特許訂正審判
2017-390076
駆動装置用モータ
- 審判番号
- 2017-390076
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2006-053367
- 登録番号
- 特許第4397903号(P4397903)
- 請求日
- 2017年07月31日
- 審決日
- 2017年11月15日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】アスモ 株式会社
- 【請求人代理人】碓氷 裕彦
- 審判長/審判官
- 審判長 久保 竜一
- 審判官 中川 真一
- 審判官 堀川 一郎
- 分類
- P141 .851-Y (H02K) / P141 .853-Y (H02K) / P141 .857-Y (H02K) / P141 .854-Y (H02K) / P141 .855-Y (H02K) / P141 .856-Y (H02K) / P141 .121-Y (H02K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4397903号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4397903号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第4397903号に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成11年9月29日に出願した特願平11-276187号の一部を、平成18年2月28日に新たな特許出願としたものであり、平成21年10月30日にその特許権の設定登録がなされたものである。
そして、平成29年7月31日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4397903号の明細書及び特許請求の範囲を、本審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 本件訂正内容
本件訂正の内容は、次のとおりである。
1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「回転軸を有するモータ本体と、電気接続端子を内蔵する端子内蔵部とを備え、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとを直接又は間接に結合して前記モータ本体と前記端子内蔵部とを一体化した駆動装置用モータにおいて、
回転軸の回転に伴う変化を検出するためのセンサを備えたセンサ基板を含む電気装置を保持する保持手段と、該保持手段及び前記センサ基板とは別体に設けられブラシを支持するブラシホルダとを有し、
前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとが直接又は間接に結合される状態において前記端子内蔵部のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内には、該端子内蔵部のハウジング内に凹む取り付け凹部が形成され、前記センサ基板及び前記保持手段は、前記取り付け凹部に対して前記回転軸の軸方向から嵌め込まれ、前記センサ基板及び前記保持手段が前記取り付け凹部に嵌め込まれた状態において前記センサ及び前記センサ基板は前記端子内蔵部のハウジングにおける接合端面の包囲領域内に配置され、前記保持手段及び前記ブラシホルダが前記端子内蔵部のハウジングに配置された状態で前記端子内蔵部のハウジングと前記モータ本体のハウジングとが結合された駆動装置用モータ。」
とあるのを、
「回転軸を有するモータ本体と、電気接続端子を内蔵する端子内蔵部とを備え、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとを直接又は間接に結合して前記モータ本体と前記端子内蔵部とを一体化した駆動装置用モータにおいて、
回転軸の回転に伴う変化を検出するためのセンサを備えたセンサ基板を含む電気装置を保持する保持手段と、該保持手段及び前記センサ基板とは別体に設けられブラシを支持するブラシホルダとを有し、
前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとが直接又は間接に結合される状態において前記端子内蔵部のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内には、該端子内蔵部のハウジング内に凹む取り付け凹部が形成され、前記センサ基板及び前記保持手段は、前記取り付け凹部に対して前記回転軸の軸方向から嵌め込まれ、前記センサ基板及び前記保持手段が前記取り付け凹部に嵌め込まれた状態において前記センサ及び前記センサ基板は前記端子内蔵部のハウジングにおける接合端面の包囲領域内に配置され、前記保持手段及び前記ブラシホルダが前記端子内蔵部のハウジングに配置された状態で前記端子内蔵部のハウジングと前記モータ本体のハウジングとが結合された駆動装置用モータであって、
前記端子内蔵部のハウジングの一部にはコネクタ部が形成され、該コネクタ部内には前記電気装置と電気的に接続された回転状態検出用電気接続端子が設けられ、
前記コネクタ部は、前記回転軸に対して直交する方向に向けて開口している駆動装置用モータ。」に訂正する。
2.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項12を削除する。
3.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項13に
「請求項12に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記回転状態検出用電気接続端子は外部のモータ制御装置に電気的に接続するためのものである駆動装置用モータ。」
とあるのを、
「請求項1に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記回転状態検出用電気接続端子は外部のモータ制御装置に電気的に接続するためのものである駆動装置用モータ。」
と訂正する。
4.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項14に
