試料を完全に熔融状態にし、1300℃以下の10℃刻みの温度まで降温して12時間保持して冷却した後に、得られるガラス表面及びガラス中に結晶が認められない一番低い温度である、」に訂正する。 オ.訂正事項5 願書に添付した明細書の段落【0078】に「このうち、実施例1、3~4、7~8、10~16、20~24は、本発明の参考例である」とあるのを、「このうち、実施例1~18、20~24、28~30、33、37~39、42、44~46、50、70、71、75~77、79、80、89、91、92、95~98、101~104、107~116は、本発明の参考例である」と訂正する。 3.当審の判断 (1)訂正の目的、新規事項の追加、及び、特許請求の範囲の拡張/変更の有無について ア.訂正事項1 訂正事項1は、請求項1において「Gd2O3成分の含有量が6.30%以下」の範囲の内の、「1重量%以上で6.30重量%以下」の範囲を除き、「1重量%未満」の範囲に減縮するものである。 なお、「重量%」との表記は、計量法において記載されているものではないが、重さを表す単位として、「質量%」と同じである。 したがって、当該訂正事項1は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記訂正事項1は、審判請求書において提示された先行技術文献である特開2002-284542号公報に開示された「Gd2O3はLa2O3との置換により20重量%まで添加することが可能であるが、その含有量が20重量%を越えると、耐失透性が悪化し、安定生産可能なガラスが得られない。したがってGd2O3の含有量を0~20重量%に限定したが、好ましくは1~15重量%である。」(段落【0017】)との記載のうち、特に「好ましい」態様である「1~15重量%」との重なりのみを除くために、いわゆる除くクレームの形態でこれを規定したものであり、これより新たな技術的事項を導入するものではないから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 イ.訂正事項2 訂正事項2は、請求項1の「Y2O3成分の含有量が0~16.10%」を「Y2O3成分の含有量が11.10~16.10%」へと訂正するものであり、要するに、Y2O3成分の含有量について、「0~16.10%」を「11.10~16.10%」に減縮するものである。 したがって、当該訂正事項2は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0091】の実施例56にある、Y2O3成分の含有量についての「11.10(%)」の値に基づくものであるから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.訂正事項3 訂正事項3は、請求項1の「1300℃以下の液相温度」を「1150℃以下の液相温度」へと訂正するものであり、要するに、液相温度について「1300℃以下」を「1150℃以下」に減縮するものである。 したがって、当該訂正事項3は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正事項3は、本件特許明細書の段落【0087】の実施例25、段落【0089】の実施例34にある、液相温度についての「1150(℃)」の値に基づくものであるから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ.訂正事項4 訂正事項4は、請求項1において液相温度の定義についてさらに特定し、その内容について「ガラス試料を完全に熔融状態にし、1300℃以下の10℃刻みの温度まで降温して12時間保持して冷却した後に、得られるガラス表面及びガラス中に結晶が認められない一番低い温度」へと訂正するものであり、要するに、訂正前の請求項1で明らかにされていない液相温度の定義について「ガラス試料を完全に熔融状態にし、1300℃以下の10℃刻みの温度まで降温して12時間保持して冷却した後に、得られるガラス表面及びガラス中に結晶が認められない一番低い温度」と明らかにするものである。 したがって、当該訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、上記訂正事項4は、本件特許明細書の段落【0072】にある「なお、本明細書中における「液相温度」は、50mlの容量の白金製坩堝に30ccのカレット状のガラス試料を白金坩堝に入れて1350℃で完全に熔融状態にし、所定の温度まで降温して12時間保持し、炉外に取り出して冷却した後直ちにガラス表面及びガラス中の結晶の有無を観察し、結晶が認められない一番低い温度を表す。ここで降温する際の所定の温度は、1300℃までの10℃刻みの温度である」との記載に基づくものであるから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 オ.