「請求項12又は13に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記コネクタ部内には、ブラシと電気的に接続された給電端子が設けられた駆動装置用モータ。」
とあるのを、
「請求項1又は13に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記コネクタ部内には、ブラシと電気的に接続された給電端子が設けられた駆動装置用モータ。」
と訂正する。
5.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項15を削除する。
6.訂正事項6
特許請求の範囲の請求項16に
「請求項12乃至15のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記コネクタ部は、前記回転軸を挟んで出力軸の反対側に設けられた駆動装置用モータ。」
とあるのを、
「請求項1、13及び14のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記コネクタ部は、前記回転軸を挟んで出力軸の反対側に設けられた駆動装置用モータ。」
と訂正する。
7.訂正事項7
特許請求の範囲の請求項17に
「請求項12乃至16のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記コネクタ部は、外径側に向けて突出した駆動装置用モータ。」
とあるのを、
「請求項1、13、14及び16のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記コネクタ部は、外径側に向けて突出した駆動装置用モータ。」
と訂正する。
8.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項18に
「請求項1乃至17のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記ブラシホルダは、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとが直接又は間接に結合される状態において前記モータ本体のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内に設けられた駆動装置用モータ。」
とあるのを、
「請求項1乃至11、13、14、16及び17のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記ブラシホルダは、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとが直接又は間接に結合される状態において前記モータ本体のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内に設けられた駆動装置用モータ。」
と訂正する。
9.訂正事項9
特許請求の範囲の請求項19に
「請求項1乃至18のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記保持手段は合成樹脂製である駆動装置用モータ。」
とあるのを、
「請求項1乃至11、13、14及び16乃至18のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記保持手段は合成樹脂製である駆動装置用モータ。」
と訂正する。
10.訂正事項10
特許請求の範囲の請求項20に
「請求項1乃至19のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記端子内蔵部は、前記モータ本体から出力される回転力を駆動対象に伝達する出力部である駆動装置用モータ。」
とあるのを、
「請求項1乃至11、13、14及び16乃至19のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記端子内蔵部は、前記モータ本体から出力される回転力を駆動対象に伝達する出力部である駆動装置用モータ。」
と訂正する。
11.訂正事項11
明細書の段落0007に、
「請求項1の発明では、回転軸を有するモータ本体と、電気接続端子を内蔵する端子内蔵部とを備え、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとを直接又は間接に結合して前記モータ本体と前記端子内蔵部とを一体化した駆動装置用モータにおいて、回転軸の回転に伴う変化を検出するためのセンサを備えたセンサ基板を含む電気装置を保持する保持手段と、該保持手段及び前記センサ基板とは別体に設けられブラシを支持するブラシホルダとを有し、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとが直接又は間接に結合される状態において前記端子内蔵部のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内には、該端子内蔵部のハウジング内に凹む取り付け凹部が形成され、前記センサ基板及び前記保持手段は、前記取り付け凹部に対して前記回転軸の軸方向から嵌め込まれ、前記センサ基板及び前記保持手段が前記取り付け凹部に嵌め込まれた状態において前記センサ及び前記センサ基板は前記端子内蔵部のハウジングにおける接合端面の包囲領域内に配置され、前記保持手段及び前記ブラシホルダが前記端子内蔵部のハウジングに配置された状態で前記端子内蔵部のハウジングと前記モータ本体のハウジングとが結合された。」とあるのを、
「請求項1の発明では、回転軸を有するモータ本体と、電気接続端子を内蔵する端子内蔵部とを備え、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとを直接又は間接に結合して前記モータ本体と前記端子内蔵部とを一体化した駆動装置用モータにおいて、回転軸の回転に伴う変化を検出するためのセンサを備えたセンサ基板を含む電気装置を保持する保持手段と、該保持手段及び前記センサ基板とは別体に設けられブラシを支持するブラシホルダとを有し、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとが直接又は間接に結合される状態において前記端子内蔵部のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内には、該端子内蔵部のハウジング内に凹む取り付け凹部が形成され、前記センサ基板及び前記保持手段は、前記取り付け凹部に対して前記回転軸の軸方向から嵌め込まれ、前記センサ基板及び前記保持手段が前記取り付け凹部に嵌め込まれた状態において前記センサ及び前記センサ基板は前記端子内蔵部のハウジングにおける接合端面の包囲領域内に配置され、前記保持手段及び前記ブラシホルダが前記端子内蔵部のハウジングに配置された状態で前記端子内蔵部のハウジングと前記モータ本体のハウジングとが結合された。且つ、前記端子内蔵部のハウジングの一部にはコネクタ部が形成され、該コネクタ部内には前記電気装置と電気的に接続された回転状態検出用電気接続端子が設けられ、前記コネクタ部は、前記回転軸に対して直交する方向に向けて開口している。」
と訂正する。
12.訂正事項12
明細書の段落0017を削除する。
13.訂正事項13
明細書の段落0018に
「請求項13の発明では、請求項12に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記回転状態検出用電気接続端子は外部のモータ制御装置に電気的に接続するためのものである。
請求項14の発明では、請求項12又は13に記載の駆動装置用モータにおいて、前記コネクタ部内には、ブラシと電気的に接続された給電端子が設けられた。」
とあるのを、
「請求項13の発明では、請求項1に記載の駆動装置用モータにおいて、前記回転状態検出用電気接続端子は外部のモータ制御装置に電気的に接続するためのものである。
請求項14の発明では、請求項1又は13に記載の駆動装置用モータにおいて、前記コネクタ部内には、ブラシと電気的に接続された給電端子が設けられた。」
と訂正する。
14.訂正事項14
明細書の段落0019に
「請求項15の発明では、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記コネクタ部は、前記回転軸に対して直交する方向に向けて開口している。
請求項16の発明では、請求項12乃至15のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記コネクタ部は、前記回転軸を挟んで出力軸の反対側に設けられた。」
とあるのを、
「請求項16の発明では、請求項1、13及び14のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記コネクタ部は、前記回転軸を挟んで出力軸の反対側に設けられた。」
と訂正する。
15.訂正事項15
明細書の段落0020に
「請求項17の発明では、請求項12乃至16のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記コネクタ部は、外径側に向けて突出した。
請求項18の発明では、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記ブラシホルダは、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとが直接又は間接に結合される状態において前記モータ本体のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内に設けられた。」
とあるのを、
「請求項17の発明では、請求項1、13、14及び16のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記コネクタ部は、外径側に向けて突出した。
請求項18の発明では、請求項1乃至11、13、14、16及び17のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記ブラシホルダは、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとが直接又は間接に結合される状態において前記モータ本体のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内に設けられた。」
と訂正する。
16.訂正事項16
明細書の段落0021に
「請求項19の発明では、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記保持手段は合成樹脂製である。
請求項20の発明では、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記端子内蔵部は、前記モータ本体から出力される回転力を駆動対象に伝達する出力部である。」
とあるのを、
「請求項19の発明では、請求項1乃至11、13、14、16乃至18のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記保持手段は合成樹脂製である。
請求項20の発明では、請求項1乃至11、13、14、16乃至19のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、前記端子内蔵部は、前記モータ本体から出力される回転力を駆動対象に伝達する出力部である。」
と訂正する。
第4 当審の判断
1.訂正の目的の適否について
(1)訂正事項1は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載された「駆動装置用モータ」について、願書に添付した特許請求の範囲の請求項12に記載されていた「前記端子内蔵部のハウジングの一部にはコネクタ部が形成され、該コネクタ部内には前記電気装置と電気的に接続された回転状態検出用電気接続端子が設けられ」たものであることの限定をするとともに、その「コネクタ部」について、願書に添付した特許請求の範囲の請求項12を引用する請求項15に記載されていた「前記コネクタ部は、前記回転軸に対して直交する方向に向けて開口している」ことの限定をしたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、当該訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)訂正事項2及び5は、訂正事項1に伴い、請求項12及び請求項15を削除するものであり、訂正事項3、4及び6乃至10は、訂正事項1、2及び5に伴い、請求項13、14及び16乃至20の引用先を訂正するものである。