訂正事項5 訂正事項5は、願書に添付した明細書の段落【0078】に「このうち、実施例1、3~4、7~8、10~16、20~24は、本発明の参考例である」とあるのを、「このうち、実施例1~18、20~24、28~30、33、37~39、42、44~46、50、70、71、75~77、79、80、89、91、92、95~98、101~104、107~116は、本発明の参考例である」と訂正するものであり、実施例2、5、6、9、17、18、28~30、33、37~39、42、44~46、50、70、71、75~77、79、80、89、91、92、95~98、101~104、107~116を新たに参考例にするものである。そして、新たに参考例にされたものについては、上記訂正事項1~4に係る請求項1の減縮により、上記訂正事項1~4に係る訂正後の請求項1の要件を満たさないことから、これらが参考例であることを明らかにして、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものである。 したがって、当該訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、上記訂正事項5は、上記訂正事項1~4に係る訂正後の請求項1の要件を満たさない実施例(No.1~18、20~24、28~30、33、37~39、42、44~46、50、70、71、75~77、79、80、89、91、92、95~98、101~104、107~116)について参考例であることを明確にするものであり、新たな技術的事項を導入するものではないから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 (2)一群の請求項について 訂正前の請求項2~3は、訂正事項1~4に係る訂正前の請求項1の記載をそれぞれ直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1~4によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、当該請求項1~3は、特許法126条第3項に規定する一群の請求項である。 したがって、本件訂正は、この一群の請求項について請求したものと認められ、特許法第126条第3項に適合するものである。 また、明細書の段落【0078】には、請求項1に対応する実施例が記載されているから訂正事項5による明細書の訂正に係る請求項は請求項1である。 よって、これを含む一群の請求項、すなわち請求項1~3の全てが訂正事項5の対象となる。 したがって、訂正事項5は、特許法第126条第4項に適合するものである。 (3)独立特許要件について 特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正後の請求項1に係る発明を含む一群の請求項〔1~3〕(以下、それぞれ「本件訂正発明1」~「本件訂正発明3」という。)は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 ここで、訂正された「本件訂正発明1」は、 「質量%で B2O3成分を10.5~24.0%、 SiO2成分を3.0~10.0%、 La2O3成分を35.0~55.0%、 Nb2O5成分を2.0%超~10.0%、 ZrO2成分を1.0~8.0% 含有し、 Gd2O3成分の含有量が6.30%以下(但し、Gd2O3成分の含有量が1重量%以上であるものを除く)、 WO3成分の含有量が5.20%以下、 Ta2O5成分の含有量が1.0%未満、 ZnO成分の含有量が0~6.65%、 Y2O3成分の含有量が11.10~16.10%、 P2O5成分の含有量が0~5.0% であり、 鉛成分を含有せず、 B2O3成分及びSiO2成分の含有量の和が15.0%以上27.0%以下、 Gd2O3成分、Yb2O3成分及びTa2O5成分の含有量の和が10.0%以下、 TiO2成分、Nb2O5成分及びWO3成分の含有量の和が4.0%超~14.0%、 RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が6.65%以下、 Ln2O3成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の質量和が48.0%~60.0% であり、 1.83以上の屈折率(nd)を有し、35以上50以下のアッベ数(νd)を有し、 1150℃以下の液相温度を有し、 前記液相温度は、ガラス試料を完全に熔融状態にし、1300℃以下の10℃刻みの温度まで降温して12時間保持して冷却した後に、得られるガラス表面及びガラス中に結晶が認められない一番低い温度である、 光学ガラス。」である。 審判請求人は、審判請求書において本件特許について、特開2002-284542号公報(以下、「乙1」という。)に基づく新規性及び進歩性について述べていることから、この点について検討する。 a.乙1の記載事項 乙1には、次の記載がある。 a.1「【0017】Gd2O3はLa2O3との置換により20重量%まで添加することが可能であるが、その含有量が20重量%を越えると、耐失透性が悪化し、安定生産可能なガラスが得られない。したがってGd2O3の含有量を0~20重量%に限定したが、好ましくは1~15重量%である。」 a.2「【0018】Y2O3もまたLa2O3との置換により0~20重量%添加させることができる。その含有量が20重量%を上回ると、耐失透性が悪化し、安定生産可能なガラスが得られない。