したがって、訂正事項2乃至10は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(3)訂正事項11乃至16は、訂正事項1乃至10に伴い、明細書の記載を明瞭にしようとするものである。
したがって、訂正事項11乃至16は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
2.新規事項の追加の有無について
訂正事項1で訂正された請求項1は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1を引用した請求項12を引用した請求項15に相当するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
また、訂正事項2及び5は、訂正事項1に伴い、請求項12及び請求項15を削除するもの、訂正事項3、4及び6乃至10は、訂正事項1、2及び5に伴い、請求項13、14及び16乃至20の引用先を訂正するもの、訂正事項11乃至16は、訂正事項1乃至10に伴い、明細書の記載を明瞭にしようとするものであって、同様に願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
3.特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について
上記1.で述べたとおり、訂正事項1は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載された「駆動装置用モータ」について、願書に添付した特許請求の範囲の請求項12に記載されていた「前記端子内蔵部のハウジングの一部にはコネクタ部が形成され、該コネクタ部内には前記電気装置と電気的に接続された回転状態検出用電気接続端子が設けられ」たものであることの限定をするとともに、その「コネクタ部」について、願書に添付した特許請求の範囲の請求項12を引用する請求項15に記載されていた「前記コネクタ部は、前記回転軸に対して直交する方向に向けて開口している」ことの限定をしたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
また、上記1.で述べたとおり、上記訂正事項2及び5は、請求項12及び15を削除するものであり、訂正事項3、4及び6乃至10は請求項の引用先を訂正するものであり、訂正事項11乃至16は、訂正事項1乃至10に伴い、明細書の記載を明瞭にしようとするものであり、いずれもカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、当該訂正事項1乃至16は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
4.独立特許要件について
上記1.のとおり、本件訂正の訂正事項1は請求項1を訂正するものであって、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、同条第7項の規定に基づき、訂正後における請求項1及び該請求項を直接又は間接的に引用する請求項2~11、13、14、16~21に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。
(1)訂正後の本件発明
本件訂正により訂正された本件特許の請求項1~11、13、14、16~21に係る発明(以下「本件発明1~11、13、14、16~21」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
回転軸を有するモータ本体と、電気接続端子を内蔵する端子内蔵部とを備え、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとを直接又は間接に結合して前記モータ本体と前記端子内蔵部とを一体化した駆動装置用モータにおいて、
回転軸の回転に伴う変化を検出するためのセンサを備えたセンサ基板を含む電気装置を保持する保持手段と、該保持手段及び前記センサ基板とは別体に設けられブラシを支持するブラシホルダとを有し、
前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとが直接又は間接に結合される状態において前記端子内蔵部のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内には、該端子内蔵部のハウジング内に凹む取り付け凹部が形成され、前記センサ基板及び前記保持手段は、前記取り付け凹部に対して前記回転軸の軸方向から嵌め込まれ、前記センサ基板及び前記保持手段が前記取り付け凹部に嵌め込まれた状態において前記センサ及び前記センサ基板は前記端子内蔵部のハウジングにおける接合端面の包囲領域内に配置され、前記保持手段及び前記ブラシホルダが前記端子内蔵部のハウジングに配置された状態で前記端子内蔵部のハウジングと前記モータ本体のハウジングとが結合された駆動装置用モータであって、
前記端子内蔵部のハウジングの一部にはコネクタ部が形成され、該コネクタ部内には前記電気装置と電気的に接続された回転状態検出用電気接続端子が設けられ、
前記コネクタ部は、前記回転軸に対して直交する方向に向けて開口している駆動装置用モータ。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記取り付け凹部には前記保持手段のための位置決め部が形成された駆動装置用モータ。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記位置決め部は、前記取り付け凹部に前記保持手段が嵌め込まれた状態で該保持手段とその嵌め込み方向に当接して、前記端子内蔵部のハウジングに対する前記保持手段の嵌め込み方向の位置決めを可能とする駆動装置用モータ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記センサ基板は、前記センサの設けられる面が前記回転軸の軸方向に沿って配置されており、そのセンサ基板の配置状態において前記センサは前記回転軸側へ突出している駆動装置用モータ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記センサ基板は、その平面が前記回転軸と平行となるように設置された駆動装置用モータ。