したがってY2O3の含有量を0~20重量%に限定したが、好ましくは0~10重量%である。」 a.3「【0043】このようにして得られた光学ガラスの光学恒数[屈折率[nd]、アッベ数[νd]]およびその他物性を以下のようにして測定し、その結果を表1~表4に示した。・・・(2)液相温度[LT] 1mmの孔のあいた板状の白金に、ガラスサンプルを並べ、温度勾配が精密に制御された傾斜炉に30分間静置し、室温まで冷却後、ガラス内部を100倍の顕微鏡で観察し、結晶の有無から測定した。」 a.4「 」 b.乙1に記載された発明 記載事項a.3及びa.4の実施例2から、乙1には、「重量%でB2O3成分を19.26%、SiO2成分を6%、La2O3成分を41.15%、Nb2O5成分を7.75%、ZrO2成分を6%含有し、Gd2O3成分の含有量が13.15%、WO3成分の含有量が0%、Ta2O5成分の含有量が0%、ZnO成分の含有量が4.08%、Y2O3成分の含有量が2.65%、P2O5成分の含有量が0%であり、鉛成分を含有せず、B2O3成分及びSiO2成分の含有量の和が25.26%、Gd2O3成分、Yb2O3成分及びTa2O5成分の含有量の和が15.80%、TiO2成分、Nb2O5成分及びWO3成分の含有量の和が7.75%、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が0%、Ln2O3成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の質量和が56.95%であり、1.83328の屈折率(nd)を有し、42.58のアッベ数(νd)を有し、1145℃の液相温度を有し、前記液相温度は1mmの孔のあいた板状の白金に、ガラスサンプルを並べ、温度勾配が精密に制御された傾斜炉に30分間静置し、室温まで冷却後、ガラス内部を100倍の顕微鏡で観察し、結晶の有無から測定した光学ガラス。」(以下、「乙1発明」という。)が開示されているといえる。 c.本件訂正発明1と乙1発明との対比・判断 本件訂正発明1と乙1発明とを対比する。 ここで、3.(1)ア.で記載したとおり、「重量%」との表記は、重さを表す単位として、「質量%」と同じであるから、以降は、重さをすべて「質量%」での「%」で表記することとする。 本件訂正発明1と乙1発明は、「質量%でB2O3成分を19.26%、SiO2成分を6%、La2O3成分を41.15%、Nb2O5成分を7.75%、ZrO2成分を6%含有し、WO3成分の含有量が0%、Ta2O5成分の含有量が0%、ZnO成分の含有量が4.08%、P2O5成分の含有量が0%であり、鉛成分を含有せず、B2O3成分及びSiO2成分の含有量の和が25.26%、TiO2成分、Nb2O5成分及びWO3成分の含有量の和が7.75%、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が0%、Ln2O3成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の質量和が56.95%であり、1.83328の屈折率(nd)を有し、42.58のアッベ数(νd)を有し、1145℃の液相温度を有する光学ガラス。」である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1 本件訂正発明1はGd2O3成分の含有量が1%未満であり、Y2O3成分の含有量が11.10~16.10%であり、Gd2O3成分、Yb2O3成分及びTa2O5成分の含有量の和が10.0%以下であるものであるのに対し、乙1発明は、Gd2O3成分の含有量が13.15%であり、Y2O3成分の含有量が2.65%であり、Gd2O3成分、Yb2O3成分及びTa2O5成分の含有量の和が15.80%である点。 ・相違点2 本件訂正発明1はガラス試料を完全に熔融状態にし、1300℃以下の10℃刻みの温度まで降温して12時間保持して冷却した後に、得られるガラス表面及びガラス中に結晶が認められない一番低い温度である液相温度が1150℃以下であるのに対し、乙1発明は、1mmの孔のあいた板状の白金に、ガラスサンプルを並べ、温度勾配が精密に制御された傾斜炉に30分間静置し、室温まで冷却後、ガラス内部を100倍の顕微鏡で観察し、結晶の有無から測定した液相温度が1145℃である点。 ・相違点についての検討 まず、相違点1について検討する。 乙1発明は、Gd2O3成分の含有量が13.15%、Y2O3成分の含有量が2.65%、Gd2O3成分、Yb2O3成分及びTa2O5成分の含有量の和が15.80%であって、この点は、実質的な相違点であるので本件訂正発明1と乙1発明は同一ではない。 また、記載事項a.1及びa.2によれば、Y2O3成分の含有量の好ましい範囲は0~10%であり、Gd2O3成分の含有量の好ましい範囲は1~15%であるから、乙1発明において、Gd2O3成分の含有量を1%未満とするとともに、Y2O3成分の含有量を10%を超えるものとし、さらに、Gd2O3成分、Yb2O3成分及びTa2O5成分の含有量の和を10.0%以下とし、本件訂正発明1の構成とすることについての動機付けがない。 