【請求項6】
請求項5に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記センサは、一対のホール素子であって、それらホール素子は、前記回転軸の軸方向の直角方向に沿って前記センサ基板の一平面上に並設された駆動装置用モータ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記センサ基板上には、回転状態検出用電気接続端子が電気的に接続される電気接続端子が設けられた駆動装置用モータ。
【請求項8】
請求項7に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記回転状態検出用電気接続端子と前記電気接続端子とが電気的に接続されると共に前記センサ基板が前記保持手段に保持された駆動装置用モータ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記回転状態検出用電気接続端子と前記電気接続端子とは、前記センサ基板における前記センサの裏側で電気的に接続された駆動装置用モータ。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記回転状態検出用電気接続端子は、その一部が前記保持手段によって支持された駆動装置用モータ。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記センサ基板が前記保持手段に保持された状態で、前記電気接続端子と前記回転状態検出用電気接続端子とが接続可能とされた駆動装置用モータ。
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
請求項1に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記回転状態検出用電気接続端子は外部のモータ制御装置に電気的に接続するためのものである駆動装置用モータ。
【請求項14】
請求項1又は13に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記コネクタ部内には、ブラシと電気的に接続された給電端子が設けられた駆動装置用モータ。
【請求項15】
(削除)
【請求項16】
請求項1、13及び14のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記コネクタ部は、前記回転軸を挟んで出力軸の反対側に設けられた駆動装置用モータ。
【請求項17】
請求項1、13、14及び16のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記コネクタ部は、外径側に向けて突出した駆動装置用モータ。
【請求項18】
請求項1乃至11、13、14、16及び17のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記ブラシホルダは、前記モータ本体のハウジングと前記端子内蔵部のハウジングとが直接又は間接に結合される状態において前記モータ本体のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内に設けられた駆動装置用モータ。
【請求項19】
請求項1乃至11、13、14及び16乃至18のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記保持手段は合成樹脂製である駆動装置用モータ。
【請求項20】
請求項1乃至11、13、14及び16乃至19のいずれか1項に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記端子内蔵部は、前記モータ本体から出力される回転力を駆動対象に伝達する出力部である駆動装置用モータ。
【請求項21】
請求項20に記載の駆動装置用モータにおいて、
前記出力部と共にパワーウィンド装置を構成するレギュレータを往復駆動する駆動装置用モータ。」
(2)刊行物に記載された発明
審判請求人は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平7-76264号公報(以下、「甲第1号証」という。)、実願平4-33043号(実開平5-84773号)のCD-ROM(以下、「甲第2号証」という。)、実願平4-72808号(実開平6-31374号)のCD-ROM(以下、「甲第3号証」という。)、実願平3-60776号(実開平6-77472号)のCD-ROM(以下、「甲第4号証」という。)、特開平10-157574号公報(以下、「甲第5号証」という。)、特開平8-26125号公報(以下、「甲第6号証」という。)、特開平11-18391号公報(以下、「甲第7号証」という。)、実願平5-71286号(実開平7-34319号)のCD-ROM(以下、「甲第8号証」という。)及び国際公開98/40751号(以下、「甲第9号証」という。)を示し、本件発明1は、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が上記刊行物に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項に該当しない旨主張するので、以下検討する。
(a)甲第1号証には、ワイパー駆動装置に関し、
絶縁プラスチック材で成型された接続板60により作られる電気接続モジュール12(【0035】)を有したワイパー駆動装置であって、
電気接続モジュール12はブレード保持板82を備え、ブレード保持板82の外面86には、カーボンブラシ90を案内するガイド88が設けられ(【0043】【0044】)、接続板60と一体になっているセンサー本体74を有するセンサー72(【0041】)、を備え(【0041】)、
電気接続モジュール12を、整流器28の周囲のカーボンブラシ90と共にモーターハウジング16内に設置(【0048】)するものが記載されている。
(b)甲第2号証には、パワーウインド用駆動部に関し、
導電ブラシ23と2個のホール素子34を搭載している円板状基板22(【0007】)を有したパワーウインド駆動部1であって、