よって、相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、乙1の記載に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 d.小括 c.で検討したとおり、本件訂正発明1は、乙1に記載された発明または乙1の記載に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 また、本件訂正発明2~3は、何れも本件訂正発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件訂正発明2~3についても、乙1に記載された発明または乙1の記載に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 e.特許無効の抗弁について 東京地裁平成29年(ワ)第11314号 特許権侵害差止等請求事件において、中国特許出願公開103030273号及び国際出願PCT/JP2012/082848の国際公開公報である国際公開第2013/094619号に基づく新規性欠如(特許法第29条第1項第3号)を理由とする特許無効の抗弁がされていることから、この点について検討する。 本件訂正発明1は、3.(3)の冒頭において記載した「本件訂正発明1」の組成範囲を有するとともに、「1.83以上の屈折率」を有し、「35以上50以下のアッベ数」を有する光学ガラスであるところ、中国特許出願公開103030273号に記載された発明は、陽イオン及び陰イオンのモル百分率で、「B3+ 55~70% Si4+ 1~9% Σ(B3++Si4+) 58~75% La3+ 15~25% Y3+ 3~15% Gd3+ 0~5% Σ(La3++Y3++Gd3+) 20~38% Ta5+ 0~2% Zr4+ 2~10% Nb5+ 0~10% Σ(Zr2++Nb5+) 12%を超えない Ba2+ 0~5% Sb3+ 0~0.2%を含み、陰イオンはすべてO2-であり、トリウム、鉛、ヒ素、カドミウム、水銀などの有害物質成分や、Ge4+、Te4+、Zn2+、Li+、Na+、K+、Ti4+、W6+は含有しない」組成範囲を有するとともに、「屈折率が1.75~1.80の範囲内であり、アッベ数が50~55の範囲内である」光学ガラスである。 ここで、本件訂正発明1はガラス組成を質量%で表記しているのに対し、中国特許出願公開103030273号に記載された発明はガラス組成を陽イオン及び陰イオンのモル百分率で表記していることから、両者の組成範囲を直接比較することができないものの、例えば、本件訂正発明1では、Nb2O5を必須成分とするのに対し、中国特許出願公開103030273号に記載された発明ではNb5+を任意成分とする点などで、両者の組成は相違するものであり、また、所望の物性についても、本件訂正発明1では、「1.83以上の屈折率」を有し、「35以上50以下のアッベ数」を有するのに対し、中国特許出願公開103030273号に記載された発明では、「屈折率が1.75~1.80の範囲内であり、アッベ数が50~55の範囲内である」点で相違するものである。 したがって、本件訂正発明1は、中国特許出願公開103030273号に記載された発明ではない。 また、本件訂正発明2~3は、何れも本件訂正発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件訂正発明2~3についても、中国特許出願公開103030273号に記載された発明ではない。 さらにまた、本件特許と国際出願PCT/JP2012/082848は同一の基礎出願に対し優先権を主張するものであり、国際公開第2013/094619号は本件出願後の2013年 6月27日に国際公開された文献であるから、特許法第29条第1項第3号の規定違反を理由とする無効理由における引用例適格性を備えておらず、本件特許の独立特許要件を否定するものではない。 f.独立特許要件についてのまとめ 訂正事項1~5によって訂正された訂正後の請求項1~3に係る発明は、上記で検討した以外の理由もないことから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 4 むすび 以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号を目的とするものであって、同条第3~7項に規定する要件を満たすものであるから、本件訂正を認める。

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2017-390093

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    共通の審決分類: 851・C03C、853・C03C
  • 2021-700905異議申立 / 2022-09-07 / 訂正認容改良した微細構造および熱膨張性を有し透明で本質的に無色でスズで清澄化したLASガ…
    共通の審決分類: 851・C03C、853・C03C

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