円板状基板22をハウジング11の開口部13に取着した(【0007】)ものが記載されている。
(c)甲第3号証には、制御モーターに関し、
正負一対のブラシ11(【0008】)、
リードスイッチ22が設けられた基板23(【0010】)を有した制御モーターであって、
基板23はモーターケース1に形成された位置決めピン等の位置決め手段によりモーターケース内の所定位置に配置され(【0010】)、
モーターケース内にリードスイッチ装置を設けたことにより、上記した減速歯車等とリードスイッチ装置との位置調整を必要とせず、また構成を簡単とすることができる(【0011】)ものが記載されている。
(d)甲第4号証には、ブラシホルダの保持構造に関し、
ブラシを保持するブラシホルダを(【0005】)を有したモータ1であって、
エンドケース4の大径孔部10Aの開口部にブラシホルダ12が絶縁ケース13を介して配設され(【0007】)たものが記載されている。
(e)甲第5号証には、ワイパ装置に関し、
コンタクトプレートを備えたカプラ(【0003】)、
ブラシ13が装着されているブラシホルダ11(【0020】)を有したワイパ装置1であって、
直流モータ3の回転出力を減速する駆動伝達機構としての減速機構33が収納されたハウジング2(【0018】)の上面基端部寄りには、取付面22が形成され、
取付面22には、取付面22に対して垂直方向に突出する取付凸部23、該面22に対して垂直方向にハウジング2の内側まで貫通する長方形状の装着孔24が形成され(【0022】)、
カプラ25は、装着凸部26が前記装着孔24に嵌合するとともに嵌合孔28に前記取付凸部23が嵌合して組み付けられ(【0023】)、装着孔24にカプラ25の装着凸部26を嵌め込むようにした、つまり、カプラ25のハウジング2に対する組み付けは、前記ブラシホルダ11、ロータ16等の組み付け方向、即ち連結孔7の中心軸線Laに対して上方からみて直交する方向である(【0024】)ものが記載されている。
(f1)甲第6号証には、電動ステアリング装置に関し、
ブラシ付き電動機8のブラシ12を収納するブラシケースを一体成形したインサートモールド基板5(【0029】)を有した電動パワーステアリング装置1であって、
インサートモールド基板5はインサートモールドにより、コネクタ5Bを一体的に形成(【0033】)され、
ギアボックスハウジング2内に、インサートモールド基板5を収納し、カバー4で覆って密閉する(【0025】)ものが記載されている。
(f2)さらに、甲第6号証には、電動ステアリング装置に関し、上記(f1)のインサートモールド基板5に代えて、ブラシレスモータの永久磁石22の磁気式回転センサ等の位置検出素子23が配置されたインサートモールド基板21(【0045】)を備える電動パワーステアリング装置20(【0042】)も記載されている。
(g)甲第7号証には、小型モータに関し、
第1のホール素子9、第2のホール素子10が固定されたホルダ18(【0086】)と、
第1のブラシ11が取付けられている第1のブラシホルダ13(【0045】)と、
第2のブラシ12が取付けられている第2のブラシホルダ14(【0059】)と、
とを有した小型モータ1において、
ホルダ18は回路基板17に形成されたホルダ取付部17mに取り付けられ(【0075】)、
回路基板17は、ギヤケース3に備えた外板3eの内側に形成された回路基板収容部3f内に収められるL字形状に形成されており、図示しないビス孔において4個の回路基板固定用ビス27を表面から裏面にそれぞれ通しながらギヤケース3にねじ込ませることによってギヤケース3に固定され(【0063】)たものが記載されている。
(h)甲第8号証には、回転検出装置に関し、
検出子としての磁気感応素子21が支持部13によって固定的に支持され(【0015】)、一対のブラシがブラシホルダに保持されて装着されているブラシホルダーステー12を(【0013】)を有したモータ1であって、
ブラシホルダーステー12はモーターハウジング3のエンドブラケット5に嵌合されて固定され(【0013】)たものが記載されている。
(i)甲第9号証(パテントファミリの特表2000-512479号公報を仮訳として用いる。)には、ホールセンサを介した回転数ピックアップ機能を備えたモータに関し、
モータケーシング22は一方の側では遮蔽されており、もう一方の側ではモータの内部構成部材の組み付けのために開放され、この開放側は、軸受けカバー12によって密閉され、この軸受けカバー12は同時にブラシホルダ7も形成しており(第9頁第23~25行)、
ブラシホルダ7内にはプリント回路板4が集積されており、このプリント回路板4にホールセンサ3が配設されている(第9頁第23~25行)ものが記載されている。
(3)対比・判断
甲第1~9号証の、いずれにも、「回転軸の回転に伴う変化を検出するためのセンサを備えたセンサ基板を含む電気装置を保持する保持手段」と、「該保持手段及び前記センサ基板とは別体に設けられブラシを支持するブラシホルダ」とを有した「駆動装置用モータ」を前提にして、「端子内蔵部のハウジングにおける結合側となる接合端面の包囲領域内には、該端子内蔵部のハウジング内に凹む取り付け凹部が形成され」、「前記センサ基板及び前記保持手段は、前記取り付け凹部に対して前記回転軸の軸方向から嵌め込まれ、前記センサ基板及び前記保持手段が前記取り付け凹部に嵌め込まれた状態において前記センサ及び前記センサ基板は前記端子内蔵部のハウジングにおける接合端面の包囲領域内に配置され」た構成とすることが、記載も示唆もされていない。
したがって、本件発明1は、甲第1~9号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、また、本件発明1をさらに限定する本件発明2~11、13、14、16~21も、同様に、甲第1~9号証号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)まとめ
また、そのほかに、本件発明1~11、13、14、16~21が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき理由は見当たらない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-390076